甄嬛の知略によって今回は皇后もあからさまには堕胎医となれなかったので、公主が生まれる。
しかし、これが甄嬛と雍正帝の乖離を決定づけることとなった。
DVDでは、第22巻(全37巻)。
第44話「命を懸けて」
第45話「永遠の決別」。
今回で第2部が終了です。
次回からは、第3部-決意〜諍いの終結-(第46話~第76話)が始ります。
甄嬛によれば、
「後宮の女は御花園の花と同じだわ、散っても新たな花が咲く」
ということなので、これからどんな妃嬪が登場するのか楽しみにしたいと思います。
とはいっても、華妃を超えるほどの者は出ないでしょうけど。
雍正帝がずっと純元皇后の幻を追うように、わたしも華妃の幻を追いたいと思います(笑)
☆あらすじ
謹慎(実質的な幽閉)によって、ろくな食事を与えられない甄嬛(しん・けい)(スン・リー(孫儷))はその傷心と相まって痩せて体調を崩してしまう。
心配した崔槿汐(さい・きんせき)たちは甄嬛を侍医に見せたいがために、侍衛に賄賂を贈ってなんとか侍医を呼ぼうとするのだが、侍衛に拒絶される。
そんな折り、遂に甄嬛が倒れたので、流朱(りゅうしゅ)たちは門を蹴破って外に出て侍医を呼ぼうとする。
それを阻止しようと侍衛は剣さえ抜こうとする。
それを見た流朱はここを打ち破るにはこれしかないとばかりに、その刃に向かって身を投げ出す。
その刃は流朱の首筋を斬り、流朱は倒れる。
浣碧(かんへき)は驚き流朱を抱えると侍衛に侍医を訴える。
侍衛は慌てふためき総管に報告する。
侍衛総管が皇帝に報告すると、雍正帝(ようせいてい)(チェン・ジェンビン(陳建斌))は激怒して甄嬛の元に侍医として温実初(おん・じつしょ)(チャン・シャオロン(張暁龍))を派遣するよう命じる。
甄嬛は温実初の診察を受けてことなきを得るが、この診察で意外なことが判明する。
それは、甄嬛が懐妊しているということである。
このことは、甄嬛にとっては名誉挽回の機会になるかもしれないことであった。
そのためには、どうしても無事、子を産まねばならなかった。
この後宮で子が産まれないのは、皇后(エイダ・チョイ(蔡少芬))の策謀であることをうすうす感じていた甄嬛は、この出産の後見人として皇后を指名するという奇策を用いる。
こうやって皇后にも責任を持たせることによって、皇后の策謀を封じ込めようということである。
この後、流朱に粥を作って欲しいと頼んだことから、浣碧(かんへき)によって流朱が侍医を呼ぶためにその身を犠牲にしたと明かされる。
甄嬛は泣き崩れて、その復讐のためにも生き抜くと言う。
皇后は皇太后から、甄嬛の出産の後見人になることを命じられ、不本意ながらそれに同意する。
こうやって、表向きは甄嬛の出産のための脅威は去ったのであるが、以前甄嬛の謹慎は解けない。
沈眉荘(しん・びそう)(ラン・シー(斕曦))や皇后が甄嬛の謹慎を解くように嘆願するのであるが、雍正帝はそれを却下する。
一方、朝廷では、銭名世(せん・めいせい)の詩集の件がまだ尾を引いていて、銭名世を罷免した上で臣下の者に銭名世に関して詩を書かせ、その詩から銭名世に同情的な者を割り出し、その者を処分するということがなされていた。
その施行の担当者は、最初に銭名世(せん・めいせい)の詩集を甄遠道(しん・えんどう)が持っていたと言って訴えた爪爾佳卾敏(ギワルギャ・オミン)である。
爪爾佳卾敏によると甄遠道だけが銭名世に関する詩を書いていないということである。皇帝は甄遠道を警戒しだす。
甄嬛の知略の為に甄嬛に手の出せない皇后であったが、安陵容(あん・りょうよう)(タオ・シンラン(陶昕然))は秘かに甄嬛を亡き者にしようと皇后に入れ智恵をする。
その安陵容の敵対は、温実初によって甄嬛にもたらされる。
沈眉荘の火傷の傷痕のことから、安陵容がくれた舒痕膠(しょこんこう)に麝香(じゃこう)が含まれていることが甄嬛の知るところとなった。
それを聞いた甄嬛は、「人(安陵容)のあさましさ」に吐き気すら催す。
しかし、それは崔槿汐によれば良かったとのことである。
敵の正体が分かれば対処がしやすいとのことである。
崔槿汐の言う「たとえ優しくしても、相手が恩を感じるとは限りません」は箴言(しんげん)であろう。
相手に関係なく、自分がしたいからするが第一義でしょう。
