人体が「レゴ・ブロック」のように分解される―ウクライナでの臓器販売調査報告(第2部)
Human Beings Disassembled “Like Legos”
筆者:デボラ・L.アームストロング(Deborah L. Armstrong) 2023年1月15日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年6月30日
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画像はbakadesuyo.comから
この連載の第1部では、シリアの医学生の話が取り上げられていた。この医学生によると、ウクライナの兵士たちや市民たちから人体の器官を収集したとのことだった。さらにその器官を入手する際は、必ずしも提供者から許可をもらっている訳でもなく、提供者が生命の危険を伴うような傷害を負っていない場合もあったとのことだった。さらに第1部では、ウクライナ保安庁(SBU)の元役員が、「闇臓器移植業者」を保護する任務を与えられていたことにも触れた。この業者は、戦争で疲弊した町から町を渡り、人体の器官を収集していたという。さらに、第1部では、一人の男性についての映像が示されていたが、その映像で、「臓器市場」の医師のように見えるその男性は、顧客になるであろう人物に対して、その人物の息子に移植する骨髄の価格について話をしていた。
第1部で取り上げられていた3本の動画は、すべてロシア語音声であり、ロシアの報道機関による報道が、その記事のすべての情報源となっていた。この記事を信じるか、ただの宣伝として片付けるかは、あなた次第だ。ともあれ、以下の内容も考慮して損はないだろう。
戦争で疲弊しているドンバス地域を定期的に報じている、オランダの報道関係者であるソニヤ・ヴァン・デン・エンデ氏(女性)も、ウクライナでの臓器収集について幅広く報じている。同氏の直近の記事は、今年1月9日にディベンド・オンラインというサイトから発信されたが、それは私が書いた記事のたった三日後のことだった。その題名は、「ウクライナの前線兵士たちなのか、それとも西側にとってのモルモットなのか?」だ。
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ソニヤ・ヴァン・デン・エンデ氏:画像は Devend Onlineから
同氏はオランダ人医師について触れているが、その医師は、私が「エリザベス・ドゥ・ブリュック」という記事で名指しで取り上げた医師だった。この記事はロシア語の複数の記事をもとに書いたものだったため、私が英語に翻訳した際、綴りをまちがっていた。ヴァン・デン・エンデ氏は、この医師(女性)の名前を、「エリサベス、あるいはエリザベス、リズベット・ドゥ・ブルーイン、ロシアではドゥ・ブルーと呼ばれている。非オランダ語話者には、発音しにくい名前だ」としていた。
2022年12月14日、ヴァン・デン・エンデ氏が報じたのは、「Anarchist Kombatants(非政府主義者の戦闘員)」という名で知られている、ロシアのハッカー集団が、ウクライナの軍司令官のウェブサイトに侵入し、「『行方不明』とされた3万5382人のウクライナ軍人一覧表を入手することに成功した」という内容だった。その後、ロシアの報道機関が報じたのは、ウクライナ兵の少なくとも3分の1が、「従軍中に行方不明(MIA)になった」のは、ウクライナ軍が、戦闘中に亡くなった死者をきちんと収集し、その人たちが戦闘中になくなったという記録を残すことができない、あるいはそのつもりがないためである、というものだった。さらに報じられた内容は、ウクライナ側は死体を戦場で頻繁に火葬している、というものだった。となると、実際の戦死者数は隠蔽されたままで、近親者への補償が遅れたり、完全に支払われなくなったりしている可能性がある。そしてその補償金が、役員や軍の高官らで山分けされている可能性もある。
瀕死、ないしは死後まもない何千ものウクライナ兵がきちんと把握されていない状況というのは、いわゆる「闇臓器売買業者」にとっては格好の機会だ。だからこれらの業者は欧州中から群れを成して集まり、臓器などの人体の部位を不法に入手しようとしている、と言われている。結局、心臓や腎臓など必須の体内器官を心底求めている患者というのは、どこからそのような器官を手に入れたかなどは、気に留めないだろうから、だ。
ヴァン・デン・エンデ氏の記事によると、これらの屠殺業者団(先述のエリザベス・ドゥ・ブルーインが経営しているとされるものがその一例だが)は、まさに戦争の最前線で仕事をしており、「分解」できそうな死亡兵や負傷兵の体を、150ドルから200ドルの価格で買い取っているという。前線での医療施設だけではなく、当該地域の中心都市にある病院も、このような仕事のために使われているという。
