わたしに言わせると、これが躍進のきっかけとなるなら大金星です。
加藤未唯さんが、マレーシア・オープンテニス(Alya WTA Malaysian Open,マレーシア/クワランプール,本戦2月27日(月)~3月5日(日),ハードコート,WTAインターナショナル)において、2月28日(火)に行なわれたシングルス本戦1回戦にてカルラ・スアレス・ナバロ選手を2-6.6-1,6-3の逆転で破りました。
第1セットの加藤さんの立ち上がりは最高といえるくらいのものでした。
第1ゲームを40-15でキープすると、スアレス・ナバロ選手も負けじと40-0のラブゲームでキープします。
そうすると加藤さんもなんと第3ゲームは40-0のラブゲームでキープし2-1とします。
この加藤さんのキープで目立ったのは、サーブの良さでした。加藤さんってこんなサーバーだったっけという感じです。
これなら加藤さんの勝ちもありうるという感じでした。
ところがこんな加藤さんに刺激を受けたのか、ここからスアレス・ナバロ選手のサーブもストロークも威力を増して来て、明らかに加藤さんはその球威やきれに押されてしまいます。
そのため、加藤さんはなす術がないという感じで、5連取されて、スアレス・ナバロ選手が6-2でこのセットを取ります。
わたしは不覚にもこの時点で勝負あったと思ってしまいました。
スアレス・ナバロ選手は最近、ランキングが下降気味といっても25位、加藤さんは201位、その戦績も比較になりません。
スアレス・ナバロ選手が本来の力を出してきた第1セットの中盤以降を見たら、加藤さんの手立ては考えられませんでした。
ところが、第2セットに入ると加藤さんがデュース合戦でせめぎあった末にキープ、ブレークで2連取します。
第3セットはスアレス・ナバロ選手がブレークバックしますが、スアレス・ナバロ選手の反撃はこれだけで、この後はまた加藤さんが4連取しての6-1で取り振り出しに戻します。
なぜこのようなことが起こったのでしょうか。
はっきりとは分からないのですが、どうもスアレス・ナバロ選手の体調に少し異変があるような感じにも見えました。
スタミナがなくなって息が荒いような感じも受けました。
そのため、加藤さんが十分返せるくらいの球になったという感じです。
そうなると、加藤さんは深い球を返してスアレス・ナバロ選手を揺さぶります。
スアレス・ナバロ選手にミスが増え始めます。
結局、このセットはスアレス・ナバロ選手は加藤さんの深い球に対応できないまま終わったという感じです。
両者、同じような感じで1セットずつ取っての第3セットです。
お互いの手の内は分かったという感じで、第3セットは3-3まで両者相譲らずという感じでキープし合います。
そして迎えた第7ゲームでデュース合戦の末に加藤さんがブレークし4-3とします。
これで加藤さんはますます乗りスアレス・ナバロ選手は気落ちという感じになり、加藤さんが第8ゲームをキープし第9ゲームを40-0のラブゲームで再びブレークして見事に6-3で勝利します。
勝った瞬間、加藤さんは雄たけびを上げました。
そして握手後、観客に向かって拳をあげて勝利をアッピールしました。
これは良かったです。
高らかにアッピールするに十分値する勝利です。
これは驚きです。
わたしはまったく予想できませんでした。
わたしの予想は良くて善戦ということでした。
勝ちというよりどのような戦いをするのか見ておきたいということでした。
それが勝ったのです。
勝因は、やはりあの深い球という自分の持ち味のテニスをしたことでしょう。
加藤さんは体型が小さく細いので、パワー系の球を力で返すことはできないでしょう。
そうするとどうするか、相手の球を自分が返せるような球にするということでしょう。
相手の球を殺す(勢いを削ぐ)ということです。
そのために深い球で相手に十分に振らせなくかつ到達時間を長くさせるのです。
そうすれば、加藤さんはフットワークがとても良いので、その球に十分対応できます。
そうなると、ますます深い球を返せるので、自分のペースで試合を進めることが出来ます。
この自分のフットワークと深い球を十分生かしたのが今回は特にサーブでした。
サーブのコントロールが良いので、狙ったようなストローク戦(ラリー戦)に持っていけたという感じです。
このキープできるというのはまたスアレス・ナバロ選手にかなりのプレッシャー(焦り)を与えたでしょう。
今日の試合はこういうテニスをすればトップ100にも勝ちきれるということを示したと思います。
というか、加藤さんはあの深い球とフットワークというスタイルを持っているので、それを磨いてもっと上に行くと思っていました。
それが今はWTAシングルスランキング201位です。
トップ150に常駐してトップ100をうかがうだけの力は持っていると思います。
