しかし、この件で温実初の去勢を知った沈眉荘が衝撃で産後、温実初の腕の中で絶命する。
それだけに止まらず、今度は果郡王との私通を疑われそうになった甄嬛は、浣碧を果郡王に嫁がせることでこの窮地を逃れる。
「宮廷の諍い女」のDVDでは、第31巻~第32巻(全37巻)。
第62話「貴妃包囲網」
第63話「運命の後宮裁判」
第64話「朋友の死」
第65話「秘密の切り絵」
☆あらすじ
(62)
横になって安陵容(あん・りょうよう)(安嬪(あんひん))(タオ・シンラン(陶昕然))が宝鵑(ほうけん)に保湿の薬を塗ってもらっている。
その途中、身を起こした安陵容は眩暈(めまい)を起こして失神する。
そのことを崔槿汐(さい・きんせき)が甄嬛(しん・けい)(鈕祜禄(ニオフル) 甄嬛)(熹貴妃(ききひ))(スン・リー(孫儷))に報告する。
甄嬛が安陵容が倒れた原因を聞くと、崔槿汐は氷嬉(ひょうき)の特訓のため節食していて倒れたと言う。
甄嬛は氷嬉によって安陵容が再び寵愛を取り戻そうとしていると察知する。
崔槿汐が甄嬛に対処を尋ねると、甄嬛は安陵容はいずれ自滅すると言う。
氷嬉は幼い頃からの訓練が必要であり、一朝一夕に得られるものではないが、それでも方法があると言う。
それは息肌丸(しょくきがん)という薬をへそに詰めて体内に吸収させれば、機敏に動けまた容貌も手に入るとのことである。
しかし、息肌丸には麝香(じゃこう)が入っているので、それを使用すれば副作用で子が望めない体になるとのことである。
鬧羊花(どうようか)という薬は麝香を解毒する効能があるらしいが甄嬛はそれを否定する。
その息肌丸を皇后は安陵容に渡すのであるが、すでに安陵容は侍医院に所望していたのですぐに使ったとのことである。
甄嬛も皇后も安陵容が身ごもらないということで寵愛を意に介さないとのことである。
安陵容も身ごもらないことを覚悟しての息肌丸の使用である。
氷嬉の祭典の日が来て、安陵容は華麗に舞い滑り、再び雍正帝(ようせいてい)(皇帝)(チェン・ジェンビン(陳建斌))の寵愛を得る。
それに対して、甄嬛は余裕の皇后は満足の表情を浮かべる。
甄嬛たちがその安陵容のしたたかさの噂をしていると、雍正帝がやって来る。
雍正帝は爪爾佳氏(グワルギャし)たちが反対しているので甄嬛と両親ををすぐには会わせられないと言う。
甄嬛はけなげに時期が来るのを待つと言う。
甄嬛と慎貝勒(しんベイレ)(允禧(いんき))が宮中で話しているとこに玉嬈(ぎょくよう)が来る。
慎貝勒は玉嬈を小主と間違えると、玉嬈は気分を害し反論をする。
甄嬛は慎貝勒に玉嬈を妹だと紹介する。
玉嬈が皇帝に嫁ぐ気などなく嫁ぐのに家柄などは関係ないというと、慎貝勒はそういう玉嬈に好意を抱く。
慎貝勒はそのことで気持ちがうきうきし、それを果郡王にも察知される。
温実初(おん・じつしょ)(侍医)(チャン・シャオロン(張暁龍))が甄嬛の元に診察に来て、甄嬛を診察している時に玉嬈が入ってくる。
そうすると、温実初はすばやく手を引っ込める。
それを見た宮女の斐雯(ひぶん)がなにやらしたり顔をする。
そこに蘇培盛(そ・はいせい)が来て、果郡王(かぐんおう)(允礼(いんれい))(17皇弟)(リー・トンシュエ(李東学))が熱を出して寝込んでいると言う。
それを聞いて甄嬛は動揺するが蘇培盛に悟られまいと直ぐに平静を装う。
甄嬛は秘かに温実初に果郡王の診察を頼む。
果郡王の異変を聞いた浣碧(かんへき)があわてて甄嬛の元に来る。
甄嬛はその浣碧に自分はもう果郡王の力になれないので果郡王の看病に行きなさいと言う。
浣碧は急ぎ果郡王の元に行く。
浣碧は甲斐甲斐しく果郡王の看病をする。
そのお陰で目覚めた果郡王は、目の前の者を見て甄嬛だと思うのだが浣碧だったので少しがっかりする。
果郡王は浣碧に礼を言って、甄嬛の元に戻れというが、浣碧は果郡王が回復するまで看病すると言う。
果郡王は浣碧の意を尊重して好きなようにさせる。
甄嬛が崔槿汐(さい・きんせき)と祺貴人(ききじん)の話や玉嬈とおしゃれの話をしていると、そこに江福海(こう・ふくかい)が来て皇后(エイダ・チョイ(蔡少芬))の呼び出しを伝える。
甄嬛が皇后の元に行くと妃嬪(ひひん)が集まっていて、祺貴人が甄嬛を訴えるとのことである。
祺貴人の訴えは甄嬛が私通をしているとのことであった。
甄嬛は内心大いに動揺するが、皇后のその相手はという問いに祺貴人が答えたのが「温実初」であったので、甄嬛は大いにほっとする。
祺貴人はその証拠として、入宮前に温実初が甄嬛に結婚を申し込んでいたことを挙げる。
祺貴人はその証人として元甄家の使用人であった玢児(ひんじ)をひきだす。
玢児は躊躇しながらも祺貴人に脅されて温実初が甄嬛に結婚を申し込んだことを話す。
甄嬛が温実初に情がないことを訴え、端妃(たんひ)や敬妃(けいひ)が情があれば人目を忍ぶものだと言って弁護するので、祺貴人は新たな証人として甄嬛の宮女の斐雯(ひぶん)を呼び出す。
皇后の問いに、斐雯は甄嬛と温実初の二人が何やら曰くありげに見詰め合っていたと証言する。
そして、温実初は着物をまくって下着の笹の葉の刺繍(ししゅう)のある袖口を見せていたと言う。
その話を聞いて皇后は真相を究明するために、江福海に温実初を連れてくるように命じる。
江福海に皇后の元に連れて来られた温実初の袖口には笹の葉の刺繍があった。
それを見て祺貴人が甄嬛の宮では自分の家のように服を脱ぎかねないと揶揄すると、温実初は自分の不注意であったと弁明する。
祺貴人は温実初に甄嬛とはただならぬ仲だと畳み掛ける。
(63)
甄嬛(しん・けい)が皇后の許可を得て斐雯(ひぶん)を問いただすと、斐雯はしどろもどろになる。
その斐雯の様子から端妃(たんひ)と敬妃(けいひ)は斐雯の話は魂胆あってのことなので信用できず黒幕がいると言う。
そこにこの事態を知った雍正帝(ようせいてい)がやって来る。
