ヨーロッパ - 寺島メソッド翻訳NEWS
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右派「英国改革党Reform UK」が地方選挙で大躍進

<記事原文 寺島先生推薦>
Farage’s party making big gains in local British elections
右派の改革派UKは、争奪戦となっている23の地方自治体のうち10の支配権を獲得
出典:RT 2025年5月3日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2025年5月5日


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2025年5月2日、イングランド・ダラム州で行われたビッグクラブ選挙で、改革UK党首のナイジェル・ファラージ氏が、改革UKが過半数の議席を獲得し、ダラム州議会の支配権を獲得したことを受け、支持者らと祝う様子。© Ian Forsyth / Getty Images


イングランド地方選挙では右派の改革UK党が1600議席以上のうち677議席を獲得したが、労働党と保守党は全国で大敗した。

金曜日(5月2日)に開票結果が徐々に届き始めると、熱烈なブレグジット推進派のナイジェル・ファラージ氏率いる保守派の政党が、イングランド全土の23の地方自治体でおこなわれた選挙で最有力候補となり、10の地方議会で過半数を獲得した。この中には、保守党が獲得した8つの地方議会(ダービーシャー、ケント、ランカシャー、リンカンシャー、ノース・ノーサンプトンシャー、ノッティンガムシャー、スタッフォードシャー、ウェスト・ノーサンプトンシャー)に加え、労働党が獲得したドンカスターと、これまで過半数を獲得した政党がなかったダラムも含まれている。

改革党は、ランコーンとヘルスビーでの激戦となった議会補欠選挙でも勝利を収め、再集計の結果、労働党をわずか6票差で破った。これにより、改革党は現在、英国議会で5議席を掌握している。

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関連記事:Farage’s Reform UK overtakes Labour in poll for first time

BBCの予測によると、もし今日総選挙がおこなわれたとすれば、改革派UKは30%の得票率を獲得し、労働党の20%、保守党の15%を上回ることになる、という。しかし、次の総選挙は2029年5月まで予定されていない。前回の総選挙は昨年おこなわれ、保守党の経済政策に対する国民の不満の高まりを背景に、労働党が圧勝した。

ファラージ氏は、党の躍進について次のように述べた。「戦後の英国では、地方選挙で労働党と保守党の両方に勝利した政党はかつてありませんでした。このような結果は前例がありません。(中略)改革派は次の総選挙で勝利できるでしょうし、必ず勝利するでしょう」と。

英国のキア・スターマー首相は、「激しい怒り」を感じながらも、有権者の選択は理解できる、と述べ、「国家の刷新に向けて、さらにかつ迅速に前進します」と約束した。一方、保守党党首のケミ・バデノック氏は、今回の選挙は予想どおりの「流血」だった、と率直に認め、保守党は党への信頼回復に向けた努力を継続する必要がある、と強調した。

UK改革党の躍進は、移民流入の多さや生活費の高騰、そして多くの人が二大政党による長年の失政と見なす政策に対する有権者の不満によって引き起こされた。同党は、小型船による移民の削減や減税、地方自治体の支出削減を公約に掲げて選挙運動を展開し、「機能不全の政治体制」に対する唯一の選択肢としての立場を確立した。

EUは、ロシア制裁で「EU経済の心臓を突き刺した」 - ハンガリー外相

<記事原文 寺島先生推薦>
EU ‘stabbed its economy in the heart’ with Russia sanctions – Hungarian FM — RT World News
ブリュッセルの対モスクワ規制は、EUブロックにとって益々「ばかげた」もので、「有害」になりつつあると、ピーター・シヤルト外相はRTに語った。
出典:RT 2025年3月22日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2025年4月23日


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ファイル写真:ピーター・シヤルト(Szijjarto)。 © エミン・サンサール/アナドル via Getty Images


対ロシア経済制裁は、EU経済にとって大いに裏目に出ており、新たな一括法案のたびに、ますます「ばかげたもの」で、「有害」になっていると、ハンガリーのペーター・シヤルト外務大臣は述べた。

土曜日に発表されたRTとの独占インタビューで、シヤルト外相は、ロシアを標的にしたEUブロックの措置は、ウクライナ経済を不安定化し、ウクライナ紛争を終わらせるという、彼らが想定する二つの目標で失敗したと繰り返した。

EUは、2022年2月の敵対行為の激化以来、ロシアに対する16の制裁一括法案を採択している。ハンガリーは、この行動手法には批判的ではあるが、最終的にはそれぞれの法案を支持してきた。しかし、それは石油禁輸や原子力部門に対する制限に対して免除を設けてからだ。ブダペストとモスクワの両国、そして多くの国際問題評論家は、制限を課した国々にとって裏目に出たと主張している。

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関連記事:米国、対ロシア制裁執行から撤退 – EU当局者

「EUは基本的に、制裁によってヨーロッパ経済の心臓を突き刺した」 とシヤルト外相はRTに語った。彼は、制裁がEUの競争力を侵食し、EUブロックを孤立させたと主張した。現在、ブリュッセルは戦略の明らかな失敗にもかかわらず、第17回目を準備しているとシヤルト外相氏は述べ、それは「意味をなさない」と述べた。

「最初の制裁法案から3年が経ちました。ロシア経済は、決して参っているわけではない。そして、私たちは今、平和に近づいていますが、制裁のせいではありません」 と彼は述べました。

シヤルト外相は、ブリュッセルが反ロシア「思考」のために新たな制裁制限を絞り出すことは「不真面目で、ばかげていて、実に有害になっている」 と述べた。

外務大臣によると、ブダペストは、ハンガリーの国益が危険にさらされた場合、将来の制裁を支持しないことを「非常に明確にした」 という。彼はまた、EUの軍事化が進み、ウクライナに武器を供給し続ける計画に対する懸念を表明し、そのような決定は「戦争を長引かせ」、さらに激化する危険を高めると警告した。

「ヨーロッパの指導者たちのこの戦争賛成の感情は、本当に、本当に危険です」 とシヤルトは警告した。 「私たちの明確な期待は、EUが和平形成過程の邪魔をすべきではないということです...(アメリカのドナルド・)トランプ大統領と(ロシアのウラジーミル・)プーチン大統領が、どのように合意し、どのように和平を結ぶかについて交渉しているときにその邪魔をすべきでないのです。」

関連記事:ハンガリー、ロシア経済制裁免除を米国から獲得

ロシアとアメリカは現在、紛争の停戦を交渉している。トランプは以前、対ロシア経済制裁が交渉の取引材料として使われる可能性があることを示唆した。

プーチン大統領は、欧米の経済制裁が一時的なものであるという考えを否定し、今週初め、制裁はロシアに「体系的、戦略的」 圧力をかけるための道具だったと述べた。モスクワは繰り返しこの措置を違法だと非難してきたが、同国の当局者は、この制裁が最終的にロシア国内産業を後押しして、西側技術への依存を減らした、とたびたび指摘してきた。

学生による抗議運動のさなか、セルビアのヴチッチ大統領を支援する数千人規模の集会

<記事原文 寺島先生推薦>
Thousands rally for Serbia’s Vucic amid student-led protests (VIDEOS)
集会中、セルビア大統領は「カラー革命は終わった」と宣言
出典:RT 2025年4月13日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>2025年4月15日


セルビアで大規模な反政府デモが起きる中、アレクサンダル・ブチッチ大統領への支持を示すため、金曜日(3月11日)から数万人がベオグラードに集まっている。

汚職疑惑と政府の怠慢に抗議する学生主導のデモは、この国で数ヶ月にわたって続いている。2024年11月にノヴィ・サド市の鉄道駅でコンクリート製の屋根が崩落し、死者を出した事件をきっかけに始まったこの抗議活動は、3月15日にベオグラードで大規模な集会へと発展し、その後、数十人のデモ参加者と警察との間の衝突が発生した。


土曜日(4月12日)にRTが撮影したデモの最中、ヴチッチ大統領は「カラー革命は終わった」と宣言し、「彼らは望むだけ歩くことができるが、そこから何も生まれないだろう」とも付け加えた。

ハンガリーのビクトル・オルバーン首相はこの集会で動画上から演説し、「セルビアの愛国者はハンガリーの愛国者を頼りにしてください」と述べた。


野党の自由正義党(SSP)は、3月15日の抗議活動で治安部隊が長距離音響装置(LRAD)を使用した、と非難した。LRADは元々は米海軍が設計したもので、聴覚障害の重大な危険がある群衆制御技術である。


ヴチッチ政権は、セルビアが反ロシア政策の支持を拒否したことへの報復として、米国の「ディープステート」と欧州の情報機関が抗議運動の波を煽っている、と主張している。

チョスドフスキー教授 「セルビア人はNATOがユーゴスラビアを爆撃し破壊したという歴史を忘れたのか」

<記事原文 寺島先生推薦>
NATO’s First War against Yugoslavia. No War, No NATO. : Prof. Michel Chossudovsky
セルビア国民は、企業の慈善事業やNGOが自国に敵対する活動をおこなうことを許してはならない
筆者:ミシェル・チョスドフスキー教授、ニコラ・ベリッチ(Prof Michel Chossudovsky and Nikola Belic)
出典:Global Research 2025年3月25日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2025年4月3日


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この記事は、 politika.rs上でセルビア語で公開された元の記事を著者がAI翻訳により、修正および編集したものだ。

ドイツや英国、フランスは、米国民主党やオバマ、バイデンの政策の代表者とつながりのある代理政権を持っているため、ウクライナでの戦争を継続したがっている。

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このインタビューはもともとpolitiko.rsにおいてセルビア語で公開されたものだ。

「あの戦争はNATOが主権国家に対しておこなった最初の公式戦争であり、米国とドイツの諜報機関とが協力したいわゆるコソボ解放軍の犯罪分子と連携しておこなわれました」とオタワ大学の経済学教授でグローバリゼーション研究センターの創設者であるミシェル・チョスドフスキー氏は、NATOのセルビアとユーゴスラビア連邦共和国に対する侵略開始26周年の前夜に「ポリティカ」のインタビューでこの出来事について語った。

「報道機関は非常に重要な役割を果たした、共犯者でした」と、2014年にNATOのセルビア侵略戦争に関する活動でセルビア共和国功労勲章を授与されたチョスドフスキー氏は強調する。当時はフランスの「ル・モンド・ディプロマティーク」誌に寄稿していたが、編集部がハシム・サチに犯罪歴があるという証拠を示す記事の掲載を拒否したため、協力関係を解消した、とベオグラードの平等世界フォーラムに客人として呼ばれ、セルビアに滞在しているチョスドフスキー氏は語った。

私たちは今日の観点からこれらの出来事をどのように見るべきでしょうか?

彼らは人道的介入という名目でセルビア、いやユーゴスラビア連邦共和国を攻撃し、スロボダン・ミロシェヴィッチだけでなく国民全体を強く非難し、悪者扱いしました。私は以前からユーゴスラビアを、1980年代に同国の経済に何が起こっていたかという文脈で扱い始めていました。これがいわゆる内戦につながりました。しかしそれは内戦ではありませんでした。

決定的だったと思う要素は2つあります。1つは西側報道機関がいかに嘘をつき、NATO軍が犯した犯罪を隠蔽したかです。

もう一つの要素は、米国と西ヨーロッパの両方における、いわゆる左派、つまり「進歩的」政党です。彼らはKLA(コソボ解放軍)を「自由の戦士」とさえ描写し、この文脈でマルクスやレーニンを引用するほどでした。

彼らはKLAが組織犯罪と関係があるとさえ言っていましたが、革命を遂行するには資金が必要だ、と言ってそれを正当化したのです。

これらすべての背後にあった喧伝広報機構は注意深く組織化されていました。

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1999年7月、KLA から押収された武器 (パブリックドメイン)

セルビアでこれらすべてが起こっていた20世紀末から今世紀の初めにかけて、その機構と西側の力は最高潮に達していたのでしょうか?

1980年代後半から1990年代前半の出来事を時系列で見てみると、答えは「はい、そうでした」です。そしてそれは冷戦の終結に限ったことではありません。この形の介入主義に対応するために、国連システムにも変化がありました。例えば、ロシアやウクライナに対しておこなったのと同じ経済政策をラテンアメリカに対してもおこないました。

そしてセルビアに対してというのは、つまりユーゴスラビアに対してのことでした。ユーゴスラビアで経済危機が最も厳しかったのは1990年1月でした。ポーランドでは1989年、いわゆるビッグバンでした。ペルーとニカラグアでは1990年代初頭でした。

たとえばペルーについてはあまり話題になりません。なぜならペルーは軍事政権ではなく民主主義国家だ、と言われているからです。しかし軍事政権下では想像できるものよりはるかにひどい状況でした。燃料価格が一夜にして31倍に値上がりし、経済的、社会的に壊滅的な打撃が与えられました。

ドナルド・トランプ大統領の米国大統領選挙勝利後、米国側がウクライナ和平実現のためにロシア側と交渉する用意を表明したことで、私たちは根本的な世界的変化の到来を目撃しています。世界は今、第三次世界大戦に近づいているのでしょうか?それとも冷戦終結以来最も深刻な危機から脱しつつある、と言えるのでしょうか。

これは簡単な質問ではありません。ロシアとの交渉にはいくつかの良い面があります。しかし、米国側はロシアに対して制裁も課しており、ロシア領、つまりクルスクからの撤退を拒否している、という事実もあります。

もう一つの側面は、ウクライナがナチス政権によって運営されているという事実を報道機関が認めようとしないことです。ゼレンスキーはウクライナ語も話さないロシア系ユダヤ人であり、ナチス政権に支援されています。これらの矛盾は、2014年に米国が支援した武力政変があった、という事実とともに、いつかは解決されなければならないでしょう。

私はこれまで2度の軍事政変を経験しました。1973年のチリと1976年のアルゼンチンです。どちらも米国が支援したものでした。多くの点で、2014年2月の米国によるウクライナに対するものに比べれば、それほど壊滅的ではありませんでした。

今日、何が起こったのかについてさらに多くの情報があります。ビクトリア・ヌーランドからキエフ駐在の米国大使ジェフリー・ピアットへの電話についてはわかっています。その会話は漏洩され、公表されました。

皮肉なことに、この2014年の米国のクーデターは、第二次世界大戦中のナチスによるウクライナ占領中に誕生した2つのナチス政党、スヴォボダと右派セクターを支援しました。ウクライナ民族主義組織(OUN)はドイツ国防軍およびナチスドイツ占領軍と積極的に協力した組織でした。OUNはユダヤ人の虐殺、すなわちホロコーストや強制収容所に関与していました。

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焼け落ちた「ベルクト」バスの屋根の上で演奏を披露している抗議者。フルシェフスコホ通りのバリケード。キエフ、2014年2月10日。(CC BY-SA 3.0 ライセンス)

交渉の原点に戻るもう一つの要素は、ロシアがNATOが自国の国境にこれほど接近して拡大するのを認めないだろうということです。

しかし、現在、経済紛争と武力紛争が混在しています。あなたの質問にもあったように、障害の一つは、ドイツや英国、フランスが戦争を継続したがっていることです。

なぜでしょうか?


これは、これら3か国が強力な金融利害関係者によって支援され、支配されている代理政権を持っている、という事実に基づいています。そして、政治家は腐敗しています。

また、これら3つの政府が、ロシアとの外交関係の回復を拒否したオバマ政権とバイデン政権の代表者と緊密に連携してきたことも特筆すべき点です。

彼らが変わったとは思いません。彼らは米国民主党とつながっています。彼らは依然として米国によって率いられていますが、ドナルド・トランプの政策を通じてではなく、民主党によって率いられています。EU全体と個々の加盟国の両方が依然としてドルの影響下におかれています。彼らは米国の外交政策の犠牲者です。これら3人は強力な金融利害関係者とつながっています。スイスのアルプス、つまりダボス(2024年)で選挙運動を主導したキール・スターマー。エマニュエル・マクロンはロスチャイルド家の元従業員です。ドイツの問題は重要です。この3人は全員、自国の裏切り者です。そしてオラフ・ショルツは裏切り者以上の存在です。なぜなら彼はノルドストリーム2の破壊を許したからです。

ジョセフ・バイデンが「ノルドストリーム2」ガスパイプラインはもう建設しないという声明を出していますが、これはヨーロッパに対する戦争行為だと考えたことがありますか?

これは秘密作戦ではない、とバイデンとショルツはホワイトハウスの記者会見で、ロシアが介入した場合の対応を発表しました。

法的に言えば、ノルドストリームへの攻撃は戦争行為です。しかし、ショルツに関しては、それは反逆行為でした。他の指導者たちもヨーロッパの人々に対して働いてきました。経済戦争が起こっていましたが、他のヨーロッパ諸国やNATO諸国の同盟国がヨーロッパを貧困に陥れ、ヨーロッパの帰属意識を破壊するために利用された、という点が異なっています。おそらくそれがトランプ大統領の少し混乱している理由でしょう。以前の時期に何が起きていたのか理解するのが難しいと感じているからです。そして今、ノルドストリーム問題の後、3か国がロシアに宣戦布告しようとしています。この3か国はすべて、人々を貧困に陥れることを目的としたヨーロッパに対する経済戦争の被害者なのです。軍事的な意味でも、ノルドストリームへの攻撃は戦争行為です。なぜなら、それはいくつかのヨーロッパ諸国の領海に位置しているからです。そしてそれは元米国大統領による意図的な行為だったのです。

この戦争の標的はロシアだけではないのでしょうか?

米国はEUに対しても戦争を仕掛けています。ドル化の推進者でもあるクリスティーヌ・ラガルドEU中央銀行総裁には犯罪歴があります。米国は犯罪歴のある人物を好みます。なぜなら彼らと交渉するのがずっと簡単になるからです。ネタニヤフやラガルド、サチなどがそうです。マイケル・ジャクソン将軍にも犯罪歴があるのですが、これはほとんど語られません。彼は1970年代の北アイルランドでの血の日曜日虐殺の際の最高司令官でした。本当の疑問は、なぜNATOは民間人を殺害し犯罪歴のある人物を雇うのか、ということです。彼は1999年にコソボに来る前から活動しており、ボスニア・ヘルツェゴビナやクロアチアでも活動していました。これはNATOの指揮下で起こったことですが、状況によっては国連の指揮下でもありました。

今日の世界情勢を見ると、セルビアが過去10年間追求してきた独立・主権政策をどのように評価しますか。それは西側諸国の不満を招き、いわゆるカラー革命の引き金となる可能性がありますか。

それは難しい質問ですし、セルビアの内政に干渉したくはありません。しかし、セルビアの人々は歴史と今日の状況を理解する必要がある、と思います。それは特に経済的観点から非常に深刻です。セルビアの人々は貧困化しており、若い世代はユーゴスラビアがどのような国だったかを覚えていません。ヨーロッパ一般の人々と同様、多くの人がこれを理解していません。これは1980年代後半に押し付けられた新自由主義政策の結果です。国が意図的に破壊され、引き裂かれました。私がユーゴスラビアの経済を分析し始めたのはその時で、その結果がいかに悲惨なものであったかを理解しました。私は世界銀行の内部文書を入手することができ、そこにはユーゴスラビアの経済、特に工業部門が短期間で破壊されたやり口が記されていました。

どんなやり口だったのでしょうか?

60万人以上が職を失い、社会制度は崩壊しました。ユーゴスラビアは以前は非同盟主義ではあったものの、非常に進歩的な国でした。人々は、医療やその他のあらゆるものの不足により、それがいかに貧困問題を生み出したかを理解する必要があります...

1960年代、学生だった私は、現在のロッテルダム大学の同僚たちと、ユーゴスラビアを訪れてユーゴスラビアの政治のかたちを調査することにしました。そこで目を見張るような体験をしました。私は病気になり、医者に診てもらったのです。医者にいくら払わなければならないかと尋ねると、医者は「何も払わなくていいです。ユーゴスラビアでは、わが国を訪れる人々に医療を提供しているのですから」と答えました。今日、この国は以前のように自国民に医療を提供していません。新自由主義者の用語を使うと、体制を変える必要があるのです。ただし、個人ではなく、IMFや世界銀行に基づいた体系を変える必要があります…

NGO や企業財団の役割は何ですか?

いくつかのNGO、さらに重要なのは企業財団や慈善団体が抗議運動に資金援助をおこなっています。これはセルビアで起こったことですが、実際には社会運動や政治家が取り込まれる世界的な取り組みです。これらの慈善団体には、金融体制内の主要な実力者であるオープンソサエティ財団やロックフェラー財団、フォード財団などが含まれます。

そうした運動の重要な一つが「ウォール街を占拠せよ」であり、実はウォール街が資金を提供していたのです。抗議活動に参加する人々は、誰が資金を提供しているか知りません。世界社会フォーラムを含む多くの進歩的な組織は、ウォール街から資金提供を受けています。この慣行は2000年にブラジルで始まり、その組織、つまりWSFはフォード財団から資金提供を受けていました。エドワード・ハーマンとノーム・チョムスキーの「作られた同意」という概念をもじり、これを「作られた反対意見」と呼ぶことができます。これらの抗議活動に資金を提供する人々がそれを統率しており、調査しようとすると検閲を受けるのです。ウォール街に対する抗議運動を展開しておきながら、ウォール街に旅費を払うよう求めることなどできませんから。

1990年代の戦争から30年近く経った今でも、この地域の状況は完全には落ち着いていません。サラエボのボスニア当局がスルプスカ共和国のミロラド・ドディク大統領に対して最近下した判決は、緊張が新たに高まった一例です。この地域の安全にとって何が重要だとお考えですか?

あなたの国は2000年代初頭から「新自由主義占領」下にあったと言わずにこの質問に答えることはできません。それはセルビアに対する経済戦争なのです。

その目標は貧困化と民営化であり、その戦略の起源は 1980 年代後半にまで遡ります。

そして、GDPの成長はさらなる民営化と外国投資から生まれます。この経済のかたちをどう修正するかについての議論が必要です。しかし、それは簡単なことではありません。なぜなら、こうした新自由主義政策を実行している外国の債権者が、政府だけでなく抗議運動の操作にも関与しているからです。

国民がどれだけ抗議しても、自国の歴史を理解するべきです。私は国内政治につい発言することはできませんが、セルビアの発展の前提条件は、いまゼロから出発しているという事実だと思います。あなたの国は完全に、そして意図的に破壊されました。

セルビアを破壊した者たちが、この地域に緊張を生み出していると思いますか?

はい、それが仕組みです。新自由主義の議題を導入し始めると、すべてはあなたの国を破壊した債権者の陰険な役割に基づくようになります。

それは金融政策や社会政策に影響を及ぼします。国はいまもその影響下にあります。

ヴチッチ大統領もその論理を理解し、懸念していると思います。彼が先ほどウクライナ情勢について述べた発言も非常に重要です。抗議運動に関して言えば、この状況ではセルビアの政治体制における個人や人物に向けられる必要はありません。しかし、ユーゴスラビアに対する戦争行為は戦後国家を生み、統制機構を確立しました。セルビア国民は、何が起きているのかを理解し、NGOが国に敵対する活動をさせないようにする必要があります。過去四半世紀はセルビアにとって戦後時代であり、問題は誰が地上で戦争を戦ったかではなく、誰が支配し、誰が糸を引いたか、であり、彼らは今日もそこにいます。ユーゴスラビアを復活させることはできませんが、1980年代以前に存在していたモデルでセルビアを回復することはできるかもしれません。言い換えれば、第二次世界大戦があり、セルビア人は第三次世界大戦も経験したのです。

コソボとメトヒヤでは緊張が和らぐ気配がなく、アルビン・クルティ率いるプリシュティナ政権はセルビア国民と毎日対立しています。2月9日の選挙以来、ずっとそうしている。強力な国際的要因の支援なしに、このような状況は想像しにくいことでしょうか?

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写真: マデレーン・オルブライトとKLA指導者のハシム・サチ

その領土は主権国家ではなく、セルビアの州です。そこはNATOのKFOR(コソボ治安維持部隊)に任命されたマイケル・ジャクソン将軍によって占領されましたが、彼には英国で犯罪歴があります。

この組織は、後に首相と大統領となった元KLA指導者ハシム・サチによって率いられていました。

サチには前科があり、麻薬密売に関与していました。彼はその罰を受けるはずでした。そして20年後にようやく、1990年代に犯した罪でハーグに送られたのです。

今こそ、特にトランプ政権下では、米ボンド・スティール軍事基地の閉鎖問題を提起する好機だと思います。この基地は本質的に米軍基地です。トランプは軍事費を削減したいと考えており、この基地は維持費のかかる大規模な軍事基地です。

問題は、西側諸国がプリシュティナに警察部隊、さらには偽の軍隊まで与えたことです。彼らは治安に対する脅威であり、現地に留まるのでしょうか?

その偽の政府は廃止されるべきです。廃止は不可能ではありません。コソボのアルバニア人が米国による犯罪の犠牲者であったことも指摘する必要があります。そのため敵意が生み出されました。これはユーゴスラビア時代のことではなく、この州が属するセルビア国家の権利に関することです。コソボは1999年に最も爆撃されました。将来のコソボの代表者の中にはこれを認めるのは難しい人もいますが、それは必要なことなのです。爆撃後にコソボの多くの子どもたちが癌になったという事実や、いわゆるコソボの国家としての始まりが明らかに犯罪に基づいているという事実など、事実を認めることです。

米国は戦争した国の文化遺産を破壊しました。

コソボとメトヒヤへのNATOの侵略から5年後、ポグロムが発生しました。その21周年が3月17日です。西側諸国の人々は、これらの事件や、20年経った今でもセルビア人が絶え間ない脅威に直面している、という事実をどの程度認識していると思いますか?

私がいくつかの国でおこなった仕事から言えることは、米国は戦った国の文化遺産を攻撃したということです。彼らはイラクやシリア、そして第二次世界大戦末期のドイツでさえもそうしました。そしてそれはその人々と国家の帰属意識を消し去る方法であり、人道に対する罪です。国際法の観点から見れば、それは戦争犯罪であり、軍事基地ではなく民間人に対するものです。問題は、西側諸国の世論が歴史について十分に知らないことです。第二次世界大戦では、ワルシャワの90パーセントが破壊され、その後ドイツの都市も同様に破壊されました。ドイツ人はワルシャワを破壊しましたが、その政治思想は同じです。興味深いのは、ポーランドでは、彼らが持っていた計画に基づいてすべてが再建されたことです。ベルリンやドレスデンでも同様のことがありました。彼らは正確な計画と写真を持っていました。破壊された記念碑を再建することは非常に重要であり、セルビア人は中世以来コソボに存在していました。

EU(欧州連合)は矛盾の塊(かたまり)、混乱の極致だ。

<記事原文 寺島先生推薦>
European Union is the reign of incoherence
筆者:ヒューゴ・ディオニシオ(Hugo Dionísio)
出典:Strategic Culture Foundation 2025年3月21日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2025年4月3日


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ヨーロッパが自ら考え始める時が来るのだろうか? それとも、そうすることはヨーロッパには不可能なのだろうか?

マクロンがしゃしゃり出て、ウラジミール・プーチンに、「休戦を受け入れなければならない」と警告した。時を同じくして、フォン・デア・ライエン休戦を受け入れ体制に好意を示し、またシュルツも、この警告をより強固な合意のための一過程であると分類することに何の疑問も持っていない。

これらの人々が、みな声を合わせ、借用し、おおむ返しし、追随しているのは、マーク・ルビオの以下の発言だ。彼は「ボールはロシア側のコートにある」と言ったのだ。

すべて上手くいっているように見えるが、そこに横たわるある事実がある。それは、これらの同じ指導者らが、いま何度も繰り返し発言している内容とは真逆のことを以前言っていたことだ。これらの同じ「指導者ら」が、ほんの数ヶ月前に、真逆のことを言っていた例には事欠かない。彼らは、「今はまだ和平交渉をするときではない」と言っていたし、とりわけ「ウラジミール・プーチンと交渉することに意味はない」や、「ウクライナの代表として交渉できるのはゼレンスキーしかいない」などと主張していた。

これらのことから導き出せる基本的な結論は、これらの指導者のことは、これっぽっちも信用できない、ということだ。トランプが選挙に勝つまでの呼びかけ文句は、「強さを背景にした和平」や「ウクライナ国民が最後の一人になるまで」だったとしたら、トランプ当選後の彼らの主張は、ロシア側と交渉するのはゼレンスキーである、という主張にならないとおかしい。いまマクロンが先頭を切って、ゼレンスキーではなく米国側による休戦交渉を効果的に推し進めるべきだ、と主張している。それを受けてすぐさま、欧州の政界の代表的立場にいる層に君臨している「アダルト・チルドレン」らによる大合唱の声があちこちであがり、飽きるほど何度も繰り返された。これらのアダルト・チルドレンらが以前真逆のことを言っていたのだとしたら、彼らは今の状況をそれほど深刻に受けとらなくても良かろうものを。

だからこそ、何の不思議もないことは、これらの欧州・大西洋主義や欧州連合の熱狂的な擁護者らが、自分で自分のクビをしめてしまっている、ということだ。そうなったのも自分たちの身から出たサビだ。そのせいで、彼らが「愛してやまない」と主張してきた組織を危機に追いやってしまったのだ。それがNATOとEUだ。EUや大多数のEU加盟諸国の政界の指導者らは、このウクライナ作戦における「欧州・大西洋主義」という本質を擁護するためにほとんど貢献できておらず、この作戦に関する米国の責任を追求することもしていない。

だからこそ、これらの指導者らは、(私たちのほとんどと同じように)受動的な観察者に留まり、トランプ政権が米国、あるいは少なくともトランプ自身が、ウクライナ作戦から距離を取ろうとしている戦略の全貌をただ目撃するだけだったのだ。これらの指導者たちは、優等生のように振る舞い、トランプが米国はこれ以降ウクライナに支援金を送らないから今後は欧州側がその責任をはたすべきだ、との発表をただ受け入れていた。これらの指導者らは、どの国のせいで欧州がこのウクライナ戦争に引き摺りこまれたのかも覚えていなかったし、NATOやNATOの存在において欧州連合が果たすべきとされている軍事依存の重要性のことも頭になかった。彼らが繰り返し私たちに伝えている考え方は、米国がなければ欧州は自衛できないから、欧州の地にNATOの基地が必要だ、というものだ。

そのため、欧州連合からの、自衛のために大西洋の向かい側に「友人」が必要である、という声明を真に受ければ、欧州側は欧州自体で集団防衛をすることにほとんど関心を示していないことに皆が気付くだろう。ほとんどというよりは、全く、だ。米国がウクライナ作戦から手を引く発表をおこない、ピータ-・ヘグセスが出席したブリュッセルでの会議で、欧州は防衛費にもっと資金を使い、欧州は欧州自身で防衛すべきだと要求したあとで、自動的かつ平然と、フォン・デル・ライエンは即座に防衛費の「大幅増額」を発表したのだ。

表面的には、この「大幅」増額は現在やこの先の多くの目的に充当できるように見えるが、そのことにより、EUや英国でこの先散見されるであろう矛盾点の説明になるわけではない。つまり、ロシアによる脅威が現在進行中で、喫緊で直近の問題であるとすれば、フォン・デル・ライエンやポルトガルのアントニオ・コスタ、エストニアのカヤ・カラス、マクロン、スターマーによる行動は、この問題の解決にはこれっぽっちもなっていない、といえる。発表された内容は、ロシアからの「喫緊の」脅威だとされている問題について全く何の解決にもなっていない。汚職にまみれたウクライナ当局に1500億ユーロを投入したことさえも、そうだ。というのも、これまでその2倍の額が投入されてきたのに、ウクライナ側の敗北を防ぐことができてこなかったからだ。2025年には、これまで積み重ねられてきた資金にさらに4000億ユーロ以上、2026年にはさらに6000億ユーロ以上の資金が積み重ねられることになっているが、そんなものは何の解決にもつながらないだろう。

したがって、私たちに聞かせようとしてきた言説と違って、ロシアによる脅威が「喫緊」でも明白でもないし、もしそんな話が真実だったとしても、欧州は欧州の力だけではロシア連邦から自衛できないだろうし、その理由から、NATOはこれまでなかったほどに重要になったのだ。米国がウクライナ作戦から手を引いたことで、その作戦を補うために必要な努力が欧州諸国に移行されることになってしまったのだから、欧州側の「指導者層」からすれば、ピーター・ヘグセスやトランプ、マーク・ルビオ、JDヴァンスから出された課題を即座に引き受けるのではない態度をとるべきはずだったのだ。

欧州の指導者らが、思われていたのと全く違う態度をとったことをいぶかしく思う向きもあるだろう。というのも、普通であれば、欧州側はトランプに米国大統領としての責任を果たすよう求め、彼の前政権が打ち立てたようなウクライナ作戦に対する参画の仕方を尊重するよう圧力をかけるべきだったからだ。そうすべきだった理由には、これまでの主張と矛盾している、という理由以外にも、欧州市民自身の防衛に関わる理由もある。そして少なくとも、欧州の指導者らが我々に、繰り返し、徹底的に、ずっとずっと語ってきたことすべてから考えれば、そうなのだ。そして事実、欧州の指導者らは、トランプにそのような態度を取るよう要求する手段を持っていたということだ。

ロシアによる脅威が、他の何よりも深刻な問題として実在しているとすれば、私たちが目にしているのは、とてつもない残忍な無責任さである、といえる。というのも、EUがEUの市民をこのような脅威から守らないままに放置しているからだ。結局のところ、EUがこれほど非常に高額な防衛費を出し続けているのに、欧州全体を網羅する軍産複合体を打ち立て、共同防衛のために必要な兵器を製造するという意図は、根本的かつ抑えがたい障害にぶつかるからだ。まずいえることは、これらのことを全て準備するには時間がかるため、彼らが主張しているような喫緊さや即座さと相容れない、ということだ。というのも、必要な装置全体を組織する必要性と、米国がウクライナ作戦から手をひきたがっているために生じた喫緊性の両方を解決しなければならないからだ。そして、世界最強の二大軍事大国の一国と十分相対できるだけに普通に必要な軍産複合体を創設するのにかかる時間だけではなく、EUには労働力が必要なのだ。ただしEUの労働力はどんどん減少しており、さらには多くのエネルギーや原材料が、低価格で入手することが求められている。それもEUにはない。

すべての戦略が実行に移されたとしても、時間や資源価格の高騰による資源不足のせいで、不十分な結果しか生み出さないだろう。というのも、武器の価格は非常に高価で、少ない数しか用意できないだろうからだ。しかし、そうなったとしても、軍事的な大当たりを逃すことにはならないだろう。社会的な厳しい圧力がかけられているせいで、まるでロシア連邦がドミノ倒しのようにEU諸国を次々と併合しているように感じさせられている。そんなことを信じさせるには多くの信念が必要となる。しかし、そのような圧力がこんな言説を助長してしまい、ついにはそんな言説が主流ニュース機関を支配してしまった。

トランプに態度を変えるよう迫らないことで、欧州連合の安全保障上の利益を守らないという無責任さにくわえて、欧州の指導者らは欧州の人々の社会のかたちや生活方式、生活状況に気を配ることもできていない。EUの支配者層は選挙で選ばれた人々ではないことは重々承知の上で私が言いたいことは、責任を果たすよう米国に要求することこそ、今まで彼らが主張してきたことの一貫性を保つ態度になる、ということだ。

先ほど述べたように、そして一般に考えられていることとは逆のことだが、EUはあらゆる手段を講じるべきだったのだ。第一に、トランプ政権が防衛責任を欧州に移譲する意向であることを考えると、米国は欧州大陸で軍事基地を維持することはもはや必要ないとみなしているのだから、EUは基地を撤退または縮小するよう米国に提案すべきだった。第二に、NATOの存在自体が、欧州だけでは欧州を防衛できないという前提に基づいており、その目的がこの格差を克服することであるならば、NATOは何のためにあるのかという疑問を抱かざるを得ない、という点だ。第三に、EUは米国から武器を購入しないという意思を振りかざして圧力をかけ、トランプ政権の米国がEUの再軍備から利益を得るのを阻止すべきだった。そうなれば、米国側の北米産業の回復という戦略に大きな打撃となっただろう。

しかし、これらの要求はそれ自体でもすでに小さなものではなく、トランプとその仲間に戦略全体を再考させるものであるが、それに加えて、EUは、欧州の人々が、欧州の「指導者ら」の言説を真実として受け止めれば(これらの指導者らは決して嘘をつかないだろうから)、ロシアの脅威に対して無防備なままでいなければならない期間に直面しなければならないという不測の事態に直面している。もし彼らがヨーロッパの人々の幸福を念頭に置き、毅然とした態度を出せるとしたら、EUの代表者に他に何が求められるだろうか? 想定されることは、彼らがそのような危険を緩和する方法として、たとえ戦術的かつ一時的であっても、ロシア連邦に接近するという脅しをかけ、それを本気でとらえれば、欧州の平和協定とこの大陸の新しい安全保障体制の交渉の主導権を握ることができる、という展開だろう。

このような態度を取れば、欧州の「指導者」たちはトランプに交渉卓に着かせ、トランプの言い分を明らかにせよと要求するだけでなく、トランプが欧州の平和にどの程度同意しているのか、それとも米国とロシアの関係正常化には賛成だがEUをこの解決策から遠ざけようとしているのかを明らかにせざるを得なくなるだろう。つまり、米国は、彼らが望んでいるのはロシアとの関係正常化とEUとクレムリンの緊張関係の2つを1つにまとめたもので、ガスや石油、武器の購入がさらに高い割合で継続されることを確実にするものであることを明らかにせざるを得なくなるだろう。

それでもまだ不十分で、米国が強硬姿勢を崩さない場合、EUは(トランプ支持者層の言い方を真似れば)最後の切り札を切るだろう。EUは中華人民共和国の一帯一路(新シルクロード)への参加をちらつかせ、露中両国との関係を深めると約束し、再工業化やロシア連邦と中国のつながりを考慮したロシアの脅威の緩和、経済回復、より持続可能で効果的かつ効率的な共同防衛政策のための効果的な条件の創出など、望ましい目標をすべて達成するだろう。そして、EUはこれらすべてを、いわゆる民主主義において最も重要と考えられるもの、つまり国民の生活様式を守りながらおこなうだろう。このような動きは、米国政府とトランプ政権を当惑させるだろう。

しかし、なぜ欧州の「指導者」たちは、80年間ほとんどの国で平和を保証してきた安全保障形態と、欧州の社会形態の現状を守らなかったのだろうか?

