ろぷろす_ぶろぐ 漫画
FC2ブログ

おおきく振りかぶって 漫画 第35巻(現在全35巻)

おおきく振りかぶって」の第35巻(2021年7月21日(水)発売)について書きます。
なお、準拠する漫画版は電子書籍のキンドル版(https://www.amazon.co.jp/dp/B074CDR5MF?ref_=dbs_s_ks_series_rwt)となります。

受験休みの間、みんなで分担して神奈川の4校に見学に行き、各校の適確な対応によって各々有意義な収穫を得ます。
そして、話のはずみから阿部隆也三橋廉は部員みんなで埼玉から群馬まで往復で歩くことを決めてしまいます。


☆あらすじ

高校入学受験での休み中に阿部隆也(あべたかや)の提案した神奈川の4校に見学に行くので、4校の見学者の振り分けをする。
久良(くら)高等学校は田島悠一郎(たじまゆういちろう)と西広辰太郎(にしひろしんたろう)で神奈川県立松ヶ丘(まつがおか)高等学校は花井梓(はないあずさ)と沖一利(おきかずとし)と巣山尚治(すやましょうじ)で神奈川県立逗子萬翠(ずしばんすい)高等学校は栄口勇人(さかえぐちゆうと)と水谷文貴(みずたにふみき)と篠岡千代(しのおかちよ)で桜雲(おううん)高等学校は阿部隆也三橋廉(みはしれん)と泉孝介(いずみこうすけ)となった。
久良高等学校には田島悠一郎の荒川シーブリームス時代の先輩がいるとこのこと。
泉孝介は始めは久良高等学校にしていたが、桜雲高等学校が阿部隆也三橋廉だけなので阿部隆也へのお目付け役として志願して久良高等学校から桜雲高等学校に変える。

久良高等学校に行った田島悠一郎と西広辰太郎は、男子マネージャーの松本(まつもと)に案内されて荒川シーブリームス時代の先輩の捕手の藤原仁(ふじわらじん)に会いデータ活用法を訊ねる。
田島悠一郎はその物怖(ものお)じしない性格で自分の聞きたいことをどんどん質問する。
ただし、データ活用法はイップスになる前は捕手だったとのことでマネージャーが教えるとのこと。
久良高等学校の左右のエース寺田(てらだ)と高科(たかしな)の球を打席に立って見終ったとこに作田亨央(さくたたかお)部長が来て案内役となり、データの活用法も教えるとこのこと。
作田亨央部長の案内で稲田一真(いながきかずま)監督に会うと、稲田一真監督は作田亨央部長が一度久良高等学校を辞めたことに関連して常勝監督の辛さを話す。
稲田一真監督は久良高等学校一筋の春2回夏2回の全国優勝を含む甲子園通算52勝の大監督である。
優勝すると周りから一挙手一投足が注目されその功罪で大いに苦しめられたが、それを自分のしたいことをするということで乗り切ったとのこと。
一度久良高等学校を辞めた作田亨央部長が戻ってきたのは、甲子園の魔力とのこと。
データ活用法に関しては、作田亨央部長のメモに西広辰太郎が興味を示す。
なお、久良高等学校の選手は作派と稲派に分かれそれぞれ個性を出しているとのこと。

神奈川県立松ヶ丘高等学校に行った花井梓と沖一利と巣山尚治は、大場宗志郎(おおばそうしろう)監督に案内されて選手の練習を見る。
3人はちょっと違った練習方法なので大場監督に質問すると、その選手(ポジション)にあった効率的な練習をしており、また自分は久良高等学校出身なので久良高等学校の練習方法を参考にしているが体力能力の差でその練習量は2/3しか出来ないとのこと。
それほど久良高等学校が凄いからこそ他の学校で久良高等学校を超える野球をやってみたいとのこと。

神奈川県立逗子萬翠高等学校に行った栄口勇人と水谷文貴と篠岡千代は、女子マネージャーの大塚(おおつか)の案内で練習を見る。
大塚が練習を説明しているとこに部長?の岩村正志(いわむらまさし)が来て案内を代わる。
逗子萬翠高等学校は7時半には完全下校で練習時間が短いので基礎練を重視するとのこと。
そして、岩村正志が監督の宮武由倫(みやたけよしとも)のとこに連れて行き、宮武由倫が3人の対応をする。
宮武由倫は社会人を経験しているので、そこから人に感謝することを知ったと言う。
それが自発的な挨拶やゴミ拾いになったとのことである。
そして、何かに気づくことができる人こそものごとに打つ勝てると言う。
岩村正志が言うには、宮武由倫が監督になってから8年間部員は一人もやめていないとのこと。
篠岡千代は、聞いた話のすべてをせっせとメモに取る。

桜雲高等学校に行った阿部隆也三橋廉と泉孝介は、伊藤論(いとうまさる)監督に挨拶されその後は選手兼マネージャーの安永(やすなが)に案内される。
伊藤論監督が言うにはうちの選手は落ちこぼれの集まりとのこと。
その落ちこぼれの選手たちは自分たちを拾ってくれて好きな野球をやらせてくれる監督を信頼してついていくとのこと。
球速を測定しているとこに、部長の玉井佑哉(たまいゆうや)が来て今度は玉井佑哉が対応してくれる。
玉井佑哉は泉孝介のスイングを見てバッティングの傾向を当てたので、阿部隆也は色めきたってデータの活用法を聞くが、データの活用は時間がかかるとのこと。
そのことから、玉井佑哉は勝つことを熱く語り、3人をソフトボール部に連れて行くとそこには伊藤論監督がいた。
伊藤論監督が言うには、出来ると信じさせればかってに上手くなっていくので、どうやって出来ると信じさせるかをいつも考えているとのことである。
その一つの例として、何か出来難い課題を与えてそれをクリアさせることによって自分は出来るという自信を植え付けるとのこと。

みんなは7時半に桜木町に集まってからコスモワールドに行く予定だったが、栄口勇人と水谷文貴と篠岡千代組以外は、まだ見学学校にいるので中止となり篠岡千代は栄口勇人と水谷文貴に明日の報告会のプレゼンの仕方の提案をする。

電車での帰りの阿部隆也は収穫ありと喜んでいるが三橋廉はなぜが落ち込んでいる。
そこで、泉孝介が阿部隆也に三橋廉が落ち込んでいるのをコスモワールドに行けなかったからだと説明すると、阿部隆也はなんでそんな無駄なことでがっかりするんだとあきれる。
そして、三橋廉のその本質は野球以外でみんなでつるみたかったんだと泉孝介が言うと、三橋廉も阿部隆也もその指摘に感心する。
そんな流れから、阿部隆也は三橋廉の群馬の高崎の実家まで歩くことをイベントとして提案すると、三橋廉は俄然やる気が出て、早速祖母に電話してみんな(男10人)が泊まれるように手配する。
ということで、阿部隆也と三橋廉の間では歩くことが決まった。

(以上、第61回「神奈川」)


☆所感

神奈川の高校の野球部の見学は、最終的に久良高が田島悠一郎(たじまゆういちろう)と西広辰太郎(にしはらしんたろう)、松ヶ丘が花井梓(はないあずさ)と巣山尚治(すやましょうじ)と沖一利(おきかずとし)、逗子萬翠が栄口勇人(さかえぐちゆうと)と水谷文貴(みずたにふみき)と篠岡千代(しのおかちよ)、桜雲が阿部隆也(あべたかや)と三橋廉(みはしれん)と泉孝介(いずみこうすけ)となったが、面白かったのは、桜雲に阿部隆也と三橋廉だけが行くとなると、栄口勇人は「他には?」花井梓は「アレ・・・2人のみ?」篠岡千代は「他校でどなりちらしたり」水谷文貴は「ウメボシしたりしない?」と一様に不安を覚えます。
これで、他の部員に阿部隆也がどう思われていうのかがよく分かります(笑)
ようするに、阿部隆也は悪なのです。
どんな世界にも悪がいてこそ善とか正義とかが意味を持ってくるのです。
三橋廉の性格が際立つのは阿部隆也という悪があってのことです。

それにしても三橋廉はどこにいっても災難に遭います。
ここ西浦では阿部隆也にはしょっちゅうぐりぐり(ウメボシ)されるし、百枝まりあにはケツバットにアイアンクロー(鉄の爪)をされてしまいます。
思えば田島悠一郎も阿部隆也にぐりぐり(ウメボシ)されて、百枝まりあにはアイアンクロー(鉄の爪)をされています。
阿部隆也や百枝まりあにとってはこのような行為は信頼と期待の表れなのでしょうか。
人の表現方法は様々です。
逆に三橋廉と田島悠一郎も阿部隆也と百枝まりあには信頼と期待を持っています。
思えば、最近百枝まりあのアイアンクロー(鉄の爪)はほとんどみなくなったのだが、信頼と期待があまりなくなったのでしょうか。それとも新部員用に温存しているのでしょうか(笑)

さて、この2人(阿部隆也と三橋廉)だけではと心配して泉孝介が久良から鞍替えしていっしょに行くことにしました。
泉孝介は同クラスということで三橋廉のことはそれなりによく分かっているし田島家によくいっしょに行くのでそれなりに阿部隆也のことも分かっているということでしょう。
さすがに篠岡千代は阿部隆也といっしょに行くとは言えなかったということです。
この泉孝介の申し出に、花井梓が「一人でダイジョウブか」と言うのが実に笑ってしまいます。
阿部隆也ってどんだけ悪玉菌なんだって感じです。

この編成では逗子萬翠がちょっと心配かなと思いました。
水谷文貴は篠岡千代といっしょだからシーパラやコスモに行く方に関心がいっている可能性があるし、栄口勇人だけだと適確な情報を持って帰れるか心配ということです。
でも、篠岡千代は阿部隆也の為ということで熱心にメモとか取っているしいままでのデータ取りの経験などを活かして有益な情報を取ってくるでしょう。
実際、7時半完全下校という学校側の事情もあり逗子萬翠組だけが、桜木町の集合ということになってしまい、水谷文貴は篠岡千代がいるのでそれとなくコスモワールドに行こうと言うが却下されます。水谷文貴は7時半完全下校だから逗子萬翠にした?
やはりこの組では篠岡千代が一番しっかりしていて2人に指示を出しゴミ拾いのプレゼン作りをします。
このゴミ拾いだが、阿部隆也や田島悠一郎はめんどくさいっていいそうな気もするので、とりあえずはしたい者がするっていうことになりそうですが・・・

さて、見学の帰りにこの悪の阿部隆也がまたしても独断専行をしてしまいます。
埼玉から群馬の高崎までの2日がかりの歩きを決めてしまったのです。
本来なら、4つの高校に見学に行っているのだから、各高校の報告を受けてから、自分たちの今の現状と最終的な目的とを整合して今の自分たち将来の自分たちに何が必要で何が不要かを選択すべきです。
各高校にそれぞれのやり方があるのは自分たちにあったやり方をしているということです。
単純にあれもこれもと取り入れたら虻蜂取らず(二兎を追う者は一兎をも得ず)になってしまうでしょう。
だから、阿部隆也はそういうことをしたいということで、翌日(篠岡千代によると翌日に報告会があるとのこと)に提案するなら問題ないが、それをここで2人だけで決めてしまったということです。
さて、そうなると翌日にこれが承認させるかということになるが、おそらく承認され実行に移されるのでしょう。

阿部隆也と三橋廉はこの企画の提案者だから当然であり、三橋廉の「兄ちゃん」である田島悠一郎は三橋廉が喜ぶことなら問題ないし三橋廉の祖父母に会えるってことにも型破りな歩くってことにも興味をそそられるでしょう。
篠岡千代は阿部隆也が提案することならあえて反対はしないでしょう。
篠岡千代が反対しないなら水谷文貴は反対はしないでしょう。
栄口勇人は阿部隆也と中学時代同じ学校だったということもあり静観という立場でしょう。
そんなことでここらへんは広義の阿部派といえるでしょう。

沖一利は阿部隆也を怖いとも思っているのでよっぽどのことがない限り阿部隆也のすることに疑義など唱えないでしょう。
巣山尚治はいまいちとらえどころがないのでよく分からないといえます。
西広辰太郎は田島悠一郎を尊敬しているので田島悠一郎がすることなら反対はしないでしょう。

そんなことでこのことにあえて疑義を挟むなら花井梓と泉孝介ということになるでしょう。
しかし、泉孝介は阿部隆也と三橋廉が提案して決めた時にいながらそれを止めなかったということで当事者ともいえるので表立って疑義を挟めないでしょう。
というより、この発端を作ったのは泉孝介といえるでしょう。
泉孝介は阿部隆也が暴走しないようにするお目付け役だったのに、最後の最後でよけいなことを言って阿部隆也を暴走させてしまったといえるでしょう。
帰りの電車の中で三橋廉のことを阿部隆也に振ってしまったために、阿部隆也がどういう訳か三橋廉の気持ちに応えようと思って阿部隆也らしい無茶振りをしてしまったということです。
阿部隆也の悪の怖ろしさ(性格の悪さ)を甘く見ていたということでは、泉孝介もまだまだ修行が足らんということでしょう。
ということで、このことに表立って疑義を挟むのは花井梓一人ということで、民主主義の多数決の原理によって阿部隆也の独断専行がまかり通ってしまうということです。

花井梓と泉孝介は、百枝派といえるでしょう。
花井梓ははっきりと、「カントクを勝たせたい」(第33巻132頁)と言っているのだから間違いないでしょう。
が、泉孝介はこれまでそういう素振りは見せていないが、今回でも花井梓に確認しようとしているとこからもその匂いがします。
まぁ、最低限でも主将に連絡をするということは常識といえば常識だが、それでも花井梓に連絡しようということは花井梓ひいては百枝まりあ(ももえまりあ)の顔を立てようということだから。

もうひとつ気になっていることは、スカウトの時(第33巻第59回「はじまりの冬」)に百枝もりあ(と志賀剛司(しがつよし))が始めに泉孝介の学校へ行き最後に花井梓の学校へ行ったが、結局この2人のとこしか入部したい選手の紹介がなかったということです。
これにかなり違和感を持っていました。
作者は、先の崎玉戦のように冗長といっていいくらいに微に入り細に入り記述するのに、ここ2年ほどの西浦を左右する今年の人材のスカウトをあっさりと記述しているのです。
本来なら14人全員を詳細に記述すべきところでしょう。
ほんと、これからの西浦にとってどれだけの価値を持つのか分からない崎玉戦よりこの14人を詳細に記述して欲しかったです。
なんたって、今の10人ではどれだけ頑張っても全国制覇(甲子園優勝)は出来ないのだから。
三橋廉程度の投手一人で全国制覇なんてしたらほんとに漫画です(笑)
この14人が西浦の躍進の鍵を握っているといっても過言ではないでしょう。
それをしなかったのは、百枝派の花井梓と泉孝介をここで印象づけようということなのかも知れないとか思ってしまいます。

なお、田島悠一郎を広義の阿部派としたがこれは三橋廉の「兄ちゃん」だし、野球や勝ちに貪欲ということが阿部隆也ととりあえず似ているからです。
田島悠一郎は(野球の)天才だから、何からも自由です。何からも自由だから既成の概念に囚われることなく物事の本質が見えるのです。
田島悠一郎が信奉するものは田島悠一郎でしかないです。
どこかの派閥に属すとか言うのは、自分を信じられないから自分よりも優れたものを信奉するということです。
普通の人は自分以外の何かに頼らなければ自分を支えることが出来ないということです。

ということで、この西浦には阿部派と百枝派が暗躍していて阿部派が優位であるが、百枝まりあとしては問題ないでしょう。
阿部隆也の言動はどのようなものであっても勝つということでは共有できるからです。
百枝まりあとしては、今のところは阿部隆也がどんな行動をしてもお釈迦さんの手の平で暴れている孫悟空ということでしょう。
もし、阿部隆也の傍若無人ぶりによってチーム内に不協和音が生じても、第1巻第2回「キャッチャーの役割」であったようにそれを解消する自信もあるということでしょう。
百枝まりあの人心掌握術はこれまた天分と言っていいものでしょうから。

そんな阿部隆也にしてもデータの収集や分析を同期のものに振ることは出来ないということです。
色々なことからデータの収集や分析は西広辰太郎が向いているといえるのだが、阿部隆也にそういう指向はまったくないように思われます。
また、百枝まりあにもそういう指向はないように思われます。
西広辰太郎をデータ処理班のリーダーにするのは一体誰なのだろうか。
本人か阿部隆也か百枝まりあかもしかしたら志賀剛司かも知れません。
誰の発案であってもこの西浦で西広辰太郎の能力をもっとも生かせるのはデータ処理だと思う。

三橋廉は野球以外でみんなとつるみたいということだが、変われば変わるものです。
第1巻第2回「キャッチャーの役割」では、みんなのマクラ投げにも参加することなく部屋の隅っこで悶々としていたのに・・・
三橋廉は阿部隆也のように人といるより野球やっていたいというのとは違って、普通に友だち付き合いしたいということだろう。
ここらへんは一人っ子だったり内気な性格だったりしてなかなか自分から友だちになることが出来なかったということだろう。
それが少なくとも今は野球ということで友だち的なことが出来ているので、もう一歩野球以外でも友だちになりたいという欲求が強いのだろう。
野球だけでなく普通に友と語らう青春が送りたいということなのだろう。
しかし、幸か不幸か今よく話をしているのは阿部隆也と田島悠一郎ということです。
この2人は普通の人からみたら(野球の)奇人・変人(天才・秀才)だから辛いとこもあるといえます。
普通に会話することが出来るようになるには普通の人と友だちにならないとということです。
ここらへんの本能的なことでみんなとつるみたいのかも知れません。
だって、幼馴染の叶修悟(かのうしゅうご)と三橋瑠里(みはしるり)と浜田良郎(はまだよしろう)を除けば、この西浦のナイン以外で友だち的に知っている人がいないんだもん。

この4校を見学して得るものがあったのだからそれを検証する意味をも含めて練習試合の申し込みをすべきだったと思うが、それがなされなかったのはちと残念でした。
まぁ、これでコネができたということで今後練習試合の申し込みなどするのかもしれませんが・・・
それとも西浦ナインは話だけで単純に信じるほど純情ということなのか。

百枝まりあがこの高校入学受験の期間、選手の自主性にまかせたのは新部員の入部に備えたのではないかと思います。
これからは、新部員(1年生)を今の選手(2年生)が導いていかなければいけないのでそういう意味での自主性を養うということなのでしょう。
新部員をどういう方向に持っていこうかと考えているのは阿部隆也と田島悠一郎くらいなのか。

自分の好きなことをやっているのが一番楽しく幸せといっていいでしょう。
とはいっても、ほとんどの人が自分の好きなことって分からないといえます。
自分探しを出来ないといっていいでしょう。
自分探しはとても厳しくつらいことだから。
そんなことで他者に乗っかっていたら楽ということです。
阿部隆也や田島悠一郎や百枝まりあは自分の好きなことをやっているといっていいでしょう。
だから、悔いなど起こりません。
ただ、ひたすら突き進むだけです。
それは、他者から見たら独善と映ることもあるでしょう。


☆補足

次回(第36巻)で、この神奈川の見学の報告がなされるが、西浦ナインがどのようなことを適用するのか今から楽しみです。

★次巻予告!!★では、三橋ンち(埼玉)から歩いて歩いて歩いて食べて歩いて歩いて歩いて・・・三橋ンち(群馬)まで行ってきます!!ということになっているので、阿部隆也・三橋廉連合軍の提案が採択されたということのようです。
でも、これがガセネタだったりして・・・(笑)

ここでお弁当(おにぎり)を持った篠岡千代が描かれているので、篠岡千代は車か公共交通機関を使ってどこか公園とか広いとこでお弁当を持って待っているということでしょう。

阿部隆也の概算では80km弱ということなので、朝6時に出発して夕方6時に着くと想定し昼休み1時間を除くと11時間の行軍となり、80km÷11時間=7.27km/時間となり、かなりのハイペースということになります。
果たして全員無事に往復できるのでしょうか。


おおきく振りかぶって
漫画版のHP(アフタヌーン公式サイトから)は
 https://afternoon.kodansha.co.jp/c/oofuri.html
ウィキペディアは
 おおきく振りかぶってhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%8A%E3%81%8A%E3%81%8D%E3%81%8F%E6%8C%AF%E3%82%8A%E3%81%8B%E3%81%B6%E3%81%A3%E3%81%A6
 おおきく振りかぶっての登場人物;https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%8A%E3%81%8A%E3%81%8D%E3%81%8F%E6%8C%AF%E3%82%8A%E3%81%8B%E3%81%B6%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%AE%E7%99%BB%E5%A0%B4%E4%BA%BA%E7%89%A9
です。


本記事の参考HP一覧
ウィキペディア(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8
アフタヌーン公式サイト - 講談社の青年漫画誌(https://afternoon.kodansha.co.jp/
アマゾン(https://www.amazon.co.jp/


収穫
20210511火 収穫


Enterに戻る


おおきく振りかぶって 漫画 第34巻(現在全34巻)

おおきく振りかぶって」の第34巻(2020年12月23日発売)について書きます。
なお、準拠する漫画版は電子書籍のキンドル版(https://www.amazon.co.jp/dp/B074CDR5MF?ref_=dbs_s_ks_series_rwt)となります。

西浦ナインの2学期が終わり、冬休みになり埼玉と約束していた郵便局の年賀状仕分けのバイトをし、年明けには初詣をし、3学期が始まり、また新たな気持ちで練習をし、バレンタインデーでは三橋廉だけがチョコレートをもらい、須山尚治がマカロンを作りお世話になった人たちに配ります。
阿部隆也篠岡千代の西浦への入学そして野球部への入部の経緯(いきさつ)も語られます。


☆あらすじ

2学期が終わり、西浦ナインは練習後、埼玉(さきたま)と約束していたさいたま新都心郵便局の年賀状仕分けのバイトに行く。
埼玉の石浪智也(いしなみともや)と再会した田島悠一郎(たじまゆういちろう)はARCの攻略法の話をして結論は長打で相手に威圧を与えるのが効果的ということになり、長打の打てない田島悠一郎はちょっと落ち込むが石浪智也が背の低い者でもホームランを打てたという記事を見せると元気を取り戻す。
今年最後の日(31日)に打ち上げをして、帰る時に田島悠一郎三橋廉(みはしれん)に花井梓(はないあずさ)が百枝まりあ(ももえまりあ)に恋心を持っているというのは俺の勘違いだというが三橋廉は呆けている。
その三橋廉を見て阿部隆也(あべたかや)がもう一度蒸し返すと、三橋廉阿部隆也が百枝まりあを好きというようなことを言う。
もちろん、今は野球以外に関心のない阿部隆也はそんな恋沙汰はきっぱり否定する。
でも、野球部の恋愛評論家の泉孝介(いずみこうすけ)は「恋は落ちるもの」と言って3人をびびらす。
珍しく自転車でいっしょに帰る三橋廉阿部隆也は来年と再来年も共に歩むことを誓うが、阿部隆也の三橋廉への小言(日常への細かい指示)は相変わらず続く。
年が明け、阿部家では祝杯から始まり弟の阿部旬(あべしゅん)の進学校の話に母親は西浦より偏差値の高い春日部市立を推挙する。
阿部旬は兄の阿部隆也と要望したキャッチボールをしながら、兄の西浦での野球生活の充実ぶりを見てなぜ西浦を選んだかを聞くと、兄は話し出す。
阿部隆也は行ける範囲で野球部のあるとこを偵察に行ったら、西浦では百枝まりあが走ってきて阿部隆也が入る頃にはグラウンドを整備しておくからいっしょに野球しよと勧誘される。
それで気になって様子見をしていたら、だんだんをグラウンドらしくなっていったので何か妖気にほだされていっしょにマウンドを作ってしまったとのこと。
そして、阿部隆也も「ああ!監督を勝たしてやりてえよな!」と思う。
三橋廉の元旦は群馬の祖父のとこに新年の挨拶に行き三橋瑠璃(みはしるり)や叶修悟(かのうしゅうご)と久しぶりに再会する。
叶修悟は三橋廉とキャッチボールをしながらそれとなく三橋瑠璃との関係を聞き出し、三橋廉に恋心はないことの確認をとる。
三橋廉と叶修悟はその後お互いの投球技術を交換しあう。
2日には野球部全員で近くのお寺で初詣し、その後今年の初練習をする。
百枝利昭(ももえとしあき)は三橋廉に膝をついて上半身だけで投げることも指示し、田島悠一郎にはどんな球でも打てるバッティングの確認をし、トスでは問題なく打てるので確実な手応えを感じる。
百枝まりあはナインの自主性を養う為に、高校入試期間の約1週間の生活は各自の管理に委ねる。
郵便局でのバイトの最終日、花井梓は埼玉の主将の沢村真人(さわむらまさと)に入試期間中の休みについて聞くと、埼玉はみんなで東京ディズニーランドあるいは富士急ハイランドに行くとのことで自分たちにはそういうことはないからとちょっぴり羨ましくなる。
とある日、巣山尚治(すやましょうじ)の作ったおせちを食べながら、花井梓は入試期間中の過ごし方で埼玉の例を話すがやはりみなの賛同は得られない。
そんな中、阿部隆也は神奈川県の強豪校の練習を見学に行くことを提案すると、帰りにはシーパラダイスやコスモワールドに寄れるということもあって全員賛同する。
そして、阿部隆也は篠岡千代(しのおかちよ)に分析用のアプリを見せ共有しデータ班を作ることを提案し、「一人で集計大変だったもんな」と労(ねぎら)いの言葉をかけると、篠岡千代は真っ赤になり心の中で念仏を唱える。
また、篠岡千代田島悠一郎に兄の田島康太郎(たじまれんたろう)の審判の講習会の日程を聞き日取りを予定する。
その篠岡千代の手際の良さを見て、田島悠一郎はマネージャーになった理由を聞くと、篠岡千代は母の影響もあり高校野球のマネージャーになるのが希望だったとのことで、今は楽しく充実しているとの返事が少し間をおいて発せられる。
それを聞いた水谷文貴(みずたにふみき)は自分のこの先を考え心の中で念仏を唱える。
バイト代は百枝まりあに渡し3学期が始まる。
通学中の篠岡千代に友井紋乃(ともいあやの)と小川美亜(おがわみあ)が話しかけバレンタインデーの話になりそれを偶然聞いた水谷文貴がチョコ禁止をお願いすると、その変な行動から部内恋愛禁止の話題となり篠岡千代は自分が部員に手を出さないように恋愛禁止ができたのではないかと言いつつそれよりもマネージャーが少なくとも一人欲しいと宣言する。
そこから篠岡千代が西浦を選択した話になり、篠岡千代は野球部のマネージャーになりたいので野球部のあるとこと言ったら進路指導の先生から西浦に野球部があるような話を聞き、阿部隆也に確認するも要領を得ず栄口勇人(さかえぐちゆうと)に聞くと来年から野球部が始動するということで西浦も選択肢のひとつとなるが栄口勇人に比べて阿部隆也はそっけなく嫌われているのかと思う。
篠岡千代が野球部に入部してからも阿部隆也はそっけなかったので怖いと思っていたが、三橋廉のことを大事に思っているのを見てすこしずつその怖さがなくなると共に野球に対する情熱に惹かれていく。
そんな阿部隆也から神奈川の高校の私学2つと公立2つの見学の連絡を頼まれると、ますます阿部隆也に惹かれていくが憧れのままでいいとも思う。
2月11日、西浦ナインは田島康太郎の審判の講習を埼玉のナインと共に受ける。
各々審判をやってみると結構微妙な判定もあったりするが、そういう時こそ自信を持って自分の思った判定を告げる必要があると田島康太郎に言われる。
ラインアウトやインフィールドフライなどの判定の質問もする。
最後に田島康太郎からの審判をやってみたい人との問いには埼玉の主将の沢村真人が名乗りを上げる。
バレンタインデーでは、三橋廉は女子2人から夏の感動のお礼としてチョコを差し出されるとあたふたしてしまうが泉孝介(いずみこうすけ)のフォローで無事に受け取る。
結局この日には三橋廉だけが3人からチョコをもらう。
みんなはそのことにびっくりするが、みんなにも巣山尚治からマカロンのバレンタインが差し出される。その出来栄えの見事さを見て篠岡千代はびびりすらする。
みんな大満足でマカロンを食べる。
巣山尚治はそれを見てダンス部とブラバンに夏のお礼として持って行きたいと言うと、水谷文貴や西広辰太郎(にしひろしんたろう)の援護射撃もあって花井梓を伴ってお礼のマカロン渡しに出かける。
ダンス部は女子だけなのでがちがちに緊張しながら花井梓が友井紋乃の名を呼び巣山尚治がマカロンを手渡す。
友井紋乃や小川美亜はびっくりするが、お礼は夏の応援でと言うとダンス部のみんなは快く受け取ってくれる。
そんな状況を見ていたダンス部の越智先輩(おちせんぱい)は、マカロンを食べなから「すやま君・・・」と心の中でつぶやく。
阿部隆也と三橋廉と田島悠一郎の3人は一緒に背を計ると皆同じくらいの伸びであった。
そこで、阿部隆也が三橋廉にチョコを断ったかと聞くと、やはり三橋廉が呆けているので田島悠一郎がフォローに入り「アイドルにチョコあげるみたいなカンジ?」と言うと阿部隆也は納得したが三橋廉の呆けは直らない。
田島悠一郎は自分もチョコを貰いたいので甲子園優勝したらいっぱい貰えるという話を2人に振るが2人からは梨の礫(なしのつぶて)で気が抜けてしまう。
百枝まりあは守備の目的はランナーをアウトにすることと言って、より実践的な練習をする。
練習終了後、花井梓は百枝まりあに入試期間中の過ごし方を話そうとすると、百枝まりあが変顔をしてそれを制したので変にドキドキする。
阿部隆也から神奈川の見学に行く高校が発表され、全国区の久良高(くらこう)(私立)と甲子園の射程にある桜雲(おううん)(私立)とベスト8常連の逗子萬翠(ずしばんすい)(公立)と去年の夏ベスト4の松ヶ丘(まつがおか)(公立)となった。(第60回「はじまりの冬2」)


☆所感

田島悠一郎(たじまゆういちろう)にホームランが打てるかと言うと打てると思います。
もちろんホームラン打者のようには打てないがゼロということにはならないでしょう。
今の田島悠一郎の打撃は自分の小さい体とその才能を活かしてのミート打法だと思います。
これを大振り(フルスイング)の打法にすればホームランを打てます。
ただし、大振りにするにはかなり筋力をつける必要があると思います。
今の細い体では豪速球を大振りした時にどこか体を痛める危険性すらあるでしょう。
例えば、止まっている車に時速60kmの車が衝突するのと両方が60kmを出していて衝突をするのではその破壊力の差は察しがつくでしょう。
今の田島悠一郎のミート打法は三橋廉(みはしれん)のコントロールが良いのと同じでようなものでしょう。
力をセーブしているからこそのどのような球にも対応できるということです。
例えばバンドは球を追ってバットに当てるから確実に当てることが出来ます。
田島悠一郎はこのバントと同じようなことをバットを振っても出来るのです。
それは、逆にいうと大振りでないから出来るともいえます。
田島悠一郎がどんな球でも打てるのは動体視力が並外れて優れているからです。
だから球を追いかけて振れるのです。
だからこそ、三星戦で叶修悟(かのうしゅうご)のチェンジアップをフォークを待っていたにもかかわらず打てたのです。
だが、これは大振りになるとそうはいきません。
大振りになるといくら田島悠一郎でも球を追うことはできないでしょう。
大振りの場合は狙い球(来る球を予想)をしていないと打てないでしょう。
だから、大振りの花井梓(はないあずさ)は狙い球が外れると空振りしてしまうのです。

では、大振りをすると田島悠一郎のどんな球でも打てるミート打法はどうなるのかいうことですが、田島悠一郎なら大振り打法とミート打法を器用に使い分けることができるでしょう。
例えば、走者がスコアリングポジションにいるような時は、ヒットで1点が入る確率が高いのでミート打法で、それ以外の時は大振り打法でというような具合です。
そういう状況判断を田島悠一郎は出来るので、身長を気にするより筋肉をつけて相手の豪速球に大振りが耐えうるような体を作って欲しいと思います。
この伏線が埼玉の石浪智也(いしなみともや)だと思います。だからこそあれほど執拗に石浪智也が描かれたのでしょう。

