真紅のthinkingdays 波の彼方、海の向こう~『白い馬』
FC2ブログ
映画が大好きです。いつまでも青臭い映画好きでいたい。 記事は基本的にネタバレありです by 真紅 (言葉を探す人)   ★劇場鑑賞した映画は Instagram にアップしています @ruby_red66 ★Stay Blue

波の彼方、海の向こう~『白い馬』

白い馬


 CRIN BLANC


 南仏の湿地帯に暮らす漁師の少年フォルコ(アラン・エムリー)は、野性の馬
リーダーである白い馬に魅せられる。彼は、馬飼いたちに追われる白い馬を助け
ようとするのだが・・・。

 1953年に発表され、カンヌ映画祭においてグランプリを受賞したアルベール・
ラモリス
の短編映画。デジタルリマスター版が2008年、同監督の赤い風船
併映で全国公開されている。白く長いたてがみの馬の逞しさと、裸足で馬に跨る
少年
の凛々しさ。『白い馬』といえばモンゴルの少年スーホを思い浮かべてしまう
私だけれど、古今東西、白い馬と少年の蜜月は変わらないのだな・・。

白い馬2

 モノクロの画面が、白く輝くように美しい。ほとんどセリフはなく、僅かなナレー
ションが挿入される以外は、馬の蹄の音がリズミカルに響く。野性の馬の躍動感、
激しい気性
のぶつかり合うさまが見事。スピード感溢れる映像が素晴らしい!

 少年は年老いたおじいさんと、幼い弟(パスカル・ラモリス、かわいい!)との
貧しい暮らし。馬飼いたちの追っ手を逃れた白い馬を捕まえようとする少年は、
どんなに馬に引き摺られてもロープを離さない。その直後の馬の「表情」凄い!
のだ。「そんなに連れて行きたいのなら、まぁいいさ」と言わんばかりの眼差し。。
監督の演出力に感嘆する。

 着の身着のままの少年が、傷ついた馬のために自分のシャツを破る。いつま
でも馬と平和に暮らしたいのに、大人たちはそれを許してくれない。逃れ逃れ
辿り着いた、そこで馬と少年が選んだ道は・・・。

 波の彼方に消えた彼らは、海の向こうに自由な大地を見つけただろうか。

白い馬3

 (『白い馬』監督・脚本:アルベール・ラモリス
                  主演:アラン・エムリー/1953・仏)
関連記事

テーマ : 心に残る映画
ジャンル : 映画

2008-08-26 : 映画 : コメント : 10 : トラックバック : 5
Pagetop
どこか遠い空~『赤い風船』 «  ホーム  » 暗黒の騎士~『ダークナイト』
trackback

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
「赤い風船」と「白い馬」
とうとう、とうとう、映画館でアルベール・ラモリス監督の作品を 観る事が出来ました。胸が一杯とはこの事! 赤い風船」私の記憶の中では、風船に見とれている内に アッと言う間に終わってしまいながらも、この映画の残す想像力の尾は、 どこまでも続くようなイメージ...
2008-08-27 01:05 : 獏のいる庭園
『白い馬』
先日、観たい観たいと思っていた『赤い風船』を観るためにシネスイッチ銀座へ。銀座まで映画を観に行ったのは5か月ぶりくらいかな。『赤い風船』と『白い馬』の2本立て上映でした。 まずは、『白い馬』から。 ******************** ラモリスはさかんに空を飛び回る...
2008-08-27 02:33 : cinema!cinema! ミーハー映画・DVDレビュー
「白い馬」
アルベール・ラモリス監督 「白い馬」で1953年カンヌ映画祭でグランプリ受賞。同年ジャン・ヴィゴ賞を受賞。 「赤い風船」で1956年カンヌ映画祭パルムドール受賞。 そしてこの2本が長年の権利問題が解決し、デジタル・リマスターによって甦り、2007年カンヌ映...
2008-08-27 10:44 : 寄り道カフェ
「白い馬/赤い風船」
巷で評判になっているのか?7月の終わりに公開されて以来、今でもシアターにかかっている短編名作2本立て。どちらもカンヌ国際映画祭グランプリ(パルムドール)受賞作品。 公開されたら観に行こうと思いながら、他の映画を観ているうち、すっかりこの映画の事を忘れてし...
2008-09-09 01:14 : ヨーロッパ映画を観よう!
赤い風船・白い馬
「赤い風船」を観たのが、1957年 小学生の頃。 記録によれば、「沈黙の世界」といっしょに。学校からの授業として観たのか、文部省選定故 割引券が配られて観たのか、そういえば この当時、近くの洋画劇場は 2本立て55円、もちろんロードショー後何年遅れの映...
2009-05-05 13:14 : 大当り狸御殿~大当り映画御殿~ 映画ダイアリー
Pagetop
コメントの投稿
非公開コメント

