2019年10月 - 日々のよしなしごと~備忘録~
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漱石・読んだふり 『吾輩は猫である』 各論⑧ 八

漱石
10 /31 2019
漱石・読んだふり 『吾輩は猫である』 各論⑧ 八


時期
明治38年
時季を表す記述なし



登場人物(登場順)
・吾輩

・学校の小使

・落雲館の書生

・主人(苦沙味)

・迷亭(吾輩の夢の中で)

・落雲館の倫理の教師

・鈴木藤十郎

・金田

・甘木先生

・八木独仙



ストーリー
・主人の家の周囲の説明。

・主人の家に接する空き地に落雲館の学生が入って騒ぎ始め、それが度を増す。

・主人が空き地に入ってきた学生に文句を言う。

・主人が落雲館の校長に文句の書を送ると、校長が空き地との境に四つ目垣を造らせる。

・「からかう」ことについての吾輩の説。

・落雲館の学生が主人をからかった経緯。

・「逆上」についての吾輩の説。

・小事件の説明。

・落雲館の倫理の教師の講話。

・大事件の説明。

・鈴木藤十郎が主人が困っている様子を確認しに来る。

・甘木先生が主人に催眠術をかけるが、失敗する。

・八木独仙が主人に消極主義を論じる。



言及される歴史上の人物・事項
・張世尊
「この竹を以て組み合せたる四寸角の穴をぬける事は、清国の奇術師張世尊その人といえども六ずかしい。」p290

・ゲーレン、パラセルサス、扁鵲
「逆上とは読んで字の如く逆かさに上るのである、この点に関してはゲーレンもパラセルサスも旧弊なる扁鵲も異議を唱うる者は一人もいない。」p293

・『傷寒論』
「頭寒足熱は延命息災の徴と『傷寒論』にも出ている通り、濡れ手拭は長寿法において一日も欠くべからざる者である。」p293

・プレートー
「プレートーは彼らの肩を持ってこの種の逆上を神聖なる狂気と号したが、いくら神聖でも狂気では人が相手にしない。」p294

・ユーゴー
「聞くところによればユーゴーは快走船の上へ寝転んで文章の趣向を考えたそうだから、船へ乗って青空を見詰めていれば必ず逆上受合である。」p295

・スチーヴンソン
「スチーヴンソンは腹這に寝て小説を書いたそうだから、打つ伏しになって筆を持てばきっと血が逆かさに上ってくる。」p295

・イスキラス
「昔し希臘にイスキラスという作家があったそうだ。」p297

・『唐詩選』
「であるからして自分が『唐詩選』でも高声に吟じたら気分が晴々してよかろうと思う時ですら、もし自分のように迷惑がる人が隣家に住んでおって、知らず知らずその人の邪魔をするような事があっては済まんと思うて、そういう時はいつでも控えるのである。」p301

・アキリス、ヘクトー、燕ぴ、張飛、長坂橋、曹操
「少し詩がかった野蛮人になると、アキリスがヘクトーの死骸を引きずって、トロイの城壁を三匝したとか、燕ぴと張飛が長坂橋に丈八の蛇矛を横えて、曹操の軍百万人を睨め返したとか大袈裟な事ばかり連想する。」p303

・左氏、鄢陵の戦
「左氏が鄢陵の戦を記するに当っても先ず敵の陣勢から述べている。」p303

・ニュートン
「ニュートンの運動律第一に曰くもし他の力を加うるにあらざれば、一度び動き出したる物体は均一の速度を以て直線に動くものとす。」p306

・ライプニッツ
「ライプニッツの定義によると空間は出来得べき同在現象の秩序である。」p306

・柳宗元、韓退之(かんたいし)
「柳宗元は韓退之の文を読むごとに薔薇(しょうび)の水で手を清めたという位だから、吾輩の文に対してもせめて自腹で雑誌を買って来て、友人の御余りを借りて間に合わすという不始末だけはない事に致したい。」p313

・クリシッパス
「「昔し希臘にクリシッパスという哲学者があったが、君は知るまい。」」p317

・ナポレオン、アレキサンダー
「ナポレオンでも、アレキサンダーでも勝って満足したものは一人もないんだよ。」p326



語句・表現
・江湖:もとは中国の揚子江と洞庭湖。都から遠く離れた地。

・玉を抱いて罪あり:『春秋左伝』の「桓公10年」にある言葉。身分不相応のものを持ったり、不相応のことをしたりすると、とかくわざわいを招きやすいことをたとえていう。