雍正帝が事の次第を問うと、祺貴人(ききじん)が雍正帝に歩みよっで、甄嬛(熹貴妃)が私通を働いたと訴える、
それを聞いた雍正帝は怒って祺貴人にびんたをくらわす。
祺貴人の申し立てに皇后が助け舟を出したので、雍正帝も祺貴人の言い分を聞くことにする。
そうすると祺貴人は甘露寺(かんろじ)で甄嬛と温実初(おん・じつしょ)が秘かに会っていたことの証人として甘露寺の尼僧を呼んでいると言う。
一方、葉濶依(よう・らんい)の宮女から甘露寺の尼僧が私通の証言に立っていることを聞いた玉嬈(ぎょくよう)たちは反論するための証人として莫言(ばくげん)を呼び出すために奔走(ほんそう)する。
その途中で玉嬈たちとすれ違った慎貝勒(しんベイレ)は何事かと驚く。
証人として出廷した甘露寺の尼僧とは静白(せいはく)であった。
静白は甄嬛と温実初が頻繁に会っていたと証言する。
葉濶依(よう・らんい)は頭痛がするといって退席しその折に静白に奉納する灯篭(とうろう)の重さを聞く。
静白の証言を得て祺貴人は甄嬛と温実初の淫らな関係をまくし立てる。
祺貴人を始めとする皇后一派は甄嬛の私通を、甄嬛一派は甄嬛の無実を、雍正帝に訴えるがどちらも確たる根拠はない。
そこで、祺貴人が拷問を提案する。それに甄嬛や蘇培盛(そ・はいせい)はそれとなく反対する。
崔槿汐(さい・きんせき)はそれで無実が晴れるなら進んで拷問を受けると言う。
そこに慎貝勒(しんベイレ)が入ってきて、甄嬛を擁護する。
いずれにしても埒が明かないので、皇后が雍正帝と弘膽(こうたん)(第六皇子)の血液を調べることを提案する。
それは安陵容(あん・りょうよう)によれば、「水の入った器に2人の血を滴らせ、混ざり合えば2人は実の親子であり、混ざらねば親子ではない」とのことである。
雍正帝の体を傷つけることははばかれるので、甄嬛は温実初と弘膽の血で調べることを提案する。
雍正帝はその提案を受け入れ、蘇培盛に弘膽を連れてくることを命じ、検査の準備を皇后に命じる。
絵春(かいしゅん)は針と水を持ってくる。
弘膽が連れてこられたので弘膽の指を針で突いて水の中に血を垂らす。
続いて、同様に温実初の血を垂らす。
それを雍正帝が見ると、血が混ざり合っているので、雍正帝は激怒して数珠を床に叩きつける。
皇后は勝ち誇ったように、甄嬛を冷宮送りにし、弘膽を捨て去り、温実初を死罪にすることを命じる。
雍正帝は一回りして甄嬛の前に立ち、甄嬛の顎(あご)を右手で鷲掴み(わしづかみ)にし、裏切ったと罵る。
敬妃が雍正帝に嘆願するが、雍正帝は敬妃を左手で払いのけ、混ざった血を見てみろと甄嬛を投げ捨てる。
甄嬛はその混ざった血を見て、水に問題があると言って、蘇培盛を捕まえその血を垂らす。
そうするとやはり混ざった。
崔槿汐も自らの血を垂らすとそれも混じった。
温実初はその水を舐めて、この水には明礬(みょうばん)が入っていると言う。
温実初によると、「明礬を加えれば血縁なくとも混じり合い、父子であっても清油を加えれば混じりません」とのことである。
雍正帝は皇后が水を用意したので、皇后を疑う。皇后は必死に弁明する。
甄嬛はここぞとばかりに皇后の非道を雍正帝に哀願する。
今度は蘇培盛が水を用意してくる。
そこで再度、弘膽と温実初の血を垂らすと、今度は混じりあわない。
それを見て皇后は落胆し、甄嬛は安堵する。
雍正帝は甄嬛を立たせ、謝る。そして、二度と疑わぬと言う。
雍正帝が祺貴人に言う事はあるかと聞くと、祺貴人は悪あがきをしてそれでも不義の証人がいると言う。斐雯も静白も必死になって不義の申し立てをする。
そこに葉濶依が莫言を連れてきて、静白の悪事を雍正帝に告げる。
悪事のばれた静白は安陵容の提案で舌を切られることになった。
甄嬛は玢児(ひんじ)が祺貴人に強要されて偽証されたというのを受け、黒幕がいると雍正帝に訴える。葉濶依もそれに同調する。
そこで、甄嬛は祺貴人に黒幕の正体を明かせば命を助けると言うが、祺貴人は甄嬛憎しの自分の独断であると言う。
皇后は純元皇后を出して雍正帝の温情に訴えるが、雍正帝は無視して水のことを問う。
そうすると絵春が自分の不注意で明礬を入れてしまったというので雍正帝は絵春を慎刑司(しんけいし)送りにする。
事態を宮で心配している沈眉荘(しん・びそう)(恵嬪)(ラン・シー(斕曦))の元に安陵容の宮女の宝鵲(ほうしゃく)が来て、甄嬛が祺貴人に温実初との私通を訴えられていると言う。
沈眉荘は采月(さいげつ)が止めるのも聞かず現場に行くと言う。
雍正帝は祺貴人を冷宮送り、貞嬪(ていひん)と康常在(こうじょうざい)を半年の減俸とし、後の処罰は甄嬛に委ねる。
甄嬛は崔槿汐に玢児と莫言を連れていかせ(つまり釈放)、斐雯と静白を死罪とする。
甄嬛は子に対する流言に怒りを表す。
(64)
静白(せいはく)の舌まで甄嬛(しん・けい)から与えられ進展きわまった祺貴人(ききじん)は温実初(おん・じつしょ)をお前は間男だと罵り、雍正帝(ようせいてい)の憐憫(れんびん)を請う。
だが、雍正帝は一顧だにせず祺貴人を冷宮送りとする。
祺貴人にだけではなく安陵容(あん・りょうよう)にまでもお前の情はいずれ誰かを滅ぼすといわれた温実初は、雍正帝に身の潔白を証明すると言って退出する。
雍正帝はこの騒動で皇后に不信感を持ち、皇后に引退を命じ、甄嬛に後宮の管理を任せ、端妃(たんひ)と敬妃(けいひ)を補佐役に命じる。
そこへ身重の沈眉荘(しん・びそう)が甄嬛の身を案じて景仁宮(けいじんきゅう)にやって来る。
その沈眉荘を追い越して小厦子(しょうかし)が雍正帝に緊急の報告をする。
それは温実初が自ら去勢をして命すら危ないというものだった。
それを聞いた沈眉荘はその場に崩れ落ちる。
その衝撃で沈眉荘は産気づく。
甄嬛と安陵容が沈眉荘を心配して碎玉軒(さいぎょくけん)にきている。