雍正帝は、甄嬛を慰撫するために、ある日秘かに甄嬛を見舞うのであるがその時は甄嬛は寝入っていた。
甄嬛の負担を軽くするために、芳若(ほうじゃく)が甄嬛の元に派遣されるが、甄嬛に言わせると付き添いではなく監視であるとのこと。
その芳若と浣碧を伴って御花園を散策しているときに、祺貴人(ききじん)と欣貴人(きんきじん)に出くわす。
祺貴人は尊大な態度だが欣貴人は礼をつくす。
朝議で甄遠道(しん・えんどう)は、言官(げんかん)として銭名世(せん・めいせい)の件をこれ以上追求するとおもねる風潮になると諫言(かんげん)するが、雍正帝(ようせいてい)は爪爾佳卾敏(ギワルギャ・オミン)や張廷玉(ちょう・ていぎょく)の言を入れて、甄遠道を解任して投獄しその家族を屋敷に監禁するように命じる。
周りの者は、懐妊中の甄嬛(しん・けい)が衝撃を受けて子をそこねるのを心配して、甄家に起こったこの不幸を甄嬛には黙っていた。
しかし、ある日内務府から易産石(いさんせき)を持ってきた新入りの小貴子(しょうきし)という太監から甄家の不幸な境遇を聞いてしまう。
甄嬛はその衝撃から体調を崩してしまう。
そして、診察に来た温実初(おん・じつしょ)から、詳しく甄家の没落の顛末を聞く。
それを知った甄嬛は雍正帝に嘆願するべく文をしたためまたその文に雍正帝とのなれそめの品を添えて、雍正帝の目に留まるようにする。
新入りの小貴子という者は、安陵容(あん・りょうよう)の手の者で甄嬛の子を葬るためにわざと甄家の不幸を甄嬛に漏らしたのであった。
皇后は皇太后から子を守るようにきつく釘を刺されたのであるが、安陵容が皇后の気を汲んで自ら暗躍してのことである。
これだけでは甄嬛の子および甄嬛を葬れないと思った安陵容は、甄遠道にすらその魔の手を伸ばす。
安陵容の命を受けた小貴子は、牢獄にいる甄遠道に鼠を忍ばせる。
雍正帝に謁見を許された甄嬛は、父である甄遠道の無実を訴えるが雍正帝は取り合わない。
雍正帝はいままでの功績及び甄嬛のことから厳罰ではなく寒冷地の寧古塔(ねいことう)に家族と共に流刑にすると言う。
それを聞いて甄嬛は驚愕し、とても年老いた両親は耐えられないといって再考を嘆願する。
その嘆願の言い過ぎに雍正帝が怒り、机の物を払い除けると、その中に雍正帝が純元皇后を慕って書いた文があり、それが甄嬛の目に留まる。
それを読んで甄嬛は雍正帝の本心を知る。
はっきりとそこには甄嬛は純元皇后の面影でしかないと書かれていた。
自分に対する愛などないと知った甄嬛は更なる絶望に陥る。
しかも、それに追い討ちをかけるように、蘇培盛(そ・はいせい)から甄遠道が鼠の疫病に罹(かか)ったとの知らせがもたらさせる。
甄嬛は雍正帝の足元にすがって、父の甄遠道の命を救って欲しいと懇願する。
それは雍正帝が約束したので、甄嬛は傷心のため疲労困憊しているがなんとか退出する。
籠に乗り崔槿汐(さい・きんせき)に伴われて急ぎ碎玉軒(さいぎょくけん)に戻った甄嬛であるが失神して出血しており、早産となった。
しかし、幸いにも子は無事に生まれた。
公主であった。
公主であることに皇后はほっとし、雍正帝はそれでも笑みが止まらない。
上機嫌の雍正帝は、甄嬛に対し罪を許し、妃にするというが甄嬛はそれを受け入れない。
業を煮やした雍正帝は、甄嬛に「仏堂に移り、心を静めよ」と言う。
甄嬛はそれを受けて皇宮を去り、子の名前を綰綰(ワンワン)とし、その養育を敬妃に託すことを願い出る。
雍正帝は、それを許し、綰綰の封号を朧月(ろうげつ)とする。
甄嬛はそれに感謝し、雍正帝との別れを詩に託し、三度の礼をすると、雍正帝はその別れを別れとする。
☆所感
う~ん、雍正帝(ようせいてい)の甄嬛(しん・けい)への愛はこんなものだったのか。
結局、最初から最後まで、甄嬛ではなく純元皇后だったということか。
甄嬛は純元皇后の代役であったということ。
とはいっても、そもそもそういうことは可能なのか。
甄嬛は甄嬛でないのか。
そこにいくら純元皇后を見ても結局は幻を見るしかないのでは。
それでも、幻を見るだけでも見ないよりはましだったのか。
こういうことは、分かるようで分からないといえる。
おそらく、本人にしか分からないことだろう。
