宝石の国の単行本(コミックス)は、2月18日現在、第8巻まで発売されています。
今回はそのうちの第7巻と第8巻について書きます。
フォスフォフィライト(通称はフォス)は、ラピス・ラズリの頭部を接合してから102年後に目覚める。
ラピス・ラズリの頭部を接合したおかげで賢くなったフォスは引き続き先生と月人の関係を調べるが、決定的なことは先生のはぐらかしによって相変わらず分からない。
そんな折り、アドミラビリス族のウァリエガツスと出会ったフォスはウァリエガツスの言葉から真相を突き止めるためには月に行くしかないと決意する。
カンゴームの助けを借りて囚われの身となって月についたフォスは、そこで月人を束ねているエクメア(通称は王子)に出会う。
エクメアの言うところによると、人間の魂である月人を浄化(成仏)させるには金剛先生(通称は先生)の能力が必要であるが、その先生は壊れているのでそれを治して浄化してもらうためにその治す方策としてこの戦争をしているとのことである。
それを聞いてフォスは先生に何らかのショックを与えれば、治るのではないかと思い、反乱軍を組織することを王子に提案し、月から戻ってくる。
そして、フォスの口車に乗った数名の宝石たちはフォスと共に月に行くことになる。
第7巻は第45話から第52話までであり、各話の題名は
第45話 長い冬
第46話 ラピス・ラズリ
第47話 百二年
第48話 海で聞いた昔話
第49話 辿る(たどる)
第50話 博士
第51話 伝説
第52話 旅路
であり、
第8巻は第53話から第61話までであり、各話の題名は
第53話 月世界
第54話 祈りのための機械
第55話 呪い
第56話 合成真珠
第57話 岐路
第58話 希望
第59話 動揺
第60話 懐疑
第61話 決別
です。
☆あらすじ
(45)
カンゴームがラピス・ラズリの頭部を持ってくるが、ルチルによると不確定要素が多すぎてなんともいえないということから、金剛先生(通称は先生)はラピス・ラズリの頭部を付ける事を却下する。
そうすると、カンゴームが自分の頭部を差し出そうとするので、先生はしかたなく許可する。
そして、カンゴームがひとり冬担当となった。
そのカンゴームのひとり冬担当も100年を迎えた。
(46)
ある春の日、フォスが目覚める。
その目覚めたフォスはルチルの差し出した盥(たらい)の水に写った我を見て驚く。
が、フォスは意外と冷静でキャラは変わらずこの顔を気に入る。
そんなフォスを見てカンゴームはラピス・ラズリの首を与えたことを悔やむ。
フォスは百二年寝ていたと、先生から教えられる。
その日の夢にラピス・ラズリが現われ、自分も疑っていたのでフォスと協力して、先生と月人の関係を暴くと言う。
(47)
フォスは夢から目覚めると、ものの本質的なことが見えるようになる。
カンゴームとじゃれあっていると、ゴーシェナイトが声をかけてくる。
しかし、このゴーシェナイトは2代目でフォスの知っているゴーシェナイトはフォスが寝ている間に月人にさらわれていた。
そしてモルガナイトもまた同じように2代目であった。
(48)
2代目ゴーシェナイトとモルガナイトがフォスの戦いを学びたいとくっついてくる。
そんな折り、月人が現われる。
フォスは月人を観察するために単身で器に乗り込む。
しかし、ゴーシェナイトとモルガナイトが乗り込んできたため、2人を守るために楯になったので髪の毛を失う。
月人は到着した先生が消滅させる。
散らばったフォスの髪をみんなで探す。
髪の毛(束)があと2本足りないのでフォスは海に入って考え事しながら探していたら誰か(何か)が髪の毛を1本渡してくれる。
(49)
海から戻ったフォスは昔、海に入ったような記憶があり、それをルチルに問うと、ルチルが業務日誌からその時の様子を教える。
そこからシンシャと先生に当時のことを聞くが、なめくじから何かを聞いたらしいことしか思い出さない。
その頃、三重黒点が現われて、何やら人間型らしいものが下りてくる。
(50)
その人間型のものにまずボルツとジルコンが対峙するが、それはしっとしたまま動かない。
一方、2代目ゴーシェナイトとモルガナイトはフォスの髪を捜していて、なめくじ状のものを捕まえる。
先生に報告に行く途中、ジルコンはフォスとカンゴームに三重の黒点が出たことを告げる。
ボルツとフォスが人間型についてあれこれいっているとこに先生が来る。
先生はそれを見て、息を呑み「博士」という。
それが偽者だと分かると、先生はフォスに「これを斬ってくれ」と言う。
自分では壊すことができないとも言う。
フォスは「これが何なのか教えて下さるなら」と言うと先生は了解したのでフォスは斬る。
しかし、先生はその後「しらん」といってフォスに何も教えない。
それに対してフォスは切れるが、先生は知らぬ存ぜぬで通してしまう。
おそらく、この時フォスは憎悪に似たものを宿しただろうと思われる。
フォスがカンゴームに先生との軋轢を話しているとなにやら可愛い声が聞こえる。
それはなめくじ状のものが発していた。
(51)
そのなめくじ状のものを見てフォスは思い当たることがあり、またなめくじ状のものもフォスに思い当たる
ことがあった。
そのなめくじ状のものは、アドミラビリス族の王であり昔にフォスが出会ったウェントリコススから五代目のウァリエガツスというものであった。
そこで。フォスは昔にウェントリコススと話したことを聞き出そうとするが、その話の内容は伝わっていないという。
フォスはウァリエガツスを海に帰してやる。
ウァリエガツスはかってウェントリコススがフォスを騙したことを悔いていて、自分に許しを与えて欲しいというと、フォスは許しの証拠として自分の欠片(かけら)を与える。
海に帰ったウァリエガツスが人間型になって戻ってきて、フォスに人間が肉と骨と魂の三つに分かれたという伝説を話す。
そして、ウァリエガツスは最後に、誇りと仲間を取り戻すために「月に行こうと思います」と言う。
フォスはこの情報を元に、先生に再度人間について問いただすと、先生は「私は人間ではない」と言う。
(52)
先生と話していても埒(らち)が明かないと悟ったフォスは月に行くことを決意し、シンシャにそれを伝える。
シンシャは「行くな」と言うが、フォスは聞こえない振りをする。
フォスは月に行くため、わざと月人にさらわれる方法を考え、そのためにカンゴームに協力を依頼する。
月人が現われたので、フォスがさらわれることを実行する。