・逆茂木:敵の侵入を防ぐために、先端を鋭くとがらせた木の枝を外に向けて並べ、結び合わせた柵。逆虎落(さかもがり)、鹿砦(ろくさい)とも言う。

・梁上の君子:『後漢書』「陳寔伝」にある言葉。盗賊。どろぼう。 陳寔ちんしよくが梁上にひそんでいる盗賊をさしていった語。

・折助・雲助・三助:折助;近世、武家で使われた下男の異称。  雲助;江戸時代に、宿場や街道において荷物運搬や川渡し、駕籠かきに携わった人足。 三助;近世では、商家や町家の下男の通り名。江戸時代中頃以降は風呂屋の男の使用人に用いられるようになった。

・女媧氏:中国古代神話上の女神。

・吞舟の魚:舟をのみ込むほどの大魚。転じて、大物。『荘子』

・遊弋(ゆうよく):定まったルートをもたず徘徊すること。特に、軍艦が敵に備えて徘徊・航行すること。

・奔命に疲れる:忙しく活動して疲れ果てる。

・沙門:僧となって仏法を修める人。サンスクリットのシュラマナの音写。

・雲水:中国・朝鮮・日本における修行僧の呼称。師をたずね道を求めて各地をめぐり、あたかも行雲流水のように一ヵ所にとどまらずに修行する僧。

・衲僧:衲衣(のうえ)を着ている者の意で、主として禅宗の僧をさす。

・六祖:米をつく職人。中国禅宗の第六祖、慧能が、幼少のころ米をついて貧しい家計を助けたという故事に基づく。

・弊竇(へいとう):弊害となる点。欠陥。「竇」は穴の意。

・ダムダム弾:小銃・拳銃弾の一種。着弾の衝撃で鉛が露出し傷口が拡大する。イギリスがインドで植民地反乱を鎮圧するために用いた。インドのダムダム工場で製造した。

・鬼殻焼:伊勢えびや車えびを殻つきのまま背開きにし、たれをつけながら焼いた料理。

・竜騰虎闘:力の伯仲する二者が、力を尽くして激しく戦うこと。

・帆木綿: 帆布などに用いる、地が厚くて丈夫な綿布。

・強弩の末勢:勢力のあったものが衰えて無力になるたとえ。『漢書』「韓安国伝」の「強弩の末魯縞に入る能わず」から。

・瑣談繊話:日記、雑記のような内容の文章。

・窮措大:貧乏な学者や書生。

・天稟(てんぴん):天から授かった資質。生まれつき備わっているすぐれた才能。天賦。

・電光影裏に春風を斬る:人生は束の間であるが、人生を悟った者は永久に滅びることがなく、存在するというたとえ。中国宋の僧祖元を元の兵士が襲って殺そうとしたとき、祖元が唱えた経文の一句。



読みづらい漢字
・抛げる(な・げる)
・踰ゆる(こ・ゆる)
・膃肭臍(おっとせい)
・睹やすき(み・やすき)



今日にも通用する内容
・「昔しからからかうという娯楽に耽るものは人の気を知らない馬鹿大名のような退屈の多い者、もしくは自分のなぐさみ以外は考うるに暇なきほど頭の発達が幼稚で、しかも活気の使い道に窮する少年かに限っている。」p288

・「多少人を傷つけなければ自己のえらい事は事実の上に証拠だてられない。事実になって出て来ないと、頭のうちで安心していても存外快楽のうすいものである。人間は自己を恃むものである。否恃みがたい場合でも恃みたいものである。それだから事故はこれだけ恃める者だ、これなら安心だという事を、人に対して実地に応用して見ないと気が済まない。しかも理屈のわからない俗物や、あまり事故が恃みになりそうもなくて落ち着きのない者は、あらゆる機会を利用して、この証券を握ろうとする。柔術使が時々人を投げて見たくなるのと同じ事である。柔術の怪しいものは、どうか自分より弱い奴に、ただの一返でいいから出逢って見たい、素人でも構わないから抛げて見たいと至極危険な了見を抱いて町内をあるくのもこれがためである。」p289

