のんびりまったり雑記帳 2013年02月
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プリティが多すぎる(大崎 梢)

プリティが多すぎるプリティが多すぎる
(2012/01)
大崎 梢



老舗出版社「千石社」の若手社員・新見佳孝は、いつか文芸の編集者になるのが目標だった。
ところが、春の異動で決まった先はなんと、ローティーン女子向け雑誌「ピピン」で…。
これまでの自分の世界とは全くかけ離れた分野で、新見の奮闘の日々が始まった――!



以前感想を書いた『クローバー・レイン』と同じ千石社が舞台となっています。
刊行順としては、こちらの方が先なのですけどね。
そして、『クローバー・レイン』の工藤は、この作品の主人公新見が憧れる部署・文芸の編集者だったわけです。

しかし、そんな新見は、春の異動で希望とは全くかけ離れたローティーン雑誌「ピピン」編集部へと決まってしまった。
少女向け雑誌、なので同僚は女性が多い。
自分の好みとは全くかけ離れた世界。
なにせ
「pretty」「pop」「pure」「pipin」「女の子はPが好き」
が、雑誌のキャッチコピーですから。
挫折を知らない成人男性がいきなり投げ込まれて、上手く馴染むはずがありません(笑)

正直、年齢はひとまず棚上げして、対象と同性の私ですら読んでいて頭がくらくらしそうでした(笑)
ページびっしりの服に小物…。
これらをひとつひとつ選び、実物を見てはまた変えていく。
いつまでも終わらない無限ループ。。。

私は学生時代にこういった雑誌を読んでこなかったクチなので、逆にどんな雑誌なのかと新鮮な気持ちで読むことができました。
考えたら、対象はローティーンでも、雑誌の編集者は同性多しとはいえ大人なんですよね。
どれだけ読者の興味に近づけるか、というのは最大の課題だと思うんです。
そこを上手くやってこそ、商業雑誌というのは成り立つ。
南吉くん(新見のアダ名)も、そこがスタートとなるのです。

当初は雑誌の意図が全く見えず、出す企画も全ボツという有り様。
南吉くんの編集ぶりを中心に描くのかな、と思ったら、意外にもピピモという少女モデルたちも大きく描かれていたのでした。
最近では芸能人でもこうしたローティーン雑誌の人気モデルだった、という経緯もありますね。
彼女たちは未来のスター候補なのです。
しかし、モデルの世界は輝かしいだけじゃない。
熾烈な競争社会に、十代の頃から身を置くのだ、ということを、南吉くんを通して気づかされました。
この辺りの裏(?)事情も含め、とても興味深く読んでいて面白かったです。

そして、モデルたちの世界はとても脆く、大人たちの思惑によって簡単に揺らいでしまうことも。
南吉くん最大の失敗。それは一人の女の子の将来を大きく変えてしまったのです。
雑誌広告のモデルの代役。
ただ一度のその代役は、やってはいけない代役だった。
それが後々、スポンサーに広告会社、果ては千石社広告部も大騒ぎになる騒動へと発展してしまうのです。
…雑誌の世界って、広告が絡んで他社も絡んで、非常にややこしい世界、なんですねー。
でも、誰よりもモデルのジュリが一番辛いですね。
自分に出来る確認もきちんとしていたし、本人の落ち度は全くない。
スポンサーお気に入りの現役モデルに固執するわけでもなく、あっさりと別のモデルに内定されたことは、自分のモデルとしての力量を雄弁に語られてしまっています。
辛くないわけ、ないよなあ。

原因を作り出してしまった南吉くんも、流石にこれにはショックを隠せません。
なんせ、一人の女の子のモデルとしてのキャリアを潰してしまったから。
不可抗力、とは言い切れない、自分の落ち度。
無難に、なんとかこなせるスペックが、悪く作用してしまった見本のようです。

途中から南吉くんの編集者としてのお仕事物語なのか、新米編集者の目を通して見たローティーンモデル話なのか分からなくなりそうでしたが(笑)
全体的に非常に面白かった!
まだ未成熟な少女モデルがメインである、というのも、ありそうでなかなか無いですし。
それに、南吉くんが最後までピピンの空気にどっぷり浸からなかったのも、南吉くんのキャラだなーと笑ってしまいましたw
そこは絶対曲げないんだな、と(笑)
もちろん、大分この世界に関する見方は柔らかくはなっていますけどね。

先にもちらと書きましたが、特別ゲスト(?)として、『クローバー・レイン』の主人公・工藤も顔見せしていますね~。
同じ会社、だけでなく大学の先輩でもあるという結構な繋がり具合です。
『クローバー・レイン』の方でも何かしらの相互リンクはあるのでしょうか。
ちょっと記憶にないのですが。
今度確認してみたい事項です。

まだまだ南吉くんの「ピピン」での奮闘は続きそう。
なんといっても、仕事は2年目3年目の慣れた頃合に色々起きるものですから(苦笑)
もしくは、ピピモのトップモデルだったキヨラをメインにしたサイドストーリーなんかも面白そうw
ここからまだまだ色々な物語が生まれる余地があると思うのですが…どうでしょう。
大崎さんなら、いつかやってくれそうと勝手に期待します(笑)



***『クローバー・レイン』とのコラボ短編 ***
「花とリボン」が、ポプラ社のHPで掲載中です(こちら
教えていただきましたw

屋上ミサイル(山下 貴光)

屋上ミサイル (上) (宝島社文庫) (宝島社文庫 C や 2-1)屋上ミサイル (上) (宝島社文庫) (宝島社文庫 C や 2-1)
(2010/02/05)
山下 貴光



大統領がテロ組織に拉致監禁されるという大事件がアメリカで発生していたものの――日本の高校生たちにとって、それは遠い国の出来事だった。
それよりも提出期限が目の前の課題を仕上げることがもっと重要なのだ。
デザイン科二年の辻尾アカネは、学校の屋上で不良の国重、願掛けにより言葉封印中の沢木、そして自殺願望を持つ一年の平原と顔見知りになり、屋上部なるものを設立する。
屋上の平和を守る、という部の方針で、四人は様々な事件解決に乗り出す。
やがてそれはひとつの事件へと繋がっていき――。
「このミステリーがすごい!」第7回大賞受賞作。



読んだ直後の感想は「面白かった」でした。
私が読んだのは単行本バージョンでしたので、後ろに「このミス」選者の選好が掲載されていたのですが、そこに「伊坂幸太郎風」とあって、少々納得もしました。
私は伊坂作品を片手分くらいしか読んだことはないのですが、なんとなくキャラの会話やひとつの章の締め方にそれらしさが見受けられました。
特にこのようにいくつかの事件が最終的にひとつへと集約していくのは、『陽気なギャングが地球を回す』など、伊坂作品に前例がないこともないので…。
まあ、このパターンはミステリでも定石に近く、伊坂さんのオリジナルではありませんけどね。

あと、これも選評にありましたけど、確かに偶然による展開の多さは目につきました。
茶木則雄さんの「小説上のリアリティ」という言葉は言いえて妙ですね。
偶然によるものでも、地に足のついた推論を重ね、偶然の確率を上げるといった下地が欲しい部分がいくらかありました。
一応作中でも「偶然が過ぎる」とキャラに言わせていたりするので、作者が確信犯なのは確実なのですが。
「後悔している人間は、謝罪と贖罪を望む」
「だからその場所を作って犯人をおびき出す」
「まんまと成功!」
っていうのはねえ…うーん、ちょっと、どうなの?
という要素がね…見えてしまったり。