もし欧州の「指導者」たちの言説とトランプの意図が真実であるならば、欧州連合は米国とのこのような距離の置き方や一時的な安全保障の空白を決して許すことはできないはずだ。その間、EU加盟諸国は彼らの主な脅威に対して脆弱になる、と言われている。もしウラジミール・プーチンがEU侵攻を企てているのが本当なら、ロシア軍がウクライナを制圧し、強力な軍事大国としての地位を固めているこの段階で、少なくともドナウ川まで進軍を続けるのを何が阻止できるだろうか?

米国が欧州の防衛から距離を置くのは、あらゆる分野でますます強力かつ顕著な発展を見せている中国と対峙する必要がある、という明白な理由があるからだ。任務の規模の大きさを考慮して、トランプはロシア連邦に対する防衛を欧州連合に委ねるという戦術的決定を下したが、これによってウクライナ防衛の作戦上の混乱が生じることを気にしなかった。つまり、米国を太平洋に向け、台湾を「防衛」できるようにするため、トランプはウクライナを手放し、欧州諸国に負担を委ねるつもりなのだ。

この状況は欧州大陸にとって極めて困難である。なぜなら、トランプが米国に大きな損害を与えることなくウクライナを放棄できる立場にあるとしても、EUにとってはそうではないからだ。ロシア嫌いやロシアの報道機関の検閲、ロシア国民の迫害、選挙の禁止、そして多くの制裁が3年間続いた後、どうして突然引き下がることができるのか?結局のところ、EUとは異なり、トランプは常に、自分がいる限りウクライナで戦争は起こらない、と述べてきた。トランプが出した例外的な戦術的決定のおかげで、米国は最小限の責任も負わず、新たな破壊の痕跡を残すこともないままで、ブラックロック社やモンサント社、その他に提供した戦利品により国庫を肥やすことができる。

真実は、EUのこの立場は明らかに米国にとって有利であるということだ。1. 米国は陥った穴から抜け出すことができ、代わりにEUがロシア連邦いじめ役の座に就く。2. トランプが要求したように、EUの軍事費の増加が加速することが保証される。3. EUはロシア連邦に背を向けたままであり、ドイツでさえノルドストリーム経由のガスの復活を阻止したいと考えている。4. 今のところ、NATOに疑問を呈する欧州の「指導者」はおらず、米国は欧州大陸における戦略的優位性を維持できている。

さらに、EU/米国戦略には太平洋での作戦のために米軍を解放することが含まれるため、この現実は欧州連合を非常に不安定な状況に陥れることになる。同時に、少なくとも一定規模の経済力を維持するためには投資や部品、安価な完成品が必要であるが、そのような投資と材料は中国からしか得られない。中国にはすでに米国からの圧力が強められており、EUもこの戦略に加わっている。これはまるで、欧州連合が木から果実を収穫すると同時にその根を切り落とし、まもなく飢え死にするようにしているようなものだ。実際、ロシア連邦に対してもそうしてきたのだ。

ホワイトハウスの仲介者トランプによると、いま私たちが目にしているのは、欧州の主張が絶えず変化していることだけではなく、私たちが選んだ政治家たちが、欧州の生活様式と呼ばれるものを守ることにおいては全く無能である姿なのだ、という。

もし彼らが自分たちの信念や目的をいとも簡単に放棄し、政治的手段も使わないのなら、私たちが何の原則も持たない人々によって統治されていることを知りながら、どうして安らかに眠れるだろうか。欧州が自ら考え始める日は来るのだろうか。それとも、欧州はそうすることができないのだろうか

ジェフリー・サックス氏のEU議会での衝撃的な演説がヨーロッパ中に衝撃波を巻き起こす!

<記事原文 寺島先生推薦>
Jeffrey Sachs’ explosive address at the EU Parliament sends shockwaves across Europe!
筆者:ジェフリー・D・サックス (Jeffrey Sachs)  2025年2月27日
出典:パールズ&.イリテイションズ(Pearls and Irritations)
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2025年3月30日


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ジェフリー・サックス氏は、コロンビア大学の教授でもある米国の経済学者であり公共政策アナリストであるが、先週、EU議会で型破りな演説を行った。以下はその要約版である。全文はこちら



本文:

ご存知のように、NATOの拡大は1999年にハンガリー、ポーランド、チェコ共和国で始まった。ロシアはこれに非常に不満を抱いていた。しかし、これらの国々は国境からまだ遠く離れていた。ロシアは抗議したが、もちろん無駄だった。その後、ジョージ・W・ブッシュが大統領に就任すると、9月11日の同時多発テロが発生し、プーチン大統領はその支援を約束した。そして、2001年9月20日、米国は5年間に7つの戦争を開始すると決定した。ウェスリー・クラーク将軍のオンライン講演で、そのことについて聞くことができる。彼はNATO最高司令官であり、1999年に2001年9月20日に国防総省を訪れ、7つの戦争について説明した書類を手渡された。ちなみに、これらはネタニヤフの戦争であった。その考えの一部は、旧ソ連の同盟国を一掃することであり、また一部はハマスやヒズボラの支持者を取り除くことだった。なぜなら、ネタニヤフの考えは、一つの国家、それもただ一つの国家があるべきだというものだったからだ。その国家とはイスラエルである。イスラエルは全領土を支配し、それに異議を唱える者は誰であろうと、我々は打倒する。それがこの朝までの米国の政策だった。それが今後変わるかどうかはわからない。唯一の変化は、ガザ地区をイスラエルではなくアメリカが所有するようになるかもしれないということだが、この考え方は少なくとも25年前から存在している。実際には、1996年にネタニヤフと彼のアメリカ政治チームが2国家解決策の考えを終わらせるためにまとめた「クリーン・ブレイク(*)」と呼ばれる文書にまで遡る。この文書はオンラインでも見ることができる。つまり、これらは長期にわたる出来事であり、クリントン、ブッシュ、オバマのいずれかの政権下に限った話ではない。
*A Clean Break: A New Strategy for Securing the Realm (通称「Clean Break」レポート)は、1996年にリチャード・パールが率いる研究グループが当時のイスラエル首相ベンヤミン・ネタニヤフのために作成した政策文書。[1]報告書は、中東におけるイスラエルの安全保障問題を解決するための新たなアプローチを、「西洋の価値観」に重点を置いて説明している。それ以来、イラクの権力からサダム・フセインを追放し、代理戦争に関与し、「大量破壊兵器」の保有を強調することでシリアを封じ込めるなど、攻撃的な新政策を提唱したことで批判されてきた。

それは、日々の駆け引きとしてアメリカ政治を見る退屈な方法だが、アメリカ政治の本質は違う。

ご存知のように、ビクトル・ヤヌコーヴィチは2010年に中立を掲げてウクライナで選出された。ロシアはウクライナに領土的利益や意図をまったく持っていなかった。私は知っている。私はその時代にそこにいた。ロシアが交渉していたのは、2042年までの25年間の海軍基地のリース契約だけだ。クリミアのためでもドンバス(ウクライナ東部)のためでもなく、それ以外でもない。プーチンがロシア帝国を再建しているという考えは、幼稚なプロパガンダだ。失礼だが、もし誰かが日々の歴史や年ごとの歴史を知っているのであれば、これは、大人の考えよりもうまくいきそうな子どもっぽい話である。

米国は、この男を打倒しなければならないと決断した。これを政権交代作戦と呼ぶ。米国はこれまでに約100件の政権交代作戦を実施している。あなた方の国々でも、そして世界中の国々で。それがCIAの仕事なのだ。さて、これは非常に尋常でない外交政策であることをご理解いただきたい。しかし、アメリカでは相手が気に入らなければ交渉はせず、ひそかに、できれば秘密裏に相手を転覆させようとする。それが秘密裏にうまくいかなければ、あからさまにやる。常に自分たちは悪くない、相手が侵略者であり、相手が敵であり、相手がヒトラーだと言う。それは2、3年ごとに起こる。サダム・フセインであれ、アサドであれ、プーチンであれ、それは非常に都合がよい。それがアメリカ国民が唯一与えられた唯一の外交政策の説明だ。今、1938年のミュンヘン会談の状況に直面している。相手側とは話し合えない。相手は容赦ない悪の敵だ。それが、私たちがマスメディアから聞く唯一の外交政策のモデルであり、マスメディアはそれを完全にオウム返しする。なぜなら、メディアは完全に米国政府に買収されているからだ。私はウクライナ人に頼んだり、ウクライナ人と行なった業績もあった。私はウクライナ人に助言した。私は反ウクライナ主義者ではなく、完全に親ウクライナ主義者だ。私は彼らに言った。「命を守り、主権を守れ。領土を守り、中立を保て。そして、アメリカ人の言うことを聞くな」と。私は彼らにヘンリー・キッシンジャーの有名な格言を繰り返し伝えた。「アメリカ合衆国の敵となることは危険だが、友人となることは致命的だ」と。それでは、ヨーロッパ向けにもう一度繰り返そう。米国の敵になるのは危険だが、友人になるのは致命的だ。トランプ氏は負け戦を望んでいない。だからこそ、この戦争はトランプ氏とプーチン大統領が合意して終結する可能性が高いのだ。ヨーロッパが戦争を煽り立てようとも、戦争は終わるのだから、そこから抜け出せ。

同僚たちに、戦争は終わったと伝えてほしい。トランプ氏は敗者の肩を持つことを望んでいないからだ。以上だ。これは偉大な道徳観などではない。

彼は敗者の肩を持つことを望んでいないのだ。ウクライナは敗者だ。いま行なわれている交渉によって救われるのはウクライナだ。2つ目はヨーロッパだ。君たちの株式市場は、交渉の恐ろしいニュースによってここ数日上昇している。この議会では、この事態に大きな恐怖を感じていることは知っているが、これはいま君たちが得られる最良のニュースだ。私は彼らを激励した。彼らは私の言うことを聞かないが、私は何人かのヨーロッパの指導者に働きかけた。ほとんどの人は私の言うことをまったく聞こうとしなかった。しかし、私は「キエフに行くな、モスクワに行け。同等の立場にある者たちと話し合え。冗談だろ、君たちはヨーロッパだ、4億5000万人の人口を抱え、20兆ドルの経済規模だ。君たちはロシアの主要な経済貿易パートナーであるべきだ。それは当然のつながりだ。

もし誰かが、米国がノルドストリームをどうやって吹き飛ばしたかについて議論したいのであれば、私は喜んでそのことについて話そう。

ところで中東に関しては、米国は30年前に外交政策を完全にネタニヤフの手に委ねてしまった。イスラエル・ロビーが米国の政治を支配している。疑いの余地はない。その仕組みについては何時間でも説明できる。それは非常に危険なことだ。
私は、国際刑事裁判所(ICC)によって正式に起訴されるべき戦争犯罪人であるネタニヤフのせいで、トランプが政権を崩壊させ、さらにパレスチナの人々を苦しめることのないよう願っている。そのことを伝える必要がある。1967年6月4日の国境線上にパレスチナ国家を建国することが、国際法上平和への唯一の道であるが、それはもはやない。ヨーロッパが中東との国境で平和を築くには、それが唯一の方法だ。それが二国家解決策だ。それに唯一の障害となっているのは、国連安全保障理事会における米国の拒否権だ。影響力を持ちたいのであれば、アメリカに拒否権を放棄するよう伝えるべきだ。あなた方は世界180カ国とともにいるのだ。パレスチナ国家に反対しているのはアメリカ、イスラエル、ミクロネシア、ナウル、パプアニューギニア、パラグアイだけだ。

だからここが、ヨーロッパが大きな影響力を行使できる場所なのだ。ヨーロッパはイラン核合意とイランについて沈黙している。ネタニヤフの人生における最大の夢は、米国とイランの戦争だ。彼は諦めていないし、それが実現する可能性もゼロではない。なぜなら、この点において米国は独立した外交政策を持っていないからだ。それはイスラエルによって運営されている。悲劇的だ。ところで、それは驚くべきことだが、終わらせることができる。トランプは外交政策を取り戻したいと言っているかもしれない。私はついにそうなってくれることを期待している。

中国に関して言わせてもらうと、中国は敵ではない。中国は単なる成功物語だ。だからこそ、米国よりも大きな経済規模を持つ中国が米国にとって敵と見なされるのだ。

ロシアはヨーロッパに侵攻するつもりはない。これが根本的な点だ。(ウクライナの)ドニエプル川まで行くことはあっても、ヨーロッパに侵攻することはない。しかし、現実的な問題はある。ロシアにとっての主要な問題はアメリカ合衆国だった。なぜなら、ロシアは世界最大の核保有国であり、大国として、当初からアメリカの一極支配に深く懸念を抱いていたからだ。それが今、終焉を迎える可能性が出てきた。アメリカ合衆国はすぐに興味を失うだろうから、ヨーロッパもロシアと直接交渉を開始しなければならない。さて、それで何が望みなのか?バルト諸国の安全を確保したいということだ。バルト諸国にとって最善の策は、ロシア恐怖症を克服することだ。これが最も重要なことだ。エストニアには、ロシア人、つまりロシア語を話すロシア系住民が約25%いる。隣国を刺激しないこと、ただそれだけだ。

これは難しいことではない。本当に難しいことではない。そして、もう一度私の考えを説明したい。私は、私が話しているこれらの国々を支援し、助言しようとしてきた。私は彼らの敵ではないし、プーチンの操り人形でもないし、プーチンの擁護者でもない。私はエストニアで働いていた。1992年に彼らの通貨制度を設計したことで、エストニア大統領が外国人に与えることのできる民間人としての名誉の2番目に高い賞を私は授与された。だから私は彼らにアドバイスしている。エストニアよ、そこに立ち止まってロシアを分裂させたいなどと言ってはいけない。冗談じゃない。そんなことをしてはいけない。それがこの世界で生き残る方法ではない。お互いを尊重し、実際には交渉や議論を通じて生き残るのだ。ロシア語を違法にしてはいけない。人口の25%がロシア語を第一言語としているのに、それは良い考えではない。国境の巨人に関係なく、それは正しいことではない。ロシア語を公用語とし、小学校でロシア語を教え、ロシア正教会を敵対視しない。だから私たちは基本的に大人らしく振る舞う必要があるのに、彼らの行動は子供じみていると私はいつも言うのだが、孫のソニアはいつも、それは子どもに不公平だ、だってそれはもっとひどいんだから、と私に言う。私たちは6歳の孫娘と3歳の孫息子がいるが、彼らは実際に友人たちと仲直りする。そして、私たちは彼らに「明日、行って馬鹿にしてこい」とは言わない。「行ってこい、ハグして、遊んで来い」と言う。そして、彼らはそうする。

これは難しいことではない。

ポーランドで犯人逮捕。やはりウクライナは臓器売買の中心地だった。

<記事原文 寺島先生推薦>
Ukrainian organ trafficker arrested in Poland
35歳の逃亡者は摘出した腎臓を売ったとしてカザフスタンで指名手配されている
出典:RT 2025年3月12日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2025年3月25日


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ポーランド国境警備隊。© Ansgar Haase / picture alliance via Getty Images


ポーランド当局は、カザフスタンで臓器売買の罪で有罪判決を受けた35歳のウクライナ人女性を逮捕した。

ポーランド当局によりクセニア・P容疑者と特定されたこの逃亡者は、プシェミスル地方検察庁によると、旧ソ連諸国やタイの56人の被害者から腎臓を含む人体組織を違法に採取した罪で有罪判決を受けた、という。

検察庁のマルタ・ペトコフスカ報道官は火曜日(3月11日)の記者会見で、彼女は先週、ウクライナから列車で国境を越えた後、国際警察刑事機構の赤色通告を受けて拘留された、と述べた。

クセニア・P容疑者は2020年11月に国際指名手配一覧に載せられ、カザフスタンは2017年から2019年の間に犯した犯罪に対する懲役12年の刑に服すため彼女の引き渡しを求めていた。

ロシア当局は、政府の腐敗や潜在的な被害者の多さ、EU諸国の悪徳買取人の需要により、現代のウクライナでは人体臓器売買が儲かる犯罪行為になっている、と警告している。

ロシアは、キエフ政府が臓器提供者の同意要件を含む移植手術や臓器摘出に関する規制を緩和することで、この違法取引を助長している、と主張している

関連記事:Ex-Ukrainian deputy minister a suspect in organ-harvesting scheme – media

2024年6月、ウクライナの報道機関は、元保健副大臣がキエフの病院で人体臓器を摘出する陰謀を企てた疑いで捜査を受けている、と報じていた。

セルビアで「カラー革命」「第2のキエフ2014」か?

<記事原文 寺島先生推薦>
Will we see a new Maidan in Serbia?
筆者:モハメド・サラー(Mohamed Salah)。移民と難民問題に特に焦点をあてたフォトジャーナリスト兼ニュース記者
筆者:ロレンゾ・マリア・パチーニ(Lorenzo Maria Pacini)
出典:Strategic Culture Foundation 2025年3月17日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2025年3月22日



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セルビアで何カ月も続いている抗議活動は転換点に近づいているようだ。

公式の数値によると、土曜日(3月15日)には約10万7000人がベオグラードの中心部へ抗議のために集まった、という。これはかなり多い数字だ。首都では公共交通機関が停止し、デモ参加者は道路を封鎖した。警察との衝突や街への被害、そして何よりもソーシャルメディアへの大きな影響があった。

セルビアの報道機関の報道から判断すると、状況はまだ制御されている。それはとりわけ、当局が「反マイダン」措置を効果的に適用しているためだ。たとえば、抗議活動のために勉強できなくなった学生たちは、当局を支持するために大挙してデモをおこなっている。その結果、抗議活動家たちは学生たちを「惰性を助長している」と非難している。

抗議活動は、2024年11月にノヴィサド駅のバルコニーが崩落し、15人が死亡したことがきっかけとなった。市長と首相は辞任したが、抗議活動家らはこれで満足しなかったようで、彼らは現在、ヴチッチ大統領の辞任と「計画的殺人」による逮捕を求めているが、これは馬鹿げているように聞こえる。

ヴチッチは確かに多くの矛盾を抱えた政治家であり、西側諸国から支援と財政援助を受けながらも、自国民の利益を優先することを選んだ。覇権国から見れば、それは容認できない選択だ。

抗議活動に対する物資支援は万全だ。デモ参加者は数十台のトラクターをベオグラードに持ち込んだが、これは2014年にキエフで治安部隊の封鎖線を突破するのに完璧に機能したのと同じものだ。地元の数個のバイククラブと、相当数の外国人が治安部隊に直接支援を提供するとみられる。ベオグラードのデモの写真は11年前のキエフを彷彿とさせる。

ヴチッチによると、セルビア政府を打倒するために海外から10億ドルが割り当てられたというが、これは地元の「創造的頭脳労働者階級」とLOM(青年会議所)が抗議活動に参加したからこそ可能だった。抗議活動は、例えばセルビアを代表する世界的に有名な有名人の一人、テニス選手ノバク・ジョコビッチの妻によって支援された。確かによくあることだが、この動きはセルビアの路上ではなく、ジョコビッチ夫妻がマルベーリャに別荘を構えるスペイン南部を起点として、SNS上で起こされた。このスターは「パダ・ヴラダ」という歌を発表したが、その題名は雄弁にも、「権力は崩壊する」と訳されている。活動家のニコラ・リスティッチなど、抗議活動に直接関わった人々は、これほど大勢の人々が「二度と集まることはない」ため「今日何かが起こらなければならない」と強調している。

したがって、賭け金は大きい。しかし、セルビアがヴチッチ大統領を失う可能性は低い。この時点で、他の近隣諸国の利益が関係してくる可能性があり、西側との交渉において、これらの国の影響力が決定的となるだろう。特に、ロシアの貢献が中心となるだろう。多くのセルビア人はロシア政府当局からの声明を待っている。

EUに必要なもの

マイダンでバルカン半島の民族主義的志向を持つ指導者が排除されたことは、欧州官僚機構とブリュッセルに根を張るグローバリストにとっては有利かもしれないが、現米政権の利益には特にならない。一方では、セルビアの運命がロシアとの大きな外交上の駆け引きで役割を果たす可能性がある。他方では、ヴチッチの排除はブリュッセルに閉じこもった欧州の権力の垂直構造を強化し、グローバリストの立場を強化するだろう。そしてこれはまさにトランプが必要としていることではない。

しかし、英国当局やEU当局でこのような侮辱が許されるはずがないことは明らかだ。攻撃の標的となったスロバキアのロベルト・フィツォの場合、すでにそのようなことが起こっている。今度はセルビアのヴチッチの場合だ。明日はハンガリーのビクトル・オルバンの番かもしれない。「東部戦線」は弱体化し、何よりも親ロシアの軌道から外されなければならない。さもなければ、EUの戦争計画は奈落の底へと急速に進むことができないだろう。

一方、この出来事は、ヨーロッパの情報戦争の文脈におけるもう一つの重要な出来事の出現と時を同じくしている。トランプとプーチンは、ヨーロッパを脅かす独裁者として共に悪魔化され始めており、したがって、ヨーロッパにとっての唯一の方法は彼らと戦うことである。平和外交の犯罪化は、ヨーロッパのバベルの塔から投げ出された最後の破片の一つである。この否定的な物語がなければ、国民は武力行使の呼びかけの正当性を十分に理解できないだろう。

トランプ大統領はアイルランド首相との会談で、NATOへの拠出金を増やすことにより、彼の一期目の大統領任期中にウクライナ紛争に資金を提供することに繋がった、と公然と述べた。言い換えれば、第二次世界大戦終結以来ユーラシアで最大の軍事衝突を煽った責任を間接的に認めたことになる。

一方、フランスの有名な雑誌「レクスプレス」には、ティエリー・ボルトンによる記事が掲載され、その中で著者はトランプをヒトラーに、プーチンをスターリンに例えている。これが悪魔化でないなら…

ロシア大統領が特別軍事作戦の開始以来初めて迷彩服を着たことを思い出そう。これはトランプによるいわゆる「和平提案」に対するロシア側の立場を反映しているようだ。西側諸国が小ロシアとコーカサスの草原でほぼ1世紀続いた紛争を課した18世紀と19世紀にロシアが辿ったのと同じ道をたどる準備をしていることは明らかだ。必要なら、ロシアは20年間戦う用意がある。メッセージは明確だ。つまり「勝利、値引きのない勝利」だ。

2024年11月初旬、ヴァルダイ総会でプーチン大統領が、人類にとって今後20年間はこれまでよりも困難になる可能性がある、と明言したことを思い出す価値がある。そして、それが戦争でなければ、何を意味するのだろうか? 確かなのは、それはロシアが望んでいる戦争ではないということだ。

この紛争は国際同盟の様相を一変させている。ますます多くの国が、米国の世界的な金融・政治覇権に対する抵抗の先駆者としてロシアを見ている。したがって、陪審員の皆さん、お子さんを専門学校ではなく軍事学校に進学させなさい。方向性は今や変わった。ヨーロッパ諸国の政府は国民に軍服を着せることを選択した。

セルビアは、ヨーロッパの展望の中では容認できない例外の一つである。その戦略的な位置とバルカン半島における微妙な状況、そしてNATOから絶えず資金援助を受け時限爆弾のように保たれているコソボの地政学的策略は、西側諸国の指導者たちの血に飢えた口にとって非常においしい一口である。

セルビアが陥落すれば、コソボとメトヒヤの状況は数時間のうちに悪化し、この地域を火の海にする以上の大惨事を引き起こすことは間違いない。「ヨーロッパの火薬庫」、つまりバルカン半島は再び爆発する準備ができており、再びヨーロッパ各国の首脳が導火線に火をつけるためにそこにいる。

イタリア首相ジョルジャ・メローニ女史は、英仏主導による「有志連合」「ウクライナへの軍隊派遣」に反対

<記事原文 寺島先生推薦>
Italy to boycott UK-France-led meeting on Ukraine – media
ジョルジア・メローニ首相は、英国当局とフランス当局がイタリアへの軍隊派遣を推進するために「急いでいる」と考えている、との報道
出典:RT 2025年3月13日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2025年3月22日


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デンマーク訪問中のイタリアのジョルジア・メローニ首相。© Getty Images / マッシモ・ディ・ヴィータ


イタリアのジョルジャ・メローニ首相は、英国とフランスが提案する、いわゆる 「有志連合」が ウクライナへの軍事支援を強化する予定の動画会議には参加しない、とラ・レプブリカ紙とラ・スタンパ紙が報じた。

ラ・レプブリカ紙は火曜日(3月11日)の記事で、メローニ首相が土曜日(3月8日)に英国のキール・スターマー首相が招集する西欧諸国首脳のオンライン会議を棄権することは「確実だ」と報じた。

イタリア首相は、ウクライナ側支援に平和維持軍を派遣する、という英国側とフランス側の要求に反対しているため、「英仏枢軸から距離を置いている」と報じられている。ラ・レプブリカ紙によると、メローニ首相はスターマー首相とフランスのエマニュエル・マクロン大統領が自分たちの考えを「性急に進めている」と考えている。

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ラ・スタンパ紙は、イタリア側のこの動きは「キール・スターマー首相とエマニュエル・マクロン大統領が築こうとしている戦線を分裂させる可能性がある」と指摘した。

同紙は、イタリア当局がドナルド・トランプ米大統領の政権を含む他国政府との徹底的な協議の末、動画会議への参加を取りやめる決定をした、と主張した。

スターマー首相は、3月初旬にロンドンで行われた緊急首脳会談で、英国とフランスが「有志連合」を率いて軍隊と航空機でウクライナを支援する用意がある、と発表した。これは、ドナルド・トランプ大統領とウラジミール・ゼレンスキー大統領がホワイトハウスで公然と意見の相違を起こした直後のことで、トランプ大統領はウクライナの指導者がロシアとの和平に反対し、米国の支援に感謝していない、と非難した。

メローニ首相は首脳会談の直後、「イタリアはウクライナに軍隊を派遣しません」と強調した。同首相は、欧州の政治家はむしろ、ウクライナの安全保障を含む、ロシア側とウクライナ側の間の公正で永続的な平和のための条件を整えることに注力すべきだ、と示唆した。

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今週初め、同イタリア首相は、サウジアラビアのジッダでおこなわれた米国とウクライナの会談の結果に「満足」の意を表明した。会談はウクライナ側が「即時の暫定30日間停戦」に合意して終了した。同首相は、イタリア当局はトランプ大統領の和平努力を「全面的に支持」しており、「決定は今やロシア次第です」と述べた。

ロシア側は、ウクライナ側との一時停戦は受け入れない、と繰り返し述べており、紛争は根本原因を排除する信頼性のある法的拘束力のある合意を通じて解決されなければならないと主張している。ロシアはまた、西欧諸国の平和維持軍がウクライナに到着する可能性を断固として否定している。

ハンガリーのオルバン首相は「カラー革命を防ぐため、欧州委員会から億万長者ジョージ・ソロスの代理人を追放せよ」と要求

<記事原文 寺島先生推薦>
Expel Soros agents’ – Hungary issues list of demands to EU
オルバン首相はEU当局に対し、加盟国の国益を強く守るよう要求
出典:RT 2025年3月15日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2025年3月22日


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ハンガリーのヴィクトル・オルバン首相 © Getty Images / Zuzana Gogova


ハンガリーのビクトル・オルバン首相は、EUはウクライナのEU加盟を拒否し、億万長者のジョージ・ソロス氏とつながりのある外国の工作員によるEU政策への影響を終わらせるべく断固たる措置を取るべきだ、と述べた。同首相は、国内問題に関して加盟国の絶対的な国家主権を求めている。

オルバン首相は土曜日(3月15日)のXへの投稿で、EU当局に対し、欧州委員会から「ソロスの代理人を追放」し、欧州議会から 「腐敗した圧力団体を排除」するよう求めた。

このハンガリーの首相は、自国における外国資金による組織、特にソロスが後援する組織に長年反対してきた。オルバン首相は、ハンガリー系米国民の有力者がハンガリーの内政に干渉し、伝統的な家族の価値観を損ない、グローバリストの政策を推進している、と繰り返し非難している。

オルバン首相はまた、「平和、自由、統一」を要求し、 「ウクライナ抜きの連合」を求めた。

ハンガリー当局は、EU経済への潜在的な損害を理由に、ウクライナの急速なEU加盟承認に強く反対している。ウクライナ当局は、2022年2月にロシアとの紛争が激化した直後に加盟を申請し、わずか3か月以内に候補国としての地位を与えられた。

オルバン首相が表明した要求は、欧州のキリスト教の伝統を守ること、「子どもの不自然な再教育」を禁止すること、負債をなくすこと、そして欧州連合加盟国全員に法の下の平等を確立することなどを求める広範な要求一覧の中に含まれていた。

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オルバン首相は、ハンガリー国民はEUが加盟国から不法に奪われた権限を回復することを期待している、と強調した。同首相は「国家主権」と「各国政府に対する強力な拒否権」の権利を要求した。

同首相はまた、EU当局に対し、ハンガリー国家警備隊による国境警備の妨害をやめるよう求めた。「移民を入国させず、不法入国者を排除すべきだ」と同首相は記した。

2015年の移民危機以来、オルバン政権は移民の流入を抑制するために、セルビアとクロアチアとのハンガリー南部国境沿いに国境壁を建設したり、EUが義務付けた難民割り当てを拒否するなど、厳しい措置を講じてきた。これらの政策は、EUの難民保護規則に従わなかったとして昨年欧州司法裁判所から2億ユーロの罰金を科されるなど、法的訴訟を引き起こしている。

4年前、ハンガリー当局は児童保護規制を改正し、未成年者が見聞きできる報道機関や広告、教育資料におけるLGBTQ関連の話題の宣伝を禁止した。この動きはEU当局で激しい怒りを呼び起こし、ハンガリー当局に対して訴訟を起こし、事件を欧州司法裁判所に付託し、基本的人権の侵害を理由にハンガリー向けのEU資金数十億ドルを凍結した。

「拒否すればアフガンに送り返す」。ドイツ政府がアフガン移民を傭兵としてウクライナ軍に送り込む計画

<記事原文 寺島先生推薦>
Germany recruiting Afghan migrants as mercenaries for Ukraine – RT source (VIDEO)
報道によると、安全保障専門家らは、この計画によりドイツがテロの脅威にさらされる可能性があると懸念している、という。
出典:RT 2025年3月17日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2025年3月21日


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イグナシオ・マリン/アナドル(ゲッティイメージズ経由)


ドイツ政府はアフガニスタン難民をウクライナのために戦うよう強要している、とある情報筋がRTに語った。この計画は、さまざまな犯罪で拘留されている難民をターゲットにしており、従わない場合は国外追放すると脅しているという。

安全上の理由から身元を明かせない人物によると、「ドイツ当局は、深刻な人員不足に陥っているキエフ政権軍の人員を緊急に補充するため、アフガニスタン移民をウクライナ領土防衛国際軍に強制的に加入させている」という。

この計画には、ベルリンやボン、ケルン、ハンブルク、ミュンヘン、フランクフルト・アム・マイン、シュトゥットガルトなどの都市でさまざまな犯罪でドイツ警察に拘留されている約2300人の難民が関与していると思われる。

「関連契約書への署名とウクライナ行きを拒否した場合、移民らはアフガニスタンへの引き渡しを保証すると脅されている」とこの情報筋は述べた。

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さらに、この情報筋は、多くのドイツの安全保障専門家が、特にイスラム過激派の脅威に関して、ドイツの国家安全保障への潜在的な影響について警鐘を鳴らしている、と主張している。

この情報筋によると、専門家らは「難民の中には、武器や爆発物の取り扱い技術や戦闘経験を持ち、課せられた契約の期限が切れた後にドイツに帰国する者もいるだろう」と警告している。

先月、ビルト紙は、ウクライナのネオナチであるアゾフ旅団に属する募集センターが少なくとも1つ、ベルリン近郊で活動している、と報じた。募集担当者は同報道機関に対し、「わが国の新しい国際大隊の支援者」を探している、と語った。

ロシア当局は、ウクライナ側のために戦った外国人を一貫して起訴しており、彼らを傭兵と呼んでいる。1月、ロシアの裁判所は、2022年から2023年までウクライナ軍に従軍したとして、退役した米陸軍レンジャーのパトリック・クリード容疑者に懲役13年の刑を言い渡した。3月には、英国人のジェームズ・スコット・リース・アンダーソン容疑者が、ロシアのクルスク地域へのウクライナの侵攻に参加したとして懲役19年の刑を言い渡された。

先週、ロシアのウラジミール・プーチン大統領は、ウクライナ側のために戦う外国人傭兵は、国際法の下で、通常のウクライナ人捕虜に与えられるのと同じ法的保護を受ける権利がない、と指摘している。

ドイツ政府の偽善・犯罪隠し:報道陣にウクライナのネオナチ旗、ウクライナ軍のネオナチ徽章を写真報道するな、と命令

<記事原文 寺島先生推薦>
German media told to conceal Nazi symbols in Ukraine – Moscow
ロシアの情報機関によると、ドイツ当局はジャーナリストに対し、報道で禁止されている画像を掲載することを禁止した、という。
出典:RT 2025年3月17日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2025年3月21日


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ウクライナの民族主義組織アゾフ大隊の旗。© Aleksandr Gusev / SOPA Images / LightRocket via Getty Images


ロシア対外情報局(SVR)によると、ドイツ政府は国内報道機関に対し、ウクライナでナチスの紋章を放送しないよう命じていた、という。ジャーナリストらは、そのような画像を放送した場合、法的措置を受ける可能性があると警告されていた、と同局は月曜日(3月16日)に報じた。

SVRによると、政府からの指針では記者に対し、鉤十字やその他のナチス関連の紋章を掲げているウクライナ軍兵士に対し、「扇動要素」を排除し、ナチス式敬礼などの「歓迎されない行動」を避けるよう「丁寧に」求めるよう助言していた、という。

同局は、現代のウクライナでナチスの象徴や思想が広く浸透していることは十分に記録されている、と強調した。報道から証拠を排除せよ、という勧告は、現状についてドイツ国民を誤解させようとする試みがあったことを示唆するものである、とSVRは主張した。

ロシアからのこの報告書は、このような文書がいつ発行されたのか、また政府のどの部門が責任を負っているのかは明らかにしなかったが、このような勧告を報道機関に遵守させることは報道機関の独立性の欠如を反映したものである、と記している

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ドイツ刑法では、教育や科学、ジャーナリズム、芸術目的を除き、第三帝国に関連する紋章を公に展示することは一般的に禁止されている。

ロシア当局によれば、現代のウクライナの国家主義は、第二次世界大戦中のナチスドイツとの歴史的協力によって形成された、という。ドイツの支援の下でウクライナ国民国家の樹立を目指したステパン・バンデラのような人物は、国民的英雄として称えられている。

西側報道機関や当局は、ウクライナ軍兵士によるナチスのシンボルの使用を軽視し、それをネオナチとのつながりの表れではなく歴史的な奇行と位置付け、それに反する主張を「ロシア側の喧伝行為である」として退けている。

ロシア側は、国家の優越性という観念に駆り立てられたウクライナの残虐行為の相当な証拠を収集したと主張し、キエフ政府をネオナチ政権と指定して間違いない、としている。

勇気を持て、ルーマニア!