・「地球が地軸を廻転するのは何の作用かわからないが、世の中を動かすものは慥かに金である。この金の功力を心得て、この金の威光を自由に発揮するものは実業家諸君を置いて外に一人もいない。



面白い表現、言い換えを畳み込む表現
・「主人の理論には大なる穴がある。この垣よりも大いなる穴がある。吞舟の魚をも洩すべき大穴がある。

・「蒲鉾の種が山芋である如く、観音の像が朽木である如く、鴨南蛮の材料が烏である如く、下宿屋の牛鍋が馬肉である如くインスピレーションも実は逆上である。」p294

・「なお二週間の砲撃を食えば金柑は潰れるに相違ない。薬缶は洩るに相違ない。銅壺ならひびが入るにきまっている。」p299

・「ポカーンと擂粉木が団子に中るや否やわー、ぱちぱちと、わめく、てを拍つ、やれやれという。中ったろうという。これでも利かねえかという。恐れ入らねえかという。降参かという。」p305

・「さっき座敷のうちから倫理の講義をきいてにやにやしていた主人は奮然として立ち上がった。猛然として駆け出した。驀然として敵の一人を生捕った。」p307




参考図書
『漱石全集』第一巻、第二巻 岩波書店 1978年
『吾輩は猫である』 岩波文庫
『漱石大全』Kindle版 第3版 古典教養文庫
『カラー版新国語便覧』 第一学習者 1990年
『漱石とその時代』1~3 江藤淳 著 新潮選書
『決定版 夏目漱石』 江藤淳 著 新潮文庫
『夏目漱石を読む』 吉本隆明 著 ちくま文庫
『特講 漱石の美術世界』 古田亮 著 岩波現代全書


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世界大百科事典 平凡社
デジタル大辞泉 小学館
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Toward 「Qさま!!」 セルフトレーニング113 復習(2016.6.20)

Toward 「Qさま‼︎」
10 /30 2019
2016.6.20 江戸&東京に詳しいNo.1決定戦


Q1:漢字の読み
鯔背



Q2:徳川将軍名
①悪貨を大量に発行
②小松菜の名付け親



Q3:地名
①徳川将軍が鷹狩りをしていた場所
②外堀に海水が流れ込むのを防ぐ堰があった。



Q4:江戸時代に活躍した役人
①裁きで有名な江戸町奉行
②南北両町奉行
③火付盗賊改として活躍



Q5:平賀源内に教わった画法で解体新書の挿絵を描いた人物



Q6:駕籠などの前後を担ぐ相手のこと



Q7:武蔵と下総をつないでいた橋






A1
いなせ



A2
①徳川綱吉
②徳川吉宗



A3
①三鷹
②汐留



A4
①大岡忠相
②遠山金四郎景元
③長谷川平蔵



A5
小田野直武



A6
相棒



A7
両国橋




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下の句50音順にたどる百人一首 No72 まつと

百人一首
10 /29 2019
No.72(No16)
下の句
まつと・しきかばいまかへりこむ
(まつとし聞かば 今帰り来む)

上の句
たち・わかれいなばのやまのみねにおふる
(立ち別れ いなばの山の 峰に生ふる)


意味
私は今お別れをして因幡の国へ行ってしまいますが、その因幡の山の峰に生えている松のように、みなさんが私を待っているということを聞いたなら、すぐにでも都に帰ってきます。


出典
『古今集』巻8離別・365
「題知らず」


作者
中納言行平
818~893 平安初・中期の貴族・歌人。
平城天皇の皇子、阿保親王の第二子。在原業平の異母兄。
業平とともに在原姓を賜り臣籍に下る。
855年因幡守に任ぜられる。



備考
・「立ち」は接頭語。

・「いなば」は掛詞。「往なば」と「因幡」を掛ける。

・「ば」は順接の仮定を表す助詞。

・「まつ」は掛詞で「松」と「待つ」を掛ける。

・「と」は内容を示す格助詞。

・「し」は強意の副助詞。

・「いなばの山」の所在地に関しては、因幡(細川幽斎)・美濃(宗祇)両説がある。



参考書籍
『百人一首一夕話 上・下』 尾崎雅嘉著 岩波文庫
『ビジュアル版 日本の古典に親しむ② 百人一首』 大岡信著 世界文化社
『別冊太陽 百人一首への招待』 吉海直人監修 平凡社
『解説 百人一首』 橋本武著 ちくま学芸文庫