沈眉荘がこのような事態になったのも安陵容の侍女の宝鵲(ほうしゃく)が沈眉荘に甄嬛の審判のことを知らせたからということで、甄嬛は安陵容を責める。
安陵容は故意ではないと弁明するが、甄嬛は安陵容に平手打ちを食わせ、沈眉荘母子に何かあれば安陵容を絶対に許さないと言う。
安陵容は宝鵲を呼んで、殴打叱責をするという猿芝居をしていると、そこに雍正帝が来て、宝鵲に死罪を命じる。
その雍正帝のところに侍医が来て温実初が一命を取り留めたと報告する。
お産を診ている侍医の衛臨(えいりん)が来て沈眉荘母子の命が危ないというが、沈眉荘は温実初が見ていたため体質が分からないため薬の処方が出来ないと言って、温実初ならその薬の処方の指示を出せると報告する。
甄嬛の口添えもあって雍正帝は温実初に沈眉荘を診させる許可を出す。
担架で碎玉軒に運ばれた温実初は弟子の衛臨に薬の処方を教える。
その介あって沈眉荘に公主(女の子)が生まれる。
しかし、沈眉荘は体が弱っているが故に面会謝絶ということで雍正帝は甄嬛の申し出もあり一端引き上げる。安陵容が雍正帝の供をする。
甄嬛はほっとする。
そこに宮女がやって来て沈眉荘が多量の出血をしたと言う。
甄嬛があわてふためいて沈眉荘の元に行くと、温実初が治療の必要はないと言う。
それを聞いて甄嬛は沈眉荘を救えないと皆を死罪にすると激怒する。
自らの死を悟った沈眉荘は甄嬛と温実初だけに話がしたいと言う。
その他の者は皆、退出する。
沈眉荘が温実初に子を抱いて欲しいということから、甄嬛は沈眉荘の子が雍正帝との子ではなく温実初との子であると知る。
死に行く者として沈眉荘は温実初に愛の強要をする。
心優しい温実初は沈眉荘に想いがあったと言う。
温実初は沈眉荘の願いとして子を抱く。
そして沈眉荘は甄嬛に子の名を「静和(せいわ)」として欲しいと言う。
沈眉荘は子を甄嬛と温実初に託して、温実初の腕の中で息を引き取る。
碎玉軒を崔槿汐(さい・きんせき)に支えられてうつろな表情で退出する甄嬛は、門のとこで耐えかねたように慟哭(どうこく)する。
沈眉荘の葬儀がしめやかに行なわれる。
葬儀に参列していた慎貝勒(しんベイレ)の袖口がほどけているのを見た玉嬈(ぎょくよう)はその袖口を繕う。
静和公主は甄嬛が養育することになった。
甄嬛は衛臨に温実初のことを聞くと、酒びたりの毎日であると言う。
甄嬛は衛臨を自分の侍医に指名する。
雍正帝から玉嬈に海棠(かいどう)のかんざし一対が贈られる。
安陵容は宝鵲(ほうしゃく)を死罪にされたので、甄嬛と沈眉荘に怨み言を言いながら自棄酒(やけざけ)を飲む。
雍正帝は玉嬈が装飾品は嫌いということで海棠のかんざしを受け取らないので、代わりに玉嬈が喜ぶ崔白(さい・はく)の絵である「秋浦蓉賓」を与える。
如意館から「秋浦蓉賓」をもらって帰る途中で、慎貝勒と出会い絵のことで意気投合する。
甄嬛に呼ばれた温実初が甄嬛の元に来ると、甄嬛は温実初に静和を抱かせる。
そして酒を控えるように言う。
温実初は沈眉荘の悲しみが忘れられないので3年間の喪に服すと言う。
失墜した皇后は安陵容に望みを託す。安陵容も甄嬛憎しでその期待に答えると言う。
甄嬛の元に来た雍正帝が話のはずみから浣碧(かんへき)を娶(めと)ると言う。
(65)
雍正帝(ようせいてい)が浣碧(かんへき)を側福晋(側室)にすると言うと、浣碧は私には意中の人がいると言って辞退する。
雍正帝は甄嬛(しん・けい)が元気がないのでからかったまでだと言う。
皇太子の話になって、雍正帝は弘膽(こうたん)を跡継ぎにしたいというが甄嬛はやんわりとそれは危険なことだと言う。
そして皇后の子の弘時(こうじ)には縁談を考えると雍正帝は言う。
(つまり、弘時は実質的に後継者争いから脱落ということ)
雍正帝は甄嬛の私通の件を皇太后に報告し、皇后も一枚噛んでいたと言う。
それに対して、皇太后は皇后を擁護して罪を問うてはいけないと言う。
玉嬈(ぎょくよう)が甄嬛に皇宮は退屈だと言っていると、そこに雍正帝が来る。
そんな玉嬈に雍正帝は円明園で弓比べがあって慎貝勒(しんベイレ)も来るから退屈なら来いと言って招待する。
円明園での宴会の席で、果郡王(かぐんおう)は香り袋を落としてしまう。
それを雍正帝が目に留める。
その中には、あの梅園での甄嬛の切り絵が入っていた。
それを見て敦親王(とんしんのう)は甄嬛(熹貴妃)に似ていると言う。
甄嬛は否定し葉濶依(よう・らんい)は玉嬈(ぎょくよう)ではないかと言う。
しかし、葉濶依の説明は切り絵が古い物ということで雍正帝に否定させる。
雍正帝が甄嬛に疑いを持ち出したので、ここですかざず浣碧が釈明をする。
それは、わたしだと。
自分が切り絵を作って入れたと言う。
葉濶依の援護もあって、浣碧が果郡王に情があるということになる。
そうなると、この間の浣碧が意中の人がいると言ったことから、雍正帝は納得する。
そこで、浣碧の想いを成就させるために、果郡王に浣碧を与えることを決める。
甄嬛は浣碧の待遇を良くするために、浣碧を自分の義妹として嫁(とつ)がせることを申し出る。
果郡王は自分にはいっしょに成れなかったけど心の妻がいるといって辞退するが、甄嬛の意見を入れ、浣碧を鈕祜禄(ニオフル)家の次女として果郡王の側福晋とする。
浣碧は瓢箪から駒という感じで、果郡王といっしょになれるので雍正帝に感謝する。
浣碧が酔い覚ましのため甄嬛を宴の席から連れ出しと、果郡王が追いかけてきて未練を言う。
そんな果郡王に甄嬛は、浣碧は本当の妹だからこれからは浣碧だけを見て欲しいと言って、最後の別れをする。
そんな果郡王に雍正帝は沛国公(はいこくこう)の娘の孟静嫻(もう・せいかん)をも娶(めと)れと言う。
孟静嫻は果郡王との縁談があってから、ずっと一途に果郡王のことを思っていて、今回の婚礼のことを聞いて病になったとのことである。沛国公から雍正帝に娶って欲しいとの上奏文が届いているとのことである。
果郡王は辞退するが、これは政治だといって命じるので、果郡王は渋々受け入れる。