甄嬛が何を言って何を行っても、それはすべて純元皇后ということだったのか。
生前の純元皇后というよりそこにある偽りの純元皇后が雍正帝の純元皇后だったのだろう。
だから、あれほど怒ったのだろう。
つまり、あの甄嬛の妃への冊封の時、雍正帝は甄嬛は甄嬛であって純元皇后ではないということを自覚したのだろう。
いままでの、甘い夢の世界から現実の世界に戻ったということだろう。
甄嬛が雍正帝の夢を壊したということなのだろう。
あの時に初めて雍正帝は甄嬛を見たといっていいだろう。
いままでは、雍正帝にとって甄嬛は純元皇后の生まれ変わり(第2の純元皇后)であったのだろう。
一度として雍正帝は甄嬛を愛してはいなかったといえるだろう。
雍正帝にとっては甄嬛との愛は純元皇后との愛であった。
甄嬛を甄嬛として自覚したならば、甄嬛はもはやあまたの妃嬪の一人でしかない。
政治的に利用する相手でしかない。
子を産むということは最も政治的に利用価値が高いということである。
しかし、なぜ雍正帝は過去の呪縛から逃れられないのだろうか。
そういうことでは、また皇后も同じである。
自らの子を失ったということが自らの存在として認識されないということなのだろう。
それは単に自分の地位が脅かされるということではない。
過去の呪縛から逃れられない。
それは、自分の不幸をけっして認めないということだろう。
つまり、運命を認めないということなのだろう。
己に力がなければ、運命を認めざるをえないが、己に力があるばかりに運命に逆らおうとしているのだろう。
終わった過去を認めなく、その運命を変えられると思っての必死の抵抗なのである。
しかし、いくらあらがっても運命は運命なのである。
それは、人間ではけっして変えられるものではない。
おそらく、この種の人間は、死の床について初めて、己の運命を知るということもあるでしょう。
運命にあらがうことが己一人の所業であるならば、それはその人の生き様なのでしかたない面もあるが、運命にあらがう者は得てして力を持っているので、多くの者をその己の生き様に巻き込んでしまうということなのだろう。
その犠牲者の主は、甄嬛であり安陵容なのかもしれない。
見方によっては、人間の神々へのあらがいといえるだろう。
そして、神々へのあらがいはそのスケープゴートをまた必要とするということなのだろう。
犠牲者といえば、流朱(りゅうしゅ)があのような形で生を全うするとは思わなかった。
侍衛が刀を抜きかけそれに対して流朱が思いつけた表情をしていたので、何かをするのは分かっていたが、まさか自分の身をその刃に投げ出すとは思ってもいなかった。
ちょうど頸動脈のあたりであったから出血多量になったのであろう。
それだけ甄嬛への思いが強かったのだろう。
とはいっても、甄嬛をあのままにしておいて、もし甄嬛が死ぬようなことになれば、やはり雍正帝によってその命を散らすことになったであろうが。
支配者という者は、自分が原因で災厄が起こっても、けっして自分のせいで起こったことであるとはしない。
それは古今東西同じである。
過ちを認めたら、多くの者はもうその支配者を信じなくなるだろう。
また、どこかで過ちを犯すと思うだろう。
支配者というのは、仲間内以外では神聖不可侵なのである。
それは原発などがいい例である。
原子力村の支配者は、原発は(絶対に)安全であるという安全神話を掲げていたが、現実に東電福島原発放射能汚染事故が起こると、「想定外」といって未曾有の災害のせいにして、自らの過ちを認めないばかりか事故の隠蔽すら行おうとする。
原発の安全神話が間違っていたと言えば、すべての原発を廃止しなければいけないことにすらなるので、そんなことはけっしていわない。
誰かをスケープゴートにすれば、安全神話はまた復活して再稼動できるのである。
なぜなら、安全神話は原発にとって神聖不可侵なのだ。
つまり、そういうことでもまたスケープゴートであったのである。
甄嬛のために誰かが死ぬようなことがなければその罪は許されないのである。
流朱が死ぬとは甄嬛でなくとも悲しいことである。
流朱の最後がこういう結末になるとはまったく予想できないことであった。
利発であるが故にそこに固い信念があったということであろう。
合掌。
それにしても、甄嬛が懐妊するとはびっくりです。