個人的には、とにかく動いているうちに犯人の方からやってくる、というのが赤川次郎氏の展開を思わせます。
あちらは「ユーモアミステリ」の代名詞ですね。

ですが、これまた言われている通り、一番の魅力はキャラクターに尽きます。
四人の高校生による、ポンポンと進む軽妙な会話。
特に国重は四人の中心的人物で、彼がこの物語を動かしているといっても過言ではありません。
彼の言う台詞が要所要所伊坂幸太郎風味なんですよねえ。
まあ、別に問題はないのですが…。
あ、あとアカネの弟や母親といった家族もなかなか妙な味わいを醸し出しているかも(笑)
冷静に考えれば、アメリカがテロに遭ってミサイルが飛んでくるかもしれないと混乱した中で、高校生の娘と中学生の息子が帰って来なくても問題にしないって物凄く奇妙ですよね。
余程肝が据わっているのか、ただただ放任主義のなれの果てなのか…(笑)

なんとこの話には「殺し屋」なる人物も出て来ちゃうんですよ。
それを相手に出来る国重、高校生のスペックじゃないな、今思うと…。
読んでいる最中は国重を応援しちゃっていたくらいなので、夢中で読んでいたということなのですけど。
そういえば、いつの間にかアカネは国重に恋しちゃっていたわけですが…。
もうちょっと、そこは丁寧に描いても良いかなーと、思わないでもなかったです。
話は早くて良かったですけどね(笑)

陸上部のマドンナ・宮瀬さんの災難の連続には、フィクションとはいえ合掌したくなります。
無事だから言えることなんですけど。
たまたま変な雑誌に写真を投稿するカメラマンに目をつけられ、そして拾った落し物の件で拉致までされ。
特に後者に至っては、親切心なんてものを持った方が損という社会の不条理が満載です。
とにかく、無事で良かったー。

メインの四人のうち、やはり一番目立つのは国重でしょう。
ヒロインのアカネはまあ除くとして、恋する陸上部のマドンナ・宮瀬さんへの告白成就の為に一年間言葉を発せず筆談をする、という沢木は残念ながら途中ではその個性を失います。
喧嘩は強そうだけど、こちらも国重が目立ってしまうのでね…。
平原は過去に弟を過って殺してしまうという重大な過去を持っていますが、裏のつながりといい、まだまだ壮大な背景を描けそうなキャラです。
そして何より、最後の最後、屋上で国重が口にしようとした言葉とは!?
気ーにーなーるー!
最近、この作品の続編が出ているんですよね。
そこでは更にパワーアップした四人の個性や、国重の言葉の続きなんてのも読めるのでしょうか。
出来るだけ早く、続きも読みたいと思いますw


繕い裁つ人 2(池辺 葵)

繕い裁つ人(2) (KCデラックス)繕い裁つ人(2) (KCデラックス)
(2011/10/13)
池辺 葵



「あふれてくるデザインをたくさんのチームでどんどん形にしていくことと たった一人のための洋服を たった一人でじっくり作り続ける毎日と
自分の望んでいることがなんなのか見失わないことね」



相変わらず、この作品には説明がごく少なくて、登場人物の心のひだを自分で掬い上げなくちゃならない。
そんな漫画だからこそ、何度読んでも飽きがこないのかなー。
…単なる自分の読み方が下手くそなのかも、と不安になりもしますが(笑)
ですが、面白いです。
もう私、買ってから何度読み返したか分からないくらい(笑)
今続きがとても待ち遠しい作品のひとつですw

物語は、南洋裁店の二代目・市江さんと、彼女の仕立てをこよなく愛する百貨店の企画部に所属する藤井さん。
二人を軸に、服と人にまつわる心の交流を描きます。

以下、各話についての感想を。


第六話

市江さんの母校で、南洋裁店に出入りする女子高生四人組の学校が舞台。
四人の中に、他人には決して言えない想いを抱える子がいたのです。
…友人の彼氏を好きになっちゃう、なんて…誰にも言えないし、言えないからまた苦しいんですよねー。
南一番のお得意様・ゆきちゃんの彼氏を好きな、のりちゃん。
のりちゃんと、ゆきちゃんの彼氏はピアノが好き、という共通点があるようです。
季節は卒業シーズン。
誰にも言えない想いだからこそ、自分にしか出来ない方法で送り出したい。
そんな思いがのりちゃんにはあったかもしれません。
「大事な人は一人じゃないから」
と言えるのりちゃんは良い子だなあ。。。
次の恋は上手くいくといいですね。
母校は母校でも、市江さんの頃と制服は違うんですね。
セーラーは市江さんの祖母の志乃さんが仕立てていたみたいですが、のりちゃん達の代には違うメーカーが請け負っているみたい。
うーん、市江さんの学校の生徒数が何人か分かりませんが、一人でやっている仕立て屋が請けるのは無茶という気も。。。
その辺りのことはきちんと説明されていませんけど、限界だったのではないでしょうかね…。
市江さんが音痴というのは、さもありなん、でした(笑)


第七話

自己破産した息子が、母の着物を洋服に仕立て直しにやってきます。
自分からではなく、亡くなった父の遺言ということにして欲しいという息子。
市江さんは自分からだと正直に話せばいい、と言うのですが…。
まさに「嘘も方便」とでもいうのでしょうか。
正直に話すことが全て良いとは限らない。
藤井さんは事情を知らないながらも、そうではないということを感じとっているようです。
結果は同じでも、受け入れやすいルートと、受け入れるのに時間のかかるルートがあるんですよね、きっと。
今回は二人の心の動きのようなものが少し垣間見られましたw
牧さんと藤井さんの会話を聞いて少し不機嫌になってしまう市江さん。
性懲りもなく市江さんの洋服を買い求め、牧さんに「ご執心」とからかわれる藤井さん。
そうするとやはり「仕立てに対する姿勢をかっている」と否定しちゃって。
そんな答えじゃ面白くないんですねー、市江さんw
藤井さんは藤井さんで、お客様へ直接納品に向かう市江さんに付いて行くし、さらに田辺さんに警戒心を露骨にさらけ出しているような。
無表情ではありますけど(笑)
だって立ち位置が二人の間にいつの間にか割り込んでいるものw
くぅ~、じれったい!
けど、このじれったさが良いのですよね~。
そうして、女性はどんな環境でも馴染むのが早い。
女性は強し、ということなのでしょうね(笑)


第八話

藤井さんの先輩のお話。
異動になった先輩への贈り物を市江さんに相談する藤井さん。
その中から見えてくる巽さんという先輩の姿。
彼女の言動や噂から、どうやら巽さんの不倫は本当なのかな、と推測されます。
ブランドで固めるようになった、という企画部に入った頃が始まりなのかな。
巽さんは個人で南へ赴き、自分のための洋服をオーダー。
彼女の目に留まったのは、純白のウエディングドレスを思わせるようなブラウスでした。
一人で白を纏う覚悟を決めた時、彼女が本当に過去を吹っ切れたのではないかと思います。
旅立つ巽さんの顔は本当に晴れ晴れとしたもの。
いつか再登場して欲しい一人です。
牧さんにも、どうやら春が…。
庄司さんって、どういう人なんだろう。
この回で一番好きなのは、市江さんと藤井さんが丸福のソファに並んで座った手のアップ。
なんだろう、そっと手が並んで寄り添うように描かれていて、何とも言えない雰囲気があるんですよー。
二人の関係を手が代弁しているかのような。。。
漫画でしか表現出来ない雰囲気だなあと思います。