ホームラン(本塁打,4塁打)の有用性として、例えば1試合4打席あるとしてA選手は4打数4安打の単打(シングルヒット,1塁打)でB選手は4打数1安打のホームランだとすると、どちらも塁打数としては4だが大きな違いはB選手には打点1がつくということです。
つまり、A選手は4安打も打っているが点を挙げることはできないがB選手は1安打でも点を挙げているということです。
野球は最低でも1点を入れないと勝てないゲームなのでそういうことではB選手は1安打だがホームランということで勝利に対して直接的にかなり貢献しているといえるでしょう。
極端な例でいうと、Aチームは毎回2安打の単打を打って9回で18安打を放っても0点でBチームはたった1安打だがその1安打がホームランで1-0で勝ったというようなことも起こりえるということです。
ここにホームランの威力というものがあります。

しかし、何事もそううまくはいかないということで、ホームランというのはそんなに出る(打てる)ものではありません。
プロのホームラン打者といわれるものでも年間40~50本くらいが上限です。
(なぜならあまりホームランを打つと埼玉の佐倉大地(さくらだいち)を阿部隆也(あべたかや)が敬遠したように勝負を避けるようになるからです。)
年間試合を160くらいだとすると、3.2~4試合に1本くらいです。
まぁ、もちろん8人の打者が20本以上ホームランを打てるようだと確率的には1試合に1本ホームランを打てることになるから超強力打線ということになるけど現実にはそんなことは起こらないでしょう。
だから、現実的にはホームランよりもスコアリングポジションにランナーを進めることが重要になります。
単打のあとの送りや盗塁や連打やそして長打としては2塁打などです。
2塁打は長打としてはホームランよりは出やすい(打ちやすい)ので2塁打が打てる打者は貴重な打者といえます。

百枝まりあ(ももえまりあ)との関係について、田島悠一郎は花井梓を三橋廉は阿部隆也を恋愛対象として想定(妄想?)したのは、おそらくエロ本やエロビデオの見過ぎからきたことだろう。
少しでも関心がある態度を取ると、そういうエロ話が好きなものは男女の関係として捉えるということなのでしょう。
とはいっても、まったく的外れでもないでしょう。
確かに花井梓は百枝まりあに他の部員が持っていない感情を持っていることは確かだし、阿部隆也と百枝まりあは似たもの同士ということはあるのだから。
直感的にはそれなりに当たっていることを言っているといえるでしょう。
教師と生徒が恋愛関係になることもあるのだから、監督と選手が恋愛関係になってもそれほど縁なきことではないのですが。

でも、阿部隆也の線はほとんどないでしょう。
阿部隆也が監督はいっしょうけんめいとか言っても客観的で悪く言えば上目線の言い方にすら聞こえるのだから。

阿部隆也が西浦を選択した理由がそれなりに明らかになったのだが、阿部隆也はなぜ西浦を見に行ったのだろうか。
西浦に野球部がないというのは知っているのだからわざわざ行く必要はないだろう。
それでも行ったのは場合によっては自分が野球部を作ってもいいと思っていたのだろうか。
この時点で宿敵の榛名元希(はるなもとき)が無名の学校に行ってそれなりの実績を挙げていたので、それに対抗するためには1年の時からレギュラーになるのが最低条件ということなのだろう。
ここらへんは弟の阿部旬(あべしゅん)が春日部市立に行く場合に「あんなとこでレギュラーとれっか?部員70人以上だろ?」とか言っていることでも推測できるだろう。
おそらくレギュラーになれてそれなりの野球での成績も見込めるとこを探していたのだろう。もちろん、阿部母の言動からも偏差値の低いとこはダメなので選択肢はそんなに多くはなく野球部なんかはない西浦なんかも見ていたのだろう。
それとも特に理由はなくなんとなく歩いていただけなのだろうか。
いずれにせよそこで百枝まりあと出会ったのが運の尽きということなのだろう。
それにしても大バクチの大バクチということだったろう。
だって部員が9人集まることだって不確かだったのだから。
阿部隆也は「ちょっとした奇跡」だといっているが、そういう状況から考えると阿部隆也にとってはちょっとどころではない奇跡といえるでしょう。
9人集まってなかったらどうなっていたのかと思うと、秋丸恭平(あきまるきょうへい)ではなくとも身震いしてしまうけど・・・

ところで、「ああ!監督を勝たしてやりてえよな!」と思いながら弟を積極的に西浦に誘わないのはどうしたことなのだろうか。
阿部隆也は相手の心理を読むのに長けているから、ここで積極的に誘うと弟がわりと反発したりすることを予想していかにも気のないようなことを言ってそれなりに誘導しているのかもしれません。
それに母親が弟を春日部市立に入れたがっているのでここで西浦を推したら母親とのしこりが出来るということもあって素知らぬふりをしているのかも知れません。

まぁ、阿部隆也の「監督を勝たしてやりてえよな」と花井梓の「カントクを勝たせたい」は表現は似ていてもその実態は大いに違います。
阿部隆也には野球をやる目的(意味)はすでにあり百枝まりあを勝たせるのは野球をやる目的ではないのに対して、花井梓の百枝まりあを勝たせるのは花井梓が野球をやる目的(意味)ということです。
百枝まりあを勝たせたいと言っても阿部隆也は客観的であり花井梓は主観的です。

阿部家の息子は2人とも文武両道です。阿部家ってのはみんなが対等という感じです。お互い自分の思っていること考えていることを言いあってそこから何かを解決していくという姿勢です。理想的な知的中産階級の家庭いう感じもします。
まぁ、阿部隆也はこの中では一番自分のやりたいことをやるすなわち論理的といえますが。

三橋廉が元旦に群馬の祖父のとこに行ったので、久しぶりに三橋瑠璃(みはしるり)と叶修吾に会いました。
ここで三橋瑠璃と叶修悟がお互いを意識していることがそれなりに判明します。
叶修悟が三橋瑠璃の晴れ着姿を見て「スゲーカッコしてんな」なんてのは、可愛い子に石投げろ的な言いように聞こえるし、三橋瑠璃は三橋瑠璃で叶修悟が訪ねて来たことに驚きすぎだし・・・
それに、三橋廉とキャッチボールしている時に三橋廉と三橋瑠璃の関係をあれこれ聞くのなどはその表れだと思われます。
三橋廉が三橋瑠璃になんらかの恋愛的感情を持っていたら叶修悟としてはそれを考慮しなくてはいけないでしょうから。
でも、三橋廉は三橋瑠璃に従姉妹あるいは幼馴染以上の感情はなさそうです。

花井梓が埼玉の沢村真人(さわむらまさと)と話をしていて、埼玉の選手は入試期間中はみんなで浦安の夢の国に行くということで、うちらではそういうことは出来ないだろうと思うのだが、そういうとこに行かないのはおそらく阿部隆也だろう。
阿部隆也は野球以外でみんなとつるむというような発想はあまりないといえます。こういうとこから父親に友だちがいないだろうといわれる所以です。
おそらく人付き合いが悪いというより、24時間、野球に集中しているが故のことなのだろう。
少し阿部隆也と似たとこがある巣山尚治(すやましょうじ)も行かないかもしれません。
そういうことから巣山尚治はプライベートであまり登場しないのかもしれません。
それと反対に、三橋廉や田島悠一郎や浜田良郎(はまだよしろう)と同じクラスということで、泉孝介(いずみこうすけ)はプライベートでちょくちょく登場しています。
阿部隆也はちょくちょく三橋廉のクラスに行くのでその関連で登場します。が、総じて野球関連です。
だから、三橋廉の家庭環境などは興味がないのでほとんど知りません。

阿部隆也がデータ収集できるアブリを見つけ、それを篠岡千代(しのおかちよ)に言ってアカウントを共有します。
そして、篠岡千代に「一人で集計大変だったもんな」と労(ねぎら)いの言葉をかけます。
これを聞いた篠岡千代は赤くなって、心の中で「ナミアブダブツ」と念仏を唱えます。
この念仏を唱えたのは、もしかして初詣の時に去年の合宿のときの朝食作りのような「なんちゅう好運!!」の再来を願っていたのかも知れません。
その願いがこうしてすぐかなったので思わず神仏に感謝したということだったりして・・・
それにしても、阿部隆也が労いの言葉をかけるとはこれまたびっくりです。
いつも篠岡千代からスコアをもらう時には、「おう」とか「サンキュ」くらいだったのに、心のこもった感謝の念を示しました。
阿部隆也も人間的に成長して感謝と思いやりを持てるようになったということです。

これを見て水谷文貴(みずたにふみき)がやきもきします。
まぁ、これは恋する者の共通項でしょう。
恋する者はしばしば自分にだけという独占欲が起こるので、恋してる人が誰と親しくしても妄想を抱いて嫉妬してしまうということでしょう。

阿部隆也が篠岡千代に新部員が入ってきたらデータ班を作ろうと言っているが、データ班には西広辰太郎(にしひろしんたろう)が最適ではないかと思う。
西広辰太郎はもともと野球オタクだからそういう野球に関する客観的な諸々の知識を持っていて、そしてその知識を確認するためにこの1年実戦も経験したのでそれがより確実なものになったでしょう。
そして、頭がいいからそういうデータを有効なものに加工したりすることもできるということです。
もしかしたらデータを分析、加工するアプリを作ったりするかも知れません。

篠岡千代が仲良し2人(友井紋乃(ともいあやの)と小川美亜(おがわみあ))と恋愛禁止の話をしていて、友だちが部員の誰かが篠岡千代に手を出すのを禁止にしたのかと言うと、篠岡千代は自分が部員に手を出すのを禁止だと言います。
これは、部員が篠岡千代に手を出すのを肯定すれば自分が魅力的だというのを誇示しているように聞こえるのであえてそういうことを避けるために言ったともいえるが、もし勘がするどい者だったら、篠岡千代は誰か部員で好きな者がいると思ってもおかしくない所業でしょう。

篠岡千代のマネージャーになった経緯(いきさつ)の話からマネージャーが想像通り楽しいかと聞かれ、ちょっと間が空いたのは、この時に阿部隆也がいるから楽しいと思ったからでしょう。
誰かを好きになったら、その人中心に世界が回るから何でもその人に関連づけてしまうということです。
篠岡千代の阿部隆也への思いは、先に友だち2人と部内恋愛禁止になった話の時も、篠岡千代が誰にも手を出さないという解釈をしているのもそうだし、マネージャーが欲しいってのそうでしょう。
篠岡千代が誰にも手を出さないというのは謙遜であってもここでは阿部隆也を意識しての発言でしょうし、また阿部隆也がデータ班を作るというのでそれに全力投球できるようにするためのマネージャーの勧誘でしょう。
新部員が入ってきたら今より忙しくなるので、いままでのようなデータ作りもできない可能性もあるだろうから。

この篠岡千代の言動などを見ていると、部内恋愛禁止になったのでよけいに阿部隆也への思いが強くなった気もします。
しばしば、人はするなとか言われると、よけいにそれをしたくなったりします。

水谷文貴にとってこれからの2年間は野球も恋愛も試練の時となるでしょう。
2年の春は今のメンバーで戦うでしょうが、夏は新部員(1年生)から何人かがレギュラーになるでしょう。
というか、ならなくては困ります。
新部員(1年生)がレギュラーになるとすると、現部員からの脱落者の候補は水谷文貴、沖一利(おきかずとし)、栄口勇人(さかえぐちゆうと)あたりになるでしょう。
そうなると、水谷文貴の野球人生は後退せざるを得なくなります。ではその分恋愛に力をそそぐといっても部内恋愛禁止だから何も出来ません。
そんなことで、新たな何らかの目的を見つけないと迷い悩める青春となり何も得られない2年間となるかもしれません。
そんなことで、念仏を唱えるのは篠岡千代と同じであってもこちらの念仏は仏頼みの念仏です。

篠岡千代が野球部のマネージャーになったのは、抱いていた願望の実現でした。
そして、西浦の野球部のマネージャになったのは必ずしも意図的なことではなく成り行き的です。
阿部隆也がいるからということではなかったです。
阿部隆也を好きになったのは、マネージャーになって阿部隆也と接するようになり、その阿部隆也の野球に対する一途な姿をみてからのようです。
それでも、阿部隆也に西浦の野球部のことを聞いた時に阿部隆也がそっけなかったことに対して「嫌われているのかな」と思ったのは裏を返せば「嫌われたくない」ということにもなるのでそれなりの関心はあったということでしょう。
何も関心がなければ、何も思わないか思っても「そっけないとか」「不親切だとか」と言う否定的な思いになるでしょう。
まぁ、性格がもともと優しければ相手より自分を責めるということにもなるからそうかもしれませんが。

ただ、この篠岡千代の阿部隆也に対する好きをみていると、憧れというかアイドル的な要素もあるかなと思います。
それは、花井梓の百枝まりあに対する好きと似ていると思います。
この好きな人の役に立ちたいという思いのようであって、今のところは男女の関係でいっしょになりたいとかいうような思いではないといえます。

そんなことで、篠岡千代はそれなりに阿部隆也のことは分かっているという感じです。
とはいっても「へたしたら10日後には告白されたこと忘れちゃうんじゃないだろーか」ってのは、あまりにも阿部隆也が可哀そうだが、篠岡千代は中学の時に阿部隆也に西浦の野球部のことを聞いたのだが阿部隆也がそれをまったく覚えていないということからそういうことを思ったのかもしれません。
そして、そんな阿部隆也を好きというのはよく分かります。
告って、阿部隆也が自分(篠岡千代)にちゃらちゃらなんかしたらかなり失望するでしょう。それは阿部隆也も普通の男子だったということでしかないからです。
今の篠岡千代が好きなのは、野球にひたむきな普通でない阿部隆也なのだから。

この篠岡千代の想いですが、ちょっと違和感があるのは、阿部隆也を好きという理由が三橋廉に関連していることです。
「捕手で三橋君の面倒アレコレみてあげてる阿部君がスキだなァー」とか「すごくやさしいから、三橋君に」とか言っています。
篠岡千代は初めは阿部隆也が怖かったからこういう三橋廉への態度を見て阿部隆也への怖さを和らげているのかもしれませんが・・・
それでも、何か変な感じがしないでもないです。

三橋廉と篠岡千代は似ているとこがあると思います。
例えば、選手たちは名の方で呼ぶようになったが、三橋廉は阿部隆也を名の方で呼べません。
もし、篠岡千代も名の方で呼ぶようになったら、おそらく篠岡千代は阿部隆也を名の方で呼べないでしょう。
千代と呼べば隆也と答えるでは、篠岡千代はその都度三橋廉と同じように挙動不審になってしまうでしょう(笑)
だから、三橋廉に優しくしている阿部隆也は自分に優しくしている阿部隆也と写っているのかもしれません。

三橋廉と篠岡千代が似ており、阿部隆也と百枝まりあが似ているということで、三橋廉と篠岡千代、阿部隆也と百枝まりあ、阿部隆也と篠岡千代の線はあっても、さすがに三橋廉と百枝まりあの線はないでしょう。
でも、百枝まりあは姉御肌のとこがあるので、三橋廉のような頼りない男が意外と合ったりするかもしれません・・・が。

百枝まりあということではやはり気になるのは、現役時代のたったひとりの野球部員です。
このたったひとりの野球部員はどういう思いで野球部に留まっていたのでしょうか。
野球が大好きだったから、それともマネージャーが百枝まりあだったからなのでしょうか。
いずれにしても、それ相応の思いがなければできないことだったでしょう。
そんなことを思うと、百枝まりあの心はこのたったひとりの野球部員と深くつながっていると思われます。
しかも、その野球部員が何らかの志も遂げられず、山の遭難で亡くなったということでそれは更に深くなっていると思われます。
そのくらいの思いがなければ、親(百枝利明(ももえとしあき))の反対を押し切ってまで野球部を立ち上げることはしなかったでしょう。
もしかしたら、百枝利明が反対したのはこのたったひとりの野球部員にこだわっての野球部の立ち上げだったからかも知れません。

三橋廉はバレンタインで女子二人からチョコをプレゼントされるが、相変わらずの三橋廉でこれに対してあたふたするも、ここは泉孝介の助太刀が入り無事に受け取ります。
三橋廉は可愛いから女子に好かれると思います。
こういうあたふたするとこも純情ということでますます女子に好かれると思います。
三橋廉が誰かに告られることもないとはいえない状況になったと思われます(笑)

水谷文貴は篠岡千代を好きだがそれが報われることの可能性はかなり小さいでしょう。
篠岡千代が望んで野球部のマネージャーになったのは、笑ってしまうくらいにひたむきに野球に取り組んでいるそういう球児に憧れあるいは敬意を持っていて手助けをし共に戦いたいということがあると思います。
だからこそ、馬鹿みたいに1日中野球のことを考え取り組んでいる阿部隆也は篠岡千代にとって憧れの高校球児と映っても不思議ではないです。
篠岡千代にとって阿部隆也と一緒に戦えることはこの上もない幸せともいえそうです。
それに比して、水谷文貴は新部員の出来にもよるがレギュラークラスの新部員が入って来たら控えに回ることの可能性は大です。
つまり、篠岡千代の憧れ(敬意)からは確実に外れてしまいます。
ただ、控えに回っても水谷文貴が腐らず、レギュラーの奪還を目指してたゆまない努力を続けるなら、たとえこれからずっと控えであっても篠岡千代の別の意味での憧れの球児になることは出来ると思います。

また、今の篠岡千代が阿部隆也を憧れの球児と見ているなら、現実の恋愛とは必ずしもイコールではないので、男女の関係としての水谷文貴の可能性は残ります。
これから、篠岡千代の気をひくため水谷文貴がどれだけ頑張れるか本編から外れたとこの話ではあるが楽しみです(笑)

バレンタインデーに料理好きの巣山尚治がマカロンを作ってきて、部員に配りその出来は文句のないものでした。
巣山尚治は部員だけではなく、応援してくれた者へのお礼としても大量に作っていたので、最初にチアリーダーの友井紋乃(ともいあやの)と小川美亜(おがわみあ)の二人にお礼としてマカロンをキャプテンの花井梓といっしょに持っていくのであるが、女性ウイルスに免疫のない二人は二死満塁で逆転の場面のような緊張を強いられなんとか手渡すことが出来ます。
このマカロンを二人の所属しているダンス部の越智先輩(おちせんぱい)が興味を持ち図らずも巣山の名を知ります。
とはいっても、この時点で何かが起こることはないでしょう。あるとしても試合を見てみようとするくらいでしょうか。
が、ロマンチックな妄想をすると、巣山尚治は高校生活が終わったらおそらく特技を生かして料理関係の学校に行くと思われます。
そして、月日が流れ、越智先輩が街中を歩いているとなにげなく菓子店が目に留まりそこに入るとマカロンがあって、そのマカロンを見て巣山尚治のことを思い出し、買って食べたら懐かしい味がしたので、作った人の名を聞くとなんとそれが巣山尚治だったということになります。
ここから、越智先輩と巣山尚治が付き合うということにしてもいいし、もうこの時は巣山尚治は結婚していたということで、越智先輩のマカロンはほろ苦い味になったとかいうのでもいいでしょう。
そんなロマンスを予感させる一コマでした(笑)

それよりここで明らかになったのは、巣山尚治と花井梓は女性ウイルスに免疫がないということです。
女性ウイルスにすでに免疫があるのは、水谷文貴と泉孝介でしょう。
水谷文貴は「けっこー楽しい、女子と話すの」といってるくらいだし、泉孝介は篠岡千代とのドロドロ話をしたり三橋廉のバレンタインチョコの受け取りのフォローをしたりするくらい女性に対して普通に接しています。
だから、この二人は篠岡千代に好きという意識があるのでしょう。その好きというのは泉孝介の方が慎重だけど。

問題は花井梓でこのように女性ウイルスに免疫のない状態で、自分が百枝まりあを女として好きという自覚が起こった時はどうなるんでしょうか。
花井梓は百枝まりあの為に勝ちたいという意識が芽生えたので、これからは戦いがある毎に百枝まりあのことを思うでしょう。
今は百枝まりあのことを思っても抽象的な女なので問題ないが、何度も思っている内にそれが具象的な女になったらどうなるんでしょうか。
思っている時に、百枝まりあが女として現れ、おっぱいや尻や太腿が気になってきたらどうするんでしょうか。
それが気になって野球どころではなくなって、凡打やエラーを連発するのでしょうか、それとも百枝まりあにふさわしい男になろうとホームランを量産して甲子園に出場してプロのスカウトにも注目されプロ入りしそれなりの選手になって10年後の西浦の優勝の時には結婚を申し込むのでしょうか。
それとも具象的な女の百枝まりあを意志の力で封印してプラトニックラブを貫くのでしょうか。
こういうことからも、田島悠一郎が「オレが聞いたとこから動き出しちゃわないか?」というのは当たらずといえども遠からずでしょう。
花井梓が女性に対して純情ということでこれからの展開にまたひとつ興味が増えたといえます。

阿部隆也はこの最近、アプリを見せたりデータ班を作ろうといったり神奈川の高校との連絡を頼んだりと篠岡千代と接する機会が増えています。
ただ、これは篠岡千代に何かの感情があるからではないです。
阿部隆也は篠岡千代のマネージャーとしての能力を認めたということです。
つまり、阿部隆也の野球をするには篠岡千代は有用だということです。
阿部隆也は論理的なので人を有用性で判断する傾向があります。
だから、友だちがいないのです。
篠岡千代だってマネージャーとして有用でなかったら見向きもしなかったでしょう。
そういうことでは、篠岡千代は阿部隆也にとって三橋廉ほどではないが必要な人になったということです。
喜ぶべきかどうかは微妙ですが・・・篠岡千代にとって・・・

阿部隆也は三橋廉が女子にバレンタインチョコをもらったことで、「チョコちゃんと断ったか?」と言うのだが、わたしの記憶する限りでは、確か恋愛禁止は部内だけだと思うのだが・・・
部内ということでは、顧問,監督,マネージャー,選手間での恋愛禁止で、部外者との恋愛禁止ではないでしょう。
部内恋愛禁止で部員恋愛禁止ではないと思うのだが・・・
だから、三橋廉が誰かに告られても断らなければいけないということはないはずだが・・・
この阿部隆也の言い方だと三橋廉は野球に集中するために恋愛をしてはいけないというように取れるのだが・・・
三橋廉の兄ちゃんは田島悠一郎で父ちゃんは阿部隆也かというくらいの内政干渉な阿部隆也です(笑)
もしかして、阿部隆也は三橋廉に嫉妬しているのか・・・?
そうか、阿部隆也が部内恋愛禁止に賛成したのは三橋廉を恋愛禁止にするためだったのか・・・

まぁ、このバレンタインチョコは田島悠一郎が言うように「アイドルにチョコあげるみたいなカンジ?」が解でしょう。
バレンタインデーって、愛の告白日っていうより、最近は「感謝を伝える日」って色合いが濃くなっている気がします。
三橋廉にチョコあげた2人もそういう感じだったし、巣山尚治のマカロンなんか完全にそうだし。

田島悠一郎が言うような甲子園優勝でなくとも県大優勝あるいは決勝進出でたくさんチョコもらえると思う。
そうすると、阿部隆也にもチョコ持ってくる者もいると思う。
当然ながら、阿部隆也は「は?」「なんで?」となると思うが、秋丸恭平によると西浦は偏差値が高いとのことなので、理知的で気の強い女子がいてもおかしくないと思う。
そこで阿部隆也の「は?」「なんで?」にも動じず、なんでチョコをあげるか論理的に説明することも十分に考えられます。
そうやって論理的に言われると阿部隆也としては納得して受け取らざるをえません。
阿部隆也は田島悠一郎と違ってチョコをもらったことを言ったりしないが、どこで誰がみているかも分かりません。
そんなことで、回りまわって阿部隆也がチョコをもらったということが篠岡千代の耳に入ったら篠岡千代がどうするんだろう。
なまじっか、阿部隆也は野球一筋っていう堅物的だから、女子からチョコをもらうはずないと思うところもあるから余計にショックでしょう。
部内恋愛禁止だから篠岡千代は三橋廉なみに悶々として眠れぬ夜を過ごすしかないのでしょうか。
でも、篠岡千代の性格から言えば、自分の愛する人が幸せになるのならそれでいいと阿部隆也への思いを持ったままいままでと変わらない日常を送るような気もします。

とは言っても、そういう機会があるのは2年生の時だけだけど。
2年生の時に、決勝まで行けば阿部隆也にチョコレートの可能性もあるけど、さぁどうなんでしょうか。
可能性があるとすれば、榛名元希(はるなもとき)のいない秋の大会ということになるのだが。
3年生の時に、決勝なり甲子園に行ってもその時はもう部内恋愛禁止は無効になっているので、篠岡千代もそれなりの対抗手段を取れるということになります。
というより、篠岡千代が阿部隆也にチョコレートを渡す可能性が相当に浮上しているという状況です。

ところで、県大優勝レベルまで行くには、投手が三橋廉では心もとないです。
そこで新部員が入ったら、本格的に花井梓を投手にしてはどうかということです。
花井梓は体力があるのでおそらく本格的にやれば140km台は出せれると思います。
高校野球では4番でエースというのは珍しいことではありません。
で、エースナンバーの1番は花井梓にし、三橋廉には21番を与えることにします。
そうすると三橋廉はショックを受けて大泣きしてしばらくは引きこもりになります。
しかし、そのうち蜘蛛の糸がぷつりと切れて、三橋廉の地獄の業火が目覚めます。
いままで溜めていた欝憤(うっぷん)を晴らすかのように言動が粗野になります。
阿部隆也に対しては「クソタカヤ」、花井梓に対しては「ヘボテンアズサ」、百枝まりあに対して「オパカン」と憤怒と侮蔑を込めて呼びます。
ベンチにふんぞり返って、後輩にパンや菓子を買いにいかせ、それを食べてるだけで練習も手抜きです。
そのくせ後輩がミスでもしようなら罵詈雑言を浴びせて悦に入ります。
おとなしい子が切れると恐ろしいです。
そんな状態が2週間も続いたある日、三橋廉がグランドにやってくると、みんなが集まっていて、「おめでとう!」というのです。
何かと思っていると、三橋廉にエースナンバーの1番が戻ってきたのです。
なんと、これは三橋廉の弱気な性格をなくすためにみんなが策謀したドッキリだったのです。
このおかげで、弱気な三橋廉はいなくなり、榛名元希なみの阿部隆也とも対等なバッテリーとなったのでした。
っていうこのくらいな荒療治をしないと真のエースにはならないでしょう(笑)

とはいってもこんな大博打の荒療治はできないだろうから三橋廉の性格は・・・でしょう。

でも正直心配です。
こんな性格で社会に出て大丈夫なのでしょうか。
小学生では浜田良郎、中学生では叶修悟、高校生では阿部隆也と田島悠一郎という頼れる人支えてくれる人に出会ってここまでなんとか自分の好きな野球をやれてるけど、社会に出でもそううまくはいくのでしょうか。
プロにでもなれば好きな野球をやれるけど、いまの実力ではなんともです。
好きな野球でもうまく立ち回れないのに、社会に出て野球以外のことができるのだろうか。
社会に出てもいままでのように自分の頼れる人支えてくれる人に出会えるのでしょうか。
確かに三橋廉にはなんというか不思議な魅力があります。
ひたむきというか純粋なとこが。
だから、社会に出てもまた誰か頼れる人支えてくれる人が現れるかも知れません。

しかし、わたしとしては篠岡千代に期待したいと思います。
篠岡千代なら三橋廉の生涯に渡って頼れる人支えてくれる人になれると思います。
篠岡千代が三橋廉を好きなら三橋廉は篠岡千代を好きになります。というか三橋廉は自分でも気づかない心の奥底では篠岡千代を好きです。
さてどうなるんでしょうか。
個人的には三橋廉と篠岡千代が結ばれて欲しいです。
そうすればわたしは安心です(笑)

百枝まりあが守備の目的はランナーをアウトにすることと言って、より実践的な練習をしているのはこの一年でキャッチングやスローイングなどの基礎的なことがちゃんと出来ているということからでしょう。
この基礎が出来ていなくてただやたらとアウトにしようとするとミスをするということになります。
基礎が出来ていない秋丸恭平がランナーをアウトにしようとして暴投するのなどそのいい例です。
というか、この巻での初めての本格的な全員での練習風景でした。

そんなことで、前巻を含めての「初めての冬」の主役は、篠岡千代でした。
まぁ、これは当然といえば当然と言えるでしょう。
選手は試合をやってなんぼですから。
人は総じて何かに集中している時に、もっとも輝くといっていいでしょう。
はっきり言って、選手はオフとオンではその集中度に差があります。
だから、オンでもオフでもその集中度にあまり差のない篠岡千代が一番輝いていてもおかしくないということです。


☆補足

おおきく振りかぶっての主な登場人物を動物に例えるならば、花井梓は犬、田島悠一郎は猫、阿部隆也は狐、三橋廉は兎、篠岡千代は栗鼠(りす)、百枝まりあは牛、榛名元希は虎って感じです。
中学の時の榛名元希と阿部隆也は、「虎の威を借る狐」(http://kotowaza-allguide.com/to/toranoiwokaru.html(故事ことわざ事典から))のような関係だったのでしょうか。

今巻(第34巻)は、物語の季節と現実の季節がほぼ同じです。そんなことで2020年12月23日(水)に発売したのかも知れません。
とはいっても、すぐに現実の季節が物語の季節を追い越してしまうのですが・・・

さてさて、ひぐちアサさんの筆の遅いのはつと有名ですが、いままではわたしの方が追い付いていなかったので、それはほとんど気になっていませんでした。
が、こうやって追い付いてしまうと、ほんと筆(進行)の遅さにちょっとイライラします(笑)

第34巻でまだ新部員が登場しなかったのは分かるが、第35巻でもこの分では神奈川の話で終わりそうなので、第36巻でもまだ3月だからおそらく新部員は登場しないと思われます。
そうすると、新部員が登場するのは早くても第37巻あたりになりそうです。
第37巻といえば今のペースでも来年(2022年)ということになります。
遅い、遅い、早く早く新部員を見たいです(笑)
ほんと人間って我儘(わがまま)だ。当事者になるかならないかで当然ながら大違いだ。

とはいっても、これ(遅い)はこれでいいと思います。
あくまで、「おおきく振りかぶって」はひぐちアサさんの作品なのだから、ひぐちアサさんの納得のいくようにいま思っている考えていることを書き(描き)続けるべきです。
だから、もうこれ以上付け加えることがなくなったら進行は意外に早くなるかも知れません(笑)
ともかく、今は言いたい書きたい(描きたい)ことがたくさんあるからこその遅筆だと思います。

天才と凡人の違いのひとつの目安として理想を信じられるかどうかというのがあるでしょう。
田島悠一郎を見ているとそんなことを思ってしまいます。
おそらくこの西浦で全国制覇(甲子園優勝)を心の底から信じているのは田島悠一郎だけでしょう。
さすがの阿部隆也でも甲子園出場(県大会優勝)をイメージ出来ても全国制覇(甲子園優勝)まではイメージできないでしょう。
百枝まりあも然(しか)りです。
その他の者は出来る理由より出来ない理由の方が先に立つでしょう。
かく言うわたしなどはその最たる者です(笑)
どこをどう考えてもこのメンバーで全国制覇(甲子園優勝)は出来ないです。もう断言できます。
でも、田島悠一郎は何の迷いもなく全国制覇(甲子園優勝)なのです。
もう、こうなったら天才は凡人とは違うとしかいいようがないです。
凡人には天才の頭の中は計れないです(笑)