てっきり安陵容の舒痕膠(しょこんこう)で子の産めない体になっていると思ったのだが。
どういうことなのだろう。
麝香(じゃこう)に対してある程度の対抗性があるのだろうか。
でも、第1子の時の流産は華妃の歓宜香(かんぎこう)や仕打ちがあったとしても、舒痕膠の影響も大きかったと思われるのだが。
その舒痕膠であるが、その正体が温実初(おん・じつしょ)の口からはっきりと語られることとなった。
麝香が含まれていると。
そこで甄嬛は安陵容がはっきりと自分の敵であると認識出来たわけである。
その安陵容(あん・りょうよう)は、今回の甄嬛への策謀でも明らかになったように、この舒痕膠への麝香の混入は自らの意図であったということである。
自分の救い手であった甄嬛から皇后への乗り換えはその保身から起こっているものであろう。
後ろ盾の乏しい安陵容がこの後宮で生き残っていくのには、より力のある者に媚びるのは当然であろう。
だから、もし皇后が失墜したら、それに代わるより強力な者に媚びるであろう。
しかし、そのより強力な者が受け入れたらの話であるが。
そういうことでは、安陵容はついていたといえよう。
皇后の手駒として働けるだけの技量があったのだから。
やはり、家系(家柄)の後ろ盾がなくてこの後宮に入宮しようというくらいだから、自らに力があるという自負はあったのだろう。
だから、今は良くも悪しくも自分の生き様を見つけて活き活きとしているといっていいだろう。
それが、あの前髪からの総なで上げ髪(オールバック)に象徴されているといえるだろう。
皇后の指示なのか自らの発案なのか分からないが、甄遠道の投獄を甄嬛に告げたりまたその甄遠道を鼠の疫病にかからせたりするのを積極的に行っている。
その勢いは正に自分が第2の甄嬛になろうとしているようでもある。
そしてその可能性はあるということなのである。
あれほど雍正帝の寵愛を独占していた者でも没落するのである。
華妃は政治目的の寵愛であり、甄嬛は純元皇后の代理の寵愛であった。
つまり、そこには愛などなくその時その時の雍正帝の都合での寵愛なのである。
ということは、雍正帝のその時その時の機微さえつかんで立つ回ればそれなりの寵愛を持続できるのである。
そのそれなりの寵愛こそこの後宮で生き残る最善最良の方法なのである。
誰も真の寵愛など受けないのなら、そのかりそめの寵愛をどうやって保持していくかが大切なのである。
そういうことでは、元々控え目で耐えることができあえて自尊心をださない安陵容にとってはこの後宮は自らの巣のようなものかもしれない。
そういうことを悟ったのかもしれない。
ということで、さりなく皇后に媚びているふりをしつつ自らの地位を高めていくのであろう。
見た目に怖さが分からない者は、そういうことでは判断しにくいのでより怖いともいえる。
といってもこういうタイプはおそらくそんなにはいないと思う。
沈眉荘(しん・びそう)っていい度胸をしているというか図々しいというか。
偽懐妊から雍正帝に不信を抱いて、ずっとよそよそしくしていたのに、甄嬛が窮地だとなるとその皇帝に嘆願するということなのだから。
普通に考えたら、どう見ても自分によそよそしくしている相手のいうことなど受けいれるはずがないだろう。
しかも、その見返りもなしである。
また、雍正帝とよりを戻すとかいうのならまだしもであるが、そういうこともないようだから。
というか、あの偽懐妊から沈眉荘が以前のように雍正帝の寵愛を受け入れていれば(受けていれば)、甄嬛の立場も大いに変わっていただろう。
華妃も皇后も、甄嬛と沈眉荘を相手にしなければいけないということで、力は分散されるということになろう。
いまでは、標的は甄嬛一人である。
ということは、沈眉荘は甄嬛のような報復するだけの知略がないので、雍正帝というよりそういう諍いから逃れるために雍正帝の寵愛を断ったということなのか。
これが沈眉荘なりの保身術なのか。
諍いに勝ち残るためには、雍正帝の寵愛が必要十分条件なのだから。
それを捨てるということは、そこから身を引くということである。
つまり、若い端妃である。
甄嬛の賢さには畏れ入る。
虎穴に入らずんば虎子を得ず、ではないけど、あえて皇后を後見人にすることによって、皇后の策謀を封じるというこの見事さである、
