Tiki ’s Remarks: 2009年12月

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2009年12月の2件の記事

2009年12月28日 (月)

ホロヴィッツのスカルラッティ: ベルリン コンサート 1986

Horowitz-TheLegendaryBerlinConcert-1986 ひさしぶりに「待ちに待った」という思いを味わったCDが出た。ウラディミール・ホロヴィッツが、1986年にベルリンで開催したコンサートの録音がCD化されたのだ。

「待ちに待った」というのは、ふたつある。ひとつは、コンサートが行われてから20年以上が経過して、ようやくCD化されたということ。もうひとつは、たしか10月にHMVに注文をして、その月のうちに届くはずが、入荷予定が延びて、延びて――HMVと数回メールのやりとりをして――ようやくこの年末になって届いたのだ。


これは、ホロヴィッツが83歳のときのコンサートの録音だ。この翌月、彼は2度目の――そして最後の来日を果たしている。ほんとうに聴きたかったのは、この東京での演奏なのだが、今回発売されたベルリンのコンサートはそのひと月のもの。ぼくが楽しみにしていたスカルラッティの曲目はおなじで、おそらくはコンディションもあまり変わらないと思う。

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この2度目の来日のとき、ぼくはまだ学生で、クラシックを聴きはじめたばかりだった。なかなか日本にきてくれなかったホロヴィッツは、その3年前に、はじめての来日を果たしている。この1983年の初来日のコンサートは、吉田秀和氏の有名な「ひとこと」があるように、評判の良いものではなかった。

ぼくは1983年のときのことはよくは知らない。あとになって、吉田氏自身の著作や、さまざまな記事などで知識として知った程度だ。だから、2度目の1986年のときには、そうした初来日の印象、先入観はなにもなく、ただ往年の大ピアニストのコンサート――高額なチケットも話題だった――という程度の認識で、どちらかといえば興味本位で、NHK-FMでの中継を聴いたのだった。

ヴィルトゥオーゾとして知られるピアニストのコンサートだから、どんなに凄い演奏ではじまるのだろう――そう思いながら、たいして緊張もせず待っているうちに1曲目がはじまって、ぼくは思わず息を呑んだ。

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コンサートは、スカルラッティの3曲のソナタではじまった。ぼくは、そのときはじめてホロヴィッツというピアニストと、ドメニコ・スカルラッティのソナタを聴いたのだった。1曲目は K87 だった。その静謐で美しい響きに、あっというまに引き込まれてしまった。つづいて、チャーミングで闊達な K380。小太鼓を模した音の響きということらしいが、そのときにはまるで小鳥のさえずりのように聴こえた。どちらも、それまで――その後も――聴いたことがないほど、美しかった。

当時のコンサートのことは、これ以外に、じつはあまり覚えていない。とにかくホロヴィッツというピアニストの凄さと、彼のスカルラッティの美しさに、完全にやられてしまった。

その後すぐ、ホロヴィッツが1960年代にスタジオ録音した、スカルラッティのソナタ集を買ってきた。ところが、ここにはぼくが聴いたスカルラッティはいなかった。それから約20年、ぼくの音楽を聴く幅もひろがってきて、スカルラッティもさまざまな演奏を聴いた。ソナタでいえば、シフの演奏が印象的には近かったけれど――結局、あのときのホロヴィッツのようにスカルラッティを弾いた演奏は、ほかにはないのだ、ということを理解するようになった。

その演奏が、いまになって音質のよいCDで聴けるようになろうとは、思いもしないことだった。最後の3ヶ月、HMVには焦らされたけれど(笑)、とてもうれしい。

このCDの背面にはこう引用されている――"Anyone who has once heard Horowitz's pianissimo will never forget it" (Der Tagesspiegel, 21st May 1986)まさに、ぼくはそうだったのだ。

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Horowitz-InMoscow-1986余談を三つ。この年のホロヴィッツのコンサートは、モスクワでの模様がすでにCDとしてDGからリリースされている。でも、このCDには肝心のスカルラッティが1曲しか収録されてない!

もうひとつ。おなじくこの年のホロヴィッツの演奏は、YouTube で見ることができる。上で紹介したソナタ K86 は "カークパトリック番号" と言われる体系であらわしたものだが、ほかにスカルラッティのカタログ番号には "ロンゴ番号" があり、この番号であらわすと、おなじ作品が L33 となる。YouTube ではこのロンゴ番号で紹介されていることが多いようだ。ちなみに、この K86=L33 のモスクワでのライブの映像はここ。息を詰めて(笑)ご覧ください。

最後。ベルリンでのコンサートの終盤、アンコールのまえに弾かれたショパンの英雄ポロネーズ。なんて粋な演奏なのだろう、と思った。とても当時83歳とは思えない。

 

 

Annotations :
Horowitz : The Legendary Berlin Concerto 1986
Vladimir Horowitz, piano
Sony Music : 88697527082
Link : HMVジャパン

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2009年12月 6日 (日)

foo_NowPlaying.gadget (foobar2000 用ガジェット)

foo_NowPlaying.gadget 先日通りすがりさんからリクエストをいただいたのと、ときどき某掲示板で話題にしてもらっていることもあるようなので、Windows 7 / Windows Vista 用のガジェット foo_NowPlaying.gadget を公開しました。

この foo_NowPlaying.gadget は、フリーのプレイヤー・ソフト foobar2000 用の Windows ガジェット (サイドバー・ガジェット) です。このブログの右側に、foo_NowPlaying.gadget 用のページへのリンクがありますので、そこからダウンロードできます。

foobar2000 の Version 0.9.5.3 以降で使用した実績がありますが、現在はもっぱら、自分で使っている Version 0.9.6.9 で動作確認しています。

また、このガジェットの動作には、foosion氏作成の COM Automation server "foo_comserver2" が必要です。 foo_comserver2 は、ここからダウンロードできます。使用しているバージョンは、この記事を書いている現在最新の、0.7 alpha 6 です (長いあいだこのバージョンのままのようです)。


foo_NowPlaying.gadget は表示専用のガジェットです。このガジェットから操作できることはほとんどありません。表面をクリックすると、 foobar2000が起動していなければ起動します。逆に起動していれば「アクティベート」します。アクティベートというのは、こちらの期待としては foobar2000が隠れたり最小化していれば前面に表示されてほしいのですが、なぜかそういうようには動かないこともあるようです(^_^;。

演奏中は、その楽曲とおなじフォルダに画像があればランダムに表示します。またそれ以外に、Associated-Images と呼んでいる、"連想画像表示" 機能があります。これは、演奏中の楽曲から単語を抜き出し、その単語に合致する画像を、特定のフォルダの下から自動的に探してきて表示するものです。たとえば、あるフォルダに "otter.jpg" を置いておき、このフォルダを設定画面の Associated-Images Folder として指定しておくと、Otter が歌っている曲を演奏中、otter.jpg など "otter" をファイル名に含む画像を探してきてランダムに表示します。ただし、もちろんこの場合には、楽曲の Title、Artist、Performer などのタグのどこかに Otter の名前が入っている必要があります。

このガジェットを作成した経緯は、「foobar2000 と Windows Vista サイドバー ガジェット」と「foobar2000 と Windows Vista サイドバー ガジェット (その2)」に長々と書いたので、ここではくり返しません(^^;。このガジェットがお役に立てれば幸いです。

 

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