事例が2つほどしかないので一般化はできないが、父親が男の子に与える影響は大いにあるのかと思います。
やはり、子供にとって家庭環境は相当に大きいといえます。
野球に対して勝つことに対して強烈な意志を持っている阿部隆也と田島悠一郎は小さい頃から父親などの野球環境の中で育ってきたと思われます。
現在の阿部隆也は両親と弟という家族全員が野球に関わっています。父親とは戦略や戦術の話をするし母親は花井母と野球談議に花を咲かすくらいだし、弟はボーイズの捕手ということで、野球が生活の一部です。
田島悠一郎は父親と兄たちが特に野球に関わっています。兄のひとりはアマチュアの審判だしもうひとりは草野球だが野球をやっているということでこちらも野球が生活の一部です。ところで、田島父っていままでに登場したことあったっけ・・・
泉孝介の家庭でも野球の話に花が咲くということです。
花井梓は父親は関心ないが母親がとても熱心です。花井梓の優しさや甘さはこの母親の影響かも知れません。
というか、花井梓が入部の時に「監督が女だから」と言ったのは、この母親のおせっかいにそれなりにうんざりしていたのがあって、監督まで女なので、勘弁してくれよ的な意味合いもあったのかもしれません。

ところが、三橋廉はこのような状況とはまったく違います。両親ともまったくといっていいほど野球に関心がありません。
こういう親もちょっと珍しいでしょう。
ひとり息子が夢中になっているものにほとんど関心を向けないなんて。
ギシギシ荘を転居してからは、野球ということでは外でも内でも孤独だったということだ。
両親が息子のやっていることにもっと関心を持っていたら、他のことは置いといても野球だけにはもっと自信を持っていたでしょう。
他者の目というのは視野を広げてくれる大きな要素だから、色んな見方ができるようになるといえます。
ただ、そうなるとこの物語もコントロールも”まっすぐ”もなかったでしょうけど・・・


ウィキペディアから
 野球;https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%8E%E7%90%83
 打撃(野球);https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%89%93%E6%92%83_(%E9%87%8E%E7%90%83)
 投球;https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%8A%95%E7%90%83
 球種(野球);https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%90%83%E7%A8%AE_(%E9%87%8E%E7%90%83)
 塁打;https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A1%81%E6%89%93


おおきく振りかぶって
漫画版のHP(アフタヌーン公式サイトから)は
 https://afternoon.kodansha.co.jp/c/oofuri.html
ウィキペディアは
 おおきく振りかぶってhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%8A%E3%81%8A%E3%81%8D%E3%81%8F%E6%8C%AF%E3%82%8A%E3%81%8B%E3%81%B6%E3%81%A3%E3%81%A6
 おおきく振りかぶっての登場人物;https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%8A%E3%81%8A%E3%81%8D%E3%81%8F%E6%8C%AF%E3%82%8A%E3%81%8B%E3%81%B6%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%AE%E7%99%BB%E5%A0%B4%E4%BA%BA%E7%89%A9
です。


本記事の参考HP一覧
ウィキペディア(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8
アフタヌーン公式サイト - 講談社の青年漫画誌(https://afternoon.kodansha.co.jp/
アマゾン(https://www.amazon.co.jp/
故事ことわざ事典(http://kotowaza-allguide.com/


2021年(令和3年)年賀
20210101金 2021年(令和3年)年賀


Enterに戻る


おおきく振りかぶって 漫画 第33巻(現在全33巻)

おおきく振りかぶって」の第33巻について書きます。
なお、準拠する漫画版は電子書籍のキンドル版(https://www.amazon.co.jp/dp/B074CDR5MF?ref_=dbs_s_ks_series_rwt)となります。

今季の公式戦が終わり、来期に向けての冬練が始まります。
勝つ目的(意味)を考えた花井梓は百枝まりあの為に勝ちたいと思います。
百枝利昭は以前にも増して西浦ナインの投球や打撃を熱心に教えます。
来期の部員を確保する為に、百枝まりあと部員たちはスカウトを行い西浦へ勧誘します。


☆あらすじ

西浦ナインは練習は午後ということで、崎玉 対 ARC学園の試合を見に行った。
1回の裏、ARC学園が幸先よく1点を先取するもそのあとは打線が沈黙し追加点を上げられず、一方崎玉(さきたま)もチャンスはありながらも得点できず、スミ1でARC学園が勝った。
試合後、西浦ナインは崎玉に会いに行き、主将同士で惜しかったと言い、今日の手ごたえで沢村真人(さわむらまさと)が頑張るというと花井梓(はないあずさ)も呼応して頑張ると言う。
田島悠一郎(たじまゆういちろう)は石浪智也(いしなみともや)とARC学園の投手談義をする。
三橋廉(みはしれん)大好きの佐倉大地(さくらだいち)は一方的に試合の喜びを三橋廉に語る。
阿部隆也(あべたかや)が三橋廉と先の崎玉戦の配球確認をするというのを聞いた田島悠一郎は自分も興味あるので自分家(うち)でやることを提案する。
阿部隆也三橋廉が1球目から配球確認をしだすと、田島家についてきた泉孝介(いずみこうすけ)は自分の出る幕などないとあきれかえり寝てしまい、いっしょに配球確認をしていた田島悠一郎も寝てしまう。
そんな中、阿部隆也三橋廉三橋廉が首を振ったとこまで来て、阿部隆也がなんでと聞くと三橋廉はなんか打たれそうという感覚的なことを言う。
そこで阿部隆也が配球の説明をすると、三橋廉は納得して改めて阿部隆也の凄さを感じてもう余計なことせず阿部隆也の言うとおりに投げると言う。(第58回「シゲキ」)

花井梓は寝床で崎玉 対 ARC学園を振り返り、勝ちたい目的(意味)を考え、俺はモモカン(百枝まりあ(ももえまりあ))の為に勝ちたいとの思いを抱く。
田島悠一郎は三橋廉や泉孝介や浜田良郎(はまだよしろう)と昼飯を食べながらスカウトに行くことを話す。
田島悠一郎曰く、とにかく部員を増やさなくては今の10人では不測の事態が起これば大会に出ることもできなくなることだってあるので、切に部員を一人でも多く入れたいとのこと。
そこで田島悠一郎はスカウトを百枝まりあに進言すると、百枝まりあもスカウトに行こうと思っていたというので意見が一致して百枝まりあが一緒に行くことになる。
百枝まりあの勧誘の基本は「来る者は拒まず、去る者は逃がさない」とのことである。
さて、百枝利昭(ももえとしあき)の指導を受けてフォーム改造中の三橋廉と阿部隆也は、春までの目標を訊(き)かれて「球速10キロアップしたいです!」と言う。
10キロアップのフォーム改造は早ければ1週間遅くても2ヶ月くらいとのことで、バッテリーは百枝利昭を信頼して指導を受けることにする。
まず、足を開いてそのまま投げるのを毎日20球投げれば一冬で球速5キロアップするとのこと。そして10キロアップのためにはステップ幅を更に短い5足半にすると共にあるタイミングで膝をつっぱると言う。
その感覚は初めの合宿の時に錘(おもり)を左手に持って投げて球速をアップさせたものだった。
ただこのままだと球をコントロールできないので、百枝利昭は指の力と手の甲と手首の力をつける方法を教える。
百枝利昭は打撃(バッティング)を教えるのにも熱心である。
打撃の基本は、たくさん引いて思い切り戻すというヒネリの力(回転)だとして、その力をどれだけボールに伝えられるかで打球の良し悪しが決まると言う。
そのためには「肩甲骨を投手に向けたまま前の手の手首を動かさないように固定し後ろの腕のヒジを体の中心に寄せてってしぼる」とのこと。
この技術を習得するてっとりばやい方法として、ネットの前に立ってネットに触る感覚で振ればいいとのこと。
そして「前の足をつっぱって(略)踏んばると(略)運動エネルギーが(略)腕に伝わりバットがスパーンと回ってく」とのことである。
ただ、これは基本でありここからは個々の個性に合わせての打撃になるとのこと。
打撃に関しても色々といわれてきているが、今主流なのはバレルスイングとのことである。
そして、どんな球にも対応するためには基本のスイングを3つは持てと言う。
スカウトは百枝まりあと志賀剛司(しがつよし)が始めは泉孝介と浜田良郎の出身中学校へ行き2人の西浦志望者と対面する。
その後、部員の出身の各中学、シニア、ボーイズを回り、最後に花井梓の出身中学に行き、花井梓のホームランが話題になり2人の内1人は西浦に絶対行きたいと言う。
そのホームランのインパクトが強いので、百枝まりあは花井梓にホームランを狙う打者になれと言う。
このスカウトの成果もあって、西浦志望者は14人と思ったより多かった。が、受験があるので何人受かりまた何人野球部に入るかはいまのところ未知である。
田島家(たじまんち)の恒例の練習は、3人に加えて今日は花井梓が参加して田島悠一郎とあらゆる球に対応するバッティングの練習をする。
ここで、花井梓が勝ちたい目的(意味)を「カントクを勝たせたい」と言うと、田島悠一郎は変な想像をして「花井ってモモカン」って言う。
田島悠一郎はこれが気になって翌日泉孝介に相談するとことにする。
三橋廉も伴って田島悠一郎は泉孝介に部内恋愛について切り出すと、泉孝介はてっきり水谷文貴(みずたにふみき)のことかと思ったら、田島悠一郎が「花井」と言ったので、傍にいた浜田良郎までがびっくりする。
田島悠一郎は昨日の花井梓との話を言うがここでもまだ泉孝介は篠岡千代(しのおかちよ)のことかと思うがこれは否定する。
そうすると、浜田良郎が仮に花井梓に恋愛意識があっても年上の百枝まりあが相手にしないと言ったので変に一件落着してしまった。
ところが、この浜田良郎の恋愛経験豊富そうな言に泉孝介が噛み付き浜田良郎を問い詰めると、浜田良郎はかって年上の女性に二股をかけられていたとのことだった。
が、相変わらず三橋廉は何の話をしていたのか理解できず呆けていた。
浜田良郎が部内恋愛ということでは百枝まりあではなく可愛い篠岡千代だと言うとまたしても泉孝介がそれを制して、泉孝介と篠岡千代のドロドロ話を仮定して話すと話がだんだんこじれてきて、部内恋愛禁止の方向に行く。
田島家で阿部隆也にも部内恋愛禁止の話しをすると阿部隆也も同意する。
で、翌日篠岡千代以外の部員が集まったとこで部内恋愛禁止を提案すると他の者も同意したのだが、阿部隆也が「あとカントクだろ?」っていうとみなびっくりもしたが、これには花井梓も躊躇なく同意したので田島悠一郎は自分の思いすごしかと思う。
そして、全員集まったとこで部内恋愛禁止と新しいエナメル(の購入)のことが話し合われ了承される。(第59回「はじまりの冬」)


☆所感

やっと、花井梓(はないあずさ)が直接的な形ではないが”モモカン(百枝まりあ(ももえまりあ))のために”という思いになりました。(第33巻 41~42頁)
これで、花井梓は百枝まりあの「忠犬ハチ公」となりました。
すなわち、百枝まりあに対しての優先順位が、女→百枝まりあ→監督から百枝まりあ→監督→女あるいは百枝まりあ→女→監督になったということです。
なぜ、百枝まりあ→監督→女あるいは百枝まりあ→女→監督かと言うと、花井梓はまだ百枝まりあを女として好きという感覚になっていないからです。
よって、意識的には百枝まりあ→監督→女で無意識的には百枝まりあ→女→監督ということです。

やはり、リーダーというのは、その集団の中で自分の意思を忠実に実行できる者がいないとなにかと不便です。
そうでないと、すべてを自分がやらなくてはなりません。
ところが忠実な者がいればそのものが自分の意を汲んで率先してくれるのです。
しかも、自分の命(めい)をいかなることであろうとも信頼して実行してくれるのです。

百枝まりあは初対面の時に、「監督が女だから」と言った時点で、花井梓が自分に関心ありと見て目をかけていたのです。
だから、田島悠一郎(たじまゆういちろう)を牽制する意味をも込めて、4番のホームラン打者に育てようとしたのです。
つまり、花井梓は百枝まりあが作った選手になるのです。
花井梓にとっては百枝まりあは恩師になります。
これで師弟関係ができます。

百枝まりあは田島悠一郎や阿部隆也(あべたかや)を確実には制御できません。
田島悠一郎の野球センスは百枝まりあより上なので百枝まりあの枠内に収めたらその才能を抑圧することになります。
おそらく、どの監督でも天才といわれる選手には気を使ってある程度自由にさせると思います。
阿部隆也は論理派(理論派)なので、百枝まりあが何か命令をしてもそれに対する明確な論理を展開しなければそれに従うことを拒否と言わなくても嫌がるでしょう。

つまり、あえていえば田島悠一郎も阿部隆也も百枝まりあは必要十分条件ではないということです。
田島悠一郎が全国制覇を目指すのは、より強い相手と対戦することができるという楽しみのためです。
それが出来るのなら誰が監督であってもよいのです。
阿部隆也にとって大事なのは、自分の野球理論を実践できる三橋廉でありいまのところそれ以上でもそれ以下でもありません。
だから、阿部隆也も監督は誰でもいいのです。

でも、花井梓にとっては(監督は)百枝まりあでなければならないのです。
これからの花井梓は使徒となって、百枝まりあのために全国制覇しようとみんなを洗脳するのでしょうか。

という風に思ったのだが、田島家(たじまんち)で花井梓が田島悠一郎に勝ちたい気持ちが「カントクに勝たせたい」ってのはどうかと聞いて、田島悠一郎は花井梓が百枝まりあに恋愛感情を持っているのでないかと思ったのや、そのことから部内恋愛禁止の話になって、花井梓が「それってつまり篠岡禁止ってことだろ?」と言うと、阿部隆也が「あと、カントクだろ?」って言ってみんなをびっくりさせたことなどからして、花井梓と田島悠一郎と阿部隆也は三者三様に百枝まりあを意識しているということになると思われます。
ここらへんはおそらくこの3人は個別に百枝まりあと話す機会が多いので自然とそういう意識になっているのだと思います。
優先順位で言うと、この3人は、百枝まりあ→監督→女あるいは百枝まりあ→女→監督ということです。

田島悠一郎が泉孝介(いずみこうすけ)に相談した時も花井という名を聞いて泉孝介が想像したのは、篠岡の方なのだから。
ここらへんから、花井梓と田島悠一郎と阿部隆也の3人以外は百枝まりあとあまり個別に話はしていないと思われます。
だから、3人以外は百枝まりあに特別な意識はなくあくまで監督であり、そういう恋愛感情を持つなら篠岡千代(しのおかちよ)ということになるんだと思います。
それにしても、泉孝介は水谷文貴(みずたにふみき)が篠岡千代に恋愛感情を持っているのを知っているということはそういうことにはけっこう敏感ということです。というより今回でも自分をモデルにして篠岡千代とのドロドロ話をするなど実は泉孝介も篠岡千代に恋愛感情を持っていてそれとなく見ているのかも知れません。
もし、そうなら篠岡千代が阿部隆也を好きだというのを一番最初に気づくのは泉孝介かも知れません。

浜田良郎(はまだよしろう)が言うように、百枝まりあが部員の誰かに恋愛感情を持つことがないと思われます。
というのは、コーチ(父親)の百枝利昭(ももえとしあき)に「お前が友達みたいな監督を目指してるてんならそれもアリだが・・・」と言われて、百枝まりあが「それはムリだ」と言っている(第33巻 99頁)のは、あくまでも部員は甲子園優勝(全国制覇)の駒であるということなのでしょう。
つまり、それ以上の感情はないということです。特別な親近感は持たないということです。
ここらへんは山で遭難したたったひとりの部員が関係しているのかも知れません。
百枝まりあって、人心掌握術に長けたけっこうな策士だと思う。
純真な高校生をうまく騙して操って自分の目的を達しようとしているともいえよう。
まぁ、高校生が純真かどうかは分からないが・・・阿部隆也なんかはとても純真とは思えないし。
純真なのは、おそらく三橋廉と篠岡千代だと思われるので、最後にこの二人が結ばれたり・・・

部内恋愛禁止となったが、これはけっこうきつい者もいると思う。
泉孝介が仮定でいっているように、例えば阿部隆也を誰かが好きになって告ったら篠岡千代はそれを黙ってみているしかないということになります。
それは水谷文貴も同じです。とは言っても篠岡千代はいまは阿部隆也ひとすじなので誰かが告ってもそれを受け入れることはないのですが・・・
まぁ、阿部隆也もいまは野球が恋人なので誰かが告っても受け入れることはないと思うが・・・
とは言っても好きになるのは予測不可能なことだろうから自分でもどうしようもないことも多いのでどうなるかはわかりませんが・・・
というか、恋愛で一番面白いのは三橋廉でしょう。誰かが三橋廉に告ったら三橋廉はどうなるのでしょうか。
以外とその子のために快刀乱麻のピッチングなどするかも知れません。
現に、桐青戦では三橋瑠里(みはしるり)が現れると気力が甦り握力が戻ったりしてたから・・・ああ、あれは叶修悟(かのうしゅうご)が勝ったというのを聞いたからで三橋瑠里じゃないのかな・・・

ところで、その三橋廉の従姉妹の三橋瑠里はどうしているのでしょうか。
桐青戦では「レンレン(三橋廉)」が心配で禁断の選手控え室まで来て応援していたのにそれ以後はさっぱりです。(第7巻64~66頁)
三橋廉は西浦ではもうエースなので安心して、今は本命の叶修悟(かのうしゅうご)の応援にかかりきりなのでしょうか・・・
なぜ、本命かというと禁断の選手控え室までいったのは三橋廉を励ますということだけではなく「叶修悟も投げて」三星が勝ったということの喜びを三橋廉と共有したかったというのも大きいのではないかということです。三星が勝っただけならこういう行動しただろうか。

篠岡千代が卒業(あるいは引退)の時に阿部隆也に「好きです」と告ったら、三橋廉が「ちょっと待ったぁ」とか言うかな・・・言わないよね、三橋廉は阿部隆也が不幸になるようなことは絶対にしないだろうから。
でも、阿部隆也と三橋廉は百枝まりあの策謀で手を取り合って一度相思相愛だと告っているからなぁ(笑)(第1巻134~138頁)

もちろん、男同士、女同士も部内恋愛禁止だよね。

スカウトに行って14人が西浦に行きたいとのことでした。(第33巻 124頁)
このスカウトに行ったのは、現部員のコネで行った学校やシニアやボーイズだけだと思われます。
ということならば、当然この勧誘された者たちの横のつながりもあるし、桐青や美丞大狭山や武蔵野第一や千朶との試合を見に行ったりして見てる者などもいるだろうから、そこから西浦に行きたいという者もいると思う。
というのは、この14人は現部員に特に連絡をしていた訳ではなく、スカウトで初めて明らかになったのだから。もちろん、訪ねて来てくれたから意思が固まったというのはあるかもしれませんが。
そんなことで西浦で野球をやりたいと思っている者は、14人の倍の28人くらいいてもいいと思う。
この中から半分が受かるとなると、来期は14人くらいは見込めそう。
10人+14人=24人となって、自チームで練習試合が出来ることとなります。

ここまでの百枝まりあのナインに対する言動をみてくると、個別に話などをしているのは田島悠一郎と花井梓と阿部隆也といえるでしょう。
まぁ、物語では表記されていないだけで、個々のナインと個別に色々と話をしているのかもしれませんが。
ただ、物語の冒頭でも、田島悠一郎と花井梓と阿部隆也がこのチームの要であとは十把一絡げ(じっぱひとからげ)的に言っていた。(第1巻 106~107頁)
ここらへんは、百枝まりあは監督であり教師ではないということでしょう。
百枝まりあは甲子園優勝(全国制覇)という目的の為に、最適最短解を求めていいということでしょう。
つまり、優勝するために必要十分条件を満たす者だけを優遇するということ。これは平等ということです。
教師の場合は、すべての担当する者をあるレベルまで引き上げないといけないので、原則的にできる者気に入った者だけを優遇することはできないといえます。これは公平といえます。
先のコロナ金でいえば、困っている者だけに30万円配るのは平等であったが、最後には全員に10万円配るという公平に落ち着いたということです。

阿部隆也はシニアで捕手やっていたのだから、榛名元希以外の投手の球も受けていたと思うので、そこらへんからのツテで西浦に投手を勧誘できないのかな。
それとも阿部隆也も榛名元希専用の捕手だったのかな。
それとも阿部隆也はあまり投手に好かれていなかったのかな。なにせ友だちがいないのだから。
阿部隆也ってほんと欲しがらない性格だと思う。
これだけ投手を見てきたのに、あの投手をリードしてみたいとかいう欲求がほとんど見受けられません。
こんなとこからも、阿部隆也は捕手を分かっていないといわれるのかも。
普通、良い投手を見たら、あの投手をリードしてみたいとか思うのだが。
そんなこともあって、西浦に新しい投手が入って、その投手を阿部隆也がどうリードするのか見てみたいです。
どう考えても、今の三橋廉を見ていると「A」クラスの投手に成れるとは思えないので、三橋廉一人では全国制覇できないでしょう。

三橋廉以外にも頼れる投手がいたら阿部隆也もあれほど三橋廉にうるさくあれしろこれしろそれするなとかいわないだろう。
いまの西浦では三橋廉がいなくなったら阿部隆也の考えている野球は出来なくなり、すでに阿部隆也よりも実績を残している榛名元希にますます差をつけられるということになります。
そんな可哀相な阿部隆也を助けるためにも西浦にそれなりの投手が入って欲しいわけです。
まぁ、投手が入ってこなくても、24人くらいになったら、だれか素質のありそうなものを投手にするっていう選択肢もあるでしょうけど。

逆に言うと、捕手も入ってきて欲しいと思う。
まぁ、阿部隆也がおそらく最後まで正捕手だろうけど、練習試合などで三橋廉とバッテリーを組んで欲しいと思う。
それで、三橋廉がどんなピッチングをするかということです。
捕手が阿部隆也だけだと三橋廉が自立するのはなかなか難しいと思う。
他の捕手と組むことで新たな発見もあるであろう。

ほんとにどんな新部員が入ってくるのかいまからワクワクします。
ともかく、今の部員だけではどんなに努力しても先は見えているのだから。

思い返してみれば、阿部隆也は三橋廉以外とはあまり親しく話している姿を見ません。
まぁ、三橋廉と親しいかどうかは何ともですが、一番よく話しているでしょう。
阿部隆也が同じクラスの花井梓や水谷文貴と話している姿はほとんど見ません。
まぁ、阿部隆也は三橋廉と話をするために大概は三橋廉のクラスに行っているってことがあるからかもですが。
その三橋廉のクラスの三橋廉と田島悠一郎と泉孝介と浜田良郎はとても仲がよくいつもつるんでいます。
ここらへんは浜田良郎と三橋廉は幼馴染(おさななじみ)であり浜田良郎と泉孝介は同じ中学の野球部の先輩後輩だし田島悠一郎は人懐っこい(ひとなつっこい)ということからお互い違和感がないのでしょう。


☆補足

これで、やっと最新刊(第33巻)まで追いつきました。
なんかやっとこさ宿題をひとつ果たしたという感じです(笑)

ここまで来て思うに、百枝まりあの全国制覇(甲子園優勝)に向けてのビジョンがいまいちはっきりしていないように思われます。
この1年戦ってきて、このチームの実力や長所・短所もはっきりしただろうのに、2年目、3年目に向けてどのような戦略を持っているのかが分からないといえます。
今の選手の頑張りや努力だけに期待するというのでは、精神論・根性論の域をあまり超えていないといえます。
全国制覇への近道は、優秀な選手を入部させることでしょう。2年目、3年目でそれを考えているのでしょうか。
コーチやスカウトの必要性だって選手の方が先に提案するのだから。

そんなことを思うと、百枝まりあとしての全国制覇はまだずっと先のようです。
この3年間で全国制覇するなら、もうこの時点で明確なビジョンがないと難しいでしょう。
それとも、突然、「A」クラスの選手が3~4人入ってくる奇跡を待っているのでしょうか。
現状では、全国制覇は少なくても10年くらい先でしょう。

この「おおきく振りかぶって」の主人公は題名からして三橋廉だろうから、3年目の夏でこの物語は終わりその間に全国制覇(甲子園優勝)はないということになります。
わたしの妄想では、この「おおきく振りかぶって」は全100巻なので、
 第1巻~第33巻 1年生
 第34巻~第66巻 2年生
 第67巻~第99巻 3年生
 第100巻 全国制覇
となります。

第100巻の全国制覇で10年後の百枝まりあ率いる西浦が全国制覇を成すのです。
そして、その優勝の試合に創部した当時の12人(選手10人,マネージャー1人,顧問1人)が集まって百枝まりあを祝福するのです。
10年経っているのだから、田島悠一郎や花井梓や阿部隆也はプロになっているかもしれません。
篠岡千代は誰かと結婚しているかも知れません。

そんな感じでしょうか、いつになるか分からないが第100巻が楽しみです。
それともあっとおどろく○●△■で、「おおきく振りかぶって」とはなんと百枝まりあのことだったとかいうことになるのでしょうか・・・

西浦が負けた3試合は
 美丞大狭山 6-11
 千朶 4-11
 崎玉 7-8
ということで、それなりに得点を取っているのですが、失点が多いです。
これは、三橋廉(あるいは阿部隆也)が相手にその投球パターンを読まれると打ち込まれるということです。
つまり、力で抑えることはできないということです。
こういうことを考えると、西浦がまずは甲子園出場するためには投手陣の強化が必要といえます。
三橋廉一人に依存している状態では、甲子園出場(県大会優勝)すら難しいでしょう。
目先を変えるということでも、違ったタイプの投手が欲しいとこです。
崎玉はそういうことでは市原豊と佐倉大地という2枚を持っているので、西浦も佐倉大地のような投手が欲しいとこです。
まぁ、もちろん失点以上の得点能力があれば三橋廉一人でもなんとかなるかも知れませんが・・・
あるいは三橋廉が突然変異して宮森留世(みやもりりゅうせい)クラスの投手にでもなればそれはそれで違ってくるでしょうが・・・
そこらへんを百枝まりあはどう考えているのでしょうか。

百枝まりあにけっこうきついことを言うのは、あくまでも西浦の目標が全国制覇(甲子園優勝)だからです。
この目標が甲子園出場(県大会優勝)というならば、ここまではほぼ文句のない監督(指導者)ぶりでしょう。
全国制覇(甲子園優勝)というのは現時点では建前で本音は願望だというのなら問題にすることはないですが・・・

1年目は主要なチームとして、桐青,崎玉,美丞大狭山,武蔵野第一,千朶と戦いましたが、2年目ではもうこのチームには、三橋廉の”まっすぐ”は見切られているので通用しません。
つまり、いまの三橋廉ではこのチームと当たった時にはもう勝負は見えているということです。
そのためにも、新たな三橋廉が必要なのですが、ことはそううまくいくのでしょうか。

ところで、三橋廉が榛名元希(はるなもとき)にこだわるのは榛名元希を好きというより、阿部隆也が榛名元希の球を捕っていたということでしょう。
榛名元希と同じようになれば、阿部隆也が自分の方を向いてくれていて自分の球をずっと捕ってくれるという自己防衛本能が働いているのではないかと思う。
これを証明するには、例えば阿部隆也は三橋廉に宮森留世を評して「宮森はスゲーぞ、榛名よりよっぽど」と言っているので、三橋廉の前で宮森留世を褒めて「おれはああいう投手の球を受けるのが理想だ」というようなことを言って三橋廉がどのような行動をとるかを見ればいいと思う。
これで三橋廉がいまの榛名元希に対するような興味を宮森留世にも示せば、三橋廉は阿部隆也を誰にも渡したくないという自己防衛本能が働いているというひとつの証明になると思います。
ただ、そういうことを言うとその前に、やっぱり自分は阿部君には物足りない投手なんだと思って落ち込んで泣いてしまうかも知れません。そうなると田島悠一郎風に言えばいじめになるかもしれません(笑)

高校野球の面白いとこのひとつは、優秀な選手が必ずしも強い学校にいくとは限らないとこです。
プロなどでは強いチームに優秀な選手が集まる傾向が強かったので、優秀な選手を分散させるということもドラフト制度が出来たひとつの要因でしょう。
高校野球では必ずしも強い学校に優秀な選手が集まらないのにはいくらかの理由があるでしょう。
1.野球をやっている学校が多い。
2.両親などの経済的状況。
3.勉強の優劣。
4.個性。

やはり、野球をやっている学校が多いと自分の個性にあった学校に入りやすい。
日本のプロ野球のように12球団くらいだと選択肢は限られるが、4000校近くもあれば自分にあった学校にいけます。
そういうことで、両親などの経済状態にも沿った学校を選択できると言えます。
学校はプロとは違って野球をやるためには自分たちがお金を出さなければいけません。
もちろん、特待生にでもなれば諸々の費用は学校が出してくれるということになるが、中学くらいでどれほどその才能が開花しているでしょうか。
高校が終わって大学や社会人になってから才能が開花する者もいるので高校3年間で新たに才能が開花するものも多いでしょう。
だから、中学での特待生といってもほんと限られているでしょう。
また、学校によっては受験の成績によるとこもあるので必ずしも希望の学校に行けるとは限らないでしょう。
また、部員の多いとこではレギュラーになるのも難しかったり自分の思い通りにならないということであえて強豪校を避ける場合もあるでしょう。
そんなこんなで、優秀であっても強い学校に入るとは限らないので、優秀な者が分散しているということから、予想外の学校が甲子園に出場したり全国制覇したりすることもあるでしょう。

だから、西浦が甲子園出場したり全国制覇(甲子園優勝)したりするのもないこととはいえません。
高校野球ならではの奇跡的なことも起こるといえます。

ここ最近の発売具合では、第34巻は11月になるかと思われるので、11月を楽しみに待ちたいと思います。
第34巻では新部員はもう入っているのかな!?
 第27巻 20160722
 第28巻 20170922
 第29巻 20180323
 第30巻 20181122
 第31巻 20190723
 第32巻 20191122
 第33巻 20200720
(アマゾンのキンドル版の発売時期より)
それにしても7月と11月っていうのは何か変な感じもしますが・・・
普通なら半年毎っていう感じでしょう。
雑誌に掲載する量に差があるのでしょうか。


おおきく振りかぶって
漫画版のHP(アフタヌーン公式サイトから)は
 https://afternoon.kodansha.co.jp/c/oofuri.html
ウィキペディアは
 おおきく振りかぶってhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%8A%E3%81%8A%E3%81%8D%E3%81%8F%E6%8C%AF%E3%82%8A%E3%81%8B%E3%81%B6%E3%81%A3%E3%81%A6
 おおきく振りかぶっての登場人物;https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%8A%E3%81%8A%E3%81%8D%E3%81%8F%E6%8C%AF%E3%82%8A%E3%81%8B%E3%81%B6%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%AE%E7%99%BB%E5%A0%B4%E4%BA%BA%E7%89%A9
です。


本記事の参考HP一覧
ウィキペディア(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8
アフタヌーン公式サイト - 講談社の青年漫画誌(https://afternoon.kodansha.co.jp/
アマゾン(https://www.amazon.co.jp/


眼差し
20200914月 眼差し


Enterに戻る


おおきく振りかぶって 漫画 第27巻~第32巻(現在全33巻)

おおきく振りかぶって」の第27巻の第48回「進展」から第32巻の第57回「ランチ」までを書きます。
なお、準拠する漫画版は電子書籍のキンドル版(https://www.amazon.co.jp/dp/B074CDR5MF?ref_=dbs_s_ks_series_rwt)となります。

今季の最後の大会である4市大会で、西浦はリベンジに燃える崎玉に6回を終わって6-1とコールドのお返しをされそうになるがそこから反撃し一時は6-6の同点まで追い上げるも崎玉のリベンジの執念の前に7-8で敗れます。
三橋廉は千朶戦での失敗を繰り返さないように6足半に取り込むがそう簡単には結果は出ません。
西浦は新しい試みとしてメントレ(メンタルトレーニング)を取り入れます。


☆あらすじ

西浦ナインは千朶(せんだ)戦の7回コールド負けをそれぞれの思いを持って受け取る。
バッテング練習中の花井梓(はないあずさ)の打球がバックネットを越えて道路まで飛んで行ったのでみんな驚く。
百枝まりあ(ももえまりあ)はこれを危険と感じ、バックネットを高くしてもらう交渉を学校側とする。(第27巻 第48回「進展」)