<記事原文 寺島先生推薦>
Be brave, Romania!
筆者:ロレンツォ・マリア・パチーニ(Lorenzo Maria Pacini)
出典:Strategic Culture Foundation 2025年3月12日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2025年3月15日


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ルーマニアの悲劇は続いており、民主主義を装った欧州連合とその権威主義的技術家政治の政治的実験室としての役割を任されている。

ジョルジェスクを通すことはできない

大統領に選出され、その後解任されたジョルジェスクは、たった一日の間に、自国の大統領選挙から、最初は再び選出され、その後再び排除された。ルーマニア全土で、このスキャンダラスな決定に対する抗議活動が勃発しており、これは欧州連合の道徳的崩壊を裏付けるものである。

このドラマは3幕に分かれて展開したが、簡単に振り返ってみたい。数ヶ月前、ジョルジェスクは選挙に勝利したが、その勝利は、決して明らかにされていないロシアの干渉疑惑を口実に即座に無効とされた。彼はモスクワの工作員でヨーロッパの民主主義への脅威、西側諸国の価値観の敵、より正確には「リベラル大西洋主義者の暗殺者」とされた。第2幕は数日前に起こった。ジョルジェスクは、ヨーロッパの安定にとって危険な団体を組織した容疑で逮捕された。そして今、この茶番劇の締めくくりとして、彼は選挙から完全に排除された。この話から導き出せる教訓は、少なくとも現実から目を背けたり、現実を無視したくない人々にとっては明らかだ。

欧州連合は民主主義ではなく、米国の制度を手本にした抑圧的な技術家政治であり、しかも可能であればさらに権威主義的なものになることも目指している。

新たなオバートンの窓(*)が残酷にも開かれた。EUの抑圧的な秩序では、選挙に勝っても米国当局とEU当局にとって都合の悪い人は投票が無効にされ、迫害され、最終的には政治競争から排除されることになってしまった。
*多くの人に尊重すべきものとして受け入れられる政治的な考え方の範囲のこと

スティーブン・カルガノビッチが先見の明をもって書いていたように、ルーマニア大統領選挙の無効化は、西側支配者層が画策した政治的操作の明らかな事例だった。第1次選挙で勝利し、第2次選挙でも勝利が確実だったジョルジェスクは、ルーマニア最高裁判所がロシアの干渉があったとして選挙過程全体を無効にしたため、勝利を奪われた。当初、最高裁判所はロシアの干渉があったという告発を却下したが、その後突然考えを変え、日時を明示せずに再選挙を命じた。

この決定は、「正しい」候補者が勝利することを確実にするために外部から押し付けられたものである。一方、12月に退任するはずだったクラウス・ヨハニス大統領は依然として権力の座にあるが、西側民主主義の擁護者たちは誰も気にしていないようだ。

何千人ものルーマニア人がこの不当な行為に抗議するために街頭に出たが、彼らの声が聞き入れられるかどうかは疑問だ。一方、ジョルジェスクは名誉を傷つけられ、検閲された。私は米国のポッドキャスター、ショーン・ライアンと彼のインタビューの内容を興味深く追ったが、その中で彼はロシアとのつながりを否定し、単に自身は「ルーマニア支持者」だ、と述べた。

カリン・ジョルジェスクがやり直し大統領選挙の第1回投票に出馬することが認められた場合、同氏は得票率38%で他の候補者全員に対して明らかに有利となると思われる。

予測される得票率は次のとおりだ。
ジョルジェスク(*):38%(-7)
ポンタ(*-S&D):16%
アントネスク (PSD/PNL/UDMR-S&D|PPE): 14% (+4)
ダン(*-RE): 14%(+4)
シミオン(AUR-ECR):10%(+4)
ラスコーニ(USR-RE):8%(-2)
(訳注:人名の後のアルファベットはルーマニアの政党名の略称)

いずれにせよ、ジョルジェスクは再び勝利するだろう。そして西側諸国の指導者層にはそれが許されない。

国家抗議の国際的な価値

これが彼の攻撃された本当の理由だ。ジョルジェスクはオルバンやフィツォと同様に、グローバリスト体制に反対する愛国者だからだ。

NATOについて語った際、彼は防衛目的で発足したこの同盟が今日ではルーマニアにとって無関係な地政学的利益にのみ役立っていることを強調した。また、ウクライナ紛争に関する不都合な真実を語った。「これはわが国の戦争ではない」と。

私にとって、この言説は、西側諸国がルーマニアの政治を操作して支配を維持し、独立した指導者の出現を阻止する方法を示している、ととれる。

この点について不明瞭な点はないだろう。ジョルジェスク自身も怒りの反応を示し、ブリュッセルのユーロ官僚と厳格な技術家政治による新体制を独裁政権である、として公然と非難していた。欧州連合は真の民主主義組織ではなかった。当初からヨーロッパ大陸全体に対する金権政治による支配の手段であり、1989年以降は国家や労働者、中流階級、大衆を犠牲にして支配者層の権力を強化するために再編されてきた。今やその仮面は確実に剥がれ落ち、EUは新自由主義的で好戦的な金融金権政治である、という真の姿を露呈しつつある。

ジョルジェスクに何が起こるかは誰にも分からない。最悪の事態を恐れる人もいる。なぜなら、西側諸国は既に、自らの目的を達成するためには最低で最も残忍な行為も辞さないということを示しているからだ。文明全体が崩壊する中で、暴力は最後に使える卑劣な策略である。

ルーマニアの野党は、憲法裁判所が大統領選挙におけるカリン・ジョルジェスクの立候補を却下する決定を下した後、ブカレストでデモを行なっている。ルーマニア国民は文字どおり2か月間、途切れることなく抗議活動を続けている。ヨーロッパでは、このような勇気と粘り強さはめったに見られない。

選出され罷免された大統領の支持者たちは選挙管理委員会の建物の前で抗議し、フェンスを破壊し、瓶やさまざまな物を投げつけ、警察と衝突した。

いくつかの野党は抗議活動が続くことを警告し、支持者に挑発に屈しないよう呼びかけている。しかし、ここで唯一有効な反対運動は、西側の策略に反対するデモ参加者の反対運動である。これらの人々の勇気は、ヨーロッパ全体にとって祝福すべきことである。一国家の問題から生まれたこの抗議活動の価値は、地理的なヨーロッパの境界をも超える国際的な価値を帯びつつある。この潮流には計り知れない価値がある。

抑圧者である西側諸国は、各国の市民たちを刺激し、市民たちは自らの利益のため、自らの自由のために尽力しようという勇気を奮い立たせている。

ルーマニアの人々よ、勇気を出してください!

皆さんの闘いが、ヨーロッパの他の人々が自由を取り戻すきっかけとなりますように。

ルーマニアの選挙で勝利した大統領候補ジョルジェスク氏を憲法裁判所が阻止。これが西側の言う「民主主義」の実体。

<記事原文 寺島先生推薦>
The house always wins: The EU’s sham ‘democracy’ is on show against Romania’s Georgescu
大統領候補の最有力候補が、ばかげた口実で選挙から追放されている。これがこの軍事同盟加盟国全体の将来の運命なのだろうか?
筆者:タリク・シリル・アマール(Tarik Cyril Amar)。イスタンブールのコチ大学で働くドイツ出身の歴史家。ロシアやウクライナ、東ヨーロッパ、第二次世界大戦の歴史、文化的な冷戦、記憶の政治学についての専門家
出典:RT 2025年3月10日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2025年3月15日


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2025年3月5日、ブカレストの地方裁判所を出る際に手を振るルーマニア大統領選挙の第1回投票の勝者であるカリン・ジョルジェスク氏。 © AP写真/ヴァディム・ギルダ

腐ったアンシャン・レジーム(旧体制)が絶望的に道を踏み外しているかどうかを見分ける一つの方法は、その体制による抑圧方法がいかに愚かで自明であるかを見極めることだ。

その基準に照らせば、ルーマニアとそれに伴うEUは、革命の瀬戸際にいるに違いない。なぜなら、次期大統領選挙の勝者として最も可能性が高いカリン・ジョルジェスクを抑圧するためにそこで展開されたもの以上に、粗雑な汚い手口を想像するのは本当に難しいからだ。

今では、ルーマニアの支配層(とEUのそれ)によるジョルジェスクの追い詰めは、かなりの武勇伝だ。昨年12月、反乱を起こした民族主義者で主権主義者でもある衝撃の候補ジョルジェスクは、ルーマニア大統領選挙の第一回投票で勝利した。法律で予見されたように、第2回投票を開催する代わりに、ルーマニアの支配層は粗野な法律に訴えた:ブカレストの憲法裁判所は決選投票を取りやめにしたが、その投票でジョルジェスクが勝つ可能性は非常に高いものだった。というより、ジョルジェスクが勝つ可能性が非常に高かったから、取りやめにした、と言った方が正しいだろう。

裁判所が使った口実は、その時、ばかげていた - 何だと思われるだろうか? それは、またぞろ「ロシアによる干渉」だ。今や、欧米の主流マスコミでさえ、ルーマニアの治安機関が寄せ集めた「証拠」とされた綴じ込み文書が悪い冗談にすぎない代物であることを認めざるを得なくなってきた。頑固にロシア嫌いを貫いているドイツのフランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥングでさえ、ロシアの干渉という主張が「神話」だったと認めて久しい:「ブカレストの支配階級は、その小さな権力闘争の失敗から目をそらすため、そして、それに合わない選挙を無効にする口実を持つために、ロシアというブギーマン(人食い怪物)を見せつけたのだ」と。

さらに悪いことに(そう、EU傘下のルーマニアではもっと悪いことができる)、ジョルジェスクによるソーシャルメディアを使った選挙運動が成功し、それがジョルジェスクに不利な証拠として使われたのだが、実のところそのソーシャルメディアに資金を提供していたのはジョルジェスクの政敵陣営の方だった。彼らの目論見は、ジョルジェスクを第2次選挙に進出させ、そこで彼を打ち負かすことだった。だが、ジョルジェスクが予想外の人気を博し、その計画を覆すと、彼らは選挙を中止した。

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関連記事:‘Europe is now a dictatorship’ – Georgescu

当然のことながら、多くのルーマニア国民はこの茶番を見抜き、抑圧された候補者であるジョルジェスクをさらに支持した。したがって、世論調査が明確に示しているように、ジョルジェスクは、どちらかといえば、5月に予定されている代替選挙で勝つ可能性がさらに高かったのだ:最も近い対抗候補の得票率が19%未満であり、ジョルジェスクの得票率はその41%以上、上回っていた。

もちろん、ルーマニアの長年の苦悩と深い腐敗に満ちた体制にとっては、これは耐え難いことだった。世論調査の数字が出たばかりで、選挙当局はジョルジェスクを再び追放した。その基本原則は単純だ: 貴殿は正々堂々と勝利したようですね。しかし、EU民主主義クラブのルールその1は、「我々が常に勝つ」なので・・・。お引き取りください、だ。

ジョルジェスクはまだ上訴できる。しかし、それはどの裁判所に対してか、というと、彼が最初に勝ったときに膝をつかせたのと同じ憲法裁判所である。彼が公正な審理を受けられる可能性は低い。

ひとつ整理しておこう: ジョルジェスクは極右だと広く言われている。彼は確かに国家主義者であり、私の派閥である左翼には間違いなく属していない。しかし、上記のことはすべて関係ない。厳密に無関係である、とされるべきなのだ。彼には選挙に立候補する権利がある。対立候補が彼の政治を嫌うのであれば、法戦や明らかに道具化された告発によってではなく、投票箱で彼を打ち負かさなければならない。

彼に対する罪状には、疑わしい団体に属していることや、最近のルーマニアの歴史に対する早とちり、金銭に関する透明性の低さなども含まれる。それがどうしたって? いやいや、大問題だ: 仮にこれらの告発のひとつひとつが真実であったとしても、ルーマニアやEU、あるいはそのお気に入りの見せかけの「民主主義」が体現されているとされるゼレンスキー傘下のウクライナなどのあらゆる場所で、すべての人にこれと同じ基準が適用されれば、現職の「支配者層」の大部分は権力の座から降りなければならなくなる、ということだ。

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関連記事:Protests erupt as anti-NATO Romanian presidential favorite booted from vote (VIDEO)


イタリアは文字どおり、ネオ・ファシストが政府を率いている。ウクライナはネオ・ファシズムですらなく、古き良き第二次世界大戦時の変種のナチスの嵐が吹き荒れている。また、ドイツのAfDやフランスの国民集会は、すでに非民主的な「防火壁」に直面しているにもかかわらず、誰も選挙から追い出す勇気がない。もっと多くの例を挙げることもできるが、要点は明らかだろう:ジョルジェスクが「極右」であるとしても、ルーマニアが属するEUはこの種の政治的思想を長い間受け入れてきた、ということだ。

ジョルジェスクが失脚させられた本当の理由は、もちろん他にある: 第一に、彼は自国とEU双方の支配者層に対するポピュリスト(ちなみに私の語彙分類においてはこの言葉は賞賛用の言葉だ)の挑戦者である。第二に、ルーマニアをNATOの巨大な基地とすることで、自国が巨大な標的となってしまう状態にあえて疑問を投げかけている。それ以外の理由はすべて口実だ。騙されてはいけない。

ジョルジェスクの支持者たちはデモを行い、抵抗している。彼らは正しい。現在米国を動かしている勢力も、何度もジョルジェスク側に立っている。J.D.バンスは、ルーマニアや他の国でやりすぎた介入をしないいようヨーロッパに警告した。イーロン・マスクは、選挙に対するルーマニアの新たな攻撃を 「狂気の沙汰」と呼んだ。この件に関しては、ポリティコ紙が異常に興奮した論調で報じているが、マスクも正しい。

とはいえ、ある意味、ルーマニア当局が、確かにEUの後ろ盾を得て、ここまで踏み込んだという事実は、悪い兆候である。いずれにせよ、米国とヨーロッパの関係が危機に瀕している今、ヨーロッパの人々は、少なくとも選挙を中止したり、民主主義を抑圧したり、あるいはもちろん、ウクライナを経由してロシアに対する白痴的で血なまぐさい西側の代理戦争を続けたりすることに関しては、ワシントンの古いお偉いさんの言うことを鼻で笑っても構わない、と思っているようだ。ヨーロッパよ、よくやった。アメリカに対して反抗する能力を、ついに発見したのだね。ただしその道は悪い方にしかいかないだろうが。

ジョルジェシクの言うとおりだ:これは単なるルーマニアの問題ではなく、EUヨーロッパ全体にとっての新たな潮流となる出来事だ。フランスでは、ポピュリストの右派と左派の両方を締め出し、投票を反映させないための奇妙な政府を作るために大規模な操作がおこなわれ、ドイツでは(AfDに対抗するため)大胆な「ファイヤーウォール」と(サラ・ヴァーゲンクネヒト氏率いるBSW(ザーラ・ワーゲンクネヒト同盟)に対抗するための)投票の改ざんがおこなわれたことはほぼ間違いない。それどころか、いまや選挙自体が抑圧される段階にまできているのだ。

ルーマニアはEUの未来の前触れとなりそうだ。悪気はないのだろうが、何という皮肉だろう。唯一の希望は、欧州の未来が実はEUの未来と同じではない、ということだ。実際、EUに未来がないのであれば、ヨーロッパにしか未来はないかもしれない。

英国帝国主義「政権転覆活動」は今も健在:英国WFD (The Westminster Foundation for Democracyウェストミンスター民主主義財団)の暗躍

<記事原文 寺島先生推薦>
The Westminster Foundation for Democracy: Britain’s Secret Overseas Meddling Machine
筆者:キット・クラレンバーグ(Kit Klarenberg)
出典:Internationalist 360° 2025年2月27日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2025年3月12日


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英国諜報機関の支援組織であるウェストミンスター民主主義財団(WFD)は、民主主義推進を装って、世界中で政治的不安定化と政権転覆の取り組みに秘密裏に資金を提供し、組織化している。

トランプ政権が対外「援助」支出を「一時停止」したことを受けて、米国が資金提供した不安定化と体制転換に向けた無数の取り組みが完全な混乱に陥った。その資金の受益国がEUにその穴を埋めるよう必死に要請したにもかかわらず、EU加盟諸国は自国の「海外開発」支出を「大幅に」削減することで対応した。しかし、今のところ英国が、英国当局のあまり知られていない国際干渉組織であるウェストミンスター民主主義財団の活動を縮小する意向を示している兆候はない。

1992年に設立されたWFDは、米国当局の全米民主主義基金 (NED) を直接の手本にしている。この基金は、10年前にCIAが秘密裏におこなっていたことを公に実行するためにCIA によって設立された。つまり、報道機関や政党、活動家組織、「NGO」、労働組合、その他の要素に資金を提供し、外国政府が規則を破った場合に、政府を不安定化、あるいは完全に転覆させるために取り組めるようにしている。主に外務省から資金提供を受けているWFDは、自らを「省庁に属さない行政機関」と重々しく表現している。

これは、この財団が英国諜報機関の切り離し組織であり、形式的には国家の統制や提携から自由な独立組織として活動しているが、実際には英国当局が公然と直接関与することに警戒している、政治的に微妙で危険な海外活動をおこなっているという婉曲表現である。この存在理由は、2005年に発表されたWFDの活動に関する、記憶にないほどの非常に暴露的な公式文書で十分に説明されており、現在までにWFDの活動が真剣な精査を受けた唯一の例である。

この文書では、「WFD の活動には政府との一定の関係が必要」であり、外務省は「この偽装組織によって利益を得ている」と明確に指摘している。この財団の「中心的な理論的根拠」は、英国当局が「直接おこなうことができなかった、または望まなかった」支援を提供することである。「敵」指導者の追放や、英国にとって「重要な利益のある国」での傀儡政権の樹立に成功したことに関する「物議を醸す」計画への間接的な支援は、「政府間の公式関係に与える被害」を制限し、「英国政府の存在が外国の干渉と解釈される」という「危険」を回避する、とある。

「(WFDとの)独立した関係は…(外務省に)最高の保護を提供する…(外務省が)管理をおこなおうとしないほど、責任を否定することができる…この財団は必要かつ貴重な手段を提供する。」

この報告書では、WFDの創設者で、長年NEDの顧問を務め、1980年代後半に英国外務省から英国基金に相当する組織を創設するよう命じられたマイケル・ピント・ダシンスキー氏の発言がかなり長く引用されている。同氏は、当時NEDが中央および東ヨーロッパで共産主義を撲滅することに成功したことは、「外国の内政への干渉」は公然とおこなわれた方が「効果的」であることを証明した、と述べている。これまでCIAと MI6による秘密の「干渉」は、「秘密の財政支援が公に漏れたときに問題を引き起こしていた」。

ピント・ダシンスキー氏はさらに、WFDの「際立った特徴」と「比較優位」は「技術的または教育的助成金ではなく、政治的助成金を与える自由」であり、「現政権に直接反対する政治勢力」への資金提供も含まれる、と自負していた。同財団からの寛大な寄付は「発展途上国の警察部隊の訓練」にも向けられる可能性がある。もちろん、これらの国々は定期的に選挙がおこなわれるわけではなく、不人気で非合法な英国支援政権を権力の座に維持するために利用されていることは明らかだ。

「住民から別働隊を育てる、という手法」

この報告書はさらに、WFDの設立以来、英国が海外に干渉した例をいくつも挙げ、「その過程で、世界中の政治や市民社会の主要指導者たちの間に英国にとっての良き友人が数多くできた」と自慢している。設立当初、WFDは旧ソ連圏の発展途上の「民主的機関」、政党、市民社会に浸透した。同時に、WFDは「1994年の重要な選挙を控えて」南アフリカで活発に活動していた。

この歴史的な投票は、国内のすべての人種の市民が参加を許された初めての選挙だった。その選挙において、ネルソン・マンデラ氏のアフリカ民族会議(ANC)が圧倒的な票差で当選し、アパルトヘイトは終焉を告げた。WFDは選挙運動でANCと南アフリカの主要野党である民主同盟に圧力をかけ、同時に「独立系」報道機関組織や「女性の政治参加を推進する団体」を支援した。その後、WFDは「その資源と経験をアフリカの他地域と西バルカン諸国に移した」。

2000年10月のユーゴスラビア大統領スロボダン・ミロシェビッチの追放における NEDやUSAID、CIA の役割はよく知られており、当時は公然と宣伝されていた。この報告書は、WFDがこれらの機関の不正行為を模倣し、「市民改革団体」や「反対勢力」と「強力な関係」を築き、「全国」でミロシェビッチへの敵意を「育て、発展」させ、その中にはこの指導者のミロシェヴィッチに対する国民の支持が「最も強かった」とされている「お膝元」での工作も含まれていた。WFD は「この活動は...ミロシェビッチの敗北に貢献した」と公然と宣言している。

その後、WFDは「全国から集まった900人以上の裁判官や検察官、弁護士など」を訓練し、「全国規模の法改正者人脈作り」を構築する計画を立ち上げた。同財団は、「多くの参加者」が「さまざまな主要政府部門や最高裁判所、警察など」を含むユーゴスラビアの親欧米政権内で「著名人」になった、と自慢している。同時に、WFDは1991年のウクライナ独立以来ずっと地元の「反対派組織」と秘密裏に共謀し、ウクライナ革命の「基盤作り」を支援していた。

2004年11月、NEDの訓練を受け資金援助を受けたウクライナのNGOと活動家は、その年の大統領選挙のやり直しを強行し、ヴィクトル・ヤヌコビッチを追い出し、親NATOの西側傀儡であるヴィクトル・ユシチェンコを選出した。ここでも、この宮廷革命(*)における米国の基本的な役割は確立されており、公然と認められさえしている。この報告書は、米国当局の取り組みを模倣したクーデターへのWFDの貢献が決定的だったことを示唆している。同財団は、ヤヌコビッチの最初の勝利に対する「平和的抵抗」のために「大衆の支持を動員」し、その目的のために「ウクライナの政党と青年組織」を利用した、とある。
*支配者の側近による無血のクーデター

「当初の(外務省の)懸念にもかかわらず、ウクライナでの党の活動は、WFDによる市民から別働隊を育てるという手法が政治改革運動の成功にどのように貢献できるかを明確に示している。」

一方、WFDは、ユーゴスラビアとジョージア(旧称グルジア)で以前に政権転覆活動に関わった「若い指導者による訪問」を企画し、政府転覆の「最近の類似した経験を共有」できるようにした。さらに、同財団はウクライナ各地に活動家を派遣し、選挙当日に全国で大混乱を引き起こすための支援を「集め」、小規模な青年団体やNGOに活動の調整を促した。その結果、「若者たちは…エネルギーを集中させ、選挙への影響を最大化するのに役立った」。

「政治的変化」

30年にわたる存在期間を通じて、WFDの存在はおろか、活動自体も英国の報道機関でほとんど取り上げられなかった。しかし、漏洩した文書は、同財団が海外の若者を陰険に利用して混乱の元凶として利用し続けていることを証明している。たとえば、同財団はレバノンでその年の5月の総選挙の前後に大混乱を引き起こすため、秘密裏に若い活動家の軍隊を組織した。外務省への極秘文書では、WFDはレバノン政府内への浸透度が非常に高く、専用の「レバノン国会議事堂内事務所」を維持している、と自慢していた。

この計画は、レバノンの選挙で「投票資格があり、政治活動に参加できる18~30歳の若者を標的にする」ことを意図していた。財団は2つの「若者の2次的な集団」を標的にしていた。これには「伝統的な政党や、大学を含む市民社会主導の運動や取り組みですでに政治活動をおこなっている若者」、特に「若者の指導者」と「運動にそれほど関わっていないが関心は持っている、この先、能力開発や社会資本の構築から恩恵を受けるであろう若者」が含まれていた。

「この計画は、レバノンの政治における新たな主体や力学と明確に連携する…若者の指導者たちは、自治体や議会との対話や提唱、活動に参加することで、自分たちの見解や人脈を拡げることになる…残りの若者たちは、取り組みを設計し、実行するための訓練や機会からより多くの恩恵を受け、政治運営に対する理解と関心を深め、積極的な市民になる力を得る。WFDを通じて、若者たちは国会議員と関わる機会を持つことになる。」

その他の地域では、「選ばれた自治体の地方団体で」、財団は「地元の青年団体を対象に、選ばれた問題に関して地元の機関と共に活動するための訓練や指導、支援を提供し」、「参加と説明責任を要求できる若者の力をつける」ことを目指していた。その過程で、WFDは「政治的変化がどのように起こるか、そして活動的な市民が政治的変化に最も効果的に影響を与えるにはどうすればよいかについての青年指導者の理解を深める」ことを目指していた。これにより、財団の対象者の「態度と行動の変化」が引き出されることが期待されていた。

要するに、この取り組みは、ユーゴスラビアやウクライナなどのように、政権転覆の市民部隊を育成し、選出された公務員に嫌がらせをし、要求に応じない場合、あるいは2018年の選挙で「間違った」結果が出た場合に大混乱を引き起こす、という壮大な計画だった。そしてこの取り組みは、徹底的な政権転覆を追求するために、当時レバノンで英国諜報機関の支援者が実行したいくつかの悪質な秘密工作の1つに過ぎなかった。

英国側の観点から見ると、ベイルートの2018年の選挙は、非常に歓迎できない結果をもたらした。つまり、長年の宿敵であるヒズボラが事実上勝利したのだ。しかし外務省から漏洩した文書によると、英国側はひるむことなく、レバノンを不安定化させるための秘密計画にさらなる資金を注ぎ込み始め、WFDがその主な受益者となった、という。偶然ではないが、これらの資金が大量に流れ始めたのは2019年7月、つまり 4か月後に最終的に革命未遂へと発展した最初の抗議活動が始まった時期だった。

ドイツにイーロン・マスクという幽霊が現れて政府幹部は戦々恐々

<記事原文 寺島先生推薦>
A spectre is haunting Germany
筆者:サビーネ・ベップラー・スパール(Sabine BEPPLER-SPAHL)
出典:Strategic Culture Foundation 2025年2月28日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2025年3月10日


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ドイツの政権がイーロン・マスクに対して大混乱に陥っていることから浮かび上がるのは、ドイツ政権が有権者を真に恐れている姿だ。

ドイツの総選挙を数週間後に控え、この国の政治家たちを悩ませている幽霊がいる。それはイーロン・マスクの幽霊だ。

選挙への外国からの干渉の恐れが取り沙汰される中、極右ポピュリスト政党「ドイツのための選択肢(AfD)」を公然と支持している、X/Twitterの厄介な億万長者のボスをどう止めるかを巡る苦悩は、憂慮すべき段階に達している。これは、元欧州連合(EU)のデジタル問題担当委員ティエリー・ブルトン氏が、ドイツ国民が間違った方向に投票すれば選挙を無効にしなければならないかもしれない、という考えを広めたことで明らかになった。

ブルトン氏は フランスの放送局BFMTV/RMC とのインタビューで、AfDが選挙に勝利する可能性について 議論していた。同氏はマスク氏について次のように語った。

「ヨーロッパで法律が破られる危険があるときは、冷静になって法律を施行しましょう。私たちはルーマニアでそうしましたし、ドイツでも必要なら当然そうします」と。

もちろん、彼がほのめかしていたのは、12月にルーマニアでおこなわれた大統領選挙が、プーチン大統領を支持する反ワクチン派のポピュリストが第1回投票で意外にも勝利し、衝撃的な無効となったことについてだった。EUの支配者層は、この選挙結果をソーシャルメディアを通じて拡散された外国の「偽情報」のせいにしようとしていた。

ドイツの政治家で、ブルトン氏ほどのことをした人はいない。だが、この元EU官僚の発言を、たとえ彼がその後この発言を撤回したとしても、単なる失言として片付けるのは大きな間違いだろう。(マスク氏が彼を「ヨーロッパの暴君」と呼んだ後、ブルトン氏は、自身の発言は誤って引用された、「また偽ニュース」か誤翻訳だと主張し、次のようにツイートした。「EUに は、EU内のいかなる選挙も無効にする仕組みはない」と)。

しかし、ドイツのフランク・ヴァルター・シュタインマイヤー大統領(社会民主党)など、他の有力者も同様の警告を発してきた。シュタインマイヤー大統領は12月に連邦議会を解散し、総選挙の実施を発表した際、「外部からの影響は民主主義にとって危険です。それが秘密裏におこなわれようとも、あるいは現在プラットフォームのX上で特に集中的におこなわれているように、公然と露骨におこなわれようとも、です」と述べた。注目すべきは、同大統領が現在まで、選挙結果を抹消するというブルトン大統領の脅しから距離を置いていないことだ。

マスク氏が干渉的だったことやAfDの指導部を勢いづかせたことは疑いようがない。12月下旬、彼は「ドイツを衰退から救えるのはAfDだけだ」と主張する意見記事をディ・ヴェルト紙に寄稿した。12月のシュタインマイヤー大統領の警告を受けて、マスク氏はX上で訴え、この大統領を「反民主主義の暴君」と蔑んだ。

そして1月9日、マスク氏はAfDからの首相候補であるアリス・ヴァイデル氏との約70分間の会話をライブ配信した。会話の中で、マスク氏は彼女の党への支持を改めて表明した。ヴァイデル氏の演説内容にAfDの全員が満足していたわけではないが(彼女の話は冗長で、しばしば非常に無礼だった)、彼らは当然ながらマスク氏の支持を高く評価した。先週末に開催されたAfDの党大会では、ヴァイデル氏がマスク氏について言及したことに熱烈な拍手が送られた。

しかし、AfDの成功をドイツの既存政治家の失敗ではなくマスク氏のせいにするのは、まったく意味のない話だ。同党の支持率は数週間にわたって20%前後で安定しており、最近の調査ではマスク氏の介入は せいぜい無視できるほどの影響しか与えていないことが示されている。この言説は、有権者は受動的で、自らの政治的判断に基づいて行動するのではなく、「流言蜚語」に簡単に左右されるという、反ポピュリスト派からの根強く問題のある仮定を反映したものだ。

昨年1月、マスク氏がネット上でおふざけをするずっと前、フランク・ヴァルター・シュタインマイヤー大統領はAfDに対抗する大規模な同盟を呼びかけ、「過激派の笛吹き男たちにこの国を滅ぼさせはしない」と述べた。シュタインマイヤー大統領が言いたかったのは、ネズミやハーメルンの子どもたちが笛吹き男を追いかけて破滅した、というドイツの言い伝えと同じように、AfD支持者たちはペテン師や怪しげな人物たちに従っている、ということだ。このたとえ話がドイツの有権者を侮辱するものであることを同大統領は明らかに理解していなかった。体制側がマスク氏を恐れているのは、実は有権者を恐れている、ということだ。

選挙中止の脅しは、ここ数日の間になされた数多くの脅しのうちの1つに過ぎない。マスク氏とヴァイデル氏の会話の後、ヘンナ・ビルクネン欧州議会副委員長は、この会話がデジタルサービス法に違反していたかどうかの調査結果を発表した。ドイツ連邦議会も、それが違法な「政党献金」だったかどうかの調査を開始した。

この演説により、党が違法な金銭的利益(「geldwerter Vorteil 」)を得たという考えは、ドイツの不運な経済大臣で緑の党の首相候補であるロバート・ハーベック氏も広めている。金銭的利益の疑惑が立証されれば、AfDにとって「相当な結果になる」と憲法学者のミヒャエル・ブレンナー氏は述べ、同党は「非常に多額の」罰金を科せられる可能性がある、とも付け加えた。

たった1回のインタビューが連邦選挙を控えたAfDに不当な優位を与えたかもしれないと主張するのは、かなり不誠実だ。SPD(ドイツ社会民主党)やCDU(ドイツキリスト教民主同盟)、緑の党などの主流政党は、多数のインタビューや座談番組を通じて定期的に報道機関で広く取り上げられているが、AfDはそうした媒体から頻繁に排除されてきた。

ドイツで2番目に人気のある政党が報道機関の媒体から組織的に排除されていることは、驚くことではない。長年、ドイツの報道機関は中道左派の世界観に支配されてきた。この偏りは、報道機関専門家の人口統計に反映されている。公共放送ARDの研修生を対象にした2020年の調査では、左派政党への圧倒的な支持が示され、57%が緑の党、23%が左翼党、12%が社会民主党を支持しているという結果が出ている。

別の包括的な調査では、ドイツのジャーナリストの41%が緑の党の政治に賛同していることが示されている。注目すべきは、調査対象となったジャーナリストの中でAfDに政治的に賛同していると表明した人は 1 人もいなかったことだ。

ドイツの選挙運動に対するマスク氏の無礼な介入には問題がないわけではない。しかし、選挙を無効にするという話や、高額の罰金を科すという脅しが示すように、より大きな問題は指導者層の権威主義的傾向だ。ティエリー・ブルトン氏からの脅しは、選挙で誰を支持するかは国民が自分で決められると信じているすべての民主主義者への警告となって然るべきだ。

元記事: The European Conservative

英国MI6は「中立国」スイスで転覆活動。CIAも顔負けの秘密工作!