最初は器に乗り平和的に合金で月人をなぞって会話しようとするが失敗する。
そこで、フォスはカンゴームに裏切り者として処罰されるという手を使う。
カンゴームはフォスを皿に投げ、腹部を叩き割る。
カンゴームは月人の猛攻を受けそれに耐えられないという感じで、器から落ちる。
フォスはまんまと月人にさらわれる。
(53)
月人たちは月に着くと普通に会話をし、フォスを捕らえたことで盛り上がる。
それを聞いていたフォスは普通に喋ることにむかつき、腹部を接合して月人をなぎ倒す。
男姿の月人を倒すと砂漠のようなとこにたどり着いた。
その男姿の月人にフォスはみんなを返せと言うと、その男姿の月人は模造品(合成品)の宝石を砕いて見せ、みんなをこのように粉末にしてここにばらまいていると言う。
それを聞いてフォスは愕然とする。
男姿の月人は、フォスが月人と話したがっていたことを知っており、何を話したいか尋ねる。
(54)
フォスは憤りのため、その男姿の月人を斬るがすぐに再生された上にフォスは四肢を斬られ戦闘不能になる。
他の月人がその飛び散ったフォスの四肢を裁断機にかけようとすると、王子と呼ばれるその男姿の月人に止められる。
王子はフォスにこの月と都市の成り立ちを説明する
そんなフォスに月で養殖されているアドミラビリス族が寄ってくる。
王子は食事しながらフォスに話す。
「人間はかって存在した生物の一種で君たちの祖でもある」ということから始まり、その人間が死んだ時、肉と骨は星に還り、魂は純粋な元素となって宇宙のある一点に辿り着きそこから別の宇宙と呼ばれる領域に吸い込まれる、と言う。
しかし、その宇宙に辿り着くような魂になるには生きている別個体の人間の祈りが必要とのこと。
その祈りも得られないまま月に座礁し変容した人間の魂の集合体が月人の正体だと言う。
そして、その祈りを与えるのが人間が最後に作った金剛先生という機械とのこと。
だが、その金剛先生という機械は壊れてしまって魂を分解しなくなったので、月人は何とかしてそれを治そうとする苦心惨憺たる試みがこの戦争であるとのこと。
王子はフォスに金剛先生を治す知恵を求める。
そのために、フォスに食べているものを奨める。
(55)
フォスは一口食べるが気持ち悪がる。
なおも話は続き、王子は金剛先生を治すためにいままで行なった多くの試みを言う。
時折、武器につけて帰している宝石は合成品であるとのこと。
王子はどの試みもうまくいかなかったということで落ち込む。
フォスがいまのままではいけないのかと問うと、王子は生前の人間と同じような生活から皆を早く自由にしてやりたい、生前の生活は呪いだと答える。
そしてこの会談の最後に王子はフォスに「君が我々を救ってくれる。そんな気がするよ。」と言う。
フォスは王子から予想外の話を聞いたので、驚き悩む。
この日の話は終わり、フォスは王子の案内で床に就く。
(56)
朝目覚めたフォスの周りにはアドミラビリス族が群がっており、また世話係としてセミという月人がくる。
そのセミはフォスに月世界の施設を見せる。
その施設の中には、人間合成実験場というのもあった。
フォスがセミに王子の名前を聞くと、セミは「エクメア様です」と答える。
が、本当は名をいうことは禁忌であるらしいが、セミは愚鈍か愚鈍のふりをしているので言ってしまったということである。
セミのいう信頼という言葉から、フォスは先生を正気に戻すためにエクメアにある提案をする。
それは「僕らの裏切り」ということであった。
フォスは「仲間を説得して月へ連れてくる」と言う。
王子はその策を受け入れ、監視のためフォスの左目に合成真珠を埋め込む。
そして、フォスは新しい服を提供され、元の星に戻ることになった。
(57)
フォスはセミといっしょに船で元の星に戻る。
その途中、王子を全面的に信用してはいないが、何らかの進展を見るために今回の手立てをするということを確認する。
みんなには王子に聞いた話の全部は、誤解を生む可能性があるのでまだ話さないことにする。
元の星に着くとセミは仁王姿になり、フォスは逆さ黒点から落ちる。
月人がその落ちたフォスを回収しようとするので、宝石たちが月人を攻撃しようとすると、仁王姿になったセミがその前に立ちふさがる。
みんなはセミに一蹴されるが、そこにボルツが現われる。しかし、ボルツでもセミを倒すことは出来なくボルツはセミに捕まる。
そこに先生が現われ、セミも月人も一掃する。
こうしてフォスは月から戻ってきた。
(58)
フォスが帰ってきたので、みんなはフォスを質問攻めにするが、フォスは愚鈍を装って先生並にはぐらかす。
ともかく初めて月から戻ってきたということで、みんなはフォスを「僕らの希望」と言う。
カンゴームはフォスが嘘をついているということに気づいているが特に干渉はしない。
先生はカンゴーム以上にフォスの月からの帰還に無頓着である。
そして先生は王子の言ったように、人間の道具であることを認める。
やはり、先生には何を言っても無駄と再び思い、フォスは暗躍を始める。
手始めに、フォスはルチルに月の宝石の合成技術のことをいってパパラチアを思い出したと言う。
(59)
ルチルは月の技術を知りそれなりに動揺する。
フォスは秘かにみんなを新興宗教に勧誘したいので、先生に単独行動を願い出ると、先生はあっさりと許可する。
フォスは「泳がされている?」と思うが、ともかく何かをやらなければ先には進まないので勧誘に励む事にする。
みんなはフォスに月の事を色々聞きたがるので勧誘には苦労しない。
そして、最初にダイヤモンドがボルツのいないとこに行きたいと新興宗教に関心を示す。
次にフォスが帰ってきたということでさらわれた仲間に会いたいと物思いにふけっているイエローダイヤモンドを勧誘する。
この手ごたえから、フォスはアレキサンドライトなど数名も勧誘できるだろうと読む。
そんな皮算用をしていると、シンシャを思い出すが、シンシャは最後にしょうと思う。
そんな折り、また黒点が現われる。
(60)
黒点はセミがフォスを心配して様子を見にきたとのことである。
フォスが順調であると言うと、セミたちは定番通りにフォスに退治される。
ここでベニトアイトも新興宗教に関心を示す。
官僚能力にたけているジェードとユークレースは、フォスが帰って月の話をしてから、何人かの行動が不安定になっていると気づく。
そこで、ジェードとユークレースはそれとなく月の話を個別にするなとフォスに言う。
