著者:長崎尚志
漫画家デビューを目指し、アシスタント生活を続ける山城。「画は上手いが、キャラクターは……」 そんな周囲の声に絶望感を覚える彼は、「誰が見えても、幸せそうな家」のスケッチを頼まれ、以前から気になっていた家を訪れる。しかし、暗闇から流れる大音響のオペラ。そこに導かれるように入った家で待っていたのは、家族4人の惨殺された遺体……
著者が原作を担当した映画の、セルフノベライズ作品。
まず思ったのが、映像映えしそうだな、ということ。
冒頭に書いたような形で始まる物語。自身の将来についても迷いを抱いていた山城は、思いがけない形で、その事件に遭遇。しかも、その犯人も目撃する。しかし、その事件のインパクトもあり、詳細な顔なども思い出せない。間もなく、警察は、過去に異常な少年事件を起こしていた男を逮捕するが、山城には、その男が犯人だとは思えない。そして、自身の経験を元にした漫画を描き始めて……
粗筋を続けるような形で文章を綴ってしまったのだけど、物語は実にスリリング。絶望の中で、起死回生の方策として描き始めた漫画が大ヒット。良心の呵責もありつつも、止まることが出来ない山城。しかも、その連載を見た真犯人から連絡が来て、漫画のアイデアも受け取ることに……。一方、捜査を担当する刑事・清田は、山城の漫画と実際の事件のリンクに気付く。犯人は山城? そんな思いも抱きながら、捜査を進めていく……。
「悪魔に心を売る」
というセリフがあるのだけど、文字通りに、悪魔に心を売った山城。最初の事件について、山城のアリバイがあることは知りつつ、しかし、関連性を感じずにはいられない清田。そして、次々と起こる凶悪事件。その中でのリンク。自分が事件に加担していることはわかりつつも、止まれない山城の葛藤は非常に読みごたえがあった。そして、そんな良心の呵責がありつつも……と言う中で、山城の周辺にも真犯人の脅威が迫ってきて……。実にスリリング。
ただ、真犯人について、終盤に多少の掘り下げはあるものの、イマイチ、その人物像とかはあいまいなままだったし、その周辺についても同様。そういう意味での、消化不良感はどうしてもぬぐえなかった。そういう点でも、映像映えしそう、という印象が強く残った。
No.5874
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この記事は、「新・たこの感想文」に掲載するために作成したものです。
他のブログなどに、全文を転載することは許可しておりません。
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漫画家デビューを目指し、アシスタント生活を続ける山城。「画は上手いが、キャラクターは……」 そんな周囲の声に絶望感を覚える彼は、「誰が見えても、幸せそうな家」のスケッチを頼まれ、以前から気になっていた家を訪れる。しかし、暗闇から流れる大音響のオペラ。そこに導かれるように入った家で待っていたのは、家族4人の惨殺された遺体……
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まず思ったのが、映像映えしそうだな、ということ。
冒頭に書いたような形で始まる物語。自身の将来についても迷いを抱いていた山城は、思いがけない形で、その事件に遭遇。しかも、その犯人も目撃する。しかし、その事件のインパクトもあり、詳細な顔なども思い出せない。間もなく、警察は、過去に異常な少年事件を起こしていた男を逮捕するが、山城には、その男が犯人だとは思えない。そして、自身の経験を元にした漫画を描き始めて……
粗筋を続けるような形で文章を綴ってしまったのだけど、物語は実にスリリング。絶望の中で、起死回生の方策として描き始めた漫画が大ヒット。良心の呵責もありつつも、止まることが出来ない山城。しかも、その連載を見た真犯人から連絡が来て、漫画のアイデアも受け取ることに……。一方、捜査を担当する刑事・清田は、山城の漫画と実際の事件のリンクに気付く。犯人は山城? そんな思いも抱きながら、捜査を進めていく……。
「悪魔に心を売る」
というセリフがあるのだけど、文字通りに、悪魔に心を売った山城。最初の事件について、山城のアリバイがあることは知りつつ、しかし、関連性を感じずにはいられない清田。そして、次々と起こる凶悪事件。その中でのリンク。自分が事件に加担していることはわかりつつも、止まれない山城の葛藤は非常に読みごたえがあった。そして、そんな良心の呵責がありつつも……と言う中で、山城の周辺にも真犯人の脅威が迫ってきて……。実にスリリング。
ただ、真犯人について、終盤に多少の掘り下げはあるものの、イマイチ、その人物像とかはあいまいなままだったし、その周辺についても同様。そういう意味での、消化不良感はどうしてもぬぐえなかった。そういう点でも、映像映えしそう、という印象が強く残った。
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