インターネットでの母乳売買について日本小児科学会からも注意喚起 : やわらかな風の吹く場所に:母乳育児を応援

インターネットでの母乳売買について日本小児科学会からも注意喚起

インターネットなどにより売買される母乳に関する注意喚起

が日本小児科学会からも提示されています。(2015年7月26日)



当ブログで今までにお知らせした注意には
今まで厚労省、消費庁、JALCからのものがあります。

厚労省より→
消費庁より→
JALC(日本ラクテーション・コンサルタント協会)より→

 また日本産科婦人科学会からも厚労省へのリンクが
 お知らせという形でアップされています。(2015年7月7日)



この問題は、食品の流通としても、
血液のような生きた細胞や各種成分が含まれていると同時に
感染症の可能性があらかじめ有る生物由来製品の流通としても、
危険性があるものであるのもので有ったことは
非常に大きいと考えられます。

母乳の流通が許されるものかどうかを判断するルールもありません。
安全性や衛生的な扱いに関しても全くルールが無い状態です。

さらに不当に高価な値段で売り買いされています。

母乳バンク、母乳銀行として、早産などの赤ちゃんで、
母乳を飲めるかどうかが命を救うかどうかの分かれ目に
なるような症例で使われる、母親の物ではない母乳は、
一般的に無償で届けられています。


人工乳は取り扱いに関して法律に従っています。
乳及び乳製品の成分規格等に関する省令
健康増進法 など
日本乳業協会 の「人工栄養の歴史」より
:http://www.nyukyou.jp/cgi/dairy/index.cgi?rm=result_bk&bk_id=345 )

輸血の取り扱いは、日本輸血・細胞治療学会でも
「輸血とは」で示されているように細かいルールに基づいています。

母乳で育児するとすると、今のところは、
基本は赤ちゃんを産んだ人の母乳を使うものなのです。



この事件を、乳汁の流通の安全性やルールの確認という
形で報道する記事にはまだ出会っていません。

母乳に憧れさせる支援者を断罪すべきだという論調で
綴られたものばかりなのはどうしたものなのでしょう。





ここから先、長くなります。


ここから先は、個々のお母さん達の選択とは
全く関係なくマスコミなどの論調に対しての感想です。

お母さん達は赤ちゃんのおしっこの量が
1日に6回は交換するくらいしっかりでている様に
母乳をあげるし、それでも尿量が増えないならミルクか
搾った母乳で赤ちゃんを育てている事が十分大切な事なのです。
復職した時の保育園の理解が残念なことになくて
搾母乳は受け取ってくれないというような社会的な事情で
ミルクを使うことは、赤ちゃんに何もあげないより
とても大切な事なのです。



お母さまにではなくて、
赤ちゃんの栄養環境や母親の育児環境を応援したいという思いで
報道する人たちなどに問いたいことは以下の事です。


母乳信仰とか母乳教とかという言葉をよくみかけます。
母乳でなくてミルクでも良いというのが
科学的な選択だと伝えたいのですね。
母乳とミルクが同成分またはミルクの方が素晴らしいという
科学的根拠はないというのに、
科学的な選択だというのは何が根拠なのでしょう。

それを目にすると私はクラクラします。

母乳が作られ、赤ちゃんが飲むための仕組みで、
私達はIBCLCの資格を受けるための試験では
解剖学、生理学、生化学、免疫学や統計学を必要とします。
それは母乳を飲むことが、スムーズに行かない親子に
ベストの支援をするために必要な情報だからです。

例えば母乳が出ているのに飲めないときがあります。
色々な事情によるのです。

赤ちゃんの口の形や舌の動き方が
母乳を飲むのを邪魔していることもあります。
赤ちゃんの口が大きくなると解決する事もあれば、
成長するにつれ赤ちゃんのクセが強くなることもあります。

赤ちゃんの口や舌の動きが神経系のアンバランスによる
事も有りますが、それでも時間とともに解決する事もあれば、
先天的な病気を内包していることもあります。

補足のミルクも搾母乳も断固拒否する子もいます。
飲む量から期待されるよりも体重増加がゆっくりでも
ほとんどの子は元気だけど、病気が隠れている子もいます。

単に、ポジショニングとラッチオン、、、つまり授乳姿勢と
飲むタイミングとを工夫するだけで、飲む量が
一気に増える子もたくさんいます。

理由を見つけてベストな解決方法を母親ができる範囲で
見つけていくのが私達母乳育児支援者の役割です。

その作業が宗教に見える人とは、どんなに頑張っても
会話が出来る接点が見つかる気がしません。



ただ残念ながら根性があればできるとか、ミルクは毒とかという、
独特な思想で母乳育児支援をしている人がいらっしゃるのは
知っています。

その人達には、逆に、母乳信仰というような評価は
届かないのではないかとも思います。


赤ちゃんの栄養の事を真剣に考える母親が拠り所に出来るだけの
科学的根拠に基づいた情報や技術を提供する場面がまだ
この国でも十分似普及していません。

先日の四国学習会も無事終了しました。
一人一人の赤ちゃんとお母さんとが安心して暮らすための
情報をまた沢山の人と共有することが出来ました。
(参加くだった皆さま、ありがとうございます)


一気に世の中を変えることは出来ません。
一歩分ずつしか変わらない事に諦めず、
この世の中を、赤ちゃんと暮らす女性が
安心して暮らせるように育てていきたいものです。


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about me: 坂出市立病院 産婦人科勤務 (外来のみ、H27年5月より)

四国でIBCLCに認定されるための継続教育単位の出る学習会、2015年8月8日に無事終了です。次の機会も設定していきますね。

by Dr-bewithyou | 2015-08-09 14:00 | 情報メモ | Comments(0)

赤ちゃんとのつきあい方の情報メモ。母乳育児支援(おっぱいライフ応援)をしている産婦人科医・IBCLC 戸田千のブログです♪ 下方の「ブログの説明」に利用上の注意もありますので必ずご覧になってください。


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