ユークレースはフォスの言動から危険なものを感じる。
それはフォスというよりラピス・ラズリということであった。ラピス・ラズリは知的探求者すなわち科学者というタイプとのことである。
双晶のアメシストの一人であるサーティ・スリーも新興宗教に関心を示す。
ここまでで、脈があるのはダイヤモンド、イエローダイヤモンド、ルチル、アレキサンドライト、スフェン、ペリドット、レッドベリル、ベニトアイト、アメシストのサーティ・スリーだけであるが、ユークレースに気づかれたということでここらへんを潮時と考え、シンシャに会いに行く。
(61)
フォスはシンシャに先生は人間の作った道具であり、月人は先生を道具として使いたいが思うように使えないので、思うように使うために宝石たちをさらっていたと言う。
僕らは月人の望みが叶うようにするひとつの手段として月に行くが、いっしょに行こうと言う。
しかし、またしてもフォスはシンシャに振られる。
「それじゃ、先生が可哀想だ。俺は行かない。」と言って、フォスより先生を愛しているという意志を示す。
フォスは勧誘したみんなに「あの月が傾き始める頃、虚(こ)の岬に来て」と告げる。
そして、カンゴームを問答無用で誘う。カンゴームはゴースト・クオーツとの約束もあるしラピス・ラズリの頭部も付いているのでしかたなしに承諾する。
虚の岬には、フォスを入れて7人集まる。
セミは箱で眠っているパパラチアを箱ごと持ってくる。
フォスは「行こう」と言う。
☆所感
ここに来て、話が断然面白くなってきました、
物語の進行がわたし好みになってきたといえます。
やはり、賢い方が断然良いです。
ラピス・ラズリの頭部を付けたお陰で、ずっと知的になって物事を筋道つけて(つまり論理的に)考えられるようになったということである。
それまでのように行き当たりばったりではないということである。
また、顔もラピス・ラズリの方が元のフォスフォフィライトより好みなのでそれも好感度アップです。
ということでどちらかというと、フォスというよりラピス・ラズリというべきでしょうか。
まぁ、仮にフォスであっても元々顔というのはそれほど判別できるほど特徴があったわけではないので、ほとんど抵抗ないです(笑)
やはり、賢いと面白い。
賢い者は、事象を分析しそこから学び常に進化発展するから次は何をするのかという期待感が持てるのでいつまでもわくわく感やドキドキ感がなくならないから、いつも新鮮である。
愚か者は事象から何も学ばないので、新鮮なのは最初だけである。すぐに陳腐化する。
フォスも元のままならあのままであっただろう。
しかし、貝殻やアゲートの脚や金・白金の合金の手やラピス・ラズリの頭部というものを得たために、賢くなり今や反乱軍のリーダーである。
賢くなったフォス(正確にはフォスというより混淆フォス(ハイブリットフォス))というべきなのだろう)の進化発展はまだまだ止まらないだろう。
そういうことで、これからのフォスというか賢い他の者(ボルツやシンシャやパパラチアなど)との絡み合いが愉しみです。
フォスフォフィライト(通称はフォス)は失った頭部の代替としてラピス・ラズリの頭部を接合する。
これで、フォスは脚、腕、頭部と本来(持って生まれた)のものと違うものをつけるということになる。
こうなると、フォスはフォスであるともいえるしフォスでないともいえると思う。
思うに、こうなるとその人がその人であるというアイデンティティ(アイデンティティー)(人格)というのは何で決まるのかということになるだろう。
ここでいうアイデンティティとは、その人がその人であるという自己あるいは他者の認識を指す。
体型ではないだろう。肥ったり痩せたりするし、四肢など体の一部を失うこともあろう。
顔の形といっても、普通に整形などをするのだからそれでもないだろう。
まぁ、逃亡者などが顔を変えるのは一種のアイデンティティの喪失を意図してるのかもしれないがあくまでもそれは外面的ということでしかないだろう。
性格とかいっても性格も年月でかわることもけっこうあるだろう。
優しかった人が粗暴になったり粗暴な人が優しくなったりなどしてもやはりその人はその人なのだろう。
自分の記憶(自分を自分と認識する)といったって記憶喪失になることもあるし、認知症などになるとそこらへんも曖昧になることもあるだろう。
記憶喪失になっても他者からは記憶喪失になった誰々だとかいわれるわけだからアイデンティティはあるといえる。
グレゴール・ザムザ(カフカの変身の主人公)がある朝目が覚めると巨大な虫になっていたということであるが、これでもアイデンティティの喪失にはなっていない。
本人は自分の姿が虫になっているというだけであり、それ以外は本人のアイデンティティである。
またその家族もグレゴール・ザムザが虫になったということでのアイデンティティを保っているといえるだろう。
虫ということで社会的な帰属性はかなり失われているといえそうだが。(*1)
(*1)
変身;
http://www.aozora.gr.jp/cards/001235/files/49866_41897.html(青空文庫 Aozora Bunko(
http://www.aozora.gr.jp/)から)
そうなると、その人がその人であるというのは何を持っていうのだろうか。
うーん、よく分からないですね。
現代では極めて物理的にはDNAということなのでしょうか。
意識的に見ればアイデンティティは、自他が認識する、自己が認識する、他者が認識する、というのが考えられる。
例えば、整形などで顔を変えたりすれば、アイデンティティは他者に対しては失われるが自己としては私は私であるという意識があるので、他者に対しても声だとか癖だとか記憶とかで、連続したアイデンティティを与えることができる。
反対に自分が記憶とかを失っても、他者が顔とか癖とか声とか記憶とかを覚えていれば、それを認識することで、連続したアイデンティティを得ることができる。
フォスのようにほとんど身体が失われ、またそれに伴って記憶を失っても、インクルージョンが強くて私は私すなわちフォスであるという自我は失われていない(ような)ので連続したアイデンティティが確保されているといえよう。
逆にいえば、ラピス・ラズリの方はそういう自我が弱いということで、自分をラピス・ラズリとしての連続したアイデンティティを持てていないということなのだろう。
フォスの支配下にあるアイデンティティ?