しかし、甄嬛が賢ければ賢いほど皇后は甄嬛に脅威を感じ憎しみが増すということである。
正に、悪魔の循環である。
このことから甄嬛が逃れるには、皇后が皇后でなくなるか甄嬛が後宮から離れるしかないだろう。
そういうことでは、甄嬛が尼寺にいくのはいい機会である。
これでいままでのことをじっくりと総括することができるということである。
この尼寺に行くということも、これも甄嬛の仕組んだことなのか。
そんな気もしてしまうのだが。
甄嬛の雍正帝への愛がどういうものだったかはいまはまだ分からないが、この時点では本当に甄嬛は甄嬛として雍正帝を愛していた(信じていた)ということである。
実は、わたしとしてはこれは意外であった。
そういうことでは、甄嬛は初心を貫徹していったということである。
ここらへんも、自分の気持ちをはっきりさせるということになるだろう。
☆会話(引用)
安陵容(あん・りょうよう)のあさましさ・おぞましさを知った甄嬛と崔槿汐の人生訓のような会話(44)
崔槿汐(さい・きんせき)(甄嬛の掌事宮女(じょうじきゅうじょ))
「よかったではないですか」
甄嬛(しん・けい)(莞嬪(かんひん))
「よかった?」
崔槿汐
「ええ」
「安小主は疑わしかった
でも、これで疑いが確信に変ったのです」
「防ぎやすいかと」
「見えぬ敵は少ないに越したことはありません」
「安小主との友情が壊れたと悲しみに?」
甄嬛
「こうなっては
彼女との友情なんて滑稽に感じる」
崔槿汐
「恵貴人(けいきじん)とのような友情は誰とでも築くのは無理です」
甄嬛
「でも、なぜ彼女はあんな真似を?」
崔槿汐
「理由が分かったところで
真相はおぞましいはず」
「たとえ優しくしても、相手が恩を感じるとは限りません」
甄嬛
「今の私に対抗するほどの力はないわ」
「あなたが正しい」
「みんな自分の利益だけを考えている」
崔槿汐
「うん」
甄嬛
「陵容の裏には黒幕がいると疑っていたけど
手を下したのは彼女自身だわ」
崔槿汐
「うん、うん」
甄嬛
「槿汐」
「あなたの言葉は宝ね」
崔槿汐
「小主は情がおあつい」
「でも-後宮では実の姉妹でも反目するものです」
甄嬛
「そうね」
「君臣や夫妻も同じ
妃嬪ならなおさらよ」
父の甄遠道(しん・えんどう)の罪の嘆願のために雍正帝に謁見した甄嬛は、そこではからずも雍正帝の甄嬛への愛の本当の姿を知る(45)
雍正帝(ようせいてい)(皇帝)
「身重だろう、礼は不要だ」
「芳若(ほうじゃく)より眠れぬと聞いていたが
落ち着いたようだな」
甄嬛(しん・けい)(莞嬪(かんひん))
「なぜ分かるのです」
「芳若殿の言葉だけを信じるのですか?」
「侍医に安魂散(あんこんさん)を処方させたかどうか
聞かないので?」
雍正帝
「何が言いたい」
甄嬛
「一方の意見だけで、決めつけてはいけません」
雍正帝
「では、まだ眠れないと?」
甄嬛
「最初の数か月は-
寝不足でしたが今は改善されました」
雍正帝
「芳若の報告は正しい」
甄嬛
「芳若殿は無欲ですが
権力を争う臣下たちとなれば、正しいとは限りません」
雍正帝
「接見を求めてきたのは、そんな話をするためか」
「そなたは-純元皇后に不敬を働いたのだぞ」
甄嬛
「故意ではありません」
「信じますか?」
雍正帝
「故意でなかろうが罪に変わりはない」
{甄嬛、ひざまづく}
甄嬛
「純元皇后への不敬は許されぬ罪です」
「一生、監禁されても構いません」
「ですが-
父が陥れられていないかお調べください」
雍正帝
「一方の言葉だけを信じてはならぬのだろう?」
「卾敏(オミン)の話をすべては信用できぬ」
「だが銭名世(せん・めいせい)の一件で
そなたの父は看過できぬ言動を取った
濡れ衣(ぬれぎぬ)ではない」
甄嬛
「朝廷のことは複雑で分かりませんが
父は陛下に忠実でした」
「少しも情けはないので?」
雍正帝
「甄夫妻は年配ゆえ厳罰を下すつもりはない」
「すでに勅命を出し
家族と共に寧古塔(ねいことう)へ流刑としてある
苦役は免ずるゆえ、ただ住むだけでよい」
「これでそなたも心配あるまい」
甄嬛
「寧古塔は極寒の場所」
「老いた両親がそんな苦しみに耐えられると?」
「陛下」
「本当に証拠はおありで?」
「それとも年羹堯(ねん・こうぎょう)の件で
