

「言論」という商売をやっている人間がどのような「芸風」を採ろうとも、それは「職業選択
の自由」または「思想信条の自由」を保障している日本国ではなんら咎め立てされる
行為ではないので、私も文句を言うつもりはないのだが、「主流の人達を叩くという芸風」
は、あまり度が過ぎると見苦しいだけであり、更には「第三者や第三国」に利用されるだけ
の事だろう、と思う。
久々に桜討論の論評でもやってみますか。
昨日の桜討論について。久々に西部御大も御登場していた。
(※ちなみに私は東京都民なので、東京MX西部ゼミは第一回から一度も欠かさず全て
視聴しています。まあ毎回録画してからの視聴なんですけどね)
【討論!】どこへ行く?参院選後の日本[桜H25/7/27]
http://www.youtube.com/watch?feature=player_detailpage&v=_JCq73kJL-0
【ニコニコ動画】1/3【討論!】どこへ行く?参院選後の日本[桜H25/7/27]
「保守オタク」を自認している私のような人間からすれば、今のチャンネル桜の番組は、
上念・倉山両氏のような新しい若手言論人を除けば、他は大体飽きているのであまり
多くの事は期待していない。
とりあえず流し見して、内容を確認する程度のものである。
「過去の水島社長の言説」についても、私は2chNHK板やこのブログでこれまで散々
批判してきた。

まあ、その内容は大体、水島社長による「櫻井よしこさん批判」を批判したものが多い
のですが。
保守派の経済論?及び野田youtube動画の件なども若干(2012/01/28)
続・私の櫻井よしこさんに対する評価(2012/01/14)
そして、これらの記事の中でも書きましたように、私は水島社長を嫌っている訳ではなく、
水島社長の事はどちらかと言うと「肯定的」に捉えているが、これまで過去に水島社長が
時折取ってきた「保守分裂を誘う言動」、それは小林よしのり批判であったり、石原慎太郎
批判であったり、櫻井よしこさんへの批判であったりした訳ですが(細かく言うと、水間氏
を批判して一時仲違いをしたり、主権回復の西村修平氏とのいさかい等、枚挙に暇がない
のだが)、水島社長の敵を作り出す能力は「維新の橋下並み」である。
過去にも何度か使った言葉だが、『社長は、誰彼構わず噛みつき過ぎである』。
そして今回は「麻生批判」である。
増税容認派とも取れるような発言をしている麻生さんを批判する事は、一見正しいと思わ
れるかも知れない。しかし今の段階で「麻生太郎の政権簒奪計画」みたいな陰謀論をぶ
ち上げて、社長自身が心酔している安倍総理にとって、それがメリットになるのだろうか?
というか安倍・麻生コンビの自民党政権を支援してきた多くの若者にとって、そのような
陰謀論が受け容れられるとでも思っているのだろうか?
事実は今の段階では、当の本人以外、誰にも分からない。
社長はこれまで口癖のように言ってきたセリフがある。
『これは自慢で言わせて頂きますが、私が指摘してきた事は大体当ててきてます』
本当の事を言えば、当てた事もあれば、外した事も山程あるのだが、こんな事を自慢げ
に話す事自体、本人の人格を疑われても仕方がない発言である。
私自身も麻生さんについて言えば、安倍さんに対する信任と比較して言うと、それ程高い
訳ではないのだが、少なくとも今回社長が言っているような「陰謀論」を展開するような
人物とは思っていない。
まあ、この事については、社長が正しかったのか、我々が甘かったのか、「結果」を待ち
ましょう。
次に三橋貴明である。
彼は昨日の討論の中でこのように言っていた。
(1時間目の47分頃の発言)