その代わりとして、果郡王は縁談はこれっきりにして欲しいと願い出ると、雍正帝は了承する。
浣碧は鈕祜禄家の次女として、新たな名が与えられ、浣碧は玉隠(きょくいん)の名を選ぶ。
玢児(ひんじ)が浣碧の侍女となる。
甄嬛はやっと両親と会うことが出来た。
お互い礼を尽くし、無事に再び会えたことを大いに喜ぶ。
浣碧が果郡王に嫁ぐことを伝えて喜び合う。
甄嬛は浣碧にはなむけの言葉を贈り、「お前も甄一族を担う立場なのよ。果郡王の側福晋としてね」と言う。
永寿宮(えいじゅきゅう)から浣碧は盛大に果郡王の元に送り出される。
果郡王邸では婚礼の宴会が開かれる。
果郡王は自棄酒(やけざけ)で酔いつぶれ、阿晋(あしん)に初夜をどっちにするかと聞かれ、浣碧を選ぶ。
孟静嫻は諦観したようなため息をつく。
浣碧は泥酔して寝ている果郡王の側で幸せに浸る。
☆所感
ここに来て果郡王(かぐんおう)の子を雍正帝(ようせいてい)の子と偽って皇宮の権力を簒奪(さんだつ)している甄嬛(しん・けい)に、悪の因果応報が降りかかってくる。
それまで、甄嬛を助けていたものが次々と甄嬛の元から離れていくいう運命に遭遇する。
崔槿汐(さい・きんせき)は蘇培盛(そ・はいせい)の元へ、沈眉荘(しん・びそう)は黄泉の国へ、温実初(おん・じつしょ)は宦官(かんがん)の世界へ、浣碧(かんへき)は果郡王の元へ、玉嬈(ぎょくよう)は慎貝勒(しんベイレ)(允禧(いんき))に惹かれていく。
そうして甄嬛一人になっていく。
というような何かしら物悲しい感じにもなりますが、そういうことはセンチメンタリスト(感傷主義者)の考えることであって、甄嬛の考えることではないです。
これは甄嬛の壮大な女による皇宮支配の一手なのです。
この世界の支配者の雍正帝は甄嬛が操り、その雍正帝の最も身近で信頼する蘇培盛は崔槿汐が操り、雍正帝の皇弟である果郡王は異母妹である浣碧が操り、同じく皇弟の慎貝勒は同じく妹の玉嬈が操るということである。
こうして皇族に甄嬛の手の者が入り込むことによって、その皇宮における情報を支配しようということである。
いち早く情報を入手することによって、その全体像を把握して最適な処置を行なうということである。
甄嬛は良く知っているのである。
情報を持ったものが世界を動かせるということを。
ここらへんは、この皇宮で色々な策謀に翻弄されて身に付けた一つの知恵でもあるろう。
そうして将来も皇宮を支配するために、我が子をその手中に治める。
手元には、弘暦(こうれき)(第四皇子)(血縁関係なし)、弘膽(こうたん)(第六皇子)(果郡王との子)、霊犀公主(れいさいこうしゅ)(果郡王との子)、静和公主(せいわこうしゅ)(沈眉荘と温実初の子)、そして朧月公主(ろうげつこうしゅ)である。
甄嬛はこれらの子を将来には自由に使い皇宮支配をすることができる。
本当の雍正帝との子である朧月公主は敬妃(けいひ)の元にいて手元にいないというのもこれまた運命の皮肉である。
正に甄嬛の家族(親子)は嘘で固められた家族である。
まぁ、支配階級の家族って大体こんなものかも知れませんね(笑)
それも一つの愛の形といえばいえないこともないかも・・・
策謀といえば、祺貴人(ききじん)は甄嬛追い落としが惜しかった。
私通ということは的を得ていたのであるが、甄嬛の相手を温実初としたのが、いかにもこの祺貴人らしい浅はかさであった。
確かに、温実初と甄嬛が通じているならば、敬妃や端妃が言うように人目を忍ぶであろう。
どうやっても死罪になるような大罪なのだから、腹心でもない宮女が目に付くようなとこでいちゃいちゃするはずがない。
おそらく祺貴人は恋したことなどないだろうから、そういう男女の機微など分からないであろう。
甄嬛は始め祺貴人に私通で告発された時は、ほんと肝が冷えたであろうが、その相手を祺貴人が温実初と言った時はおそらく腹の中で笑ったであろう。
これで祺貴人並びにその黒幕である皇后を追い詰める絶好の機会が到来したであろうから。
温実初とは絶対に関係がないのだから、ここはどんどん強気でいけるわけである。
ほんと愚かである。
葉濶依(よう・らんい)などは果郡王の状態を見ただけで、そんなに知らない甄嬛を怪しいと思ったのだから、ここらへんの恋愛も賢さも持ち合わせていない祺貴人とでは月とスッポンである。
皇后はこれだけでは甄嬛を陥れることは出来ないと分かっていたからこそ、血縁関係を示すために水に明礬を仕込んだのだろう。
雍正帝と弘膽(こうたん)なら血が交じり合わないように清油を入れ、今回は温実初と弘膽だから交じり合うようにしたということであろう。
ここらへんは、甄嬛の勢力拡大を止める手立てがない焦りから、賭けに出たともいえるだろう。
そういう焦りがなければ、もう少し慎重にことを運んでいたであろう。
玢児(ひんじ)や斐雯(ひぶん)や静白(せいはく)などの身分の低い者の証言で、貴妃(きひ)という身分の高いものが陥れられるなら皇宮の権威も何もあったものではないと言えよう。
おそらく、皇后の狙いは、雍正帝の心に甄嬛への疑念を抱かせ、血液検査をさせることが目的であり、そこででっち上げを行なうことであったのであろう。
しかし、そこは甄嬛には温実初とは何も関係がないという確信があったが故に水を見破られて頓挫したということになってしまった。
この私通が果郡王ということだったら、甄嬛は確実に動揺して水を見破れなかっただろう。
この甄嬛への弾劾で意外にも葉濶依が甄嬛に味方するのである。
とはいってもこれは甄嬛にではなく果郡王にであるけど。
もしこのことで、甄嬛が罰を受け冷宮送りなどになると、果郡王が甄嬛を助けるために何をするか分からなくなり、そうなれば果郡王を失うことにもなりかねない。
甄嬛を守ることはつまり果郡王を守ることである。
この葉濶依の果郡王への愛は凄(すさ)まじいばかりの忠義愛といえるだろう。