何があって低迷しているのでしょうか。
ダブルスが面白くて、しばらくはダブルスに専念していたということでしょうか(笑)
この勝利をきっかけにそのテニススタイルを深化させてシングルスもトップ100を期待したいです。
加藤さんはネットプレーも上手いので、そのフットワークでコート内を思うままに駆け回るような華麗なテニスをも期待したいです。
シングルス本戦1回戦(2月28日(火),本戦第2日,センターコート第3試合)(1時間32分17秒)
[Q]加藤未唯(Miyu KATO,日本,201位) vs. [2]カルラ・スアレス・ナバロ(Carla SUAREZ NAVARRO,スペイン,25位)は、
加藤未唯が2-6,6-1,6-3で勝ちました。
第1セット 1-0,1-1,2-1,2-2,2-3,2-4,2-5,2-6(サーブは加藤から)
第2セット 1-0,2-0,2-1,3-1,4-1,5-1,6-1(サーブは加藤から)
第3セット 0-1,1-1,1-2,2-2,2-3,3-3,4-3,5-3,6-3(サーブはスアレス・ナバロから)
なお、加藤さんは予選2試合勝ち上がりの予選勝者です。
1回戦で第2シードを敗退させるという大仕事を予選勝者の加藤さんがやってのけたのですが、第1シードのエリナ・スビトリナさんも予選勝者のジャン・スジョン選手に敗退させられる可能性がありました。
スジョン選手が良かったです。
スコアはスビトリナさんの6-2,6-3なので快勝という感じですが、内容はとてもそんな悠長なことではなかったです。
ストローク戦でははっきりいってスビトリナさんが押されていました。スジョン選手の6:4くらいといってもいいです。
スビトリナさんの球をことごとく返して隙あればウィナーを決めてきます。
スビトリナさんにストロークしかなかったら、このスコアは反対になっていたかとすら思います。
でも、スビトリナさんは頭(頭脳)、攻め、守り、スタミナの4拍子が揃っているので、今回はサーブで切り抜けたという感じです。
サーブでスビトリナさんが6:4くらいにして、五分五分とします。
五分五分ならスビトリナさんの方がその戦績から上です。
第2セットは3-3から、ギアを上げて3連取して何とか振り切ったというところでした。
スビトリナさんは、先のドバイ・デューティ・フリーテニス選手権の優勝の疲れもあったのかもしれません。
左足の足首あたりにテーピングをしていました。
スビトリナさんに疲れがあったとしても、スジョン選手の健闘は大いに讃えたいと思います。
こんな良い選手がいたのかという感じで見ていました。
ジャン・スジョン選手はWTAシングルスランキング148位の韓国の21歳です。韓国のトップ選手です。
3月1日(水)に日比野菜緒さんと戦う予定だったエリナ・スビトリナさんは棄権しました。
やはり、優勝の後遺症なのでしょうか。
テニス|スポーツナビ(http://sports.yahoo.co.jp/sports/tennis/)から
加藤未唯 第2シード破る金星、逆転勝ちで初戦突破<女子テニス> (tennis365.net) - Yahoo!ニュース;http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170301-00010000-tennisnet-spo
加藤未唯がスアレス ナバロを破る金星 [クアラルンプール/女子テニス] (THE TENNIS DAILY) - Yahoo!ニュース;http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170301-00010000-tennisd-spo
追記(2017.3.2.木):加藤未唯さん 2回戦 敗退
加藤未唯さんは、3月2日(木)に行なわれたシングルス本戦2回戦にてアシュリー・バーティ選手に0-6,3-6で負けました。
加藤さんの長所と短所が出た試合だったと思います。
バーティ選手はがっちりした体型でいわゆるパワー系の選手でした。
現時点の加藤さんが苦手とするタイプだと思います。
今日のバーティ選手はサーブが良かったです。
威力だけでなくコントロールも良かったので、このバーティ選手からブレークするのは加藤さんでなくとも難しかったでしょう。
ということになると相手にプレッシャーをかけるためには自分もキープすることが必要だったでしょう。
でも今日の加藤さんはサーブのコントロールがなくほとんどサーブは真ん中に入って、バーティ選手に強打されました。
そんなことで第1セットはチャンスらしきチャンスもなく一方的に0-6で失ってしまいます。
第2セットも序盤は同じ感じでしたが、第4ゲームでやっとサーブを左右にコントロールできるようになり、これにバーティ選手が揺さぶられて思うような強打が出来ず、加藤さんが初めてキープしてゲームを取ります。
