ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋 「女ともだち」 社会問題を考えたい時に〔2〕
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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「女ともだち」 社会問題を考えたい時に〔2〕 

女ともだち
とてもフェミニズムな映画。

 
女ともだち
 
【原題】COUP DE FOUDRE 
【公開年】1983年  【制作国】仏蘭西  【時間】108分  
【監督】ディアンヌ・キュリ
【音楽】 ルイス・バカロフ
【脚本】 ディアンヌ・キュリ
【言語】フランス語
【出演】ミュウ・ミュウ(マドレーヌ)  イザベル・ユペール(レナ)  ギイ・マルシャン(ミシェル)  ロバン・ルヌーチ(レイモンド)  ジャン・ピエール・バクリ(コスタ)  パトリック・ボーショー(-)  フランソワ・クリュゼ(-)     
 
【成分】悲しい 知的 切ない レズビアン フランス フェミニズム 40年代~50年代 
 
【特徴】同性愛の映画というよりは女性の自立を描いた作品。

 第二次大戦が終わって生活が落ち着き始めた頃、たまたま子供の学芸会で知り合った2人の女性が、意気投合し家族ぐるみの付き合いをするところから物語が大きく動き出す。
 
【効能】家族というものを考え直す良い機会になるかもしれない。
 
【副作用】男性が家庭から追い出されてしまう事に納得できず不快になる方も少なからずいるだろう。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。  
セクシャリティ関連の映画だが・・。
 
 監督の実母のエピソードが元ネタとなっている。同性愛をテーマにした作品といわれているが、世間が抱いているような先入観は持たない方がいい。語弊を恐れずにいえば、裸で抱き合う場面は出てこないし、ルパート・エヴェレット氏主演「アナザー・カントリー」のようにお互いズボンをズリ下げる場面も無い。内容的にはフェミニストたちが推薦しそうな作品だと思う。

 学生時代、女友達や同じクラスの女子にも同性愛者がいた。彼女たちの心情を理解したくてこの映画を観たように思う。しかし、同性愛の描写というよりも、2人の主婦が助け合って精神的に立ち直り経済的に自立していくのがテーマの重心に見える。この過程で描かれているのは果して強い友情なのか愛情なのか判らなかった。
 
 ただ、彼女たちの善良な夫たちが妻をイマイチ理解できず、妻の行動をマイナスで評価し否定的な言動を浴びせてしてしまうので、心の痛みを共有できる主人公たちの結びつきが一層強くなってしまうのは解る。
 監督の母親がモデルなので物語の冒頭に第二次世界大戦の場面が登場するが、物語全般は父と母と子供がいて休日はドライブに出かける一般的な2組の家庭が舞台である。彼女たちや夫たちの表情や心情の変化に注目して欲しい。

 いま観たら、私はますます同性愛に走った妻たちにヤキモキし、あげくに捨てられてしまう夫たちに同情するだろう。そして丸く収める方法を考えるだろう。「家族」とは子供を育てるのに効果的なシステムなのだから。人生とは妥協と調整と後悔の積み重ねだ。お互いが妥協すれば済む事にように思える。
 私が子供の立場なら母親を恨み訴訟を起こす。家庭を維持できなかった父母を非難し謝罪させる。20歳代の頃に比べて保守的になったのかな?
 
 余談だが、大人になってから、ある職場で同性愛者だと称する女性と友達になった。私はどう考えても彼女の思い込みのように見えてならなかった。思春期になると擬似同性愛の感覚に陥る場合が男女ともにある。多くはそれを卒業していくのだが。
 彼女はやたらとフェミニズムや女性学やセクシャルマイノリティなどの用語を並べて理論武装していたが、かえって私には危うく見えた。自らをフェミニストと称しているのだが、フェミニストの割りには「ぶりっ子」で世渡りしているのも気がかりだった。フェミニストであるならば、実力をつけて自立しなければならないはずなのに、甘えと依存の体質が気に入らなかった。だから同性愛者を自称するのも、フェミニストの世界ではセクシャルマイノリティはステータス高いから、思い込みたがっているようにしか見えなかった。
 結局、彼女とは喧嘩別れしてしまったが。
 そういう意味でも、この映画はけっこう私にとっては他人事でない作品である。
  
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☆☆☆ 佳作

 
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2007年10月29日設置
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