いくら一度命を助けられたとはいえこれは壮絶すぎるほどのものである。
正に、葉濶依の果郡王への愛は私利私欲のない果郡王の幸せを願っての愛である。
この葉濶依の潔い愛に比べたら、温実初も果郡王もいつまでも甄嬛を諦められない己の幸せを求める私利私欲に満ちた女々しい愛といえる。
この二人の女々しい愛によって甄嬛は危機に立つのである。
温実初がそのような素振りを見せるからこそのこの祺貴人の訴えであったのだろう。
その温実初も甄嬛との私通の潔白を晴らすためということで、自ら去勢をした上に、沈眉荘(しん・びそう)の死の床で甄嬛がいる前にて本心でないとはいえ沈眉荘に愛を告げる。それ故に、沈眉荘の子が温実初の子であるということも露見する。
これで、もう温実初はその道義から甄嬛への愛を云々することは出来なくなった。不義の罪とは温実初によく当てはまるだろう。
そんな温実初に対して沈眉荘が死の床で、私に少しでも心があった、というようなことを聞くのであるが、これなどは死の床にあってさえも沈眉荘のしたたかさが見えるということである。
沈眉荘が本当に温実初のことを愛しているのなら、死の床でそんなことを聞かないだろう。
そんなことを聞いたら、温実初が苦しむだけだろう。
実際、その後の温実初は酒びたりになってしまう。
本当に温実初を愛していたならば、黙ってそのまま死につくか、言っても「ありがとう」くらいだろう。
これは温実初にではなく甄嬛に言っているのだろう。
ようするに子を守りたいということなのである。
そのまま雍正帝の子となってしまえば、沈眉荘の最大の目的である雍正帝への復讐がなされないからである。
ここは、甄嬛に事実を伝えて我が子を甄嬛の庇護の下に育ててもらってこそ、その復讐がなるということである。
だから、生前は甄嬛に自分の子が温実初の子だと言っていないのにここでそれをばらすということである。
沈眉荘がお産後生きていれば、おそらく我が子を温実初の子だとは明かさなかっただろう。
温実初に託しても復讐は果たされないと分かっているからこその、甄嬛への伝達であろう。
温実初を本当に愛していたならば、温実初とのみの話をするだろう。
沈眉荘が温実初と関係があったということが甄嬛に分かったら、もう温実初は甄嬛に愛を語れなくなるということなのだから、温実初に愛があるなら甄嬛にはそのことは黙っているはずである。
ここでもまた温実初は沈眉荘の手駒であったということだろう。
ほんと権力ということでは全く無力な温実初である。
甄嬛への愛といえば、未練たっぷりの果郡王も同じである。
果郡王は甄嬛にとっては爆弾の導火線のようなものである。
今回でも、あの梅の切り絵がふとしたことから、雍正帝の目にとまり、その切り絵が甄嬛と似ているということで窮地に立ってしまう。
ここは浣碧(かんへき)が気をきかして、その切り絵は自分が果郡王に贈ったものであるということで難を逃れたのであるが、こんな果郡王の言動は危険極まりない。
そこで甄嬛は、果郡王を監視するために浣碧を側福晋(側室)として送り込んだというところだろう。
ともかく、事が露見したら甄嬛だけではなく一族郎党が死罪になるのだから、甄嬛としては果郡王の軽はずみは用心しなくてはならない。
極端なことを言うと死に追いやる必要さえあるかもしれない。
そこらへんは、今回の温実初の騒動でもはっきりしているのである。
雍正帝は必ずしも全面的に甄嬛を信用しているわけではないのである。一度、疑心暗鬼になるとそれは止まることはない、それが権力というものである。
温実初に安陵容が言った「あなたの情は-誰かの命取りになってしまう」は、また果郡王にも当てはまるのである。
それにしても、甘露寺(かんろじ)の静白や莫言(ばくげん)がまた登場するとは思ってもいませんでした。
静白というのは、元々祺貴人(ききじん)と何か近づきがあったのだろうか。
その浅はかさはどうしようもないものがある。
少しは勝算のある戦いをするべきでしょう。とはいってもう死罪になったので手遅れではあるが。
坊主憎けりゃ袈裟まで憎い(http://kotowaza-allguide.com/ho/bouzunikukerya.html)、というようなことわざがあるのは、仏に仕える身ながらこの静白のような心の狭いいじわるな宗教者がそれなりにいるということなのだろう。
さしずめ、虎の威を借る狐になぞらえるならば、仏の威を借る静白(坊主)、というところだろう。
雍正帝が冗談で浣碧を側室にしたいというのであるが、これは本心であろう。
甄嬛の妹である浣碧や玉嬈(ぎょくよう)に心が動いてもおかしくはない。
しかし、さすがに甄嬛の手前、浣碧や玉嬈には手を出せないということだろう。
甄嬛がいなくなれば、まちがいなく触手が動くということになるが。
葉濶依の例でも分かるように、雍正帝が気に入ったらそれに抗(あらが)うことはできないのだから。
現状では、浣碧や玉嬈に手を出したら甄嬛を失うということになるので、そんな愚かなことはしないのであるが。
あと、ちょっと驚いたことが2つほどあります。
ひとつは安陵容が氷嬉(ひょうき)(スケート)で寵愛を取り戻したことです。
まさか、氷嬉とは・・・
この物語ではいままで一度もそういう話は出てこなかったからそんなものがあったのかと思いました。
しかし、安陵容がこれを習得するには甄嬛のいうように幼い頃からの訓練が必要で、安陵容のような年齢および体力では難しいといえる。
そこで安陵容は息肌丸(しょくきがん)という薬物を使う訳です。
甄嬛に言わせると「機敏に動け光り輝くような容貌を手にする」ことができるそうです。
でも、それには麝香(じゃこう)が含まれていて、子を産めない体になるとのことです。
この息肌丸を使うということは、今のスポーツ界で言えば、ドーピングということです。
そこで、薬物の使用に関してわたしなりの見解をここで書いておきたいと思います。