今年の1月5日、アンティセミティズム(反ユダヤ主義).orgというサイトの記事によれば、ウクライナは、「囚人たちから臓器を集め、それらをイスラエルに送っている」とのことだ。この記事では、ロシアの内務大臣の補佐官であるウラジミール・オブチンスキー博士からの聞き取りを取り上げていた。オブチンスキー博士は、かつて、ロシアの国際刑事警察機構の高官を勤めた経歴があり、そこでは少将まで登り詰めた。さらに組織犯罪への対策に関する著書も記している。ただし、このアンティセミティズムの記事の筆者は、オブチンスキー博士の発言の中の最も重要な箇所に触れていなかった。以下、その箇所について要約する。
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ウラジミール・オブチンスキー博士。画像はAntisemitism.org
この聞き取り取材の原版で、オブチンスキー博士はロシアの通信社モスコフスキー・コムソモレッツにこう語っていた。「2022年2月以来、人体の臓器を運ぶ容器を含む、大量の医療機器がAFU(ウクライナ軍)の諸部隊に届けられているという情報が、常時ウクライナから入っています。同時に、『闇臓器売買業者』が死人や負傷者、健康な人からさえ、臓器を取り出すことが横行してるとのことです。健康な人々(つまり臓器提供者のこと)とは、ロシアの囚人やウクライナ国民であり、たまたま運悪く、その時その場に居合わせた人々のようです。」
ウクライナはその体をどうするのか、という問いに対して、オブチンスキー博士はこう答えた。「燃やすのです。アウシュヴィッツやダッハウ強制収容所で起こったことをなかったことにすることは不可能です。バンデラ信奉者たちは、ヒトラーの直系の後継者たちなのですから。臓器を取り去られた人々の死体を処理するための移動式火葬所が使われている、という情報もあります」と。
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イスラエル製の移動式火葬所。画像はベテランズ・トゥデイから
ベテラン・トゥデイは、イスラエルから運ばれたこれらの移動式火葬所についての記事を2022年2月に出しており、この火葬所のせいで、ドンバスの二共和国沿いに駐留しているウクライナ軍の諸部隊の中で、「混乱」の波が生じている、と報じた。「司令官たちは秘密にしているが、兵士たちの脱走と自殺の事例は山積し始めていた。ただし、兵たちの恐怖心は2014年に端を発する本当の話に基づくものだ」と記事にはあった。
さらにその話は、2014年よりもさらに前までさかのぼるが、そのことについては後述する。
オブチンスキー博士の話はさらに続く。「国際的な人道的組織という仮面をかぶった闇臓器売買業者の繋がりが、ウクライナで蔓延していると考えられる理由はいくらでもあります。SBU(ウクライナ保安庁)やウクライナ軍が隠蔽している中で、人体の臓器を不法に入手しているという事実は、2014年にドンバスで市民と軍の間で起こった衝突の際にもあった、という文書が残されています。」
実際、この調査連載記事の第1部に目を通していただければ、シリア出身の医学生が、5月2日にオデッサにあった人体から臓器を入手した、と主張していたことがわかる。その5月2日というのは、何千人ものネオナチと怒り狂ったサッカーファンたちが、オデッサに赴き、 労働組合会館の外で集まっていた、ほとんどがロシア語話者の活動家である一団を攻撃したまさにその日だ。これらの活動家たちは、彼らがクーデターであると考えていた同年に起こったマイダンでの暴動に反対するために集結していた。
抗議活動者らは、その会館に押し込まれた。そして、その会館は集会の輪の外から投げ込まれた火炎瓶により、火をつけられた。ユーチューブやその他のソーシャル・メディア上には、その瞬間の模様を伝える数え切れないほどの動画が投稿されたが、これらの動画には、会館に閉じ込められた人々が炎から逃れようと、窓から飛び降りようとしたが、外にいた人々に銃で撃ち落とされたり、叩かれたりしている様子が映し出されていた。 その日、48人が亡くなり、300人以上の人々が負傷した。 警察に「連行された」人々もいた。
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労働組合会館での犠牲者の追悼式。画像はTASS/MRonlineから
第1部に登場したシリア人学生によると、「闇臓器売買業者ら」はこれらの人体を待ち構えていた、という。それは、彼らの雇い主が、そのような人体が発生する状況を把握していたからだ。そして前もって、取られるべき全ての法的措置が準備されていた、とオブチンスキー博士は述べた。