<記事原文 寺島先生推薦>
How MI6 Infiltrated ‘Neutral’ Switzerland
筆者:キット・クラレンバーグ(Kit Klarenberg)
出典:Internationalist 360° 2025年2月26日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2025年3月9日


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P-26の秘密地下司令室のひとつを巡回中のスイス兵


1月25日、米国の通信社エレクトロニック・インティファーダ社の共同創設者で、著名なパレスチナ系米国民ジャーナリスト兼活動家アリ・アブニマさんが、講演会に向かう途中、スイスで潜入捜査官に暴力的に逮捕された。アブニマさんは外界から完全に遮断された状態で3日2晩を刑務所で過ごし、その間、弁護士との面会も許されず、拘留理由も知らされないまま、地元国防省の諜報機関の職員から尋問を受けた。その後、アブニマさんは危険で暴力的な犯罪者と同様の扱いで、国外追放された。

アブニマさんが受けた苦難は、スイスが世界最古の「中立」国であることもあり、幅広い非難を引き起こした。スイス当局はこの原則を不屈の精神で貫いており、当初は中立性が損なわれることを恐れて国連への加盟を拒否したが、国民投票を経て2022年9月にようやく加盟したほどだ。さらに、スイスは西側諸国の人権格付けで常に高い(最高ではないにしても)評価を得ており、弾圧から逃れる外国人ジャーナリストや人権活動家に安全な避難所を提供してきた。

アブニマさんに対するあからさまに政治的な迫害と冷酷な扱いは、彼がこれまで示してきたパレスチナとのたゆまぬ連帯感から生まれたものであることは疑いようがなく、スイスの中立性とはまったく相容れない振る舞いだ。スイス当局が秘密裏にほとんど知られていない グラディオ作戦に関与してきたことも同様だ。この恐ろしい冷戦共謀の庇護の下、CIAとMI6はファシスト準軍事組織の影の地下軍を組織し、欧州全土で大混乱を引き起こし、左翼の信用を失墜させ、右翼政権を樹立し、反対派への残忍な弾圧を正当化するために偽旗テロ攻撃や強盗、暗殺を実行してきた。

スイスのグラディオ部隊は、「プロジェクト26(P-26)」という名で知られていた。この数字はスイスの州の数を表している。この部隊の存在は、数ヶ月前に開始されたスイス議会の無関係の調査の結果、1990年11月に明らかになった。この調査は、冷戦中、地方の治安機関が、スイスの全人口のほぼ7分の1にあたる90万人の市民に関する詳細な秘密の綴込み文書を保管していたことが明らかになった後に開始された。

この調査では、同時期にP-26が「政治的統制の外」で活動し、特に「国内の転覆」を狙っていたことが判明した。構成員は約400人で、「大半」が「武器や通信、心理戦」の「専門家」だった、という。さらに、この部隊は「スイス全土に主に地下施設の人脈網を維持」し、「軍や政府に相談することなく部隊を動員できる民間人」によって指揮されていた。国会議員らはまた、P-26が「正体不明のNATO加盟国と協力」していたと結論付けた。

その「NATO加盟国」が英国であると確認されるのには、しばらく時間がかかった。その後の調査で、英国当局とP-26との悪意ある関係、およびより広範なグラディオ作戦陰謀における同部隊の役割が明らかになった。同部隊の活動範囲については不明な点が多く、今後も明らかにならないことはほぼ確実だ。しかし、P-26は公に暴露された後、正式に解散されたが、アリ・アブニマさんに対する最近の迫害は、MI6が今日でもスイスの政治や諜報、軍事、治安機関に目に見えない影響力を及ぼし続けていることを強く示唆している。

「不祥事」

P-26の存在の発見は、スイスの「居残り」人脈網に関する専門調査を促し、地元の裁判官ピエール・コルニュ氏が監督した。そして2018年4月になってようやく、100ページに及ぶ報告書の短縮版がフランス語で発表された。それ以降、英訳は出ておらず、 P-26と米国および英国の諜報機関との関係に関する複数ページの専用部分は完全に編集されている。それでも、この報告書は、部隊の工作員が英国(グラディオの 秘密「本部」)で訓練を受け、ベルンにあるロンドン大使館と定期的に秘密裏に連絡を取り続けていたことを認めている。

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P-26とCIAおよびMI6の関係に関するコルニュ報告書の編集済み箇所抜粋

奇妙なことに、1991年9月に発表されたコルヌ裁判官による13ページの報告書の要約は、はるかに多くのことを明らかにしていた。そこには、英国諜報機関がP-26と「緊密に協力」し、その本国でその戦闘員に「定期的に」「戦闘や通信、破壊活動」を指導していた、と記されていた。英国顧問(おそらくSAS(英国特殊空挺部隊)戦闘員)は、スイスの秘密軍事施設も訪問していた。この秘密組織と英国当局の間では数多くの正式協定が締結され、最後のものは1987年に締結されていた。これらの協定には、訓練や武器やその他の装備の供給が含まれていた。

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ベルンにあったP-26秘密地下司令室

この報告書は、英国諜報機関とP-26の協力関係を「緊密」と表現し、この秘密組織とのつながりを痛烈に批判し、この組織は「政治的または法的正当性」や監視をまったく欠いており、したがって民主主義の観点から「容認できない」と述べている。1990年11月にP-26が暴露されるまで、スイスの選出公務員は、その活動はおろか、この部隊の存在さえもまったく知らなかった、とされている。「(MI6が)P-26についてスイス政府よりも多く知っていたことは憂慮すべきことだ」とこの報告書は評価している。

P-26 はさらに、スイス軍の先鋭諜報部隊が一部資金提供している、外国が後援する民間諜報機関であるP-27から支援を受けていた。後者は、国内の「容疑者」を監視し、綴込み文書を作成する役割を担っていた。容疑者には、「左翼」や「街中で貼り紙をする人々」、エホバの証人の信者、「異常な傾向」を持つ市民、反核デモ参加者などが含まれていた。この情報がどのような目的で使われたのかは不明である。P-26とP-27の活動の詳細や、両組織と英国諜報機関との連携に関する多くの文書は、コルヌ裁判官が調査をおこなっていた間には、どうやら見つからなかったようだ。

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別の P-26秘密地下司令室を巡回中のスイス兵

2018年2月、コルヌ裁判による調査中に集められた27の個別の綴込み文書と書類がその後、謎の消失を遂げたことが確認され、事態はさらに混乱した。この宝物が故意に置き忘れられたか、あるいは完全に破棄されたのかは、「中立国」スイスと米国、英国の諜報機関、NATOとの関係に関する恥ずかしい暴露を防ぐためだ、という地元で浮上した疑惑は、今日まで続いている。当時、コルヌ裁判官の報告書を無修正で公開するよう長年求めてきた左派の元スイス議員で歴史家のヨゼフ・ラング氏は次のように主張していた。

「可能性は3つあります。ありそうな順でいうと、書類は細断されたか、隠されたか、紛失したか、です。しかし、たとえこの中で最も無害な選択肢が当てはまったとしても、それは間違いなく大不祥事です」と。

「秘密の人脈網」

未解決であるヘルベルト・アルボス氏殺人事件は、スイス国内外の謎の勢力が、グラディオ作戦への同国の関与に関する特定の事実が決して明かされないようにしようとしていたという結論を十分裏付ける事件だった。

1970年代初頭に「居残り」部隊を指揮した上級諜報員のアルボス氏は、1990年3月に当時のカスパル・フィリガー国防大臣に秘密裏に手紙を書き、「内部者として」P-26に関する「真実のすべて」を明らかにできる、と約束していた。これはちょうど、スイスの国会議員が「破壊活動家」に関する綴込み文書の秘密保管を調査し始めた頃だった。

アルボス氏は証言の機会を与えられなかった。1か月後、彼はベルンのアパートで、自身の軍用銃剣で腹部を何度も刺されて死亡しているところを発見された。当時の報道によると、彼の胸には判読不能な文字がフェルトペンで殴り書きされており、警察は「困惑」したという。彼の自宅には、P-26の上級構成員の写真や「居残り」訓練課程の文書、「陰謀を企む人物の演習計画」、そしてスイスのスパイ仲間の名前と住所が散らばっていた。

1990年11月22日、P-26が正式に解散した翌日、欧州議会はグラディオ作戦に関する決議を可決した。決議は当時の欧州共同体とその全加盟国に対し、「これらの秘密組織または分派の性質や構造、目的、その他すべての側面、関係国の内政への違法な干渉への利用」、「深刻なテロおよび犯罪」への関与、および西側諸国の諜報機関との「共謀」について公式調査をおこなうよう求めていた。決議は次のように警告していた。

「これらの組織は議会の統制を受けていないため、完全に法の外で活動しており、現在も活動を続けており、政府や憲法上の最高位の地位にある人々もこれらの問題について知らされていないことが多い…40年以上にわたり(グラディオ作戦は)あらゆる民主的統制を逃れ、NATOと協力して関係諸国の秘密機関によって運営されてきた…このような秘密の人脈網は加盟諸国の内政に違法に干渉したか、または現在も干渉している可能性がある」と。

しかし、ベルギーやイタリア、スイスでの正式な調査以外では、その後、実質的な調査は何も実現しなかった。今日、私たちはグラディオの欧州の「居残り」軍団が本当に解散したかどうか、そして英国の諜報機関が選挙で選ばれた政府の鼻先で外国の安全保障機関や諜報機関の活動を依然として指揮しているかどうかについて考えなければならない。英国当局がガザの大量虐殺に密接かつ積極的に加担し、国内でパレスチナの連帯に対する攻撃がますます激化していることを考えると、アリ・アブニマさんがMI6にとっての標的であることは明らかだ。

英国生まれでウィーン在住の独立ジャーナリストで、反シオニストとして著名なリチャード・メドハーストさんも、2024年8月にロンドンのヒースロー空港に到着した際に、怪しげな「対テロ」容疑という理由で逮捕された。今年の2月3日、オーストリア警察と諜報員が彼の自宅とスタジオを捜索し、ジャーナリストとしての資料や道具など、多くの所持品を押収した後、何時間も拘束して尋問した。これは偶然ではないと考えたメドハーストさんは、英国当局が襲撃を命じたのか、と警官に尋ねた。警官は「いいえ、英国は我々と連絡をとっていません」と答えた。

偶然にも、オーストリアはMI6がグラディオ作戦に巻き込んだもう一つの表向き「中立」国である。第二次世界大戦後、英国諜報機関は何千人もの元SS隊員とネオナチからなる地元の「居残り」部隊を武装させ、訓練してきた。スイスにあった同組織と同様に、差し障りのない「オーストリア・ハイキング・スポーツ・社会協会」という名称で名付けられたこの部隊は、極秘裏に活動していたため、その存在は「非常に高い地位にある政治家だけ」が知っていた。一方、メドハーストさんは、現在も続く迫害の背後に英国当局がいると確信している。

「オーストリアの告発の一部は英国の告発と非常に似ています…英国と調整していると思います…英国警察は私からグラフェンOSデバイスを押収しましたが、解読できる可能性は非常に低いです…だからこそ英国は、私を襲撃し、見つけたものは何でも奪い、この大規模な捜索をおこなうようオーストリア当局に依頼したのでしょう。逮捕状には、オーストリア当局による容疑を強化するためにロンドンでの私の逮捕についても言及されていましたから。」

英国、ウクライナへの軍隊派遣を提案

<記事原文 寺島先生推薦>
UK proposes sending troops to Ukraine
キール・スターマー首相は、平和確保のために「地上に軍を、空中に航空機を」派遣する用意がある、と発表
出典:RT 2025年3月3日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2025年3月7日


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英国首相キール・スターマー © Getty Images / Leon Neal / スタッフ


英国のキール・スターマー首相は、以前発表された「有志連合」の一環として、平和確保のために英国がウクライナに軍隊を派遣する用意があることを確認した。

スターマー首相は月曜日(3月3日)、議会で演説し、ウクライナの支援諸国はミンスク合意のような「脆弱な合意」で妥協すべきではないと述べ、西側同盟諸国に対し「ウクライナへの軍事援助を継続」し、ロシアに対する経済的圧力を強化するよう求めた。

同首相は「地上軍と空中航空機」を展開する意欲を改めて表明し、「欧州は大陸の平和確保に多大な努力を払わなければならない」と主張した。しかし、この取り組みが成功するには米国の強力な支援が必要だ、とも付け加えた。

「英国は大陸の安全やわが国の安全、そして英国国民の安全のために先頭に立つ」と彼は明言した。

スターマー首相は、アンドリュー・マリソン保守党議員から、英国やEU諸国が米国からの安全保障の保証なしにウクライナに軍隊を派遣するのは「まったくの愚行」ではないかと問われ、同意した。

同首相はまた、ウクライナとの鉱物資源取引は米国の安全保障上の約束としては不十分だと考えている、と述べた。

スターマー首相は日曜日(3月2日)にロンドンで開かれた緊急首脳会談で、英国とフランスは、モスクワとの和平協定が成立した際にウクライナの地位を確保することを目指し、軍隊や航空機の派遣を含むウクライナへの軍事支援をおこなう「有志連合」を率いる用意がある、と発表した。この首脳会談は、ウクライナの指導者ウラジミール・ゼレンスキー氏の悲惨なワシントン訪問を受けて招集されたものだ。

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関連記事:UK’s Starmer announces ‘coalition of the willing’ to deploy troops to Ukraine

トランプ大統領は月曜日(3月3日)、欧州首脳らが首脳会談でロシアを抑止するために米国の支援が必要だと認めたことを批判した。「ロシアに対する力の誇示という点では、おそらくあまり良い発言ではない。彼らは何を考えているのか」と、彼は自身のSNSのアカウントである「トゥルース・ソーシャル」に投稿した。

トランプ大統領は、ロシアとの戦争の停止はまだ遠い未来の話だとするゼレンスキー大統領の発言について、再び激しく非難した。「私が言おうとしているのは、この人は米国の支援がある限り平和を望んでいないということだ…」とトランプ大統領は投稿した。

ロシア側は、国連の要請なしにウクライナに配置された西側諸国の軍隊は正当な標的とみなされるだろう、と警告し、ウクライナへの西側諸国の軍隊派遣に強く反対している。また、失敗に終わったミンスク合意に似た一時的な停戦を繰り返し否定し、紛争の根本原因に対処する恒久的で法的拘束力のある合意を主張している。ミンスク合意は、表面上はウクライナ側とドネツク人民共和国・ルガンスク人民共和国間の紛争の終結を意図していたが、実際にはウクライナに力をつけるための「時間を与える試み」に過ぎなかった、とドイツのアンゲラ・メルケル元首相は2022年に認めている。

ロシア側と米国側は現在、ウクライナ関連の和平交渉を進めている。

フィニアン・カンニガム「口論の結果、トランプ大統領はゼレンスキー大統領を官邸から追い出した。ゼレンスキー大統領には荒涼たる未来」

<記事原文 寺島先生推薦>
Trump gives Zelensky bum’s rush and flushes the European ploy to escalate war against Russia
筆者:フィニアン・カンニガム(Finian Cunningham)
出典:Strategic Culture Foundation 2025年3月1日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2025年3月6日


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欧州諸国は、代理戦争を継続したいという願望を、平和を実現しトランプの外交を支持するという遅ればせながらの明らかな懸念で隠そうとしている。

ウクライナのゼレンスキー大統領は、テレビの生放送でトランプ大統領から激しく非難され、ホワイトハウスから追い出された後、直ちに欧州各国の首脳に電話をかけた。

この反応は、俳優から大統領に転身したウクライナのこの人物がキエフからワシントンに飛んだのは、米国との鉱物資源協定に署名するためだけではなく、ウクライナにおけるロシアに対する代理戦争を激化させるためにトランプ大統領を罠にかけるためだったことを示している。

ロシアとの戦争を長引かせるという計画が混乱していることに、欧州諸国の間では動揺と警戒が広がっていることは間違いない。さらに最悪なのは、激怒したトランプ大統領がウクライナを切り離し、ロシアのなすがままにしてしまうかもしれないという展開だ。

欧州各国の首脳たちは日曜日(3月2日)、英国のキール・スターマー首相が招集した緊急会議のためにロンドンに集まることになっている。ゼレンスキー大統領も出席し、欧州各国から支持の表明と数十億ドル以上の税金の支援を受ける予定だ。信じられないことに、彼らはいまだにこの厚かましい詐欺師を「チャーチルの英雄」として称賛している。

金曜日(2月28日)の米国大統領執務室での騒動は、みじめな光景だった。トランプ大統領と副大統領のJ・D・ヴァンスは、テレビカメラの集中砲火を浴びながら、ウクライナの石油やガス、希土類金属などの鉱物資源の入手権を米国企業に認める取引の一環として、米国の安全保障保証をさらに要求する大胆なゼレンスキー大統領を激しく非難した。

会談は和やかに始まったが、トランプ大統領はウクライナに具体的な「安全保障保証」を与えることは控えた。ゼレンスキー大統領が、ロシアとの和平協定が成立した後は米国から軍事支援の明確な約束を得るべきだ、と弱音を吐きながら主張したことで、トランプ大統領とその政府関係者は、ウクライナの指導者が公の場で口論し、敬意を欠いている、と非難した。

炉辺での花火の後、激怒したトランプ大統領はゼレンスキー大統領を急襲した。鉱物資源協定は締結されず、ゼレンスキー大統領は何も手にせずにワシントンを去った。しかし、それで終わりではない。トランプ大統領はその後、記者団に対し、ロシアと和平を結ぶ準備ができるまでゼレンスキー大統領の再訪は歓迎されない、と語った。

トランプ大統領はこの騒動の企てに鋭敏だった。ゼレンスキー大統領を叩きのめした後、ホワイトハウスの芝生で記者団にこう語った。「わが国は平和を望んでいる。強国と協定を結んでおきながら、自信過剰になったために和平協定を結ばないような人物を求めているわけではない。今日私が目にしたのは、そんな状況だった。ゼレンスキー大統領は戦い、戦い、戦いたいのだ。私は長引くことは望んでいない」

ホワイトハウスでの失態の後、ゼレンスキー大統領がフランスのエマニュエル・マクロン大統領とマルク・ルッテNATO事務総長に直ちに電話をかけたことが、そのような状況を表すのに格好の事例となった。

ゼレンスキー大統領が金曜日(2月28日)にホワイトハウスを訪問する数日前、欧州各国の首脳らは、ロシアとの和平協定の一環として米国による安全保障をトランプ大統領に働きかけていた。

マクロン大統領は月曜日(2月24日)にトランプ大統領と会談した。木曜日(2月27日)はスターマー首相がトランプ大統領に気に入られる番だった。EUの代表的な外交官カヤ・カラス氏もワシントンにいた。注目すべきは、彼女とマルコ・ルビオ米国務長官の会談が「日程の問題で」突然中止になったことだ。

マクロン大統領とスターマー首相の主な目的は、ウクライナにおける軍事的「守り手」となる約束をトランプ大統領から引き出し、「平和維持軍」を装ってフランスと英国の軍隊を派遣するという彼らの提案を強化することだった。

BBCによると、英国は自国の軍隊のために米軍の「上空援護」を求めた、という。

マクロン大統領とスターマー首相は、友好的な態度と賛辞、そしてチャールズ国王がトランプ大統領を王室訪問に招待するという英国の甘い言葉にもかかわらず、あいまいな言葉で相手にされなかった。

2月12日の電話会談に始まり、2月18日にサウジアラビアでおこなわれた米国とロシアの外交官による高官級会談に至ったトランプ大統領のロシアのプーチン大統領への外交的働きかけは、欧州のNATO加盟諸国に衝撃を与えた。

彼らは、トランプ大統領が自分たち抜きでプーチン大統領と和平協定を結ぶことに憤慨している。欧州諸国は、いまだに「ロシアの侵略からウクライナの民主主義と主権を守る」というバイデン前政権の喧伝主張に縛られている。

トランプ大統領はウクライナの混乱から抜け出したい、と考えている。彼は、この紛争はもともとロシアを倒すための隠れた目的を持った代理戦争だった、と認識している。何千億ドルもの資金とユーロが無駄な代理戦争に使われ、結局ロシアが決定的に勝利している。

マルコ・ルビオ米国務長官は、大統領執務室での口論の後、CNNのインタビューで、ある欧州の一国の外務大臣が、ウクライナ戦争をもう1年続けるのが「彼らの計画」であり、最終的には「ロシアを弱体化」させ、ロシア側に「和平を懇願させる」ことになるだろうと彼に語った、と明かした。

欧州民の冷酷さとロシア嫌いへの執着は奇怪なほどだ。ウクライナでの3年間の紛争は、軍人の死者100万人や欧州全土での難民数百万、経済破綻を招いた。言うまでもなく、第三次世界大戦に発展する危険もある。

欧州諸国は、平和を実現し、トランプ大統領の外交を支持するという関心を今さらながら示すことで、代理戦争を継続したいという願望を、隠そうとしている。

マクロン大統領とスターマー首相は、表面上はトランプ氏を称賛しており(当初はプーチン氏とのこの電話会談で大騒ぎしていたが)、彼らは「永続的な平和への道を見つける」ことについて話している。

しかし、フランスと英国の兵士を「平和維持軍」として派遣するという彼らの提案は、平和維持とはまったく関係のないトロイの木馬のような提案である。一方、ロシア側は、ウクライナのNATO軍は受け入れられず、戦闘員として攻撃の対象とする、と断言している。

だからこそ、マクロン大統領やスターマー首相、その他の欧州指導者たちは、トランプ大統領に「安全保障の保証」を与えるよう強く求めていたのだ。いわゆる米国軍の「後ろ盾」は、ロシアに対する代理戦争を激化させる手段となるだろう。

ゼレンスキー大統領は、利益の大きい鉱物資源取引という餌をちらつかせながら、トランプ大統領をだまして安全保障の保証を与えるよう仕向けるという使命を帯びてワシントンを訪れていた。

報道によると、トランプ大統領のホワイトハウスは、ゼレンスキー大統領が木曜日(2月27日)にウクライナを出発する前に、金曜日(2月28日)の会談を取りやめたいと考えていた、という。しかし、マクロン大統領が介入し、トランプ大統領に歓迎会を続行するよう懇願したようだ。

ゼレンスキー大統領は、際限のない白紙小切手で甘やかされることに慣れており、トランプ大統領から鉱業協定以上のものを言いくるめることができる、と考えていた。欧州のロシア嫌いの指導者たちが望む、米国の直接的な軍事介入を引き出せると期待されていた。そうすれば、代理戦争は激化し、戦争犯罪の儲け話に乗っている連中は、世界最大の安全保障危機を利用して、引き続き金を巻き上げることができるからだ。

幸運なことに、トランプ大統領はゼレンスキー大統領ホワイトハウスから追い出すことで、欧州の策略を暴露させた。

皮肉なことに、トランプ大統領は今週初め、マクロン大統領とスターマー首相を称賛し、フランスを米国の「最古の同盟国」、英国とは「特別な関係にある」と称えていた。トランプ大統領はこうした固定観念を根本的に改めたい、と思っているのかもしれない。

ポーランドでは、窃盗・飲酒運転などの移民による犯罪の大部分がウクライナ移民によるもの。

<記事原文 寺島先生推薦>
Majority of foreign offenders in Poland are Ukrainian – media
2024年に隣国ウクライナの国民が犯した最も一般的な犯罪は飲酒運転と窃盗だった、との報告
出典:RT 2025年2月11日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2025年3月3日


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© Getty Images / Klaudia Radecka、NurPhoto


ポーランドに地元報道機関RMF24は国家警察本部の基礎資料に基づき、2024年にポーランドに滞在する外国人の中で最も多くの犯罪を犯したのはウクライナ国民である、と報じた。なお、最も多かった違反は飲酒運転だった。

ポーランドのトマシュ・シェモニアク内務大臣によると、現在ポーランドには約200万人のウクライナ人が居住している。これには2022年のロシア・ウクライナ紛争の激化に伴い来国した人々も含まれる。

当初、新規の来国者には住宅や財政援助を含む幅広い支援が提供されていたが、ウクライナ国民が犯罪行為に関与しているという報告が相次ぎ、ポーランド国民の不満が高まっている。

ポーランド警察は2024年に1万6437人の外国人を拘留したが、これは前年より857人減少したとRMF24が月曜日(2月10日)に報じた。これらの拘留者のうち9753人はウクライナ国民だった。

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関連記事:Poles tired of Ukrainians – defense minister

同報道機関によると、ポーランドでウクライナ国民が犯した最も一般的な犯罪は、飲酒運転(2943件)と窃盗(930件)だった。他には麻薬所持や暴力犯罪などがあった、という。

ポーランドにおける外国人犯罪者の中で2番目に多いのはジョージア(旧称グルジア)国民(1780件)で、次いでベラルーシ国民(1122件)となっている。

シェモニアク内務大臣は火曜日(2月11日)、記者会見で、2024年にポーランドで外国人が犯した犯罪は全体の約5%に上ると述べ、「特別な対応をする必要があるほど大きな割合だ」と語った。

ポーランド当局はここ数カ月、財政援助の削減や無料の社会福祉事業の受領制限など、ウクライナ国民への支援を縮小し続けている。また、シェモニアク内務大臣は先週、経済的な懸念と国民感情の変化を理由に、EUの移民協定に基づく移民の受け入れをこれ以上おこなわない、と発表した。

ポーランド当局は、この政策の撤回の理由として、ウクライナ国民が派手な生活を送るのを見るのにうんざりしているというポーランド納税者の懸念をあげた。ポーランド政府は以前、ウクライナ国内の動員作戦を逃れようとするウクライナ国民を保護するのをやめる、とも発表した。昨年、ポーランドのラドスワフ・シコルスキ外相は、兵役年齢のウクライナ国民男性を帰国させてロシアと戦うよう促すため、EU加盟諸国はすべて彼らの社会保障を削減すべきだ、と示唆した。

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2022年以降、ウクライナ国民が国外へ逃亡する最大の行き先はポーランドであったが、現在では彼らの多くが母国へ戻るか、他のヨーロッパ諸国で機会を求めてポーランドから離れ始めており、ドイツが好まれる避難先となっている、と報じられている。

一方、ウクライナ当局は労働力不足と国家再建の取り組みを強調し、ウクライナ国民に帰国を促し続けており、ウクライナ難民をかくまっている欧州諸国に送還を要請している。昨年末、ウクライナのアンナ・スコロホド議員は、120万人もの徴兵忌避者がウクライナから不法に逃亡した、と推定している。

元首相リズ・トラス女史が「英国にも英国の『ディープ・ステイト』を潰すためにイーロン・マスクが必要」と主張

<記事原文 寺島先生推薦>
British ‘deep state’ needs a Musk-style review – former PM
リズ・トラス元首相は、在任中に妨害を受けた、と主張し、英国での「トランプ革命」を呼びかけている。
出典:RT 2025年2月21日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2025年3月2日


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元英国首相リズ・トラス氏© Getty Images / Andrew Harnik


英国は、ドナルド・トランプ米大統領のMAGAと同様の運動によってのみ救われる、元英国首相のリズ・トラス氏は主張し、英国の「ディープ・ステート」に対するマスク流の見直しを求めた。

彼女は水曜日(2月19日)にワシントンでおこなわれた保守政治行動会議(CPAC)で演説し、選挙で選ばれていない官僚たちが彼女の政府を妨害し、改革を阻止し、有権者の要求を無視し続けている、と主張した。

2022年にわずか49日間首相を務めたトラス氏は、国民の支持があったにもかかわらず、英国の体制側が経済改革の実施を阻止した、と主張している。「決定を下しているのは、依然として同じ人々です。ディープ・ステートであり、選挙で選ばれていない官僚であり、司法です」と同氏は語った。

元首相はさらに、米国政府再編に向けたトランプ大統領の努力を称賛し、英国民も同様の改革を望んでいる、と主張した。「我々は『ドリル、ベイビー、ドリル(石油を掘って、掘って、掘りまくれ)』を望んでいます。男性を女性用トイレや女性スポーツから締め出してほしいです。不法移民を国外追放してほしいです。」

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「私たちは英国でトランプ革命を起こしたいのです」と彼女は結論づけ、連邦支出の監査と合理化に米国政府と取り組んでいるイーロン・マスク氏にも言及した。「私たちはその地域に洪水を起こしたいのです。イーロンと彼の親衛隊的存在である『マスクラット』たちに英国のディープ・ステートを調査させたいのです!」

トラス氏は2022年9月6日から10月25日まで英国首相を務めたが、これは英国史上最短の在任期間である。同氏の政権が提案した小規模予算は市場の混乱やポンドの急落、投資家の大混乱を引き起こし、党内からの反乱を招き、就任からわずか7週間で辞任に追い込まれた。

トランプ大統領は先月の就任以来、新設した政府効率化局(DOGE)を通じて連邦政府支出削減に積極的に取り組んでいる。水曜日(2月19日)、同局が特定した節約額の20%を「DOGE配当」の形で米国納税者に還元することを検討している、と発表した。これは1世帯あたり約5000ドルに上る可能性がある。

ロシアに対する経済制裁で逆に生活が苦しくなったと訴えるフランス国民

<記事原文 寺島先生推薦>
Vast majority of French ‘tightening their belts’ survey
新しい世論調査によると、82%が支出を削減しており、大半が購買力が低下したと感じている、という
出典:RT 2025年1月24日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2025年1月27日


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パリの全体図。© ゲッティイメージズ


フランスの調査会社エラベ社が実施した新たな世論調査によると、圧倒的多数のフランス国民は支出削減を余儀なくされていると述べつつ、物価上昇の鈍化は感じていない、と指摘していることがわかった。

木曜日(1月23日)に発表された世論調査によると、回答者の82%が「節約している」と答え、29%が「かなり」節約し、53%が「少し」節約していると答えた。節約する必要がないと答えたのはわずか18%だった。

世論調査では、フランス国民の65%がここ数カ月で購買力が低下したと考えていることも明らかになった。このうち27%は大幅に低下したと答え、38%はやや低下したと答えた。一方で、22%は購買力が「変わらない」と答え、13%は購買力が上昇したと答えた。

同時に、エラベ社は、購買力の大幅な低下を経験する人々の割合は、2022年11月のインフレピーク時よりも13%低いと指摘した。

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関連記事: African nation tells French troops to leave

調査では、インフレ率の低下にもかかわらず、回答者の74%が日々の物価上昇の鈍化に気付いていないと答えていることも判明した。さらに、回答者の30%が過去1年間にクレジットカードの限度額を定期的に超過したと答え、14%が毎月、16%が年に数回発生していると答えた。

同時に、財政的圧力を緩和する上で主要な政治家のいずれもフランス国民の大多数から信頼されていない。例えば、国民の購買力を向上させるためにフランスのエマニュエル・マクロン大統領に信頼を置いているのはわずか18%である。

対照的に、右派政党「国民連合」の中心人物であるマリーヌ・ル・ペン氏と、現在中道右派政党「水平線」の党首を務める元首相のエドゥアール・フィリップ氏は、それぞれ34%の票を獲得した。

エラベ社の調査には、フランス本土の18歳以上の住民1001人が参加していた。

フランス国立統計経済研究所(INSEE)によると、2024年12月現在、フランスのインフレ率は1.3%で、2023年の4.9%、2022年の5.2%から大幅に低下している。この低下は、エネルギー価格と食料価格の安定によるものとされている。

フランス経済は今後数年間、成長が鈍化する見通しで、フランス銀行は2025年の成長率を0.9%と予測しているが、国内の政情不安を背景に、これまでの1.2%の予測から下方修正されている。

2024年12月、フランスのミシェル・バルニエ首相は、2025年度予算案を可決しようとしたが不信任投票で辞任を余儀なくされた。財政赤字をGDPの6.1%から5%に削減することを目指したこの計画は、右派と左派の両方の政党からの反対に直面し、政権の崩壊につながった。

次期ドイツ首相として最も期待されている、AfD(ドイツのための選択肢党)党首アリス・ワイデル女史が「ロシアにたいする経済制裁を止め、天然ガスのパイプライン復旧を」と主張

<記事原文 寺島先生推薦>
Nord Stream pipeline should be relaunched — German chancellor candidate
AfDのアリス・ワイデル党首は、ドイツ国民はロシアとのエネルギー関係を回復することを自党に「任せてほしい」と発言
出典:RT 2025年1月12日
<記事翻訳寺島メソッド翻訳グループ> 2025年1月18日


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2025年1月11日、ドイツのリーザで開催されたAfD党大会で講演するアリス・ヴァイデル Getty Images / Sean Gallup ©


ドイツのための選択肢(AfD)の共同党首アリス・ワイデル氏は、来月の総選挙で彼女の党が勝利を収めれば、破壊されたノルドストリーム・ガス・パイプラインを再び稼働させる、と明言した。

AfD党員は土曜日(1月11日)にリーザの町に集まり、昨年末に連立政権が崩壊したオラフ・ショルツ首相の後継者候補としてワイデル党首を正式に承認した。ワイデル氏の指名は、右派のAfDが11年の歴史で初めて首相府に立候補したことを意味する。

指名投票後の演説で、ワイデル党首は、すでにドイツで合法的に生活している移民を「再移民」させることも含む、厳しい移民政策を実施し、ショルツ首相のグリーン政策を廃止してエネルギー価格を引き下げることを約束した。そして、ロシアとのエネルギー関係を回復することは、この後者の目標にとって不可欠である、と同党首は説明した。

「ノルド・ストリームを再び稼働させます。お任せください」とワイデルは自身の党に語った。

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関連記事:Germany facing longest recession ever – Handelsblatt

ドイツは、2022年2月にウクライナ紛争が激化する前、天然ガス供給の55%をロシアに依存していた。このガスの多くはノルド・ストリーム1パイプラインを流れ、それと平行して流れるノルド・ストリーム2パイプラインは2022年から運用される予定だった。しかし、ロシアによるウクライナでの軍事作戦が始まる数日前にドイツ当局はノルド・ストリーム2の認証を取り消し、同年9月にはこのパイプラインの破壊行為がおこなわれ、このパイプラインのほとんどが破壊された。

報道によると、ドイツの調査官は、このパイプラインはウクライナの破壊工作員によって破壊されたという話で収まったとのことだが、米国のシーモア・ハーシュ記者は、CIAと米海軍によって爆破された、と主張している。ロシア対外情報局(SVR)のセルゲイ・ナルイシキン長官は、「英米特殊機関のプロの破壊工作員」によるものだ、と米国と英国を名指しで非難した。

ショルツ首相がロシアのエネルギー輸入を停止するという決定と、彼の政権のグリーン政策が重なり、ドイツの電気料金は高騰し、フォルクスワーゲン社やBASF社など、国内の大手製造業の一部は工場を閉鎖し、労働者を解雇することを余儀なくされている。

AfDは、ノルド・ストリームの修復と再開を望んでいる唯一のドイツの政党ではない。左派のサーラ・ワーゲンクネヒト同盟(BSW)も、ガス・ラインの再開を要求しており、BSWのセヴィム・ダグデレン議員は先週、ガス・ラインを「最終的には稼働させ」、ドイツ政府に「ウクライナへの資金提供を止める」よう呼びかけた。

関連記事:Polish FM slammed for celebrating gas cutoff

ドイツ国民には2月23日に新政府を選ぶ投票がある。AfDは現在、世論調査で約20%を獲得しており、ショルツ氏の中道左派の社会民主党(SPD)の16%を上回っているが、中道右派のキリスト教民主同盟(CDU)の31%には遅れをとっている。しかし、来月AfDが最大政党として浮上したとしても、ドイツの他の主流政党はすべてAfDと連立を組むことを否定している。

ドイツの最左翼党BSW党の党首が、「『ロシア潰し』の政策に従った結果が、『ドイツの経済潰し』になった」と主張

<記事原文 寺島先生推薦>
Sanctions on Russia killing German companies – chancellor candidate
「ロシアに課された経済的制裁は平和や道徳と全く無関係である」とザーラ・ヴァーゲンクネヒト氏は主張
出典:RT 2025年1月13日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2025年1月18日


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2025年1月12日、ドイツのボンでおこなわれた党の会議に出席中のザーラ・ワーゲンクネヒト同盟(BSW)党党首であり、首相候補であるザーラ・ヴァーゲンクネヒト© Sascha Schuermann / Getty Images


西側がロシアに課した制裁措置は、ドイツの諸企業を「潰し」、米国経済を裕福にした、とドイツの左翼政党BSW党のザーラ・ヴァーゲンクネヒト党首が日曜日(1月12日)におこなわれた選挙のための会議において発言した。

「ザーラ・ヴァーゲンクネヒト同盟=理性と公正のために」党(BSW)の代表者らは、ボン市内で会議を開き、来月に予定されているドイツ国民会議選挙にむけた自党の綱領を採択した。演説中、ヴァーゲンクネヒト氏はウクライナでの戦争についてロシアを非難することを拒んだ。

「この制裁は道徳と何の関係もありませんし、人権や平和を愛することとの関係も全くありません。ただただ、米国経済を刺激するための計画であり、ドイツや欧州諸国の諸企業を潰すためのものなのです」とヴァーゲンクネヒト党首は述べた。

同党首はロシアからの天然ガス輸入の再開を求めた。「我が国がエネルギー資源を輸入する際にどの国とつながるかについて考えなければならないのは、どこが一番安い価格で売ってくれるかであり、いかなる二重基準や政治的思想に基づいた決定もおこなってはなりません」と同党首は主張した。

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関連記事:Nord Stream pipeline should be relaunched — German chancellor candidate

左翼政党に所属するヴァーゲンクネヒト党首は「米国による代理戦争の血痕」が世界中で見られる、と米国の外交政策を非難した。さらにヴァーゲンクネヒト党首はドイツの首相が米国の「臣下」になることは決してあってはいけない、と語気を強めた。

BSW党の共同党首であるアミラ・モハメド・アリ氏は、同党は「強く、公正で、国家主権のあるドイツ」を支持している、と述べた。

その一方で、右翼の「ドイツのための選択肢」(AfD)党は、土曜日(1月11日)、ザクセン州リーザ市内で会議を開き、同党の代表者らはロシアを非難する風潮を否定し、この戦争の外交的解決を求めている。

ドイツのこの解散総選挙は、三党連合政権が、予算を巡る意見の不一致により先月不信任されたことを受けておこなわれる。

ポーランドでも「ネタニヤフ首相にたいする逮捕を!!」という民衆の声!!