ある日突然、ラピス・ラズリの自我が目覚めてフォスを乗っ取ったりして・・・
否、すでにラピス・ラズリが意識を乗っ取っているのかもしれない。
ラピス・ラズリがフォスの振りをしているのかもしれないってこと。
そういうことでは、ユークレースの言う「月から帰ってきたのは、本当にフォスかしら?」は的を得ているのかもしれない。
というようなことを考えると、そもそもこれはゴースト・クオーツの策謀ではないかとすら思える。
フォスのインクルージョンの適合力を見て、ラピス・ラズリの頭部をフォスにつけて甦らせる事ができるのではないか、と考えたのではないかということ。
そこでフォスに近づいて組むことにし、フォスが月人と話したいということで無謀なことをするのをうまく利用したのではないかということ。
そうでないと、いきなり「どんなことでも協力する」なんていうのはある意味おかしすぎる。
(まぁ、先生の手先でフォスの見張り役というのならそれはそれで分かるが)
だから、カンゴームもフォスに頼まれるとほいほいといっしょに月に行こうとしたりするのだろう。
ところで、宝石たちが動かなくなるのはどれだけ失ったらなるのだろうか。通常、手足を失ったくらいでは動かなくはならないが。
パパラチアは人間型の形はあってもその体にたくさんの穴があることによって動かない。
ラピス・ラズリの例から、頭部だけでは動かないといえる。
フォスが月にさらわれる時もカンゴームがフォスの腹部を切断したので、一応月人もフォスが動かないと判断している。
ただフォスの場合は身体の一部が分離しても合金が伸びてインクルージョンが一体になれば動けるようだが。
ここらへんから動く動かないは、ほぼ人間と同じと考えていいのだろう。
さて、そんなことで賢くなったフォスは、先生と月人の関係を暴くために、月に乗り込むことになる。
そして、月で王子と呼ばれているエクメア(通称は王子)と会って、いままでの経緯(いきさつ)を聞く。
その経緯とは、月人といわれるのはかっての人間の魂であって、その魂が浄化(成仏)されなくてさまよっていたのが月に集まっているとのことである。いわゆる幽霊の集まりである。
そして、金剛先生(通称は先生)とは、その魂を浄化するために人間が作ったものである。
しかし、何故にか壊れてしまったために、魂を浄化することが出来なくなったので、もう一度正常に戻して自分たちを浄化してもらうために、色々とその正常に戻す方策を行なっているとのことである。
宝石たちをさらうのはその方策のひとつであるという。
この王子の話を聞くだけだと、とても明瞭で論理的である。
この話に特に疑問や矛盾を感じることはないといえる。
逆にいうと、疑問や矛盾がないからおかしいといえる。
つまり、これは詐欺師の手口である。
詐欺師の話はあることを認めればそこからの話は疑問や矛盾がないから人はそれを信じてしまうといえる。
ここでのその前提は、先生が壊れているということである。
先生が正常であるということなら、この話は崩れてしまう。
しかし、フォスには先生が正常か異常かを判定する術がない。
そこを上手くついたこの弁である。
それは、王子が能弁なのに対して、先生は口下手(あるいは無口)であるからである。
ある疑義がある場合、その疑義に対して何らかの形で答えてくれる者の方を信じるのは知的(論理的)な思考を持つ者の常と言っていい。
そういう知的(論理的)思考を持たない者は、そもそも疑義を持たないかあるいは持ったとしてもそれを考えることが出来ないので王子の言っていることが理解できなく既存の先生を信じるということを選択するであろう。
だから、フォスにとっては王子はフォスの疑義に対してちゃんと話は話として疑問や矛盾もなく話しをしてくれたので、一応その線に乗ったといえよう。
それに対して先生はフォスの疑義に対して曖昧な答えしか用意していない。
これでは先生との対話は禅問答でしかない。
禅問答などはフォスあるいはラピス・ラズリには不用なのである。
禅問答などというのは信頼があって成り立つものであり、フォスにはその先生に対する信頼が揺らいでいるのだからそもそも成り立たない。
王子の話からではおそらく、王子は捕らえた宝石たちにフォスに言ったような事を同じように言っていたのだろうが、フォス以外は先生を信頼しているので、それを受け入れることが出来なかったのだろう。
もし、ラピス・ラズリが月に行っていたら、この王子の話を聞いて、今のフォスと同じ事をしたかもしれないが、惜しむらくはラピス・ラズリの場合は頭部が残ってしまったのでそういうことは起こらなかったといえる。
さて、王子の話であるが、わたしもなんともいえないです。
一応、フォスの疑義に対しては論理的に矛盾も疑問もない解答といえるでしょう。
とはいっても、このことを言っているのが王子だけなので判断のしようがない。
ここまででこれらの話を簡単にまとめると、この星には人間というものが住んでいて、その人間は死すべき存在で、死ねば肉と骨はこの地に残る(戻る)が、魂は人間の祈りで無の世界に行ける(戻れる?)ということらしい。
しかし、6度の流星によって人間が滅びると、その祈りをあげる人間がいないためにいくらかの魂はこの世をさまよっているということであり、それが月人であるとのことになる。
そして、金剛先生はその魂を救う存在であるがそれが壊れているために魂は救われないということである。
この話からあえて疑義が生じるとなると、金剛先生は「元々は最後の人間が寂しくないようにという叙情的見地から作られたようだが」という言葉である。
つまり、さまよえる魂を救済するために作られたものではないということである。
いわゆる偶然の産物である。
ということは、この月人が魂だとして救済されるなら、この金剛先生に頼る必要は必ずしもないということである。
金剛先生がなかったらこの魂たちはどのようになるのだろうか。
ようするに、何千何万年もこのような不毛な戦いをするより、自分たちが救済される別の道をも探るべきであろう。
そういうことは、フォスも聞かないし、王子も言わない。
それにこれだけの科学力がありながら、魂の救済するものを作れないというのも何か納得できない。
しかも、もし金剛先生が壊れているとして、その治す方法も分からずにやみくもにやっているというのもまたおかしい。
かっては金剛先生が魂を救済していたということならば、その所業も見ていたと思われるので、そこらへんからの類推もまたできると思われるのだが。