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『夕陽妄語』を読むために 「中国映画三題」

加藤周一
10 /28 2019
「中国映画三題」 1994.1.20


・陳凱歌( 1952〜 ):中国の映画監督。中国の「第5世代」の一人と目される。

・『覇王別姫』:1993年の香港・中国の合作映画。陳凱歌監督作品。日中戦争や文化大革命などを背景として時代に翻弄される京劇役者の小楼や蝶衣の目を通して近代中国の50年を描く。原作は李碧華の同名小説。

・侯孝賢( 1947〜 ):台湾の映画監督。1980年代台湾映画界の新潮流である台湾ニューシネマを担った代表的な監督の一人とされている。

・『戯夢人生』:侯孝賢監督の台湾現代史3部作の第1部となる作品。台湾が日本統治下にあった1895年から、1945年の日本敗戦による中華民国進駐までの時代を背景に、台湾の伝統芸能である人形芝居・布袋戯の国宝的名手である李天禄の半生を、彼自身の回想を元に描く。李天禄による語りが3分の1を占めており、セミドキュメンタリー映画とも言える作品。

・田壮壮( 1952〜 ):中国の映画監督。両親はともに映画俳優。中学生の頃、両親が文化大革命によって、「走資派」として批判されると、自身も吉林省に下放され、馬車夫・農作業に従事した。

・『藍風箏』:田壮壮監督の作品。1950年代から1960年代にかけての中国を舞台とした映画。1993年の第6回東京国際映画祭でグランプリを受賞したが、中国では上映禁止となり、監督は10年間映画撮影を禁じられた。

・京劇:中国の古典劇のひとつ。清代に南曲が北京に伝わって成立。胡弓・月琴・銅鑼などの伴奏で、歌・せりふ・しぐさ・立ち回りによりストーリーを展開する演劇。「京」は北京の意。

・項羽( 前232~前202 ):中国、秦末の武将。宿遷(江蘇省)の人。漢の高祖(劉邦)と協力して秦を倒し、楚王となった。後、劉邦と天下を争うが、垓下の戦いに敗れ、烏江で自殺。

・虞美人( 生年不詳〜前202 ):中国秦末のころ、楚王項羽の寵姫。項羽が垓下で漢軍に包囲されたとき、項羽の足手まといにならぬよう自殺。

・太史公:司馬遷の自称。

・文化大革命:1965~1976年中国で毛沢東主導の下、大衆を動員して行われた政治闘争。「紅衛兵」と呼ばれた若者らが毛と対立する政治家や知識人などを攻撃し多くの犠牲者を生んだ。1980年代以降「重大な歴史的誤り」として全面否定された。

・四人組:中国の文化大革命 を実質的に指導したとされる上海を基盤とする左派的な権力集団。党中央政治局のメンバーだった毛沢東側近の王洪文、張春橋、江青(毛沢東夫人)、姚文元の4人を指す。

・布袋戯:中国の指遣い人形芝居。「掌中戯」ともいう。人形は約 30cm。顔は京劇の臉譜と同じつくりで、衣装は刺繍がなされている。劇は立回りの武戯と、唱 (うたい) と白 (せりふ) を主とする文戯とに分れ、『三国志』『西遊記』などが多く演じられる。

・李天禄(1910〜1998 ):台湾の伝統芸能である人形芝居・布袋戯の国宝的名手。侯孝賢監督の映画にも出演した。

・皇民化政策:主として満州事変から太平洋戦争までの戦時中、日本が朝鮮・台湾などの占領地や沖縄において行った日本化政策。現地の住民を教化して戦時動員体制に組み込むことを主目的とし、日本語の常用強制・創氏改名・神社参拝強要などが行われた。

・百花斉放:1956年から1957年にかけて中国で行われた文芸、思想、学術上の政策的スローガンのひとつ。文学・芸術活動において、さまざまな方面の人々が自由に創作し、批評しあうこと。

・大躍進運動:1958年に始まった第2次5ヵ年計画の初年度に行なわれた政策。毛沢東思想に基づく中国の急進的な社会主義建設運動。経済の「大躍進」と人民公社設立の全国的な大衆運動が展開された。国内建設のための総路線、大躍進、人民公社の3つの目標を掲げた三面紅旗のスローガンで有名。