理論的理想的には、薬物の使用は可とします。
己の能力を向上させるためには、いかなる方法を用いてもいいと思うからです。
特にプロならそれを試みるのは当然だと思います。
この安陵容の例でも分かる通り、より素晴らしいプレーを見せることは出来るからです。
しかし、実践的現実的には以下の2つの大きな問題があってそれをなすことが不可といっていいでしょう。
1、意志の確認
2、薬物の作用・副作用
この二つが特に厄介なのはそれが明確には目に見えないものだからです。すなわち数値化できない事柄です。
意志の確認とは、本人がそれを明確に納得して受け入れるかということです。
これははなはだ難しいでしょう。
やはり、リスクを負うと分かっていることをするのは、ある程度の精神状態の不安定な時でしょう。
その時は肯定しても1週間後、1ヶ月後、1年後にはどうなるか分かりません。
また、その意志の確認をする年齢も定かではありません。
法的には成年であっても、その判断能力は果たしてあるのかは分かりません。
薬物の作用・副作用は、これもとても曖昧です。
特に副作用は曖昧の極めです。
仮に副作用が分かっていても、それ以外の副作用がないとはいえないし、その副作用の加減も人によって違うでしょう。
それよりも一番問題なのは、身体や精神に異常が出ても、その薬物との因果関係がいまの科学では証明できないことでしょう。
ということは、その薬物によって将来その身体や精神に何が起こるか分からないということになります。
そういうことを考えると、実践的現実的には危険と思われる薬物は禁止せざるをえないでしょう。
そうでないと、おそらく本人というより周りの人間によって、本人の身体および精神がぼろぼろになってしまうでしょう。
例えば、親が幼い子に本人に黙って投与したり、またスポンサーやスタッフが本人に黙って投与することは十分考えられます。
その事によって、親やスポンサーやスタッフは大いなる利益を得るからです。
本人の将来がどうなろうと、その時その時で利益を上げればいいのです。
本人は使い捨てとなります。
また、薬物が解禁になると(悪徳な)製薬会社が大きな利を得るためにろくな検証もしていないとんでもない薬物を出回らせるでしょう。
そして、本人がどのような状態になっても(悪徳な)製薬会社は見て見ぬ振りをするでしょう。
この安陵容の例でも皇后(や甄嬛)が安陵容に息肌丸を奨めることによって利を得ます。
また、安陵容は一応己の意志でこの息肌丸を使うのであるが、この時の安陵容はいわば捨て鉢の状態です。
あの美声があったらこのようなことは願わないでしょう。
新たな寵愛を得なければ、もう安陵容はこの後宮で生きる術はないのです。
生ける屍が生き返るための最後の手段がこの息肌丸なのです。
だから、これまたこの後宮で生きるためには致命傷になるであろう子を身ごもれないということをも選択するのです。
ともかく、この安陵容の場合は、本人の意志が確認でき、薬物の作用・副作用も分かっているという特殊な例だといえます。
しかし、これは安陵容が(過ちだったと)後悔しないという保証ではありません。
ということで、現時点ではわたしは薬物の禁止はいたしかたないことだと思います。
もっと科学が発達して、作用・副作用およびその薬物の因果関係がはっきりすれば使用可能になるかも知れません。
そうなると、本当に人間業とは思えないような神業プレーも見れるかもしれません。
まぁ、そういうことは薬物ではなくアンドロイド化でも起こるかもしれませんが(笑)
もうひとつは貴妃という皇后に次いで位の高い甄嬛が、自分の宮女に告発されることである。
こういうことが許されるのであろうか。
小主が自分の使用人である宮女ごときの証言にて嫌疑をかけられるなら、小主の地位もあったものではないし、宮女なども使うことができないといえる。
甄嬛の家の使用人である玢児(ひんじ)や甄嬛の宮女である斐雯(ひぶん)が甄嬛の告発の証人になるなどありえないと思うのであるが。
華妃への弾劾は、同じ小主である曹貴人(そうきじん)の告発があったので成立したのであって、華妃の宮女などの告発では成り立たないだろう。
本来なら、斐雯が甄嬛を告発した時点で斐雯は死罪とならなければならないだろう。
宮女が自分の主である小主を訴えるようなことが横行したら上下関係も忠義もあったものではないだろう。
本来なら成り立たないことが成り立つということでは、雍正帝も甄嬛を疑っていたということだろう。
皇帝はそのものが法だから、皇帝が白といえば白であり黒といえば黒である。
宮女が掟破りをしても雍正帝は真相を知りたがるだろうということを読んでの皇后の策謀なのだろう。
ところで宮女といえば、宮の扉の前に宮女がいつも立っているが、あの宮女たちに内緒話など聞かれたりしないのだろうか。
あの宮女たちは耳をふさがれているのだろうか。
ここらへんからも宮女の証言は証言として意味をなさないということなのだろう。
☆会話(引用)
安陵容の氷嬉に関連して暗躍する甄嬛と皇后(62)
崔槿汐(さい・きんせき)(甄嬛の掌事宮女(じょうじきゅうじょ))
「安嬪が倒れたとか」
甄嬛(しん・けい)(熹貴妃(ききひ))
「侍医を遣わせた?」
崔槿汐
「はい」
「でも安嬪が中に入れさせません」
「宮女によると安嬪は過度な節食により倒れたとか」
甄嬛
「なぜ節食なんて?」
崔槿汐
「密かに氷嬉(ひょうき)を特訓しているようです」
甄嬛
「寵愛を取り戻そうとしているのね」
崔槿汐
{うん}
甄嬛
「清(しん)の歴代の皇帝は氷嬉を愛し毎年、催しを行なっている」
「氷嬉は騎馬射術などと並んで代表的な文化だわ
先帝の侍衛には氷嬉を訓練し高官に就いた者も」
崔槿汐
「どう対処するおつもりで?」
甄嬛
「必要ないわ、いずれ彼女は自滅する」
崔槿汐
「自滅?」
「私めには、よく分かりません」
甄嬛
「氷嬉は幼い頃の訓練が必須よ
それに舞の機敏さと柔軟さも求められる
