(書評)キミはぼっちじゃない! - か行の著者
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(書評)キミはぼっちじゃない!

著者:小岩井蓮二

キミはぼっちじゃない! (MF文庫J)キミはぼっちじゃない! (MF文庫J)
(2011/11/23)
小岩井蓮二

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幼女のパンツを手にさまよった結果、周囲からロリコン疑惑をもたれてしまった少年・因幡悠大。しかし、それは全くの誤解。彼がパンツを持っていたのは、幼馴染のしおりとともに、ある日突然、夫婦(?)になってしまい、子育てをすることになってしまったからだ。
なんか、色々と設定が投げっぱなしだったような……。
物語の基本は、上に書いたように、突然、幼馴染と夫婦になってしまい、子育てをすることになってしまった、という話なのだけど、あんまり実は子育ての大変さとか、そういうところはない。むしろ、その中での主人公としおり、ストーカー・エレナ、クラスメイトといった辺りの掛け合いの分量が多い。滑っているところも多いのだが、ひたすらに畳み掛けるギャグはこれはこれでアリ。個人的には、結果として風紀を乱しまくりの委員長がなかなかお気に入り。
で、その勢いでギャグで突っ走るのかと思えば、後半は意外とシリアスな展開に。まぁ、いきなりしおりと夫婦になって、リリィが当たり前のように子供として周囲から扱われる、という辺りの説明はちゃんとされている。
けれども、子育ての大変さとか、苦労とか、そういうのが殆ど描かれていなかったので、シリアスになって絆とか、そういうところをクローズアップされてもいまいちピンとこないのだ。丁度、これを読んだタイミングの周囲に子育てをテーマにした『うさぎドロップ』『パパのいうことを聞きなさい!』などのアニメがあっただけに、それと比べてしまう。
そのほかに、幼馴染であるしおりとの関係であるとか、その辺りもイマイチ掘り下げが足りておらず、なぜ、そういうことになったの? とか、そういうところも残る。
これって、ある意味では、新人賞作品だからこそ、というのもわかることはわかるのだ。デビューを既にしており、シリーズ化を前提にするのであれば、ひたすらギャグで、少しずつ奥に設定を詰め込んで、というのも可能。しかし、新人賞の場合、限られた分量で何らかの決着を付けなければならない。となると、色々と足りないところが……となってしまう。
不満点は色々とあるのだけど、ギャグとか、そういうところが評価されたのだろう、という出版社側の思惑は理解できる気がする。

No.2829

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