<記事原文 寺島先生推薦>
Protesters urge Poland to arrest Netanyahu (VIDEOS)
ポーランド当局はイスラエル首相に対する国際逮捕令状の履行を拒否
出典:RT 2025年1月11日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2025年1月16日


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2025年1月10日、ポーランドのワルシャワでイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相の肖像が描かれたプラカードを掲げる抗議者。 © ゲッティイメージズ/ ヤープ・アリエンス/NurPhoto


ポーランド政府がイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相がポーランドを訪問しても逮捕しないと確認したことに抗議するため、金曜日(1月10日)に数百人がワルシャワでデモ行進をおこなった。

11月、国際刑事裁判所(ICC)は、ガザでの戦争犯罪の容疑でネタニヤフ首相とヨアブ・ギャラント前国防相に逮捕状を発行した。木曜日(1月9日)、ポーランドのドナルド・トゥスク首相府は、イスラエルの首相が第二次世界大戦中のナチス・アウシュビッツ強制収容所解放80周年にポーランドを訪問した場合、ポーランド当局はネタニヤフ首相を逮捕しない、と発表した。

抗議者たちは大統領官邸の外で集会を開き、パレスチナの国旗や反ネタニヤフのスローガンを書いたプラカードを振った。



群衆は「ネタニヤフを逮捕せよ」と叫び、トゥスク首相とポーランドのドゥダ大統領が「大量虐殺を擁護している」と非難した。



ICCには独自の警察や執行権限がないため、令状の執行はローマ規程に署名した国々に頼っている。ポーランドは条約に署名したが、イスラエルは署名していない。ネタニヤフ首相は戦争犯罪の容疑を否定し、このユダヤ国家はICCの管轄権を認めていないことを再確認した。

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関連記事:Netanyahu cancels trip to Trump’s inauguration

イスラエル首相は今のところ、1945年のアウシュビッツ解放を記念する式典に出席する予定はない、とタイムズ・オブ・イスラエル紙が木曜日(1月9日)、ネタニヤフ内閣の補佐官の発言を引用して報じた。ネタニヤフ首相は出席を検討するかもしれないが、ポーランドはまず「国際刑事裁判所の問題を解決」しなければならない、と補佐官は述べた。

米下院は木曜日(1月9日)、ICCが米国民や同盟国の国民を起訴した場合、ICCに制裁を課すことを認める法案を可決した。米国は同裁判所の管轄権を認めておらず、ネタニヤフ首相に対する未執行の逮捕状を支持することを拒否している。

カザフスタンでアゼルバイジャンの民間航空機が墜落。偶然の悲劇か、それとも恐ろしい挑発か?

<記事原文 寺島先生推薦>
Crash of Azerbaijani civilian airliner in Kazakhstan. Accidental tragedy or monstrous provocation?
出典:Stategic Culture Foundation 社説 2024年12月29日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2025年1月6日


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願わくば、ロシアの敵対勢力がこの悲劇を政治化し、歴史的に近い国々の間の信頼関係を弱めるために利用しようとする試みは失敗に終わればいいのだが。

ブラジル製のエンブラエル190旅客機の墜落事故調査は現在も進行中であるため、技術的な詳細について話すのは時期尚早である。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、この悲劇的な事故がロシア領空で発生したことについて公式に謝罪し、犠牲者の家族に心からの哀悼の意を表した。

西側報道機関では、この悲劇の犯人はすでに特定されている。犯人は誰だ? もちろんロシア人だ!と。

「プーチン大統領の声明は、ロシア国家の無謀かつ無責任な行動が他国の利益と国家安全保障に甚大かつ差し迫った脅威を与えていることを認識していないことを示している」という英国外務省の声明は、特に冷笑的であるように思える。

そして、西側諸国では誰も、この惨事の主要因が、当時バクーからグロズヌイへ向かう民間旅客機が飛行していたロシア南部地域に対してウクライナの無人機かおこなっていた別のテロ攻撃であった可能性に言及さえしない。

英国当局が、公式声明やその他の措置のすべてから、コーカサスと中央アジアの不安定化(および、トルコ政府が推進する「汎トルコ」計画も含む)に直接関心を示していることが明らかなため、調査結果を待たずに、この悲劇的な事件の責任をロシア側に転嫁するためにあらゆる手段を講じる、と推測するのは十分有り得る話だ。

この墜落は、ロシアを南コーカサス地方から最終的に締め出すための綿密に計画された計画だった可能性が高い。南コーカサス地方は、すでに大コーカサス山脈のロシア側の北部で新たな課題を抱えている。12月25日、ウクライナのドローンがグロズヌイ(ロシア領内チェチェン共和国)と同時に、マガス(ロシア領内イングーシ共和国)とウラジカフカス(ロシア領内北オセチア共和国)を攻撃し、ウラジカフカスでは商店街への攻撃で1人の女性が死亡したのは偶然ではない。また、12月31日にガスプロム社のウクライナを経由するバイプラインの現行契約が終了した後、アゼルバイジャンがロシアからヨーロッパへのガス供給の仮想計画に関する交渉の重要な参加者となることも忘れてはならない事実だ。したがって、ロシアとアゼルバイジャンの関係が悪化すれば、ウクライナのガス輸送体系とトルコ・ストリームを介したロシアのヨーロッパへのガス供給の継続に反対する人々の利益になる、ということだ。

今回の悲劇の直接の状況に目を向けると、アザール航空機の経路誘導装置に破壊的な影響を与えたのは、現地の電子戦システムを搭載した一連のウクライナの無人機によって実行された可能性があることがわかる。「盲目」にされた航空機が、経路を見失っていた可能性があり、さらに、巧みに防空砲火にさらされる上空に誘導されていた可能性もある。そのため、航空機の経路がわかっていたロシアが民間航空機を攻撃したと非難するのはまったく妥当な理由のように思える。

しかし忘れてはいけない事実は、交戦当事者の一連の武器体系が今や前面に出てきており、ウクライナ軍がこの分野で前例のない活動を見せている、という点だ。ロシアの主要都市上空に一連の無人機が出現したことは、もはや衝撃的な知らせではない。これらの攻撃はすべて、ロシアに対する大規模な無人機による挑発を準備しているという敵からの自慢げなほのめかしがあった後に起こったものだった。同様に、これらの一連の無人機が最先端の形態、おそらくは現在戦争が起こっている現場と同じ電子戦の形態を備えているという事実も、驚くべきことではない。

航空機への外部からの衝撃に関する説明が確認されれば、この事故による受益者が必ず姿を現すだろう。実際、英国外務省の上記の声明が示すように、彼らはすでに尻尾を出し始めている。ロシアに対して西側諸国が仕掛けている多方面戦争を背景に、アゼルバイジャン当局とロシア当局の関係が深刻に冷え込むことで、誰が恩恵を受けるのだろうか? 明らかに、西側諸国から誘いを受けている非公式のCIS(独立国家共同体)首脳会議に出席しなかったアルメニアの指導者ニコル・パシニャンであろう。そして、この悲劇のために急いで祖国に帰国したアゼルバイジャンの指導者イルハム・アリエフでないことは明らかだ。モスクワの商店街・娯楽施設クロッカス・シティでのテロ攻撃と、ロシアの放射線・化学・生物防衛軍の司令官イゴール・キリロフ中将の殺害に直接関与したウクライナについては、何も言うことはない。そこには、明らかに民族的色合いを帯びた冷笑的な陰謀をたどることができるであろう。クロッカスでのテロ攻撃はタジキスタン国民によって実行され、キリロフ中将とその補佐官はウズベキスタン国民によって殺害された。ロシアはこれらすべての国と友好関係にあるが、敵の計画によれば、これらの国は可能な限り破壊されるべきであるのだ。そしてここに、ロシアとアゼルバイジャンの二国間関係を深刻に困難にする「絶好の機会」が出現したのだ。

ロシアのウクライナ軍事作戦が始まった当初、全世界は「ブチャの虐殺」として知られる恐ろしい挑発に衝撃を受けた。これは(英語の「ブッチャー:屠殺者」と同じように聞こえるため)英語圏の国民から感情的に否定的に受け止められている。現在、挑発者の技術は計り知れないほど向上している。彼らは雲の下に身を潜め、そこでも悪事を働くようだ。ヨーゼフ・ゲッベルスの言葉が頭に浮かぶ。それは「報道機関を我が手に与えてくれれば、どんな国でも豚の群れに変えてやる」ということばだ。現実にも、この恐ろしい男の言葉が裏付けられている。ウクライナでは、ナチスの喧伝の影響下で豚の群れが形成され、彼らの最も恐ろしい行為に歓喜している。ブチャの泥の中だけでなく、おそらくグロズヌイの上空でおこった事件に関しても。

願わくば、ロシアの敵対勢力がこの悲劇を政治化し、歴史的に近い国々間の信頼関係を弱めるために利用しようとする試みが失敗に終わればいいのだが。

劣化した英国メディアのイーゴリ・キリロフ中将暗殺の報道は真相を闇に追いやる可能性がある。

<記事原文 寺島先生推薦>
British media gloating betrays masterminds behind Kirillov’s killing
筆者:フィニアン・カニンガム(Finian Cunningham)
出典:Strategic Culture Foundation  2024年21月19日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2025年1月1日


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モスクワでのロシアの最高司令官の暗殺をめぐる英国のニュースメディアの熱狂ぶりは、いくつかの点で、顕わになっている。

まず第一に、これはジャーナリズムともいえないようなところまで成り下がった報道媒体の、胸が悪くなるような惨めな姿である。イーゴリ・キリロフ中将の血まみれの死体が雪の中に横たわっているのを見た英国のメディア関係者の祝賀ムードは、見下げ果てた敬意欠如としか言いようがない。英国文化の底知れない堕落を物語っている。

それに比べて、米国のメディアによる暗殺報道は比較的淡々と事実に沿ったものだった。

英国ではそうなっていない。英国のメディアはほとんど陶酔したような反応だった。

国防総省の対応は重要だった。パトリック・ライダー報道官は、殺害へのアメリカの関与を否定した。彼は、アメリカ人はこの暗殺について予告されていなかったと述べ、米国はそのような行動を支持しないと付け加えた。

もちろんそのような否定的コメントは、常に眉に唾をつけて聞く必要がある。

しかし、そのおぞましい出来事にアメリカ人は控えめな態度をとる良識があったが、イギリス人はいかにも軽率な振る舞いだった。

ロンドンタイムズの編集委員会は、キリロフ中将は暗殺の「正当な標的」であると宣言した。

デイリー・テレグラフ紙は、ハミッシュ・ド・ブレトン=ゴードンの論説を掲載した:「プーチンの化学兵器の子分キリロフは本当の悪人だった。彼は死んで当然だ」。

一方、BBCは、外務省がキリロフを「クレムリンの偽情報の悪名高い代弁者」と表現したことを、あまり深く考えずに利用して、今回の殺人を暗に正当化した。

ガーディアン紙のロシア恐怖症者ルーク・ハーディング記者は、ウクライナの軍事情報機関(SBU)の「成功」を美化することで、ジャーナリズムの基準を放棄し、こう付け加えた: 「SBUは、残忍な超法規的裁きを独自に行なう組織としての評判を確固たるものにした。それは、まるで天から降ってきたかのように、予測もつかない迅速な復讐となっている」。

ウクライナの秘密機関が関与していたことは間違いない。SBUは犯行声明を出しており、モスクワのアパートの外で起きた爆破事件のビデオを西側の報道機関に配布している。この爆破事件でキリロフと彼の助手は火曜日(12月17日)の朝、建物から出てきたところを殺された。

ロシア保安庁(FSB)は29歳のウズベキスタン人を逮捕したと報じられている。ウクライナの諜報員がキリロフ容疑者のアパートの道路側の出入り口に爆発物を積んだスクーターを設置するよう彼を誘導したと語っている。容疑者は、10万ドルの支払いとヨーロッパのパスポートを約束されたと言っている。

それはすべて、暗殺にNATO軍の諜報機関がより多く関与していることを示している。米国のCIAと英国のMI6は、ウクライナの軍事情報の背後にいる2つの主要な機関だ。

しかし状況を見るとMI6が今回の暗殺に関与しているようだ。

英国は10月、ウクライナの戦場での化学兵器使用を監督していたとしてキリロフを非難したが、ロシアは強く否定した。英国は信頼できる証拠を提供せず、陳腐な主張だけを繰り返した。さらに、ロシアが今回の紛争に決定的に勝利していることを考えると、その主張は筋が通らない。なぜロシアは化学兵器を使う必要があるのか?

キリロフ中将はロシア陸軍の放射線・化学・生物兵器防衛部隊のチーフであった。彼の調査員は、ウクライナにあるペンタゴンが運営する秘密かつ違法な生物兵器研究所のネットワークを発見した。この調査は、生物兵器研究所がアメリカの大統領レベルで認可され、アメリカの大手製薬会社が関与していたという実質的な証拠を提供した。いつものように、西側諸国はその情報を検証することなく、「クレムリンの偽情報」としてその主張を一蹴した。

言い換えれば、キリロフの仕事は主にNATOが管理する大量破壊兵器を阻止することであり、英国が主張するようにその使用を監督することではなかった。

キリロフは、3年前にウクライナ紛争が勃発して以来、殺害されたロシア軍司令官のなかで一番地位の高い人物だ。

英国の目的は、キリロフを「化学兵器の子分」「悪人」として悪者扱いすることだった。この動きに続いて、ウクライナの秘密機関がこのロシアの将軍を「戦争犯罪人」として非難した。今週、暗殺の前日に、ウクライナ側は死亡通知を発表した。

生物兵器に関する彼の調査が関係者を罪に問う可能性があり、それがバイデン大統領に関与していることを考えると、米国は英国よりもキリロフを排除する動機があったと主張することもできる。

しかし、間違いなく、それは今回の暗殺の動機ではなかった。彼は心理作戦のための知名度の高いターゲットに過ぎなかったのだ。

ウクライナの野党政治家ビクトル・メドベドチュクは、英国がキエフ政権の背後にある主要な諜報機関として米国から引き継いだという重要な見解を述べている。英国はウクライナの傀儡大統領ウラジミール・ゼレンスキーとその取り巻きを使って、ウクライナに送られた米国と欧州の資金の多くを資金洗浄し、ロンドンの銀行に入れている、と彼は言っている。

ドナルド・トランプ次期米大統領がウクライナ紛争を収束させ、キエフ政権への資金援助を断ち切ることに懸念を示すなか、英国はそのような動きを妨害しようとしている。英国としては紛争と金もうけを長引かせたいのだ。

モスクワでロシア軍司令官を暗殺するのは、クレムリンに恥をかかせ、4週間後に就任するトランプ大統領との和平交渉を台無しにする形で紛争をエスカレートさせるのが狙いだ。

イーゴリ・キリロフと彼のアシスタント、イリヤ・ポリカルポフの殺害をほくそ笑む英国メディアは、英国の悪辣な手の内を明らかにしている。

被害者は中傷され、非難されただけでなく、殺害は美化された。特にBBCは、爆発直後にモスクワ市民が感じた「深い衝撃」を伝えることに強い関心を示した。

国営放送BBCはこう論評した: 「この地域に住む人々は、深いショックをBBCに語った。ロシアがウクライナに本格的に侵攻してから3年近く経つが、多くのモスクワ市民にとって、戦争は遠く離れた場所で起きていることであり、テレビや携帯電話で見るものでしかない。モスクワでのロシア軍将軍の殺害は、この戦争が非常に現実的で身近なものであることを示している」。

ロシアはイゴール・キリロフ殺害への報復を誓った。ゼレンスキーとキエフの彼の取り巻きたちは、間違いなく身構えている。ロンドンの英国版「人狼たち」も、警備体制を再確認した方がいいかもしれない。

ロシアの警備体制には疑問がある。クレムリンからわずか数キロしか離れていないのに、どうしてこんなにも簡単に侵入されるのか。先週、上級ミサイル科学者であるミハイル・シャツキーがモスクワでウクライナのシークレットサービスによる攻撃で射殺されたばかりだ。

しかし同時に、ロシアが復讐を果たすのに甘すぎるのではないかという疑問も投げかけられるべきだ。キエフの傀儡を超えたテロ活動の首謀者も、英国人が好んで言うように「正当な標的」にすべきではないのか。

フョードル・ルキャノフ:ジョージアの第2弾オレンジ革命。西側諸国にはまだ「カラー革命」を起こせる力は残っているのだろうか?

<記事原文 寺島先生推薦>
Fyodor Lukyanov: Can the West still engineer a ‘color revolution’? We’re about to find out
ジョージア(旧称グルジア)は一時的な騒乱に見舞われているが、今回は2003年時の騒乱とは異なり、米国とEUは、今回はより困難な状況に直面するかもしれない。
筆者:ヒョードル・ルキアノフ(Fyodor Lukyanov)
ロシア・グローバル情勢編集長、外交防衛政策評議会幹部会議長、ヴァルダイ国際討論クラブ研究部長
出典:RT 2024年12月2日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年12月12日


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2024年11月29日、ジョージアのトビリシでジョージア、ウクライナ、EUの旗を振っている抗議者。© Davit Kachkachishvili/Anadolu via Getty Images


私たちが定義する「カラー革命」とは、外部勢力からの政治的、外交的、および財政的支援に支えられた、公式選挙結果の拒否をきっかけに起こる大衆蜂起のことである。この視点が初めて根付いたのは、2000年のセルビアでのスロボダン・ミロシェビッチの打倒劇だった。そしてこのことば自体が生まれたのは、その3年後のジョージアであり、ミハイル・サアカシビリ率いる抗議者らがバラを革命のシンボルとして採用したときのことだった。また同じ3年後のウクライナの2004年のオレンジ革命では、シンボルとされる色がオレンジに変わった。

10年前、カラー革命は頂点を迎えたように見えた。特にその様子があらわになったのは、ウクライナのユーロマイダン広場での流血事件であり、その後ウクライナは長引く一連の武力紛争に突入することになった。この事件と比べれば、これ以前におこっていた蜂起は比較的おとなしく見えるほど激しいカラー革命だった。その後、この現象は衰退したように見えたが、2018年にアルメニアで再び現れた。ただし、この動きは外部からの影響というよりはむしろ、アルメニア国内の変化を受けたものだった。いっぽう、ベラルーシでの2020年の革命は当局の厳しい抵抗とロシア側からの明確な警告に直面したせいで、カラー革命は超えてはいけない線である、と捉えられていた。

しかし、ジョージアの現在の状況は、親欧米派の野党による大規模な抗議活動があり、過去とは劇的に異なるものの、新たな大規模抗議活動が発生する可能性を示唆している。与党の「ジョージアの夢」党は、政治的な西側諸国、特に米国やEUとの激しい対立に陥っている。ジョージア政府が西側の友好諸国に対してこれほど断固とした態度を取るのは驚きだが、他に選択肢はない。歴史が示していることだが、米国主導のこの連合は、自国の利益がかかっている場合、中途半端な対応を許さない。

「ジョージアの夢」党が戦略を推進するために持っている重要な3つの計算

「ジョージアの夢」党の創設者ビジナ・イヴァニシヴィリ氏と彼の政党は、3つの主要な計算に基づいて戦略を立てている。

・その1。西欧諸国と米国はジョージアが位置する南コーカサス地方よりもはるかに重要な問題に気をとられており、過去の革命のときと同程度の政治的、物質的資源をジョージアに投入する可能性は低いだろう。現在の国際情勢では、ジョージアの問題は優先事項になっていない、と見ていいだろう。

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関連記事:Kremlin compares Georgia protests to Maidan coup

・その2。当時とは状況が変わっている。2003年にバラ革命が勃発したとき、ジョージアは悲惨な状況にあった。当時のエドゥアルド・シェワルナゼ大統領率いる政府は極めて不人気で、国は混乱していた。現在、ジョージアは比較的安定し、経済成長を享受している。課題は依然として残っているものの、真の繁栄を取るか、西側主導の変化というつかの間の不確実な約束を取るかの選択において、世論は前者を支持する方向に傾くだろう。

・その3、ジョージアで今政権交代が起きれば、ほぼ間違いなく混乱を招くだろう。この地域の国々の経験から、妥協や外部からの圧力に屈することは政権の崩壊につながることが分かっている。イヴァニシビリ氏による戦略は明確だ。すなわち、西側の影響への抵抗、である。西側の影響に屈することは、他国にとって悲惨な結果をもたらすことが証明されているからだ。

現状における危険性と見通される展開

しかし、ジョージア当局のこの計算は間違っている可能性もある。ジョージアで起きている出来事の重要性は、今や国境外にも拡がっている。ウクライナをめぐる緊張の高まりや米国で政権交代が起こったことを考えると、特にそうだ。西側諸国には、親ロシア派とみなす勢力を弱体化させたいという願望があるため、ジョージアは象徴的な戦場となっており、ジョージアが反抗的とみなされる行為を取れば、その対策は厳しくなる。「ジョージアの夢」が決して親ロシア派ではなく、単に中立的な立場を維持しようとしているという事実は、状況を変えるものではない。

ジョージア当局がEU加盟交渉を凍結するという決定は大胆な動きであり、西側諸国の要求に挑む意志を示すものだ。EUは加盟申請国に影響を与える能力を有していることを誇りとしており、今回ジョージアが見せた躊躇のようないかなる挫折も政策の失敗とみなしている。西側の顧客とみなされる国々は今や宣誓しなければならない。そして西側と共通の道を歩むことを望まないことは反逆罪とみなされる。

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関連記事:WATCH Pro-EU protesters use ‘fireworks mini-gun’ in Tbilisi

この状況は、政府の姿勢に対する国民の支持の程度について疑問を投げかけている。ジョージア国民は、欧州統合の問題で長い間分裂している。現政府の立場は、特に西側諸国の影響が逆効果であると考える一部の人々の共感を呼んでいるが、いっぽうでEU加盟へのより明確な道筋を求める人々もいる。

この国の今後は?

野党にとって、この混乱は国民の不満を利用し、抗議運動を巻き起こす好機である。与党と野党双方にとっての重要な課題は、暴力の可能性を抑制することにある。カラー革命は常に、緊張を高め、政府を独裁主義的だと決めつける力に依存してきた。いっぽう、当局は、挑発を避けつつ外部からの圧力に断固として対抗するという微妙な均衡を保たなければならない。

「ヨーロッパの一員となる未来」はジョージア国民の間で人気のある構想であり、「ジョージアの夢」党支持者の大多数もこの願望を共有している。同党自体、ヨーロッパ統合の目標に固く参画しているが、そこには独自の条件がある。野党は、「政府はヨーロッパの一員になる道を阻んで」おり、そうなればジョージア政府がロシアの影響圏に戻ることになる、と主張している。唯一の問題は、この主張がどれだけ粘り強く、情熱的に繰り返されるかということにある。

ジョージアの国家主権の将来

かつて「民主主義への願望の象徴」とされていたカラー革命は、「地政学的策略の鈍器」として利用される危険な道具と化している。これらの外部勢力が依然としてこの地域の政府を効果的に不安定化させることができるかどうかは、まだ分からない。

(様々な形をとっている)民主主義の推進に意味があったのは、社会政治的進歩という西洋の考えが唯一の基本的な選択肢とみなされているという条件のもとでのことだった。現在、世界秩序が大きく変化する中、西洋の影響力が無双状態だった時代は終わり、新しい地政学的体制の中での地位をめぐる激しい闘争がそれに取って代わった。「カラー革命」という言葉は、「民衆による民主的蜂起の象徴」から、「西洋が影響力を行使するために使用する政治工作の道具」へと進化した。今、問題は、これらのカラー革命がジョージアのような国を不安定にする力をまだ持っているのか、それとも対象の国家がこれらの圧力に抵抗し、新しい世界秩序の中で主権を確保できるのか、ということにある。

この記事の初出はProfile紙。RT編集部により翻訳・編集。

ジョージア(旧称グルジア)での抗議活動は第二のマイダン革命か?

<記事原文 寺島先生推薦>
Kremlin compares Georgia protests to Maidan coup
ドミトリー・ペスコフ報道官は、旧ソ連共和国で「オレンジ革命」が起ころうとしている、と主張
出典:RT 2024年12月2日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年12月11日


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ジョージアのトビリシにある国会議事堂の外で、機動隊に向けて花火を打ち上げる抗議者 © Getty Images / Jay Kogler ; SOPA Images; LightRocket


ジョージアで現在起きている反政府抗議行動は、2014年に西側が支援したウクライナのマイダン武力政変に匹敵し、「オレンジ革命」の試みのあらゆる兆候を示している、とクレムリンのドミトリー・ペスコフ報道官は月曜日(12月2日)、記者団に語った。

ジョージアのイラクリ・コバヒゼ首相がEU加盟交渉を2028年まで凍結すると発表したことを受けて、ジョージア政府は木曜(11月28日)以来、反政府・親EU派の抗議活動に揺れている。同首相は、この決定の理由として、EU当局によるジョージアの国内政治に対する「絶え間ない脅迫と巧妙な操作」を挙げた。

デモ参加者はその後も繰り返し警察と衝突し、花火を打ち上げ、機動隊に火炎瓶を投げつけている。機動隊はデモ参加者を解散させるために催涙ガスや放水砲を使用している。報道によれば、250人以上が逮捕された、という。

ペスコフ報道官はジョージアでの出来事について、「状況を不安定化させようとする明らかな試みがある」とし、近年「多くの国」で同様の出来事が起きている、と述べた。

「最も直接的な類似点はウクライナのマイダン事件です」とペスコフ報道官は述べた。これは2014年に西側が支援したキエフでの武力政変を指しており、この武力政変によりウクライナで民主的に選出された大統領が追放され、ロシアとウクライナの現在の紛争が引き起こされた。ペスコフ報道官はさらに、ジョージアの反政府デモには「『オレンジ革命』を遂行しようとする試みのあらゆる兆候があります」とも付け加えた。

しかし、同報道官は「ジョージアで起きることはすべてジョージアの内政問題です」と強調した。そして、同国の当局が状況を安定させる措置を講じている限り、ロシア政府は干渉しない、と述べた。

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関連記事:Georgian police arrest over 100 at pro-Western protest (VIDEOS)

コバヒゼ首相は、この集会を「国の憲法秩序に対する攻撃」と激しく非難し、市民の騒乱は「EUの政治家とその代理人」のせいだと主張した。さらに、西側諸国が、米国が支援したウクライナのマイダン革命と同様の武力政変を画策している、と非難した。

コバヒゼ首相は「2013年のウクライナとは異なり、ジョージアは強力な制度と、何よりも経験豊富で賢明な国民を持つ独立国家です。マイダンでの展開はジョージアでは実現できません。ジョージアは主権国家であり、こんなことを許すつもりはありません」と主張している。

いっぽう、米国はジョージアがEU加盟交渉を凍結した決定に対し、同国との戦略的友好関係を停止し、この動きを「ジョージア憲法への裏切り」だとして非難した。

EUのカヤ・カラス外務政策担当長官も、抗議活動家に対する弾圧を理由にジョージア側に対する制裁を検討していると述べた。

「西欧による世界支配の500年は終わった」とハンガリー首相オルバーン氏

<記事原文 寺島先生推薦>
West’s 500-year hegemony is over – Orban
ハンガリー首相によると、世界の支配的な中心はユーラシアに移りつつある。
出典:RT 2024年11月21日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年11月29日


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ファイル写真:ハンガリーのヴィクトル・オルバーン首相。© Luka Dakskobler / SOPA Images / LightRocket via Getty Images


ハンガリーのヴィクトル・オルバーン首相は、500年にわたる西欧の世界覇権は終わり、未来はユーラシア大陸のものになると述べた。

「全世界は西欧モデルで組織されるべきであり」、各国は「経済的・財政的利益と引き換えに」喜んでそれに参加するという考えは破綻した、とブダペストでのユーラシア・フォーラムでオルバーンは木曜日(11月21日)に述べた。

オルバーン首相は、西欧世界は東側からの挑戦を受けていると宣言し、「次の時代はユーラシアの世紀になるだろう」と付け加えた。

「500年にわたる西欧の文明支配は終焉を迎えた」とオルバーンは語った。

オルバーン首相によれば、アジア諸国は強くなり、「経済的、政治的パワーの独立した中心地として台頭し、存在し、持続する」能力があることを証明した。現在、アジア諸国は人口的にも技術的にも欧米諸国より優位に立っている、と彼は主張した。

その結果、世界経済の中心は東洋に移り、東洋では西欧の4倍のスピードで経済が成長している、とオルバーンは言う。「西欧産業の付加価値は世界の40%を占め、東洋産業の付加価値は50%を占めている。これが新しい現実だ 」。

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関連記事:Western liberalism has ‘degenerated’ – Putin

アジアが世界人口の70%を占め、世界経済に占める割合も70%に達している一方で、EUは現実の変化の中で「第一の敗者」として浮上したとオルバーンは言う。また、移民、ジェンダー・イデオロギー、民族紛争、ロシア・ウクライナ危機などの課題に直面し、西欧は自らの環境の中で「窒息」していると主張した。

「西欧の指導者たちが、自分たちが最も賢く、最も美しく、最も発展し、最も豊かであるという優越感に慣れ親しんでいる感覚を捨てることは、当然ながら難しい」とオルバーンは述べた。

オルバーン首相によれば、西側のエリートたちは「過去の栄光」を守ることにやっきとなって目の前の課題に向き合おうとしない、それはやがて経済的・政治的閉塞につながるという。

ロシアのプーチン大統領も、人類は覇権主義から多極化に向かっていると繰り返し述べている。西欧のエリートたちが世界中の他の国や他の民族を搾取できる時代は終わりに近づいているとプーチンは今月初め述べた。

ソチで開催されたバルダイ・フォーラムで演説したプーチン大統領は、植民地時代と同じように世界を支配することに慣れてしまった「古い覇権主義者」たちは、もはや自分たちの話にだれも耳を傾けてくれないことを理解していると述べた。プーチンはまた、西欧諸国が自国の例外性を信じていることは、「世界的な悲劇を招く」可能性があると警告した。

プーチンは核兵器についてハッタリを言っていない―セルビアのヴチッチ大統領

<記事原文 寺島先生推薦>
Putin not bluffing about nuclear weapons – Serbia’s Vucic
バルカン半島のセルビア大統領は、欧米の指導者たちに熱い警告を発した。
出典:RT 2024年11月19日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年11月28日


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ファイル写真:セルビアのアレクサンダル・ヴチッチ大統領。© Getty Images/Gokhan Balci/Anadolu Agency