一朝一夕では習得できない」
「長年、厚遇を受ければ機敏に動くことは難しいから
節食するしかない」
崔槿汐
{うん、うん}
「お見それしました」
甄嬛
「容貌を損なう恐れもあるのによほど焦っているようね」
崔槿汐
{うん}
甄嬛
「でも方法ならある」
「誰かが教えれば彼女も喜ぶはずよ」
崔槿汐
「ならば伏せませんと」
甄嬛
「わざと知らせるのよ」
「漢(かん)の趙飛燕(ちょう・ひえん)が舞で成帝(せいてい)の寵愛を得た時は
息肌丸(しょくきがん)という薬の力を借りた」
「へそに詰めて体内に吸収させれば
機敏に動け光り輝くような容貌を手にする」
「だけど中には麝香(じゃこう)が入っているわ」
崔槿汐
「麝香を使えば身ごもりません
たとえ身ごもったとしても早々に流産するでしょう」
「香に詳しい安嬪ならすぐに気づくはずです」
甄嬛
「隠す気もないわ
使うかどうかは彼女次第よ」
崔槿汐
「何でも鬧羊花(どうようか)は麝香を解毒する効能があるそうです」
「安嬪は知っているでしょうか」
甄嬛
「本当に効くのなら皇后まで上り詰めた趙飛燕が子を宿してもよさそうなはず」
崔槿汐
{うん、うん}
甄嬛
「まあいいわ
気兼ねなく息肌丸を使えるものね」
・
・
・
皇后
「息肌丸を安嬪に渡したの?
剪秋(せんしゅう)(皇后の侍女)
「すぐに使っていました」
皇后
「素直だわね」
剪秋
「娘娘(じょうじょう)が届ける前に侍医院に求めたそうですよ」
皇后
「子を宿したくないようね」
剪秋
「こちらの手間が省け好都合かと」
皇后
「そうね、子がなせぬなら安心だわ」
自らの死を悟った沈眉荘は温実初に愛を求め、その愛に応えようともがく温実初(64)
沈眉荘(しん・びそう)(恵嬪(けいひん))
「嬛」
甄嬛(しん・けい)(熹貴妃(ききひ))
「眉荘さん」
沈眉荘
「泣かないで」
「あなたと話がしたいの」
「人払いしてくれるかしら」
甄嬛
「出ていて」
沈眉荘
「温実初はー残って」
{甄嬛と温実初以外は出て行く}
「私の子は?」
「こんなに小さい
弱々しいわ」
甄嬛
「でも、すぐに大きくなる
弘膽(こうたん)や霊犀(れいさい)のように」
「眉荘さん」
「陛下は無事を祈り、あなたを妃に封(ほう)じたわ」
沈眉荘
「熹貴妃になったあなたはどうなの?」
甄嬛
「・・・」
沈眉荘
「寵愛を一身に受ける貴妃なのに喜びは感じられない」
「だったら妃なんてうれしくも何ともない」
甄嬛
「位など気にしないのよね」
「でも子の将来は母の身分に関係するのよ」
沈眉荘
「私の子は身分など気にしやしない」
甄嬛
「・・・」
沈眉荘
「実初
子を抱いてくれた?」
「抱いてちょうだい」
甄嬛
「・・・」
温実初
「抱くなど-恐れ多い」
甄嬛
「・・・」
沈眉荘
「やはり私のことを責めているのね?」
温実初
「・・・」
「あの晩は-私めの過ちでもあります」
沈眉荘
「今日、去勢したのも自分を責めているからなの?」
「分かっている
私が憎いのよね」
「あの日、皇太后が-
私と陛下に与えた酒をあなたに勧めたせいで
あなたをこんな目に遭わせた」
甄嬛
「眉荘さん
どうして、そんな」
沈眉荘
「私は死にゆく者よ、怖がる必要がある?」
「一夜限りの過ちでも本望だわ」
「この生涯に心残りはない」
「嬛、あなたと実初だけが私の心の友だったわ」
「実初はあなたを愛していた」
{甄嬛、涙}
「彼が私によくしてくれたのは、あなたのためよ」
{沈眉荘、涙}
甄嬛
「眉荘さん」
沈眉荘
「実初
1つだけ-教えてくれない?」
「この数年-私に対して少しでも心があった?」
「ほんの-少しでいい」
温実初
「・・・」
沈眉荘
「ああっ」「ああっううっ」
「もういいわ
無理に答えないで」
「ましてや、私が死ぬからと同情して、だましてほしくない」
温実初
「あの日の酒は量も少なかった」
「だから・・・ああぁ、あなたへの好意は嬛だけが原因ではありません」
沈眉荘
「本当に?」
温実初
「うううっん」
甄嬛
「・・・」
沈眉荘
「その言葉を聞いて
とても-うれしいわ」
「あなたに出会えて後悔はない」
「実初、お願い、子を抱いて」
「私たちの子よ」
「いいでしょう」
温実初
「ええ」
{温実初、子を抱く}
沈眉荘
{満足する}
「嬛、子にはまだ名がないわよね」
{甄嬛に手を差し出す、甄嬛その手をつかむ}
「静和(せいわ)と・・・」
「静和と-名づけてちょうだい」
甄嬛
「平和で静かに歳月が去りゆく
私たちの願いだったわね」
沈眉荘
「うん」
{沈眉荘、再び涙}
温実初
「泣かないでください」
「去勢したことで、私たちは永遠に引き離されることはない」
「熹貴妃のように陥(おとしい)れられることもないでしょう」
沈眉荘
「実初、この子の成長を見守ってちょうだい」
「他人に傷つけられぬように」
「嬛、実初と共に子を守ってあげてね」
「そして皇后と陵容には心してかかるのよ」
{温実初、甄嬛に子を預ける}
{温実初、沈眉荘を抱く}
沈眉荘
「ひどく疲れたわ」
「でも報われる」
「今まで一度だって、味わえなかった
今のような幸福感を」
「あなたのー腕に抱かれるなんて・・・」
{沈眉荘、絶命}
{温実初、泣く}
果郡王はいまだに未練がましく甄嬛に付きまとうが甄嬛はお互いの為と改めて最後通牒をする(65)
果郡王(かぐんおう)(允礼(いんれい))(17皇弟)
「浣碧、私が支える」
{果郡王、甄嬛の腕をとる}
「気をつけろ」
「危ない」
{甄嬛。果郡王の手をふりほどく}
甄嬛(しん・けい)(熹貴妃(ききひ))
「・・・」
果郡王
「・・・」
{果郡王、スカーフを拾う}
{甄嬛、そのスカーフをとる}
甄嬛
「その手も、これからは浣碧のものだわ」
浣碧
「・・・」
果郡王
「・・・」
「つらいのだろう」
{果郡王、拳で岩を打つ}
「私はもっとつらい」
{甄嬛、涙}
甄嬛
「今日はおめでたい日よ」