・タヴィアーニ兄弟:既出(「イスマイル・カダレとアルバニア」http://selfdevelopment578.blog.fc2.com/blog-entry-710.html

・『サン・ロレンツォの夜』:既出(「イスマイル・カダレとアルバニア」http://selfdevelopment578.blog.fc2.com/blog-entry-710.html

・紅衛兵:1966年に本格化した中国文化大革命の一つの推進力をなした、毛沢東の指導のもとに作られ学生組織。のち、極左主義と内部分裂で崩壊。





参考書籍
日本大百科全書 小学館
世界大百科事典 平凡社
デジタル大辞泉 小学館
ブリタニカ国際大百科事典 ブリタニカ・ジャパン
精選版 日本国語大辞典


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仏像学習 93. 国宝仏像各論60 金剛力士立像(興福寺)

仏像
10 /27 2019
仏像学習 93. 国宝仏像各論60 金剛力士立像(興福寺)


所在:興福寺 国宝館

指定:1952年

制作年:13世紀

制作法:木造

像高:
阿形 154.0cm
吽形 153.7cm

   
像容
・巨象であれば、下から見上げられることを想定して頭部や上半身が大きめに表されるが、本像は頭部と体部のプロポーションが整っている。

・阿形:肘を高く突き上げて拳を握る左手、振り下ろした右手の動きが、右前方を睨みつける視線に呼応する。

・吽形:眉をしかめ、結んだ口は「へ」の字を描く。強く胸を張り、大きく体を屈曲させるが、両手の構えがバランスをとっている。



備考
・吽形像の像内から発見された正応元年修理記に「西金堂」と記されているため、西金堂の復興像であると考えられている。

・711年に造立された法隆寺中門の金剛力士立像にほぼ一致する。

・向かって右に阿形を、左に吽形が安置されていた。




興福寺ホームページ
http://www.kohfukuji.com/property/cultural/091.html


仏像リンク
https://butsuzolink.com/kofukuji/#i-6


参考書籍
週刊朝日百科 日本の国宝055 1998年


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金子みすゞ私的鑑賞 42. いろはかるた

金子みすゞ
10 /26 2019
42. いろはかるた


ふときく聲は、
子供の聲は、
「はなより團子、はの字だよ。」

小雨、ぬか雨、ふるなかを、
兄さんむかへにゆくみちよ。

みかへりや、雨戸がしまつてて、
それでも灯(あかり)はこぼれてた。

「いいかい、おつぎは・・・・・・。」
あるき出す、
向うのむかうが
暗いこと。



『金子みすゞ全集』Ⅱ空のかあさま p217


4連11行
7、 7、 12。  12、 13。  13、 13。  8。 5、 8  5。  


雨の中、兄を迎えに行く途中、聞こえてきたかるた遊びをする「子供の聲」。

雨戸が閉められた灯のともった家の中と雨の降る戸外、楽しく遊んでいる場とおそらくお使いの途上という状況の対比が辺りの暗さを一層引き立たせます。

漢字とひらがなでのくりかえしの表現(「向う」「むかう」)がここでも使われています。

弟しかいないみすゞさんが、「弟」ではなく「兄さん」にしたのは、仲の良かった弟を悪者にしたくなかったからでしょうか。




名詞:  聲(2回)、 子供、 はな、 團子、 字、 小雨、 ぬか雨、 なか、 兄さん、 むかへ、 みち、 雨戸、 灯、 おつぎ、 向こう(むかう)(2回)、 こと

形容詞: 暗い 

動詞: きく、 ふる、  ゆく、 みかへる、 しまる、 こぼれる、 あるく、 出す 



通算登場回数  
今回登場       -         
今回登場なし    (お)空:14作目     母さん(お母さま、母さま、かあさん、かあさま):10作目   赤(赤い):8作目   青(青い):7作目    白(白い):6作目     海:5作目    雲:5作目    花:4作目  (お)父さま(父さん):3作目  (お)舟・船:3作目    (お)星:3作目    波:2作目     石ころ(石):2作目     雪:1作目    お月さん:1作目    紅い:1作目 黒い:1作目    みどり:1作目