疑い深くなったのでは?」
{雍正帝、机の物を払いのける}
雍正帝
「何を言っておる」
{甄嬛、その中の1枚の文に目をやりそれを取る}
甄嬛
「”愛しき妻、宛宛(えんえん)よ”
”そなたが逝き独り苦しみを味わう”
”今も姿が目に浮かび”
”想い断ち難し”
”莞莞(かんかん,ワンワン)は
宛宛(えんえん,ワンワン)の面影あり”
”暫(しば)し苦しみを除く”
”だが巫山(ふざん)の雲にあらず”」
「巫山の雲とは純元皇后」
「私めは単に巫山の雲の面影?」
{甄嬛の目に涙}
「私めが寵愛されたのは-
純元皇后のおかげだと?」
「だったら私めは・・・
一体、何なのです?」
「何なのですか」
雍正帝
「分かっておろう」
「面影があるだけでもそなたは幸運だ」
甄嬛
「幸運?」
「幸運ではなく
不幸でしかない」
「陛下だけでなく、私めも間違っていた」
「この数年の愛や時間は
全部、無駄だったのです」
{蘇培盛が入ってくる}
蘇培盛(そ・はいせい)(雍正帝の首領太監(しゅりょうたいかん))
「陛下」
雍正帝
「何だ、早く言え」
蘇培盛
「報告によると甄殿が鼠の疫病にかかり-
命も危ないと」
{甄嬛。倒れる}
蘇培盛
「娘娘、しっかり」
(甄嬛、蘇培盛を払いのける」
「身重です、落ち着いてください」
{甄嬛、雍正帝の足にすがりつく}
甄嬛
「陛下」
「勅命は覆せませんが
父は無実です」
「見殺しにすることなく治療してください」
「すべての罪は私めが負いましょう」
雍正帝
「分かった」
(雍正帝、退出の指示を出す}
蘇培盛
「行きましょう」
{甄嬛、雍正帝に哀願する}
「娘娘」
雍正帝
「・・・」
甄嬛
「・・・」
(甄嬛、蘇培盛に支えられて立ち上がる}
蘇培盛
「娘娘」
(甄嬛、蘇培盛に支えられて退出する}
雍正帝
「・・・」
甄嬛
「あっうっ」
雍正帝
「・・・」
甄嬛に公主が生まれ、祝福に来た雍正帝は甄嬛とよりを戻そうとするが、甄嬛は拒絶して皇宮を去ることを願い出る(45)
浣碧(かんへき)(甄嬛の侍女)
「小主、陛下です」
公主
「おぎゃあ」
太監
「陛下のおなり」
{雍正帝、入ってくる}
敬妃など一同
「ごきげん麗しゅう」「ごきげんよう」
雍正帝(ようせいてい)(皇帝)
「立て」
敬妃など一同
「感謝します」
{雍正帝、甄嬛の寝台に座る}
雍正帝
「莞嬪」
「まだ分からぬか?」
甄嬛(しん・けい)(莞嬪(かんひん))
「何がです?」
{甄嬛の目に涙}
雍正帝
「公主を生んだのだ
もう意固地になるな」
「甄家がどうであれ、そなたとは関係ない」
「そなたが望めば明日にでも妃に封(ほう)じよう」
甄嬛
「妃の位などおこがましいこと」
雍正帝
「嬛嬛」
「そなたはまだ朕の寵妃なのだぞ
以前と同じく厚遇する」
甄嬛
「以前?」
「まさか以前に-戻れるとでも?」
雍正帝
「・・・」
甄嬛
「・・・」
{甄嬛、顔をそむける}
雍正帝
「どうやら-憐(あわ)れみすぎたようだ」
「そなたの性格は後宮にはそぐわぬ」
甄嬛
「感謝します」
雍正帝
「仏堂に移り、心を静めよ」
甄嬛
「ええ」
「確かに去るべきです」
「私めのような落ちぶれた母親がいれば
公主も将来、苦労します」
「去るからには
子の名だけ
私めが命名をお願いします」
雍正帝
「よし」
甄嬛
「名は-綰綰(ワンワン)」
雍正帝
「宛宛(ワンワン)?」
甄嬛
「純元皇后への冒とくなどできませんよ」
「”夫君と心を綰(わが)ねる”
私めの望みを公主に託しましょう」
「余生は仏に仕える身となり
公主のため日々、祈ります」
雍正帝
「皇宮でも修行はできる
宝華殿(ほうかでん)があるだろう」
甄嬛
「いいえ」
「私めがいては後宮を乱します」
雍正帝
「それもいいだろう
後宮には置けぬ」
{甄嬛、寝台から出て雍正帝の前にひざまづく}
崔槿汐(さい・きんせき)(甄嬛の掌事宮女(じょうじきゅうじょ))
「娘娘」
浣碧
「小主」
甄嬛
「もう1つお願いが」
雍正帝
「何だ」
甄嬛
「皇宮を出たあとは-
敬妃娘娘に公主の養育を
そうなれば心残りはありません」
雍正帝
「端妃(たんひ)も温宜(おんぎ)を養育している問題はない」
「おぼろ月夜だな」
「公主の封号は朧月(ろうげつ)としよう」
甄嬛
「通常は満1か月で封号を与えられる