第九話

南とは別の、同業者のお話。
橋本さんという64歳になるベテラン男性仕立て屋さん。
丸福では彼がリフォームの役割を担っていますが、利用客の減少により閉鎖が決定。
そもそも、今ではリフォームしてまで着たいというお客のスタイルが変わっていますからね。
同様に、オーダーメイドして自分の洋服を仕立てたいと思うお客も減っているのでしょう。
ゆきちゃんなどはかなり稀な女の子。
橋本さんは仕立て全盛の頃を知っている仕立て屋さんですから、今の流れというのも肌で感じている。
そろそろ引退も考えているのです。
彼の腕を知っている藤井さんは、なんとか橋本さんを繋ぎとめる企画を練るのですが…。
市江さんのところにいらしたお客も、最初は橋本さんを専属にしていた人でした。
結局橋本さん贔屓に戻ってしまうのですが、彼女は市江さんに
「あんなにほれこんだ仕立て屋はいない」
と。
お客にそう思われる橋本さんも幸せですが、そう言える相手がいるお客のことが私は羨ましく思えました。
この漫画を読むと、オーダーメイドで作った服(それも特別なものではなく、日常の服)を着るということに強く憧れを抱きます。
贅沢だけれど、少数でも満ち足りた生活が送れそうで。
私の住む町にも、南洋裁店やテーラー橋本のような仕立て屋があったかな…(単純)。


第十話

留学も決まった若手学生デザイナーが登場。
色んなショップに売り込みに行っては、自作の服を置かせてもらっているのです。
二代目の市江さんとは違い、一から全て自分で行動しなければならない。
けど、それが案外楽しかったりするんですよね、若いと(笑)
ただ、彼の服と市江さんの創作スタイルは根本が全く異なるもののようです。
翔君の創作スタイルは自分のデザインありき。
自分が作りたいものを作る、という既製服のスタイルです。
対して市江さんの服の基本はオーダーメイド。
人を見て、その人に合った服を考える、という志乃さんからの指導がデッサンの根本。
人を見ている、という点では市江さんの方がお客に添っていると思われるのですが、ただ両者はどちらも今の世には必要不可欠なんですよね。
だって、人って自分に似合うもの以外にも心魅かれてしまうのですから。
市江さんの持論は「服は着てこそ」ですけど、似合わないと分かっていても、その服がクローゼットにあるだけで心が浮き立つ。
そんな服があってもいいのかな、と思います。
それぞれ真剣に服に取り組む翔君と市江さんのやり取りは読んでいてハラハラしました。
市江さんは翔君のことを買っているからこそ、あのような言葉を選んだのですね。
藤井さんもそれが分かるレベルにきたというのが…w
最後、藤井さんにオリジナルの生地を都合してくれる工場のメモを渡されて瞳をうるませたような市江さん。
直前に自分を「たった一人で服を作り続ける」と言っていましたが、それは大きな間違いだと気づいたのではないでしょうか。
孤独を覚悟していた中にふいに現れた一筋の光のように感じられたなら。
かつて洋裁を捨てられず婚約破棄に至ったこともある市江さんですから、そうだったらいいなーと思ってしまうのです。


オリジナルの布を求めた市江さんの洋裁がどう変化するのか。
藤井さんとの関係も含め、今後も楽しみです。


人生を最高に楽しむために20代で使ってはいけない100の言葉(千田 琢哉)

人生を最高に楽しむために20代で使ってはいけない100の言葉人生を最高に楽しむために20代で使ってはいけない100の言葉
(2011/08/03)
千田 琢哉



過去10年で1000人を超えるビジネスパーソンと対話を繰り返してきた著者。
その10年後、活躍している人とそうでない人の違いは、あるNGワードを口にしているかどうかだと気づいた。
必ず成功する「魔法の言葉」はないが、必ず失敗する「悪魔の言葉」はある。
その「悪魔の言葉」を100挙げて、具体的にどこが悪いのかを解説していく。



本書を読んで感じたのは、特に20代に限定せずとも、どの年代でも言えることだな、と思ったことです。
極端な話、まだ社会に出ていない10代でも言わない方がいいし、十分に研鑽を積んだ50~60代でも同じこと。
ただ、ビジネス本としては社会に出て間もない20代をターゲットにした方が今後実践する期間が長いと感じられたのでしょうか。
10代ではこういう本を手にする人は稀ですしね(笑)

言葉というのは恐ろしいです。
本を読むと、確かに挙げられている100の言葉はどちらかというとネガティブであまり良い気はしません。
けれど、ネガティブとはいえはっきりとした悪意の言葉は少なく、大多数はさらりと耳を素通りしてしまいそうな、ささやかな言葉。
余程注意深く言葉を選んでいなければ、一語か二語くらいは使用しているかもしれません。
普段から気を付けているつもりでも、まだまだ注意が必要かもなあ、とつくづく思いました。

ちなみに、私が身内から言われて一番良い気がしない言葉も載っていました。
それは
「時間がない」
です。
本当に忙しくても、自分がどうしてもやりたい・必要だと思ったらどうにか時間を捻出するもの。
それをせずして言い訳のように使われてしまうと、やはり良い気はしないものです。

あと、ああ、と思ったのは
「(とりあえず)コーヒーでいい」
ですね(笑)
何年か前のバラエティで、女優の鈴木京香さんが嫌な異性のタイプを
「とりあえずビール、って言う人」
って答えていたんですよ。
「とりあえず、って何!?」
って思うそうです(笑)
いかにも本命までの繋ぎ、という感じがしますからね~。
それを思い出しました。
集団での飲み会などでは私もしがちだったんですけど、以後、改めました(笑)
なんかですね、他の人を待たせちゃいけないと焦るのが嫌だったんですけど…他に一緒に迷う人がいると気が楽です(笑)

一番私が気をつけねば、と思ったのは
「(主にメールで)了解です」
ですね。
思いっきり使っていました…。
多分、友人宛てのみだったとは思いますけど、意識しないとその内仕事関係でやっちゃいそう…。
「ご苦労様」同様、目上が目下に使用する言葉だったのですね。
無知とは恐ろしい…。

ほか、
「みんなやってます」
というワードで書かれていた
「赤信号、みんなで渡れば怖くない」時代は終わった。
「赤信号、みんなで渡れば全員死亡」の時代になったのだ。
ですとか、
「大丈夫だと思いますよ」
における、
「プロとプロじゃない人の違いは何か。それは、語尾を言い切ることができるか否かだ」
にはハッとしました。


たまにこういう本を読むと、普段意識していなかった方面を認識する良い機会になります。
自分の場合、ひとつの考えに縛られると全く動けなくなってしまい良くないと思っているので、時々参考書代わりに読むのが良い具合かもと思います。


ひるなかの流星 2(やまもり三香)

ひるなかの流星 2 (マーガレットコミックス)ひるなかの流星 2 (マーガレットコミックス)
(2012/02/24)
やまもり 三香



「だから、心許した相手にはどんな顔するのかな とか、それが私だったらいいなーとか」

担任教師・獅子尾への特別な感情に気づき始めたすずめ。
戸惑い、自分の気持ちを否定するも、想いはどんどん加速していく。
しかし、そんな中クラスメイトの馬村が驚きの行動に出て――。



巻数は2巻ながら、展開は結構スピーディ。
なにせ、この巻では、すずめが獅子尾への想いを自覚し、馬村はすずめへ告白まがいのことを言ったりあんなことをしたり。
ゆゆかも馬村への気持ちを募らせ、そして最後には獅子尾の元カノ登場――。
いやもう、この巻だけで見どころぎっしり。