「ウクライナ当局は『闇臓器売買業者ら』が仕事ができるよう全て手を打っていました。具体的には、これらの業者がウクライナ領内で、よく知られている非政府の医療組織を隠れ蓑にして仕事ができるようにしていたのです。闇業者らは、ウクライナ領内で妨げられることなく仕事ができるために、必要かつ適切な規制や法が用意されています。もちろん、これらの業者の仕事は、全て真っ当なものであるかのように見せていたのです。」
オブチンスキー博士の考えでは、戦場で臓器を収集するという闇の仕事は、少なくとも1990年代後半から続けられてきた、という。具体的にはコソボ紛争からであり、当時そのような行為が、政府の諸組織やいくつかの世界最大の人道的組織の鼻先で行われていた、というのだ。同博士は、ディック・マーティ欧州評議会(PACE)副議長執筆の「コソボでの人々に対する非人道的行為と不法な人体臓器売買」という2009年の報告書を引用した。
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ディック・マーティ副議長。写真はPACEから。
この報告書の要約は以下のとおり。「フシャ・クルヤ近郊のアルバニア領内の病院で、何名かの戦争捕虜から臓器が取り出され、臓器移植のために、外国に輸送された。1990年代初頭から、既にそのような臓器売買が行われていたという具体的な証拠はあるが、当地域を管轄している国際機関は、このような状況を精査する必要はないと捉えており、実際に行われた捜査も、不完全で表面的なものに過ぎなかった。」
さらにこの報告書に記載されていたことは、臓器収集を行っていたのは、「コソボ解放軍(KLA)の隊員たちであった。この民兵隊は、紛争末期にコソボに留まっていたセルビア人を標的にし、これらのセルビア人は捕虜として捕えられていた」 というものだった。さらに、捜査官らによると、「コソボに在留していた何名かのセルビア人やアルバニア人が、アルバニア北部にあったKLA管理下の秘密の拘留所で囚われていて、非人道的で酷い扱いを受けていたが、その後その拘留所は完全に消滅した、という事実を支える具体的かつ集中した証拠が、明白にある」とのことだった。
さらに同報告書にはこうある。「人道的視点から見て、残された最も鋭く繊細な疑問は、行方不明になった人々はどうなったか、という疑問だ。赤十字国際委員会が明らかにした文書では、6千人以上の人々が行方不明となったことが分かったが、うち約1400人の生存が確認され、約2500の死体が発見され、身元が特定された。そのほとんどが、コソボ在住のアルバニア人被害者で、セルビア人支配地域やコソボにある集団墓地で見つかったものだ。」
となれば、2千人以上の消息がわかっていないことになる。そして注目すべきは、この地域に関わっていた様々な国際組織と、コソボ当局やアルバニア当局の間の協力関係が、「不十分だったと思われる」とその報告書に書かれていたことだ。報告書にはこうあった。「セルビア側は最終的に協力したが、コソボ領内で墓を掘り起こすことは本当に困難で、不可能であることが判明した。コソボ当局は、この紛争終結後公的には行方不明となっている約500人の探索に関して著しくその協力態勢を欠いている。
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自身の報告書において、マーティ副議長が最後に触れたのは、「コソボ紛争に関わっていた西側諸国」の国際組織や政府は、戦争犯罪を処罰する際に、依怙贔屓をしており、セルビア側の戦争犯罪のみ集中して取り上げ、「KLAによる戦争犯罪には目をつぶり、その代わりに戦況を短期だが、ある程度安定させることを重視している」という点だった。
声明の最後に、マーティ副議長はこう記述していた。「我々が行った捜査から浮かび上がった全体像は、コソボ紛争に関する一般的な通説とは、いくつかの点において劇的に異なる」と。同副議長は、コソボ紛争の詳細な状況を描写したが、それによると、セルビア人だけではなく、米国が支援していたコソボの反乱勢力も戦争犯罪を起こしているのに、そのほとんどの場合において、セルビア人による戦争犯罪のみが、法廷にかけられていた、ということだった。
「コソボ在住の人々はみな、何が起こり、現状がどうなっているかを認識している」とマーティ副議長は記載した。「しかし、人々はそのことについては話さない。話すとしたら個人的な会話でのみだ。人々はずっと真実が明らかになることを待ち続けている。公式説明ではない、本当の真実を。それが明らかにされることを待ち望んでいる。こんにちの我々の唯一の目的は、コソボ出身の男性や女性の代弁者となることである。さらには、セルビアやアルバニア出身の人々についても、だ。これらの人々は、民族や宗教的な背景に関係なく、ただただ真実を知りたがっているだけなのだ。そして、明らかに罪を犯しているのに不問にされている状況をなくしたいのだ。そして、平和に生活を送ることができること以上の願いはもっていないのだ。」
