戸口から山の彼方を仰ぎ見る 何処まで行ってもまだ檻の中 |
石ころの様に只そこに在ることの 深さに怯えてうろつき回る |
山百合に生命連鎖を透かし見て 空を見上げる雲が流れる |
一寸したぬかるみに足を取られたら 無言で地獄が開いて明ける |
ぺりぺりと凝血塊を引き裂いて 目を閉じて傷を抱き締めてみる |
未だ曾て人の世に生きたことの無い 夢見る私が雲間を漂う |
隙間から息がしたくて顔を出す 「連れて行ってくれ!」と叫びたいのに |
小宇宙を鞄の中に忍ばせて 盗人の様に電車に乗り込む |
日曜の蜜を味わったことの無い プロレタリアートの休日が暮れる |
何もかも矛盾だらけで辻褄の 合わない私がまた歌を歌う |