そういうことなら、やみくもな方策というのはありえないとも思えるのだが。
そうでないならこれまた、偶然の産物を期待しているといえよう。
ようするに、月人たちは何らかの奇跡を待っているということになる。
そして、その奇跡はフォスか・・・
また、王子が「夜眠り朝起きて食事を摂り糞をして誰かと対話し和解し愛し合い啀(いが)み合う。絶えず進展していない不安に侵(おか)され、むりに問題を探し出し小さな安心を得る。」って言うが、これって普通の人間ではないのか。
まぁ、わたしは魂というのがどういうものかは分からないが、人間と同じ行為をするのでは魂とはいえないのではないかと思うが。
魂と人間の違いが分からない。その違いは不死ということだけなのか。
そしてそれに死を与えることができるのが金剛先生という仏なのか。
こういうところを見てもこの魂というのは?マークである。
魂になってもなぜ肉であるとこの人間と同じようなことをするのか。
魂は肉と骨の両方の特性をもっているのか。
それと、魂なのにこれまた不便だと思うのが生息地である。
魂はフォスたちのいる星は、苦手だと言う。
アドミラビリス族(肉)や宝石たち(骨)は、この星でも月でもその生息に問題ないのに。
もし、人間が肉と骨と魂になったというのが真実なら、人間の記憶というのは一体どこに行くのかということである。
ここでは、魂に行っているといえよう。
骨である宝石たちには人間の記憶はまったくないといえる。
肉であるアドミラビリス族には、宝石たちにはまったくなかった人間の伝説が残っているということは何らかの記憶がある(あった)といえよう。
記憶が魂に行っているというなら、王子のいう人間の習慣が記憶として残っているのでそれを単純に行なっているといえよう。
そういうことから言えば、王子たち魂こそこの世界の本当のことを知っているといえよう。
しかし、王子によれば、「我々は人間の時、誰の祈りも得られなかった個体だ。クズの成れの果てだ。私たちの断片的な知識では何もうまくいかない。」とのことなので、そこらへんの歴史も体系的に編めないのかもしれないが。
そして、記憶だけでなくその性格や性質までもが魂にあるとするとこれはもう悲惨というしかない。
死んだら幸せになれると思ったのに、死んでも幸せになれないとなるとこれはもう地獄だね。
この王子のいうことが本当なら、ここ(月)は地獄であり、月人とは魂が永遠に救われない地獄の亡者ということにもなろう。
とても斬新な新感覚の地獄絵図である。
王子がフォスに「君が我々を救ってくれる。そんな気がするよ。」ということなら、フォスが救いの蜘蛛の糸ということになる。(*2)
(*2)
蜘蛛の糸とは、芥川龍之介の短編小説の「蜘蛛の糸」のことである。
蜘蛛の糸;
http://www.aozora.gr.jp/cards/000879/files/92_14545.html(青空文庫 Aozora Bunkoから)
あと、王子は「ウェントリコススは人間についてちゃんと説明したようだね」と言っているが、なぜ王子は知っているのか。
そういうことになると、あのウェントリコススが落下したときに宝石の誰かに人間について伝えろという指示を出していたということなのか。
その人間という言葉で、金剛先生を正常に戻そうということなのか。
そういうことなら、船(黒点,器)で出現したとき、「人間、人間」とかを連呼した方が早いのではないか。
というより、こうやってフォスとも話せるのなら、襲来した時、このフォスに話したようなことを放送したりビラを投下したりして宝石たちに真実を話したらもっと事態は進展していたのではないか。
そういうことを何度も何度も繰り返せば、宝石たちにも疑義を起こり、造反ももっと早くあったのだろう。
まさか、アドミラビリス族の時と同様に、月人の言葉が分かるのはフォスだけだったりとか・・・
ということは、この王子の話は一対一で話す場合には効果があっても、多数の者に話すとその疑義や矛盾が出てくる話ということになる。
あくまでも、先生に疑義を持っている者に対してのみ有効な話ともいえる。
金剛先生が正常だとするとこのくらいの疑義や矛盾が出てくるともいえる。
やはり王子の意図は別のとこにあるともいえよう。
ところで、王子が食べているのは、アドミラビリス族の肉なのか。
アドミラビリス族を食料として飼育しているのか。
ということで、この王子の言っていることだけでは自分たちが救済されるためには、自分たち以外のものは犠牲になってもかまわないということでしかないといえる。
いわゆる上位者は下位者をどうにでも出来る。しかし、下位者がいなければ上位者も存続できない。弱肉強食。
おそらく、そんな単純なことではなく、裏にはもっと多くの秘密があるのだろうけど。
ところで、最後の人間が金剛先生を作ったということだが、その最後の人間が死んでからどれくらいたって宝石が生まれたのだろうか。
そして、金剛先生は何故に、宝石たちを戦うための戦士にしたのであろうか。
自分が月人たちに狙われているとなったら、宝石たちを巻き込む必要はないだろう。
実際は、フォスのように「先生が大好きだから助けたいんです」という自発的なものかもしれませんが。
しかし、そういう美徳も洗脳ではないとはいいきれないわけだから。
それとも、宝石たちと共同生活をするようになってから壊れたということなのだろうか。
いまいち、この時間軸がまだはっきりしないということです。
そして、また思うには宝石たちを教育するために教科書というものがあるが、あれは一体誰が作ったのだろうか。
「この星は6度流星が訪れ、6度欠けて6個の月を産み痩せ衰え、陸がひとつの浜辺しかなくなったとき、すべての生物は海へ逃げ、貧しい浜辺には不毛な環境に適した生物が現われた。月がまだひとつだった頃、繁栄した生物のうち逃げ遅れ海に沈んだ者が海岸に棲まう微小な生物に食われ無機物に生まれ変わり、長い時をかけ規則的に配列し結晶となり再び浜辺に打ち上げられた。それが我々である。」という言葉からでは、宝石が誕生してから編まれたということにもなりそうですか。
そうすると、編む者は、金剛先生しかいないのではということになるのだが。
少なくとも、フォスたちの教科書には人間という言葉はないと思われるので、教科書は先生が作ったと思われる。
人間が作ったのなら、自分の存在をそこに記さないのは人間の特性からいって解せない。
しかし、先生が作ったとしても、なぜ人間の存在を隠さなければならなかったのか。謎。