これに刺激を受けたのか、第5ゲームはバーティ選手がサーブ主体で40-0のラブゲームでキープし4-1とします。
ここで、「PLAY SUSPENDED DUE TO LIGHTN NG」ということで一時中断します。
再開後は、バーティ選手がブレークして5-1としてサービングフォーザマッチを迎えます。
ここはバーティ選手が少し勝ちを意識して力んだのかサーブが乱れて、加藤さんが初めてブレークしました。
第8ゲームも第4ゲームと同じくサーブを散らして加藤さんがキープをしての5-3です。
バーティ選手は同じ轍を踏まぬとばかりに、2度目のサービングフォーザマッチは集中力を高めてキープし6-3で取ります。
思うに加藤さんが第2セットのようなテニスを第1セットからしていれば、結果はもっと違っていたかもしれません。
第2セットの第4・第8ゲームのようにサーブをコントロールよく散らして揺さぶりをかけキープしていれば、バーティ選手はプレッシャーを感じて第5・第9ゲームのように集中力を高めてキープしなければならなかったでしょう。
そのキープが出来なかっために、バーティ選手に気持ちよく打たせてしまったという感じです。
常に集中力(緊張感)を強要させていれば、パワー系の選手は相対的に器用な選手は少ないので、力んでミスが増えブレークすることも出来たでしょう。
こうなると、課題はキープすること、すなわちサーブのコントロールということになります。
非力な者が強力に対抗するにはコントロールは必須でしょう。否、最低限のことかもしれません。
とはいっても、この大会の2試合で加藤未唯さんの今のテニスがそれなりに見れた(分かった)ので、これからどのように進化するのか楽しみにしたいと思います。
次のWTAツアーの本戦を待っています。
テニス|スポーツナビから
加藤未唯は2回戦突破ならず [クアラルンプール/女子テニス] (THE TENNIS DAILY) - Yahoo!ニュース;http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170302-00010008-tennisd-spo
加藤未唯 ストレート負けでツアー初8強ならず<女子テニス> (tennis365.net) - Yahoo!ニュース;http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170302-00010010-tennisnet-spo
マレーシア・オープンテニスの
HPは
http://www.alyawtamalaysianopen.com/
WTAの表記は
http://www.wtatennis.com/tournaments/tournamentId/1761/title/alya-wta-malaysian-open
シングルスドロー;http://www.wtatennis.com/SEWTATour-Archive/posting/2017/1041/MDS.pdf
ライブスコアは
http://www.protennislive.com/LSHD/main.html?year=2017&wkno=99&eventid=718&tour=2&lang=en&ref=http://www.wtatennis.com
です。
加藤未唯さんの
ウィキペディアは
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8A%A0%E8%97%A4%E6%9C%AA%E5%94%AF
WTAは
http://www.wtatennis.com/players/player/16822/title/miyu-kato
ITFは
http://www.itftennis.com/procircuit/players/player/profile.aspx?PlayerID=100128028
テニス365は
http://news.tennis365.net/news/tour/players/details/index.html?id=women00619
THE TENNIS DAILY テニスデイリーは
http://www.thetennisdaily.jp/player_detail.asp?p_idx=10288
ウィキペディア(英語版)は
https://en.wikipedia.org/wiki/Miyu_Kato_(tennis)
です。
注)断りのない限り表記のWTAランキングは、2017年2月27日(月)現在(ランキングは基本的に毎月曜日に更新されます)です。
鮮やか
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