中間テストの為、部活休みになっているが、三橋廉(みはしれん)が投げ込みをしたいとのことなので田島悠一郎(たじまゆういちろう)は自分家(おれんち)で投球練習をすればいいと提案する。
ということで、田島悠一郎はもとより三橋廉阿部隆也(あべたかや)と泉孝介(いずみこうすけ)が田島家(たじまんち)で練習することになった。
田島悠一郎を含め田島家では三橋廉を「レン」と三橋廉も田島悠一郎を「ゆうくん」と名の方で呼ぶので、泉孝介は何が起こっているのだろうという顔になる。
泉孝介は三橋廉に名で呼ぶ理由を聞いて、自分も仲間になりたいと「コーちゃん」か「孝介(コースケ)」で呼んで欲しいと言う。そうすると、阿部隆也も名で呼んだ方が親近感があるという父親の言葉を思い出し、「タカ」か「タカヤ」と呼んでくれと言う。が、三橋廉は「タカヤ」と呼べない。
三橋廉と阿部隆也はマウンドを作って投球(ピッチング)練習を始める。田島悠一郎と泉孝介はバッテング(打撃)練習をする。田島家の者がそれを見守る。
やはり三橋廉はコントロールが定まらないので、阿部隆也は三橋廉の投球動作を動画に撮ってコーチの百枝利昭(ももえとしあき)にメールで送る。
そうすると、直ぐに百枝利昭から返事のメールが来て、フォーム改造中なのでコントロールが乱れるのは当たり前で体幹と下半身を鍛える為にも「特投げ」として100球くらい投げ、また鏡の前でシャドウをするよう指示する。100球投げれると聞いて三橋廉は顔がほころぶが阿部隆也は投げ過ぎ心配で渋い顔になる。
30分の練習が終わる頃にまた百枝利昭からメールがあり、帰りにグランドに寄れとのことだった。
練習後、田島家でおにぎりを用意してくれたので、4人は喜んで食べまくる。
裏グラにつくと、百枝利昭だけではなく百枝まりあも来ていた。
百枝利昭は特投げの球数を聞いてその分の裏の筋肉を使うことを提案する。
その理由は故障しない為にバランスを保つためということである。
左右にジャンプ回転することでみんなもバランスが取れてないことを納得する。
百枝利昭は故障しない為には、上下前後内外回転神経の5つのバランスを意識して整える必要があると言う。
そして、その具体的なバランスの取リ方のひとつとして”ロープ引き”をやらせる。
阿部隆也は百枝利昭が練習で200球以上投げても故障しないということに納得できなく意義を唱えると、百枝まりあが百枝利昭に合図を送ったので、百枝利昭は練習で200球以上投げても故障しないことを論理的に説明する。
百枝利昭は、テニス肘や野球肘やリトルリーグ肘の意味と原因を詳細に説明し、投手は片側に同じ動作ばかりするからバランスが悪くなり故障する可能性が高いということをみんなに気づかせ、バランスの大切さを再確認させる。
その後、三橋家(みはしんち)で三橋廉と田島悠一郎と阿部隆也は勉強することになり、ここで阿部隆也は「レン」と呼び、三橋廉にも「タカヤ」と呼ばそうとするが、三橋廉は固まってしまう。三橋母が帰って来た時にはみんな死んだように寝ていて、三橋母はびっくりする。
昼練の時に、「レン」とか「タカヤ」とか「ゆうくん」とか名で呼ぶので、花井梓は訝(いぶか)しがって泉孝介に聞き田島家では名で呼ぶことを知ると田島家に行くことをすかさず辞退するが栄口勇人(さかえぐちゆうと)が参加を表明する。そして、また三橋家でみんな寝こけ、田島家に行った者は名で呼び合う。
中間テストが終わったら、田島家でバーベキューをすることになり、嫌がる花井梓を含む部員全員と浜田良郎(はまだよしろう)が参加することになった。(第27巻 第49回「田島の」)

田島家でのバーベキューが始まり、田島悠一郎が部員たちを紹介していくが、花井梓の紹介で名を知らなく篠岡千代(しのおかちよ)が教える。
花井梓の名の話になって、花井梓は自分の名が好きではないので姓の方で読んで欲しいと言う。そうすると、田島悠一郎はみんなにもそのことを伝えたので花井梓はこっぱずかしくなった。
水谷文貴(みずたにふみき)は好きな篠岡千代が近くに来たので、鎌倉遠足の時に自分達の班と組まないかと誘うと篠岡千代は組みたいけどそれはくじで決まると行ったので、花井梓なみにこっぱずかしくなった。
そこから篠岡千代は水谷文貴や花井梓は話しやすいが阿部隆也は慣れるまでとっつきにくく怖いとこかあるが、三橋廉にやさしいから平気だとも言う。
栄口勇人は田島悠一郎の兄の田島廉太郎(たじまれんたろう)がアマチュア審判の資格を持っているということから、スリーフットラインについて質問して、新しい知見を手に入れる。
(第28巻 第50回「田島の2」)

花井梓が柵越えのホームランを打ったフェンスは、高くなったのでそれを見た阿部隆也が「花井フェンス」と命名した。
百枝まりあは今日からメントレ(メンタルトレーニング)を本格的に始めるということで、大学3年生でメントレを学んでいる小松崎章(こまつざきあきら)をナインに紹介する。
小松崎章は月1回か2回ほど来てメンタル面のサポートをするとのこと。
小松崎章はまず科学的メントレについて説明し、「心技体」の内、重要度が高いのにほとんどトレーニングをしていないのが「心」だと言う。
なぜ、「心」のトレーニングをしていないのかと言うと、それは方法を知らないからやっていないということなので、その方法をこれから模索しながら行なっていくと言う。
まずはメンタルのアップからで、瞑想後、音楽、手拍子などでリズムを取り気分をハイに持っていく。
そして、気分が落ちてきたら、「プラス思考ビーム」で気分を再びハイに持っていく。
小松崎章は百枝利昭のツテのようで、データ取りなどの研究を兼ねているので無償でのメントレの指導とのこと。
小松崎章はノックなどでの技術の習得も褒めることで成功体験を積み重ねることにしてはと百枝まりあに進言する。
早速それを取り入れた百枝まりあの褒め言葉を聞いて若干違和感を覚える者もおり、その者は百枝まりあが怖いとのこと。
また、あいさつすることによって気分が爽やかになりプラス思考になるとのこと。
昼休みの間に行なった心理テストでは、総合判定で田島悠一郎が235、阿部隆也が230、巣山尚治(すやましょうじ)が216で三橋廉と沖一利(おきかずとし)は「1」であとの者は「4」であった。
この総合評価が200以上ないと、プレッシャーに負けて試合で練習の成果を出せないとのこと。
試合で実力を出すには、両手を掲げて「ゼッコーチョー」というのもひとつの方法とのこと。
あと、全員、勝利への意欲が低く出ているため、「イメージできないものは実現できない」ということで勝つ(勝っている)イメージを持つようにすることを提言する。(第28巻 第51回「メントレ」)

西浦は4市大会の予選2試合を勝ち、決勝リーグの1回戦で崎玉(さきたま)と戦うことになった。
その崎玉では5番に「石浪」という初めての選手が入って活躍しているとのこと。
当日、三橋廉を見つけた佐倉大地(さくらだいち)は駆け寄り、三橋廉に勝負を望むと三橋廉が頷(うなづ)いたので、喜び勇んで「リベンジっすよー!」と言う。
先攻は崎玉で三橋廉はコントロールに不安を持ったままであったが、ここは三者凡退に抑える。
この西浦バッテリーを鋭く観察していた者が崎玉にいた。
それは石浪智也(いしなみともや)である。石浪智也はアキレス腱を2度も切り、夏大・秋大と欠場していたのだった。
石浪智也の分析では、捕手が打者に合わせたリードをしてくるので、その裏をかけば打てるとのこと。これは美丞大狭山がやったことである。
崎玉は投手が市原豊(いちはらゆたか)で捕手が佐倉大地のバッテリーで1回裏を迎えると、こちらも三者凡退で抑える。
2回の表、4番の佐倉大地には待ちに待ったリベンジの対戦なので、”まっすぐ”を迷いなく豪快に打って文句なしのホームランで崎玉が先取点を上げる。
そして、5番は西浦に初見参(ういげんざん)の石浪智也である。(第28巻 第52回「4市大会」)

その石浪智也は内角の球をバックネット直撃の2塁打とする。
6番の田中光照(たなかみつてる)が送って一死3塁とし、7番の市原豊はシュートにヤマを張りどんぴしゃりのヒットを放ち石浪智也が帰り2点目を入れる。
8番の原田玲一(はらだれいいち)もヤマを張ってヒットを放ち一死1・2塁とするが、ここは西浦バッテリーが9番の古沢淳(ふるさわあつし)のヤマを外し併殺打に討ち取る。
2回の裏、西浦も4番からだが大振りの花井梓は崎玉バッテリーに読み負けして1塁ゴロとなるも、5番の田島悠一郎はスクリューを難なく2塁打にすると、6番の栄口勇人の1球目で3盗する。
田島悠一郎が3塁になったので、バント職人の栄口勇人は2ストライクからのスクリューを見事にスクイズして田島悠一郎が帰り1点を返す。
3回は両軍とも三者凡退となる。
そして、4回の表は再び4番の佐倉大地からで西浦バッテリーは2ストライクと追い込むが、石浪智也の「ストレートはもう打っただろ!!」の一言で狙いを変化球に変えるとカーブを打って2塁打とする。
石浪智也はバンドの構えで陽動すると三橋廉のシュートがワンバウンドになる間に佐倉大地が3盗する。
西浦はここでタイムを取り西広辰太郎(にしひろしんたろう)が伝令でスクイズはないと言うとみんなも了解する。
石浪智也は3ボールからナックルカーブを腕をたたんでコンパクトに打ちヒットで佐倉大地を帰し3点目を入れる。
6番の田中光照はまたしても送りバントをするが、石浪智也は鈍足なので2塁ホースアウトとなる。
4回の裏、2番の沖一利がプラス思考でカーブを打って1塁に出て3番の巣山尚治が送り一死2塁とすると、ここで崎玉ベンチが動き、バッテリーを代え、投手を佐倉大地、捕手を石浪智也として、市原豊が石原智也と代わってライトに入る。
佐倉大地はストレートしか投げていないのに花井梓は迷ってフルカウントになると、2塁の沖一利は油断して佐倉大地の牽制でアウトとなり、花井梓も三振となる。
5回の表は、三者凡退で締め、5回の裏の西浦は5番の田島悠一郎だったが、佐倉大地の落ちる球(フォーク?)で三振となり、こちらも三者凡退かと思われたが、7番の水谷文貴がストレートの四球で出るがまたしても佐倉大地の牽制でアウトとなる。
崎玉はただただ打倒西浦一筋でここまで来たということのようである。
6回の表、打倒西浦に燃える主将で3番の沢村真人(さわむらまさと)がヤマを張り2塁打を放つと、4番の佐倉大地を百枝まりあの指示で敬遠する。
この敬遠で佐倉大地は西浦の投手に完全に勝ったと思うがチームが勝ったわけではないので、石浪智也に「打てよ!」言うと石浪智也は「おお」と答える。(第29巻 第53回「4市大会2」)

阿部隆也は石浪智也が内角狙いだと思って外角へボールからストライクになる球を要求するも、石浪智也はその球を待ってたかのようにフルスイングすると、ボールはスタンド入りする3ランホームランとなり崎玉は6-1と大きくリードする。
この外打ちも西浦打倒の為に隠し持っていた秘策であった。
6回の裏、ここで崎玉は投手を交代して市原豊に戻しライトに佐倉大地が入る。
この回先頭の8番の阿部隆也は3球三振に終わると、読み負けしたということで石浪智也の捕手としての能力を認めそのことをみんなに告げる。
そこで百枝まりあは田島悠一郎以外はスクリューを捨て外よりのストレート狙いでいけと指示を出すが、1番の泉孝介も三振で三者三振で終わる。
7回表、崎玉は7回コールドを狙ってくる。
1番の杉田亨(すぎたとおる)のセーフティバントは封じるも2番の上村良一(かみむらりょういち)には決められランナー1塁になると3番の沢村真人は佐倉大地の声援も受け内角のカーブを腕をたたんで打ち1・2塁として、4番の佐倉大地となる。
ここで阿部隆也は佐倉大地を迷わす為に、三橋廉に首を振らせると佐倉大地はそれに惑うがベンチからの来た球を打ての声援で内角を力で持っていくも、沖一利がこれをダイビングキャッチして2塁走者もアウトのファインプレーを演じてこのピンチを切り抜ける。
7回裏、石浪智也は2番の沖一利の打席で外のストレート狙いを見破るが、3番の巣山尚治を内角へのコントロールミスによる死球で出してしまうと、4番の花井梓にも四球を与えてしまう。
そうすると、なんと田島悠一郎にも内角へのコントロールミスで死球を与えてしまい、一死満塁となる。
満塁になったので崎玉はタイムを取り、5点差があるのでともかく一つずつアウトを取っていくことにする。
6番の栄口勇人はストレート狙いで思い切りよく振るとヒットとなりまず1点を返し、外野が送球ミスする間に、花井梓も帰りもう1点を返し、一死1・3塁と追加点のチャンスは続く。
7番の水谷文貴は3ボールから入れてきた球を打つとポテンヒットで再び満塁となり、8番の阿部隆也は2ボールからカーブにも対応のバッティングでカーブを打ち返すと2塁打で2者が帰り5-6とし、三橋廉はスクイズを決めて遂に6-6の同点とする。(第30巻 第54回「4市大会3」)

これで限界とみた崎玉の及川慶一(おいかわけいいち)監督は、投手交代を告げ、投手は再び佐倉大地となる。
佐倉大地は1番の泉孝介を三振に仕留めピンチを脱する。
同点になったけど、佐倉大地はぜんぜんめげてなくまた勝負できるとむしろ同点を喜んでいる様である。
8回の表、5番の石浪智也は内野ゴロとなるも球が跳ね1塁で沖一利とクロスしセーフとなったが怪我をしたので代走が沢村真人となる。
6番の田中光照が送り2塁とすると、7番の市原豊は泳ぎながらもシュートを執念で打って沢村真人を迎え入れ再び7-6と崎玉がリードする。
8番の原田玲一はどういう訳かナックルカーブをうまく打ち外野を越す当たりとなり、3塁へ向かった原田玲一が栄口勇人の送球の目(枠)に入った隙に1塁走者の市原豊が間一髪ホームに帰り8点目を入れる。
阿部隆也は、自分が要求したナックルカーブを打たれ落ち込むんでいる(と思われる)三橋廉をフォローする。
どうやら三橋廉は動揺はしていないようで後続の2者は打ち取る。
ベンチに戻った阿部隆也は三橋廉が首を振ることは問題ないので気にするなと言う。
そんな話をしている間に、8回裏は2番・3番・4番と崎玉バッテリーに打ち取られる。
三橋廉は阿部隆也に二人で力を合わせて戦おうといわれ涙を流す。
9回の表、一死後、3番の沢村真人が今試合3本目のヒットで出て2盗するも4番の佐倉大地は打たされてシングルヒットとなり、沢村は帰れず1・3塁となる。
5番の石浪智也は当たりそこねになった分、打球が死に2塁手の栄口勇人が好捕して2塁ホースアウトにしその間にホームに突入した沢村真人も沖一利からの送球を受けた阿部隆也がタッチアウトにしてなんとかピンチを切り抜けた。
2点ビハインドで9回の裏の西浦の攻撃となる。
ここで西広辰太郎(にしひろしんたろう)が佐倉大地はストレートを投げる時に声が出ると言う癖を見つける。
だが、田島悠一郎への1球目は声が出たのに変化球であった。どうやらこれも意図したフェイントのようである。
このフェイントに気づいた田島悠一郎は落ちる変化球をじっくりためて2塁打とし、その田島悠一郎はタイムを取り西広辰太郎に声出しはフェイントだと伝え、西広辰太郎はその故をみんなに伝える。
6番の栄口勇人は三振するが、7番の水谷文貴は3ボール1ストライクとなる。(第31巻 第55回「4市大会4」)

3ボールとなったとこで、石浪智也は水谷文貴を歩かせことにし、8番の阿部隆也には追い込みながら左太腿に当ててしまい、一死満塁となる。
ここで崎玉はタイムを取り、スクイズ警戒の守備隊形を取ることにする。
3塁の田島悠一郎は投手の佐倉大地を見て投げることで手一杯で走者を見ていないということから、ホームスチールを敢行すると、これが見事に決まり1点を返す。1・2塁ランナーもそれぞれ重盗し2・3塁となり、一打逆転サヨナラのチャンスとなる。
三橋廉はスクイズで同点を狙うもホームで水谷文貴がアウトになり、二死1・3塁となるもまだチャンスは続く。
1番の泉孝介の時に三橋廉が盗塁して2・3塁となると、崎玉バッテリーは泉孝介を歩かせて満塁策を取る。
この逆転サヨナラの場面で、プレッシャーに弱い2番の沖一利となる。
ここで佐倉大地は石浪智也を呼び、市原豊と交代することを告げる。
3ボール2ストライクとなり、同点かアウトかの一球が投ぜられると、沖一利は外角のボールと思い見送るが無情にも審判(主審)の判定はストライクとなり、崎玉の8-7でゲームセットとなる。
この判定に3塁の塁審をしていた崎玉の元主将の小山大樹(おやまひろき)はボールではなかったかと主審に聞く。
百枝まりあの総評は、力の差というより勝ちたいという執念の差(すなわちメンタルの差)であるとして今冬に勝つことへの執念を培(つちか)うと言う。
お昼はステーキガストということで、田島悠一郎は主将の花井梓に崎玉と会食したいと言うが、花井梓があまり賛同しないでいると沖一利も一緒に食べたいと言い副主将の阿部隆也が勝手に交渉しようとするので花井梓も行くことにし、交渉成立で会食することになると、マネージャーの篠岡千代が席取りに先に出発する。
みんなの注文は篠岡千代がまとめて注文する。
田島悠一郎は早速、背が低い(158cm)のにホームランを打てる石浪智也に質問して自分もホームランを打ちたいと言うと、石浪智也は「手足が短い方がバッティングには有利だ」と言うので田島悠一郎は我が意を得たりの心境になる。
そこへ元主将の小山大樹が遅れて到着し、最後の球の話になる。
石浪智也は物理的にはベースから2cm外れていたと言うが、”打て”という意味ではストライクとのことである。
物理的にはボールであっても心理的にストライクとのことであって、阿部隆也は審判がストライクと言ったのだからストライクで崎玉の勝利にはまったく問題ないと言う。(第32巻 第56回「4市大会5」)

田島悠一郎の兄が審判していて、その兄が「ストライクゾーンてどこだーって人に聞くのがスキなんスよ」ってことから田島悠一郎が言うにはベースのうしろに立ってこの辺って楕円形を示した子が正解だったそうである。
大方の者はあまりにも曖昧な正解のストライクゾーンに唖然とする。
そんなことで田島悠一郎が兄の審判講習会を提案するとみんな乗り気になる。
そうすると崎玉から年末年始の郵便局のバイトの提案があり西浦も参加することにする。
勝った崎玉は明日はARC学園戦だが、崎玉の主将の沢村真人の話によるとARC学園の主力は関西の強豪校と練習試合で4市大会のARC学園はエース以外は2軍の戦力であるが、それでもARC学園は毎年優勝するとのこと。
ARC学園が強いわけは、全国からの有望選手のスカウトに加えて野球部の活動も3年間で一千万円くらいかかる体制(システム)にあるとのこと。
そして西浦がARC学園と同じ甲子園優勝を目指しているならばもっともっと勝ちに貪欲にならないといけないと忠告する。
花井梓が百枝まりあに郵便局でのバイトの話をしたら、百枝まりあはあまり賛成ではないがとりあえず父母会に掛け合ってみるとのこと。
百枝利昭が母校の斉徳に行くと選手がボール球を打つ練習をしていたので、監督に聞くとボール球を打たないと打つ球を放ってくれないとのこと。つまり、ほとんどのバッテリーは配球で勝負してくるということ。
百枝利昭がこの日母校に来たのは、西浦との練習試合を頼みに来たようで、来年の秋以降で約束が取れたようである。
ライトのない裏グラでは日が落ちたら練習できないので、花井梓はバイト代で裏グラにライトを付ける事を提案すると、百枝まりあも賛同して父母会で話し合うと言う。(第32巻 第57回「ランチ」)


☆所感

コーチの百枝利昭(ももえとしあき)が三橋廉(みはしれん)の投球フォームを固めるために、1日200球くらい投げろというのに、阿部隆也(あべたかや)が疑義を唱えると、百枝利昭がちょっとムッとしているのを百枝まりあ(ももえまりあ)が気づいて百枝利昭をつっついて合図を送ります。(第27巻 121頁)
阿部隆也は自分が納得しなければ、相手が誰であろうとそれに対して反論しようとします。
最初の5月の合宿の時も、百枝まりあが三橋廉のスピードを上げようとするとコントロールが乱れると反論します。(第1巻 89~93頁)
これに対して、百枝まりあは阿部隆也にその必要性をきっちりと説明できなかったので、阿部隆也はすねてしまいます。
この時は、百枝まりあは女の武器を使い阿部隆也の手を握り、納得させます。(第1巻 105~109頁)

ということだが、今回はちゃんと理論を持った百枝利昭なので、それを促してテニス肘や野球肘やリトルリーグ肘の故障例から心身のバランスを取れば故障の起こる可能性は小さいので200球なげても問題はないと阿部隆也を納得させたということです。
阿部隆也はこのようにそれなりの野球理論を持っているので、それに外れたことをされると猛烈に反論するが、論理派なので論理的に納得する説明をされるとそれをとりあえず受入ます。
もちろん、阿部隆也はそのあとでそのことを自分なりに論理検証しますが。
そういうことで、阿部隆也を言うこと聞かすには相当のつまり阿部隆也以上の野球の知識(野球理論)を持っていなければならないということです。
これは百枝まりあにはなかなか難しいので、百枝まりあにとっては理論を持った百枝利昭がコーチというのは物凄く心強いと言えます。

リーダーに最も必要なのは人徳すなわち人身掌握術です。
もちろん、専門的知識をたくさん持っているに越したことはないが、いくら天才といえどもすべてのことに精通したものはいないでしょう。
そういう存在は、神か仏でしょう。
そこで、その人徳を生かして自分の補佐官(参謀)をどれだけ持てるかでその戦略が決まってくるでしょう。
百枝まりあが阿部隆也を御するための補佐官としては百枝利昭は最適なのです。

これは何かで読んだ話で何で読んだかもう忘れてしまったが、野茂英雄さんが大リーグに行ったのは当時近鉄バッファローズの監督であった鈴木啓二さんとの確執があったということです。
鈴木啓二さんは、元近鉄の投手で最後の300勝投手であり、文句なく日本の10本の指に入る大投手です。
この鈴木啓二さんは現役時代ともかく走り込んでこの実績を作ったようで、監督になってからもともかく選手に走り込むことを要求したようです。それに対して野茂英雄さんが何で走らなければいけないのかと聞いたところ、黙って俺の言うとおりにしろ的なことを言ったらしいです。
これにカチンときた野茂英雄さんは以後、鈴木啓二さんを信頼しなくなったようです。
そんなことで、近鉄を退団して大リーグに行ったようです。
今日の日本選手の大リーグでの興隆の功労者は表では野茂英雄さんですが裏では鈴木啓二さんかも知れません(笑)
ちなみに、わたしは鈴木啓二さんの大ファンでした。著書も買いました。
わたしは好きだからといって、その好きな人の写真を部屋に飾ったりはしないのですが、鈴木啓二さんの写真は例外で飾っていました。

阿部隆也もこんな感じで、つべこべいわずに俺の言う通りにすればいいとか言ったら、この野茂英雄さんと同じになりそうです。

それにしても、百枝利昭とは一体何者かと思われるくらいに野球全般に詳しくしかもしっかりと理論構築されています。
少年野球の監督をしていた(いる?)というくらいで特別な野球関係のことはしていないと思うが、ほんとどこにどんな優れた人がいるかわからないといえます。
この子(娘)あってこの親(父)、この親(父)あってこの子(娘)という父子鷹(親子鷹)(おやこだか)です。

田島家(たじまんち)へ行ってから、田島一家がみんなを名の方で呼ぶので、お互いを名で呼ぶことにしたが、三橋廉は阿部隆也を「タカヤ」と呼べません。(第27巻 160頁)
まぁ、三橋廉の性格からしたら呼べないでしょう。
三橋廉にとって阿部隆也は世界で初めて野球で自分を認めてくれた(自分の価値を見出してくれた)人なので、「阿部君」って呼ぶのも不遜なくらいで本当は「阿部様」といいたいくらいでしょう。
おそらく、「タカヤ」なんて拷問にかけられてもいえないでしょう。
宗教者が神様(教祖様)に忠誠を誓うのと同じくらいでしょう。

田島家でバーベキュー大会をした時に、篠岡千代(しのおかちよ)と水谷文貴(みずたにふみき)が二人だけで話をしました。(第28巻 18~25頁)
篠岡千代を好きな水谷文貴は鎌倉遠足で男女3人ずつの6人一組になるので、これはチャンスとばかりに篠岡千代の組を誘うのであるが、なんと組合わせはくじでした。
水谷文貴はかなりあせったが、これはいま水谷文貴がしているようなことが起こるからくじなんでしょう。
あそこの組と組みたいということでの争いを起こさないためのくじでしょうし、クラス内の親交を深めるということもあるでしょう。
今回のことがきっかけで相手を知ることもあるでしょう。

その話の流れで、阿部隆也は不愛想だからとっつきにくいという話になります。
阿部隆也は論理派だから何にでも理由をつけるからとっつきにくいということになるし、それを追求するから怖いといえます。
例えば、女子の誰かが、阿部隆也に「付き合ってください」と言ったとしたら、阿部隆也の第一声は「は?」か「なんで?」くらいだろう。
これでは相手はその次の言葉がなくなってしまうでしょう。そして、相手が黙っていたら「早く言って」とか言いそうだから相手はびびってしまうでしょう(笑)
でも、理由をちゃんと言えば、無下に断ったりはしないと思う。
まぁ、三橋廉とは違っためんどくさいとこがあるのが阿部隆也だけど、論理性にすぐれた者だと阿部隆也はとても扱いやすいといえる部類の人間でしょう。

崎玉(さきたま)戦で崎玉の投手の市原豊(いちはらゆたか)が沖一利(おきかずとし)に投げた球で沖一利はボールだと思ったが審判(主審)はストライクとコールして沖一利は三振となり崎玉が8-7で勝った。(第32巻 73~74頁)
塁審をしていた崎玉の小山大樹(おやまひろき)がボールではないかと思って審判(主審)に聞くと、審判は状況に応じてストライクの幅を変えるということのようです。
素人のわたしからみるとなんとなく変な気もするが、どこかの審判(二出川延明さん)が言った「俺がルールブックだ」というのが解なのでしょう。
まぁ、そこらへんはどんぶり勘定ということなのでしょう。
そもそもストライクの概念があやふやなのだから。
ここでも、議論されているが、横は一応ホームベースがあるけど、縦などそれぞれの身長が違うしバッティングスタイルも違うのだからストライクの判定ってほんと恣意的だと思う。
よくバッテリーなんかはその審判の癖を盗めとかいうのもこういうとこからきているのでしょう。
人のやることはアナログだからティジタルのようにはいかないということでしょう。
だから、阿部隆也が言うように、「審判がストライクっつってんですからあれはストライクです」ってことなのでしょう。
そういうことを考えると、三橋廉のコントロールがどれほど素晴らしいかということです。

第51回「メントレ」が面白い。(第28巻)
確かに、心技体において「心」は「技」「体」に比べあまりトレーニング(訓練)されていないといえます。
これはなぜかと言うと、心はまだ科学的(論理的)にほとんど解明されていないということです。
科学的というのは因果関係です。こういうことをしたらこういう結果になるということです。
技や体では、これ(因果関係)が「心」よりずっと科学的に解明されています。
例えば、筋肉をつけるにはこういう食事をしてこういうトレーニングすればいいというようなことです。
これが因果関係です。
技に関しても同じことです。
この物語でもコーチの百枝利昭がこういう投げ方をすれば球速がアップするとかこういう打ち方をすれば打球が伸びるとかの指導をしています。
でも、心の場合はこういうことをしたら集中力が増すとかリラックスができるとかいうのに確実なものはありません。
かなり曖昧です。
心の場合はまだまだ資質(素質)に頼っていることが多いです。
技も体も昔は資質に頼っていたと思います。
それが科学が発達して、ある方法に従ってトレーニング(訓練)すれば、誰でもあるレベルまでは到達できるようになりました。

ここらへんの差は、心があまりにも広く大きいからなかなかその本質が捕らえられないということでしょう。心は時空を超えます。
おそらくほとんどの者が、技や体はイメージできるが心はイメージ出来ないでしょう。
技や体って何って聞かれて技や体はそれなりにイメージできるが、心って何って聞かれてそれをイメージできる人はそんなにいないでしょう。
イメージ出来ないものをどうこうしようと思っても出来ないです。
分からないとしか言いようがないです。
例えば、パソコンでもハードというのは目に見えてそこにある物だけだからイメージできるが、ソスト(アプリ)は何がどんだけあってどのようなものかイメージ出来る人はそんなにいないでしょう。

正に、小松崎章の言う「イメージできないものは実現できない!」はその通りです。
そのことに才能があるかどうかは、そのものに対して、「なんとなく分かる」とか「体がかってに動く」とか「イメージできる」とかいうこともひとつの目安でしょう。

あまりにも膨大すぎて手におえないというのが、心についての今の科学でしょう。
だから暗中模索であり、現状での心のトレーニングは宗教と同じようなもので信じれば救われるというくらいのレベルでしょう。
とはいってもある指針があるならともかくやる方がやらないよりはましでしょう。良くも悪くもそれでなんらかの結果はでるのだから。
例えば、ミスしても褒めればというようなことは、確かに怒られるからと緊張してミスするということがあるかもだが、褒めれば今度はミスしても怒られないからと手抜きしてミスするかも知れません。
そのくらい心というのは複雑怪奇です。

あと、科学的というなら因果関係が証明されなければならないので、これらのメントレ(メンタルトレーニング)をしたからこういう結果になりましたというのをどうやって証明するのだろうか。
アンケートの点数が上がったということで証明するのでしょうか。
技や体では、これらの因果関係がかなりはっきりしています。
体では、例えば筋肉をつけるにはこういう筋トレをすればこういう筋肉がついたというので証明されるでしょう。
技では、例えば投球のスピードやコントロールをつけるにはこういうフォームで行なうとスピードやコントロールがついたと証明されるでしょう。
ここらへんが証明されないと、科学的メントレといっても名ばかりで、「信じる者は救われる」という宗教とそうかわりのないものになってしまうでしょう。
そんなことで、いまのところは科学に近づこうとしている(なりたいと思っている)メントレといえそうです。

ここらへんの心技体のトレーニングといっても何か新しいものを付加するということではなくあくまでも潜在能力を開花させるということでしょう。
たとえば、背の低い高いなどはおそらくトレーニングでは変えられないでしょう。それを変えられるとしたらおそらく薬でしょう。
そういうことからメントレで性格を変えることは難しいでしょう。ここらへんも変えるとしたらおそらく薬でしょう。
現にうつ病なんかもメントレというより薬が主役なのだから。

そんなことで、メントレはこれからも楽しみです。
こんな超難しいことに挑戦しているのだから、これこそ本当に挑戦です。
甲子園100回優勝するより難しいことだと思われます。

これが簡単に出来るということならば、すべての人をたやすく洗脳できるということなのだから。
絶対支配です。
人の心を自由自在に操れるということです。マインドコントロール。
だからこそ、心の問題は複雑怪奇なのです。
そしてまた危険なことでもあるのです。

そんなことを思うと、心に対するトレーニングは心体に対するドーピングのようなことも起こるかもしれません。
こういうメントレは禁止というようなこと。していいメントレとしてはいけないメントレに分かれるということ。
例えば、CMでサブリミナルが禁止されるようなこと。