真紅さん、再びこんばんは♪
この映像の迫力!何だか観てる私の方まで
走って息切れしてしまいそうでした。
馬に引っ張られるシーンや最後の海へ向かう
シーン、どうやって撮ってるのでしょうか。
それに真紅さんの言う通り、馬の眼の演技と言うか、眼力に私も圧倒されてしまいました。
この哀しいラストシーン、切ないけれど
誰も邪魔できない大きな世界に放たれた
ようで感動的でした。
2008-08-27 01:20 : こはく URL : 編集
こはくさま、こちらにもコメントとTBをありがとうございます!
馬の蹄の力強い音が今も耳に残っています。
本当に、「どうやって撮影したんだろう?」と何度も思いましたね。
フォルコ少年は、本当に引き摺られたのかな、とか。。
あの馬の目、ねぇ~。。あれは名演技、名演出ですね!
ラストで、『大人は判ってくれない』をなんとなく思い出しました。
少年と海、っていうのも画になりますね。
白馬に跨ったフォルコ少年が美しかったです。
ではでは、またお伺いします!
2008-08-27 17:23 : 真紅 URL : 編集
こんばんは。
赤白、堪能していただけたようですね。
モノクロな映像で白い馬がこんなに素敵に美しく撮られているなんてとってもうれしくなりますよね。野生の馬同士ってこんなに激しく喧嘩するんだって事、もしかして初めて知ったかも;
緊張感でいっぱいでした。
孤高な似た者同士(前髪そっくり。笑)な少年と馬がお互いを想う気持ちが、ラストでやっと自由を得る事につながっていったと希望を持たせてくれたのが嬉しかったです。
でもあんな荒海の中を泳いでいくなんて結構無謀で;ハラハラしちゃいました;


2008-08-29 22:12 : シャーロット URL : 編集
シャーロットさま、こんにちは。コメントありがとうございます。
『赤い風船』にTBもありがとうございました。
映像がものすご~く綺麗でしたよね。スクリーンが光って見えました。
そうそう、あの前髪が似てるんですよね~。フォルコ少年、男前で惚れましたわ~。
馬同士のバトルといい、あの荒海へのダイヴといい、一体どうやって撮ったのでしょうね?
特に、馬って泳げるのか?あの少年は本当に馬と海に入ったのか、などなど・・・。
私もハラドキの連続でした。
劇場で観られてよかったです!
ではでは、またお伺いします~。
2008-08-30 07:20 : 真紅 URL : 編集
真紅さん、こちらにも。
「白い馬」をみて、ラモリス監督の思いがひしひしと受け止められたから、「赤い風船」もファンタジーの奥にある監督の大空に託した思いが読み取れて感慨一入。
パスカル君可愛かったし、少年役の男の子、美しい、全くの素人だそうですってね。フランスの少年って写真なんかみても、こんな美しい子がごろごろ歩いている!
2008-08-30 08:58 : シュエット URL : 編集
シュエットさま、こちらにもコメントとTBをありがとうございます。
監督は自由っていうものを、大空とか海に見ていたのでしょうか。
よく考えてみれば、2作ともめいっぱいのハッピーエンディングというわけでもないですよね。
フォルコ少年、素人さんなんですかー!美少年ですよね~。
フランスか~、やっぱり特別な国ですね。
ではでは、またです~。
2008-08-31 13:47 : 真紅 URL : 編集
真紅さん~こちらにもTBしたのだけれど、赤い風船の方しか、駄目だったっぽいみたい・・・。
コメントは2つまとめてここでさせて下さい☆