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アルバニア人用拘留所の地図。KLAはこの拘留所を使って、人々に対して非人道的な扱いを行い、人体の臓器の不法売買を行っている。図は、 PACEから
2018年、ワシントン・ポスト紙は、イスラエルのモシェ・ハレル医師が逮捕された記事を報じた。この医師は、コソボ郊外の「メディカス」という名で知られる病院で闇の臓器収集に関わったとされ、2008年にキプロスで逮捕された。ワシントン・ポスト紙の記事によると、その病院が捜索を受け、「臓器移植が多数行われたことを示す詳しい記録が見つかり、不法に収集された臓器を求めて、カナダ、ドイツ、ポーランドなど世界各国から多くの患者が来院した」ことが明らかになった。
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逮捕されたモシェ・ハレル容疑者。画像はワシントン・ポストから。
ガーディアン紙の報道によると、「メディカス」を運営していたのは、コソボの著名なルトフィ・デルビシという名の泌尿器科学者と息子のアルバンだという。さらにこの記事では、ユサフ・エルチン・ソンメズという名のトルコの外科医が起訴されたことについても触れていた。この医師は、「ハゲタカ医師」という名で知られており、自国で医療行為を禁じられていたのに、この病院で移植手術を行った、とされた。
「メディカスは、ソンメズやハレルなどが操業していた一連の病院の一つだった。アゼルバイジャンなどの地域で病院を見つけた。南アフリカにも1つあると考えている」と、コソボで「欧州連合・法の支配ミッション」のジョナサン・ラテル執行官が、2013年に語った。
オブチンスキー博士の聞き取り取材の話に戻ろう。セルビアの報道機関の記事によると、ロシアの補佐官である同氏は、「アルバニア人指導者」が「ベルナール・クシュネルの後ろ盾を受け」る中で、臓器売買に加担していた、とも主張したという。
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元フランス 外務・ヨーロッパ担当相のベルナール・クシュネル医師。画像はWikipediaから
クシュネルは、フランス生まれの医師であり、2007年から2010年まで外務・ヨーロッパ担当相もつとめた外交官である。同医師は1999年7月に国連のコフィー・アナン事務総長により、国際連合コソボ暫定行政ミッションの初代特使長に任命され、同地にて同医師はコソボ内の行政組織に加わった。
興味深いことに、2015年3月、このベルナール・クシュネル医師 が、「ウクライナ近代化庁」の設立に関わっていた。この組織で、同医師は一団を率い、ウクライナの医療の近代化計画の活動を行っていた。
オブチンスキー博士は、まさに当時、ウクライナで「闇臓器移植業者」が暗躍する好機が生まれた時だったと考えている。その数年後にCovid-19の大流行が始まり、世界の臓器移植の数が急激に少なくなっていったのだから、なおさらだ、というのだ。臓器提供者を求める必要性がこれほど高まったことはかつてなく、米国では臓器を待っている人が1日21人の割合で亡くなっていた。
ここ10年間の医療科学の急激な進歩により、ほとんどすべての臓器の移植が可能になった。具体的には、肝臓、腎臓、膵臓、肺、腸、角膜、中耳、皮膚、骨、骨髄、心臓弁、結合組織だ。多重構造の移植も行われている。具体的には、肌、子宮、骨、筋肉、血管、神経、結合組織だ。
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2017年米国での臓器移植の数と価格。図はFortuneから
オブチンスキー博士はこう述べた。「実際、新しい技術のおかげで、人体を完全に分解できるようになりました。まるで、レゴ・ブロックのように。さらに、解体された人体は、無傷の人体一体を手に入れるよりも費用がかかります。唯一の問題は、これらの部分をどこで手に入れ、組み立て工場がどこにあるかだけです」と。
オブチンスキー博士によると、最も強力で成功している「作業所」は、トルコ、イスラエル、韓国にあるという。実際この事実は、「クリニック・オン・コール」や「メディグロバス」といったサイトで出されていた記事とつながるものだ。これらのサイトでは、世界の移植施設を格付けしている。それによると、オブチンスキー博士が言及した国々は、ドイツとともに世界で最も優れた国とされている。
オブチンスキー博士の考えでは、自身が言及した国々は、臓器移植が最も発展しているドイツやスイスを上回っており、これらの国々では、ある臓器を別の臓器に代用して移植する技術が特に発達している、という。この技術があれば、移植可能な特定の臓器を長々と待たなくてもよくなる。