まずは「すずめ → 獅子尾」路線は確定しました。
家庭教師から親睦会への流れ。
特に親睦会でプチ遭難したすずめと馬村を救助にきた獅子尾。
更にはキャンプファイヤーに参加出来ないすずめの為に、蛍の光を見せてくれた。
そんな自分に向けられたひとつひとつの行動に嬉しさを噛み締めるすずめは、戸惑っていた気持ちを受け入れるのです。
またねー、獅子尾は獅子尾で思わせぶりなんですもんねー。
ゆゆかが「付き合ってんの?」と聞いたのは、決して「すずめ → 獅子尾」だけの図を見たからではないのです。
他にも色々ありますけど、一人の生徒だけ特別な呼び方をするのはねー(例えダサくても)。

「馬村 → すずめ」が今回は顕著ですかね!
うっかり一緒にプチ遭難とかしちゃったりしてましたし。
まあ極め付けはほっぺにチューですけど!
照れ屋な馬村にしては思い切った行動に出たものです。
ちょっとびっくり。
何故こんなことしたかというと、うっかり皆の前で本性出してしまったゆゆかのフォローとして、すずめが馬村の赤面症をバラしちゃったお詫び。
すずめとしては一発殴られる覚悟だったのに、馬村ときたらw
まあ、女の子(しかも好きな子)を殴ることに比べたら100倍この方がおいしいですよね(こら)。
そしてダメ押しのこの台詞
「オレが自分から触れた女はお前が初めてなんだけど、それでも冗談だとか言うわけ」
馬村…!

まあ、そんなところは「おおーっ」となるけれど、密かにテンションが上がるのは馬村がゆゆかに話しかける時だったりします。
肝心のゆゆか自身は、照れやプライドからか、なかなか自分からアクションは起こせないんですけどね。
ただ、馬村は犬飼くんやツルカメちゃんを含めたグループで過ごすうち、なんか女子に対するハードルが下がったのかな。
靴箱前で様子を伺うゆゆかに自分から声をかけています。
ここが結構好きなんですよー。
「馬村が…!」
と最初読んだ時は驚きもしたし。
ゆゆかが落としたケータイも拾ってあげちゃうし。
馬村ならどちらもスルーしても不思議じゃないのに!
すずめの相手は獅子尾でほぼ確定してしまったので、馬村はゆゆかでも良いなー、というか、ゆゆかが良いなーと思い始めている私です。

巻末おまけ漫画は、初期設定の「ひるなか」。
すずめの髪は黒がいいと思います。
…というか、白はなんだか違和感が。。。
諭吉おじさんは先生でも違和感なし、むしろ先生でも…。
面倒見のよさそうな先生だ…ゆゆかが好きになっても不思議じゃない。
しかし爽やかな馬村は同じ顔でも別人に見えます(笑)
よほどあの無表情が板についているのでしょう、私にはw
そして学生獅子尾の髪型…私もちょっと…(担当さん、ナイスです!)。
…総合結果、「ひるなか」は今の形で概ね良いのではないか、と思います。

さて本編の方はといえば、獅子尾先生の元カノ登場です。
うっかり独り言のつもりで呟いた「すき」という言葉を、すずめは獅子尾に聞かれてしまうのですが…。


心星ひとつ みをつくし料理帖 (高田 郁)

心星ひとつ みをつくし料理帖 (角川春樹事務所 時代小説文庫)心星ひとつ みをつくし料理帖 (角川春樹事務所 時代小説文庫)
(2011/08/10)
高田 郁



「どないに辛いことがあったかて、生きて生きて、生き抜く、と決めた。亡うなった家族のためにも、自分の人生を諦めへんと決めたんや」

酷暑を過ぎた葉月のある午後、翁屋の楼主伝右衛門がつる家を訪れた。
伝右衛門の口から語られたのは、手を貸すので吉原にて天満一兆庵を再建しないか、との話だった。
一方、登龍楼の采女宗馬からも、神田須田町の登龍楼を、居抜きで売るのでつる家として移って来ないか、との話が届いていた。
つる家の料理人として岐路に立たされた澪は、決断を迫られることに――。
シリーズ史上もっとも大きな転機となる第六巻!



とてつもなく、辛い。
初読の時は、途方もない辛さに胸が痛み、続く『夏天の虹』が今をもって尚まともに読めないほどでした。
今回再読して、ようやく澪以外の周囲の皆の言動が冷静に読めるようになりました。

ですが、再読でもやはりキツかったですねえ。
身を切るようにひとつの選択肢を選んでも、また次の選択肢が突きつけられる。
澪の人生は試練の連続なのは変わりませんが、今回はひとつひとつが大きい。
突きつけられた選択肢は、それぞれが澪の周囲の誰かの希望に添うものだったりするのです。

「つる家」の看板を大事に思う店主の種市、天満一兆庵の再建を願うご寮さん、そしてあさひ太夫である野江ちゃんの身受け、澪の恋…。
誰もが、澪に期待し、期待するからこそ、己の願いを託す。

…もーう!
たかだか二十歳やそこらの女の子には重すぎる!

そういう意味では、澪をありのままに見、周囲にも喝を入れてくれる、りうさんの存在に読者の私もどれ程救われたか…。
この人が出ていると、安心して読めるような気がしますw

今回は、坂村堂さんの父が初登場。
番付表の行司役を仰せつかっている料理屋「一柳」。
その店主とあってか、ことさら澪への態度は厳格極まりない。
特に、火器の使用が制限されたことから澪が考え出した「お手軽割籠」を見て
「出来もしない夢を追うくらいなら、いっそ包丁を捨てておしまいなさい」
と言い捨てたこと!
あなたにそこまで言われる筋合いはないっつーの!
と、本気で思いました(笑)
いつか、りうさんに直に
「お若いですねえ」
って言われて欲しい!
そして澪の料理を前に膝を折って欲しいわー。
その時が来る日が今から楽しみです。

今回、澪に訪れた最大の転機。
それは、想い人・小松原さまこと、御膳奉行・小野寺数馬との縁組でした。
前巻『小夜しぐれ』にて初登場した小松原さまの妹君・早帆さんが大活躍でしたね。
澪が小野寺家へ嫁げるよう、道筋を考え出してくれました。
武家へ奉公した後、しかるべき家の養女となり、小野寺家へ嫁ぐ、という。
とんでもない回り道のようですが、逆に言えばその道のりさえ歩めば町娘でも武家へ嫁げる、ということが分かりました。
身分違いとはいえ、抜け道の方法もちゃんとあったとは。
全てお膳立てされたとはいえ、小松原さまがきちんと澪への態度を示したことは好印象です。
読んでいるこちらが、やたら照れてしまうような感じでしたけどw

しかし、武家へ嫁ぐ、ということは、料理人であることを捨てる、ということ。
「つる家」の看板も、天満一兆庵の再建も、野江ちゃんの身受けも全て諦めなければなりません。
それどころか、家族のために台所へ立つ、ということすら難しくなる。
「料理人」としての腕ひとつで数々の試練を乗り越えてきて澪にしてみれば、自分の最大の拠り所を失うに等しいことです。

早帆さんといえば、『小夜しぐれ』にてお腹の中にいた子が死産してしまうという不幸に見舞われます。
読んでいる私もショックで…。
あの時のあの子は、無事に生まれてくることができなかったんだなあ…。

他、いつまで経っても煮え切らないのが源斉先生です。
今回、澪の婚礼が決まってから顔を出すのですが…。
うん、もう先生も立ち位置をはっきりしてー!
と言いたいです。
位置も態度も中途半端です。。。
ライバルは一応、お膳立ての中とはいえ、言うべきことはきちんと言いましたよ!