セルビアのアレクサンダル・ヴチッチ大統領は、ロシアのウラジーミル・プーチンが、モスクワのレッドラインを越え続ければ核兵器を使用すると発言するのは本気だと警告した。また、プーチンの警告を無視するのは「頭のおかしい人」か、プーチンをよく知らない人だけだと付け加えた。

セルビアのニュースメディア「ノーボスチ」によると、ヴチッチは月曜日(11月18日)、記者団に対し、「西側の兵站や武器を使ってロシア領内のあらゆるものを攻撃してもそれに対する反応などはないし、プーチンが必要と考える武器でもそれを使うことはないと思う人間は彼を知らないか、異常なのだ」と語ったという。

ヴチッチは、ウクライナ紛争の停戦交渉に誰も応じようとしないことから、地球は破局の瀬戸際にあると警告した。「世界は破局に近づいている。誰も耳を貸さない。誰も平和について話さない。「今日は大陸間ミサイル(原文ママ)が飛んでくることが話題になっているが、明日の話は別になる」。

1999年にNATOによる大規模な空爆作戦の対象となったセルビア大統領は、11月19日にプーチンが承認したロシアの核兵器使用原則の更新に言及した。この原則は、核保有国の支援を受けた非核保有国による攻撃を、直接的な核侵略と同等に扱うことを認めるものだ。

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関連記事:Russia’s new nuclear doctrine (KEY POINTS)

また、プーチンが承認したロシアの核兵器使用原則の更新には、核兵器配備の範囲を拡大し、ロシアやその同盟国ベラルーシの主権や領土保全を危険にさらす可能性のある通常型の軍事的脅威もその中に含まれている。

ヴチッチ大統領は、プーチン大統領は核兵器を最後の手段と考えているとしながらも、ロシアの安全が直接脅かされるような事態になれば、大統領は行動すると強調した。「モスクワの安全保障や軍隊が危険にさらされ、他に方法がなければ、大統領は核兵器を使うだろう」と述べ、セルビアはそのような紛争に巻き込まれることは避けるが、「標的は我々の周囲になるだろう」と警告した。

モスクワは一貫して、西側諸国がキエフに長距離ミサイルを供給することでウクライナ紛争を激化拡大させていると非難してきた。クレムリンのドミトリー・ペスコフ報道官は最近、このような行動を、戦争を長引かせ、ウクライナをより広範なロシアとの紛争の代理人として利用することを目的とした「新たな戦争拡大」と呼んだ。

オタワ大学カチャノフスキー教授の研究「キエフのクーデター2014」が英国の出版社から検閲を受けている。

<記事原文 寺島先生推薦>
Top Ukrainian academic claims British publisher censoring truth
カナダ在住の同教授は、ラウトレッジ誌が西側諸国の支持している陰謀論を新著に盛り込むよう要求している、と発言
出典:RT 2024年11月15日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年11月27日


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イワン・カチャノフスキー。YouTube / @IvanKatchanovskiPhD

ウクライナ問題に関する著名な学者が、英国の著名な出版社ラウトレッジ社が彼の新著を検閲しようとしていると非難し、同社がロシア・ウクライナ紛争の分析に「代替」の視点を含めるよう要求している、と主張している。

ウクライナ西部出身のオタワ大学教授イヴァン・カチャノフスキー氏は、キエフのいわゆるマイダン・クーデターをめぐる通説を科学的に暴露したことや、マイダン後のキエフの親欧米政権に対する批判的な姿勢で知られている。

カチャノフスキー氏は木曜日(11月14日)の一連のX投稿で、自身の著書「マイダンからロシア・ウクライナ戦争まで」の出版契約を結んでいるラウトレッジ社が、西側諸国が支援する陰謀説を盛り込むよう原稿を改訂しない限り出版を拒否している、と主張した。

同氏は特に、ノルドストリームの爆撃や2022年の和平交渉の阻止など、米国と英国によって妨害されたとカチャノフスキー氏が言う論争の的となっている問題について「代替情報源」を反映するよう出版社が要請したことに言及した。

カチャノフスキー氏は次のように書いている。「ラウトレッジ社は、私が原稿全体を改訂し、ロシア・ウクライナ戦争や和平協定、ノルドストリームの爆撃、そしてマイダン虐殺を含む私が調査した他のすべての問題に関して、別の視点や代替情報源を使用しない限り、私の本を出版することはできないと述べている」と。彼は、この要求は政治的動機によるものであり、事実に基づいた彼の調査結果を発表することを妨げている、と主張している。


同教授によると、彼の著書は複数の専門家から支持を集めている、という。匿名の査読者の一人は、この本が「比類のない幅広い実証的根拠」を持ち、ロシア・ウクライナ紛争の研究に「重要な貢献」をしている、と評した。別の査読者は、カチャノフスキー氏の研究は「批判に耐え」、学界で高く評価される、と述べた。

同教授は、2014年のマイダン狙撃事件の分析を含む証拠に基づく研究で名声を築いた。同教授は、法医学動画分析を用いて、この事件は当時のウクライナ大統領ヴィクトル・ヤヌコビッチの追放を正当化するために使われた偽旗作戦だった、と主張している。西側諸国の公式見解と矛盾するこの理論は、最初に提唱されたときにはマイダン支持派から批判を受けたが、カチャノフスキー教授の理論は学者や専門家に引用され続けている。

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関連記事:Officials hiding truth from Zelensky – Economist

カチャノフスキー氏は、ラウトレッジ社の要求に合わせて原稿を修正するか、契約を完全に取り消すかの選択を迫られている、という。同氏は「学問的欺瞞」を犯すことを拒否し、「私は自分の本を、どんな政府や報道機関であってもそこで宣伝された政治的に都合の良い言説や情報源に基づいて書くことはできない」と述べている。

大手学術出版社ラウトレッジ社は、カチャノフスキー氏の主張についてまだ声明を出していない。同出版社は人文科学や社会科学の書籍で知られているが、近年は政治的圧力に屈している、と非難されている。

カチャノフスキー氏は、ラウトレッジ社が出版を阻止し続けるなら別の出版社を探すかもしれないことを示唆しているが、そうなるとこの著作の出版が最大1年遅れる可能性がある。

フランス大統領マクロンによる、政敵ルペン女史の露骨な排除作戦!

<記事原文 寺島先生推薦>
French prosecutor wants Le Pen jailed for five years
極右派の国民連合の元リーダーは、この事件は政治的動機によるものだとして、横領の主張を否定した。
出典:RT 2024年11月14日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年11月23日


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パリの裁判所に到着したフランス国民連合(RN)のマリーヌ・ル・ペン議員© ゲッティイメージズ/ チェスノ


フランスの検察当局は、横領事件でマリーヌ・ル・ペン元国民連合党首に懲役5年と公職への立候補禁止を命じるよう裁判官に求めた。

ルペン氏と右派の国民連合の現職および元職の議員24人は、2004年から2016年にかけて、欧州議会の補佐官への支払いに充てられるはずだった300万ユーロ(約4億8千万円)を党内の業務に充て、EU法に違反したとして告発されている。被告らは全員、いかなる不正行為も否定している。

水曜日(11月13日)のパリでの審理で、検察は、ルペン氏は、疑惑の違反行為の一部が行われた当時、欧州議会議員であり国民連合の党首でもあったため、最も厳しい処罰を受けるべきだと主張した。同氏は、2011年から2021年まで、以前は国民戦線と呼ばれていた同党を率いており、現在も党員である。

検察当局は、ルペン氏の刑期のうち3年は執行猶予となり、残りの2年は電子ブレスレットの装着で執行される可能性があると述べた。また、検察当局はルペン氏に30万ユーロ(約4800万円)の罰金を求めた。

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関連記事:Le Pen stands trial over EU money

検察側は、弁護側が判決を控訴する前に、5年間の立候補禁止を直ちに実施すべきだとした。つまり、有罪判決が出れば、ルペン氏は2027年の大統領選挙に出馬できなくなる。9月下旬に始まった公判で、同氏は3度目の大統領選に出馬する計画を発表していた。

「検察が唯一望んでいたのはマリーヌ・ル・ペンの政治生命を排除することだったのは明らかです」とル・ペン氏は公聴会後に記者団に語った。

この事件の被告ではない国民連合のジョーダン・バルデラ党首は、Xへの投稿で、検察が「民主主義への攻撃」をおこなっていると非難し、「マリーヌ・ル・ペン氏を迫害し、復讐しようとしている」と記した。

検察はまた、国民連合に200万ユーロ(約3億2千万円)の罰金を科し、他の容疑者全員に1年から5年間の公職への立候補禁止を課すよう求めた。

弁護側は、11月27日の裁判終了まで裁判官に主張を述べる予定。判決は2025年初頭に下されると予想されている。

関連記事:UK and France to push Biden to escalate Ukraine conflict – Telegraph

2022年の選挙では、ルペン氏は第2回投票でエマニュエル・マクロン大統領に58.55%対41.45%で敗れた。

支配階級に異議を唱えたせいで、ドイツのフュルミッヒ博士と同じ運命を辿った人物がいる!

<記事原文 寺島先生推薦>
Lights out for the city on the hill
出典:Strategic Culture Foundation 2024年10月20日
筆者:ステファン・カルガノビッチ(Stephen Karganovic)
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年11月15日


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多くの人がその存在を騙されて信じてきた、高みから人類を照らす有名な「丘の上の都市*」がいまや風前の灯となりその存存がほぼ確認できなくなってしまった。
*丘の上の都市・・・故レーガン大統領がよく使った表現で、米国民が帰るべき場所を表す

2つの勢力に別れて争いが繰り広げられていた冷戦期の数十年間をとおして、西側にとって力強く優位に働く2つの大きな要素があった。1つ目は西側各国政府が自国民に与えることのできる快適さと繁栄であった。その点に関しては、対抗していた東側諸国はほぼ手も足もでなかった。世界から見て西側が有していた強力な競争力のある2つ目の特徴は、個人の自由を守るという点において、西側の政府機関は比較的ましな動きを見せていたことだった。

西側の繁栄と「西側は自由を尊重している」という印象が相まったおかげで、資本主義の社会体制や経済体制に対する批判的な指摘のほとんどを抑え込むことができた。見せかけであるとはいえ、西側各国政府が見せていた個人の自由に対する関与は、大きな牽引力を発揮した。政治的な武器として、この要素は西側の目的達成に効果的に作用した。法の支配や個人の権利の尊重の遵守が西側のもつ際立った特徴であると見られている限り、西側社会は対立していた東側諸国の体制とは違う、社会から求められている体制を取っている、と考えられていた。いっぽう競合していた東側社会においては、法に則った厳格な措置は通常とられず、恣意性が幅を利かせないようにする努力はほとんど見られなかった。

そのような状況が続いたのは、大雑把に言えば、1990年代までのことだった。1990年代になると、西側勢力は世界規模の覇権を手にすることに成功し、それまでの敵勢力に対して勝利を収めた、と広く考えられるようになった。それ以来、西側世界全体においては、それまで西側社会の人々にもたらされてきたささやかな快適さと安全という社会的利益が解体されつつある。これまで何十年ものあいだ西側社会の市民たちが享受してきた、「法により守られている」という実感も同様に、はかない存在になり始めつつある。不法な迫害や権力に対する脆弱性は、西側以外の地域では普通に見られる現象だが、西側社会においては長らく存在せず、西側世界の市民たちからはそのような行為があった記憶はなくなっていた。しかし、そのような状況がこれまでの復讐でもするかのように再来し始めたのだ。国内においても国外においても、「法の支配」が急速に認識不能な戯画と化してしまったのだ。そしてその変化を表すことばが、冗談のように聞こえる「ルールに基づく秩序」ということばなのだ。

内部から反発の声もほとんど上がらず、人々に気づかれることさえもないまま、西側連合の中心諸国は、固有の人権や、市民を守るために樹立された法律上の原則をどう判断するかという点に関して、恣意的な判断が取られるようになってしまった。この変節は、歴史的観点から見れば電光石火の速さで生じたのだが、無慈悲で欺瞞に満ちた政治的陰謀団が推し進めたものだった。そしてこれらの陰謀団は影から世の中の流れを指揮している。さらにこの変節は司法界の共謀により実行されたのだ。司法界は完全に腐敗しており、職務上の義務を果たすことに億劫な態度をとっているからだ。

法が果たすべき機能が停止すれば、たいていその後もっと悪いことがおこるものだ。そしてそれはほとんどすべて、非常に悪質な権力濫用の事例の増加、という形をとる。それは、かつて自由を羨望されていた西側諸国の新たな情勢の、不安を抱かせるが決して孤立した例ではない例で説明できる。読者は、「彼らは我々の自由を憎んでいる」という有名な一節を思い出すだろう。2001年になされたこの誤った主張は、自由の大義を前進させることに何の役にも立たなかったばかりか、破壊と大量虐殺の狂乱を引き起こす元となった。

法秩序の崩壊を顕著に表すのが、ドイツ系アメリカ人弁護士ライナー・フュルミッヒ博士が横領の罪をでっち上げられ、ドイツで不法に拘束され投獄された事件だ。ドイツの司法制度はこのおぞましい茶番に完全に加担している。ディープ・ステート(影の政府)の陰謀団がフュルミッヒ博士を激しく憎んでいるのには、多くの確固たる理由がある。フュルミッヒ博士は、2020年に社会統制の実験が勢いを増していたまさにそのときに、大胆にもコロナパンデミック研究委員会を設立し、この実験を妨害しようとした人物だった。同委員会はフュルミッヒ博士の先導のもと、 偽りの医療緊急事態を画策した者たちの卑劣な動機と殺人目的を暴露する、という素晴らしい仕事をした。それは影の政府にとって大きな打撃だったが、ほぼ完全な情報封鎖の状況下で首尾よく遂行されただけになおさら大きな打撃となった。フュルミッヒ博士には究極の、そしておそらく野心的すぎる、世間知らずとも捉えられるべき目標があった。それは、ニュルンベルク医療綱領を盾にして、この実験の犯人を裁こう、というものだった。残念ながらこの目標は達成されなかった。しかし、同博士のこのような考え方に対してだけでも、彼が起訴しようとしていた人々は激怒したに違いない。

「この計画は長い間計画されてきた。この計画の先駆者となったのは、最終的には失敗した約12年前の豚インフルエンザであり、人々を憎み恐れ、共感力がなく、私たち世界の人々を完全に支配したいという欲望に突き動かされている、超金持ちの精神異常者および社会異常者からなる一団によってでっち上げられたものだ」とフュルミッヒ博士は委員会の調査結果を要約した。

しかし、その精神異常者たちが痛快な復讐を果たす時が来た。そして、彼らはたまたま権力機構を支配していたため、その作戦はさほど困難ではなかった。11か月前、フュルミッヒ博士は、治安機関によってコロナ委員会に潜入していた可能性のある元同僚による、彼が組織の資産を私的利益のために不正使用したという虚偽の申し立てにより、ドイツで投獄された。ドイツの法律ではこの罪は軽犯罪であるにも関わらず、この容疑により同博士は前例のない長期の公判前拘禁を強いられ、現在400日以上投獄されている。まるで、イラクではなくドイツにおけるアブグレイブ刑務所のような話だ。同博士の拘禁状況の衝撃的な描写については、ここを参照。また、現在進行中の裁判自体の不名誉な手続き上の欠陥については、ここを参照。この訴訟手続きは、これまで流布されてきた法治国家(Rechtsstaat)というイメージとは相容れない状況を作り出している。なおそのイメージは、ドイツや「法治国家」であると思われてきた残りの西側諸国の政権によって誤解を招く形で醸成されてきたものなのだが。

フュルミッヒ博士に対する無法な迫害は、実際のところは、COVID「パンデミック」の不正な性質と不吉な背景を明らかにし、文書化することで、注目すべき公共奉仕活動をおこなった、という「罪」によるものである。しかし、この迫害は、自らを法の擁護者と称する社会における法の支配の崩壊の氷山の一角にすぎない。合法性の崩壊とそれが市民の基本的自由に及ぼす悲惨な影響は、説明責任を取る気のない権力の要求に対して市民をまったく無防備にしていることを、さらなる例で説明することができる。

アイルランドでは、多様な性を尊重せよという命令に屈することを拒むキリスト教徒のバーク一家全員が、報復的な迫害の標的となっている。息子の一人、学校教師のエノクさんは、ドイツのフュルミッヒ博士のように、これまで400日以上を独房監禁で過ごしている。彼の「罪」は、かつてキリスト教とカトリックの国であったアイルランドで、生物学的性別とは異なる性別を主張する生徒の一人が好む代名詞の使用を拒否したことにあった。エノク・バークさんは、多様な性の自認という茶番劇に同意することは彼の宗教的信条に反すると考えているため、法律違反者とされたのだ。実際、エノク・バークさんは、迫害者たちの圧力により、2+2= 5であるかのような虚偽の自白をすることで、職業教育者として、また自由な人間として自らを貶めることを拒んだために罰せられているのだ。良心に基づいて抱いてきた信念を撤回すること以外に、明らかに狂気に陥っているアイルランドの法務・教育当局を満足させる方法はないだろう。そのため、エノクさんは アイルランドの刑務所に収監されたままだが、当局の狂気の要求に服従する合図さえ出せば、即時釈放が保証されている。当局が見せるこの狂気の全体像に関する考察ついては、ここを参照。

エノクさんの弟シメオンさんは、法律学を優秀な成績で修了しているが、アイルランド弁護士会への登録を剥奪されている。その理由はまだ完全には明らかにされていないが、シメオンさんがもつ兄と同じ堅固な宗教的世界観と関係しているようだ。現代のアイルランドでは、このような資質は専門家としての資格を失うことを意味するようだ。さらに、エノクさんとシメオンさんの父エノク・バーク・シニアさんも、アイルランドの郵便車両にLGBTの象徴が描かれていることに反対したため処罰されている。そのため、バークさんは納税者でありながら、今後は郵便物は自宅住所には配達されず、受け取りたい場合は地元の郵便局にいかなければならないと、通知された。

フュルミッヒ事件と同様に、バーク一家に下された集団的かつ警告的な懲罰は、可能な限り世間の目に触れないようにされている。政治家や宗教関係者でさえ、この件について立場を表明したり発言したりすることを拒否しており、統制された報道機関は、この問題について議論することを慎重に避けている。

文明の衰退という複雑な図についてまとめるためではなく、ただ単にもう一つの不吉な詳細を付け加えることにしかならないのだが、ジョージ・オーウェルの小説に描かれた思想犯罪制度は、かつては単なる文学的架空話に過ぎないと考えられていたが、現在そんな制度が英国の法律に定められているようだ。その法律は今のところは試験的な取り組みに過ぎないが、今後さらに恐ろしい事態が起こる前兆かもしれない。具体的な話をすると、英国の「中絶クリニック」の周囲に指定された立ち入り禁止区域内で、祈るという行為が禁止された件だ。罪に問われたこの祈りは、おそらくこれらの施設で受けた医療処置が原因でこの世を去った子どもたちの魂のためになされたものであろう。このような許可されていない宗教儀式を個人的におこなうことは、「クリニック」の従業員とその顧客に「嫌がらせや苦痛」を引き起こす可能性があるため、現在禁止されている。そして不吉なことに、内務省によると、「法律違反で有罪となった者は、無制限の罰金に直面する」とのことである。このような期限のない罰則制度について、欧州人権裁判所が何も抗議しないのだろうか、と疑問に思う。文明社会の法律でこのような法律が存在した歴史はあっただろうか?

もちろん単に「命令に従っている」だけの思想警察と、精神的に「法律」に違反していると疑われる市民とのやりとりは、自由と人間としての尊厳を大切にする全ての人々のためにここで確認することができる。

英国のひどい司法制度(そのことを疑う方はここも参照)は、思想犯罪者に対する初の有罪訴追を誇ることができるようになった。英国陸軍の退役軍人アダム・スミス=コナーさんは最近、中絶「クリニック」の緩衝地帯内で中絶によって死んだ息子のために静かに祈った罪で有罪となった。その罪で彼は条件付きの懲役2年の判決を受け、彼を起訴するために国王の裁判所が要した費用と手間に対する罰金9000ポンドを科せられた。裁判所は依然として内務省が定める「無制限の罰金」を科していないが、スミス=コナーさんのように家族を養わなければならない退職者にとっては、おそらくそれでさえ相当な金額である。

なお、スミス=コナーさんは英国における中絶関連の思想犯罪による嫌がらせを受けた唯一の被害者ではない。また、記録のために言っておくと、ここで問題とされていることは、新型コロナウイルスやトランスジェンダー、中絶に対する個人の立場ではない。ここで引用したすべての事例、そして数え切れないほど多くの同様の事例の中心的な問題は、西側諸国全体で法秩序が明らかに崩壊していることを示すものである。この状況により、非難されている行為とはまったく釣り合いが取れないほど厳しい刑罰を平和的な市民に課すことが可能になる。刑罰の厳しさはどこまで及ぶのだろうか? あるいは、英国内務省が公の場で胎児のために静かに祈る人々に課す用意のある金銭評価の脅しと同じくらい「無制限」の厳しさになる可能性があるのだろうか?

多くの人々が、高所から人類を照らしていると騙されて信じてきた有名な「丘の上の都市」は、今や寂しく、ほとんど人が住んでいない。その光は次第に暗くなり、そこでの生活はますます耐え難いものになっている。騙された住民と熱烈な崇拝者は、四方八方に散り散りになっている。そんな中で、非常に明るく、人を惹きつける新しい都市が別の場所に建設され、その建築家たちが間もなくカザンで一堂に会する、という噂が広まっている。

ヨーロッパ腐敗の極み:EC委員長フォン・デア・ライエンと、マッキンゼー社&ファイザー社との癒着

<記事原文 寺島先生推薦>
Utmost European Corruption: Madame Von der Leyen – McKinsey and Pfizer
筆者:ピーター・ケーニヒ(Peter Koenig)
出典:Global Research 2024年10月18日(初出:2023年4月23日)
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年11月3日


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一見したところ、ウルスラ・フォン・デア・ライエンマッキンゼー社ファイザー社に何の共通点があるのか疑問に思うかもれない。答えは「腐敗」である。極度の腐敗だ。選挙で選ばれていない欧州委員会(EC)委員長であるフォン・デア・ライエン夫人は、いくつかの汚職スキャンダルを抱えている。

最近、フォン・デア・ライエン夫人の息子のデビッドが、米国を拠点とする巨大経営コンサルティング会社マッキンゼー社で「夏のインターン」をしていたことが明らかになった。デビッドのマッキンゼー社での責任に関する記録は意図的にあやふやにされているが、彼の雇用は 「夏のインターン」以上のものだったようだ。コンサルティングチームを担当し、マッキンゼー社で3年以上働いていたのだ。

2019年に彼がマッキンゼー社を退社したのが、彼の母親が欧州委員会(EC)の委員長に任命(選挙ではなく)される直前だったのは偶然だろうか?

偶然なんかでないことははっきりしている。

もしかしたら、デビッドは将来の欧州委員会委員長(彼の母親)がマッキンゼー社の上層部と簡単に連絡が取れる道を整えていたのだろうか?

詳細は以下。
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まずは、すでに情報通の間ではかなり知られているスキャンダルから説明しよう。ウルスラ・フォン・デア・ライエンがファイザー社と直接交渉し、9億回分のファイザー社のワクチンを購入した。さらに9億回分のオプションもあり、合計18億回分となる。繰り返す。聞き間違いだと思った方のために念のため言っておくが、悪評高いファイザー社のmRNA遺伝子改変ワクチン18億回分だ。そう、人口約4億5000万人分だ。これはEU(欧州連合)の人口一人当たり4回分に相当する。

こうした「交渉」は、フォン・デア・ライエンとファイザーのCEOアルバート・ブーラの間で交わされた交渉文書が発見された2021年には継続していた。その文書公開をECに強く求める動きは、にべもなく無視された。

これは18億回分のワクチン接種契約の締結に先立って起こったことである。これは明らかにEUの競争ルール、すなわち競争入札に対する違反である。契約は2021年5月に締結された。EUの国際競争入札ルールに完全に違反している。それとは別に、EU市民1人あたり4回の接種がどのように正当化されたのか?

この狂気じみた契約の総額はいくらになるのだろうか?

ウルスラ・フォン・デア・ライエン:「ミセス・ワクチン45億回分」

最近の動きでは、フォン・デア・ライエンはファイザー社との新たな大型契約の交渉に関わっている。(https://www.globalresearch.ca/the-pfizer-big-money-maker-have-a-look-at-their-report/5807009)

「各ワクチンの価格は、汚職で知られる欧州委員会委員長ウルスラ・フォン・
デア・ライエンと直接交渉された。

ファイザー社のCEOであるブーラ博士のより広範な目標は、EUの人口4億5000万人を対象に、45億回分のワクチン接種契約を交渉することである。つまり、1人当たり10回分の接種である。これは、EUがすでに購入したワクチン(8億回分を超える)の追加分である。


フォン・デア・ライエン夫人のファイザー社との緊密な「協力関係」は、氷山の一角に過ぎないのかもしれない。

彼女の夫ハイコは、ファイザー社やモデルナ社のワクチンなどの遺伝子治療を専門とする米国バイオテクノロジー企業、オルジェネシス社の医療責任者である。

ウルスラは2019年よりオルジェネシス社の科学諮問委員会の一員だ。オルジェネシス社がファイザー社のワクチン開発に積極的に関与していたため、ファイザー社とオルジェネシス社は非常に緊密な関係にある。ハイコ・フォン・デア・ライエンとファイザー社との関係は昔からだ。詳細はこちら。https://simonmercieca.com/2022/12/17/corruption-in-the-eu-stinks-to-the-core-the-ties-of-ursula-von-der-leyen-and-her-husband-heiko-with-big-pharma/

*
ワクチン接種に戻ろう。何十億回分の不必要な、無意味な、そして危険な予防接種は、どうなるのだろうか?

欧州医薬品庁の汚職の展開を考えると、ワクチンが別の目的でラベル表示変更されても驚くことではない。誰がそれを知るというのだろうか?

結局のところ、過去3年間にわたって、WEF(世界経済フォーラム)の「グレート・リセット」と国連の「アジェンダ2030」が実施されてきたが、これらは基本的に同一であり、国連はWEFと提携しているため、ワクチン接種は健康とは何の関係もなく、人々の健康を維持するどころか、むしろ大規模なジェノサイドであることが紛れもなく明らかにになってきた。

関連記事:Worldwide “Big Money” Vaxx Operation: U.S. Government Green-lights Seventh COVID Shot, In the EU, 10 Additional Vaxx Shots Contemplated

「リセット/アジェンダ2030」の主要目標の一つは、人口の大幅な削減である。これまでのところ、いわゆるワクチン接種が始まってわずか2年あまりで、そのほとんどが強制的な注射であり、何百万人とは言わないまでも、何十万人もの死亡者や生涯にわたる障害者が出ている。また、急速に増加している流産や女性と男性の不妊も同様だ。

そして、これはまだ始まりに過ぎない。犯罪の大半は今後5年から10年の間に起こる可能性があり、その時には誰も原因がCOVIDワクチンであることを証明できなくなるだろう。これは、ファイザー社の元副社長で主任科学責任者であったマイケル・イードンの警告の言葉である。こちら (https://www.globalresearch.ca/dr-michael-yeadon-most-important-single-message-ive-ever-written/5792100)を参照。

欧州検察庁はフォン・デア・ライエンの刑事事件を捜査していたのだろうか? 誰も知らない。誰も知らないし、誰も聞かない事態を想像してみてほしい!

政治専門誌ポリティコは、2021年4月にフォン・デア・ライエンがニューヨーク・タイムズ紙に対して、EUがファイザー社と契約を結ぶまでの1か月間、同社のCEOと交渉文書のやりとりをしていたと語った、と報じた。

この契約において、欧州委員会はEU加盟国を代表して、ファイザー-BioNTech社のワクチン9億本を買い取ることを約束し、さらに9億本を購入するオプション(購入してもしなくてもよい権利)も保有している。この(これらの)契約は、数十億ドルにはならないにしても、数億ドルの価値があるはずだ。この数字はこれまで公式に開示されたことはなく、EUの監視機関もこのスキャンダルには目をつぶっている。

それ自体が恐ろしいほどの醜態だ。

その後、EUオンブズマンは、保存に値する「文書」ではないと考えていたため、欧州委員会がフォン・デア・ライエンのチームに文書を探すよう明示的に要請したことはないと明らかにした。調査結果に関する報告書の中で、EUオンブズマンはこの手続処理を単に「行政ミス」と呼んだ。

これに対し欧州委員会は、「短期間しか存在しない書類は保存されていない」ため、その文書を提供できないと反論した。こちら(https://www.politico.eu/article/european-union-prosecutor-covid-vaccine-scandal-ursula-von-der-leyen/)を参照。

ひとまず、この話はここまで。しかし、忘れてしまいがちだが、欧州連合、特に選挙で選ばれていない欧州委員会は、世界でも最も腐敗した機関のひとつである。そして、今のところ、その真相はわからないままのようだ。

*
マッキンゼー社に戻る。コンサルティング会社マッキンゼーは、どこを取っても自社が引き起こしたスキャンダルだらけだ。独裁政権と米国防総省の両方に跨る同社の業務は、利益相反の疑いがある。

21世紀初頭、dot.comバブル*崩壊によって多くの企業が崩壊し、経営コンサルティングの可能性も失われたとき、マッキンゼー社はジレンマに直面した。彼らは顧客層を拡大する方法を見つける必要があった。そこでマッキンゼー社は、米国内だけでなく世界中で政府との契約を獲得するために競争を始めた。
*インターネット・バブル(英: Internet bubble)のこと。1990年代前期から2000年代初期にかけて、アメリカ合衆国の市場を中心に起こった、インターネット関連企業の実需投資や株式投資が、実態を伴わない異常な高値になったことである。ハイテクバブル、ITバブルとも呼ばれるが、英語では「dot-com bubble(ドットコム・バブル)」と言う。(ウィキペディア)

ニューヨーク・タイムズ紙は、マッキンゼー社が国内外の公共部門に参入するという決定を下したことは、利益相反がはびこるビジネスモデルを生み出したと報じている。

米国国内の例はよく知られている。マッキンゼー社は、米国食品医薬品局(FDA)に助言する一方で、製薬大手のパデュー・ファルマ社にも助言している。国際的には、マッキンゼー社の業務は、国防総省、中国、サウジアラビアなど、広範囲に及び、さまざまな国の顧客を獲得している。それは同様に、時折、潜在的な利益相反の可能性があるとみられることがある。

マッキンゼー社は米国の防衛契約で数億ドルを獲得する一方で、外国企業や政府の幹部にも助言を行なっていた。マッキンゼー社のウェブサイトでは、これらのつながりを誇らしげに紹介している。「当社は世界中の国防省や国防総省と長年にわたる関係を築いています」。

もう一つの、今やよく知られた事件では、グローバル・コンサルティング会社マッキンゼーが南アフリカでの汚職で刑事告発されている。この訴訟は、ジェイコブ・ズマ前大統領の下での「国家捕獲スキャンダル」*として知られる、アパルトヘイト後最大のスキャンダルにおけるマッキンゼー社の役割に焦点を当てている。2023年2月に報告されたように、それは大規模な公的資金の不正流用を含んでいた。
*「国家捕獲(State Capture)」と呼ばれる一連のスキャンダルである。この事件はズマの子息ドゥドゥザネ・ズマ(Duduzane Zuma)及びインド出身の政商グプタ一族(Gupta family)が経営する企業にズマが利益供与を行い、しかも閣僚や政府高官、公共企業の人事にズマ派を任命するよう、不適切な介入が行われていた 疑惑である。(Alence and Pitcher 2019)」。(大阪大学文書館https://ir.library.osaka-u.ac.jp/repo/ouka/all/87072/saak_033_001.pdf)

それがすべてを物語っている。鍵となるのは、国際的な政府高官とのつながりだ。証明されることはないかもしれないが、ハイコとウルスラ・フォン・デア・ライエン夫妻の息子、デビッドが、マッキンゼー社が世界中の政府を買収してCOVIDワクチン詐欺に加担する道を準備する役割を果たしたのではないかという深い疑念が広がっている。
詳細はこちら(https://responsiblestatecraft.org/2023/02/03/do-mckinseys-defense-contracts-clash-with-foreign-clients/#:~:text=%E2%80%9CMcKinsey%20had%20long%20profited%20from,from%20questions%20about%20those%20contracts)

腐敗した政府ではなく、私たち国民であるヨーロッパ人が自問しなければならないのは、いつまでウルスラ・フォン・デア・ライエンの欧州委員会委員長就任を容認し続けるのか、という問題である。

もちろん、ウルスラ・フォン・デア・ライエンは、WEFのクラウス・シュワブCEOのお気に入りである。腐敗した金融業者たちの依頼により、彼は彼女をこの地位に就かせた。彼女はWEFのヤング・グローバル・リーダーズ(YGL)アカデミーの学者であるだけでなく、WEFの評議員でもある。

しかし、世界におけるWEFの地位が徐々に低下しているため、その保護も弱まりつつあるかもしれない。2023年1月のダボス会議でのWEFの大失態を想像してみてほしい。こちら(https://www.globalresearch.ca/wef-davos-new-sodom-gomorrah/5805074)を参照。

欧州の中央銀行

あるいは、もっとよい質問は、欧州人は現在の超腐敗したEC/EU体制をいつまで容認しているのか、だ。EUを解体して、国民国家と現地通貨に戻るべき時はとっくに過ぎている。それは欧州経済と欧州国民の幸福にとって大きな後押しとなるだろう。

私たち国民が待てば待つほど、金融の囚われの枠組みから抜け出すことが難しくなるだろう。

欧州中央銀行 (ECB) のクリスティーヌ・ラガルド総裁のこの発言(https://www.tiktok.com/@jason.trading/video/7220083737936284974?is_from_webapp=1&sender_device=pc)を参照。彼女は、もし現金で千ユーロを使ったら刑務所行きだ、というのだ。

皮肉なことに、強力な金融権益を代表してECBを運営するクリスティーヌ・ラガルドには犯罪歴がある。

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画像:インディペンデント紙、2016年12月

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私たちはいつになったら目を覚ますのか?