このメントレで面白かったのはデータ取りでした。
総合判定で田島悠一郎(たじまゆういちろう)が235点で阿部隆也が230点てのはとても分かります。
この2人はこと野球においては天才と秀才だからこの値でしょう。
田島悠一郎と阿部隆也はどちらも試合において100%の力を出せます。
ただ、どちらが試合において余裕があるかは天才の田島悠一郎でしょう。
試合において状況が変化した時の対応の速さは田島悠一郎です。
田島悠一郎は物事を感覚的に捕らえることができるが阿部隆也は物事を論理的に捕らえるので考える時間を必要とします。
巣山尚治(すやましょうじ)は、田島悠一郎と阿部隆也に次いで216もあるのに、いまいち印象が薄いです。ここらへんは地味で堅実なのであまり百枝まりあの注意を引かないのかも知れません。
花井梓が189というのは、田島悠一郎を意識したり緊張したりするのは自分自身の目標なり目的なりが明確でないからでしょう。
三橋廉と沖一利の総合評価が1というのは分かります。
二人とも気弱でびびりだからです。二人とも阿部隆也や百枝まりあがしかったり大声を出したりすると怒っていると思って逃げ腰になります。

沖一利は置いといても、三橋廉はこれまた目標や目的が明確ではないということです。
一応、勝ちたいとか全国制覇したいとかいう目標はあるが、ではその為に自分は何をすればいいのかという方法はないのです。
これでは目標というより願望です。
目標が願望で留まっているのは、野球をする目的(意味)がこれまた自分の中ではっきりしていないためでしょう。
三橋廉になんとなくあるのは、「(投手として)投げたいあるいは投げることが好き」ということでしょう。
しかし、これでは目標と直接的に結びつきません。
例えば、阿部隆也は自分の野球理論を実証することが目的(意味)でしょうし、田島悠一郎は優れた投手と対戦したいというのが目的(意味)でしょう。
そのためには、トーナメント方式の高校野球では勝ち上がらなければなりません。
だから目標が全国制覇なのです。
でも、三橋の全国制覇にはそのようなものはないでしょう。なんとなく全国制覇なのでしょう。
だから、そのための方法が思い浮かばないのでしょう。

この「(投手として)投げたいあるいは投げることが好き」が「強打者をねじ伏せたい」とかいうことになると、どうやったらねじふせることができるかというような方法につながるのだが・・・
結局、能力というより闘争心の欠如ということで、戦うことに向いていない性格なのかも。

三橋廉の場合は、ただ投げることが好きなので投げている時は無心になっているのでしょう。
でも、相手を打ち取りたいとか勝ちたいとかいう意識は希薄といえるでしょう。
相手を打ち取りたいとか勝ちたいとかいう意識があれば、当然のようにどうやったら相手を打ち取れるかとかどうやったら勝てるとかいうことを考えるということになります。
そういうことになったら、速い球のない三橋廉なら配球ということになります。
そういう意識がないから、阿部隆也に出会うまでは配球のことなどはほとんど考えていなかったのです。
だから緊張もないのです。
ここから打ち取りたいとか勝ちたいと思うと緊張するということになるけど、それでも投げている時は無心なのでしょう。
ここらへんは田島悠一郎が打つ時に無心になっているのと同じようなものなのでしょう。

メントレでこういうことが明確になるといいのですが。
メントレも基礎的なことから個別的なことに移るまで行ってもらえるのだろうか。
個別的となると、月1とか月2では難しいでしょう。
となると三橋廉のメントレは阿部隆也や田島悠一郎にかかっているということなのでしょう。
あるいはまだ見ぬ新部員なのでしょうか。

なんでもそうですが、基礎的なことは共通でも人はみなそれぞれ違っているので、基礎的なことが終われば個別的なことに移らなければなりません。
でも、この1ヶ月に1~2回のメントレでは個別的なとこまではいかないでしょう。
おそらくはやらないよりはましというくらいのレベルだと思われます。
メントレも三橋廉のフォーム改造に百枝利昭が付いているくらいの個別的なことをしなければ大いなる効果はないでしょう。
個別的メントレというなら花井梓をスコア230近くにすることでしょう。
そうすれば、ここぞというところでホームランを打つなどの4番の働きをするでしょう。
基礎的なメントレが終わったら、花井梓専用のメントレコーチにすべきでは・・・
これで、もし花井梓が230近くになったら、こういう人格(性格)にはこういうメントレが効果があるというひとつのデータが手に入るということになるかも知れません。


☆補足

崎玉に勝ったら次はARC学園戦ということなので、ARC学園戦でこの「おおきく振りかぶって」は終了になるのかとか思っていました。
つまり、埼玉の有数校のARC学園、千朶、武蔵野第一と戦えばある意味これからの3年間の西浦も読めるので終わってもそれほどの違和感はないと言えます。
が、崎玉が勝ったので、西浦は最低でもARC学園と戦うまでは終わらないと言えそうです。
来季はARC学園と戦うことが大きな焦点となりそうです。
とは言っても、この4市大会くらいでないとARC学園と戦う機会はないかも知れません。

それにしても、崎玉戦は長かった。「1~5」まであった。桐青戦よりも長かったのでは・・・
ひぐちアサさんは崎玉が好きなのかな!?
もしかしたら、これ以後は崎玉の試合を書く(描く)機会がないので、愛惜の意も込めての長編なのかも知れません。

わたしとしては長編の割にはこの崎玉戦はあまり印象に残らなかったといえます。
やはり、一番印象に残った今年の試合は、公式戦初陣の桐青戦でしょう。
この桐青戦に負けていたら西浦の運命もだいぶ変わっていたでしょう。

今年の西浦の公式戦は、
夏季地方大会
 2回戦 桐青 5-4 勝ち
 3回戦 崎玉 8-0 7回コールド勝ち
 4回戦 港南 6-3 勝ち
 5回戦 美丞大狭山 6-11 負け
新人戦
 3戦3勝
秋季地区大会
 1回戦 武蔵野第一 5-4 サヨナラ勝ち
 2回戦 戸田商 4-2 勝ち
 3回戦 勝ち
秋季県大会
 1回戦 千朶 4-11 7回コールド負け
4市ブロックリーグ大会
 2戦2勝
4市決勝トーナメント大会
 1回戦 崎玉 7-8 負け
の11勝3敗でした。
創部1年目の1年生10人の戦いとしては上出来でしょう。
っていうことは、三橋廉はすべて完投で11勝3敗ってことだ。やっぱり投手は完投してなんぼだと思う。プロの100球制限なんて邪道で過保護だと思う。
お疲れ様でした。


おおきく振りかぶって
漫画版のHP(アフタヌーン公式サイトから)は
 https://afternoon.kodansha.co.jp/c/oofuri.html
ウィキペディアは
 おおきく振りかぶってhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%8A%E3%81%8A%E3%81%8D%E3%81%8F%E6%8C%AF%E3%82%8A%E3%81%8B%E3%81%B6%E3%81%A3%E3%81%A6
 おおきく振りかぶっての登場人物;https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%8A%E3%81%8A%E3%81%8D%E3%81%8F%E6%8C%AF%E3%82%8A%E3%81%8B%E3%81%B6%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%AE%E7%99%BB%E5%A0%B4%E4%BA%BA%E7%89%A9
です。


ウィキペディアから
 ひぐちアサ;https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%B2%E3%81%90%E3%81%A1%E3%82%A2%E3%82%B5
 二出川延明;https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%8C%E5%87%BA%E5%B7%9D%E5%BB%B6%E6%98%8E
 鈴木啓示;https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%88%B4%E6%9C%A8%E5%95%93%E7%A4%BA
 野茂英雄;https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%8E%E8%8C%82%E8%8B%B1%E9%9B%84
 洗脳;https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B4%97%E8%84%B3
 マインドコントロール;https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%89%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%AB
 サブリミナル効果;https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%96%E3%83%AA%E3%83%9F%E3%83%8A%E3%83%AB%E5%8A%B9%E6%9E%9C
 ドーピング;https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%83%BC%E3%83%94%E3%83%B3%E3%82%B0
 因果性;https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%A0%E6%9E%9C%E6%80%A7

     
余談:百足(むかで)

9月12日(土)、また百足に咬まれました。
右足の甲が何かちくりとすると思ってみたら、4cmくらいの百足がしっかりと咬みついていました。
だから、普通なら足を動かしたら逃げるのにこの百足は逃げもせず咬みついたままです。
捕まえてみたら咬まれたとこは血がにじんでいました。
一体、この百足は何の為に咬みついたのでしょうか。
防衛本能なら逃げもせずこんなにしっかり咬みつく必要はないと思います。
餌と思ったのでしょうか、それならとんでもない間違いでしょう。
それともこの百足は神風特攻隊の遷り変りだったのでしょうか。
ともかくこんな百足は初めてでした。
それにしてもほんと百足にはよく咬まれるようになりました。
ちくちくするし、周りに赤い湿疹のようなものが出来ています。


本記事の参考HP一覧
ウィキペディア(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8
アフタヌーン公式サイト - 講談社の青年漫画誌(https://afternoon.kodansha.co.jp/
アマゾン(https://www.amazon.co.jp/


甘い蜜
20200908火 甘い蜜


Enterに戻る


おおきく振りかぶって 漫画 第21巻~第26巻(現在全33巻)

おおきく振りかぶって」の第21巻の第40回「秋大抽選会」から第26巻の第47回「秋季県大会3」までを書きます。
なお、準拠する漫画版は電子書籍のキンドル版(https://www.amazon.co.jp/dp/B074CDR5MF?ref_=dbs_s_ks_series_rwt)となります。

夏の大会が終わり、秋季大会が始まります。
地区大会の1回戦で西浦は榛名元希率いる武蔵野第一と対戦し、花井梓のホームランなどもあり5-4で勝利します。
地区大会を勝ち上がり、県大会では1回戦で県下No.2の千朶と対戦し、序盤はリードするも最後には力を見せつけられ、4-11で7回コールド負けとなります。
榛名元希の一言から三橋廉はスピードアップできる普通のストレートを習得すべく、百枝まりあの父親である百枝利昭をコーチに迎え、取り組みを始めます。


☆あらすじ

甲子園に出場した埼玉代表のARC学園は2回戦で敗退して、埼玉の夏の大会はすべて終わった。
その頃、埼玉県では新人戦が行われ、西浦は3戦3勝して秋季大会のシード権を取った。
埼玉の秋季大会の南部地区大会の抽選が行われ、西浦は武蔵野第一と戦うことになった。
この抽選会場で、花井梓(はないあずさ)と栄口勇人(さかえぐちゆうと)は志賀剛司(しがつよし)から百枝まりあ(ももえまりあ)の西浦時代のたった一人の部員が山で遭難して亡くなったことを聞きだす。
西浦では文化祭が始まり、部員が各々参加したり楽しんだりする。
武蔵野第一では、のほほん捕手の秋丸恭平(あきまるきょうへい)になんとか一人前の捕手になって欲しいと3年を中心にみんながカツを入れる。
西浦では武蔵野第一戦に備えて阿部隆也(あべたかや)らがその秋丸恭平を分析して傾向と対策を練る。
花井梓は、百枝まりあが西浦文化祭の名物であるファイヤーストームを見ようといったことから、百枝まりあの野球部時代のことを聞き出す。ただ百枝まりあが全国制覇を目指すのはその時の一人の部員と関係あるのかないのかははっきりしない。
そして、ファイアーストームを見ながら、百枝まりあの西浦時代の野球部員が亡くなっていることが花井梓から告げられた。
武蔵野第一との試合の日になった。この試合から怪我が治った阿部隆也が正捕手として復帰する。(第21巻 第40回「秋大抽選会」)

榛名元希(はるなもとき)は秋丸恭平がなんとか正捕手になって欲しいと願いつつマウンドに立つことにする。
先攻は武蔵野第一で三橋廉(みはしれん)と阿部隆也の西浦バッテリーは無難に三者凡退に打ち取る。
榛名元希は絶好調で三者三振で切って取る。
2回表はエースで四番で主将の榛名元希が軽くヒットを打つと5番の藤巻圭吾(ふじまきけいご)のセーフティバンドで1・2塁となり6番の八木幸俊(やぎゆきとし)が送って一死2・3塁とし先制のチャンスをつかむ。
ここで西浦は守りやすい満塁策を取り7番の小池凌太(こいけりょうた)を敬遠するも、8番の吉沢信也(よしざわしんや)はセーフティスクイズを見せ、オールセーフで榛名元希がホームを踏み武蔵野第一が早々と1点を取る。
しかし、続くチャンスは捕球以外はダメな9番の秋丸恭平なので併殺打を打って終わる。
2回裏は4番の田島悠一郎(たじまゆういちろう)が豪速球をセンター前にはじき返す。
このピンチに秋丸恭平が榛名元希の元にいかないので1塁と3塁の1年生が投球を注意しに行く。
田島悠一郎は2盗し3盗を試みると捕球以外ダメの秋丸恭平は3塁へ悪送球したので、一気にホームまで帰り一人で1点を入れ同点とする。
それでも、榛名元希は5番の花井梓・6番の沖一利(おきかずとし)・7番の阿部隆也と三者三振で他の者には付け入る隙を与えない。
3回裏に1番の泉孝介(いずみこうすけ)がキャッチャー前にバントしたら秋丸恭平が1塁へ悪送球して生きたのでここが穴とばかりに2番の栄口勇人も意図的にキャッチャー前にバントするが、秋丸恭平はこれを正確なスローイングでアウトにした。
4回表は4番の榛名元希からで、最初の打席でヒットを打たれ点を取られているので阿部隆也は1球2球と内角にのけぞらせるような球を放って榛名元希を煽りそのあと外角の球で混乱させるという頭脳的配球で三振に切って取り三者凡退に抑えるも、ベンチに戻った阿部隆也三橋廉に百枝まりあは榛名元希へののけぞらせるような内角の球に対して激しく叱責して二度としないよう警告する。
4回裏で3番の須山尚治(すやましょうじ)がヒットで出て2盗し、4番の田島悠一郎の時に、秋丸恭平がサインを出したので榛名元希は面食らうと共にいら立つ。花井梓には戸惑って四球を出すがここも抑える。(第21巻 第41回「秋季・地区大1回戦」)

5回の表、8番の吉沢信也が内角を打ちヒットで出ると、9番の秋丸恭平は”まっすぐ”をなんなくバントして送る。
これに阿部隆也は”まっすぐ”を見切られているのかと疑念を抱くも、1番の小林和正(こばやしかずまさ)が”まっすぐ”を打ち上げたので懸念を払拭する。
5回の裏、7番の阿部隆也は榛名元希のストレートの前にまたしても三振に終わったが、8番の水谷文貴(みずたにふみき)はバッテリーの隙を突きヒットを放ち塁に出る。水谷文貴は2盗し9番の三橋廉が送って二死3塁とする。
1番の泉孝介はサードゴロとなるが、3塁の清水克哉(しみずかつや)が1塁へ悪送球をして水谷文貴が帰り1点を入れ2-1とリードする。
6回の表、西浦バッテリーはここからストレート(”まっすぐ”)を主体に投げて2番・3番・4番を3者凡退に抑える。武蔵野第一の打者の中にはこのストレートに違和感を抱くものも現れる。
6回の裏、3番・4番と抑えられるが、5番の花井梓は待っていたストレートを振り抜くとなんとホームランになった。本人はもとより誰もが驚く西浦で初のホームランである。このホームランに田島悠一郎は花井梓を率直に褒める。
榛名元希は三橋廉のストレートは捨てろと指示を出す。
7回の表、ストレートを捨てた5番の藤巻圭吾が2塁打で出ると、6番の八木幸俊は送りバントを試みるもストレートに合わず三振に終わる。
これに武蔵野第一のベンチは色めきたって三橋廉のストレートの正体を見極めようと秋丸恭平に詰め寄ると、秋丸恭平は見極めるためにこの回に打席に立ちたいと8番の吉沢信也にアドバイスを与えると、吉沢信也はこの期待に答えてヒットを放ち藤巻圭吾をホームに迎え入れ1点を返す。
秋丸恭平はストレート(”まっすぐ”)を見極めているがもともと打力がないので三振に終わる。
7回の裏、3打席目の阿部隆也であったが、今度も榛名元希のストレートに手が出ず三振に終わり、この回は三者凡退に終わる。
8回の表、武蔵野第一の打者は秋丸恭平から三橋廉のストレート(”まっすぐ”)の正体を教わり、それが分かった2番の清水克哉がヒットで出ると4番の榛名元希もストレートを打って3塁打とし、清水をホームに迎え3-3の同点とする。
決め球のストレート(”まっすぐ”)を打たれたが、バッテリーはここからが本番だと気持ちを入れ替える。
だが、5番の藤巻圭吾もヒットを打って榛名元希を向かい入れたので武蔵野第一が4-3と逆転する。
8回の裏、1番の泉孝介が榛名元希の失投を打って出るとすかさず2盗し、2番の栄口勇人が送って一死3塁とすると、このピンチに秋丸恭平が榛名元希のもとにアドバイスに行ったので、榛名元希はまた面食らって3番の巣山尚治に当ててしまい、ランナー1・3塁となる。
秋丸恭平が本気で勝ちたいと思っているようなので、榛名元希は嬉しくなる。
そんな榛名元希は気合が入って4番の田島悠一郎に豪速球を投げると、田島悠一郎は押されてショートゴロになるも、その間に泉孝介がホームを踏み4-4の同点とする。5番の花井梓はセカンドフライとなる。
同点となり、9回に入るので阿部隆也は三橋廉にストレートに代わる決め球のナックルカーブを使うことを告げる。(第22巻 第42回「秋季・地区大1回戦2」)

9回の表、7番の小池凌太の初球にナックルカーブが決まり空振りを取る。
ナックルカーブが決まったので配球に幅が出き、この回を三者凡退に仕留める。
9回の裏、6番の沖一利が三振のあと、7番の阿部隆也はストレートが来るのが分かっているのでセーフティバンドを成功させる。この行為に対して榛名元希は「勝負に負けて試合に勝つかぁ?ホンットおめーはそういうヤツだよなァッ」と思い、阿部隆也は「バントヒットだって内野安打だろうが、塁にさえ出りゃこっちの勝ちなんだよ!」と思う。
阿部隆也が2盗するとバッテリーは8番の水谷文貴を歩かし、9番の三橋廉の時に阿部隆也は3盗する。
スクイズ狙いでホームに向かっている阿部隆也を見た榛名元希はリズムを崩し三橋廉に当たるような球を投げてしまうが、三橋廉がそれを避けようとしたら、バットに当たってしまい、阿部隆也は3塁と本塁の間に挟まるが、秋丸恭平の下手な送球が阿部隆也に当たってボールがそれる間に阿部隆也が間一髪ホームを踏んで5-4のあっけないサヨナラ勝ちとなった。
試合後、榛名元希は三橋廉にナックルカーブを聞こうとしたら阿部隆也にそれは制されたが、三橋廉に「おめーはバックスピン練習しろ、ぜって損しねェ」と言う。(第23巻 第43回「秋季・地区大1回戦3」)

榛名元希への内角への球のことで田島悠一郎は三橋廉がそういうことをしてはダメでお前が止めろと百枝まりあと似たようなことを言う。
三橋廉は榛名元希に言われたバックスピンについて阿部隆也に相談する。阿部隆也は論理的にバックスピンについて説明するが三橋廉がどうしても投げたがるので、榛名元希に確認すると三橋廉はもっと速い球を投げられるとのことだった。
三橋廉は阿部隆也に”まっすぐ”とバックスピンの両方を投げ分けたいと言うが、阿部隆也はそれが上手くいかなくて故障したらどうするんだというと三橋廉は何も言えなくなった。
阿部隆也は”まっすぐ”の正体を知りたいということで、投球コーチのことで百枝まりあに相談すると、百枝まりあは心当たりがあるのであたってみるとのこと。
そのコーチとは百枝まりあの父の百枝利昭(ももえとしあき)であった。
百枝まりあが連絡するとその日に来て、早速三橋廉の”まっすぐ”を見る。と、かってこのような球を見たことがあるとのことだった。
百枝利昭は教えることに意欲満々なので百枝まりあは一安心する。
西浦は2回戦と3回戦に勝利して秋季県大会に進出し、県大会の抽選で県下No.2の千朶(せんだ)と対戦することになった。
この対戦を引いた主将の花井梓は大いにびびるが、田島悠一郎は武蔵野第一に続いてワクワクする。
百枝利昭は三橋廉のフォームの効率が悪いのでステップ幅を今の7足半から6足半にすることを提案する。
ちょっと6足半でやってみると、コントロールがままならないので大会中の今はステップ幅を変更しないことにする。
ところが三橋廉はシャドウではあるが6足半の投球を秘かにする。(第23巻 第44回「まっすぐ」)

百枝まりあは、父の百枝利昭と打順について話し合い、理想としては田島悠一郎が1番なのだが、田島悠一郎に匹敵する者がいないので4番を打たせているということと下位が弱いということになる。
そこで、千朶戦では花井梓を4番にして5番から8番までを田島悠一郎・栄口勇人・水谷文貴・阿部隆也とし、相手は横綱なのだから当たってくだけろの気持ちで自分達の持っているものを全て出そう、と気合を入れる。
1回の表、千朶は2番の東川博務(あずまかわひろむ)が2塁打を放ち、千朶の須永瑛司(すながえいし)監督の唱える3番最強説の櫻井騰大(さくらいとうだい)を迎えも、ナックルカーブや”まっすぐ”など持っているものを出し惜しみせず三振に取る。
1回の裏、千朶の先発は1年生の遠藤貴央(えんどうたかお)だが、その速球は榛名元希ほどではないので打てるとイメージし、1番の泉孝介が初球を打ち2塁打とすると3番の須山尚治も出て1・3塁とする。
ここで4番の花井梓となるが、百枝まりあは意表を突いて花井梓にスクイズを命じるとこれをきれいに決めて泉孝介が帰りまず西浦が先制する。
5番の田島悠一郎は期待通りヒットを放ち須山尚治を迎い入れて早々と2点目を入れる。その田島悠一郎は盗塁を試みるが2塁アウトとなり西浦ナインはその千朶の守備力に驚く。
西浦バッテリーは2回表も5・6・7番を三者三振に仕留めると、2回裏も6番の栄口勇人が四球で出ると水谷文貴が送って2塁とし阿部隆也のヒットで3点目を入れる。
9番の三橋廉にも送りバントを決められると、千朶は投手を遠藤貴央から2年の吉成樹(よしなりいつき)に代え、その吉成樹は1番の泉孝介を3球三振に仕留める。
さすがの千朶ということで、2順目に入ると、1番の岩崎広哉(いわさきこうや)と2番の東川博務に連続2塁打を打たれ1点を返され、3番の櫻井騰大には3塁打を打たれもう1点返される。
そして、4番の江口宗亮(えぐちそうすけ)に代わった飯田太一郎(いいだたいちろう)にもヒットを打たれあっという間に3点を入れられ3-3の同点とされる。
ここで西浦はタイムを取り、西村新太郎(にしむらしんたろう)が伝令となりここで勢いを止めることを伝えると田島悠一郎が千朶の足を警戒せよと言う。
そうすると、代走の島亜紀史(しまあきと)は田島悠一郎の指摘どおり2球で3盗してしまった。これを見て西村辰太郎は田島悠一郎の言うとおりになったので思わず「田島サマ」と口走る。
しかし、西浦バッテリーは”まっすぐ”で5番の久保陽輔(くぼようすけ)のセーフティバンドを封じなんとか逆転は防いだ。
3回裏、沖一利と巣山尚治は打ち取られたが、4番の花井梓が期待に答えて2塁打を放つ。(第24巻 第45回「秋季県大会」)

田島悠一郎も人の子、花井梓が4番として実績を残し始めたのを意識し集中が散漫になり外野フライに終わる。
4回の表、西浦バッテリーは決め球を惜しみなく投入して三者凡退に抑える。と、なぜか三橋廉がマウンドでこける。
阿部隆也はなぜ、こけたかを聞くと、三橋廉は6足半で投げていたのに7足半で投げたので滑ったとのこと。
その間に栄口勇人がセーフティバンドで出塁すると水谷文貴が送り、8番の阿部隆也は読み勝ちで2塁打を放ち栄口勇人をホームに迎え入れ4-3と再びリードする。
三橋廉までバントで出塁して一死1・3塁となると、千朶は完全に本気モードとなりタイムを取って1点覚悟の確実にアウトを取る守備隊形に入る。
これで、1番の泉孝介と2番の沖一利は打ち取られて2者残塁となる。
5回の表、三橋廉のコントロールがおかしいので阿部隆也は三橋廉の元に行くと6足半から7足半に変えたいと言うので、阿部隆也は切れかかるがぐっと我慢していままでの7足半で行くことにする。
この回は三者凡退で抑えたが、三橋廉は違和感があり阿部隆也に投げ込みしたいと言う。
三橋廉がもう6足半か7足半か分からなくなったと言うので、阿部隆也は百枝まりあに相談して6足半で行くことにする。
5回の裏、3番の巣山尚治が四球で出て4番の花井梓はエラーで生き、無死1・2塁で5番の田島悠一郎という絶好の追加点のチャンスを迎えるも、攻めのヒットエンドランが裏目に出てトリプルプレーとなり一瞬の内にチャンスはついえた。
三橋廉は勝手に6足半の練習をしたつけでもうどのように投げていいのか分からないくらいに重症になってしまったが試合は続いているので阿部隆也は怒りを押し殺して今の三橋廉のコントロールを聞くと、変化球が4分割ストレートが2分割ということで、阿部隆也はもうあきれかえって変にサバサバする。
千朶は1点負けているということで、ここから本格的に西浦バッテリーを崩しに行く。
ストレート(”まっすぐ”)はカットして変化球を打つことにする。
3番の櫻井騰大・4番の前田俊悠(まえだとしはる)と飛んだコースが良く無死1・2塁となり、5番の久保陽輔の打球は併殺を焦った巣山尚治が悪送球をして櫻井騰大がホームを踏み4-4の同点となる。(第25巻 第46回「秋季県大会2」)

栄口勇人のランナーを気にしたエラーから1点を与え、8番の谷嶋誠一郎(やしませいいちろう)には読み負けしてストレート(”まっすぐ”)を2塁打されさらに2点を追加され4-7となる。
9番の吉成樹のとこで代打の菅野賢志(かんのけんし)となると、百枝まりあはタイムを取り西村辰太郎を伝令に送り代打の情報を伝えて一つずつアウトにするよう指示する。
谷嶋誠一郎に3盗された後、代打の菅野賢志にスクイズされ1点を追加される。
1番の岩崎広哉はストレート(”まっすぐ”)を打ってくれたのでなんとかアウトを取れたが、2番の東川博務は打ち取った打球であったが三橋廉がランナーの東川博務と接触して球を落としセーフとなった。
3番の櫻井騰大は名誉挽回とばかりにナックルカーブを狙い澄まして3塁打して2者を帰し、4-10となる。あと1点でコールドの7点差となる。
三橋廉はコントロールがままならないので迷いながら投球動作に入ったのでボークを取られてしまい、3塁走者が帰りコールドの7点差となる。
4番の前田俊悠はサードライナーでやっと6回表の長い守備が8点取られて終わる。
そして、6回裏からは千朶のエースの宮森留世(みやもりりゅうせい)が登場する。
宮森留世・谷嶋誠一郎のバッテリーの前に6番の栄口勇人、7番の水谷文貴、8番の阿部隆也は何も出来ず三者凡退となる。
阿部隆也は、宮森留世の球の切れ伸びコントロールのあまりにもの素晴らしさに驚嘆する。
阿部隆也は、6足半を勝手に練習してコントロールが悪くなったのを気にしてすっかり落ち込んでいる三橋廉を励まして何とかこの回(7回表)を切り抜けようとする。
西浦バッテリーは配球を駆使してなんとか5番・6番・7番を打ち取る。
7回の裏、9番の三橋廉からの打席であるが、捕手の谷嶋誠一郎は西浦の将来を感じて宮森留世の投球を披露する。
その投球に、三橋廉、泉孝介、沖一利はまったく手が出ず三者三球三振で終わる。
結果、試合は11-4で千朶の7回コールド勝ちとなる。西浦にとっては初のコールド負けである。
試合後、谷嶋誠一郎は花井梓に握手を求め「がんばれよ!」と声をかける。
その声かけをナインに問われた谷嶋誠一郎は、公立校が強くならないと埼玉の野球は強くならないとの想いから強くなる見込みのある西浦にエールを送ったと言う。
百枝まりあの千朶戦の総評は投球も打線もそれなりに自分達の力を出したということだった。
手も足も出なかった宮森留世に対しては、素晴らしいとしか言いようのないことだった。
花井梓は勝つことを信じるメンタルが千朶にはあり自分達にもそれが必要だと言う。
百枝まりあは投球に関しては冬の間に新たな地点に立たなければならないと言う。
阿部隆也は新たな三橋廉の為に全部付き合うと言う。(第26巻 第47回「秋季県大会3」)


☆所感

文化祭があって、初めて気がついたのだが、篠岡千代(しのおかちよ)と阿部隆也(あべたかや)と花井梓(はないあずさ)と水谷文貴(みずたにふみき)は同じクラスなんだ。
ということは、篠岡千代は学校に居る間は、ほぼといっていいくらい阿部隆也といっしょということになり、水谷文貴が篠岡千代を好きなのは同じクラスというのが大きいといえるでしょう。
花井梓は百枝まりあ(ももえまりあ)だから篠岡千代には特に何も思っていないということでしょう。
それから、阿部隆也がクラス内での傍若無人ぶりが許され治外法権みたいになっているのは、阿部隆也が文武両道にすぐれているということと共に、篠岡千代がマネージャーということもあるのかも知れません。
篠岡千代が影でけっこうフォローしてたりするかも知れません。

阿部隆也は、うわついたりちゃらちゃらしたとこがなく野球に打ち込んでいるので、大人っぽく見え意外と女子に好かれ隠れファンがいたりするのかもしれません。
男がひたむきになっている姿とかはけっこう母性本能をくすぐったりするのかもしれません。

阿部隆也は、榛名元希(はるなもとき)に初打席でヒットを打たれそれがきっかけで1点を取られた上に自分の初打席では榛名元希に頭脳的ピッチングで三振に取られていたこともあってか、この2打席目では三振を取ろうと思って内角にボール2個分はずした球を投げます。(第21巻 184~186頁)
このかいあって、榛名元希を三振に打ち取ります。
が、しかし、この投球を危険球と見た百枝まりあに阿部隆也と三橋廉(みはしれん)は激しくしかられます。
とは言っても、阿部隆也にとっては面従腹背でしょう。
今回は三橋廉のコントロールがあるからこその内角への目付けであり、また榛名元希ならよけれるという目算があってのことだからです。
まぁ、百枝まりあもそのことは分かっているのであるが、監督(指導者)という立場からはそれを許すということは絶対に出来ないことだからあえて強くいったのだろう。
それと共にこの機会に三橋廉に責任感を持たすためにあえて強く言ったのだろう。
そして、今回は阿部隆也は冷静に論理的に行ったが、どんなことで感情的になるかもわからないのでここで激しく釘をさしておかなければ不測の事態も起こるといえよう。

榛名元希への内角へのきわどい球のことで、田島悠一郎(たじまゆういちろう)が三橋廉と話している時に、正々堂々ということを言います。
こういう言動を見ていると、つくづく田島悠一郎は天才の部類だと思います。
正々堂々とかいうのは強者の論理です。
正々堂々の勝負をすれば、100%に近い確率で強者が勝つでしょう。
だから、弱者は正々堂々の勝負なんかする必要はないのです。
強者の論理にひっぱられる必要はありません。
弱者は強者に勝つためにはありとあらゆる手段を使ってもいいのです。
それが論理にかなっている限りは。
だから、阿部隆也の強者に対抗する論理には問題はないと思います。
阿部隆也は榛名元希が自分たちよりも上だと認めての内角攻めなのです。

こういう正々堂々というような考えが跋扈(ばっこ)していたのは、天才だけが野球をやれた時期があったということでしょう。
野球が普及して大衆のスポーツになるにつれ、玉石混淆となり弱者が強者を倒すという新たな論理も生まれたのでしょう。
天才同士の対決は当然ながら見応えあるが、凡人がいろんな手を使って天才を倒すってのも見ていてそれなりに面白いといえるでしょう。
ただ、天才同士の対決はわりと明解なことも多いかと思われるが、凡人がいろんな手を使うとわりと分かりづらいということもあるかも知れません。
例えば、ストレートだけで勝負するとかいうのは分かりやすいが、配球で勝負するとかいうのは素人にはわかりずらいといえます。
まぁ、わかりずらいから相手に対して効果があるといえるのですが。

