新・たこの感想文

「祈り　ｃｏｎｖｅｒｇｅｎｃｅ」

数々の障害を乗り越え、ガイの元へとたどり着いた集。しかし、それは丁度、いのりの肉体を糧に真名が目覚めた瞬間だった。いのりを「怪物」と呼ぶ真名を拒絶する集だったが、対して真名は……

今回もちょっと急ぎ足だった、と言う感じはあったかな？
集に拒絶された真名が取ったのは、世界の書き換え。ロスト・クリスマスを超える濃度で拡散するゲノムレベル。そして、その中で人間の心が物質化していく、という状況が作られていく。
圧倒的な差の中で、すべてが終わったと感じる集の前に現れたのは、まだ真名の中に残っていたいのりの心。

最終回を見終わってみると、表裏一体の関係となった真名といのり。二人の存在を巡って、様々な因果が張り巡らされていた物語だった、ということになるのかな。
元々は、茎堂と集の父というところから始まり、その茎堂によって運命を狂わされたガイ。さらに、ガイによって作られた葬儀社……と因果が受け継がれ、絡み合ったからこそ……

ガイにしても、真名を手にしたいと思いながらそれが出来なかった。
そして、真名を救うため、と考えた結果、最初に行ったのは真名を殺すこと。でも、因果の中心にいる真名は、死ぬことすら許されない。ならば、真名の願いを成就させれば……
そんな形で、ひとつの目的のためにすべてを駒として使ったガイ。
対して、そんな形で拡散したゲノムをすべて受け入れてしまった集。
と、二人が「王」となったときの構図そのままの決着が今回も貫かれていたな、というのがわかった。と、同時に、そんな集を支えたいのりが、集のゲノムをさらに受け入れる、ということで、真名から放たれたものがガイを動かし、集へと収束し、やがて真名と表裏一体のいのりへ……という一種の輪廻のようなものを思わずにはいられないのだけど……

なんか、ラストシーンを見ると集は色々と肉体に障害を残したような感じだけど、それでもこれが一番、人々が傷つかずにすんだ結末、と言えるんだろうな……
集にとって、いのりを失ったことが、どのくらいの疵になっているのだろう、とか思うとまた複雑だけど。

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総括
今期、感想を書いていた作品の中では最初に最終回を迎えた本作。
映像や音楽などは非常に良かったと思う。ストーリーについては、設定とか、そういうのは良かったし、また、ここが凄い、とか、そういうのは端々に感じられた。
……のだが、その一方で、どうも物語の転がし方がいきなり急展開したかと思えば、随分とのんびりしていた、というのがあったりで、どういうにも粗いというところも感じた。その辺り、もう少しその辺りがスムーズなら大化けしていたような感じがする。
ともかく、スタッフの皆さん、お疲れ様でした。