が。
どうにもこうにも、事はそうやすやすとは運ばないようです。
澪にとって、「譲れない」と思う心星。
それは…、つる家の暖簾を潜るお客にとって、「生きる糧」となる美味しい料理を供すること、なのではないでしょうか。
そうすると、小松原さまとの縁は、完全に断たれてしまうのかな。
現代の女性のように、「恋も仕事も!」とはいかない時代ですからね…。
澪が選んだ先で、彼女の手にするものは一体何なのか。
とにかく、ひたすら彼女が幸せになれる道を願って止みません。


君に届け 17(椎名 軽穂)

君に届け 17 (マーガレットコミックス)君に届け 17 (マーガレットコミックス)
(2012/09/25)
椎名 軽穂



プレゼント交換の時に部屋を飛び出した千鶴と、その後を追う龍。
一方、ケントは茂木と偶然出会い、あやねのことを聞く。
そしてすれ違いが続く爽子と風早は二人きりの帰り道で!?
六人の想いが大きく動くクリスマスパーティ、開始!!



17巻~~!
この巻の見どころはもう、表紙でバッチリ分かってしまいますよねw
いやー、長かったなあ、もうw
この巻まるまるクリスマスパーティですよ。
長い一夜だったなあ。

まずはちづちゃんと龍。
「今までとは違う、新しい関係」を始めることになった二人ですが、ちづちゃんの方はといえば意識しまくりは変わらず。
転機はプレゼント交換で。
こういった会には付き物ですが、基本は誰に当たるかは分からない。
でも…ちづちゃんが用意したのは、たった一人に宛てたプレゼント。
「不特定多数」が思いつかないくらい、龍のものしか選べなかった。
盲目的ですが、一途なちづちゃんらしくてちょっと笑ってしまうくらい、可愛らしいw
また、龍がちづちゃんへ宛てたプレゼントのセンスにびっくり!
プリザーブドフラワー。
しかも、セレクトはピンクの薔薇!
すんごい美しい~w
けど、龍が! あの龍がこれを女の子にあげる、というその事実にびっくりなのです。
プリザーブドフラワーなんて知ってたのかしら(名前は言えてなかったけど…)。
龍は何気にちづちゃんを誘導するの上手いな。。。
「だめ。…こーいうのも久々なんだから、もーちょっと、こーしてよう」
とか!
読んでいるこっちが赤面したくなるわ~~。。。

さてされ、前巻では表紙まで飾ってしまった、あやねちゃん&ケント。
…こちらも、もうこれは上手くまとまった、と見て良さそうですね。
…祝! カップル誕生で~す!
一応基本はあやねちゃんの幸せ第一とはいえ、ピン派な私としては複雑なところもないではないのですが。
でも、あんな必死に求められて、NOと言える女子はそうそういないのでは…。
そのくらい、ケントも頑張りました。
茂木くんはですね、0.1ポイントくらい株は浮上しましたよ、0.1くらいはね。
『君に~』の世界では、他のキャラが真っ当に恋愛し過ぎているだけで、茂木くんくらいラフな始まり方も、高校時代では案外普通の範疇だと思うんです。
だから、彼があやねちゃんに言った
「…気にするほど……矢野さん、オレの事気にしてないんだと思ってた……」
という彼の言葉もまた、彼の本音なんだと思います。
その事に、彼は彼で少しの寂しさを感じていたのではないかな。
だからといって、もちろん彼の全てが許される訳ではないんですけど。
でも、あやねちゃんも非がないわけじゃないんだぞっと。
茂木くんについてはケントが十分怒ってくれたし、ピンがフォローに入ってくれた。
あやねちゃんも、次のステップに踏み出す時がきました。
そこに待っていたのがケント。
大きく彼女を包み込んでくれる想いは、果たして彼女を満たすことができるのでしょうか。
何度も言うように、私はそれだけで満たされるものではないと思っているので、ここからが正念場だと思います。
ケントの想いは成就して欲しい…しかし、ピン派の私…あああ~。。。

そのピンは今回も解説役…。
でも、本人の言うとおり、結構個々の特性見抜いている感じがするんですよね~…。
なんか認めるのが悔しいけれど(笑)
あやねちゃんの事は爽子が聞くまで何も言いませんでした。
…そこに、深読みしようとすれば出来ちゃう隙が生まれてしまうんですけどー!
「…よくやってるよ」
と、何か濁したような…。
「子供なんだよな」
というのは、以前の「器用なほうだろ」発言と、ちょっと真逆にも聞こえます。
ふむ?
それはそうと、爽子は進路について何と書いたのでしょう。
そこらあたりも、ちらと触れられていましたね。
「3学期入ってから」、そこらに焦点が当たるかな。
高2の3学期といえば、もう進路に触れない訳にはいかない時期ですからね~。
過去を振り返ると、教師という道が順当かな?

さて、爽子と風早といえば、もう最後のシーンしかないでしょ!
よん…4度。。。
思わず数えた読者は、私だけではないと思いたい…!
風早、我慢していた分が爆発しちゃった…ね(笑)
でも仕方ないと思うの。
好きな女の子に涙混じりで
「こんな私すきじゃない?」
とか聞かれたら、理性飛んでも仕方ない!
むしろこれでもまだ、うじうじしていたら私、きっと風早はたきたくなる(笑)
これで、二人の(というか、どちらかというと風早一人の)微妙なぎこちなさ、みたいなものは解消されると思います。
長かったー!
しかし、こうなると次からこの作品の見どころって…?
まあ、爽子の可愛さがあるから、いいのか(そうか?)。


静おばあちゃんにおまかせ(中山 七里)

静おばあちゃんにおまかせ静おばあちゃんにおまかせ
(2012/07/12)
中山 七里



「正義というのはね、困っている人を助けること、飢えている人に自分のパンを分け与えること。定義なんてそれで充分」

一見頼りなげながら、次々と事件を解決する捜査一課の若手刑事・葛城公彦。
しかし、彼のお手柄の裏にはある秘密の存在が…。
それは、日本で二十番目の女性裁判官で現在は退官し孫娘と暮らす高遠寺静。
彼女は自宅にいながらにして、公彦と円の話だけで事件の真相を見抜いてしまう、スーパーおばあちゃんだった!?



中山七里さんといえば、『さよならドビッシー』などに始まる音楽家ミステリを始めとするシリーズの作者。
そして私が読んだのは『要介護探偵の事件簿』(感想は、こちら)という、玄太郎おじいちゃんの痛快ミステリです。
今回のお話は『静おばあちゃん』ですから、先に挙げた作品と対を成す作品なのかな、と。
『要介護探偵~』で私が一番好きだったのが、玄太郎おじいちゃんが繰り出す啖呵の数々。
そこにも期待していたのですが、それは予想通りw
静おばあちゃんも、自身が法の番人だったという経緯から、様々な持論を孫の円に対して展開していきます。
玄太郎おじいちゃんの啖呵ほどの爽快感はないものの、人生の先輩からの訓戒、とでもいうかのような、じっくり噛み締めたい言葉が多かったですね。