生まれたばかりの朧月には大変な栄誉です」
雍正帝
「他に話したいことは?」
甄嬛
「”朱弦(しゅげん)断ち 明鏡缺(か)く”
”朝露晞(かわ)き 芳時歇(や)む”
”白頭吟(はくとうぎん) 離別に傷む”
”どうか私を思うなかれ”
”錦水(きんすい)に誓う”
”君と-”
”永遠の訣別なり”
雍正帝
「・・・」
{甄嬛、三度の礼をする}
雍正帝
「よし、分かった」
「何も言うことはない」
「そなたの意思だ」
「朧月は敬妃にしっかりと養育させよう」
{雍正帝、出て行く}
崔槿汐
「娘娘」
浣碧
「小主」
敬妃
「なぜ、つらい道を選ぶの」
甄嬛
「・・・」
ジャン・シン(蒋欣)さんの
ウィキペディアは
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%92%8B%E6%AC%A3
中国版(蔣欣);http://zh.wikipedia.org/wiki/%E8%94%A3%E6%AC%A3
その他の情報は
蒋欣_百度百科;http://baike.baidu.com/subview/4962/6226733.htm
です。
宮廷の諍い女の
DVDのHPは
http://isakaime.com/
放送のHPは
http://www.bsfuji.tv/isakaime/
ウィキペディアは
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%AE%E5%BB%B7%E3%81%AE%E8%AB%8D%E3%81%84%E5%A5%B3
中国版(後宮甄嬛傳 (電視劇));http://zh.wikipedia.org/wiki/%E5%BE%8C%E5%AE%AE%E7%94%84%E5%AC%9B%E5%82%B3_(%E9%9B%BB%E8%A6%96%E5%8A%87)
です。
YouTube(https://www.youtube.com/)から
《后宫·甄嬛传》第44集 Empresses in the Palace EP.44【东方影视剧场】 - YouTube(https://www.youtube.com/watch?v=6L1MW-qbYh4)
《后宫·甄嬛传》第45集 Empresses in the Palace EP.45【东方影视剧场】 - YouTube(https://www.youtube.com/watch?v=XJA2lSK4wfc)
ウィキペディア(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8)から
福島第一原子力発電所事故;https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A6%8F%E5%B3%B6%E7%AC%AC%E4%B8%80%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E7%99%BA%E9%9B%BB%E6%89%80%E4%BA%8B%E6%95%85
原子力村;https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E6%9D%91
日本の原子力発電所;https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E7%99%BA%E9%9B%BB%E6%89%80
日本の原子力政策;https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E6%94%BF%E7%AD%96
余談:佐々木希さん とある1枚
佐々木希さんのブログ「佐々木希オフィシャルブログ」のトップ写真がいいですね。
見た瞬間から魅入ってしまいました。
その振り向き様に語りかける表情がなんとも愛らしく惹きつけられてしまいます。
そして、右目はカメラアイなのです。
こういうのは小憎らしいばかりの所業です。
正に、その右目が見ているものが何なのか、それは世界であって世界でないもの。
ちょっと考えられないくらいの演出です。
そのままだったら、単に振り返っただけの写真です。
