この「欧州ローカル線の旅」シリーズは、いまさらのように説明すると、ヨーロッパの一部と日本ではヒットしたけれど、ビルボード・チャートには影も形もない60年代の曲を聴こうというものです。二回目の今日はスウェーデンのLenne & Lee Kingsの1965年のヒット、Stop the Musicです。
日本の盤の表記は「レーン&ザ・リー・キングス」でしたが、例によって、きわめて疑わしいと思います。固有名詞発音辞典は、どこの国を起源とした場合かを指定していませんが、Lenneの最後のEにアクセントをつけ、「ラネイ」としています。どなたか、テレビ出演時などの紹介つきのクリップか何かをご存知なら、ご教示ください。
ごたくはこれくらいにして、オールドタイマーには懐かしいであろう現物をいってみましょう。
ラネイ&ザ・リー・キングス
わっはっは。昔も、なんだか歌謡曲みたいだなあと思いましたが、いま聴くと、鶴岡雅義と東京ロマンチカがカヴァーすればベスト・マッチだったのに、と感じます。歌謡曲を通り越して、ほとんど演歌。
リー・キングスはいまでもやっているのか、新しめのライヴ・クリップがありました。
リー・キングス ライヴ
ほら、ストックホルム・ロマンチカてな哀調を帯びた演歌じゃないですか。
それはさておき、いま振り返って、これがヨーロッパや日本でヒットしたのはよくわかりますし、そのコインの裏側として、アメリカではまったくウケないであろうことは、リリースするまでもなく明白です。
ただし、ドラムのタイムやプレイはまずまずで、たとえば、明日のレコーディングに呼べるドラマーはチャーリー・ワッツかジンジャー・ベイカーかリー・キングスのドラマーしかいないといわれたら、わたしは躊躇せずにリー・キングスのドラマーを選びます。
それから、ギターの低音弦のサウンドもおおいに魅力的です。子どものころは、こういうちょっとしたところのサウンドにすごく惹かれて、こんな音が出せたらいいのになあ、と憧れたものでした。
◆ カヴァー各種 ◆◆
日本でも複数のグループ・サウンズがカヴァーしていたと思いますが、調べてみるとぞろぞろ出てきて、少々めげました。なんたって、今夜は時間がなくてあせっているのです!
まず、同じ北欧のデンマークへと移動しましょうか。
ヒットメイカーズ
リー・キングスは鄙には稀なタイムの安定ぶりでしたが、ヒットメイカーズを聴くと、やっぱり、あれは稀、こっちがふつうか、という感じの不安定なビートで、むしろ納得です。
つづいてイギリスのディック・ジョーダンを。日本では知られていないシンガーで、以前、O旦那にStop the Music各種を聴かせていただいたときにはじめて知りました。
Dick Jordan - Stop the Music
このドラム、すごくうまいというほどではないのですが、4ビートの出身ではないかと思わせる雰囲気でグッド・フィーリンがあります。ギターの使い方も好ましく、なかなかけっこうなカヴァーだと思います。
オリジナルのリー・キングス盤がかなり湿り気を帯びているのに対して、ヒットメイカーズ、ディック・ジョーダン、方向性はロンパリ(じゃなくて、片やストックホルムだから、「ロンスト」か)ですが、湿り気を除く方向にシフトしたという意味では同じです。しかし、日本はむしろ湿度を増大させる方向だったような記憶があります。今回は現物を聴けなかったので、思い過ごしかもしれませんが。
時間切れなので、ほかに拾っておいた最近のものを二種あげて終わりとします。最初はわたしの守備範囲外のアーティストなのでなにも知りません。つぎの岡本信は、えーと、ジャガーズのヴォーカル、でよかったんでしたっけ? 昔、何度か横須賀駅ですれちがったのに!
Kiau
岡本信
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リー・キングス
The Lee Kings Best Of