現在のように映像やデータのない時代は、自らの感覚が頼りであったと思われるので、そういうことではそういう才能を持った者だけが野球をやれたということです。
だからこそ、その感覚をより鋭く磨くためには、スパルタという厳しく激しい練習をしなければならなかったのでしょう。
なんたって、自分では自分の打撃も投球も守備も見れないのだから、どういう状態になっているかはひたすら練習してその感覚を研ぎ澄まさなければならないでしょう。
いわゆる心技を体が覚えるまで練習するということです。
ところが、今は映像やデータで自分および相手を見れるので、より効率の良い練習ができるということです。
そういうことでは、百枝まりあがチームの要として一番に田島悠一郎を2番に花井梓をあげ、阿部隆也を3番手にしたのも納得できるということです。
おそらく、ひと昔前なら阿部隆也は二流の野球選手だったでしょう。
阿部隆也は映像やデータを駆使し試合をコントロールできるから一流なのであり、まさに現代の野球選手なのです。

ここで面白いのは田島悠一郎はこのような危険なことするなと三橋廉には言っても阿部隆也にはいわないということです。
そして、先の百枝まりあもそうだったが、そのようなことがあれば三橋廉が阿部隆也を止めろというのです。
ここらへんは、阿部隆也に言うと、論理的にちゃんと説明しないといけなく、おそらく百枝まりあも田島悠一郎もそのような行為が駄目だと論理的に言えないので、そういうことを言わなくても情緒的であっても命令すればそれに従う三橋廉に言って阿部隆也を牽制しているということでしょう。
阿部隆也は三橋廉が論理的にものが言えないのを分かっているので、そういうことへの期待はありません。
阿部隆也は基本的に非論理的な者は信頼しないが、三橋廉は有用ということで信頼しているので、三橋廉へのある程度の配慮からそれを受け入れると思われます。
三橋廉は田島悠一郎と阿部隆也との板挟みみたいになっているがそのことでちっとも悩んでいないということは事が分かっていないのかそれとも思ったより図太いのでしょうか。

田島悠一郎の天才性に関して、千朶戦の時に、西広辰太郎(にしひろしんたろう)が「田島サマ」と田島に様をつけて呼ぶシーンがあります。(第24巻 193頁)
西広辰太郎が「田島サマ」というのは、納得できます。
というのは、西広辰太郎が田島悠一郎の「心技体」に近づくことはないからです。
その才能の差は天と地くらいあります。
もちろん、努力によって田島悠一郎の「心技体」に近づくことは出来ます。しかし、その為には膨大な時間がかかります。
例えば、西広辰太郎が田島悠一郎のようにどのような球でも打てるようになるにはどれほどの努力を必要とするか考えてみましょう。
まず、真ん中のストレートを打つ練習をするとします。ある速度で来る球をジャストミート出来るようにします。それが出来ると今度は緩急で練習します。それも出来ると今度は4分割で打てるように練習します。
これだけ出来るようになるにはおそらく西広辰太郎では1年以上かかるでしょう。
それが終われば、今度はカーブ、シュート、スライダー、シンカー、フォークなどの変化球を同じように打てるように練習します。
もうこれだけで野球人生が終わってしまいそうです。
その他に、守備、走塁、連係や相手の動きに応じた柔軟さなどを習得するのには一生では足りないかもしれません。
この時点の田島悠一郎にすら西広辰太郎ではそのくらいかかるのです。
才能の足りなさは努力で補うことは出来ますが、その努力が実るまでにはとても時間がかかります。
だから才能のないものがそのことに挑戦するのはある意味時間の無駄です。
努力の本来の目的は、潜在能力の開花です。
どのような偉大な才能でも努力しなければその潜在能力の限界まではいきません。
努力しない秋丸恭平がその潜在能力を開花できないのなどはその良い例です。

西広辰太郎は客観的にその田島悠一郎との差を見極めているからこその「田島サマ」でしょう。
田島悠一郎は自分がけっして到達しない位置にいるからこその素直な見方なのです。
西広辰太郎が素直にそういうことを言えるのは、客観的に見れるからです。
それは自分がレギュラー争いなどをしていないということです。
それと西広辰太郎は野球では田島悠一郎にはるかに劣っていても勉強では田島悠一郎には劣っていないどころか優位に立っているから、素直に相手を認められるということです。
もし、何もかも田島悠一郎に劣っていたらこの「田島サマ」は卑屈に聞こえるでしょう。

秋丸恭平(あきまるきょうへい)が覚醒しそうです。
西浦戦で捕手として先発出場して徐々にチームの捕手としての自覚が芽生えてきます。
これは先の夏の大会のARC学園戦で試合に出たというのが大きかったと思われます。
やはり、榛名元希の「かべ」としてブルペン捕手である時と自分が実際の試合に出るのではその意識すなわちモチベーション(起動原理)は大いに違います。
ブルペン捕手と試合に出る捕手とでは、練習においてもその心構えは天地くらいの差はあるでしょう。
試合に出るイメージがなければ、その練習は限られた範囲でしかないでしょう。
連係プレーとかいうのはほとんど頭にないでしょう。
こういうのは、美丞大狭山戦で阿部隆也が怪我して急遽出場した西広辰太郎(にしひろしんたろう)が遭遇したことです。
自分が試合に出場するというイメージがなくて練習していたから、実践でほとんど役に立たなかったということです。
その後は阿部隆也の怪我が治るまでであったが、自分が試合に出るというイメージで練習しているのでどんどんうまくなっていた。

秋丸恭平がチームの正捕手としての自覚で練習したらこれからもっとうまくなり、榛名元希に特化するとはいえ普通の捕手くらいのレベルにはなるでしょう。
そうなると、榛名元希は何の憂いもなく投球できるのでその本領を発揮し「A」クラスとしての実力をこちらも開花させると思われます。
そして、おそらく榛名元希を慕って入ったと思われる1年生はこの西浦戦で正体を明かし優秀な者たちが多いということまた夏の大会でベスト4になったので新部員も榛名元希を慕って優秀な者が入ることも期待できるので、来期の武蔵野第一は間違いなく優勝候補でしょう。
ということで、来季の西浦の甲子園出場はないということになりました(笑)
西浦が甲子園に出れる可能性があるのは、榛名元希が卒業した来秋以降ということになります。
つまり、3年の春か夏ということです。
榛名元希が甲子園に出たら、三橋廉は大いに嬉しいでしょうが、阿部隆也は悶々が増えるでしょう。
阿部隆也と榛名元希はお互いに変なライバル意識があるということになります。
お互い相手が落ち込むとこを見たいというような・・・(笑)

その阿部隆也のリードは「A」クラス悪くても「B+」クラスだろう。
このクラスのリードだと、投手がこの捕手に捕ってもらいたいということもあるだろう。
そういうことでは、西浦に良い投手が入ってくることもあるだろう。
三橋廉の球が遅いだけに西浦へ行けば活躍できるという公算もあるわけだ。
だが、捕手ってのは女房役といわれるようにそのリードの能力がなかなか投手ほど表立つことはないといえるので、榛名元希ほどのインパクトは阿部隆也にはないといえます。
三橋廉以外の投手の阿部隆也のリードを見てみたいので、新部員にそれなりの投手は入ってきて欲しいと思ってしまいます。
そうでないと、阿部隆也も三橋廉に特化した捕手になってしまいそうです(笑)
阿部隆也ほどの捕手が特化型になるのはかなりもったいないと思うのですが・・・

千朶(せんだ)戦でも主将の花井梓は、「田島と三橋は千朶に入っても見劣りしないと思います!」と言って、この2人のメンタルの強さを強調するが、そのなかに阿部隆也は入っていないのです。
意識して花井梓が阿部隆也を外して三橋廉を鼓舞するために言ったのかもしれませんが、これを本心で言ったのならこのように捕手は影になる女房役でその真価は見た目ではなかなか分からないということになります。

秋丸恭平が三橋廉の”まっすぐ”を打てたのは、ダメな打者だったからです。
阿部隆也は、三橋廉と花井梓を勝負させた時に花井梓が三橋廉のストレート(”まっすぐ”)を浮いている(伸びている)ように見えるのは良い打者の証拠だと言っていた。(第1巻 54~55頁)
ようするに、秋丸恭平はほとんど見極めて打っていないので、三橋廉の遅い球を素直に見て打ったということです。
誰がどこでどんなに役立つかはほんと分からないことです。
というか普通はほとんど思い込みで物を見ているともいえそうです。
それはまぁ、当たり前です。そうでないと経験や知識は役に立たないということになります。

三橋廉は榛名元希に言われたこともあって、普通の速いストレートを習得しようとします。
コーチの百枝利昭(ももえとしあき)や監督の百枝まりあがいうように、速いストレートがあってこそ変化球が生きるというのはおそらく常識でしょう。
そんなことは阿部隆也も分かっているであろうのに、なぜストレートを速くすることに消極的なのでしょうか。
どう考えたって、120Kmくらいのストレートでは”まっすぐ”や変化球があっても甲子園出場すら叶わないでしょう。
当然、西浦が勝ち上がってきたなら三橋廉の”まっすぐ”の正体など直ぐに既知のものになってめった打ちされるでしょう。
阿部隆也がストレートの速さに消極的なのは榛名元希の存在があるのではないかと思う。
ようするに榛名元希に対抗するために、遅い球でも配球で榛名元希の速い球と同等のことができるということを証明したいのではないかということ。
130km後半のストレートを持っていて”まっすぐ”や変化球があれば、相手を抑えることができるのは普通なので、阿部隆也の力で勝ったということにはならないということ。
そうすると、速いストレートを持った者が優れているということになって阿部隆也は榛名元希に負けたことになります。
遅い球を持った投手でも阿部隆也の配球で勝つことができれば、速ければいいってもんではなく大事なのは配球だということを榛名元希に言える訳です。
阿部隆也があまりにも意地を張っているので、そんなことを思ってみました。
阿部隆也にとって、榛名元希はとても大きな意味のある選手ということです。
そういうことなら、阿部隆也はとても負けん気が強いということになります。

千朶よ、あなたは強かったということで、4-11で7回コールド負けになりました。
まぁ、コールドで負けた一番の要因は、三橋廉が勝手に6足半に変えて投球が分からなくなったということです。
三橋廉の驚異的な長所であるコントロールがままならなければ、阿部隆也のリードも絵に描いた餅です。
この千朶で特に注目したいのは、捕手の谷嶋誠一郎(やしませいいちろう)です。
千朶の監督が「このチームの要はなんつっても谷嶋なんだよなァ」と言っているように、とても度量の大きい選手です。
いつも全体を見てその場をどうすればいいかと判断します。
西浦と戦って、このチームの良し悪しを見極め、このチームがこれから伸びると判断するや、エースの宮森留世(みやもりりゅうせい)が登板すると、西浦の対戦する打者に宮森留世のピッチングを披露させて参考にさせます。

谷嶋誠一郎は試合後には、花井梓に「がんばれよ!」とエールを送ります。
このことをナインから、上から目線だと言われると、「公立校が強くなんねーと、埼玉の野球は強くなんねーよ」と言って、指導者目線かよと感心されます。
普通なら、自分のチームで手一杯なのにこうやって他校のことまで配慮できるってのが器の違いということです。
まぁ、それくらい千朶は選手層が厚いってこともあるけど。
さて、3年後の阿部隆也はどうなっているんでしょうか。

宮森留世は140km前後のストレートに変化球を持った技巧派の投手です。
おそらく、三橋廉の手本にすべき投手はこの宮森留世でしょう。
そういうことでは、この宮森留世が来季では「A」クラスの投手になる可能性があるってことなのでしょうか。
そういうことになったら、この打線とこのエースで来季はこの千朶が甲子園出場ってことにもなりそうです。
夏の大会のARC学園 対 千朶の試合を見てみたかったです。
結局は、3年のエースの差で千朶が負けたのでしょうか。
来季は、どのチームも故障者が出なくそれまでに当たらなければ、今季と同じくARC学園、千朶、武蔵野第一がベスト4になると思われます。
ここらへんのことを阿部隆也はよく分かっていて、三橋廉に宮森留世を評して「宮森はスゲーぞ、榛名よりよっぽど」と言う。まぁ、これには榛名元希に対するやっかみが少しは入っているでしょうけど(笑)

三橋廉って本当に体が柔らかいのだと思う。
普通に投球したら軸足って投球後に前にくるのだから。
軸足が前に来ないということは上半身だけで投げているということなのかな。
ここらへんにもあの”まっすぐ”あるいはコントロールの秘密があるのかも・・・


おおきく振りかぶって
漫画版のHP(アフタヌーン公式サイトから)は
 https://afternoon.kodansha.co.jp/c/oofuri.html
ウィキペディアは
 おおきく振りかぶってhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%8A%E3%81%8A%E3%81%8D%E3%81%8F%E6%8C%AF%E3%82%8A%E3%81%8B%E3%81%B6%E3%81%A3%E3%81%A6
 おおきく振りかぶっての登場人物;https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%8A%E3%81%8A%E3%81%8D%E3%81%8F%E6%8C%AF%E3%82%8A%E3%81%8B%E3%81%B6%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%AE%E7%99%BB%E5%A0%B4%E4%BA%BA%E7%89%A9
です。


本記事の参考HP一覧
ウィキペディア(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8
アフタヌーン公式サイト - 講談社の青年漫画誌(https://afternoon.kodansha.co.jp/
アマゾン(https://www.amazon.co.jp/


サマータイムブルース
20200828金 サマータイムブルース


Enterに戻る


おおきく振りかぶって 漫画 第15巻~第20巻(現在全33巻)

おおきく振りかぶって」は、今回から漫画版(原作)になり、第15巻の第27回「目標」から第20巻の第39回「合同練習」までを書きます。
なお、準拠する漫画版は電子書籍のキンドル版(https://www.amazon.co.jp/dp/B074CDR5MF?ref_=dbs_s_ks_series_rwt)となります。

西浦は全員一致で全国制覇という目標を立て、新たな戦いを始めます。
県大会では、榛名元希率いる武蔵野第一がベスト4まで進むが、準決勝でARC学園に8回コールドで敗れます。県大会優勝はARC学園で埼玉代表として甲子園に出場します。
夏の合宿を経て、後学の為、憧れ(目標)の甲子園を観戦しに行き、西日本の2校と練習試合もして新たな発見をもします。


☆あらすじ

バラバラだったので翌日に保留していた目標は、全員一致で全国制覇となる。
その目標に近づく為に、その日から集中を意識しての厳しい練習が始まる。
花井梓(はないあずさ)は、懇話会に行った母から百枝まりあ(ももえまりあ)の西浦時代の話を聞く。
その話によると、部員は一人で百枝まりあがマネージャーだったとのこと。(第15巻 第27回「目標」

阿部隆也(あべたかや)は自分家(じぶんち)で武蔵野第一が榛名元希(はるなもとき)によってベスト8(準々決勝進出)になったので悶々とする。
百枝まりあは、阿部隆也がいない間は田島悠一郎(たじまゆういちろう)を正捕手として万一の為もう一人捕手を作りたいとして、試した結果花井梓を捕手兼任とする。
合宿から阿部隆也も参加する。
そこで、百枝まりあは阿部隆也三橋廉(みはしれん)のギクシャクした関係を解消するため、2人が一緒に朝食を作ることと阿部隆也の病院への付き添いを命じる。(第15巻 第28回「育て!」

阿部隆也は自転車で三橋廉は走りで病院通いをする。
今回の志賀剛司(しがつよし)の講話は体の横幅をでかくする(筋肉にパワーをつける)為の栄養についてである。
そのミソは、バランスよく食って寝て運動するとのことである。
この講話を聞いたので、阿部隆也は朝食を作るのにとてもプレッシャーを感じてしまい、百枝まりあに正直に「オレらだけじゃムリです!」というと、百枝まりあは篠岡千代(しのおかちよ)に始めの3日間は2人をサポートするように言う。
このことで、篠岡千代はひとり草むらに行ってしゃがみこみ、「なにこの好運ー!!」と思い、阿部隆也への思いを募らせる。
阿部隆也と三橋廉は、篠岡千代の助けを借りて無事朝食を作る。
話は代わって、西浦は負けたが夏の大会は続いていて、榛名元希の率いる武蔵野第一は準々決勝で春日部市立と対戦する。(第16巻 第29回「育て!2」)

合宿中の西浦ナインは、三橋廉が田島悠一郎に借りていたグラビア物からエロ話になって大いに盛り上がる。
春日部市立は鈴木葵(すずきあおい)が先発し1回表を無難に三者凡退とする。
武蔵野第一は榛名元希ではなく3年の加具山直人(かぐやまなおと)が先発し、ヒットを打たれるも無失点に抑える。
加具山直人は3回あるいは3点取られたところで、榛名元希と交代する予定であったので、2回裏に1点取られ、3回裏に2点取られたとこで榛名元希と交代する。
二死2・3塁から救援した榛名元希は7番の捕手の鈴木涼(すずきりょう)を三振に仕留めてこのピンチを切り抜ける。
その後は、鈴木葵も榛名元希も点を与えず、8回表まで来る。
先頭打者の9番の加具山直人のサードゴロをエラーしたとこから武蔵野第一に流れが来て、1点を返す。
榛名元希は80球制限を解除して8回裏のマウンドに立ち、4番の高橋航(たかはしこう)と対峙する。(第16巻 第30回「準々決勝」)

榛名元希は高めの豪速球で4番の高橋航を三振に切って取るとこの回も無失点に抑える。
この榛名元希の快投に鼓舞されるかのように、最終回(9回表)に先頭の5番の中山(なかやま)がヒットで出て、6番の佐々木(ささき)が送って2塁とし、7番の榛名元希は2塁打を放って1点を追加して、点差は1点となる。
8番の相馬(そうま)が送って3塁とすると、投手の鈴木葵は肩に力が入ったのか9番の香具山直人にストレートの四球を与えてしまう。
1番の福原(ふくはら)はそんな春日部市立の動揺を見透かしたかのようにサード方向にセーフティバンドを成功させ、武蔵野第一は土壇場で同点に追いつく。
榛名元希は9回裏も無失点に抑えたので延長戦に入る。
勢いにのる武蔵野第一は10回表も先頭の3番で捕手の町田祐樹(まちだゆうき)がヒットで出ると、4番で主将の大河浩宣(おおかわひろのり)が外野を越す2塁打を放って町田祐樹をホームに迎え入れ、遂に武蔵野第一が4-3と逆転する。
このピンチで春日部市立はタイムを取り、監督が鈴木葵にまかせると伝えると、ナインは奮起してこの1点に留める。
10回裏に一死で再び榛名元希と対峙した4番の高橋航は、俺の出番とばかりに速い球に絞って、初球のストレートを迷いなく振り切るとその打球は文句なしにスタンドに吸い込まれて行った。
5番の柴有紀(しばゆうき)にも2塁打を打たれるがなんとか後続を断ち切る。
11回の表から春日部市立は投手が長沢(ながさわ)に変わり、それを見た榛名元希はこの投手は嫌いではないとバット一閃すると、打球はこれまたスタンドに吸い込まれ、スコアは5-4となって武蔵野第一が再びリードする。
榛名元希は8番から始まる11回裏を三者凡退に抑え、驚くべき準決勝進出(ベスト4)となった。
阿部隆也と三橋廉はロードから戻ると、榛名元希の率いる武蔵野第一が勝ったのを知り、阿部隆也はまたもんもんとする。(第17巻 第31回「準決勝2」)

武蔵野第一の話になって、阿部隆也が快進撃の武蔵野第一もさすがに準決勝のARC学園には勝てないだろうと言うと、またしても三橋廉は阿部隆也が榛名元希とバッテリーを組んでいたらARC学園にも勝てるかもとかいう愚かなことを言って阿部隆也の怒りを買う。
水泳の時に、阿部隆也と花井梓と沖一利(おきかずとし)が偶然一緒になって、三橋廉の話になる。
阿部隆也は三橋廉と一緒にいるのは百枝まりあの策謀であるというと花井梓も同意する。
阿部隆也は三橋廉が何を言っているのかこちらの話が分かっているのか暗中模索でイライラすると言う。
沖一利は阿部隆也が三橋廉を怒っているからびくつくのではと言うと、阿部隆也は怒ってはいないと言うと、花井梓がしかっているんだろうとフォローする。
阿部隆也は怒りというなら、三橋廉が阿部隆也にキャッチャーやめるとか西浦やめるとかいうことだと言う。
この会話の後で花井梓は沖一利に阿部隆也は理系男で三橋廉にはイラッとすると言うと、沖一利はなんのことか分からないという反応をする。
ARC学園は10-3のコールドで勝った。
このARC学園の強さを見て、榛名元希はARC戦は勝つために先発で行くと言う。
一方、ARC学園は1年生の太田川好美(おおたがわよしみ)で行くことにする。(第17巻 第32回「ビクビクとイライラ」)

百枝まりあは阿部隆也に話しかけ美丞大狭山が負け倉田岳史(くらたたけし)が出てないことでちょっと心配し、そのことから阿部隆也が怪我したことに対して改めて注意すると共に正捕手はエース以上に重要なポジションだと言う。
埼玉の夏の大会の準決勝は千朶 対 日農大付属とARC学園 対 武蔵野第一となった。
百枝まりあは後学の為、準決勝を観戦することを決める。
当日、第1試合は千朶が勝ち、第2試合が始まる。
阿部隆也と三橋廉は百枝まりあの命で共に相手を分析しながら観戦する。
ARC学園の太田川好美は1回表を三者凡退で片づける。ARC学園の監督は捕手の吉田友成(よしだともなり)に100球以内で完投との指示を出しているとのこと。
榛名元希は1回裏に1番・3番・4番・5番にヒットを打たれて早々と3点を失う。
ここで榛名元希は豪速球を投げるため捕手を町田祐樹(まちだゆうき)から秋丸恭平(あきまるきょうへい)に代えて欲しいと申しでる。その理由は町田祐樹では榛名元希の豪速球を捕球できないが秋丸恭平から捕球できるとのこと。ではなぜ最初から秋丸恭平でないかというと秋丸恭平は野球が下手で榛名元希の球を捕球することしかできないとのこと。
そして、捕手が秋丸恭平になると榛名元希は豪速球を投げ始める。(第17巻 第33回「準決勝」)

捕手が代わってから榛名元希が豪速球を投げてくるので、ARC学園の監督は榛名元希は全国区で見ればBランクなのでデータなしでもお前らが打てて当たり前だと言う。
榛名元希も太田川好美もお互い譲らず、6回表に3番の塩入千紘(しおいりちひろ)が四球で出て2盗したピンチも榛名元希は4番の吉田友成を豪速球でねじ伏せると、ARC学園の監督は榛名元希をB+ランクに格上げする。
7回表に入ると太田川好美に勝ちを意識したのか疲れが出たのかはたまた武蔵野第一の打者の目が慣れてきたのか、無死1・3塁の理想的な攻めで2点を返す。
このピンチにARC学園の監督は伝令を出し、捕手の吉田友成を責めると太田川好美がむきになって反論するのでみんなが大笑いしてリラックスさせた。
そうすると太田川好美は立ち直り後続をピシャリと抑えた。
同じくARC学園も榛名元希の豪速球に目が慣れてきたということで、榛名元希は7回裏に二死満塁とされると3番の塩入千紘に豪速球を2塁打され取った2点を3点として返される。
武蔵野第一は8回表に相手の守備の乱れもあって2点を返し望みをつなぐ。
しかし、8回裏に榛名元希が先頭打者の5番の増田雄二(ますだゆうじ)を死球で出すと、捕手が秋丸恭平から再び町田祐樹に代わる。(第18巻 第34回「準決勝2」)

捕手を代えた榛名元希だが次打者にも死球を与え疲れが出始めているのか球威もコントロールも悪くなる。
7番はピッチャーゴロに打ち取ったかに見えたが3塁に悪送球をし、無死満塁となる。
ここから榛名元希は揺さぶられて4点を取られ、最後は3番の塩入千紘にフェンス直撃のタイムリーで5点目を入れられ、7点差となり4-11で8回コールドゲームとなり、武蔵野第一は負ける。
三橋廉は阿部隆也に榛名元希に会いたいと言うと阿部隆也が同意したので百枝まりあの許可を得て挨拶に行く。
三橋廉のことは秋丸恭平が知っていたので、それなりに話がスムーズに進み、最後の球が全力投球だったということから阿部隆也はシニアの時のことを皮肉まじりに言うと、榛名元希は俺はいつだって全力投球だと言ったので、言い合いになるが、榛名元希が「ありがとうそしてごめんなさい!」と謝ったので阿部隆也はもうそれ以上何も言えなくなった。
そこで、阿部隆也は三橋が元希さんに聞きたいことがあると言うと、三橋廉は榛名元希の筋肉を触りたいと言う。
三橋廉は榛名元希の肩の筋肉を触ると「やわらかい」と感激する。
そこにシニア時代の監督である戸田北の監督が来て、二人はなつかしく挨拶する。
榛名元希はシニア時代のことを謝ると、監督は榛名元希の事情を知っていて使っていたと言う。
武蔵野第一の3年生は秋丸恭平にもっと欲を持てというがあいかわらず秋丸恭平は何のことか分からないという感じでのほほんとしている。
三橋廉が榛名元希に会った目的は速い球を投げるためで、三橋廉は阿部隆也に「振りかぶって投げる!」と宣言する。
そしてそのことに対して阿部隆也が賛同すると三橋廉は大いに喜ぶが、阿部隆也はちょと白け気味になる。
阿部隆也としては、4つ目の変化球をマスターすることの方が主眼である。(第19巻 第35回「準決勝3」)

三橋廉は振りかぶって投げるが、当然のように球威もコントロールも悪くなる。
が、三橋廉が振りかぶって投げることを望むので、好きなようにさせる。
朝食は、阿部隆也が篠岡千代にサポートはいらないと言ったので、阿部隆也と三橋廉で作る。
二人で作ると、一日の長で三橋廉の方が要領がいい。
阿部隆也は百枝まりあに捕手をごね気味に要望し、久しぶりに三橋廉の球を受ける。(第19巻 第36回「振りかぶって・・・?」)

やはり、阿部隆也が受けると三橋廉は振りかぶっても気持ちよく投げれるようだ。
阿部隆也が怪我で試合に出れないので、代わりとして西広辰太郎(にしひろしんたろう)が左翼に入り少しずつうまくなるので、レギャラーの左翼手である水谷文貴(みずたにふみき)はちょっぴりライバル心を抱く。
その水谷文貴は連ダンの練習で篠岡千代と組めたので内心感謝感激する。(第19巻 第37回「まっすぐ!」)

6日間の合宿が終わり、新人戦の1回戦は戸田市立と決まった。
そんなナインを前に百枝まりあはみんなで2日3泊(車中2泊)の甲子園観戦に行くことを告げる。
当然ながらみんなは大喜びする。
夜行バスで大宮を発(た)ち翌朝大阪に着きその足で甲子園へ行く。
その甲子園で三橋廉を伴って田島悠一郎はメール交換していた桐青の仲沢利央(なかざわりおう)と会う。
そこに桐青の高瀬準太(たかせじゅんた)が来て癖のことでいちゃもんをつけ、仲沢利央が桐青戦のデータを美丞大狭山の渡したことを告げ、三橋廉の顔を見て笑う。
甲子園では夏の大会を2試合見て、興奮感激する。そして、俺たちもこのグランドに立つのだという思いを強くする。
宿では2人1組となる。
そして、翌朝に桃李(とうり)のグラウンドへ行く。(第19巻 第38回「こうしえん」)

桃李,波里(なみさと),泰然(たいぜん)の3校に今年は西浦が入っての合同練習となり、Aチームは泰然でBチームは桃李で練習試合をする。
西浦は第1試合で桃李と第2試合で波里との対戦となった。
練習は各ポジションに班分けをして行うこととなった。
練習後朝食を取って練習試合が始まった。
桃李の先発は上代祥真(かみしろしょうま)であったが、故障上がりのため肩の痛みを覚えて5回途中で交代した。
西浦は三橋廉と田島悠一郎のバッテリーの先発で三橋廉は2試合目も投げるので5回で交代した。
そんなことで西浦-桃李戦は、8-8の引き分け。
2試合目は三橋廉と花井梓のバッテリーの先発で三橋廉は1試合目と同じく5回で交代した。
この試合は西浦が打たれ、13-5で波里が勝った。
阿部隆也と桃李の捕手は、投手は変わり者が多くてやっかいだということで話が合ったが、波里の捕手はそういうことはないようだった。
別の部屋では、監督4人が集まって情報交換をしあった。
最後は焼肉パーティをしてお開きとなった。
桃李からの帰りのバスの中で、三橋廉は阿部隆也に「ケガしたらダメだ」と念を押す。
そして、阿部隆也は「あと2年しかねェ」と三橋廉に言う。(第20巻 第39回「合同練習」)


☆所感

何たってびっくりしたのは、篠岡千代(しのおかちよ)が阿部隆也(あべたかや)を好きってことです。
ひとり離れて草むらでしゃがみこむくらいだから相当好きってことだよね。
ということは、おそらくマネージャーになったのは阿部隆也がいるからってことになるけど。
というより、そもそも西浦に入ったのも阿部隆也が入ったからなのか。

中学一緒だということだからその頃に好きになったのかな。それとももっと前から。
でも、相手が阿部隆也ではロマンチックな恋愛はまったく期待できないと思われます。
篠岡千代から切り出さなければ、おそらく阿部隆也は一生気がつかないでしょう。
そういう色恋にはまったく関心がないのだから。
まぁ、なんとなく好きになる気持ちは分かるけど、大変な奴を好きになったもんだと思う。
篠岡千代は卒業式の時に、阿部隆也に告白するのかな、いまから楽しみです。

そういう色恋に一番関心があるのは、花井梓(はないあずさ)であろう。
なんてたって、初めてあった時から、百枝まりあ(ももえまりあ)を女としてみていたのだから。
「監督が女だから」入らないと言っているのは、監督より先に女として見ているってことだよね。
花井梓にとっての百枝まりあに対しての優先度は、女→百枝まりあ→監督、ということでしょう。
おそらく、花井梓のタイプの女性なのでしょう。
ちなみに、阿部隆也にとっての百枝まりあに対しての優先度は、監督→百枝まりあ→女、ということで正反対でしょう。
阿部隆也にとって、監督とは男であろうが女であろうが猫であろうが杓子であろうが関係なく、自分の野球ができればいいということでしょう。
もちろん、篠岡千代に関しても、マネージャー→篠岡千代→女、の優先度でしょう。

篠岡千代はおそらく頭は良いと思う。あれだけのデータをまとめるのだから。
性格は、もし阿部隆也を慕って西浦に来たのだとすると、一途で控え目という感じです。
阿部隆也は阿部一家がそうであるように、思ったことを言い合える者と合うといえるでしょう。
だから、榛名元希(はるなもとき)なんかは嫌いといいながら気になるわけだし、三橋廉なんかは苦手ということになるわけだ。
そういうこと考えると、阿部隆也と合うのは篠岡千代というより百枝まりあの方でしょう。
百枝まりあは当然ながら思ったことは言うタイプで、三橋廉に対しては大体阿部隆也と同じような感覚です。
もちろん、百枝まりあは監督だから三橋廉に対しての接し方はだいぶ違うけど。

篠岡千代が積極的な性格なら、野球部のマネージャーなどならずに、阿部隆也にストーカー的にアタックすればいいということになります。
野球部のマネージャーになんかなると、篠岡千代が自分で言っているように「誰かに気づかれて部が変な雰囲気になるのもダメ」ということで告白もできなくなってしまう。
3年間の秘かな片思いはけっこうきついと思います。
それでも、野球部にいれば、毎日といっていいくらいに身近で阿部隆也と過ごすことができるといえるけど・・・
篠岡千代にとってはもの凄い純情青春です。

そんなことで、篠岡千代は阿部隆也が好きで、その篠岡千代を水谷文貴(みずたにふみき)が好きで、百枝まりあは阿部隆也と気が合い、その百枝まりあを花井梓が好きということで、韓流ドラマだとトロドロの三角関係になりそう。
しかし、ここは日本だし、なんたって阿部隆也が恋愛に関しては朴念仁的だから韓流ドラマのようには絶対ならないでしょう。阿部隆也なんて女のことで妄想すらしないのだから(笑)