参考書籍
『新装版 金子みすゞ全集Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ』 JULA出版局 1984年
『童謡詩人金子みすゞの生涯』 矢崎節夫 著 JULA出版局 1993年
『別冊太陽 生誕100年記念 金子みすゞ』 平凡社 2003年
『没後80年 金子みすゞ ~みんなちがって、みんないい。』 矢崎節夫 監修  JULA出版局 2010年
『金子みすゞ 魂の詩人』 増補新版 KAWADE夢ムック 文藝別冊 河出書房新社 2011年
『永遠の詩1 金子みすゞ』 矢崎説夫 選・鑑賞 小学館eBooks 2012年
『金子みすゞ作品鑑賞事典』 詩と詩論研究会編 勉誠出版 2014年


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巡回健診診察マニュアル 60 時々出会う現病歴・既往歴 SSc

医療
10 /25 2019
全身性強皮症(SSc systemic sclerosis)


1.概念
・皮膚の線維性変化(硬化)を主徴とし、時に内臓諸臓器の線維化を伴う、慢性に経過する疾患。

・硬化の程度、進行などについては個人差が大きい。

・大きく2つに分類されている
 ①びまん皮膚硬化型全身性強皮症:典型的な症状を示す。発症より5~6年以内は進行することが多い。
 ②限局皮膚硬化型全身性強皮症:比較的軽症型。進行はほとんどないか、あるいは緩徐。

・患者数:約2万人

・男女比 1:12  30~50代の女性に多くみられる。

・抗セントロメア抗体、抗トポイソメラーゼI(Scl-70)抗体、抗U1RNP抗体、抗RNAポリメラーゼ抗体などが検出される。



2.原因
・不明

・①免疫異常、②線維化、③血管障害の3つの異常と深い関連性を有することが明らかとなっているが、詳細不明。



3.症状
・レイノー症状・皮膚硬化

・肺線維症

・強皮症腎クリーゼ

・逆流性食道炎

・その他:手指の屈曲拘縮、肺高血圧症、心外膜炎、不整脈、関節痛、筋炎、偽性イレウス、吸収不良、便秘、下痢、右心不全など



4.治療
・皮膚硬化:ステロイド少量内服

・肺線維症:シクロホスファミド

・逆流性食道炎:プロトンポンプ阻害剤
  
・強皮症腎クリーゼ:ACE阻害剤



5.予後
・びまん皮膚硬化型全身性強皮症:発症5~6年以内に皮膚硬化の進行及び内臓病変が出現するため、できる限り早期に治療を開始し、内臓病変の合併や進行をできるだけ抑えることが極めて重要。

・限局皮膚硬化型全身性強皮症:肺高血圧症以外重篤な内臓病変を合併することは少ないので、生命予後に関して過度に心配する必要はない。




参考サイト
難病情報センター
http://www.nanbyou.or.jp/entry/4027


参考書籍
『指定難病ぺディア2019』日本医師会雑誌 第148巻・特別号(1)



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各国個人的調査  キューバ共和国

国情報
10 /24 2019
キューバ共和国( 玖瑪、玖馬、久場、古巴 )


0.国名・国旗
国名
カリブ海最大の島であるキューバ島による。「中心地」という意味のインディオの言葉であるクバナカンが由来であるとされている。


国旗
比率 1:2 1902年制定

独立を支援してくれたアメリカ合衆国の国旗を手本としている。
3本の青い線:独立時の3州
赤:独立のために流された血と正義と力
白:独立の精神
白い星:輝かしい未来
三角形:自由、平等、博愛
を表している。



1.面積
109,884㎢(本州の約1/2)


2.人口・人口密度
1,148万人(2017年 世銀)

104.5人/㎢


3.首都
ハバナ


4.言語
スペイン語


5.宗教
原則として自由
無信仰者55% 、 カトリック44%、プロテスタント


6.略史
1492年:クリストファー・コロンブス、キューバ島に上陸。
1511年:スペインにより征服・植民地化される。
1868〜1902年:独立戦争
1902年:独立
1959年:フィデル・カストロ政権成立(キューバ革命)。
2015年:米国との外交関係再開,相互に大使館を設置。



7.通貨
キューバ・ペソ及び兌換ペソ


8.政治
共和制(社会主義)

元首:国家評議会議長(行政の長も兼ねる)

議会:一院制


9.経済
観光業、農林水産業(砂糖、タバコ、魚介類)、鉱業(石油、ニッケル等)、医療・バイオ産業


10.世界遺産(9件)
文化遺産(7件)
・オールド・ハバナ(ハバナ旧市街)とその要塞群(1982)
スペイン・バロック様式の建築と街を守る要塞
http://whc.unesco.org/ja/list/204#top