真紅さんは、白い馬を先に見て、その後、赤い風船だったのかな? だって、赤い風船を見て、あの白い馬の男の子だ、って気がついたって事は。
私は逆で、赤→白の順で見たのですよ。だから、ちっちゃくなっちゃってた^^

両方とも、良い映画だったなぁ~!やっぱり映画は誰が見ても解って楽しめるのが私は好きだな。
お正月に見たのに、なんでこんなに感想が遅くなっちゃったか?というと、白い馬の少年の追跡(爆)をしてたの。でも、結局解らないまんまで、諦めちゃった・・・・。

そうそう、グーグーだって猫である・・見たの・・。すんごいつまんなくて、早送りしてしまった・・・。真紅さんの感想も見せていただいちゃった。
犬童監督と、あんまり相性が良くないかも・・・って以前、真紅さん、おっしゃってましたよね^^ 私は逆にで、結構良いのかな?って思っていたんだけど、グーグーは全然駄目でした。キョンキョンは可愛かったんだけど、内容がつまらんかった。加瀬君も、こんな使い方じゃもったいない~上野樹里ちゃんも。

PS 村上春樹の~。さっすが~!真紅さんは、授賞式に行く前から、ちゃんとチェック入っていたのね♪ いやぁ~それにしても、カッコイイですね!!何かの番組で、ちらっと授賞式のシーンを見たんですが、英語をしゃべってる村上春樹、さすがに発音も上手で、素敵でした☆ こういう人が国会議員とか総理大臣とかやってくれないかなぁ~。
2009-02-18 20:39 : latifa URL : 編集
latifaさま、こんにちは~~。コメントとTBをありがとうございます☆
感想、いつかな~?ってお待ちしておりましたよ♪

そうそう、これね、白→赤の順で続けて上映されたんですよ(一本分の料金で)。
だから、男の子はすぐわかりました。
ちっちゃいときはクルクルの巻き毛だったのに、直毛になってたよね~。
私はこれ、DVDと絵本も買ったんですよ。洋書のと、日本のと2冊も。
一生の宝ものだ~、と思ってます♪
でも、DVDまだ観てないの~。忙しくて。。(泣)
DVD観る時間があったら映画館に行ってしまうので。。しくしく

この少年、めっちゃ男前ですよね。。私も、ちょっと追跡したわ(笑)。
今はどうしてるんだろうね~。
両方とも、時代を越えて愛される作品だと思います。

『グーグー』、しょーもなかったよね?? あれはかなりガッカリでした。
加瀬くんも、え~~、どうしちゃったのさ?!というくらい棒読みだったし。
監督は大島マンガを愛してると公言されてるだけに、私はかなり残念でした。
でもキョンキョンはね、かわいいよね。。小柄な人って得よね~、っていつも思うわ。

ハルキさん、ニュースでかなり映像が流れたらしいですね。
私、テレビも全く観てない。。(涙) でもYOUTUBEにアップされてるだろうから、後で行ってみようっと♪
う~ん、ハルキさんって私は国会議員とか首相とかとは一番遠いイメージだわ(笑)。
学校でも、クラス委員とかしないでいつも窓際で一人、本を読んでいるって感じかな~。
で、時々私と目が合うのよ~。私はいつも彼を見てるからね・・・、って妄想でした(爆)。
ではでは、後ほどお伺いしますね~。
2009-02-19 09:26 : 真紅 URL : 編集
はじめまして。
半世紀ぶりに「赤い風船」を観て、はじめて「白い馬」を観て・・あぁぁ、生きていて良かったと、せつに思いましたです。
TB、お許しを。
2009-05-05 13:18 : たんたん URL : 編集
たんたんさん、初めましてこんにちは。コメントとTBをありがとうございます。
この映画を小さな頃にご覧になって、昨年のリバイバル上映で再見された方は多いようですね。
素敵な映画体験、うらやましいです。
後ほど貴宅にもお邪魔させていただきますね。
ではでは~。
2009-05-07 15:49 : 真紅 URL : 編集
Pagetop
« next  ホーム  prev »

What's New?

真紅

Author:真紅
 Cor Cordium 
★劇場鑑賞した映画の感想はインスタにアップしています@ruby_red66

Archives

Search this site

Thank You!