「校長」募集に
中高年サラリーマンら殺到…横浜市 横浜市教委は9日、今年度の民間人校長の募集に、昨年度52人の3倍を超える186人の応募があったと発表した。
募集を始めた2004年度以降では最多で、市教委は「長引く不況で、安定した公務員に魅力を感じる人が増えたのでは」と分析する。
市教委によると、募集は8月20日から9月27日までで、対象は40~59歳の民間企業での管理職経験者。応募した186人の平均年齢は49・9歳だった。
職種別では、IT・製造業の52人が最も多く、次いでサービス・販売26人。昨年はなかったコンサルティング(12人)や医療・福祉関係(8人)、マスコミ(8人)などからも応募があり、市教委の担当者は、「昨年の応募者を上回ればと思っていたが、これほど来るとは」と驚いた様子。
書類選考の後、11月~12月にかけて2回の面接を行い、5人程度の民間人校長を採用する予定だ。 (読売新聞) 【雑感】たしかに安定した職業かもしれないが、私は「校長」になってくれと頼まれてもならない。
どんな職業にも必ず長所と短所がある。「校長」という職業はやりがいのある職業なのだが、一般企業にはないリスクもはらんでいる。 たとえば、当ブログで京都教育大学の事件で論評したことがあるが、かりに松下電器の社員が淫行とか強制猥褻の事件をやらかしても、上司は「まじめな社員でそんな事をするとは・・驚いています」などとインタビューに答えるだけで済む。社長が記者会見を開いて、カメラの前で謝罪し、社長辞任と製品の販売自粛を発表するなんてことはまずやらない。しかし、それをやらざるを得ない職場が学校なのである。
「部下」である教員が不祥事をやらかすと、校長は記者会見を行って陳謝しなければならないかもしれない。下手をすれば校長職を辞任しなければならない、そんな理不尽不条理がまかりとおる世界なのだ。
それから、一般企業に比べて、上司と部下の感覚は薄い。私が知る限りでは、校長が若い教諭を呼び捨てにしたり、あるいは「君づけ」で呼ぶところは見た事がなかった。必ず「○○先生」と呼ぶ。また教師一人一人も生徒をあずかる独立したスペシャリストの認識があるので、「命令」には抵抗がある。校長は教員を監督する立場だが指揮官ではない。
もし、一般企業と同じ感覚で、若い教諭を「おい!」と呼びつけ乱暴な言葉で叱責すれば、たちまち人権救済手続きがなされ、パワーハラスメントで提訴されるかもしれない。かるく頭を叩いたりビンタでもすれば、傷害で書類送検だ。
一般企業であれば特に批判されない仕事ぶりでも、生徒の親御さんから執拗にクレームを受ける場合がある。まじめに頑張っても、それを評価されないどころか、まるで極悪非道のように非難され、その矢面に教員を代表して立つのも校長である。新型インフルエンザのリスクを覚悟して生徒を国際会議に参加させた美談が好例だ。私は生徒の希望を受け入れた校長や担当教員の決断を評価したのだが、マスコミや世間は非常識とも思える無茶苦茶なバッシングを行う。
人権意識の高いイギリスでは校長のなり手が少なく、校長不在の学校が多いと聞いているが、日本も早晩そのようになっていくかもしれない。 ブログランキングに参加しています。
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