・トリニダとロス・インヘニオス渓谷(1988)
砂糖で栄華を築いた農園主たちの名残の地
http://whc.unesco.org/ja/list/460#top

・サンティアゴ・デ・クーバのサン・ペドロ・デ・ラ・ロカ城(1997)
スペインがキューバの東部の拠点を守るために築いた要塞
http://whc.unesco.org/ja/list/841#top

・ビニャーレス渓谷(1999)
家屋と自然が調和した葉タバコの産地
http://whc.unesco.org/ja/list/840#top

・キューバ南東部のコーヒー農園発祥地の景観(2000)
開拓当時のコーヒー農園の農業形態を伝える地
http://whc.unesco.org/ja/list/1008#top

・シエンフエーゴスの都市歴史地区(2005)
新古典主義様式の近代都市
http://whc.unesco.org/ja/list/1202#top

・カマグエイ歴史地区(2008)
スペインがつくった最初期の植民都市
http://whc.unesco.org/ja/list/1270#top

自然遺産(2件)
・グランマ号上陸記念国立公園(1999)
多数の固有種が生息する地形学上貴重な段丘
http://whc.unesco.org/ja/list/889#top

・アレハンドロ・デ・フンボルト国立公園(2001)
独特の生態系を有する特異な環境の公園
http://whc.unesco.org/ja/list/839#top


11.その他
・植民地時代のコロニアル建築が並ぶ美しいハバナの街並みは「カリブ海の真珠」と称されている。

・ヘミングウェイが障害の約1/3を過ごした。




参考サイト
外務省:https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/cuba/data.html#section1



参考書籍
『国旗・国歌の世界地図』21世紀研究会編 文春新書 2008年
『今がわかる時代がわかる 世界地図 2016年版』 成美堂出版
『世界遺産大事典』上・下 マイナビ出版 2016年
『なるほど知図帳世界 2017』 昭文社
日本大百科全書 小学館
世界大百科事典 平凡社


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著者自身による書中評 および 私のこの一文

書評
10 /23 2019
『サイコパス』
中野信子 著  文春新書 2016年 電子書籍版

・「本書ではわかりやすさを重視して「サイコパシー傾向の高い人」を総じて「サイコパス」と表記します。」3%

・「サイコパスは厄介な存在であることもまた、疑いようのない事実です。私たちが自分の身を守るためには、サイコパスとは何なのかを正しく知り、注意深く対処する方法を身につけておく必要があるでしょう。」4%

・「好むと好まざるとにかかわらず、サイコパスとは共存してゆく道を模索するのが人類にとって最善の選択であると、私は考えます。」97%




・・・私のこの一文・・・
「サイコパスは、ADHDと高確率で相関があります。」58%



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私家版西洋哲学史 5.ヘラクレイトス

哲学
10 /22 2019
5. ヘラクレイトス

Heraclitus
生没年:前540頃~前480頃

出生・活動地:エフェソス

キーワード
「万物流転(パンタ・レイ)」


哲学史的意義
「ロゴス」を哲学的な含意をもつ言葉として初めて用いた。「対立・矛盾するものの調和的両立」の意味。


活動内容
・万物の大元は物質的なものではなく、「火」という比喩(万物は燃え、変化し、生成する)で表されるとした。

・「万物流転」を説明する比喩として使った表現「同じ川に二度入ることはできない。」

・「ロゴス」を説明するために用いた対立するものの例「生と死」「昼と夜」「覚醒と睡眠」「戦争と平和」。

・著作『自然について』(短い箴言風の散文)



備考
・エフェソスはミレトスの北にあった都市。

・「暗い人」というあだ名であった(彼の言説が難解であったためと言われている)。



参考文献
①『ソフィーの世界』 ヨースタイン・ゴルデル著 池田香代子 訳 NHK出版 1995年
②『図説・標準 哲学史』 貫成人 著 新書館 2008年
③『西洋哲学史 古代から中世へ』 熊野純彦 著 岩波新書 2006年
④『哲学の歴史1』 内山勝利 責任編集 中央公論新社 2008年
⑤『年表で読む哲学・思想小辞典』 ドミニク・フォルシェー著 菊地伸二・杉村靖彦・松田克進訳 白水社 2014年



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Radiology2003

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