著者:小林湖底
六国で広く信仰される「神聖教」。その頂点に立つ、教皇の来訪を控え、ムルナイト帝国は大わらわ。そんな中、コマリは出会った少女に対し、ごく自然に神を否定してしまう。だが、その少女こそ、神聖教の教皇、スピカ・ラ・ジェミニで……。皇帝不在の中、神聖教徒は暴動に出、さらに、テロ組織・逆さ月まで動き出す。そんな中、コマリの側近であるヴィルヘイズがスピカの元へ行ってしまい……
なんか、物語の空気が大分変ったな、と感じた巻。
これまでは、コマリは基本的にやる気がなく、ヴィルヘイズ、さらには部下の暴走によって戦いをせざるを得なくなる。けれども、その中で、友達も出来て、そんな友達を救うために……というのが基本的な流れ。
ところが、今回は、部下の暴走もあるのだけど、ヴィルヘイズがいなくなり、本来、求めていたはずの状況なのに落ち着かない。そして、国は危機的状況。その中で、コマリが自ら何とかしなければ。ヴィルヘイズを取り戻そう。そういう風に動く話というような印象が強い。今回は、これまでと違って、コマリが、自分の立場とか、そういうのを自覚して、自分で動いている印象が強い。
勿論、そのきっかけは、ヴィルヘイズがいなくなったこと。でも、そのヴィルヘイズに振り回されつつも、サクナであったり、ネリアであったり、カルラであったり……と言った仲間が作られていたから、という積み上げも大きかったのかな? と。1巻の時点では、自己評価が最低ランクで……というコマリで、帯にもそういう表記はされているのだけど、この巻に関しては、そこまで自己評価が低くないと思える。そして、そんな自分になれたのは……という方向性を持った話のように感じた。
そして、物語自体も、これまでよりもさらに大規模。これまでだって、国レベルの話とかはしていたけど、あくまでも内戦的なものだったのが、今回はコマリが属しているムルナイト帝国の存亡の危機。しかも、皇帝が行方不明と言う危機的状況。そんな中で、逆さ月の猛攻と、その魔の手は……という状況。これまで以上に大きな危機だし、また、これまでに知り合った仲間たちが一致団結して……という辺り、物語が煮詰まってきた感じがする。
一応、この巻での危機は去ったわけだけど、いよいよ最終決戦へ、という予感をさせる巻だったように思う。
No.5880
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この記事は、「新・たこの感想文」に掲載するために作成したものです。
他のブログなどに、全文を転載することは許可しておりません。
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六国で広く信仰される「神聖教」。その頂点に立つ、教皇の来訪を控え、ムルナイト帝国は大わらわ。そんな中、コマリは出会った少女に対し、ごく自然に神を否定してしまう。だが、その少女こそ、神聖教の教皇、スピカ・ラ・ジェミニで……。皇帝不在の中、神聖教徒は暴動に出、さらに、テロ組織・逆さ月まで動き出す。そんな中、コマリの側近であるヴィルヘイズがスピカの元へ行ってしまい……
なんか、物語の空気が大分変ったな、と感じた巻。
これまでは、コマリは基本的にやる気がなく、ヴィルヘイズ、さらには部下の暴走によって戦いをせざるを得なくなる。けれども、その中で、友達も出来て、そんな友達を救うために……というのが基本的な流れ。
ところが、今回は、部下の暴走もあるのだけど、ヴィルヘイズがいなくなり、本来、求めていたはずの状況なのに落ち着かない。そして、国は危機的状況。その中で、コマリが自ら何とかしなければ。ヴィルヘイズを取り戻そう。そういう風に動く話というような印象が強い。今回は、これまでと違って、コマリが、自分の立場とか、そういうのを自覚して、自分で動いている印象が強い。
勿論、そのきっかけは、ヴィルヘイズがいなくなったこと。でも、そのヴィルヘイズに振り回されつつも、サクナであったり、ネリアであったり、カルラであったり……と言った仲間が作られていたから、という積み上げも大きかったのかな? と。1巻の時点では、自己評価が最低ランクで……というコマリで、帯にもそういう表記はされているのだけど、この巻に関しては、そこまで自己評価が低くないと思える。そして、そんな自分になれたのは……という方向性を持った話のように感じた。
そして、物語自体も、これまでよりもさらに大規模。これまでだって、国レベルの話とかはしていたけど、あくまでも内戦的なものだったのが、今回はコマリが属しているムルナイト帝国の存亡の危機。しかも、皇帝が行方不明と言う危機的状況。そんな中で、逆さ月の猛攻と、その魔の手は……という状況。これまで以上に大きな危機だし、また、これまでに知り合った仲間たちが一致団結して……という辺り、物語が煮詰まってきた感じがする。
一応、この巻での危機は去ったわけだけど、いよいよ最終決戦へ、という予感をさせる巻だったように思う。
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