『日本ではアメリカに反発すると反米派とか言われちゃうんだけど、中国叩いていれば
保守で~す、とか言ってるけど、絶対違いますと思いますけどね。日本国家というのが
中心にあれば分かるんだけど。なんか中国を叩いている人はやたらと親米なんです
よね。やっぱコレおかしいと思います』
こういう発言は、なるほど最近ネットなどで初めて「ネット保守言論」に触れた初心者
にとってみれば、『カッコイイ~。なるほど、そうだよなあ。そんな見方もあったのかあ』
などと一見カッコヨク見えるかも知れないけれども、私のような「ネット保守オタク」から
すればこのような言説は西部グループ同様、
「少数派である事に甘えて、批判商売をやっているだけ」
ただそれだけの事である。
三橋貴明の「経済論」にはそれなりに傾聴すべき部分もあるのだろう。しかし「国家観」や
「外交関係」が絡む部分はかなりお粗末である。
三橋自身は、櫻井さんや田久保氏、その他の新自由主義者や親米派を『論破した!』など
と言っているが、私自身はその場面を実際目にしている訳ではないので『ホンマかいな?』
と思う。
『中国叩いていれば保守で~す』?
サヨクやマスゴミなどが「ネトウヨ」という言葉で、普通の日本派、日本の立場に立って
考えている人間を貶める為に「レッテル貼り」をしているのと同様、この発言こそがまさに
シナやシナ人への警戒を強めている人間に対する「(アメポチという)レッテル貼り」行為
そのものである。
三橋貴明は「レッテル貼り」が嫌いなのではなかったのか。
『中国を叩いている人はやたらと親米なんですよね』?
これも上念氏や倉山氏が怒るだろう。まあ倉山氏に関して言えば、倉山氏も櫻井よしこ
さんを糞味噌に貶している訳ですけどね。
私から言わせれば、この三橋の言っている事は全く逆だと言いたい。
『アメリカを叩いている人はやたらと親中なんですよね』
ネットなどの保守言論という極一部の空間だけを見ていれば、三橋の言っているような言
論もあるのかも知れないが、NHKや朝日など大サヨクマスゴミが支配する大部分の日本
国内の言論空間を眺めてみれば、親中派の言論の方が(少なくとも今回安倍政権が、ある
程度失地回復するまでは)絶大な影響力を及ぼしていたのは間違いない事である。
日本には反米派の政治家・言論人もいれば、反中派の政治家・言論人もいる。
私が疑問なのは、三橋は反米派言論人のつもりなのか?中立派言論人のつもりなのか?
という事である。
『日本を主体にした中立派言論人だ』と言いたいのであれば、三橋の常日頃の竹中バッシ
ング、櫻井バッシングと比べて、親中派バッシングがやや足りないのではないか?
それとも西部グループ同様、「少数派に甘えた言論商売」=反米派言論人としてやってい
くつもりなのか?
私の認識では、三橋は後者だろう、と思っているのだが。
私の西部先生に対する気持ちは、過去の記事で何度も書いてきています。

私は西部先生の人物そのものは尊敬している。西部先生の言説についても、(反対はする
けれども)全否定はしないつもりです。
私は西部グループの事を「少数派に甘えた言論商売」と揶揄しているが、その存在自体を
否定している訳ではない。
確かに「野党や少数派」など、もう一方の側の翼も、日本には必要なのです。
だからTPP否定派も、私は必要だと思っている。
しかしその少数派の意見というのは、単なる「主流派批判」に終わるものでは意味が無く、
実際に代替できるような前向きな提言でなければ意味は無い。
「親米派」というだけで全否定するような「幼稚なレッテル貼り」では意味が無い。
TPP反対派の言論に対して、私から言わせれば、
『じゃあ、あなた達の理想の総理大臣は、あの反米親中の鳩山由紀夫ですね』
という事である。
鳩山由紀夫が総理大臣であったなら、間違いなくTPPをぶち壊して日本は交渉に入る
事もなかっただろう。



こう言えば、三橋などのTPP反対派はこういうに違いない。
『鳩山が総理だなんて、なんでそんな極端な例を出すんだよ!』
その考え方自体が、あなた達の「甘え」なんだよ。
鳩山が総理という例は、極端でも何でもない。
実際4年前に、反米反小泉の流れに乗って総選挙に大勝して、鳩山は総理大臣に
なったではないか。
反米思想のおかしな政治家が総理大臣になるなど、どうせありえないのだから
(=我々少数派が実際に政権を担う事になるなど、どうせありえないのだから)、
とりあえずアメリカさえ叩いていれば、反米派言論人としての形にはなる。
こうした「甘えた発想」が、鳩山総理、ひいてはその後の菅総理などの民主党政権
を生み出した要因なのではなかったのか?
「反米保守」を気取っている一部の言論人は、まずなによりも、その辺りの「反省」と
「総括」をやってから、親米派の批判をやってもらいたいものだ。
最後に余談ですが、西部さんの知り合いで「チャイメリカ」の本を出している矢吹晋は
ズブズブの親中派ですよ。孫崎享とどっちが上かは分かりませんが。
ちなみに私のブログ記事の 1月31日のNW9「東シナ海の中国ガス田開発、上空ルポ」
のNHKニュースウォッチ9に中国擁護派の識者としてビデオ出演してます。またその人
となりについては以下の動画をご覧になれば、よく理解できると思います。
この人の「親中思想」に少しでも共鳴できる部分があれば、「チャイメリカ」などという用
語を使う事に抵抗は感じないのでしょうが、少なくとも私はほとんど共鳴できません。
【西部ゼミナール】5/4 「領土紛争-日本の対中外交責任を問う」
http://www.youtube.com/watch?v=UTsqahJHeNE&feature=player_detailpage
【ニコニコ動画】【西部邁ゼミナール】領土紛争-日本の対中外交責任を問う 2013.05.04


- 関連記事
-
- 三橋・西部グループによる「保守分断」というスキマ商売 (2014/07/19)
- 最近、西部グループのメディア戦略が凄まじい (2014/05/12)
- 久々に西部グループ、三橋貴明、水島社長批判 (2013/07/28)
- NHK特報首都圏で姜尚中の書籍の広報宣伝を放送 (2013/05/26)
- 4月28日という特別の日に、NHKはTPP討論をやるらしい (2013/04/25)