翻訳の神様はインタビューの名手~『代表質問 16のインタビュー』
Sixteen Interviews
Motoyuki Shibata
東京大学教授にして、超売れっ子翻訳家の柴田元幸氏によるインタビュー集。
インタビューを受ける13人は、今をときめく村上春樹をはじめ、国内外の作家・
翻訳家・研究者。柴田先生の人柄のよさと、人脈の広さ、超人的仕事ぶりなど
も垣間見えます。
とにかく内容がギッシリ詰まっている本なので、読み飛ばすのはもったいな
くて、読了するのにとても時間がかかりました。やっぱり一番興味深いと言う
か、気になってしょうがない村上春樹の発言目当てに読んでみたわけですが、
他の方々もとても楽しそうに、フレンドリーに語らっている様子が目に浮かぶ
ようでした。
ハルキさんは、『キャッチャー』を訳した後に「『ナイン・ストーリーズ』を訳し
てみたい」と発言されているのですね。。これはもう、柴田先生が新訳された
わけですが、『フラニーとゾーイー』関西語訳は是非実現していただきたい!
内田樹氏の「ファン目線丸出しの村上春樹論」も面白かった! しかし、
内田先生って頭が良すぎるせいなのか、時々(しょっちゅう)何言ってるか
意味不明なんですけど(笑)。岸本佐知子さんとの「翻訳稼業談義」、ジョン
・アーヴィングの架空インタビューなんかも手が込んでいる。20年前のテキ
ストもあるので、多少古びた感じのする部分が無きにしも非ずですが、それ
を差し引いても、とても濃い内容の良書だと思います。一読推奨。
(『代表質問 16のインタビュー』 柴田元幸ほか・著/2009・新書館)
- 関連記事
-
- ニートなファンタジー~『モサ』 (2009/09/18)
- 翻訳の神様はインタビューの名手~『代表質問 16のインタビュー』 (2009/09/14)
- 映画とは別物です~『きのうの神様』 (2009/09/07)