対訳『古事記伝』 104
本居宣長
516.又音と訓とを雑(マジ)へ用ひたるを、此記書紀萬葉は清濁を分(ワカ)てり、
訳:また音と訓を混ぜて書いてあるのに対し、『古事記』『日本書紀』『万葉集』は清濁の文字を使い分けている。
517.【此記及(マタ)書紀萬葉の假字、清濁を分(ワカ)てるにつきて、なほ人の疑ふことあり、
訳:【この『古事記』および『日本書紀』『万葉集』の仮名表記における清濁の使い分けについては、まだ疑う人がある。
518.今つばらかに辯へむ、
訳:今詳しく述べることとする。
519.そはまづ後ノ世には濁る言を、古へは清(スミ)ていへるも多しと見えて、山の枕詞のあしひき、又宮人(ミヤヒト)などの「ヒ」、嶋つ鳥家(トリイヘ)つ鳥などの「ト」のたぐひ、古書どもには、いづれもいづれも清音の假字をのみ用ひて、濁音なるはなし、
訳:まず後世には濁って言う言葉を、古くは清音で言っていたことも多いようで、山の枕詞の「あしひき」、また「宮人(みやひと)」などの「ひ」、「嶋つ鳥、家つ鳥」などの「と」などの例が、古い書では、すべての場合で清音の字のみを用い、濁音はひとつも用いていない。
520.なほ此類多し、
訳:同じような例は他にも多い。
参考書籍
『本居宣長全集』第九巻 筑摩書房 1966年
『岩波古語辞典』 岩波書店 1974年
『古事記注釈 第一巻』 西郷信綱 著 ちくま学芸文庫 2005年
『本居宣長『古事記伝』を読む』Ⅰ~Ⅳ 2010年
『新版古事記』 中村啓信 訳注 KADOKAWA 2014年 電子書籍版
『改訂増補 古文解釈のため国文法入門』 松尾聰 著 2019年
『日本書紀上・下』 井上光貞監訳 2020年 電子書籍版
参考サイト
雲の筏:http://kumoi1.web.fc2.com/CCP057.html
本日もご訪問いただきありがとうございました。
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訳:また音と訓を混ぜて書いてあるのに対し、『古事記』『日本書紀』『万葉集』は清濁の文字を使い分けている。
517.【此記及(マタ)書紀萬葉の假字、清濁を分(ワカ)てるにつきて、なほ人の疑ふことあり、
訳:【この『古事記』および『日本書紀』『万葉集』の仮名表記における清濁の使い分けについては、まだ疑う人がある。
518.今つばらかに辯へむ、
訳:今詳しく述べることとする。
519.そはまづ後ノ世には濁る言を、古へは清(スミ)ていへるも多しと見えて、山の枕詞のあしひき、又宮人(ミヤヒト)などの「ヒ」、嶋つ鳥家(トリイヘ)つ鳥などの「ト」のたぐひ、古書どもには、いづれもいづれも清音の假字をのみ用ひて、濁音なるはなし、
訳:まず後世には濁って言う言葉を、古くは清音で言っていたことも多いようで、山の枕詞の「あしひき」、また「宮人(みやひと)」などの「ひ」、「嶋つ鳥、家つ鳥」などの「と」などの例が、古い書では、すべての場合で清音の字のみを用い、濁音はひとつも用いていない。
520.なほ此類多し、
訳:同じような例は他にも多い。
参考書籍
『本居宣長全集』第九巻 筑摩書房 1966年
『岩波古語辞典』 岩波書店 1974年
『古事記注釈 第一巻』 西郷信綱 著 ちくま学芸文庫 2005年
『本居宣長『古事記伝』を読む』Ⅰ~Ⅳ 2010年
『新版古事記』 中村啓信 訳注 KADOKAWA 2014年 電子書籍版
『改訂増補 古文解釈のため国文法入門』 松尾聰 著 2019年
『日本書紀上・下』 井上光貞監訳 2020年 電子書籍版
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