事件としても、玄太郎おじいちゃんの話に比べると、静おばあちゃんは控えめそのもの。
自身が事件現場に出向くことはなく、刑事として事件に関わる葛城と、現場に同行する女子大生・円の話を聞くのみ。
いわゆる安楽椅子探偵モノですね。
ですので自然と、葛城と円のストーリーが話の中心になっていきます。
そうしていくつかの事件を解決していく静おばあちゃん。
ですが、前の玄太郎おじいちゃんと比べて、いささか物足りなさを感じたのもまた事実。
もっと、静おばあちゃんに前面に出て来て欲しかったのになーと思った最終局面。
驚きました。
まさかまさかの、静おばあちゃんの、正体。
なるほど、前面に出てこられない訳です。
が…。
ミステリとしては、反則スレスレ、という感じもしないではないですね。
だって、ミステリに非現実的な要素を取り入れるというのは…ねえ。

実は『要介護探偵の事件簿』を読んだ後に『さよならドビッシー』も読んだのです。
その直後、の話には茫然としました。
そして今回。
どちらも、「この1冊のみ」という決然としたものが見られます。
それぞれの人生の先駆者たちが見抜く人の世の暗い影。
どちらにも「自身の正義」というものがあって、それを軸に事件を解決していきます。
とりわけ、法の番人でもあった静おばあちゃんの「正義」の定義。
冒頭に引用しましたけれど、非常に単純、かつ簡素。簡素ゆえに隙がない。
考えてみれば、この作品に収録された事件の全ての根底にあるのが「個々の正義」なのかもしれません。
静おばあちゃんの定義の後に言うのも何ですが、「正義」という言葉は非常に脆いものです。
「正義」というのは、非常に多面的なもので、180度違う角度からみても、そこにはひとつの持論となる「正義」が存在する。
「平和」という言葉と同じくらい、空疎で危うい言葉だな、と思います。

静おばあちゃんの名言も数ありますが、今の私に一番必要なのは
「仕事の価値はね、組織の大きさや収入の多寡じゃなくて、自分以外の人をどれだけ幸せにできるかで決まるのよ」
日々色々迷いは尽きませんが、この言葉を柱に頑張ってみてもいい。
ストンと自分の心に落ちてきた言葉でした。
静おばあちゃんに感謝。

中山さんは、こういう人生の先駆者を本当に素敵に描かれます。
まだまだ、他にもこういった作品を作り出して欲しいなあ。
期待していますw


マイナークラブハウスは混線状態(木地雅映子)

マイナークラブハウスは混線状態―minor club house〈3〉 (ポプラ文庫ピュアフル)マイナークラブハウスは混線状態―minor club house〈3〉 (ポプラ文庫ピュアフル)
(2009/11/06)
木地 雅映子



部員5人未満の非公式な文化部ばかりが集まった、おなじみ「マイナークラブハウス」。
学年が変わり新入生が入ったというのに、そこでは、あいも変わらずスラップスティックな日常が繰り広げられている。
しかし、マイペースな新・演劇部長、畠山ぴりかの存在が、学内の「均衡(バランス)」を徐々に狂わせ始め…。
秘められた恋が新たな恋を呼ぶ新局面に突入!?



うひゃー。
3巻になると、ひとつずつ学年が上がり、そして新入部員が…!
正確には、1巻最初の紗鳥の章に年度が並んだ、という感じなんだと思うのですけど。
ぴりかや滝が今現在2年生、ですからね…。
メインと呼べそうな紗鳥や業平はいいとして、問題は新1年生たちですよー!
今回またしてもそういった面々の名が出てきましたけど…いかん、私の脳みそは最早許容レベルを超えているー!
新入生は、一度メインを張ったら覚えます…そうじゃなきゃ、読み流しますもん。。。

さてさて、今回はとうとう!
「マイナークラブハウス」の面々の恋模様が動き出しました!
今まで密かに、うっすらと示された人はいましたけど、今回はメインキャラの恋模様があちこちに、一斉に方向を示し始めたのです!
待ってましたー!
…と、いいたいところですけど。

…え、ちょっと待って!?
えーーーっ!
と、驚きを禁じえません。
ていうかこれ、大丈夫なの、収拾つくの、これ…。

解説で坂木司さんが仰っているように、誤解を恐れずに言うなれば、この恋模様はまさしく「ハチクロ」の如し。
誰かの好きな相手は、別の誰かを想っている。
一方通行の恋ばかり。
そんな予感を、この「マイナークラブハウス」の面々にも感じてしまいます。

特に驚いたのは天野かなー。
彼の、感情が完全に欠落したような過去話を聞いた後で、ぴりかに対するあの激情。
正直、最初は何だか分からなくて、滝の反応を見て「えっ、そうなの!?」と滅茶苦茶びっくりしました。
つーか、あれで分かったのって天野のことが好きな滝しかいないのでは…。
天野の傍にいる高杢と太賀ですら、気づいているのかどうか…。

滝は滝で、追ってきた八雲業平に慰められる訳ですが…。
滝ー受け入れちゃダメよー!
と、どれだけ思ったか!
八雲は八雲で、紗鳥なの滝なの?
まあどっちでも、一番最低なのは八雲に決定です。

そして肝心のぴりか。
私は正直、ぴりかの行為には許容できない部分というものが非常にあるのですが、今回のラストには「おおっ!」となりました。
あ…あの反応は間違いなく…ですよね!?
ぎゃーっ、もうこれからどうなっちゃうのー??
という感じで、続きが非常に気になります。

前回から気になっている沢渡美優先輩に関しては、今回もうっすら程度でよく分からない感じのままですね。
新入部員の増えたこれから、ますます彼女のターンは確率が低くなってしまったような気もしますが、最後まで希望は捨てずに待ちたいと思います(笑)
あ、そういえば、今回は卒業生ズがちらとも出なかったな。
高橋先輩の家族も好きなんですけどねー。
…やはり、基本的にキャラが多いな、この話。

読んでいて心が痛いのは、滝の元彼・遠野史惟や紗鳥の話。
満たされない子の家族話はとても心が痛い。
正確には彼らは、比較的恵まれた家庭だとも思います。
特に遠野は。
けれど、物質的には満たされても、もっと根本で満たされないのであれば、それはとても寂しいことだと思うのです。
彼は彼で、他の女子に対する態度など、「ちょっとなー」と思う部分はあるのですけどね。
紗鳥の家庭には驚きました。
特におばあちゃん。
1巻ではこんな人だと思わず。
読み返すと、大して描写されていなかったことが分かるのですけど。
こんな「モンペ」みたいな家族でも、紗鳥にとっては大事な家族なんだよなあ。
その後の話を読んでも、紗鳥は今の家族を大事に想っているかのように見えました。
すごいよなー、偉いなー。
紗鳥には是非幸せになって欲しいけれど…相手が、ねー。。。

混線状態もここに極まれり! な感じで終わりましたけど、続きを読むのが今から非常に楽しみ。
カギを握るのは、やはり混乱の中心・ぴりかでしょうか。
彼女の発露は本当に「恋」なのか?
他の面々の想いの行方はどこへ行きつくのか?
敢えて希望も予想もせず、まっさらの状態で次巻を読みたいと思います。


あまからカルテット(柚木 麻子)

あまからカルテットあまからカルテット
(2011/10)
柚木 麻子



ピアノ講師の咲子、編集者の薫子、専業主婦で料理が得意な由香子、そして美容部員の満里子の四人は女子校時代からの大親友。
ある時、咲子は花火大会で隣の席に座っていた男性からお稲荷さんを渡される。
それ以来、その男性のことが頭から離れなくなる咲子。
三人はお稲荷さんの男性を探すべく、それぞれのやり方で調査を開始するのだが――。