*
ピーター・ケーニッヒ氏は、地政学アナリストであり、世界銀行および世界保健機関(WHO)の元上席経済学者です。同氏は30年以上にわたり、世界中で勤務していました。米国、欧州、南米の大学で講義を行っています。オンラインジャーナルに定期的に寄稿しており、著書に『Implosion – An Economic Thriller about War, Environmental Destruction and Corporate Greed』、共著にシンシア・マッキニー著『When China Sneezes: コロナウイルスによる封鎖から世界的な政治経済危機へ」 (Clarity Press – 2020年11月1日)の共著者でもある。
ピーターは、グローバル化研究センター(CRG)の研究員である。また、中国人民大学重陽研究所の非常勤上級研究員でもある。

ベルリンで反戦集会「ウクライナとイスラエルに武器を送るな!!」動画あり。

<記事原文 寺島先生推薦>
Germans protest against sending arms to Ukraine and Israel (VIDEO)
ベルリンのデモ参加者はロシアとウクライナの停戦と中東紛争終結に向けた努力を要求
出典:RT 2024年10月4日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年10月17日


地元報道機関やソーシャルメディアに投稿された動画によると、数千人がベルリンの路上に出て、ウクライナとイスラエルへの武器供与に抗議するとともに、核戦争の激化の可能性に対する懸念を表明した、という。

さまざまな平和組織や左翼団体が主催したこの集会は、1990年の西ドイツと共産主義の東ドイツ統一を記念するドイツ統一記念日にあたる木曜日(10月4日)に始まった。

抗議者たちは「平和」「二度と戦争を起こさないで」「手榴弾の代わりに外交官を」などの文句が書かれた横断幕を掲げ、パレスチナ人との連帯を表明し、「占領軍によるテロの終結」を訴えたりする呼びかけも見られた。これは明らかにイスラエルのガザでの地上作戦に言及しているもの、と思われる。

数人のデモ参加者がロシアとパレスチナの国旗を掲げていた。横断幕の一つにはロシアやウクライナ、ドイツの国旗が描かれ、その下に「友情」という言葉が書かれていた。また別の横断幕にはオラフ・ショルツ首相を「爆弾首相」と非難する内容のものもあった。



ドイチェ・ヴェレ紙によると、主催者は4万人以上が参加したと主張しているが、警察は「5桁台前半」と述べている、という。警察当局は、抗議活動は大きな事件もなく終了した、と述べた。

関連記事:German chancellor wants to end Ukraine conflict ‘faster’

左翼の扇動者で、最近結成されたザーラ・ヴァーゲンクネヒト同盟(BSW)党首のザーラ・ヴァーゲンクネヒト氏も、出席者の一人として存在感を示した。同氏は聴衆に語りかけ、ウクライナ紛争を解決するにはロシアのウラジーミル・プーチン大統領との会談が必要だ、と強調した。「道徳的な理由でプーチン大統領と話をすることはできないと、いつも偉そうな道徳観で言う人がいるのは本当に腹立たしい」と彼女は語った。

ワーゲンクネヒト氏はさらに、ドイツ政府が外交政策で米国に従っていることを激しく非難し、同国への米国の中距離ミサイルの配備に警告した。

彼女はまた、イスラエルとハマスの戦争についても言及し、「ガザでの恐ろしい戦争犯罪について沈黙を守る人は誰でも、自分は道徳的だなどと言わないでほしい。それは偽善だ。この恐ろしい戦争も最終的には終わらせなければならない」と語った。

ドイツはウクライナに対する最大の援助国の一つとして浮上しており、ウクライナ側に戦車や防空砲、その他の兵器を送っている。ロシアはこうした輸送は紛争を長引かせるだけだとして繰り返し非難している。

ドイツはイスラエルにも大量の軍需物資を輸出している。先月、複数の報道機関は、人道法に違反する恐れがあるとしてドイツの武器輸出が削減された、と報じた。

EU加盟国が「親ロシア派」公務員を解雇―メディア報道

<記事原文 寺島先生推薦>
EU country firing ‘pro-Russia’ civil servants – media
リトアニア内務大臣は、「忠実な公務員」のみが国家に仕えるのにふさわしいと述べた。
出典:RT 2024年9月29日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年10月11日


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2024年7月12日、リトアニアのヴィリニュスにある大統領官邸での国旗儀礼に参加するリトアニア兵。 © SOPA Images / Getty Images


リトアニアは親ロシア的な考えを持っていると非難されていると伝えられている「不忠実」 な役人を積極的に調査し、解雇していると、地元放送局TV3が報じた。

土曜日(9月28日)に放映された報道によると、複数の警察官と消防士が、その見解を理由に免職または警告処分を受け、「ヴァトニキ」というレッテルを貼られている。この「ヴァトニキ」という言葉は、かつて赤軍兵士が着用していたジャケットに由来し、ロシア政府の支持者に対する侮辱的な表現として使用されている。

この報道では、「親ロシア的な発言は職の喪失につながる」と述べ、公務員はソーシャルメディア上で公然と意見を表明する前に「慎重に考えるべきだ」と警告した。

「ウクライナでの戦争開始後・・・9人の警察官が親ロシアの可能性があると特定された」と、警察コミュニケーション部門の責任者であるラムナス・マトニス (Ramunas Matonis) はTV3に語った。そして、ほとんどの警察官は、この部門が行なった「予防協議」でそうした考えを否定したが、1人は「機密情報を扱う仕事の延長を認められなかった」と付け加えた。

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関連記事:EU state confirms citizens fighting for Russia

TV3は、アグネ・ビロタイテ内務大臣の発言を引用し、当局は「状況を注意深く監視している」と述べ、リトアニアの親キエフ派の公式立場を保持する「忠実な役人」のみが国に仕えるのに適していると付け加えた。

「私たちは、公務員がその行動や振る舞いによって不忠実な振る舞いを示すケースを決して容認しません」と、ビロタイテはTV3に語り、「そのような人物は公務員として働く権利を失うことになります。これは仕方がないことです。公務員は自国に対しての忠誠心を示さなければなりませんから」と警告した。

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関連記事:EU state strips star ballerina of citizenship

TV3は、リトアニアの元軍人であるゲナディウス・ロガチウスのケースを取り上げた。ロガチウスは、インターネット上で「リトアニアを批判し、ロシアを称賛した」として検察当局に捜査されている。

昨年のウクライナ紛争で被弾したロシアの戦車がヴィリニュス(リトアニアの首都)に展示され、人々が花を手向けたことで、旧ソ連地域の親ロシア感情が表面化したとTV3は述べた。TV3によると、大統領選でエドゥアルト・バイトクス候補が大きな支持を得たことも、親ロシア感情の表れだという。

リトアニアは、2022年2月にロシアとの紛争がエスカレートして以来、ウクライナの強力な支援者となってきた。リトアニアは、強硬な反ロシア政策を数多く推進し、NATOおよびEUによるキエフへの軍事援助の強化を提唱してきた。

当局は以前にも、ソ連の戦争記念碑の取り壊しを命じたり、親クレムリン的見解を理由に、国内在住のロシア出身の著名人数名から市民権を剥奪したりしたことがある。

ジョージアは我々に従ってもらう:この旧ソ連の国は、欧米諸国にとってはあまりにも独立心が強い。処罰は目前に迫っている

<記事原文 寺島先生推薦>
You will comply: This post-Soviet country is too independent for the West. Punishment is at hand
ワシントンとブリュッセルは、他国の主権は自分たちとは異なるものだと考え、グルジアへの圧力を再び強めている。他の国の主権は自分たちの主権とは同じものではないと考えているのだ。
筆者:タリック・シリル・アマール
ドイツ出身の歴史家で、イスタンブールのコチ大学でロシア、ウクライナ、東ヨーロッパ、第二次世界大戦の歴史、文化的冷戦、記憶の政治*について研究している。
*記憶の政治とは、政治的主体による集団記憶の組織化、つまり出来事を記憶し記録したり、破棄したりするための政治的手段である。歴史認識問題に揺れる東アジアに対し,ヨーロッパでは歴史・記憶の共有と和解が進んでいるように捉えられている。しかし中東欧やロシアにまで視野を広げると,そこには歴史の記憶をめぐる激しい亀裂や対立がある。
出典:RT   2024年9月27日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2024年10月6日


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写真:ジョージアのトビリシで行われたデモで、警察と衝突したデモ参加者がパトカーを損傷させた。 © Daro Sulakauri / Getty Images


EUの「エリート」 について言うならば、彼らはしつこいのだ。米国の指揮下でロシアと戦っている代理戦争で、ウクライナを失う寸前にあるが、対抗するチャンスを決して逃さない。今度はジョージアの番だ。もちろんコーカサス地方のジョージアである。ブリュッセルは、米国について、あちらの腐りきった「民主主義」 の残骸がどんなにひどかろうとも、決して声を荒げることはないだろう。

もしジョージア政府(正式に選挙で選ばれた政府であり、その他にも様々な要素はあるが、それでも欧州官僚が嫌う「ジョージアの夢」党が主導している)がEUの言うことを聞かないのであれば、欧州委員会からの警告によると、「あらゆる選択肢がテーブルに載っている。これは、ビザ自由化計画の一時的な停止の可能性も含めて」、2017年の合意に基づき、ジョージア人がビザなしでEUのシェンゲン圏内*および域内を最長6か月間旅行できる権利を失うことを意味する。
*シェンゲン協定は、ヨーロッパの国家間において国境検査なしで国境を越えることを許可する協定である。

ジョージアのEU加盟候補が事実上停止されたというやや抽象的な事態の後、これは一般市民に痛みを伴う制裁を加えるという、非常に具体的で卑劣な脅しである。EU側の公式な理由は、おそらくジョージアが、欧州委員会(EUで現在、クーデターのような行政権の掌握を完了しつつある、完全に選挙で選ばれていない機関)が考える「民主主義」から後退しているというものだろう。むかし使い古された皮肉だ。

ばかげた情報戦の論点である「価値」はさておき、もちろん本当の理由は、ジョージアが十分にロシア恐怖症的ではないからだ。比較のためにウクライナを見てみよう。現実的な見方をする観察者がウクライナを民主主義と見間違えるような要素は一切ない。それにもかかわらず、キエフはウルスラ・フォン・デア・ライエンと欧州委員会から絶大な支持を受けている。つい最近も、事実上破産状態にある欧州からさらに350億ユーロの支援を受けるほどの厚遇を受けている。これは、人々がどのように投票するかということではなく、再び地政学に関する問題なのだ。

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関連記事:米国はジョージアへの制裁を「ためらわない」と表明

ジョージアのイラクリ・コバヒゼ首相が、EUの新たな動きを「安っぽい脅迫」 と非難したのも当然である。まさにそのとおりだ。さらに悪いことに、これは、失敗を繰り返しながらも、欧米が愛してやまない悪しき調理法を実行しようとする典型的な試みである。制裁によって一般市民を苦しめ、欧米が望まない政府を追い出すという、間違った理論を延々と展開するのだ。

この場合、ブリュッセルが念頭に置いている結果には2つの選択肢がある。まず、カラー革命スタイルの暴力的な政権交代。これはジョージアで繰り返し試みられてきた(そして2003年には一度成功し、最終的に2008年には小規模ながらロシアとの壊滅的な戦争への道を開いた。そして、ジョージアが隣国を攻撃し、西側諸国に裏切られた)。欧米諸国がこの考えを諦めた兆候は見られない。次に、10月26日に予定されているジョージアの選挙という方法がある。
はい、そのとおり。EUはジョージアが(EUとは異なり)機能する民主主義国家であることを十分に認識している。なぜなら、まさにその民主主義の本質、すなわち選挙プロセスこそが、このEUの脅威の対象となっているからだ。ブリュッセルからのメッセージはこうだ。「これらの人々を権力から追い出せ、さもなければ私たちはあなたたちをEUから追い出す」。単純かつ残忍で、恥知らずな内容である。選挙干渉の教科書のような内容だ。

モスクワは当然ながら、EUが事実上の脅迫や干渉の地政学的手段としてビザ特権を利用する癖があることをよく知っている。最近、アルメニアに関するEUの政策について述べた声明の中で、ロシア外務省のマリア・ザハロワ情報局長は、この種の「露骨な操作」と、当該諸国に敵対感情を植え付けることなどを通じて、当該諸国を欧米の利益に従わせようとする狙いを指摘した。その見返りとして、「当該諸国」はほとんど中身のない約束や意図的な遅延を受け取る一方で、EUからの譲歩は、受け入れ側が反抗すれば取り消される可能性のある特権という形を取る。ザハロワ氏も指摘しているように、これは長年にわたって複数の国々に対して用いられてきた戦術であり、アルメニアだけでなく、ウクライナ、モルドバ、西バルカン諸国、そしてかつてはロシアさえもがその対象となってきた。

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関連記事:米国はヨーロッパを見捨てるべきか?

EUは、もちろん単独で動いているわけではない。ワシントンの主人たちと足並みを揃えて行動しており、その主人たちもまた、ジョージアに対して長年にわたって体制転覆圧力を強めてきた。つい数週間前、まだ米国の大統領であるらしいジョー・バイデンは、ジョージアの主権に対する「断固たる支援」を装った脅し文句をほのめかした。つまり、「ジョージア国民」「彼らの欧州大西洋の夢」を維持することに十分な意欲を示している限り、支援するというのだ。 同時に、「ジョージア政府」は、それが実際に「ジョージア国民」 を代表しているかもしれないという考えは捨ててほしい! 「反民主主義的行動、例えば、クレムリン流の『外国代理人』法やジョージア政府高官の虚偽の供述など、EUやNATO加盟の基準に合致しない行動」 を理由に、ジョージア政府は厳しく非難された。メッセージはこれ以上なく明確である。「立派な主権を持っているじゃないか。我々に従わないなら、何かが起こっても知らんぞ」。我々とは、NATOやEU、つまり西側諸国全体、つまりワシントンを指す。

脅しは言葉だけにとどまらない。米国務省(別名「イスラエルに武器を、その他には制裁を」省)は、ジョージアに対して60以上の制裁を矢継ぎ早に課した。その理由はすべて、トビリシが、ワシントンが好まない法律を適切に、かつ合法的に制定したという大胆不敵さによるもので、具体的にはバイデン大統領が「外国代理人法」と誤って表現した「外国の影響力に関する法律」である。さらに悪いことに、ジョージア政府は、欧米諸国が「市民社会」として賞賛される街頭での暴力行為の扇動にずっと力を注いでいたにもかかわらず、この法律を可決した。

しかし、トビリシは行動せざるを得なかった。欧米諸国が外国からの支援を悪用してジョージアの政治に干渉しようとする執拗な試みにより、ジョージアでは人口400万人足らずの国に2万5000もの組織が存在するという、肥大化し、不均衡なNGOの分野が増大した。多くの小規模なNGOは誠実な活動を行なっているが、少数の大規模な組織は、欧米の影響力を強引に浸透させる役割を果たしている。 最近の重要な分析によれば、「草の根の支持」 によらず、「ジョージア国民に対する大きな影響力」を握っていると指摘している。「選挙で選ばれていないNGOは、国際機関からその権限を得ている」「彼らが生活にこれほどまで侵入してくる役割を果たしているにもかかわらず、市民に対して説明責任を負うことはない。この状況は、ジョージア国民の行動力と、同国の主権および民主主義を損ねている」。

同じ分析によると、現行のジョージアの法律はこの問題に対する正しい答えではないと主張している。そのとおりかもしれないし、そうでないかもしれない。どの政府も効果的な法律や、それほど効果的でない法律を制定する。重要なのは、合法的に進められる限り、どの政府にもそうする権利があるということだ。これは明らかにトビリシの場合に当てはまる。あるいは、もし他の、よりうまく運営されている国が、その質のひどさゆえに干渉する権利を主張した場合、米国の法律は、どのように進められるだろうか? 例えば銃や学校、医療に関してである。

また、米国の外交政策に批判的な目を向ける、米国ではかなり限定的な出版物である『Responsible Statecraft(責任ある政治)』誌の最近の論文が正しく指摘しているように、トビリシが外国からの支援を透明化する法律を制定したことは、決して「本質的に非民主的」でも「ロシアの影響を受けた」ものでもない。実際には、この法律の要件は控えめであり、米国の強引なFARA法*を含む欧米の法律が求める要件よりも緩やかな場合も多く、妥当なものである。実際、この法律は非常に妥当であり、ジョージア国内および国外でこれに強く反発している人々が何を隠そうとして、何を失おうとしているのか不思議に思わざるを得ない。
FARA法*・・・(Foreign Agents Registration Act)外国代理人登録法は1938年に可決された米国の法律で、「政治的または準政治的権能を持つ」 外国勢力の利益を代表するエージェントが、その外国政府との関係および活動内容や財政内容に関する情報を開示することを義務付けたものである。(ウィキペディア)

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関連記事: EUは、自分たちがどれほど自分たち自身を追い詰めてしまったかに突然気づいたのだろうか?

良いニュースは、トビリシの指導者たちも、米国の干渉を公然と非難することを恐れていないことだ。ジョージア議会の議長であるシャルヴァ・パプアシュヴィリ氏は、アメリカがジョージアに対して取っている態度は、公式にワシントンとトビリシの間にあるとされる「戦略的パートナーシップ」には一致しないと公言している。むしろ、アメリカのエリート層はジョージアの「パートナー」 に対して、「不当な非難」、敵対的な物語、見下した態度、そしてアメリカの利益を押し付けようとする試み、そしてもちろん制裁を行なっている。

制裁について言えば、トビリシはもう十分だ。最近の制裁の波は、事実上の多数派ブロックを構成する議会の一員が公然と非難したように、次期選挙に対する「粗野な干渉」である。これは事実であるだけでなく、米国が意図的に行んなっていることでもある。EUのビザ脅しと同様に、ワシントンの制裁攻撃のタイミングには何の偶然もない。コバヒゼ首相が米国大使に、米国の制裁依存症がジョージアと米国の関係を「危機的状況」に追い込んだと警告したのも当然である。ワシントンがさらにこのような決定を下せば、トビリシは米国との関係を「大幅に再評価する」可能性があると警告した。

それは確かに必要であり、避けられないことなのかもしれない。そして、その理由は最終的にはジョージアとは何の関係もない。それは、他国の主権は実際には現実的ではないという妄想から抜け出せない西側のエリートたちの、終わりのない思い上がりに他ならない。最終的に重要なのは、西側が何を望むかということだ。そして、もし望むものが手に入らなければ、脅迫、制裁、干渉が実行される。このような病的な振る舞いは、欧米では日常茶飯事となっている。それを断ち切るには、何度も何度も失敗させるしかない。ジョージアが欧米の新たな敗北となることを期待しよう。

ボリス・ジョンソン元英国首相はオランダの工場からアストラゼネカ社製「ワクチン」の窃盗計画を立てていた!

<記事原文 寺島先生推薦>
Ex-UK PM reveals planned ‘invasion’ of NATO ally
ボリス・ジョンソン元英首相は、COVID-19のパンデミック中にオランダの工場からアストラゼネカのワクチンを盗む計画を国防当局に考案させていた、と発言
出典:RT 2024年9月29日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年10月5日


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英国ロンドンのCOVID-19調査センターの外に駐車されたバン、2023年12月。© ゲッティイメージズ/ マイク・ケンプ/イン・ピクチャーズ


英国のボリス・ジョンソン元首相は、2021年に英国とEUと間で論争が続く中、オランダでCOVID-19ワクチンを盗む秘密作戦を計画するため国防当局者を集めた、と述べた。

その工場には、オランダのハリックス工場の下請け業者が製造したオックスフォード・アストラゼネカ社のワクチン約500万回分が保管されていた。EUはEU圏内の市民のために必要であったことを理由に、英国へのワクチンの送付を拒否していた。

デイリー・メール紙が土曜日(9月29年)に報じたジョンソン首相の回顧録からの抜粋によると、英国防当局者は首相官邸に集まり、「実現可能な」計画の概要を示したが、外交上の悪影響が出る可能性も警告していた、いう。

その計画は、ひとつの集団がアムステルダム行きの民間航空機に乗り、もう1つの集団は夜間に小型ボートで英仏海峡を渡り、オランダの運河を進んで工場に向かう。それからこれらの集団は「人質の品物を確保」するために合流し、貨物トラックで英仏海峡の港に向けて出発する、というものだった。ジョンソン元首相は、国防当局者から、ロックダウンの最中にこの行為を見破られずに達成するのはほぼ不可能だと警告された、と述べた。

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関連記事:UK’s Covid-19 jab victims not ‘disabled enough’ – Telegraph

「もし発見されれば、長年のNATO同盟国に事実上侵入している行為について理由を説明しなければならなくなるでしょう」と、ある国防高官が述べた、という。

2019年にEU離脱をめぐる長期にわたる膠着状態に終止符を打ちEUを離脱すると公約して当選したジョンソン元首相は、EU当局がワクチンを「誘拐」したと考えていた、と記した。

「EUは我々を悪意と意地悪で扱っているという結論に達しました」と同元首相は述べ、英国は「EUよりもはるかに速い速度で国民にワクチン接種をおこなっており、欧州の有権者はずっと前からそれに気づいていました」と主張した。

アストラゼネカ社はその後、同社のCOVID-19ワクチンが一部患者に血栓や血小板減少症を引き起こす可能性があることを法廷で認め、世界中での流通から同ワクチンを撤回した。

ベルギーの首都で数千人の抗議デモ、ドイツ企業「アウディ」が大量解雇!!?ロシアに対する制裁の「ブーメラン効果」

<記事原文 寺島先生推薦>
Thousands in Brussels protest German car giant’s job cuts
ブリュッセルのアウディ工場は中国と米国との激しい競争により閉鎖の危機に瀕している
出典:RT 2024年9月17日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年9月24日


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© Global Look Press / IMAGO/フィリップ・レイナーズ

ドイツの自動車製造業者、アウディ社がベルギーの首都ブリュッセルの工場を閉鎖すれば職を失う恐れのある自動車労働者を支援するため、数千人のデモ参加者が月曜日(9月16日)にブリュッセルの路上に集結した。

AP通信は地元警察の話として、約5500人がブリュッセル北駅に集まり、欧州議会に向かって行進した、と報じた。ブルームバーグ紙によると、ブリュッセル市内のアウディ従業員3000人のうち、早ければ来年にも90%が解雇される見込みで、その大部分がデモを主導した、という。

この抗議活動は、このドイツの自動車製造業者がブリュッセルで組み立てられている高級車Q8e-tronの需要が劇的に減少したと発表し、現地の製造工場が物流と生産の経費高騰に悩まされていると警告してから2カ月後に起きた。

今月初め、アウディ・ブリュッセルの広報担当者ピーター・ドゥーレ氏は、この施設は同社の他の工場向けの部品製造に使用できるため、必ずしも工場を閉鎖するわけではない、と述べた。

AP通信によると、ブリュッセル工場で働く人々の多くは電気自動車の生産に従事しており、中国や米国との競争が激化する中、EUは電気自動車を画期的な分野として積極的に宣伝している、という。

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関連記事:Germany destroying its car industry – Putin

今月初め、アウディを所有するドイツ最大の自動車製造業者、フォルクスワーゲン・グループは、国内の雇用保証制度を終了し、同社史上初めて国内の工場を閉鎖し、大量解雇を実施する計画を発表した。この動きについて、最高経営責任者のオリバー・ブルーメ氏は、EU自動車業界が直面している大きな課題は、4年前のパンデミックとアジアの競合企業の市場参入に起因する、と述べた。

ドイツの自動車産業は、景気刺激策を禁じる同国独自の予算制限と、安価なロシア産エネルギーの輸入拒否により、過去5年間苦戦を強いられてきた。ドイツがロシアからの安価なガス供給を失って以来、フォルクスワーゲン・グループや他の自動車製造業者の競争力はエネルギー価格の高騰によって損なわれている。

英国も既にファシズム時代!元外交官がイスラエル批判で逮捕!!

<記事原文 寺島先生推薦>
“The UK Has Criminalized Dissent”: The Transition of Britain and the West Into Tyranny. Former British Ambassador Craig Murray
筆者:クレイグ・マレーとポール・クレイグ・ロバーツ博士(Craig Murray and Dr. Paul Craig Roberts)
出典:Global Research 2024年9月19日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2024年9月24日


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以下は、英国および西側諸国全般が専制政治へと移行した様子を語った、元英国大使クレイグ・マレー氏の演説(下の動画)の要約だ。

英国は反対意見を犯罪とみなしている。

新しい治安維持法では、集会やデモが誰かに「迷惑をかける」場合は開催が違法となる。これにより、国はあらゆるデモを取り締まる無制限の権限を持つことになる。

新しい治安維持法では、「敵対国」からの資金提供を受けることは違法とされている(「敵対国」の定義はない)。

新しい治安維持法では、「誤報」を公表することは犯罪と定められている(「誤報」の定義はなく、政府が決定する)。

すべては言説の統制に関することだ。シオニストのロビー団体は西側諸国が出す公式見解に大きな影響力を持っている。

西側諸国の国民はイスラエルを大量虐殺で非難することが許されていない。そうすることはますます「テロリスト」であることと同一視されるようになっている。

反テロ権限は、イスラエルに対するいかなる批判も阻止するために使用されている。

元英国大使のマレー氏は、アイスランドでの親パレスチナデモに参加したため、「テロ対策法」に基づき空港で逮捕された。

テロ対策法の下では、空港で逮捕された場合、黙秘権も弁護士を雇う権利もなく、電子機器をすべて、パスワードを含め引き渡さなければならない。

電子機器の引き渡しを拒否した場合は懲役2年となる。

質問に答えることを拒否すれば懲役2年だ。

対テロ法に基づき、パリの教授や数人の独立系記者など多くの人が拘留されており、彼らもマレー氏と同様に拘留されている。

人々をロシアと結びつけようとする試みは続いている。FBIはパレスチナ支持デモでマレー氏と話した米国民教授を拘束し、彼の電子機器をすべて押収した。

言論の自由、集会の自由、そしてあらゆる形態の反対意見に対する弾圧は、西側諸国全体でますます頻繁に起こっている。

西側諸国は「自由と民主主義」の重要性を声高に主張する一方で、自国民の自由を制限し、完全な専制政治へと向かっている。


マクロン大統領の追放は実現するか!!?

<記事原文 寺島先生推薦>
Macron impeachment resolution approved
フランス議会は、大統領が少数派勢力から首相を任命したことを受けて、前例のない措置を講じた。
出典:RT 2024年9月17日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年9月24日


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フランス大統領エマニュエル・マクロン。© AP Photo/Geert Vanden Wijngaert

フランスのエマニュエル・マクロン大統領を弾劾する提案は、同国議会で大きな手続き上の障害物を乗り越え、委員会での審議に進むことになる。

今夏の議会選挙で国民議会の最多議席を獲得したものの、過半数には達しなかった新人民戦線(NPF)連合は、マクロン大統領が同党の首相候補リュシー・カステ氏を無視したことを受けて、今月初めにこの措置を発表した。

代わりに、マクロン大統領は、国民議会577議席のうち61議席しか持たない右派政党「共和党」所属の元EU委員ミシェル・バルニエ氏を任命していた。

マクロン大統領弾劾の提案にはNPF議員80名以上が署名し、国会議員577名の少なくとも10%の支持を得るという憲法上の要件を満たした。月曜日(9月16日)、NPFの提案は国会運営機関である国民議会事務局で12対10の投票で承認された。

「素晴らしいニュースです。普通選挙の投票結果を拒否すれば、マクロン氏にとって何の影響もないままではいられないでしょう」と、最大の連立相手であるフランス不屈党(LFI)のジャン=リュック・メランション党首はXに投稿した。

この提案は今後、法務委員会に送られ、審議されることになる。議会は、いつになるかはわからないが、委員会の結論が出てから2週間以内に、提案を議題に載せる義務がある。

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関連記事:Thousands rally against new French prime minister (VIDEOS)

この決議が議会の議題に上れば、第五共和政の歴史上初めて国民議会が国家元首の罷免を議論することになるだろう、とフランスの報道機関は指摘している。

マクロン大統領の弾劾には国民議会の3分の2、つまり385人の議員の賛成が必要だ。しかし野党全体を合わせても364議席しかない。弾劾決議が承認されれば、決議案は上院に送られ、そこで232票が必要になる。

マクロン氏は、7月の議会選挙第2回投票で、右派ポピュリストの国民連合(RN)が勝利する可能性が高まったため、NPFとの戦略的同盟を結んだ。その結果、NPFが180議席で首位に立ち、マクロン氏の連合が159議席で続いたいっぽう、RNの議員数は142人にまで減少した。RN支持を巡って分裂した共和党(LR)は、わずか39議席しか獲得できなかった。

大統領は当初、技術的な権限でガブリエル・アタル氏を首相に留任させることを決定し、その後9月5日にLRのミシェル・バルニエ氏を首相に任命した。

ライナー・フュルミッヒの事例はナチス・ドイツの再現と言わずしてなんと言おうか。

<記事原文 寺島先生推薦>
The Case of Reiner Fuellmich Is Representative for a New Nazi Germany
筆者:ピーター・ケーニヒ (Peter Koenig)
出典:GR 2024年9月5日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年9月17日


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9月6日午前2時30分(米国東部時間)、若干の修正あり


ドイツの公民権弁護士であるライナー・フュルミッヒ博士は、公判前拘留という形で、11カ月間、不当に刑務所に拘禁されている。犯罪者のように、彼は手錠と足かせだけをつけ、2人の武装した警備員を伴って刑務所を出ることができる。

彼は何の罪も犯しておらず、裁判も受けていないが、政治犯であり、政治裁判を待っている。欧米が傲慢にも発展途上国と呼んでいる国の出来事であれば、「カンガルー裁判を行なうカンガルー裁判所」と呼ばれるだろう。

3日前ライナーの母親が亡くなった。彼女は病気で末期だった。ライナーは裁判所に、最後の数時間を母親と過ごして別れを告げる許可を求めた。彼は、手錠と足かせをかけられ、2人の武装した警備員を同伴するという条件でのみ許可を得た。

ライナーは拒否した。彼は、母親が人生の最後の瞬間に、このような非人道的な状況に置かれた息子を見て苦しむことを望まなかった。だから彼は拒否した。

それは、ドイツが再びナチスの専制政治に戻ったことを物語っている。

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詳細はこちら:Judicial Scandal in Germany: The Reiner Fullmich Case By Wolfgang Jeschke, September 04, 2024

以下はこの記事からの引用:

 「カーステン・シンドラー(裁判官)は、公民権活動家ライナー・フュルミッヒ博士に対する裁判を指揮している。同弁護士は当初、憲法裁判に関心があるかのような印象を与えていたが、彼の最新の「手品」(C.ミゼレ弁護士の言葉)は、裁判傍聴者、国際人権活動家、弁護士たちに衝撃を与えた。シンドラーの名前は、ドイツ法史上最も奇妙な事件のひとつとして、将来記憶されることになるだろう:ドイツ連邦共和国(FRG)がメキシコから公民権活動家を不法に拉致し、でっち上げの裁判にかけた事件である。

コロナ委員会の資金管理に関して、フュルミッヒが実質的な唯一の代表権を持っていたことが株主総会決議に基づいて証明されると、裁判所は迫害されているフエルミッヒを有罪にする新たな方法を探した。フュルミッヒの弁護士カーチャ・ヴェルマーはこうコメントした:「この主張がもはや不可能になったとき、地裁は単に代理権の乱用として刑事犯罪の正当性を解釈し直したのです」。


つまり、まず裁判所は、迫害された人物[フュルミッヒ博士]には職務を遂行する権限がなかったと主張した。その後、フュルミッヒ博士が実際に職務権限を有していたことが判明すると、裁判所は見解を変え、職務権限を有していたにもかかわらず、職務権限を濫用したと述べたのである。

*

ライナー・フュルミッヒの指導を受け、その後コロナ委員会のパートナーとなったヴィヴィアン・フィッシャーは、彼を裏切り、フュルミッヒ博士のコロナ委員会の他の元協力者の協力を求めるために「当局者たち」から報酬を得ていた事実を度外視するわけにはゆかない。

これが今日のドイツ当局者たちのやり方だ。良心の呵責はない。いわゆる「当局者」は、コロナウイルスによって犯した犯罪や、自らの良心に重くのしかかる多くの命を知っている。したがって、「何が何でも私たちはこのやり方を最後まで押し通さなければならない。途中でやめるわけにはゆかないし、人間的になることも許されない」と感じている。

もちろん、その命令は上からのものである。しかし、ドイツにはそのような圧力に抵抗し、西ヨーロッパの自然な東のパートナーであるロシアと協力し、平和と自由なヨーロッパへの道を導く経済力を持つ可能性はあった。―ワシントンの牙から解放されて。

その上、実際的かつ歴史的な理由から、ロシアはヨーロッパの国である。同時に、地球最大の地域であるユーラシアとのつながりもあり、約5500万平方キロメートル、つまり地球の総陸地面積の3分の1以上を占め、そのほとんどが隣接している。ユーラシアには世界最大の国ロシアもある。ユーラシアの人口は優に54億人を超え (2023年)、世界人口の約2/3に相当する。

ドイツとロシアの地政学的・経済的な結びつきは、200年も前にそうであったように、大ユーラシア経済市場の新たな門戸となるだろう。それは、自称アメリカの覇権主義者にとって悲惨なことだ。だからこそ、あらゆる手段を使って阻止しなければならない。核戦争も辞さないだろう。

ライナー・フュルミッヒ博士の事例は、今日のゲシュタポ・ドイツを象徴している。それは80年以上前、アドルフ・ヒトラーがまずドイツで、次いでヨーロッパの大部分、さらには北アフリカで権力を握り、当時のソビエト連邦を征服しようとして失敗した時代を彷彿とさせる。

第二次世界大戦中、ヒトラーはすでに連邦準備制度理事会(FRB)から資金を得ており、特にソ連に対する侵略行為を行なっていたことに注目すべきである。ソ連はナチス・ドイツに対する西側の同盟国だった。これは「同時に複数の結婚式で踊る」と呼ばれるもので、帝国が決して負けないために使う古くからの戦術である。

西ヨーロッパの解放のために、そしておそらくアメリカの「自由」のために3000万人もの命を犠牲にしたソ連のおかげで、私たちは半世紀以上にわたってかなり平和で、ほとんど「民主的」と呼べるようなヨーロッパを手にした。

しかし、ごく一部の特権階級の、ほとんど優生学的な考えを持つ億万長者、エリート主義者たちによる偽札、偽札の創造と蓄積、根拠のない貨幣創造、1913年の詐欺的な連邦準備法に根ざしたこれらのエリート主義者たちは、今また偽りの財政力を利用して世界を買収し、同じく非常に腐敗しやすいと思われるドイツを通じて、今日のロシアを征服しようとしている。

欧州連合(EU)という人為的に作られた傀儡国家を含む欧米諸国は、米国が仕掛けたウクライナによるロシア(欧州国家の一国)への戦争が、欧米諸国によるロシア制圧の代理戦争になると信じている。

全てのドイツ人が腐敗しているわけではない。しかし、腐敗の「最高」つまり「最低」の記録を持ち、評判も悪い人物が、現在ドイツと欧州委員会のトップに立っている。2021年12月以来のドイツ連邦共和国首相である元ハンブルク市長のオラフ・ショルツ、そして、選挙を経ていない欧州委員会のトップである元ドイツ国防大臣のウルズラ・フォン・デア・ライエンである。いずれも国民によって選ばれたわけではない。ショルツ氏はドイツ連邦議会(Bundestag)によって「選出」されたものの、それはドイツ連邦大統領の推薦によるものであり、しかも討論なしに選出されている(ドイツ憲法第63条)。

欧州連合における2つの主要人物は、腐敗したドイツの工作員である。彼らはドイツと欧州委員会を通じて欧州連合をワシントンの意向で1世紀余りで3度目の崩壊へと導こうとしているのだろうか?