もしこの王子の言うことが真実で、フォスの企てが成功して、先生が正気になって、月人たちを浄化したら、今のような戦争状態から平和になるということだが、そうしたら困る者もいるでしょう。
例えば、ボルツなどはいまは戦争状態だから、その武力を生かすことができ、畏敬というくらいの敬意をはらわれているが、戦争がなくなれば、その武力もあまり役にたたないだろう。
こういう戦争での英雄は、平和になると往々にして単なる厄介者となるといっていいでしょう。
戦争の時は軍人が幅を利かすが、平和なときは文人(官僚)が幅を利かすといっていいでしょう。
今の平和な日本の軍人(自衛隊)の悲惨さをみればそれがよく分かるだろう。
戦争とか災害(自然との戦争)が起こると、神様・仏様・自衛隊様となるのにね。
軍人というのは戦争やってなんぼの値打ちといえる。
そういうことからいうと、平和になればボルツに嫉妬心のあるダイヤモンドは初めてボルツと対等になれるということである。
それ故に、ダイヤモンドはこのフォスの計画に意欲的に取り組むと思われる。
平和な時代では強いものより可愛いものの方が人気が高いといえる。ゆるキャラを見よ。
だから、平和になれば今度はボルツがダイヤモンドを見て、俺もあんなに可愛くなりたかった、と嫉妬を抱くでしょう(笑)
あと、月人マニアのアレキサンドライトも月人がいなくなったらそのモチベーションを失くすといっていいでしょう。
ただ、しばらくは月人がいたという歴史を編む仕事をすることによってそれは保たれるといえよう。
後の者は、平和であろうが戦争であろうがそんなに関係ないといえよう。
というか宝石たちはそもそもどのくらい生きられるのだろうか。
平和になったらどんどん宝石たちが増えてこの星は宝石たちで過剰になってしまうかもしれない。
そうすると、究極的にはまた生き残りをかけての戦争なのかな。
そうすると、またボルツの時代だ(笑)
月人の役割は、宝石たちの数の適当な調整、つまり自然の摂理といえないこともないか・・・
戦争といえば、今の北朝鮮は核を持つということで、米国を中心した欧米各国にいじめられているが、おそらく戦前の日本も軍備拡張ということで、今の北朝鮮と同じようにとてつもなくいじめられていたのでしょう。
アジア人のくせにでかい顔するなって。
その日本が今やアジアを裏切って欧米といっしょに北朝鮮の核武装解除に尽力するとは世の中も変わったものである。
もう日本にはアジアの盟主の自覚などかけらもないといっていいだろう。
情けない。
フォスの策謀によって、数名の宝石たちが月に行くことになった。
フォスはシンシャにも話して、行くことを問うたが、シンシャは拒否した。
シンシャはかって月人にさらわれたいといっていたのだが、いざ月人にさらわれる段階になるとそれを拒否した。
あれはあまりにものの絶望ゆえに発した言葉だったのか、それともフォスの口車に乗って月人にさらわれるのを潔しとしないのか。
そもそもこのフォスの言動は、シンシャの「攫(さら)われるのを待っている」という言葉から始まっているのではないのか。
というか、フォスすなわちハイブリッドフォスにとってはもやはシンシャは不用だろう。
かってのフォスなら賢くないからシンシャの賢明さによる判断を仰ぐ必要があったが、ラピス・ラズリの頭脳を手に入れたいまでは、シンシャの思考では保守的過ぎるだろう。
いまのところ、先生の発言も海王の発言も王子の発言も状況証拠という感じで、表層で止まっていて本質には届いていないと言う感じである。
まぁ、どの発言もその者の解釈を含んでいるということになる。
まだ、現象を見たままの天動説といった感じで、ハイブリッドフォスがいつ地動説を発見発表してくれるのか。
よって、いまだにわたしの妄想は安寧の地を求めてさまよっているといえます。
ところで、ウァリエガツスが人間型になったが、ウェントリコススは確か人間型になるのは、「故郷に近づくと成れるのだ」と言っていたが、どう見てもウァリエガツスが人間型になったとこは故郷とは思えないのだが。
ここらへんは誰も彼も嘘をついているのか。
それともアドミラビリス族も進化して自分の意志で人間型になれるのか。
そもそもこの物語そのものが、「クレタ人は嘘つきだ、とクレタ人が言った」というような論理なのか。(*3)
(*3)
自己言及のパラドックス;
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%87%AA%E5%B7%B1%E8%A8%80%E5%8F%8A%E3%81%AE%E3%83%91%E3%83%A9%E3%83%89%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9エピメニデスのパラドックス;
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%94%E3%83%A1%E3%83%8B%E3%83%87%E3%82%B9%E3%81%AE%E3%83%91%E3%83%A9%E3%83%89%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9(以上、ウィキペディアから)
ただし、これらは論理の世界の話であって、現実的には「クレタ人は嘘つきだ」ということ自体が検証できないということになる。クレタ人が言おうが言うまいが。
なぜなら、すべてのことに嘘をついていたら生活できないからである。
現実世界では、クレタ人は嘘をつくこともある、ということくらいでしょう。
月に行くということを聞いた時、わたしはフォスは合金で天使の羽根を作り、それで飛んで行くのかと妄想したのですが、当てが外れてしまいました(笑)
仏教世界では、キリスト教世界の天使のように羽根が生えて飛ぶ者はあまりいないということなのか。
自分が飛ぶというより、孫悟空のように觔斗雲(きんとうん)に乗るというような発想なのだろう。
フォスがみんなを新興宗教に誘うやり方には感心します。
各自の性格や状況を見極めて、それにあった月の話をして、各自の興味を助長させるということです。いわゆる弱点を突く。
これだと、ユークレースなどの体制派(先生派)が各自から話を聞いても断片的で、話の全体像は捉えられないということになる。
また、フォスはある意味客観的に話しているので、その判断は各自が行なうということで傍目には勧誘とみなされない。
