「サンダーバード6号」
特撮ファン憧れの物語 【原題】THUNDERBIRD 6
【公開年】1968年
【制作国】英吉利
【時間】90分
【監督】デヴィッド・レイン 【原作】 【音楽】バリー・グレイ
【脚本】ジェリー・アンダーソン シルヴィア・アンダーソン
【言語】イングランド語
【出演】ピター・ダイネリー(ジェフ・トレーシー
国際救助隊司令 トレーシー兄弟の父親) シェーン・リマー(スコット・トレーシー 長男) ジェレミィ・ウィルキン(バージル・トレーシー 三男) マット・ジマーマン(アラン・トレーシー 五男) デビッド・グラハム(ゴードン・トレーシー 四男/
ブレインズ/アロイシャス・パーカー) キース・アレクサンダー(ジョン・トレーシー 次男) シルヴィア・アンダーソン(ペネロープ・クレイトン・ワード) クリスティン・フィン(ティンティン
国際救助隊の仇敵ザ・フッドの弟キラノの娘) ゲイリー・ファイルズ(ブラックファントムのボス) ジョン・カースン(偽キャプテン・フォスター)
【成分】笑える 楽しい スペクタクル 勇敢 絶望的 かっこいい コミカル
【特徴】特撮人形劇の金字塔TV番組の映画化。複数の映画作品があるが、晴雨堂は本作をイチオシに挙げる。
主人公たちが組織する
国際救助隊には最新の科学技術を凝らしたメカが多数登場するが、本作ではそれらメカはあまり活躍しない。
【効能】未来に希望が持てるようになる。困難があっても可能性を信じられる。温故知新に目覚める。
【副作用】ありきたりな温故知新ネタに見える。
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特撮ファン憧れの物語 イギリスが世界に誇る特撮人形劇である。60年代70年代に小学生時代をおくった男の子にとっては、「ウルトラマン」シリーズ・「仮面ライダー」シリーズ・「宇宙大作戦(スタートレック)」・「
謎の円盤UFO」、そしてこの「
サンダーバード」は思い出のTV特撮ドラマである。日本の特撮クリエーターやファンたちに多大な影響を与えたのはいうまでもない。現在もなお根強い人気がある。(余談1)
国際救助隊という正義の謎のチーム、科学の粋を凝らしたスーパーメカに巨大な施設、なのに運用しているのは国際規模の大組織と思いきやロマンスグレーの父親と20代のイケメン息子たち5人による家内制私的グループだ。それぞれが頭が良くて各々に秀でた特技がありチームワーク(余談2)は万全だ。他にスタッフは額の広い大きな眼鏡の如何にも秀才肌
ブレインズがメカニックを担当し、貴族の令嬢ペネロープが私財と労力を投げ打って協力。
災害や人命を救助するドラマと思いきや、仮面ライダーと同じく悪の秘密結社も登場。エジプトかインドを連想するような風貌で妖しげな術を使う。(余談3)
映画化されたサンダーバートの中では、最もTVドラマの雰囲気を残し構成と演出が行き届いていて面白い作品に仕上がっている。小学校低学年の頃は、日頃活躍するスーパーメカの出番が些か少なかったのがつまらなく感じたが、高学年になって観たときはメンバーの知恵袋
ブレインズの意表を突く考え方が如何に素晴らしいかを改めて実感した。
ブレインズはこの映画のオチでもある奇抜で科学の基本に忠実な方法を考え出して事件を解決するのである。その方法が6号目の
サンダーバードメカになるのだ。
ブレインズが単に頭が良くて秀才肌の科学技術信奉者ではなく、臨機応変に難問に対処できる天才であり、SF特撮映画に相応しい答えを出す。
何でも圧倒的な超能力や腕力や高性能機械や銃砲で解決したがる傾向のある日米SF映画は見習ってほしいものである。
(余談1)友人の中には、
サンダーバード1号から5号まで揃えただけでなく、輸送機でもある2号の機体中央の蒲鉾型コンテナまで各種集めた者がいた。残念ながら親によって処分されてしまい、今だに彼はそれを根に持っている。コレクターによくある悲劇だ。
「
謎の円盤UFO」でムーンベース(月面基地)から迎撃機を飛び立たせるときに
サンダーバード出撃シーンのBGMが流用されている。原版ではジャズの間奏のような地味な曲だったが、日本版スタッフは「これでは子供でなくてもツマラン」と思ったのか、勇ましい盛り上がりが特徴な
サンダーバードの曲を拝借した。正しい判断だと思う。
(余談2)子供心に世代交代はどうするのだろうと心配になった。「パパ」はお爺さんになれば引退するだろうし、5人の息子たちも所帯もちになってローテーションが大変になる。ペネロープも財産を切り崩してばかりでは、破産するだろうし、パーカーや
ブレインズは手に職があるから食べていけるだろうが、やはり看板どおり公的機関が運営する救助隊へと模様換えしないと、といったことをついつい真剣に考えながら観ていた。
2007年、パパはもうすぐ40歳になるか。いや、設定が変わったんだった。パパが生まれるのは2009年だ。未来の話だったのが過去の話になってしまうから、時が経つのはこわい。
「謎の円盤」の舞台も1982年?だし、ウルトラマンの科特隊が活躍するのは1990年代。採算の合わない宇宙開発のスピードは急速にダウンだ。
(余談3)創作仲間たちから、どういう訳か私は悪役キャラに似ているといわれる。この「
サンダーバード」でも禿頭のザ・フッドに所作が似ていると言われた。他にも「未来少年コナン」ではインダストリアの行政局長レプカにそっくりと言われる。「宇宙の七人」の悪の帝王と考え方が似ているとも言われた。悪役以外では「めぞん一刻」の四谷さんに瓜二つと言われたことがある。
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