加えて、人体の臓器移植を革命的に進化させたのは、米国のトランスメディックという名の会社だ。臓器を氷の上で保管すれば、受領者が受け取ることができるまでの時間に制限が生じ、臓器の提供者から受領者までの距離にも制限が生じる。しかし氷の上に載せるのではなく、臓器を適度な温度に熱することにより、臓器自身が、もとの主人から離れたことを「認識しない」状態を保つことができる。この業者を用いれば、 提供者から臓器が取り出された時から、外科医が受領者に移植する時まで、臓器は何事もなかったかのように機能し続けることができる。
オブチンスキー博士はこう述べた。「ちょっと想像してください。移植を待っている心臓は鼓動し、腎臓が尿を生産し、肝臓が胆汁!を出すのです。そして暖かい血管が、これらの臓器を巡っているのです。こんな状態を体外で保つことが可能なのです。これがいわゆるブロックチェーン技術です」と。
さらに、カナダのトロントで、研究者らはドローン機を使えばもっと素早く臓器を運輸できることを示した。ドローン機を使えば、交通渋滞やそれ以外の予見できない遅延に悩まされなくてすみ、ヘリコプター発着場のない病院へも届けられるからだ。
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カナダのトロントで、肺を輸送しているドローン機。画像はグローバル・ニュースから。
しかし生命を救うためのこの技術は、世界に善をなすことができるものなのだが、暗部もある。オブチンスキー博士の考えでは、その暗部が、かつてはコソボ紛争の際に、今はウクライナで現れている、という。「移植取引に関わる資金洗浄の仕組みは、薬物や武器の取引で見られるものと全く同じです。ブロックチェーン技術という、工程を分散できる技術のおかげで、各分野に分配された繋がりの中で、数値や記録を同期でき、国境や各国の法的規制を『乗り越えて』、作業できるようになりました。『闇移植』や人体の臓器の輸送が事実上、前もって準備されていた規制に関係なく実行可能になったのです。」
オブチンスキー博士は、ウクライナのナチスが権力を掌握することになれば、政府に反対する人々のための強制収容所を作り、その収容所で、ナチス・ドイツが行ったように、ガスで囚人を燃やすのではなく、 臓器や組織を入手するために、人々の体が組織的に分解されるのでは、と予見する。
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ソ連軍に解放された後に撮影された、ポーランド・マイダネク強制収容所の火葬場と遺構。画像はホロコースト・エンサイクロペディアから。
「さらに、米国や欧州にいる資金提供者らは、この事業をできる限りの手を尽くして援助しようとするでしょう。技師面でも、情報面でも、です。個人で行っているのではありません。事業なのです」とオブチンスキー博士は述べた。
上記はオブチンスキー博士が出した結論であって、もちろん、ご自分の結論は、各自お持ちになってかまわない。ただし、ここで押さえておくべきことは、同博士からの聞き取り取材の内容は、本記事やそれ以外の記事から検証可能である、という点だ。
ここまで見てきた状況から言えることは、戦争は闇臓器売買業者たちにとって宝の山を得る格好の機会になるだけではなく、戦争の犠牲者たちから臓器を収集することは、もう何十年も前から行われてきた行為であり、戦争で疲弊した地域で、大規模な臓器収集に加担している医師たちの医療技術が発達し、瞬時に臓器を取り出し、袋詰めし、驚くべき短時間で人体を解体できるようになっているようだ、ということだ。
さらに、臓器収集に直接関わっているのは、一兵卒が上官の許可なしに、さらに秘密裡に動いているのではないことが、この記事にある証言内容からすれば十分考えられる。収集活動を行っているのは、紛争が生じれば、外国からハゲタカのように集まってくる勢力のようなのだ。
そう考えれば納得がいく。結局、戦争というのは、金のために起こるのだ。「自由」や「民主主義」のためなどではない。権威者らが戦意を高揚させようと、どれだけ愛国心に訴えたとしても、だ。武器製造業者や軍の契約業者は、戦争で何十億ドルもこっそり儲けているのだから。そんな中で、医療業者や、少なくともその配下にある秘密の闇組織も、利益を得ようとしないわけがないだろう。
ウクライナでの臓器売買をとりあげたこの調査連載記事の第2部はここまで。第1部はこちら。第3部は現在執筆中だ。
(訳者:「寺島メソッド翻訳ニュース」では、ウクライナにおける人身売買:違法な臓器狩り(第1部)、ウクライナにおける人身/臓器の売買についての調査報告(第3部)の翻訳記事を公開しています。)
筆者について:デボラ・アームストロングは、現在ロシアを中心にした地政学に関する記事を執筆中。かつて米国の地方テレビ局で勤務体験があり、地方段階のエミー賞を2度受賞。1990年代前半には、解体直前のソ連で生活し、レニングラード・テレビ局で顧問として活動。
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