一見したらスナップショットのようですが、これは意図した写真でしょう。
いくらスナップショットの名手といってもこれだけのいいタイミングでは撮れないと思うからです。
たぶん、何かのことで、こういう動作をしたのではないかと思う。
そして、おそらくその動作が誰かを触発したのかも知れません。
あるいは、佐々木さんがそういうイメージを持っていてそれで撮ったのかもしれません。
それをこういう風に一見したらスナップショットに見えるようにしたのが、凄いと思う。
なせ、スナップショットのように見えるかというと、うしろの建物です。
うしろの建物の水平線が傾いているからです。
スナップショットではその瞬間瞬間を撮るので、しばしばこのようなことが起こります。
そういうことでは、ある程度、佐々木さんに自由に動いてもらっていて撮ったのでしょうか。
それにしてはあまりにも表情が出来すぎです。
これ本当にスナップショットで撮ったのなら、奇跡の1枚といってもいいくらいです。
逆に言うと、これを演出で撮ったのなら、撮る側撮られる側の呼吸がぴったり合ったといえるでしょう。
いずれにしても素晴らしい写真です。
こういうのは写真だからこそ表現できるのです。
ほんと(スナップショットとして)わたしの撮りたい写真を実現してくれているという感じです。
風景論と場の理論と関係性の革命の三位一体の写真だと思います。
この写真をトップに持ってくるとは、佐々木さんの素敵な感性に驚嘆をもします。
わたし的に題名は、「邂逅(かいこう)」とします。
この写真を撮った方は、クレジットによると、KOTORI KAWASHIMAさんです。
川島小鳥さんということなのでしょうか。
ということを書いてから、佐々木さんのブログを読んでいたら、この川島さんとのコンビで「かくしごと」という写真集を出しているというので、どんな写真があるのかと誘惑されて、買ってみました(笑)
この写真集はファンにとっては、佐々木希さんがとてもよく分かる1冊ではないかと思います。
やはり、素でも美少女であることには変りませんが、しかしわりとどこにでもいる美少女という感じも受けます。
それだけ、普通(普段)の自分を出して撮影していたのかもしれません。
そういうことでは、もう少し作ったものがあっても良かったかなとは思いましたが。
インタビューを読んでいて、モデルと役者に絞ったら、すぐにオフが4日も出来たというのはそういうものかと思いました。これなどを始めとしていろいろな裏話は面白くまた新たなことを知ったという感です。
いずれにしても、役者やモデルというのは自分の中のいろんな魂をその時々の状況で発動しなければいけないので、それに対していろいろと悩んだのは分かる気がします。
ところで、この「かくしごと」をアマゾンで買ったのですが、かなり驚くことにこの表紙の顔のとこにバーコードが貼られているのですが、普通こういうことするのでしょうか。
過失なのか悪戯なのかよく分かりませんが、なんとも不思議なことです。
これがその表紙です。

しかしながら、このバーコードをよく見ると何か書いています。
「このラベルはきれいにはがせます」
ということは故意にバーコードを貼ったということでしょう。
管理のためなのかも知れませんが、正直、好ましいとは思えません。
佐々木希さんの
ブログは

http://www.topcoat.co.jp/sasaki-nozomi/
HPは
http://www.topcoat.co.jp/artist/sasaki-nozomi/
ウィキペディアは
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BD%90%E3%80%85%E6%9C%A8%E5%B8%8C
です。
川島小鳥さんの
HPは
http://www.kawashimakotori.com/
ウィキペディアは
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B7%9D%E5%B3%B6%E5%B0%8F%E9%B3%A5
です。
去来

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