著者:来生直紀
霧宮澄御架――この高校の1年4組の生徒だけに起こる不可解な現象「青春虚構具現症」によって崩壊しかけた日常を守った英雄。そして、そんな彼女は、2年になる直前、突如、皆の前から消えてしまった。そんな霧宮澄御架の相棒として、事態の収拾に奔走した神波社は、転校生の九十九里閑莉に問われる。「彼女の後継者がいるはず」と。そんな後継者探しに協力することになる社だが、1年4組の生徒しか起きないはずの現象が彼らの前に起こり……
雰囲気がすごく良いな、というのがまず思ったこと。
物語としては、本来、1年4組の生徒しか発症するはずのない「青春虚構具現症」が、なぜか2年生になった社たちの前に起こるので、それを解決する、という形で進行する。「青春虚構具現症」は、原因となった生徒の望みを暴走させる形で具体化する。しかし、それは本人の想いとは裏腹に起きてしまう……
そんな設定で、なぜかワープしてしまう少女・北沢古海。社のものをなぜか奪ってしまう少女・早乙女翼と言った面々の問題を解決することに。
北沢古海の話については、「ワープ」という現象の背景が非常に印象的。例えば、走っていると、突如として数メートルほど飛んでしまう。それだけを見ると、物理的な移動というのがポイントなのかな? という気がするけれども、彼女のことを深堀する中で別のことが判明し……。文字通り、願いを「暴走させた」結果。青春虚構具現症というのがどういうものなのか? というのをまず教えてくれるエピソード。一方、早乙女翼のエピソードは、その謎解きそのものよりも、だんだんと霧宮澄御架の存在がクローズアップされていく。そして、その霧宮澄御架が復活する、という状況が現れて……
そもそも、霧宮澄御架が倒れ、その後は顔を見ることもなく「死んだ」と言われた社たち。当然、その亡骸なを見たわけではない。そんな状況だからこそ、「実は海外で手術を受けて」というのもあり得るのではないか? という希望も生まれてくる。でも、本当にそうなのか? 皆が、霧宮澄御架が生きていたことを受け入れる中、しかし、だんだんとその矛盾点なども露になっていって……
青春虚構具現症の原因となっているのは誰なのか? 社自身なのか? そんな疑問なども浮かびながらの原因となった人物探しはスリリング。そして、その中で露になること。青春虚構具現症の解決、という形で入りつつも、だんだんと霧宮澄御架の存在へとシフトさせていく物語の流れが上手く、最終的には少しの喪失感を感じさせる終わり方が実に自分好みだった。
まぁ、1年4組の生徒しか発症しないはずの青春虚構具現症がなぜ、そこから外れたところで起きるのか? というような謎は残されたままなのだけど、この辺りは続巻が出れば……という感じになるのかな? ということで、続巻も期待。
No.6640
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この記事は、「新・たこの感想文」に掲載するために作成したものです。
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霧宮澄御架――この高校の1年4組の生徒だけに起こる不可解な現象「青春虚構具現症」によって崩壊しかけた日常を守った英雄。そして、そんな彼女は、2年になる直前、突如、皆の前から消えてしまった。そんな霧宮澄御架の相棒として、事態の収拾に奔走した神波社は、転校生の九十九里閑莉に問われる。「彼女の後継者がいるはず」と。そんな後継者探しに協力することになる社だが、1年4組の生徒しか起きないはずの現象が彼らの前に起こり……
雰囲気がすごく良いな、というのがまず思ったこと。
物語としては、本来、1年4組の生徒しか発症するはずのない「青春虚構具現症」が、なぜか2年生になった社たちの前に起こるので、それを解決する、という形で進行する。「青春虚構具現症」は、原因となった生徒の望みを暴走させる形で具体化する。しかし、それは本人の想いとは裏腹に起きてしまう……
そんな設定で、なぜかワープしてしまう少女・北沢古海。社のものをなぜか奪ってしまう少女・早乙女翼と言った面々の問題を解決することに。
北沢古海の話については、「ワープ」という現象の背景が非常に印象的。例えば、走っていると、突如として数メートルほど飛んでしまう。それだけを見ると、物理的な移動というのがポイントなのかな? という気がするけれども、彼女のことを深堀する中で別のことが判明し……。文字通り、願いを「暴走させた」結果。青春虚構具現症というのがどういうものなのか? というのをまず教えてくれるエピソード。一方、早乙女翼のエピソードは、その謎解きそのものよりも、だんだんと霧宮澄御架の存在がクローズアップされていく。そして、その霧宮澄御架が復活する、という状況が現れて……
そもそも、霧宮澄御架が倒れ、その後は顔を見ることもなく「死んだ」と言われた社たち。当然、その亡骸なを見たわけではない。そんな状況だからこそ、「実は海外で手術を受けて」というのもあり得るのではないか? という希望も生まれてくる。でも、本当にそうなのか? 皆が、霧宮澄御架が生きていたことを受け入れる中、しかし、だんだんとその矛盾点なども露になっていって……
青春虚構具現症の原因となっているのは誰なのか? 社自身なのか? そんな疑問なども浮かびながらの原因となった人物探しはスリリング。そして、その中で露になること。青春虚構具現症の解決、という形で入りつつも、だんだんと霧宮澄御架の存在へとシフトさせていく物語の流れが上手く、最終的には少しの喪失感を感じさせる終わり方が実に自分好みだった。
まぁ、1年4組の生徒しか発症しないはずの青春虚構具現症がなぜ、そこから外れたところで起きるのか? というような謎は残されたままなのだけど、この辺りは続巻が出れば……という感じになるのかな? ということで、続巻も期待。
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