とても巧妙な勧誘である。
「フォス自身は月のことを良いとも悪いとも言わないから聞いた方は自分で判断せざるを得ない。都合の良い月への想像を溜め込むわ。相手を試すようなこの感じには覚えがあるの。そう・・・ラピス・ラズリね」とユークレースは言う。
ともかく、王子のいうことが真実なら、この物語ももうすぐ決着がつくということになると思うのだがどうなのでしょうか。
ウァリエガツスが宝石たちはみな美しいというと、フォスは「先生が生まれた僕らを少し削って調整しているんだ」と言う。
このことからも、見た目に宝石たちの顔に個性が乏しく誰が誰かよく分からないといえるのだろう。
ようするに、王子によると金剛先生は人間の雌の博士が作ったというから、これが真実ならば先生は博士に似るようにみんなを改造しているということだろう。
だから、みんな見た目は人間すなわち博士に似た女性姿なのだろう。
だからこそ宝石たちを愛しているということなのだろう。ある意味みんな博士の生まれ変わりなのだから。
過去の博士との生活に縛られて宝石を自分の思いのままに操っているということなのだろう。
ここらへんは、宝石となるためには原石を削らなければならないというイメージからきているといえよう。
そういうことで、先生がみんなを博士のイメージで削っているから、みんな似たような顔になり、その上に心までその圧倒的な力で洗脳するから、みな同じような心身になって没個性的になっているのかもしれません。
あとファッションだけど、みんな同じようなファッションだからここらへんも個性が分かりづらくなっているのだろう。
これも先生の指示でみんな同じような衣装をきているということなのか。
それとも、レッドベリルのファッションセンスなのか。
衣装を間違ったりしないのか。
せめて、衣装に各自の紋章のようなものがあれば分かりやすいのだが。
まぁ、これは軍服(制服)ということで統一されているのかもしれません。
だから、レッドベリルとしても「肩口を従来の百分の一つめてより美しいフォルムにしてみました!」っていうくらいの改修しかできないのだろう。
その点、寝間着(寝巻)は自由度があってレッドベリルとしても腕を振るえるということなのでしょう。
冬眠の時の寝間着を見よ。
王子は、さらってきた宝石たちを粉にして月面に撒いたというが、おそらく撒いたのは合成品だろう。
合成品を作るためにも、またインクルージョンも解析できていないようなのでそういうことでも原型は必要だろう。
ただし、人間型の形ではなく動かない程度に砕いていると思う。
宝石たちの月人たちのアドミラビリス族たちの支配形態(支配体制)は独裁制といっていいでしょう。
アドミラビリス族たちの支配は、ウェントリコススやウァリエガツスが自ら「王」と言っているので、おそらく王族による世襲の君主制と思われるが、どのような君主制かは分からない。
宝石たちの支配は、正に金剛先生が先生と呼ばれているように、先に生まれて(存在して)いて、しかも先生が文武両道にもっとも優れすべてを教え統括しているので理想的な独裁制といえる。
その支配は一見、先生の徳により、お互いの愛によってつながっているように見える。
しかし、愛というのはわたしに言わせると対等な関係で成り立つものなので、これを愛といえるかははなはだ怪しい。
そういうことでは、徳による支配ということで、宗教的支配ともいえそう。
月人たちの支配は、これまた王子という文武両道に優れたものが統括しているようである。
ただここでいう王子とはエクメア本人が言うように、王族の王子ではなく単なる敬称である。
一見すると、まわりで最も優秀な者が指導者になったようであるがその実態はよく分からない。
なんらかの権力闘争の末にエクメアが実権を握ったのか自然発生的に徳により生じたのかはたまた選挙で支配権を得たのかは分からない。
この宝石たちを徳で支配している金剛先生であるが、博士と呼ばれる人間が何のために作ったのかは定かではない。
一応、王子からの説明はあったが、これだけでは漠然としていてその真意までは分からない。
ここらへんもそのうち明らかになるかも知れません。
以上そんなことで、何が真実かよく分からない世界なので、冗長ですが備忘録的な感じで今思っていることをここに記してみました(苦笑)
補足:月刊アフタヌーン
第8巻の続きが見たいと思って、月刊アフタヌーンの2018年1月号(2017.11.25発売)を購読してみました。
もちろん、キンドル版です。
電子書籍の良さとしては、こうやってバックナンバーもたやすく手に入れられることもあげられます。
そして続きを読んで見ましたが、20ページほどなので、1話だけでどうのこうのということはできないです。
単行本(コミックス)だと200ページくらいで540円なので、20ページだけを読むのに700円をも出してはコストパファーマンス的にメリットがあまりないです。
だから、月刊アフタヌーンを購読するのはこの号だけにしました。
今の段階では、かってのクレイモアほどの興はいまのところないです。
これからの展開ではどうなるか分かりませんが。
ということで、次の
宝石の国に関しての記事は、第9巻が出てからということになると思います。
なお、モーニング・アフタヌーン・イブニング合同Webコミックサイト モアイ(
http://www.moae.jp/)で、第1話が無料で読めます。
宝石の国-市川春子 - モーニング・アフタヌーン・イブニング合同Webコミックサイト モアイ;
http://www.moae.jp/comic/housekinokuni?_ga=2.159524414.2081493083.1518183248-1717725491.1518183248アフタヌーンといえば懐かしいです。
確か、これの創刊号を本屋さんで手にしたと思います。
今のアフタヌーンは1000頁を越えているが、この時は200頁くらいだったと思います。
この創刊号に、「寄生獣」が載っていたので、しばらく継続して購読していました。
ちなみに、最近のわたしの漫画読みでアニメから入ることが多いのは、アニメはただだからということでしょう。
面白いか面白くないか分からなくても、試し見ができるってこと。
漫画の場合はそういうことが出来ないといっていいでしょう。
そしてアニメが面白いものはまた漫画も面白いということが多いということでしょう。