「あなたは妹の夫になる」
果郡王
「定めなのか?」
甄嬛
「月は-西へと沈むもの」
「私とあなたも、他に道はない」
「道に背けば
皆、死んでしまう」
「流言さえ危険よ
温実初がいい例だわ」
「あなたを守りたい」
果郡王
「あの日は-
君を助けられなかった自分を恨んだ」
甄嬛
「あなたが訴えられてたら耐えられなかった」
果郡王
「・・・」
甄嬛
「浣碧は本気よ」
浣碧
「・・・」
甄嬛
「あなたへの思いも、私には劣らない」
「分かっていたわ」
「大切にしてあげて」
果郡王
「分かっているだろう」
「私が欲しいのは君だけ」
{甄嬛。果郡王を押しのける}
甄嬛
「今日を境に
私でなく浣碧だけを見てあげて」
浣碧
「・・・」
甄嬛
「浣碧は-義理ではなく本当の妹よ」
「ただ浣碧の母親は罪臣の娘だったから
父は事実を隠し宗廟(そうびょう)に入れなかった」
浣碧
「・・・」
甄嬛
「幸せにしてあげて」
果郡王
「・・・」
{甄嬛、果郡王の手を払って去る}
{その後に浣碧付き従う}
{果郡王、立ち尽くす}
浣碧を皇族支配の一つとして果郡王に送り出す甄嬛(66)
甄嬛(しん・けい)(熹貴妃(ききひ))
「とてもきれいだわ」
浣碧(かんへき)(玉隠(ぎょくいん))
「お心遣いに感謝します」
甄嬛
「明日は門出の日よ」
「孟静嫻(もう・せいかん)とは側福晋同士になるけれど
いがみ合ってはいけないわ」
「平穏に暮らしてね」
「郡王より屋敷の管理を任されたのだし
寛大さと厳しさを使い分けなさい」
浣碧
「すみません」
「本来なら姉上の立場を、私が奪うなんて」
甄嬛
「私の立場は陛下の熹貴妃よ」
「明日、嫁ぐのだからもっと喜びなさい」
{浣碧、涙}
浣碧
「姉上
つらいのですよね」
甄嬛
「花嫁なのに喜ばず、泣いてどうするの」
浣碧
「後悔してないと?」
「あの時、もう数か月待っていたら
嫁いでいたのは私ではなかった」
甄嬛
「自分で決めた道よ」
「もう引き返せない」
「後宮は抜け目ない所よ、後悔する暇もないわ」
「お前の選んだ道なのだから絶対に後悔しないようにね」
浣碧
「怖いです
郡王の心には姉上だけ、側福晋が務まるでしょうか?」
甄嬛
「私は蚊帳(かや)の外の人間よ
果郡王に嫁ぐのだから、今後の人生はお前次第だわ」
「ただ-真の情こそが一番大切よ」
浣碧
「姉上
郡王に尽くし太妃(たいひ)にも孝行いたします」
甄嬛
「いいこと?」
「お前も甄一族を担う立場なのよ
果郡王の側福晋としてね」
ジャン・シン(蒋欣)さんの
ウィキペディアは
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%92%8B%E6%AC%A3
中国版(蔣欣);http://zh.wikipedia.org/wiki/%E8%94%A3%E6%AC%A3
その他の情報は
蒋欣_百度百科;http://baike.baidu.com/subview/4962/6226733.htm
です。
宮廷の諍い女の
DVDのHPは
http://isakaime.com/
放送のHPは
http://www.bsfuji.tv/isakaime/
ウィキペディアは
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%AE%E5%BB%B7%E3%81%AE%E8%AB%8D%E3%81%84%E5%A5%B3
中国版(後宮甄嬛傳 (電視劇));http://zh.wikipedia.org/wiki/%E5%BE%8C%E5%AE%AE%E7%94%84%E5%AC%9B%E5%82%B3_(%E9%9B%BB%E8%A6%96%E5%8A%87)
です。
YouTube(https://www.youtube.com/)から
《后宫·甄嬛传》第62集 Empresses in the Palace EP.62【东方影视剧场】 - YouTube(https://www.youtube.com/watch?v=h9VAajbnh0A)
《后宫·甄嬛传》第63集 Empresses in the Palace EP.63【东方影视剧场】 - YouTube(https://www.youtube.com/watch?v=0c4_5yhQZ8Y)
《后宫·甄嬛传》第64集 Empresses in the Palace EP.64【东方影视剧场】 - YouTube(https://www.youtube.com/watch?v=oFycrIc8qpY)
《后宫·甄嬛传》第65集 Empresses in the Palace EP.65【东方影视剧场】 - YouTube(https://www.youtube.com/watch?v=kNYqrHs2KVo)
ウィキペディア(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8)から
愛新覚羅氏;https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%84%9B%E6%96%B0%E8%A6%9A%E7%BE%85%E6%B0%8F
八旗;https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AB%E6%97%97
ドーピング;https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%83%BC%E3%83%94%E3%83%B3%E3%82%B0
人造人間;https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%BA%E9%80%A0%E4%BA%BA%E9%96%93
魑魅魍魎
Enterに戻る