先日、柚木さんの『私にふさわしいホテル』の感想を書きましたが、実はこの『あまからカルテット』が私にとって柚木麻子初作品。
どういう話かも知らず、たまたま表紙を見て、そしてタイトルの響きから手に取りました。
「あまから」、というのは「甘くて辛い」の意味でしょうか。
女性の友情を、時には甘く、時に辛く、という表現は言いえて妙。
私個人としては、一番長続きするいい塩梅だと思います。
(一概には言えませんけどね)

物語のスタートは、四人組の内の一人、咲子が花火大会で出会った男性に恋してしまったことから。
しかし、相手はどこの誰とも分からず、手がかりは彼から貰ったお稲荷さんのみ。
…普通なら、それでもう諦めてしまいますよね。
私ならもし仮に友人がそんな状況に陥っても、きっと「縁があればまた会えるよ」なんて慰めるだけかも。
でも、この三人は違うのです。
三人はそれぞれ、自分の得意なフィールドで独自に「お稲荷さんの君」を探し始めます。
編集者の薫子はグルメ雑誌編集者の同僚の力を借りて店舗を当たり、美貌の満里子は人脈を。
そして料理が得意な由香子は、レシピの再現とブログ友達からの情報を。
アプローチの仕方は三者三様。
しかし、それぞれから徐々に「お稲荷さんの君」の情報へと近づいて…。

ちなみに四人は二十代後半。
その年齢で友人に対し、これだけ尽力できるって、意外と容易じゃない。
それぞれ仕事や家庭があって、日々自分のことで精いっぱいでもおかしくないと思うのです。
それでも四人は誰かが問題に直面すると、共に悩み、励まし、叱咤しながらも力を合わせて乗り切ろうとします。
こんな友情を学生時代から維持できるって、ちょっと羨ましいですよね。

女性の二十代後半というのは、まだまだ色々な悩みを抱える時期。
仕事だったり結婚だったり、家族だったり。
もちろん悩みのない年代なんて無いですが、二十代後半というのは、少しずつ色々なことが変化していって、周りとズレが顕著に見える頃。
四人もそれぞれの問題に直面し、悩み、そして他の友人のことを羨ましく思う気持ちもあったり。
でもそれは暗くうじうじしたものではなく、相手の長所を認めているがゆえのような感じなので、さらりと読むことができます。

「断捨離」や女優の「小雪」さんの名前など、『私にふさわしいホテル』同様リアルタイムの固有名詞がたくさん出て来るところは、柚木さんの特徴かもしれません。
それと、「お稲荷さん」に始まり「甘食」「ハイボール」「ラー油」「おせち」など、食に関するアイテムが絡むのも読んでいて楽しいポイントですw
一番魅かれたのが雪子ママのハイボールです(笑)
おいしいお酒には器も大切なんですね。

タイプがそれぞれ異なる四人の女性。
パッと見、「どうしてこの四人が友達に?」という感じもします。
お姫様タイプの満里子と、大人しいタイプの由香子なんかは特に。
ただなんとなく、共学ではなくて女子校ならあり得るのかもしれないですね。
何かで柚木さんも女子校出身と読んだ気もしますし。
私とは全くタイプが異なりますが、完璧主義の薫子の話は読んでいて苦しくなりました。
「あれもこれも、全部を自分が完ぺきに」と自分では捌ききれないだけのものを抱えようとしていた薫子さん。
むーりー!
「自分たちを頼って」と言いたくなる三人の気持ちが何故だかよく分かりました(笑)
私が憧れるのは、やはりお料理上手の由香子さんですね。
お料理好きって、それだけでなんだか尊敬してしまいます(笑)
でも、自分の身体をつくるのは、やはり自分が接種する食べ物しかないんですもんね。

女性四人が揃えば尽きないのが話のタネ。
次から次へと話題に花を咲かせるように、ポンポンと軽快に進んでいくお話はとても読みやすかったです。
まるで賑やかな隣の席の会話を聞くかのように。


マイナークラブハウスの森林生活(木地雅映子)

マイナークラブハウスの森林生活―minor club house〈2〉 (ポプラ文庫ピュアフル)マイナークラブハウスの森林生活―minor club house〈2〉 (ポプラ文庫ピュアフル)
(2010/02)
木地 雅映子



桃李学園高等部の片隅に建つ古ぼけた洋館「マイナークラブハウス」に集う弱小文化部の面々は、自由気ままに青春を謳歌……しているように見えるが、一筋縄でいかぬのが青春というもの。
新・演劇部長、畠山ぴりかの涙のワケとは!?
謎が謎を呼び、続きが気になってしかたがない学園・青春小説シリーズ、待望の第2弾。



早速第2弾を読みましたー。
この作品紹介に「謎が謎を呼び」とありますけれど、既に私は何が謎で何がそうでないのか分かりません。
私にとっては、キャラがどれくらいいて、それぞれのキャラの関係性や学年はどこなのか、はたまた卒業生なのか、そこからもうミステリーです(笑)
キャラ多過ぎなんですよー!
そんでもって、登場人物のリストなんてものもないんですよー!
自分で作るなんてことはせず、もう書かれた文をそのまま丸のみするのみ、です…。
疑問なんて持っちゃいけないんだ。。。

今作も前作と同じように、いくつかの章に分かれていてそれぞれ視点(語り手)が異なります。
前作に引き続き、は滝のみかな。
他は全て初めまして。

しかし、第1話の高橋先輩なんか、もう既に卒業生の扱いだしー…。
この学年は演劇部のよーこ先輩が強烈なインパクトで、他の生徒があまり記憶になくて…。
この巻はしょっちゅう1巻を引っ張り出してはキャラ確認をしたものです(笑)
高橋先輩も実はその口。
読んでみると、なかなか面白い人みたいですけどね。卒業してしまったのは惜しいなー。
家族もいっぱい。
特に母・徹子さんはいいキャラしています。
大家族のお母さんのイメージそのまんま。
そしてどうやら、後に出てくる柳場良子先生の友人でもあるようです。
あと、この高橋先輩を通じて気になるキャラが出てきました。
歴史研究会副会長兼、和琴部部長の沢渡美優ちゃん。
彼女も1巻ではあまり目立たぬ存在だったのですが、この2巻ではちょいちょい顔を出します。
高橋先輩との関係は…うーん。。。
付き合っていたのかそうでないのか、それすら定かではない関係。
しかし、まあそれなりに深い関係。
……彼女の真意が見えない。それにより、気になります。
一体沢渡美優という人物は、どんな子なのでしょう。
一見清楚なようで、実は同級生の男の子を煽って楽しむという癖がある。
そして高橋先輩とはドライな関係を持ち、あっさり別れたり。
ふーむ?
彼女と高橋先輩の関係は、これで終了なのでしょうかね。
ぴりかについてのメールのやり取りで、滝に見せた表情とか、彼氏かと聞かれた時のノーコメントとか。
色々と気になるなあ。
今後、彼女のターンはあるかしら。
是非やって欲しい。
あと、高橋先輩には是非是非色々成長して欲しい。

柳場先生も結構お気に入り。
少々暑苦しいくらい生徒思いの先生って素敵ですよね。
学校学園カウンセラーの湯浅先生とのコンビも良い感じです。
密かにこの二人の関係の進展も望んでいるのですが…どうでしょうねー?
このシリーズに、そういう要素を期待してもいいものか…。
母親の子に向ける愛情は人それぞれ、方向性が全く異なる…というのは刺さりました。
そう、なのかもしれないなーと…。
特にこのシリーズで歪に表されているのが、畠山ぴりかとその母。
今作では柳場先生がこの親子に振り回されます。
私にとって、畠山ぴりかはこのシリーズ最大の謎。
そして最高に理解不能なキャラクターかもしれません。
園芸部の作物を勝手に持ち出すことを筆頭に。
もしかしたら、最初は本当に泥棒しているなんて意識はなかったかもしれないけれど、途中からは確信犯でやっている気配。
それなのに漬物のくだりでの彼女の反応は…なんというか、私の理解を超えている。
それに乗っかる徹子さんの言
「自分の力で、盗み出すからこそ、おいしいのよ」
とか…。
それまでのくだりで、どうしてそういう結論にたどり着き、あまつ凶悪な笑顔で盗んだキャベツを食べられるのか。