そして、トランプかカマラかに関わらず、次の大統領が誰になるにせよ、ワシントンで実権を握るのは誰なのか? それはシオニストである。

本稿は、人権のために誠実な戦いを続ける人物であるライナー・フュルミッヒ博士が、黒を白と言いくるめてでも、なぜ沈黙させられなければならないのかを説明するための、短い幕間である。

ドイツの裁判官はだれひとり、理性を働かせて無実のライナー・フュルミッヒを釈放することはできないだろう。そんなことをすれば、キャリアを棒に振ることになる。それではすまないことにもなる。

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詳細はこちら:Judicial Scandal in Germany: The Reiner Fullmich Case By Wolfgang Jeschke, September 04, 2024



つまり、これが我々の今現在立っている地点であり、ドイツが今現在立っている地点である。

今日のネオ社会主義、つまり「ナチズム」へ急速に傾斜する高速道路を、見抜いているドイツ人はほとんどいない。いやもっと適切にいえば、そんなことに目をくれたくもないのだ。それは80年前のそれよりも洗練され、もっと破滅的な形をとる。

自分の権利のために声をあげる勇気を持たない同じ人々―当時は、ヒトラーの脅しによって沈黙させられた―が、今日、政府による「COVID犯罪」によって沈黙させられている。そして、彼らは、政府の公式見解と異なる意見を表明することはさらに悪く、命取りになりかねないと知っている、あるいは知っていると思っている。

ライナー・フュルミッヒのために祈り、できる限りのことをしよう。世界的な正義が勝り、最終的には太陽の光がドイツや西側諸国の専制を凌駕することを祈ろう。

正義は勝利しなければならない

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ピーター・ケーニヒは地政学アナリストであり、元世界銀行および世界保健機関 (WHO) のシニアエコノミストであり、30年以上にわたり世界各地で働いてきた。著書に『Implosion–An Economic Thriller about War, Environmental Destruction and Corporate Greed』がある。Cynthia McKinney著「中国がくしゃみをするとき:コロナウイルスのロックダウンから世界の政治経済危機まで」(Clarity Press–2020年11月1日)の共著者でもあります。
ピーターは、Centre for Research on Globalization (CRG) のリサーチ・アソシエイト。また、北京の人民大学重陽研究所の非居住シニアフェローでもあります。


ロシア隣国の主権国家としてあるべき姿を示しつつあるジョージア(旧称グルジア)

<記事原文 寺島先生推薦>
Has this little country cracked the code of post-Soviet politics?
米国が旧ソ連諸国に完全な自己犠牲を要求したとき、ジョージアはそれに逆らった。
筆者:ティモフェイ・ボルダチェフ(Timofey Bordachev)
ロシアの国際的な討論組織であるヴァルダイ・クラブの計画部長
出典:RT 2024年9月6日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年9月13日


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ジョージアにおける政府の「外国の影響の透明性」法案を支持するデモ © Getty Images / Getty Images


ジョージアと西側諸国の関係は、すでに困難だったが、先週、与党「ジョージアの夢」党首が米国と欧州連合による野党への資金提供は「一線を越える」に等しいと述べたことで新たな展開を迎えた。

選挙が近づく中、同党の事実上の指導者と広くみなされ、名誉議長も務めるビジナ・イヴァニシビリ氏は、西側諸国が同国の内政に干渉している、と非難した。国家反汚職局長もつとめる同氏は、西側諸国が一部の非政府組織に資金援助していることは野党へ不透明な資金援助をおこなっていることと同等だ、と付け加えた。

これらの発言で最も面白い点は、ジョージア当局が述べた内容の主旨が、海外の政治動向に対する米国の影響力行使の最も一般的な、そして普遍的に受け入れられている方法だ、という点にある。「自由民主主義共同体」の一員であると主張する国々で、この事実について公然と語る勇気のある国がいなくなったのは、ここ30年ほどのことである。そしてジョージアもその 1 つだった。特に、NATOとEUへの加盟という目標を放棄した国はひとつもないことを考えると、なおさらである。

ジョージア当局者たちは、アメリカによって全ての人に課せられた基本的な世界秩序(すなわち、国連の法律と規範は全ての人に適用されるが、アメリカ自身には適用されない、という)に真っ向から背馳する自由をとっている。そして、この事例は遠く離れたアマゾンで起きているのではなく、ロシアの隣国で起きていることなので、ジョージアの現象の性質とその見通しは、私たちの興味をそそらないはずがない。

今のところ、ジョージアはロシアの西側の主要な敵対国にとって、多大な資源を費やすほど重要な戦利品ではない。しかし時代は変わりつつある。米国とEUが将来、より断固とした行動を取らないなどと我々自身が決めつける訳にはいかなくなっている。例えば、米国とEUの主な手段である、彼らが望ましくないと考える政治体制の暴力的転覆に訴えることもありえるだろう。

だからこそ、ジョージアの政治家たちの最大の関心事は、そしてロシアでも同じことが言えるが、現在、治安機関を統制し、多額の対外借り入れに頼ることなく主要な開発課題に資金を提供できる、効果的な国家を築くことだ。

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関連記事:Here’s why Russia won’t talk to Ukraine

なぜなら、西側諸国のもう一つの手段は、いわゆる国際金融機関に対する各国の負債を武器にすることだからだ。最も顕著なのは世界銀行とIMFで、その政治的目的は米国政府によって決定される。

今後数か月、あるいは数年にわたって、ジョージアとその国民は、非常に困難で危険な道を歩まなければならないだろうが、国家の安全と存在そのものを危険にさらすことにはならないだろう。彼らには一定の利点があるため、成功する可能性が高い。

第一に、ジョージアには比較的高い政治意識と国家としての伝統の存在がある。ジョージアの人々は、ペルシャやトルコの支配下を含むさまざまな歴史の時代を生きてきた。しかし、これらの状況下でも、地方の国家としての伝統は生き続けた。この点で、ジョージアは、たとえば、1920 年にボルシェビキに敗北するまでブハラ首長国の自治が維持されたウズベキスタンと比較できる。そして、そのような伝統がまったくなかった旧バルト諸国やウクライナ領土よりも、ジョージアには確かに利点がある。このような歴史的道のりにより、経験とある種の知恵が蓄積されており、さらにはこの地域特有の南方気質も利点として有している。

第二に、ジョージアはソ連崩壊後に民族主義者が政権を握った旧ソ連諸国の中で、最も不運な国だったことがある。ジョージアはほぼすぐにアブハジアと南オセチアの2つの地域の支配権を失い、2008年にはロシアと直接衝突した。その教訓は生かされたようだ。数年後、後者の衝突を引き起こしたトビリシ政権は崩壊し、実利的な実業家イヴァニシヴィリ氏率いる「ジョージアの夢」党が政権を握った。

外交政策は徐々に常識と地図上の国の位置づけの方向へと修正され始めた。同時に、トビリシとその西側諸国という資金提供者の間の矛盾は拡大し始めた。現在、これらの関係は1991年にジョージアが独立して以来最悪の状態にある。

「ジョージア第一」政策は米国政府の望みとは相容れない。米国はロシアとの対立を煽り、旧ソ連諸国に全面的な自己犠牲を要求してきた。しかし、ジョージア政府は自国の利益にかなう現実的な政策に転換した。

アルメニアとバルト諸国は、それほど幸運ではなかったことに注意すべきである。アルメニアの場合、独立当初は外交政策の勝利の時代であったが、最終的には深刻な失望に終わった。バルト諸国の場合、支配者の国家主義は西側諸国から全面的に支持され、特にNATOの仮想的な「安全保障の傘」の下で繁栄した。いっぽう、ジョージア国家は、困難な道のりを歩まなければならなかった。

最後に、ジョージアは主要経済国間の貿易経路の交差点という比較的有利な地理的位置にある、という点が挙げられる。独立当初、ジョージア政府は米国に領土を売却し、ロシアとイランに対する軍事基地として利用することを望んでいた。現在、ジョージア当局は自国の地理を平和目的に利用し、ロシアやトルコ、西ヨーロッパを結ぶ架け橋のような存在となっている。

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関連記事:A slap in the West’s face: Why hopes for Putin’s arrest were a fantasy

その証拠は、ジョージアへのドイツの輸出量の増加である。ドイツ連邦共和国の統計局の最新データによると、輸出量は2002年2月以来3倍に増加しており、月間3000万ユーロから9000万ユーロに増加しており、その大半は機械やその他の設備である。

同時に、ジョージアは軍事的にも戦略的にも、東ヨーロッパのNATOの主要橋頭保から十分離れており、バルト諸国やウクライナよりも侵入が難しい。いっぽう、隣国トルコ当局は、自国のすぐ近くに新たな火種を置くことには関心がなく、仲介者や投資先としてジョージアを捉えている。

こうした利点を生かして、ジョージア指導部は自ら、そして近年生活が目に見えて改善した国民に、国の運命を決める責任を負わせた。こうした取り組みに関連して、ここ数カ月、ジョージア政府と西側諸国の間で最大の争点となっているのが、 6月初旬に採択された「外国の影響透明性法」だ。この法律は、海外から資金援助を受ける組織に外国代理人として登録することを義務付けている。

この法律の成立には、何ヶ月にもわたる抗議活動、西欧諸国の政府高官の訪問、そしてEUの非難決議が伴った。議会は最終決定を下すために大統領の拒否権を覆さなければならなかった。この一連の運動を通じて明らかになった主なことは、ジョージア政府が自国の治安機関を統制する能力を十分に備えているということだった。2014年2月にウクライナで起きたことや2020年のベラルーシの経験を考えると、これはジョージア与党の最も重大な成果の一つ、と見ることができる。

ジョージアでは今年10月に議会選挙が行われ、親欧米派の街頭暴徒だけでなく、すべての国民が最終決定権を持つことになる。ある意味でジョージアは、ロシアに対して特に好意的な感情を抱かずに、同時にロシア側に何の懸念も与えないことがいかに可能であるかを示す例となっている。後者こそが、我が国ロシアが最も近い隣国に主に望むことなのである。

この独立姿勢がどのくらい続くのか、またロシアが将来的に他の近隣諸国にも同様に予測可能な姿勢を促せるかどうかは、まだ不明だ。現在、ジョージアの姿勢は西側諸国からは嫌われているが、ロシア側からは歓迎されている。いっぽう、ロシアが独立国家として認めているアブハジアと南オセチアの分離独立の立場は、将来問題を引き起こす可能性がある。

この記事の初出は「Vzglyad」紙。RT編集部が翻訳および編集をおこなった。

イタリアの国営放送が、ナチスの記章入りの帽子を被っていたウクライナ兵を取材

<記事原文 寺島先生推薦> 
Italian state media reporter apologizes over Nazi SS broadcast
ライ・ニュースの記者が先日、SSの記章を身に着けていたウクライナ軍人にインタビュー
出典:RT 2024年8月19日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年8月27日


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ロシアのクルスク地方での戦闘任務から帰還した米国のストライカー装甲車を検査するウクライナの兵士 @ Kostiantyn Liberov/Libkos/Getty Images


先日、ナチスの記章を身に着けたウクライナ兵にインタビューしたイタリア人記者が謝罪した。

イタリア国営放送ライ・ニュース24のイラリオ・ピアグネレッリ記者は、このインタビューを「深く後悔している」と述べたが、同記者はこの騒ぎが、ソーシャルメディア上での親ロシア派によるプロパガンダの道具に使われている、と非難した。

オンラインで出回っている報道からの抜粋では、ピアグネレッリ記者が、第二次世界大戦後にニュルンベルク裁判において戦争犯罪で有罪判決を受けた部隊である「ライプシュタンダルテ・アドルフ・ヒトラー」SS師団の記章が飾られたカーキ色の帽子をかぶった男性と話しているのを見ることができる。この動画には「ライ・ニュース 24」の透かしが入っている。しかし、月曜日(8月19日)の朝の時点で、この映像はピアグネレッリ記者のXアカウント上で表示されなくなった。


たとえ数秒であっても、報道が放映された後にナチスの記章が入ったワッペンをつけていることを私が気づいていたウクライナ兵に声をかけたことを深く後悔しています」ピアグネレッリ記者は月曜日(8月19日)にXに書いた。

私はナチスドイツと戦ったパルチザンの祖父のもとで育ちました。実の祖父です。ですので私は、侵略者と被侵略者、抵抗する者と占領する者を何の疑いも持たず区別することができます。私は憲法の大切さについての教育を受けてきました」と。

ピアニェレッリ記者はさらに、「イタリアには、ロシア政府とつながった侵略支持派の組織があり、その組織は私や他の特派員の仕事の信用を落とすために全力を尽くしています。これら組織は今回のことで驚いたふりをしていますが、この件を利用して反ウクライナ宣伝に使える手ごわい論拠を見つけだしたのです」と主張した。



ロシア外務省は、ライ・ニュースを「新たな低迷に沈んでいる」と非難し、マリア・ザハロワ報道官は「西側報道機関は、ウクライナのネオナチを意図的に更生させ、ニュルンベルク裁判の評決を改ざんしようと引き続き取り組んでいる」と述べた。

ピアグネレッリ記者は既に「ブチャの事件とプラヴィ・セクトル(右派セクター)党員の死んだネオナチについての記事で頭角を現していたが、今や新たな深みに沈んでしまった...」と同報道官は主張した。

今度は、ピアグネレッリ記者が、SS装甲擲弾兵師団『ドイツ親衛隊』の記章を身につけたウクライナのナチを撮影する可能性がある」とザハロワ報道官は、西ヨーロッパで最悪の第二次世界大戦の虐殺を実行したことで悪名高い部隊を言及して述べた。

週末、ライ・ニュースは、ロシア側がロシアのクルスク地方での違法な存在に対する刑事捜査を開始した後、2人の記者をイタリアに呼び戻した。水曜日(8月19日)、同放送局は、ウクライナ軍に潜入した記者団がロシア領の奥深くまで進入し、ウクライナの国境を越えた地域への攻撃に関するテレビ報道を放映していた。

ドイツはノルドストリーム爆破事件について全面的な情報開示を提供せよ - ラブロフ外相

<記事原文 寺島先生推薦>
Germany must provide full disclosure over Nord Stream bombings – Lavrov
ロシア政府は、パイプライン破壊工作に関するドイツ政府の調査に対して、義務を果たさなかったとして、ドイツ政府を非難する申し立てを提出
出典:RT 2024年8月19日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年8月27日


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ロシアのセルゲイ・ラブロフ©外相 Getty Images / Adam Gray


ドイツは、ノルドストリーム・パイプラインの破壊工作に関する事実を隠すのをやめ、事件の調査について完全な透明性を提供しなければならない、とロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は主張している。ロシア側は、爆破事件に関するドイツ側の調査に対して、既に公式に苦情を申し立てている。

ロシアの天然ガスをドイツや西ヨーロッパの他の地域に輸送するために使用されていたノルドストリーム1および2パイプラインは、2022年9月にデンマークのボーンホルム島近くのバルト海で一連の爆発が発生し、破壊された。犯人はまだ公式には特定されていない。

ロシア側は、米国政府が攻撃を画策したと非難しているが、ウクライナ政府は、ロシアが自国の生活基盤施設を爆破した、と主張している。いっぽう、欧米マスコミの一部は、破壊工作は「親ウクライナ派集団」によって実行された、と主張している。

月曜日(8月19日)に発表されたイズベスチヤ紙とのインタビューで、ラブロフ外相は、事件を調査してきたドイツは「発見できなかったはずのない事実を提示することを断固として拒否するのをやめなければならない」と語気を強めた。

同外相はまた、ロシアが公式に要求した情報が公式に提示されるのではなく、ニュース記事で報じられた点を指摘し、そのため「これらすべてのことは演出されているのではないかという疑惑」が引き起こされ、「この作戦全体が(攻撃の)真の実行者や犯人、依頼者」から「世論を何らかの形でそらすように設計されている」点を示唆した。

ラブロフ外相は、ロシア側は爆破事件に対する透明性のある国際調査を公式に主張するだろうと述べ、ドイツが国家としての発展に不可欠な長期的なエネルギー供給を奪われたことを「黙って受け入れる」ことは「恥ずべきことだ」と主張した。

ドイツはそれを黙って飲み込んだのです、何の声明も出さずに、です」とラブロフ外相は述べた。

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関連記事:Polish PM calls for Nord Stream scandal to be buried

ロシア外務省高官のオレグ・チャプキン氏はRIAノーボスチ通信に対し、ロシア側はノルドストリーム爆破事件の調査をめぐり、ドイツ側に公式に苦情を申し立て、「ドイツや他の影響を受けた国々が国連の反テロ条約に基づく義務を果たしているかについての問題を提起した」と語った。

同氏は、ドイツ当局が攻撃の容疑者1人として、ドイツの組織の一員であるとされるウクライナ市民に対して逮捕状を発行した点を指摘した。またチャプキン氏によると、ドイツの報道機関は、容疑者が特定の国とさえ関係がない可能性を示唆し続けている、という。

ドイツの捜査は「ノルドストリーム爆破事件の背後にいる真犯人を特定せずに終了する可能性が高い」とチャプキン氏は述べ、ロシアはこの結果を受け入れないだろう、と強調した。


英国の恥!!英国では15万人の子どもがホームレス!!!

<記事原文 寺島先生推薦>
UK government reveals ‘national scandal’
公式統計によると、イングランドでは15万人以上の子どもがホームレスになっている、という。
出典:RT 2024年8月8日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年8月13日


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ファイル写真:英国ロンドンの住宅慈善団体避難所の事務所、2024年7月3日。© Mike Kemp/In Pictures via Getty Images


英国は15万人以上の子供たちが仮設住宅で暮らしており、住宅危機に直面している、とアンジェラ・レイナー住宅大臣が述べた。

住宅・コミュニティ・地方自治省(MHCLG)が木曜日(8月8日)に発表した公式統計によると、3月時点で15万1630人の子どもがホステルやベッド&ブレックファースト(B&B)に住んでいたことがわかった。

我が国の記憶に残る中で最も深刻な住宅危機に直面しており、ホームレスは記録的な段階に留まっています。これはまさに国家的な恥です。この状況を解決するために緊急の措置を講じなければなりません」とレイナー大臣は声明で述べた。

住宅提供業者リバーサイドの運営副部長デイブ・ロビンソン氏はBBCに対し、イングランドのホームレスの子どもの数は現在、イプスウィッチ(15万1565人)、ブラックプール(14万9070人)、ヨーク(14万1685人)などの都市の総人口を上回っていると語った。

政府の統計によると、2004年に計画が開始されて以来、一時的な宿泊施設に滞在するホームレスの子どもの数は増加しており、2023年3月以降、その数は15%増加している。

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関連記事:British police arrest politician’s spouse over tweet

ベッド&ブレックファーストは、緊急時に最長6週間まで家族を泊めるためのものだが、子どものいる「何千」もの世帯は、それよりずっと長くそこにいる。彼らは「スーツケースで何か月、あるいは何年も生活し」、「どこにも根を下ろすことができません」と、住宅支援団体避難所のポリー・ニート最高責任者は国営放送BBCに語った。

「一時的な宿泊施設の利用率が高いのは、国の政策の失敗の結果であり、地方自治体はホームレスを最初から防ぐのではなく、ホームレスの結果に対処するために多額の費用を費やすことを余儀なくされています」と地区議会連絡網の住宅担当ハンナ・ダルトン報道官は述べた。

レイナー大臣はキア・スターマー首相の副官の一人であり、彼女の担当する省は先月、前内閣が「レベルアップ・住宅・コミュニティ省」と呼んでいたものから再編された。

政府は現在、地元の指導者らと協力し、「ホームレスを永久になくすための長期戦略を策定中です」とレイナー大臣は述べた。この戦略の一環として、レイナー大臣は「社会住宅と低所得者向け住宅の建設をこの世代で最大規模に増やす」こと、無過失立ち退きを廃止すること、そして最も危険にさらされている家族に住宅を提供するために数百万ポンドを費やすことを約束した。

移民問題や、それが住宅危機にどのような影響を与えるかについては触れられなかった。サウスポートの女子ダンスの催しでの集団刺傷事件をきっかけに、英国全土で過去1週間に数十件の反移民暴動が発生している。スターマー政権は「モスクやイスラム教徒居住地への攻撃を容認しない」と誓い、暴徒を取り締まるために「常駐」の警官を配備している。

ロシア語禁止で、エストニアの教師の20%が失職の怖れ

<記事原文 寺島先生推薦>
Most teachers in Baltic state fail language test after crackdown on Russian – media
エストニア、教育課程からロシア語を段階的に廃止することを公約
出典:RT 2024年7月11日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年7月25日


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© ゲッティイメージズ / クラウス・ヴェドフェルト


デルフィ・メディア社の報道によると、6月のエストニア語の語学試験に合格したのは、エストニアの教師の20%未満にすぎなかった、という。バルト三国の一国であるエストニアが、ロシア語話者に対する取り締まりを実施する中、この結果は新学期を前に教育の専門家の不足を引き起こす可能性がある、とのことだ。

エストニア当局は、教員らに対し、8月1日までに語学力の評価を受けるよう命じている。2年前に採択されたエストニア語教育への移行計画に基づき、ロシア語を用いて教員として勤務し続ける意思のある教師は、エストニア語の言語運用能力が、B2レベルまたは優秀段階でなければならず、エストニア語を用いて教えたい教員は、エストニア語の運用能力の上級段階(C1)の語学証明書を取得しなければならない。

デルフィ・メディア社は、6月にB2レベルの語学能力試験を受けた教師395人のうち、合格したのはわずか90人、つまり22.7%だった、と報じた。いっぽう、C1試験の合格者はわずか70人、つまり18%だった。

この結果は、エストニアの学校が来年度、最低限の語学力要件を満たす教師の不足に直面する可能性があることを意味している、と報じられている。

エストニアのクリスティーナ・カラス教育大臣はデルフィ社に対し、政府は今週後半にこの問題について協議する予定である、と語った。また、同省はB1レベルの能力試験に合格した教師に1年間の契約を提供し、B2レベルの試験に合格したら新しい契約に置き換えることができる、とも付け加えた。カラス大臣はまた、A1レベルの能力しか達成していない教師やエストニア語を学んでいない教師にはそのような機会は与えられない、とも述べた。

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関連記事:EU state won’t allow schools in Russian-speaking city to teach in mother tongue

2022年の法案では、エストニア全域の学校と幼稚園でエストニア語が教育言語となる。改革は2024~2025年度に実施され、2029年までに完了する予定。今年初め、エストニア議会はロシア語教育への資金提供を停止する計画を発表した。

ロシア系民族はエストニアの全人口のほぼ4分の1を占める。昨年、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は、同国の新しい教育法は、「教育における民族的および言語的少数派の権利に影響を及ぼす制限的で差別的な措置となる可能性がある」ことを示唆した。

ロシア政府は、エストニアと他の2つのバルト諸国、ラトビアとリトアニアが嫌露政策を推し進めている、と繰り返し非難している。今年初め、ラトビア政府は、同国の学校では2026年から初等教育における第2外国語としてのロシア語の授業を段階的に廃止し、EU公用語に置き換える、と発表した。

ラトビアで人権侵害。ロシア国旗を窓に掲げただけで3年の投獄

<記事原文 寺島先生推薦>
EU state jails citizen for supporting Russia
活動家のエレナ・クレイレ氏は、窓に親ロシアの旗を掲げたとしてラトビアの裁判所から懲役3年の判決を受けた。
出典:RT 2024年7月11日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年7月25日


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活動家エレナ・クレイレ氏© LTV Ziņu Dienests


ラトビアのリガ市裁判所は、親ロシア派活動家のエレナ・クレイレ氏に対し、ロシア政府とそのウクライナ軍事作戦を公然と支持した罪で懲役3年の刑を言い渡した。

ヤウンス通信が報じた裁判所の文書によると、検察は当初、クライレ被告に禁錮3年半を求刑していた。同被告は、ラトビア刑法の大量虐殺の公的正当化、人道と平和に対する罪、戦争犯罪に関する条項に基づいて正式に起訴された。

クレイレ氏は3月、ソ連風の革製トレンチコートを着て、ベレー帽に赤い花をつけていたことで逮捕された。当初は「行政違反の手段」となる服装をしていたとして罰金を科されたが、検察はその後、昨年自宅の窓に親ロシアの象徴を掲げたことでロシアによる大量虐殺を支持した罪でも彼女を起訴した。

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関連記事:Latvia’s national theater bans Russian language

検察官は特に、クレイレ氏がロシア国旗やロシアのリボンを掲げたことを問題視した。その一部には「神はラトビアを守護する」や「プーチンは私の友人」と書かれたものもあった。報道によると、彼女は他にもロシア国旗と同じ色のレンガの山をラトビア国旗に似たリボンで巻き、「ラトビアとロシアの揺るぎない友情の礎」というメッセージを刻んだものなど、いくつかの展示をおこなっていたという。

クレイレ氏は無実を主張し、判決に対して控訴した。ヤウンス通信によると、次回の審理は9月11日に予定されている、という。

昨年、この活動家は、ロシアとラトビアの国旗を店の窓に掲げ、ロシアへの支持を表明する衣服やアクセサリー、特に「Z」の文字が印字されたハンドバッグを身に着けて公の場に何度も現れたとして、同じ容疑で罰金と執行猶予付きの懲役刑も受けた。Zの文字は、ロシア政府によるウクライナ軍事作戦としばしば関連付けられる文字である。

左翼・右翼両派からの「新しいポピュリズム」の台頭によりマクロンの「中道派」の防疫線が崩壊。フランス革命の再来か

<記事原文 寺島先生推薦>
“Operation Jupiter” and a revolution in the making
筆者:アラステア・クルック(Alastair Crooke)
出典:Strategic Culture Foundation 2024年7月15日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年7月22日


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左翼・右翼両派からの「新しいポピュリズム」の台頭により「中道派」の防疫線が崩壊した。
*ジュピター作戦とは第二次世界大戦末期、連合国側がフランスのオレロン島(ドイツ側に残された最後の拠点だった)の奪還を狙い、成功した作戦のこと。

ブリュッセルの特権階級層は長い安堵のため息をついた。フランスの右派は阻止されたのだ。市場は満足げに肩をすくめた。「同じままでいるためには、すべてが『変わる』必要がある」。中道派の政府は道を見つけるだろう!と。

マクロンは、中道派の戦術的防衛線を敷くよう命じ、両極の政治的立場を妨害することで、右派と左派の「ポピュリスト」をうまく阻止した。そして、その戦術的封鎖は成功した。

「右翼」のルペン党は、得票率32%のうち125議席を獲得した(議会のわずか22%)。左翼は得票率26%のうち180議席を獲得し、マクロンの「アンサンブル(合奏)」連立政権は得票率25%のうち159議席を獲得した。

しかし、どの政党も政権を握るのに十分な議席を持っていない(通常は240から250議席必要)。これが成功と見なされるなら、それは間違いなくピュロスの勝利*だ。左翼は無政府主義者から現代版レーニン主義者まで、さまざまな反対派から構成されており、メランションが率いるその中核はマクロンの中道派や不満を抱いているル・ペン派支持者らと決して協力しないだろう。
*払った犠牲と勝利して得たものが釣り合わない、すなわち割りに合わない勝利のこと

歴史家マキシム・タンドネットは、マクロンが大失敗以外の何かを成し遂げたと考えるのは、出来事の壮大な誤解だ、と述べている。

「ジュピター作戦は最悪の結末に陥った。完全な行き詰まりだ」

この議会の混乱から機能する政府を形成することは不可能だ。(マクロンは敗北した首相の辞任を拒否し、暫定的に留任するよう求めている。)

サン=シール陸軍士官学校の元研究部長、アンリ・フーデは次のように述べている。

「フランスで革命が起こりつつあることに誰も疑う余地はない。通常の国家や福祉国家を維持できるようにする支出は財源をはるかに上回っており、経済成長や課税によって大幅に増やすことはほとんど不可能である…

「国家が収支を合わせる唯一の方法は、借金を増やすことだ。借金を支えられるようにする唯一の策は、金利を極めて低くすることだけだが、何よりも重要なのは、ユーロとドイツ国債(10年国債の信用格付けが高い)との特権的なつながりのおかげで、お金を「無から」無限に発行できる能力だ。」

これらの制度が廃止されれば、「金融関係者は、フランスは公務員の給与を約3分の1削減するか、公務員の数を3分の1削減し、全員の退職年金を5分の1削減しなければならない、と見積もっている。これは明らかに実現不可能だ」。

「現実には、予算と貿易赤字が債務に偽装されているため、30年前に国の通貨切り下げによって債務問題は解消されていたはずである。しかし、この債務策略は(ますます富裕層に利益をもたらしている)…一方で、一般大衆はバラ色の夢の中で不平を言い続け、財政状態について無知のままである…とはいえ、支配階級は状況を十分認識しているが、誰も何をすべきかわからないため、それについて話すことを好まない。」

「現実問題として、諸国家が破産を宣言する真実の瞬間が現れることに、疑いの余地はない…西洋は根底から揺さぶられ、シャンパンのコルクが弾けるような国も出てくるだろう。経済は再編されなければならない。おそらく文化革命も起こるだろう。フランス革命を引き起こしたのはフランス国家の破綻だったことを忘れてはならない…」

「しかし、なぜこれ(金銭の浪費)がいつまでも続くことができないのかと疑問に思う人もいるかもしれない。それはこれから明らかになるだろうが、まだその時ではない。」

「いまや、破産宣告が下される前から、制度への信頼は失われている。権威と威信を失った公的機関の無力さ、そして大統領への嫌悪感は、この大失敗が明らかになったときに解き放たれるであろう衝撃の力を予見させる。フランスでは「ギリシャ型」の結末は起こりそうにない。我々は何か他のものに賭けた方がよいだろう(インフレ抑制とユーロの切り下げ?)。」

もちろん、フランスだけではない。「ユーロ体制は、ユーロ加盟国に財政的に賢明で『高潔』であることを強いるはずだった。しかし、全く逆のことが起きた」。ドイツの健全な信用により、他のEU諸国はドイツの特権的な格付けに大きく「依存」し、EU全体の国家債務水準を人為的に低く抑えることで、無限の債務にふけることができた。

米ドルの優位性が続く限り、ユーロの優位性も維持されるはずだ。ただし、ウクライナ戦争が何よりもまずドイツの産業を破壊している。フランスはすでにEUの過剰赤字是正手続きに直面している。他のEU諸国も同様だ。ドイツは債務停止をかけており、400億ユーロの削減をしなければならない。ユーロ圏のほとんどで緊縮財政が進行中だ。

このリベラルな債務ピラミッドの頂点にある米ドルは、西側の「ルールに基づく秩序」とともに崩壊しつつある。世界の地政学的戦略上の「プレート」、そして文化的な時代精神は変化しつつある。

簡単に言えば、マクロンがうっかり明らかにした問題は解決不可能だ。

「この新たな精神を『新しいポピュリズム』と呼ぶこともできるだろう」と米国の作家ジェフリー・タッカーは書いている。

「それは左翼でも右翼でもないが、過去の両者から主題を借りている。いわゆる「右派」からは、人々は自分たちの生活や地域社会の中で、権力者を信頼するよりも賢明な意思決定を行う能力が高いという自信を得ている。古い左派からは、新しいポピュリズムは言論の自由や基本的権利、企業や政府の権力に対する深い疑念を求める声を得ている。」

「権力を握って地位を確立した特権階級層に懐疑的になるという主題が重要な点だ。これはあらゆる分野に当てはまる。政治だけの問題ではない。報道機関や医療、裁判所、学界、その他あらゆる上位分野に影響を及ぼす。そして、これはどの国でも同じだ。これはまさにパラダイムシフト(劇的なシステムの変化)に相当する。一時的なものではなく、実質的なものであり、おそらく永続的なものと思われる。」

「ここ4年間に起こった出来事は、何十年もの間に蓄積されてきた不信感(および特権階級層の非合法性に対する感覚)の大衆的な波を引き起こした」。

哲学者マルブランシュは、その著書『道徳論』 (1684)の中で次のように書いている。「人はすべてを許すことができるが、軽蔑だけは受け付けない」と。

「職務を果たさない特権階級はエリート主義者と呼ばれる。その行為は不当で乱暴に思われるが、さらに重要なのは、その存在自体が侮辱であることだ。これが憎悪の源であり、競争心が嫉妬に変わり、嫉妬が復讐心に変わり、結果として戦争が起こる原因になる。」

ではどうすればいいのだろうか?

米国の秩序を回復し、反対意見を黙らせるためには、NATOの勝利が必要とされた。

「現在、NATOにとって最大の危機と最大の損失は、ウクライナにおいてロシアが勝利することです。我々はこれを許すことはできません」とストルテンベルグ事務総長はワシントンでのNATO記念集会で述べた。

「この戦争の結果は、今後数十年にわたる世界の安全保障を決定することになるでしょう。」

したがって米国政府内の一部の人々は、ウクライナでロシアとの戦争において勝利することができれば、ドル取引に反抗している国々を正気に戻らせ、世界中で西側諸国の優位性を再度十分に確立できるかもしれない、と考えていただろう。

長い間、米国の保護国であることは許容されることであり、有利でさえあった。しかし、もはやそうではない。米国はもはや「恐怖」を与えない。禁忌は崩壊しつつある。ポストモダン期(20世紀後半)の西側に対する反乱は世界規模で起こっている。そして、ロシアを軍事的に打ち負かすことはできないことは世界の大多数にとって明らかである。敗北しているのはNATOのほうである。

ここに、この事業の「中心の穴」がある。バイデンはおそらく、もう長くは生きられないだろう。誰もがそれを分かっている。(訳註:バイデンは7月22日に大統領選挙からの撤退を表明した。)

左翼と右翼に対する防疫措置が崩壊し、国内で政治的支持が危険なほど失われているEU指導者の中には、この戦争を、解決不可能な財政破綻に近づいているEUからの出口と見ている者もいるかもしれない。

逆に、戦争では、あらゆる財政および憲法上の規則が破られる。政治指導者は突如として最高司令官に変身する。

軍隊を派遣し、戦闘機(および長距離ミサイル)を提供することは、意図的により広範囲なヨーロッパ戦争を狙っている、と解釈できる。米国が明らかにルーマニアの F-16 基地の使用を考えているという事実は、ヨーロッパで戦争を引き起こし、沈みつつあるさまざまな大西洋主義の政治的運命を救うための手段として意図されているのかもしれない。

対照的に、ヨーロッパ人(88%)は「NATO加盟諸国は交渉によるウクライナ戦争の解決を推し進めるべきだ」と言っているという明確な証拠があり、西側諸国は「ロシアの弱体化」や「2022年以前のウクライナ国境の回復」などの目標を優先すべきだ、と考えている人は、世論調査対象者のごく少数に過ぎなかった。

むしろ、欧州の国民は圧倒的に「戦争激化の回避」や「核保有国間の直接戦争の回避」といった目標を支持していることが示されている。

どうやら、もっとありそうなのは、ヨーロッパで抑圧されていた反戦感情が爆発し、最終的にはNATOそのものの拒絶につながる可能性もあるということだ。そうなると、トランプはNATOに対する姿勢で、開かれた扉を押し開けることになるかもしれない。

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