もしこの三角関係が発覚して、水谷文貴は分からないが、花井梓は百枝まりあに猛アピールということで、ぼかすかホームランを打ったりすると面白いのだけど、今のところ花井梓には百枝まりあのためにというとこは見受けられません。
泉孝介(いずみこうすけ)なんかはさりげなく「篠岡のタメ」とか言っているが・・・(第15巻115頁)
まぁ、特に意識してないから言えるのかもしれませんが・・・
とはいっても、こういう言葉がさりげなく出るということでは無意識で好きあるいは関心ありということかも。

榛名元希(はるなもとき)の大活躍で武蔵野第一が勝ち進んでいるので、また、三橋廉の「阿部、恋しゃ、ほうやれほー」が始まって阿部隆也をいらいらさせています。
阿部隆也が自分(三橋廉)でなく榛名元希と組んでいたら、もっと幸せだったのではないかと、うじうじしています。
仮に阿部隆也と榛名元希が組んでいたからとて勝てるとは限らないです。
阿部隆也と榛名元希はどっちも大将だから、大将同士が組んだからとて戦いに勝てるという保証はないです。
大将には、三橋廉や秋丸恭平(あきまるきょうへい)のような兵隊がいなければ仕事ができないということです。
三橋廉も秋丸恭平もそういうことが分かってないということです。
とはいっても三橋廉の「阿部、恋しゃ、ほうやれほー」は阿部隆也と野球やっている限りずっと続くでしょう。
なんてたって、三橋廉にとって阿部隆也は恩人否恩師ってとこだからです。

なぜ、阿部隆也と榛名元希が大将で、三橋廉と秋丸恭平が兵隊かと言うと、お互いが組んでみたら分かるということです。
阿部隆也と榛名元希が組めば、全国制覇とまで行かなくても県大優勝すなわち甲子園に行けるくらいにはなるでしょう。
反対に三橋廉と秋丸恭平が組めば0-100とは言わないが、おそらく5回ゴールドで負けるでしょう。
すなわち、阿部隆也や榛名元希にとっては三橋廉や秋丸恭平は必要十分条件ではないが、三橋廉や秋丸恭平にとっては阿部隆也や榛名元希は必要十分条件だということ。
阿部隆也や榛名元希には選択肢はあっても三橋廉や秋丸恭平には選択肢はないってこと。
秋丸恭平は1年半で三橋廉は2年半でどれだけ選択肢を広げることが出来るかということ。
そうでなければいつまでも兵隊ってこと。命令に絶対服従ってこと。
ここらへんは才能ではなく性格だからやっかいということです。
三橋廉も秋丸恭平も阿部隆也や榛名元希に好かれているってことは、才能はあるってことで、両者(阿部隆也と榛名元希)とも必要十分条件になって欲しいと思っているということ。
だから、両者ともうるさいくらいにあれこれいうのです。
どうなるんですかね。

大将といえば、榛名元希も阿部隆也も似たようなお山の大将タイプではないかと思う。
単に甲子園出場したり甲子園で優勝したりしたいのなら強豪チームに入ればいいと思うが、榛名元希と阿部隆也は無名の弱小チームに入った訳だ。
ようするに、自分の考えている野球で甲子園出場したり甲子園優勝したりしないと気がすまないということなのだろう。
自分が、という我の強いタイプなのでしょう。
だから、武蔵野第一は監督が有名無実であり、西浦は女の監督ということで、ここでは自分の野球を思いっきりやれると思っての選択ではないかと思う。
ただ、西浦の女の監督は切れ者すぎたのが阿部隆也にとっては誤算だったかも。今はどう思っているかはよく分からないが。

ARC学園の監督によると榛名元希の現在の実力は「B」ランクで、甲子園だと大会初登板の3番手くらいとのことです。(第18巻34頁)
その後、球の勢いを見てB+に格上げします(第18巻73頁)
榛名元希レベルでBというならAといわれる投手を見てみたいです。
今のところそれほどの投手は出ていないので、埼玉には「A」ランクの投手はいないということなのでしょうか。
それとも、西浦のレベルがまだ相当低いので「A」ランクの投手が出てきてもあまり意味がないので出てこないのでしょうか。
西浦のレベルがもっと上がったら、「A」ランクの投手も登場するのでしょうか。
それは、150km以上でる速球派の投手なのかそれとも140km前後でコントロールの良い技巧派の投手なのでしょうか。
140km前後でコントロールの良い投手なら阿部はよだれを流すでしょうけど(笑)

そんな榛名元希は、捕手を秋丸恭平に代えてからはARC学園をそれなりに抑えていたが、それも打順2巡目までで、3巡目に入ると捕らえられてしまいます。
ここらへんは、ARC学園各打者の榛名元希の球への見極めに加えて、配球を榛名元希ひとりが考えているので美丞大狭山の時の阿部隆也と同じようなもので一人で考えることなどはたかが知れているということそして打者を近くで見ている秋丸恭平が打者情報を伝えない上に秋丸恭平の下手な野球すら心配しなければならず投球に集中することができないので、投球するだけの疲労の倍くらいの疲労をこうむったということで、打ち込まれてもいたしかたないでしょう。
秋丸恭平はまさに「かべ」で榛名元希の球を捕ることしか出来ない。それ以外のことは三流。

ARC学園戦が終わって、三橋廉が阿部隆也に榛名元希に会いたいというので、図らずしも阿部隆也は榛名元希に会うことになり、あの80球のことが話題になってそのことで榛名元希が阿部隆也に謝罪したのでそれなりに和解ということになりました。(第19巻)
おそらく、阿部隆也がずっと榛名元希に悪感情を抱いていたのは榛名元希が阿部隆也に80球制限を論理的に説明しなくて勝手にマウンドを降りていたからでしょう。
とはいっても当時の榛名元希は荒れていたからそんな説明は出来ないし、というかいまでも明確にそんな説明は出来ないでしょう。論理性ということでは阿部隆也はかなり特殊だから阿部隆也を納得させられる者などそんなにいないでしょう。。
阿部隆也がこの80球問題をずっとこだわっていたのは、ようするに自分で論理的に理解できなかったからです。論理派は論理的に理解できないことに遭遇すると自然に忘れてしまわない限り、いつまでもこだわってしまいます。まぁ、これは宿命みたいなものです。
ほんといえば、当時の監督がそのこと(榛名元希の80球制限)を阿部隆也に話しておくべきだったということでしょう。
当時の監督は、他の選手は榛名元希を理解していることもあったので阿部隆也も理解していると思っていたのかそれともあまり阿部隆也には関心がなかったということかも知れません。

その点、百枝まりあは阿部隆也が栄口勇人と共に春休みから来ていたので、かなり阿部隆也と野球の話などをしていて阿部隆也の人となりを知っているのかもしれません。

志賀剛司(しがつよし)が栄養を取って横幅を広げろというのはもっともでみんな相対的に細いと思う。
これでは投手は重い球を投げれないだろうし、打者は球に押されてしまうでしょう。
田島悠一郎が手首を痛めたのなどはそういうこともあると思われます。
そういうことでは、心技体まだまだで伸びしろはあるということでしょう。いわゆる才能の限界までは行っていないということ。


おおきく振りかぶって
漫画版のHP(アフタヌーン公式サイトから)は
 https://afternoon.kodansha.co.jp/c/oofuri.html
ウィキペディアは
 おおきく振りかぶってhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%8A%E3%81%8A%E3%81%8D%E3%81%8F%E6%8C%AF%E3%82%8A%E3%81%8B%E3%81%B6%E3%81%A3%E3%81%A6
 おおきく振りかぶっての登場人物;https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%8A%E3%81%8A%E3%81%8D%E3%81%8F%E6%8C%AF%E3%82%8A%E3%81%8B%E3%81%B6%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%AE%E7%99%BB%E5%A0%B4%E4%BA%BA%E7%89%A9
です。


本記事の参考HP一覧
ウィキペディア(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8
アフタヌーン公式サイト - 講談社の青年漫画誌(https://afternoon.kodansha.co.jp/
アマゾン(https://www.amazon.co.jp/


秘める
20200511月 秘める


Enterに戻る


宝石の国 その3 漫画 第7巻~第8巻(現8巻)

宝石の国の単行本(コミックス)は、2月18日現在、第8巻まで発売されています。
今回はそのうちの第7巻と第8巻について書きます。

フォスフォフィライト(通称はフォス)は、ラピス・ラズリの頭部を接合してから102年後に目覚める。
ラピス・ラズリの頭部を接合したおかげで賢くなったフォスは引き続き先生と月人の関係を調べるが、決定的なことは先生のはぐらかしによって相変わらず分からない。
そんな折り、アドミラビリス族のウァリエガツスと出会ったフォスはウァリエガツスの言葉から真相を突き止めるためには月に行くしかないと決意する。
カンゴームの助けを借りて囚われの身となって月についたフォスは、そこで月人を束ねているエクメア(通称は王子)に出会う。
エクメアの言うところによると、人間の魂である月人を浄化(成仏)させるには金剛先生(通称は先生)の能力が必要であるが、その先生は壊れているのでそれを治して浄化してもらうためにその治す方策としてこの戦争をしているとのことである。
それを聞いてフォスは先生に何らかのショックを与えれば、治るのではないかと思い、反乱軍を組織することを王子に提案し、月から戻ってくる。
そして、フォスの口車に乗った数名の宝石たちはフォスと共に月に行くことになる。

第7巻は第45話から第52話までであり、各話の題名は
第45話 長い冬
第46話 ラピス・ラズリ
第47話 百二年
第48話 海で聞いた昔話
第49話 辿る(たどる)
第50話 博士
第51話 伝説
第52話 旅路
であり、
第8巻は第53話から第61話までであり、各話の題名は
第53話 月世界
第54話 祈りのための機械
第55話 呪い
第56話 合成真珠
第57話 岐路
第58話 希望
第59話 動揺
第60話 懐疑
第61話 決別
です。


☆あらすじ

(45)
カンゴームがラピス・ラズリの頭部を持ってくるが、ルチルによると不確定要素が多すぎてなんともいえないということから、金剛先生(通称は先生)はラピス・ラズリの頭部を付ける事を却下する。
そうすると、カンゴームが自分の頭部を差し出そうとするので、先生はしかたなく許可する。
そして、カンゴームがひとり冬担当となった。
そのカンゴームのひとり冬担当も100年を迎えた。

(46)
ある春の日、フォスが目覚める。
その目覚めたフォスはルチルの差し出した盥(たらい)の水に写った我を見て驚く。
が、フォスは意外と冷静でキャラは変わらずこの顔を気に入る。
そんなフォスを見てカンゴームはラピス・ラズリの首を与えたことを悔やむ。
フォスは百二年寝ていたと、先生から教えられる。
その日の夢にラピス・ラズリが現われ、自分も疑っていたのでフォスと協力して、先生と月人の関係を暴くと言う。

(47)
フォスは夢から目覚めると、ものの本質的なことが見えるようになる。
カンゴームとじゃれあっていると、ゴーシェナイトが声をかけてくる。
しかし、このゴーシェナイトは2代目でフォスの知っているゴーシェナイトはフォスが寝ている間に月人にさらわれていた。
そしてモルガナイトもまた同じように2代目であった。

(48)
2代目ゴーシェナイトとモルガナイトがフォスの戦いを学びたいとくっついてくる。
そんな折り、月人が現われる。
フォスは月人を観察するために単身で器に乗り込む。
しかし、ゴーシェナイトとモルガナイトが乗り込んできたため、2人を守るために楯になったので髪の毛を失う。
月人は到着した先生が消滅させる。
散らばったフォスの髪をみんなで探す。
髪の毛(束)があと2本足りないのでフォスは海に入って考え事しながら探していたら誰か(何か)が髪の毛を1本渡してくれる。

(49)
海から戻ったフォスは昔、海に入ったような記憶があり、それをルチルに問うと、ルチルが業務日誌からその時の様子を教える。
そこからシンシャと先生に当時のことを聞くが、なめくじから何かを聞いたらしいことしか思い出さない。
その頃、三重黒点が現われて、何やら人間型らしいものが下りてくる。

(50)
その人間型のものにまずボルツとジルコンが対峙するが、それはしっとしたまま動かない。
一方、2代目ゴーシェナイトとモルガナイトはフォスの髪を捜していて、なめくじ状のものを捕まえる。
先生に報告に行く途中、ジルコンはフォスとカンゴームに三重の黒点が出たことを告げる。
ボルツとフォスが人間型についてあれこれいっているとこに先生が来る。
先生はそれを見て、息を呑み「博士」という。
それが偽者だと分かると、先生はフォスに「これを斬ってくれ」と言う。
自分では壊すことができないとも言う。
フォスは「これが何なのか教えて下さるなら」と言うと先生は了解したのでフォスは斬る。
しかし、先生はその後「しらん」といってフォスに何も教えない。
それに対してフォスは切れるが、先生は知らぬ存ぜぬで通してしまう。
おそらく、この時フォスは憎悪に似たものを宿しただろうと思われる。
フォスがカンゴームに先生との軋轢を話しているとなにやら可愛い声が聞こえる。
それはなめくじ状のものが発していた。

(51)
そのなめくじ状のものを見てフォスは思い当たることがあり、またなめくじ状のものもフォスに思い当たる
ことがあった。
そのなめくじ状のものは、アドミラビリス族の王であり昔にフォスが出会ったウェントリコススから五代目のウァリエガツスというものであった。
そこで。フォスは昔にウェントリコススと話したことを聞き出そうとするが、その話の内容は伝わっていないという。
フォスはウァリエガツスを海に帰してやる。
ウァリエガツスはかってウェントリコススがフォスを騙したことを悔いていて、自分に許しを与えて欲しいというと、フォスは許しの証拠として自分の欠片(かけら)を与える。
海に帰ったウァリエガツスが人間型になって戻ってきて、フォスに人間が肉と骨と魂の三つに分かれたという伝説を話す。
そして、ウァリエガツスは最後に、誇りと仲間を取り戻すために「月に行こうと思います」と言う。
フォスはこの情報を元に、先生に再度人間について問いただすと、先生は「私は人間ではない」と言う。

(52)
先生と話していても埒(らち)が明かないと悟ったフォスは月に行くことを決意し、シンシャにそれを伝える。
シンシャは「行くな」と言うが、フォスは聞こえない振りをする。
フォスは月に行くため、わざと月人にさらわれる方法を考え、そのためにカンゴームに協力を依頼する。
月人が現われたので、フォスがさらわれることを実行する。
最初は器に乗り平和的に合金で月人をなぞって会話しようとするが失敗する。
そこで、フォスはカンゴームに裏切り者として処罰されるという手を使う。
カンゴームはフォスを皿に投げ、腹部を叩き割る。
カンゴームは月人の猛攻を受けそれに耐えられないという感じで、器から落ちる。
フォスはまんまと月人にさらわれる。

(53)
月人たちは月に着くと普通に会話をし、フォスを捕らえたことで盛り上がる。
それを聞いていたフォスは普通に喋ることにむかつき、腹部を接合して月人をなぎ倒す。
男姿の月人を倒すと砂漠のようなとこにたどり着いた。
その男姿の月人にフォスはみんなを返せと言うと、その男姿の月人は模造品(合成品)の宝石を砕いて見せ、みんなをこのように粉末にしてここにばらまいていると言う。
それを聞いてフォスは愕然とする。
男姿の月人は、フォスが月人と話したがっていたことを知っており、何を話したいか尋ねる。

(54)
フォスは憤りのため、その男姿の月人を斬るがすぐに再生された上にフォスは四肢を斬られ戦闘不能になる。
他の月人がその飛び散ったフォスの四肢を裁断機にかけようとすると、王子と呼ばれるその男姿の月人に止められる。
王子はフォスにこの月と都市の成り立ちを説明する
そんなフォスに月で養殖されているアドミラビリス族が寄ってくる。
王子は食事しながらフォスに話す。
「人間はかって存在した生物の一種で君たちの祖でもある」ということから始まり、その人間が死んだ時、肉と骨は星に還り、魂は純粋な元素となって宇宙のある一点に辿り着きそこから別の宇宙と呼ばれる領域に吸い込まれる、と言う。
しかし、その宇宙に辿り着くような魂になるには生きている別個体の人間の祈りが必要とのこと。
その祈りも得られないまま月に座礁し変容した人間の魂の集合体が月人の正体だと言う。
そして、その祈りを与えるのが人間が最後に作った金剛先生という機械とのこと。
だが、その金剛先生という機械は壊れてしまって魂を分解しなくなったので、月人は何とかしてそれを治そうとする苦心惨憺たる試みがこの戦争であるとのこと。
王子はフォスに金剛先生を治す知恵を求める。
そのために、フォスに食べているものを奨める。

(55)
フォスは一口食べるが気持ち悪がる。
なおも話は続き、王子は金剛先生を治すためにいままで行なった多くの試みを言う。
時折、武器につけて帰している宝石は合成品であるとのこと。
王子はどの試みもうまくいかなかったということで落ち込む。
フォスがいまのままではいけないのかと問うと、王子は生前の人間と同じような生活から皆を早く自由にしてやりたい、生前の生活は呪いだと答える。
そしてこの会談の最後に王子はフォスに「君が我々を救ってくれる。そんな気がするよ。」と言う。
フォスは王子から予想外の話を聞いたので、驚き悩む。
この日の話は終わり、フォスは王子の案内で床に就く。

(56)
朝目覚めたフォスの周りにはアドミラビリス族が群がっており、また世話係としてセミという月人がくる。
そのセミはフォスに月世界の施設を見せる。
その施設の中には、人間合成実験場というのもあった。
フォスがセミに王子の名前を聞くと、セミは「エクメア様です」と答える。
が、本当は名をいうことは禁忌であるらしいが、セミは愚鈍か愚鈍のふりをしているので言ってしまったということである。
セミのいう信頼という言葉から、フォスは先生を正気に戻すためにエクメアにある提案をする。
それは「僕らの裏切り」ということであった。
フォスは「仲間を説得して月へ連れてくる」と言う。
王子はその策を受け入れ、監視のためフォスの左目に合成真珠を埋め込む。
そして、フォスは新しい服を提供され、元の星に戻ることになった。

(57)
フォスはセミといっしょに船で元の星に戻る。
その途中、王子を全面的に信用してはいないが、何らかの進展を見るために今回の手立てをするということを確認する。
みんなには王子に聞いた話の全部は、誤解を生む可能性があるのでまだ話さないことにする。
元の星に着くとセミは仁王姿になり、フォスは逆さ黒点から落ちる。
月人がその落ちたフォスを回収しようとするので、宝石たちが月人を攻撃しようとすると、仁王姿になったセミがその前に立ちふさがる。
みんなはセミに一蹴されるが、そこにボルツが現われる。しかし、ボルツでもセミを倒すことは出来なくボルツはセミに捕まる。
そこに先生が現われ、セミも月人も一掃する。
こうしてフォスは月から戻ってきた。

(58)
フォスが帰ってきたので、みんなはフォスを質問攻めにするが、フォスは愚鈍を装って先生並にはぐらかす。
ともかく初めて月から戻ってきたということで、みんなはフォスを「僕らの希望」と言う。
カンゴームはフォスが嘘をついているということに気づいているが特に干渉はしない。
先生はカンゴーム以上にフォスの月からの帰還に無頓着である。
そして先生は王子の言ったように、人間の道具であることを認める。
やはり、先生には何を言っても無駄と再び思い、フォスは暗躍を始める。
手始めに、フォスはルチルに月の宝石の合成技術のことをいってパパラチアを思い出したと言う。

(59)
ルチルは月の技術を知りそれなりに動揺する。
フォスは秘かにみんなを新興宗教に勧誘したいので、先生に単独行動を願い出ると、先生はあっさりと許可する。
フォスは「泳がされている?」と思うが、ともかく何かをやらなければ先には進まないので勧誘に励む事にする。
みんなはフォスに月の事を色々聞きたがるので勧誘には苦労しない。
そして、最初にダイヤモンドがボルツのいないとこに行きたいと新興宗教に関心を示す。
次にフォスが帰ってきたということでさらわれた仲間に会いたいと物思いにふけっているイエローダイヤモンドを勧誘する。
この手ごたえから、フォスはアレキサンドライトなど数名も勧誘できるだろうと読む。
そんな皮算用をしていると、シンシャを思い出すが、シンシャは最後にしょうと思う。
そんな折り、また黒点が現われる。

(60)
黒点はセミがフォスを心配して様子を見にきたとのことである。
フォスが順調であると言うと、セミたちは定番通りにフォスに退治される。
ここでベニトアイトも新興宗教に関心を示す。
官僚能力にたけているジェードとユークレースは、フォスが帰って月の話をしてから、何人かの行動が不安定になっていると気づく。
そこで、ジェードとユークレースはそれとなく月の話を個別にするなとフォスに言う。
ユークレースはフォスの言動から危険なものを感じる。
それはフォスというよりラピス・ラズリということであった。ラピス・ラズリは知的探求者すなわち科学者というタイプとのことである。
双晶のアメシストの一人であるサーティ・スリーも新興宗教に関心を示す。
ここまでで、脈があるのはダイヤモンド、イエローダイヤモンド、ルチル、アレキサンドライト、スフェン、ペリドット、レッドベリル、ベニトアイト、アメシストのサーティ・スリーだけであるが、ユークレースに気づかれたということでここらへんを潮時と考え、シンシャに会いに行く。

(61)
フォスはシンシャに先生は人間の作った道具であり、月人は先生を道具として使いたいが思うように使えないので、思うように使うために宝石たちをさらっていたと言う。
僕らは月人の望みが叶うようにするひとつの手段として月に行くが、いっしょに行こうと言う。
しかし、またしてもフォスはシンシャに振られる。
「それじゃ、先生が可哀想だ。俺は行かない。」と言って、フォスより先生を愛しているという意志を示す。
フォスは勧誘したみんなに「あの月が傾き始める頃、虚(こ)の岬に来て」と告げる。
そして、カンゴームを問答無用で誘う。カンゴームはゴースト・クオーツとの約束もあるしラピス・ラズリの頭部も付いているのでしかたなしに承諾する。
虚の岬には、フォスを入れて7人集まる。
セミは箱で眠っているパパラチアを箱ごと持ってくる。
フォスは「行こう」と言う。


☆所感

ここに来て、話が断然面白くなってきました、
物語の進行がわたし好みになってきたといえます。
やはり、賢い方が断然良いです。
ラピス・ラズリの頭部を付けたお陰で、ずっと知的になって物事を筋道つけて(つまり論理的に)考えられるようになったということである。
それまでのように行き当たりばったりではないということである。

また、顔もラピス・ラズリの方が元のフォスフォフィライトより好みなのでそれも好感度アップです。
ということでどちらかというと、フォスというよりラピス・ラズリというべきでしょうか。
まぁ、仮にフォスであっても元々顔というのはそれほど判別できるほど特徴があったわけではないので、ほとんど抵抗ないです(笑)

やはり、賢いと面白い。
賢い者は、事象を分析しそこから学び常に進化発展するから次は何をするのかという期待感が持てるのでいつまでもわくわく感やドキドキ感がなくならないから、いつも新鮮である。
愚か者は事象から何も学ばないので、新鮮なのは最初だけである。すぐに陳腐化する。
フォスも元のままならあのままであっただろう。
しかし、貝殻やアゲートの脚や金・白金の合金の手やラピス・ラズリの頭部というものを得たために、賢くなり今や反乱軍のリーダーである。
賢くなったフォス(正確にはフォスというより混淆フォス(ハイブリットフォス))というべきなのだろう)の進化発展はまだまだ止まらないだろう。
そういうことで、これからのフォスというか賢い他の者(ボルツやシンシャやパパラチアなど)との絡み合いが愉しみです。

フォスフォフィライト(通称はフォス)は失った頭部の代替としてラピス・ラズリの頭部を接合する。
これで、フォスは脚、腕、頭部と本来(持って生まれた)のものと違うものをつけるということになる。
こうなると、フォスはフォスであるともいえるしフォスでないともいえると思う。

思うに、こうなるとその人がその人であるというアイデンティティ(アイデンティティー)(人格)というのは何で決まるのかということになるだろう。
ここでいうアイデンティティとは、その人がその人であるという自己あるいは他者の認識を指す。
体型ではないだろう。肥ったり痩せたりするし、四肢など体の一部を失うこともあろう。
顔の形といっても、普通に整形などをするのだからそれでもないだろう。
まぁ、逃亡者などが顔を変えるのは一種のアイデンティティの喪失を意図してるのかもしれないがあくまでもそれは外面的ということでしかないだろう。
性格とかいっても性格も年月でかわることもけっこうあるだろう。
優しかった人が粗暴になったり粗暴な人が優しくなったりなどしてもやはりその人はその人なのだろう。
自分の記憶(自分を自分と認識する)といったって記憶喪失になることもあるし、認知症などになるとそこらへんも曖昧になることもあるだろう。
記憶喪失になっても他者からは記憶喪失になった誰々だとかいわれるわけだからアイデンティティはあるといえる。

グレゴール・ザムザ(カフカの変身の主人公)がある朝目が覚めると巨大な虫になっていたということであるが、これでもアイデンティティの喪失にはなっていない。
本人は自分の姿が虫になっているというだけであり、それ以外は本人のアイデンティティである。
またその家族もグレゴール・ザムザが虫になったということでのアイデンティティを保っているといえるだろう。
虫ということで社会的な帰属性はかなり失われているといえそうだが。(*1)

(*1)
変身;http://www.aozora.gr.jp/cards/001235/files/49866_41897.html(青空文庫 Aozora Bunko(http://www.aozora.gr.jp/)から)

そうなると、その人がその人であるというのは何を持っていうのだろうか。
うーん、よく分からないですね。
現代では極めて物理的にはDNAということなのでしょうか。

意識的に見ればアイデンティティは、自他が認識する、自己が認識する、他者が認識する、というのが考えられる。
例えば、整形などで顔を変えたりすれば、アイデンティティは他者に対しては失われるが自己としては私は私であるという意識があるので、他者に対しても声だとか癖だとか記憶とかで、連続したアイデンティティを与えることができる。
反対に自分が記憶とかを失っても、他者が顔とか癖とか声とか記憶とかを覚えていれば、それを認識することで、連続したアイデンティティを得ることができる。

フォスのようにほとんど身体が失われ、またそれに伴って記憶を失っても、インクルージョンが強くて私は私すなわちフォスであるという自我は失われていない(ような)ので連続したアイデンティティが確保されているといえよう。
逆にいえば、ラピス・ラズリの方はそういう自我が弱いということで、自分をラピス・ラズリとしての連続したアイデンティティを持てていないということなのだろう。
フォスの支配下にあるアイデンティティ?
ある日突然、ラピス・ラズリの自我が目覚めてフォスを乗っ取ったりして・・・

否、すでにラピス・ラズリが意識を乗っ取っているのかもしれない。
ラピス・ラズリがフォスの振りをしているのかもしれないってこと。
そういうことでは、ユークレースの言う「月から帰ってきたのは、本当にフォスかしら?」は的を得ているのかもしれない。
というようなことを考えると、そもそもこれはゴースト・クオーツの策謀ではないかとすら思える。
フォスのインクルージョンの適合力を見て、ラピス・ラズリの頭部をフォスにつけて甦らせる事ができるのではないか、と考えたのではないかということ。
そこでフォスに近づいて組むことにし、フォスが月人と話したいということで無謀なことをするのをうまく利用したのではないかということ。
そうでないと、いきなり「どんなことでも協力する」なんていうのはある意味おかしすぎる。
(まぁ、先生の手先でフォスの見張り役というのならそれはそれで分かるが)
だから、カンゴームもフォスに頼まれるとほいほいといっしょに月に行こうとしたりするのだろう。

ところで、宝石たちが動かなくなるのはどれだけ失ったらなるのだろうか。通常、手足を失ったくらいでは動かなくはならないが。
パパラチアは人間型の形はあってもその体にたくさんの穴があることによって動かない。
ラピス・ラズリの例から、頭部だけでは動かないといえる。
フォスが月にさらわれる時もカンゴームがフォスの腹部を切断したので、一応月人もフォスが動かないと判断している。
ただフォスの場合は身体の一部が分離しても合金が伸びてインクルージョンが一体になれば動けるようだが。
ここらへんから動く動かないは、ほぼ人間と同じと考えていいのだろう。

さて、そんなことで賢くなったフォスは、先生と月人の関係を暴くために、月に乗り込むことになる。
そして、月で王子と呼ばれているエクメア(通称は王子)と会って、いままでの経緯(いきさつ)を聞く。
その経緯とは、月人といわれるのはかっての人間の魂であって、その魂が浄化(成仏)されなくてさまよっていたのが月に集まっているとのことである。いわゆる幽霊の集まりである。
そして、金剛先生(通称は先生)とは、その魂を浄化するために人間が作ったものである。
しかし、何故にか壊れてしまったために、魂を浄化することが出来なくなったので、もう一度正常に戻して自分たちを浄化してもらうために、色々とその正常に戻す方策を行なっているとのことである。
宝石たちをさらうのはその方策のひとつであるという。

この王子の話を聞くだけだと、とても明瞭で論理的である。
この話に特に疑問や矛盾を感じることはないといえる。
逆にいうと、疑問や矛盾がないからおかしいといえる。
つまり、これは詐欺師の手口である。
詐欺師の話はあることを認めればそこからの話は疑問や矛盾がないから人はそれを信じてしまうといえる。
ここでのその前提は、先生が壊れているということである。
先生が正常であるということなら、この話は崩れてしまう。
しかし、フォスには先生が正常か異常かを判定する術がない。
そこを上手くついたこの弁である。
それは、王子が能弁なのに対して、先生は口下手(あるいは無口)であるからである。

ある疑義がある場合、その疑義に対して何らかの形で答えてくれる者の方を信じるのは知的(論理的)な思考を持つ者の常と言っていい。
そういう知的(論理的)思考を持たない者は、そもそも疑義を持たないかあるいは持ったとしてもそれを考えることが出来ないので王子の言っていることが理解できなく既存の先生を信じるということを選択するであろう。

だから、フォスにとっては王子はフォスの疑義に対してちゃんと話は話として疑問や矛盾もなく話しをしてくれたので、一応その線に乗ったといえよう。
それに対して先生はフォスの疑義に対して曖昧な答えしか用意していない。
これでは先生との対話は禅問答でしかない。
禅問答などはフォスあるいはラピス・ラズリには不用なのである。
禅問答などというのは信頼があって成り立つものであり、フォスにはその先生に対する信頼が揺らいでいるのだからそもそも成り立たない。

王子の話からではおそらく、王子は捕らえた宝石たちにフォスに言ったような事を同じように言っていたのだろうが、フォス以外は先生を信頼しているので、それを受け入れることが出来なかったのだろう。
もし、ラピス・ラズリが月に行っていたら、この王子の話を聞いて、今のフォスと同じ事をしたかもしれないが、惜しむらくはラピス・ラズリの場合は頭部が残ってしまったのでそういうことは起こらなかったといえる。

さて、王子の話であるが、わたしもなんともいえないです。
一応、フォスの疑義に対しては論理的に矛盾も疑問もない解答といえるでしょう。
とはいっても、このことを言っているのが王子だけなので判断のしようがない。

ここまででこれらの話を簡単にまとめると、この星には人間というものが住んでいて、その人間は死すべき存在で、死ねば肉と骨はこの地に残る(戻る)が、魂は人間の祈りで無の世界に行ける(戻れる?)ということらしい。
しかし、6度の流星によって人間が滅びると、その祈りをあげる人間がいないためにいくらかの魂はこの世をさまよっているということであり、それが月人であるとのことになる。
そして、金剛先生はその魂を救う存在であるがそれが壊れているために魂は救われないということである。