畠山ぴりかの言動と、そして彼女の天敵である園芸部長・天野晴一郎の言動は共に理解できないところがあるのですが…。
シリーズが進むごとに、彼らにも歩み寄りが出来るようになると良いな、と思います。


猫弁 天才百瀬とやっかいな依頼人たち(大山 淳子)

猫弁 天才百瀬とやっかいな依頼人たち (講談社文庫)猫弁 天才百瀬とやっかいな依頼人たち (講談社文庫)
(2012/03/15)
大山 淳子




「――弁護士バッジの意味。あれ、ひまわりのデザインなんでしょう?」
「ええ」
「太陽に向かっている、正義と自由の花ですよね」


婚活中の天才弁護士・百瀬太郎は、毎日持ち込まれるやっかいな依頼に悪戦苦闘。
とにかく引き受けて、共に考え、解決の道を探したい。
黄色いドアの向こう側、猫いっぱいの事務所で人と猫の幸せを考える日々に、新たな依頼が舞い込んだ。
「霊柩車が盗まれたので、取り戻してほしい!」
すべてのピースがつながった後には、誰にも予想できない結末が待っている。
笑いあり涙ありのハートフル・ミステリー!



…というには、すこーしばかり大げさかな?
多分、大体のピースはミステリ読みならば想像できると思います。
なんせ、私でも大体は分かりましたから(笑)

この作品はTBSと講談社が協賛したドラマ原作大賞第3回目の受賞作品です。
そして表紙は大人気イラストレーターのカスヤナガトさん。
近ごろは本屋さんに行ったら見ないことはないほどの活躍ぶり。
この作品も、その中のひとつなんですね。

主人公は東大を主席で卒業し、在学中に司法試験にも合格したエリート中のエリート、百瀬太郎。
就職も大手に採用されたものの、とある猫屋敷の裁判を勝利に導いた後、独立し事務所を立ち上げます。
それがきっかけでペット関連の依頼が後を絶たず、ついたあだ名は「猫弁」。
ぼさぼさのくせっ毛に野暮ったい黒縁メガネ。
結婚したくて結婚相談所に通うものの、お見合い30連敗中とどうにも冴えない人物なのだ。

そんな主人公。
肩書だけ見ると、非の打ちどころのないエリート中のエリート。
でもキャラクタとしては自分の身にとても無頓着。
方々から猫を押し付けられては事務所に持ち帰り、部下たちに眉をひそめられてばかり。
どうにも、ぼんやりした人物なのです。
小説の中の“主人公”や“探偵”としては、決して珍しいキャラクタではないタイプです。
が、面白いのは、彼が“婚活中”というところですね。
実は百瀬、7歳の時に唯一の肉親である母親に施設に預けられ、それきり施設で育った人間だったのです。
傍から見たら、彼は母に捨てられた子。
しかし、百瀬は母を恨んではおらず、それどころか今でも感謝をしている。
そして自分の家庭を持つことを熱望している。
だから、結婚に対してひたすら前向きで、結婚相談所にまで登録しているのです。

なんだか、彼のその発想が面白いなあ、と。
キュートで、それでいてどこか滑稽な感じがします。
弁護士として、猫の関わる事件や消えた霊柩車の事件に関わりつつ、同時に何より難解な「女性」という謎にお見合いを通して挑んでいく姿が(笑)

消えた霊柩車の謎が全体を通しての大きな柱となる事件ですが、そこにはアマチュアお笑いコンビ、喪主の社長とその秘書、そして謎の老女など様々な人物が絡んできます。
その他の事件も、全てが最後にはひとつの線になり、見事大団円。
謎の老女の正体も途中からは分かってしまいますが、逆にいつそれが明るみに出るのか、そもそも自分のこの予想は正解しているのかとページを繰る手が止まらなくなりましたw

ひとつ、読めなかったのは、事務員・七重さんの黄色いドアの理由です。
経費を惜しんで七重さんに塗らせると、黄色いペンキを調達してきてしまった、という。
弁護士事務所に黄色いドア。
黄色いドア自体はそう悪くはないと思うのですが、うーん、想像したらちょっと…軽い、のかな?
保育園とかなら合いそうなのですけどね。
七重さんが何故、黄色いペンキを選んだのか?
その理由が最後の最後に明かされるのです。
…まさか、ちゃんと理由があったなんて、思いもしませんでした。
七瀬さんの「謎のセンス」だとばっかり。
弁護士バッジ、そういえば聞いたこと、あるような…(ないような?)

百瀬法律事務所の面々も面白いですけど、見逃せないのが結婚相談所のアドバイザー・亜子さん。
彼女の想いはもちろん露わになっていたので分かっていたのですが、まさかそんな経緯があるとは。
肝心なことは彼女が口にしましたけど、その後どうなったのかははっきりしていません。
七重さんの言葉だけではまだ不十分というものです。
この本には続編があるという話なので、このもやもやの答えはそちらではっきりさせられるでしょう。
それと、百瀬の母親の行方ですね。
いつか百瀬と母親が再会するような展開はあるのでしょうか。
だとしたら、何故母は百瀬を手放したのか、別れた後に何をしていたのか。
それが分かるのでしょうか。

今回のキーとなった、霊柩車の消失。
その式は、大手の靴屋・シンデレラシューズの会長、三千代のもの。
喪主はひとり息子の大河内進。
この二人の会社に対する姿勢には考えさせられるものがありました。
初代社長の三千代の方針は、10年壊れぬ最高の靴を作り続けること。
そして息子の進は、「それなり」の靴を作り、たくさん買ってもらって会社を大きくしていくこと。
一見すると、良いとされるのは三千代の方。
いいものを長く使い続けるのは、今でも重要視されるべき観念です。
しかし、進の考えのように、会社を大きくできればそこには新たな雇用が生まれる。
経済を回す、という意味ではむしろ進の方が良いのかもしれない…。
何を重視するのかは人それぞれ。
考えの異なる二人が袂を分かつのは仕方のないことなのかもしれません。
けれど、憎しみ合うのではなく、それぞれが前に進むための別れならば、まだ先は明るい。

続編でも、今回関わった人たちのその後がちらとでも見られたらな、と期待してしまいます。
続きを読むのが今から楽しみですw


     
プロフィール

sui

Author:sui
いらっしゃいませ。こちらのブログは管理人のマメでない性格ゆえ、更新はゆっくりめです。
感想は多分にネタバレを含みますので、未読の作品に関してはご注意ください。
思い出した時にでもお立ち寄りくだされば嬉しいです。


コメントやトラックバックなども大変嬉しく、歓迎です。
が、こちらの判断により、削除してしまう場合もあります(例:初めましての間柄でトラックバックのみを行うなど)ので、ご了承ください。

日記、始めました。
『のんびりたまに雑記。』リンクから行けます。
今読んでいる本などちょこちょこ書いていく予定です。
また、web拍手でいただいたコメントも、こちらの方でお返事させていただきます。

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