しかし、アニメになるには漫画が漫画でそれなりに人気がないといけないということになると、漫画マニアの方に感謝ということです。
確か、わたしも昔は週刊漫画誌や月刊漫画誌を買ってそれなりに読んでいたのですが、今はよっぽどでないと読まないです。
ここらへんはアニメの質が上がっているということも関係しているのかもしれません。
宝石の国の
HP「TVアニメ『
宝石の国』公式サイト」は
http://land-of-the-lustrous.com/ウィキペデイアは
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%9D%E7%9F%B3%E3%81%AE%E5%9B%BDです。
ウィキペディア(
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8)から
アイデンティティ(自己同一性);
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%87%AA%E5%B7%B1%E5%90%8C%E4%B8%80%E6%80%A7 人格;
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%BA%E6%A0%BC ハイブリッド;
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%96%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%89 性格;
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%80%A7%E6%A0%BC 性質(気質);
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%97%E8%B3%AA 地獄;
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%B0%E7%8D%84 地獄(仏教);
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%B0%E7%8D%84_(%E4%BB%8F%E6%95%99)
地獄(キリスト)教);
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%B0%E7%8D%84_(%E3%82%AD%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%88%E6%95%99)
蜘蛛の糸;
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%9C%98%E8%9B%9B%E3%81%AE%E7%B3%B8 変身 (カフカ);
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%89%E8%BA%AB_(%E3%82%AB%E3%83%95%E3%82%AB)
アゲート(めのう);
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%83%8E%E3%82%A6 君主;
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%9B%E4%B8%BB 君主制;
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%9B%E4%B8%BB%E5%88%B6 独裁制(独裁政治);
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8B%AC%E8%A3%81%E6%94%BF%E6%B2%BB 独裁者;
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8B%AC%E8%A3%81%E8%80%85 専制政治;
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%82%E5%88%B6%E6%94%BF%E6%B2%BB 徳;
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BE%B3アイデンティティとは - コトバンク;
https://kotobank.jp/word/%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%87%E3%83%B3%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%86%E3%82%A3-22669(コトバンク [ 時事問題、ニュースもわかるネット百科事典 ](
https://kotobank.jp/)から)
[三省堂辞書サイト]10分でわかる「アイデンティティー」;
http://dictionary.sanseido-publ.co.jp/topic/10minnw/024identity.html(Sanseido Word-Wise Web [三省堂辞書サイト](
http://dictionary.sanseido-publ.co.jp/wp/)から)
アイデンティティとは - はてなキーワード;
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%A2%A5%A4%A5%C7%A5%F3%A5%C6%A5%A3%A5%C6%A5%A3(はてなキーワード - 話題の言葉がわかる、みんなで編集するキーワード(
http://d.hatena.ne.jp/keyword/)から)
「性格」と「性質」の違い 違いがわかる事典;
https://chigai-allguide.com/%E6%80%A7%E6%A0%BC%E3%81%A8%E6%80%A7%E8%B3%AA/(違いがわかる事典 違い・使い分け・見分け方がわかる違いの総合事典(
https://chigai-allguide.com/)から)
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