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桃太郎一行は鬼を退治して鬼ヶ島から宝物といっしょに帰国しました。
国元では、お爺さんとお婆さんが待っていて出迎えてくれました。
桃太郎は、たくさんの宝物を見せました。
そして、鬼を退治した顛末を話してお爺さんとお婆さんに宝物を上げました。
お爺さんとお婆さんはとてもとても喜んで涙を流しました。
「ほんとに、無事に帰ってきてくれただけで嬉しいのに・・・」
「その上に、こんなきれいなものまでほんとにほんとにおまえは孝行ものじゃ」
「ばあさんや、このきれいな着物をちょっときてみておくれんかなゃ」
と爺さんは婆さんに赤い着物を渡しました。
「あらあら、おじいさん、こんな赤い着物はあたしゃ恥ずかしいよ、まるで生娘みたいじゃないかいねぇ」
といいながらも、ニコニコしながら着てみました。
「いやはや、よく似合っとるじゃないかいにぁ、あの頃を思い出しまた惚れちまったわい」
と爺さんがいうと婆さんは
「あらあら、いやだねぁ、じいさんは」
といいながらちょっと頬を赤くしました。
とかなんとか、まるで花咲く春のようになごやかな光景でした。
桃太郎は、猿、犬、雉にも褒美をやってその労をねぎらいました。
「ほんとうに、おまえたちはよくやってくれた」
「おまえたちがいたからこそ鬼退治が出来、こうしてお爺さんやお婆さんの喜ぶ顔が見れたというものだよ」
「ありがとう!」
褒美をもらった猿は山へ犬は家へ雉は野へ帰っていきました。
「
桃太郎さん、ありがとう!あなたと会えてよかったです。さようなら!」
ところで、宝物はお爺さんお婆さんそして
桃太郎が使っても使いきれないほどあったので、村人たちに分け与えました。
村人たちは喜んでなんどももなんども
桃太郎たちにお礼をいうのでした。
そして、この村は豊かになりました。
そうこうするうちに、この豊かな村のことが評判になり、その領主の耳にもはいりました。
そこで、領主は事の是非を知りたいと思い、当事者の桃太郎を城に招きました。
「そちが桃太郎か、なにやら宝物を手に入れたということらしいが、わしにもその話をしてくれんかのう」
といいました。
桃太郎は、猿、犬、雉とともに鬼ヶ島の鬼を退治して宝物を手に入れた一部始終をそれは巧みに話しました。
殿様だけでなく傍にいた家来たちもその話を聞いて桃太郎の武勇を賞賛しました。
「ところで、桃太郎、済まぬがその宝物とやらをわしも見てみたいのじゃが見せてもらえるかのう」
といいました。
「はい、わかりました。それでは明日もってまいります」といって退出しました。
次の日、桃太郎は大八車一杯の宝物を持って、登城しました。
それは、金銀であしらえられ宝石のちりばめられた装飾品や食器や着物や家具やそれはそれは豪華絢爛たるものでした。
殿様はその華麗さに夢中になり、よこしまな考えをもたらすのに十分なものでした。
「なぁ、桃太郎さんや、こんな素晴らしいものをわしはかって見たことがない。このまま別れてしまうのはちと切ない。
「そこで、お願いじゃが少しの間貸してもらえんじゃろか」と。
桃太郎は気持ちよく、「いいですよ。殿様が喜んでいただけるのならわたしもうれしいです」
「ところで、桃太郎さんや、宝物はこれで全部かいなぁ」
「いえ、殿様、宝物はお爺さんやお婆さんや村の人たちに分けました」と正直に話しました。
それから数日して、村のあちこちに高札がたちました。
「殿様が宝物を見たいから、何日に宝物を持って城の広場にくるように」ということでした。
お爺さんお婆さん村人はその日宝物を持ってお城にいきました。
各人の宝物は台帳に記入されました。
そして、また殿様はいいました。「よく見てみたのでしばらく預かっておく」と。
桃太郎に台帳を見せて、
「おまえの分けた宝物はこれで全部かなぁ」
桃太郎はよく憶えていなかったしめんどうくさかったので「全部です」といいました。
数日が数ヶ月がたちましたが、領主はいまだに宝物を返してくれません。
村人はだんだん不安になって、桃太郎に殿様に返してもらう交渉を頼みました。
が桃太郎は、殿様がそんなことをすることはないといって村人に待つようにいいました。
そうこうしているうちに1年ほどがたちましたがまだ返してくれません。
宝物をあてにしたものもあってそのものは困窮になってしまいました。
そこまでになると桃太郎もだまっているわけにはいかないので殿様に返してくれるように嘆願しました。
しかし、「わかった、わかった、桃太郎やもう少しまってくれ」といいました。
2年が立ちました。
この年は干ばつがあって村では食事もまともに取れないものまであらわれました。
桃太郎は再度嘆願しましたが、
「おまえは、前に宝物は全部だといったがこの間村から宝物が見つかったぞ」といいました。
そして、「宝物を全部見るまで返すことはできんぞよ」と。
そこで、桃太郎は村人を説得して全部の宝物を殿様に見せました。
そうすると、殿様は桃太郎を捕らえて牢屋に入れてしまいました。
そして、こんな高札を出しました。
「桃太郎が宝物を全部持って逐電した」と。
村人たちはにわかには信じられませんでしたが、真偽を確かめるすべもなかったので途方にくれるばかりでした。
その頃、猿、犬、雉が宝物を持って桃太郎の家に来ました。
桃太郎にいわれて宝物を持ってきたのでした。
そこで、例の高札を見て憤慨しました。
「これは何かある。桃太郎さんに限ってそんなことはないです」と、
きっぱりとお爺さんお婆さんに言いました。
で、さっそく猿が忍び込んで様子を探ると桃太郎が牢屋にとらえられているということでした。
猿、犬、雉は協力して桃太郎を救出して猿山にかくしました。
-(中略)- 村人たちの対応
1年後、奇妙なかわら板が出て、宝物は桃太郎ではなく殿様が秘匿していてその宝物で出世しているということ、そしてその殿様を桃太郎が懲らしめるというようことが書かれていました。
その日風が強く、火事などあったら大変な日でした。
「火事だ。火事だ。」の声です。
城が燃えています。
殿様は宝物を抱えて家来とともに城を脱出しました。
城から小半里きたところで、殿様を呼び止めるものがありました。
*etc.*
それは、鬼でした。
殿様たちはあっけない最後でした。
さて、鬼たちは宝物を持って火の消えた城へ帰りました。
鬼たちは城の中で宝物に囲まれて優雅にくらしていました。
それから、何十年あるいは何百年たったのでしょうか。
ある村にお爺さんとお婆さんが住んでいました。
お爺さんは山に柴刈りにお婆さんは川に洗濯に出かけていました。
どっぺんしゃん!
懐古
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