この話からあえて疑義が生じるとなると、金剛先生は「元々は最後の人間が寂しくないようにという叙情的見地から作られたようだが」という言葉である。
つまり、さまよえる魂を救済するために作られたものではないということである。
いわゆる偶然の産物である。
ということは、この月人が魂だとして救済されるなら、この金剛先生に頼る必要は必ずしもないということである。
金剛先生がなかったらこの魂たちはどのようになるのだろうか。
ようするに、何千何万年もこのような不毛な戦いをするより、自分たちが救済される別の道をも探るべきであろう。
そういうことは、フォスも聞かないし、王子も言わない。
それにこれだけの科学力がありながら、魂の救済するものを作れないというのも何か納得できない。
しかも、もし金剛先生が壊れているとして、その治す方法も分からずにやみくもにやっているというのもまたおかしい。
かっては金剛先生が魂を救済していたということならば、その所業も見ていたと思われるので、そこらへんからの類推もまたできると思われるのだが。
そういうことなら、やみくもな方策というのはありえないとも思えるのだが。
そうでないならこれまた、偶然の産物を期待しているといえよう。
ようするに、月人たちは何らかの奇跡を待っているということになる。

そして、その奇跡はフォスか・・・

また、王子が「夜眠り朝起きて食事を摂り糞をして誰かと対話し和解し愛し合い啀(いが)み合う。絶えず進展していない不安に侵(おか)され、むりに問題を探し出し小さな安心を得る。」って言うが、これって普通の人間ではないのか。
まぁ、わたしは魂というのがどういうものかは分からないが、人間と同じ行為をするのでは魂とはいえないのではないかと思うが。
魂と人間の違いが分からない。その違いは不死ということだけなのか。
そしてそれに死を与えることができるのが金剛先生という仏なのか。

こういうところを見てもこの魂というのは?マークである。
魂になってもなぜ肉であるとこの人間と同じようなことをするのか。
魂は肉と骨の両方の特性をもっているのか。
それと、魂なのにこれまた不便だと思うのが生息地である。
魂はフォスたちのいる星は、苦手だと言う。
アドミラビリス族(肉)や宝石たち(骨)は、この星でも月でもその生息に問題ないのに。

もし、人間が肉と骨と魂になったというのが真実なら、人間の記憶というのは一体どこに行くのかということである。
ここでは、魂に行っているといえよう。
骨である宝石たちには人間の記憶はまったくないといえる。
肉であるアドミラビリス族には、宝石たちにはまったくなかった人間の伝説が残っているということは何らかの記憶がある(あった)といえよう。
記憶が魂に行っているというなら、王子のいう人間の習慣が記憶として残っているのでそれを単純に行なっているといえよう。
そういうことから言えば、王子たち魂こそこの世界の本当のことを知っているといえよう。
しかし、王子によれば、「我々は人間の時、誰の祈りも得られなかった個体だ。クズの成れの果てだ。私たちの断片的な知識では何もうまくいかない。」とのことなので、そこらへんの歴史も体系的に編めないのかもしれないが。
そして、記憶だけでなくその性格や性質までもが魂にあるとするとこれはもう悲惨というしかない。
死んだら幸せになれると思ったのに、死んでも幸せになれないとなるとこれはもう地獄だね。

この王子のいうことが本当なら、ここ(月)は地獄であり、月人とは魂が永遠に救われない地獄の亡者ということにもなろう。
とても斬新な新感覚の地獄絵図である。

王子がフォスに「君が我々を救ってくれる。そんな気がするよ。」ということなら、フォスが救いの蜘蛛の糸ということになる。(*2)

(*2)
蜘蛛の糸とは、芥川龍之介の短編小説の「蜘蛛の糸」のことである。
蜘蛛の糸;http://www.aozora.gr.jp/cards/000879/files/92_14545.html(青空文庫 Aozora Bunkoから)

あと、王子は「ウェントリコススは人間についてちゃんと説明したようだね」と言っているが、なぜ王子は知っているのか。
そういうことになると、あのウェントリコススが落下したときに宝石の誰かに人間について伝えろという指示を出していたということなのか。
その人間という言葉で、金剛先生を正常に戻そうということなのか。
そういうことなら、船(黒点,器)で出現したとき、「人間、人間」とかを連呼した方が早いのではないか。
というより、こうやってフォスとも話せるのなら、襲来した時、このフォスに話したようなことを放送したりビラを投下したりして宝石たちに真実を話したらもっと事態は進展していたのではないか。
そういうことを何度も何度も繰り返せば、宝石たちにも疑義を起こり、造反ももっと早くあったのだろう。
まさか、アドミラビリス族の時と同様に、月人の言葉が分かるのはフォスだけだったりとか・・・

ということは、この王子の話は一対一で話す場合には効果があっても、多数の者に話すとその疑義や矛盾が出てくる話ということになる。
あくまでも、先生に疑義を持っている者に対してのみ有効な話ともいえる。

金剛先生が正常だとするとこのくらいの疑義や矛盾が出てくるともいえる。

やはり王子の意図は別のとこにあるともいえよう。

ところで、王子が食べているのは、アドミラビリス族の肉なのか。
アドミラビリス族を食料として飼育しているのか。

ということで、この王子の言っていることだけでは自分たちが救済されるためには、自分たち以外のものは犠牲になってもかまわないということでしかないといえる。
いわゆる上位者は下位者をどうにでも出来る。しかし、下位者がいなければ上位者も存続できない。弱肉強食。
おそらく、そんな単純なことではなく、裏にはもっと多くの秘密があるのだろうけど。

ところで、最後の人間が金剛先生を作ったということだが、その最後の人間が死んでからどれくらいたって宝石が生まれたのだろうか。
そして、金剛先生は何故に、宝石たちを戦うための戦士にしたのであろうか。
自分が月人たちに狙われているとなったら、宝石たちを巻き込む必要はないだろう。
実際は、フォスのように「先生が大好きだから助けたいんです」という自発的なものかもしれませんが。
しかし、そういう美徳も洗脳ではないとはいいきれないわけだから。
それとも、宝石たちと共同生活をするようになってから壊れたということなのだろうか。
いまいち、この時間軸がまだはっきりしないということです。

そして、また思うには宝石たちを教育するために教科書というものがあるが、あれは一体誰が作ったのだろうか。
「この星は6度流星が訪れ、6度欠けて6個の月を産み痩せ衰え、陸がひとつの浜辺しかなくなったとき、すべての生物は海へ逃げ、貧しい浜辺には不毛な環境に適した生物が現われた。月がまだひとつだった頃、繁栄した生物のうち逃げ遅れ海に沈んだ者が海岸に棲まう微小な生物に食われ無機物に生まれ変わり、長い時をかけ規則的に配列し結晶となり再び浜辺に打ち上げられた。それが我々である。」という言葉からでは、宝石が誕生してから編まれたということにもなりそうですか。
そうすると、編む者は、金剛先生しかいないのではということになるのだが。

少なくとも、フォスたちの教科書には人間という言葉はないと思われるので、教科書は先生が作ったと思われる。
人間が作ったのなら、自分の存在をそこに記さないのは人間の特性からいって解せない。
しかし、先生が作ったとしても、なぜ人間の存在を隠さなければならなかったのか。謎。

もしこの王子の言うことが真実で、フォスの企てが成功して、先生が正気になって、月人たちを浄化したら、今のような戦争状態から平和になるということだが、そうしたら困る者もいるでしょう。
例えば、ボルツなどはいまは戦争状態だから、その武力を生かすことができ、畏敬というくらいの敬意をはらわれているが、戦争がなくなれば、その武力もあまり役にたたないだろう。
こういう戦争での英雄は、平和になると往々にして単なる厄介者となるといっていいでしょう。
戦争の時は軍人が幅を利かすが、平和なときは文人(官僚)が幅を利かすといっていいでしょう。
今の平和な日本の軍人(自衛隊)の悲惨さをみればそれがよく分かるだろう。
戦争とか災害(自然との戦争)が起こると、神様・仏様・自衛隊様となるのにね。
軍人というのは戦争やってなんぼの値打ちといえる。

そういうことからいうと、平和になればボルツに嫉妬心のあるダイヤモンドは初めてボルツと対等になれるということである。
それ故に、ダイヤモンドはこのフォスの計画に意欲的に取り組むと思われる。
平和な時代では強いものより可愛いものの方が人気が高いといえる。ゆるキャラを見よ。
だから、平和になれば今度はボルツがダイヤモンドを見て、俺もあんなに可愛くなりたかった、と嫉妬を抱くでしょう(笑)

あと、月人マニアのアレキサンドライトも月人がいなくなったらそのモチベーションを失くすといっていいでしょう。
ただ、しばらくは月人がいたという歴史を編む仕事をすることによってそれは保たれるといえよう。
後の者は、平和であろうが戦争であろうがそんなに関係ないといえよう。

というか宝石たちはそもそもどのくらい生きられるのだろうか。
平和になったらどんどん宝石たちが増えてこの星は宝石たちで過剰になってしまうかもしれない。
そうすると、究極的にはまた生き残りをかけての戦争なのかな。
そうすると、またボルツの時代だ(笑)

月人の役割は、宝石たちの数の適当な調整、つまり自然の摂理といえないこともないか・・・

戦争といえば、今の北朝鮮は核を持つということで、米国を中心した欧米各国にいじめられているが、おそらく戦前の日本も軍備拡張ということで、今の北朝鮮と同じようにとてつもなくいじめられていたのでしょう。
アジア人のくせにでかい顔するなって。
その日本が今やアジアを裏切って欧米といっしょに北朝鮮の核武装解除に尽力するとは世の中も変わったものである。
もう日本にはアジアの盟主の自覚などかけらもないといっていいだろう。
情けない。

フォスの策謀によって、数名の宝石たちが月に行くことになった。
フォスはシンシャにも話して、行くことを問うたが、シンシャは拒否した。
シンシャはかって月人にさらわれたいといっていたのだが、いざ月人にさらわれる段階になるとそれを拒否した。
あれはあまりにものの絶望ゆえに発した言葉だったのか、それともフォスの口車に乗って月人にさらわれるのを潔しとしないのか。
そもそもこのフォスの言動は、シンシャの「攫(さら)われるのを待っている」という言葉から始まっているのではないのか。

というか、フォスすなわちハイブリッドフォスにとってはもやはシンシャは不用だろう。
かってのフォスなら賢くないからシンシャの賢明さによる判断を仰ぐ必要があったが、ラピス・ラズリの頭脳を手に入れたいまでは、シンシャの思考では保守的過ぎるだろう。

いまのところ、先生の発言も海王の発言も王子の発言も状況証拠という感じで、表層で止まっていて本質には届いていないと言う感じである。
まぁ、どの発言もその者の解釈を含んでいるということになる。
まだ、現象を見たままの天動説といった感じで、ハイブリッドフォスがいつ地動説を発見発表してくれるのか。
よって、いまだにわたしの妄想は安寧の地を求めてさまよっているといえます。

ところで、ウァリエガツスが人間型になったが、ウェントリコススは確か人間型になるのは、「故郷に近づくと成れるのだ」と言っていたが、どう見てもウァリエガツスが人間型になったとこは故郷とは思えないのだが。
ここらへんは誰も彼も嘘をついているのか。
それともアドミラビリス族も進化して自分の意志で人間型になれるのか。
そもそもこの物語そのものが、「クレタ人は嘘つきだ、とクレタ人が言った」というような論理なのか。(*3)

(*3)
自己言及のパラドックス;https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%87%AA%E5%B7%B1%E8%A8%80%E5%8F%8A%E3%81%AE%E3%83%91%E3%83%A9%E3%83%89%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9
エピメニデスのパラドックス;https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%94%E3%83%A1%E3%83%8B%E3%83%87%E3%82%B9%E3%81%AE%E3%83%91%E3%83%A9%E3%83%89%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9
(以上、ウィキペディアから)
ただし、これらは論理の世界の話であって、現実的には「クレタ人は嘘つきだ」ということ自体が検証できないということになる。クレタ人が言おうが言うまいが。
なぜなら、すべてのことに嘘をついていたら生活できないからである。
現実世界では、クレタ人は嘘をつくこともある、ということくらいでしょう。

月に行くということを聞いた時、わたしはフォスは合金で天使の羽根を作り、それで飛んで行くのかと妄想したのですが、当てが外れてしまいました(笑)
仏教世界では、キリスト教世界の天使のように羽根が生えて飛ぶ者はあまりいないということなのか。
自分が飛ぶというより、孫悟空のように觔斗雲(きんとうん)に乗るというような発想なのだろう。

フォスがみんなを新興宗教に誘うやり方には感心します。
各自の性格や状況を見極めて、それにあった月の話をして、各自の興味を助長させるということです。いわゆる弱点を突く。
これだと、ユークレースなどの体制派(先生派)が各自から話を聞いても断片的で、話の全体像は捉えられないということになる。
また、フォスはある意味客観的に話しているので、その判断は各自が行なうということで傍目には勧誘とみなされない。
とても巧妙な勧誘である。
「フォス自身は月のことを良いとも悪いとも言わないから聞いた方は自分で判断せざるを得ない。都合の良い月への想像を溜め込むわ。相手を試すようなこの感じには覚えがあるの。そう・・・ラピス・ラズリね」とユークレースは言う。

ともかく、王子のいうことが真実なら、この物語ももうすぐ決着がつくということになると思うのだがどうなのでしょうか。

ウァリエガツスが宝石たちはみな美しいというと、フォスは「先生が生まれた僕らを少し削って調整しているんだ」と言う。
このことからも、見た目に宝石たちの顔に個性が乏しく誰が誰かよく分からないといえるのだろう。
ようするに、王子によると金剛先生は人間の雌の博士が作ったというから、これが真実ならば先生は博士に似るようにみんなを改造しているということだろう。
だから、みんな見た目は人間すなわち博士に似た女性姿なのだろう。
だからこそ宝石たちを愛しているということなのだろう。ある意味みんな博士の生まれ変わりなのだから。
過去の博士との生活に縛られて宝石を自分の思いのままに操っているということなのだろう。
ここらへんは、宝石となるためには原石を削らなければならないというイメージからきているといえよう。

そういうことで、先生がみんなを博士のイメージで削っているから、みんな似たような顔になり、その上に心までその圧倒的な力で洗脳するから、みな同じような心身になって没個性的になっているのかもしれません。

あとファッションだけど、みんな同じようなファッションだからここらへんも個性が分かりづらくなっているのだろう。
これも先生の指示でみんな同じような衣装をきているということなのか。
それとも、レッドベリルのファッションセンスなのか。
衣装を間違ったりしないのか。
せめて、衣装に各自の紋章のようなものがあれば分かりやすいのだが。
まぁ、これは軍服(制服)ということで統一されているのかもしれません。
だから、レッドベリルとしても「肩口を従来の百分の一つめてより美しいフォルムにしてみました!」っていうくらいの改修しかできないのだろう。
その点、寝間着(寝巻)は自由度があってレッドベリルとしても腕を振るえるということなのでしょう。
冬眠の時の寝間着を見よ。

王子は、さらってきた宝石たちを粉にして月面に撒いたというが、おそらく撒いたのは合成品だろう。
合成品を作るためにも、またインクルージョンも解析できていないようなのでそういうことでも原型は必要だろう。
ただし、人間型の形ではなく動かない程度に砕いていると思う。

宝石たちの月人たちのアドミラビリス族たちの支配形態(支配体制)は独裁制といっていいでしょう。
アドミラビリス族たちの支配は、ウェントリコススやウァリエガツスが自ら「王」と言っているので、おそらく王族による世襲の君主制と思われるが、どのような君主制かは分からない。
宝石たちの支配は、正に金剛先生が先生と呼ばれているように、先に生まれて(存在して)いて、しかも先生が文武両道にもっとも優れすべてを教え統括しているので理想的な独裁制といえる。
その支配は一見、先生の徳により、お互いの愛によってつながっているように見える。
しかし、愛というのはわたしに言わせると対等な関係で成り立つものなので、これを愛といえるかははなはだ怪しい。
そういうことでは、徳による支配ということで、宗教的支配ともいえそう。
月人たちの支配は、これまた王子という文武両道に優れたものが統括しているようである。
ただここでいう王子とはエクメア本人が言うように、王族の王子ではなく単なる敬称である。
一見すると、まわりで最も優秀な者が指導者になったようであるがその実態はよく分からない。
なんらかの権力闘争の末にエクメアが実権を握ったのか自然発生的に徳により生じたのかはたまた選挙で支配権を得たのかは分からない。

この宝石たちを徳で支配している金剛先生であるが、博士と呼ばれる人間が何のために作ったのかは定かではない。
一応、王子からの説明はあったが、これだけでは漠然としていてその真意までは分からない。
ここらへんもそのうち明らかになるかも知れません。

以上そんなことで、何が真実かよく分からない世界なので、冗長ですが備忘録的な感じで今思っていることをここに記してみました(苦笑)


補足:月刊アフタヌーン

第8巻の続きが見たいと思って、月刊アフタヌーンの2018年1月号(2017.11.25発売)を購読してみました。
もちろん、キンドル版です。
電子書籍の良さとしては、こうやってバックナンバーもたやすく手に入れられることもあげられます。
そして続きを読んで見ましたが、20ページほどなので、1話だけでどうのこうのということはできないです。
単行本(コミックス)だと200ページくらいで540円なので、20ページだけを読むのに700円をも出してはコストパファーマンス的にメリットがあまりないです。
だから、月刊アフタヌーンを購読するのはこの号だけにしました。

今の段階では、かってのクレイモアほどの興はいまのところないです。
これからの展開ではどうなるか分かりませんが。

ということで、次の宝石の国に関しての記事は、第9巻が出てからということになると思います。

なお、モーニング・アフタヌーン・イブニング合同Webコミックサイト モアイ(http://www.moae.jp/)で、第1話が無料で読めます。
宝石の国-市川春子 - モーニング・アフタヌーン・イブニング合同Webコミックサイト モアイ;http://www.moae.jp/comic/housekinokuni?_ga=2.159524414.2081493083.1518183248-1717725491.1518183248

アフタヌーンといえば懐かしいです。
確か、これの創刊号を本屋さんで手にしたと思います。
今のアフタヌーンは1000頁を越えているが、この時は200頁くらいだったと思います。
この創刊号に、「寄生獣」が載っていたので、しばらく継続して購読していました。

ちなみに、最近のわたしの漫画読みでアニメから入ることが多いのは、アニメはただだからということでしょう。
面白いか面白くないか分からなくても、試し見ができるってこと。
漫画の場合はそういうことが出来ないといっていいでしょう。
そしてアニメが面白いものはまた漫画も面白いということが多いということでしょう。
しかし、アニメになるには漫画が漫画でそれなりに人気がないといけないということになると、漫画マニアの方に感謝ということです。
確か、わたしも昔は週刊漫画誌や月刊漫画誌を買ってそれなりに読んでいたのですが、今はよっぽどでないと読まないです。
ここらへんはアニメの質が上がっているということも関係しているのかもしれません。


宝石の国
HP「TVアニメ『宝石の国』公式サイト」は
 http://land-of-the-lustrous.com/
ウィキペデイアは
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%9D%E7%9F%B3%E3%81%AE%E5%9B%BD
です。 


ウィキペディア(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8)から
 アイデンティティ(自己同一性);https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%87%AA%E5%B7%B1%E5%90%8C%E4%B8%80%E6%80%A7
 人格;https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%BA%E6%A0%BC
 ハイブリッド;https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%96%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%89
 性格;https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%80%A7%E6%A0%BC
 性質(気質);https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%97%E8%B3%AA
 地獄;https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%B0%E7%8D%84
 地獄(仏教);https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%B0%E7%8D%84_(%E4%BB%8F%E6%95%99)
 地獄(キリスト)教);https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%B0%E7%8D%84_(%E3%82%AD%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%88%E6%95%99)
 蜘蛛の糸;https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%9C%98%E8%9B%9B%E3%81%AE%E7%B3%B8
 変身 (カフカ);https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%89%E8%BA%AB_(%E3%82%AB%E3%83%95%E3%82%AB)
 アゲート(めのう);https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%83%8E%E3%82%A6
 君主;https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%9B%E4%B8%BB
 君主制;https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%9B%E4%B8%BB%E5%88%B6
 独裁制(独裁政治);https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8B%AC%E8%A3%81%E6%94%BF%E6%B2%BB
 独裁者;https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8B%AC%E8%A3%81%E8%80%85
 専制政治;https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%82%E5%88%B6%E6%94%BF%E6%B2%BB
 徳;https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BE%B3

アイデンティティとは - コトバンク;https://kotobank.jp/word/%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%87%E3%83%B3%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%86%E3%82%A3-22669(コトバンク [ 時事問題、ニュースもわかるネット百科事典 ](https://kotobank.jp/)から)
[三省堂辞書サイト]10分でわかる「アイデンティティー」;http://dictionary.sanseido-publ.co.jp/topic/10minnw/024identity.html(Sanseido Word-Wise Web [三省堂辞書サイト](http://dictionary.sanseido-publ.co.jp/wp/)から)
アイデンティティとは - はてなキーワード;http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%A2%A5%A4%A5%C7%A5%F3%A5%C6%A5%A3%A5%C6%A5%A3(はてなキーワード - 話題の言葉がわかる、みんなで編集するキーワード(http://d.hatena.ne.jp/keyword/)から)

「性格」と「性質」の違い 違いがわかる事典;https://chigai-allguide.com/%E6%80%A7%E6%A0%BC%E3%81%A8%E6%80%A7%E8%B3%AA/(違いがわかる事典 違い・使い分け・見分け方がわかる違いの総合事典(https://chigai-allguide.com/)から)


月光仮面
20171227水 月光仮面


Enterに戻る


宝石の国 漫画 第5巻~第6巻

アニメの宝石の国が第12話で終わったのだが、この世界の秘密が明かされそうなので、その先がとても気になります。
幸い、漫画(コミック)の方はその先があるようなので、漫画の方を読んで見ました。

漫画(コミック)は、2月4日現在、第8巻まで発行されています。
アニメの全12話は、漫画(コミック)の第4巻までと第5巻をアレンジしたものとなっています、
よって、第5巻はアニメにない話も含まれ第6巻からが完全にアニメにない話となります。

それでは、第4巻まではアニメの方を参照する(http://seink5.blog33.fc2.com/blog-entry-4368.html)として、第5巻と第6巻のあらすじと所感を書きます。

フォスフォフィライトは、先生と月人との関係を暴く決意をしそれを最初にパパラチアに話す。
先生の所作を見たり資料を見たりするが、あまり手がかりは得られない。
そんなフォスに多層構造のゴースト・クオーツが親近感を持って近づいてくる。
フォスはゴースト・クオーツととりあえず組むことにする。
また、フォスはシンシャに先生と月人との関係を暴く協力を打診するが断わられる。
フォスと組んだゴースト・クオーツはフォスのへまから月人に表層をはがされてしまう。
そして、表層の剥がれたゴースト・クオーツからはもうひとりの人格であるブラック・ゴースト・クオーツが現われ、ブラック・ゴースト・クオーツは先生によってカンゴームと名づけられる。
そのカンゴームと新たに組んだフォスであったが月人の襲来によって、首をはねられ頭部は月人に取られてしまう。
そのフォスの頭部の代替としてカンゴームは以前組んでいたラピス・ラズリの頭部を差し出す。

第5巻は第29話から第36話までであり、各話の題名は
第29話 パパラチア
第30話 虚黒点(からこくてん)
第31話 新鮮な
第32話 不安
第33話 距離
第34話 反転
第35話 ふたり
第36話 新しい仕事
であり、
第6巻は第37話から第44話までであり、各話の題名は
第37話 代わりに
第38話 ゴースト・クオーツ
第39話 自戒
第40話 名前
第41話 景色
第42話 破裂
第43話 盤上
第44話 近道
です。


☆あらすじ

(29)
ルチルのパズルの甲斐あって、パパラチアが目覚める。
フォスフォフィライト(通称はフォス)は、目覚めたパパラチアに先生と月人の関係を調べるというと、パパラチアは「清く正しい本当が辺り一面を傷つけ全く予想外に変貌させるかもしれない。だから冷静に慎重にな」と言って再び眠りに就く。

(30)
宝石たち全員がボルツと組んでボルツから戦いを学ぶという企画で、その最初の組む相手はジルコンになった。
ジルコンはボルツに対して畏敬の念を持っているので何も話すことは出来なく、またボルツもジルコンに何も話さないのでジルコンは嫌われているのではないかと落ち込んでしまう。
そこでジルコンはフォスに助けを求めると、フォスが言った「根拠なく明るい予感に甘えられてた頃がふしぎでうらやましいよ」という言葉でふっきれる。
そんな中、黒点が現われたのでボルツはジルコンに思うままにやってみろと言う。
そこにフォスが来て自分が戦うと言うが、それは虚黒点(からこくてん)という黒点の幻であった。

(31)
フォスは月人のことを調べるために月人マニアのアレキサンドライトに教えを請う。
そんなある日、遂に月人が現われるが、フォスは剣を忘れていたので、合金の防御で月人の器(黒点)に乗り込み、月人を一体捕らえて問いかけをすると、月人は黒目になり「ふ」と声を出す。

(32)
そこへ双子のアメシストがやって来て、黒点もフォスが捕らえた月人も一掃してしまう。
斬られる時に月人は「あ」と声を出す。
内心、フォスは余計なことをしてと思うが何もいわない。
フォスは図書館で資料を見ながら今日のことを考えていると背後からゴースト・クオーツが声をかけてきたので驚く。
フォスが先生を見ながらぼんやり考えていると、黒点三器が同時に出現する。
先生は三器を同時に消滅させるため、一箇所に集めるように宝石たちに指示する。
フォスは先生の戦いで何かがつかめると思い、先生に付いていく。

(33)
そうするとゴースト・クオーツまで付いてくる。
先生のとこに誘導する二器のうち、ベニトアイトたちの組は何故かベニトアイトだけが狙われ誘導に難航する。
そんな折り、誤ってベニトアイトたちは黒点を消滅させてしまう。これで三器を一箇所に集める作戦は失敗に終わる。
すると、いままでは三器で襲来したときは一器が消滅させられると二器が逃げるのであるが今回は逃げなくて丸まってしまった。
新しい戦法なので先生は危険だと判断して何もするなというが、もうゴースト・クオーツが丸まった上に乗っていた。
そうすると、丸まった上にあるの黒点から無数の手が出てきた。

(34)
その無数の手によってゴースト・クオーツは黒点に引き込まれそうになる。
フォスはゴースト・クオーツを助けようとするが、先生の所業を見たいと思い手を引っ込める。
そうすると先生は己の腕の破片を黒点に放ってゴースト・クオーツを助け、もう一器の黒点も消滅させる。
先生の放った破片でゴースト・クオーツも砕けてしまったので、回収するが、その時に先生の破片は見つからなかった。

(35)
先生は断崖のとこで、回収した自身の破片を捨て、気を高めると腕の傷は元通りになった。
その時、先生は「忌々(いまいま)しい・・・」という。
ゴースト・クオーツはフォスに自分が二重構造(二重人格)であることを話す。その制御は今はいないラピス・ラズリがしていたと言う。
そして、フォスが少しラピス・ラズリに似ているということで、「どんなことでも協力するわ」と言う。
その言葉にフォスは、心が動いて先生の秘密を探る協力をして欲しいという言葉が喉元まで出るがそれを飲み込み。
協力者のことを考えていてふと、シンシャのことを思い出す。

(36)
フォスはシンシャのとこに行き、先生と月人の関係を暴く仕事の協力を依頼する。
しかし、シンシャはそれは楽しい仕事ではないからと断わる。
それでも、シンシャは組だけならいいと言う。
ゴースト・クオーツはフォスと組むことを提案する。
フォスは拒否する理由がないので了承する。
そんな二人が見回りをしていると、黒点が現われる。
ゴースト・クオーツは先生に報告しようとするが、フォスはそれを止め先に月人と話をしたいと、器に乗り込む。
そんな勇み足のフォスに油断があり月人の放った矢が腹部を貫通する。

(37)
フォスは月人の矢を受けて上半身と下半身に分断されるのだが、合金でくっつけることが出来るので余裕をこいていたが、どういう訳が合金がいうことをきかない。
そこでゴースト・クオーツがフォスの下半身を回収しようとするのだが、重くて持てない。
ゴースト・クオーツは月人の猛攻を受けながら、フォスの分断した体を器から落とすために左腕を囮(おとり)に使う。
しかし、ゴースト・クオーツは月人の猛攻で段々と表層が剥(は)がれていく。
そして遂に表層は月人の手に落ちる。
ここでやっと、宝石たちが救援に来る。

(38)
フォスは接合されてベットで目覚めると、ゴースト・クオーツが心配で会いに行く。
しかし、そこにはゴースト・クオーツに似た黒い宝石がいて、その宝石にフォスは顔面を殴られ砕ける。
そしてまた、フォスはベットで目覚め、悪い夢を見たと言って再びゴースト・クオーツに会いにいくとまたしても黒い宝石に顔面を殴られ砕ける。
そしてまたしても、ベットで目覚めると、そこに黒い宝石が立っていた。
その黒い宝石は、ゴースト・クオーツの表層が月人に剥がされ、内層が表層になった姿だった。
このブラック・ゴースト・クオーツはホワイト・ゴースト・クオーツに比べてはるかに気が強くて短気であったので、その罰としてフォスは殴られたのである。
ブラック・ゴースト・クオーツはその罪滅ぼしとして俺の下僕になれと言う。
そんなブラック・ゴースト・クオーツにフォスはアンタークチサイトの幻影を見る。

(39)
黒点が現われると、フォスはアンタークチサイトが月人にさらわれないようにとブラック・ゴースト・クオーツを合金の檻に閉じ込めてしまう。
そしてフォス自身は合金によって頭部が炸裂する。
それを見てルチルはジェードにフォスをばらばらにさせる。
フォスはあまりにも思いつめていたのでこわれかかっていたのだ。それに対してブラック・ゴースト・クオーツは俺に頼りたいときは頼れと言う。

(40)
また冬が近づいてくる。
フォスはゴースト・クオーツの表層(ホワイト・ゴースト・クオーツ)を月に追いやったことなどから、先生の秘密を探ることは一時棚上げにする。
そんなフォスであったが、ブラック・ゴースト・クオーツを見ていて思ったことがあった。
それは新しい名であった。
そこで先生は、ブラック・ゴースト・クオーツにカンゴームという名を与える。

(41)
今年は暖冬で冬眠の延期が続く。
今年の冬は退屈しのぎにフォスとカンゴームが担当することになった。
6人(3組)がそれぞれ見回りに出かけていたら、二重黒点が出現する。
みんなはフォスが二重黒点の経験者ということで指揮を委ねる。
フォスは2人に先生とボルツを呼んでくるように指示する。
その黒点には部屋のようなものが見え、そこから何かが落ちてくる。
それは手榴弾のように爆発する。

(42)
その爆発から小さな動く物体が出て来て、ペリドットの指を取って逃げ、皿にいれる。
フォスはそれを取り戻そうと器に乗り込むが同じような爆発物によって合金の幕を破られて危機に立つ。
そこにカンゴームが助太刀に入るが、器(雲)に乗ると危ないということで戦いの足場としてフォスの合金を使う。
しかし、小さな動く物体が多くてみんな体の破片を取られるので戦いの作戦を変更する。
次の戦いのいい案がないということで先生を待つことにすると、そこに月人が現われて破片を回収し始める。
フォスは月人を倒そうとするがまた勇み足になり、月人は例の爆発物を大量にばらまいてフォスたちを一網打尽にする。
あわや、フォスたちが月人にさらわれるかという時にボルツたちが救援に現われる。

(43)
月人は、ウォータメロン・トルマリンとボルツが壊滅する。
皿に入った破片を回収しようとすると皿は雲の中に逃げる。
その雲のなかにフォスが入り込むと、部屋のようなものが見えそこに破片の入った皿があったので、フォスは合金の手を伸ばして取ろうとすると、皿ではなく盤のようなものを取ってしまう。
その雲もボルツが一蹴してしまい、結局、誰も何も月人には取っていかれないばかりか月にさらわれた宝石も少しは帰ってきた。
フォスは先生に雲から取ってきた盤と駒のような物を渡す。この駒のような物が動いて宝石たちの破片を取っていたのである。
これは何かのゲームで先生が昔遊んでいたものとのことであるが、先生と会うとシロと同じように消滅した。

(44)
体も少し回復したのでフォスとカンゴームは見回りをしていると、黒点が現われる。
カンゴームが退治しようと鎌を振るうとその衝撃で接続したばかりの左腕がもげる。
それを見て、その手を回収しようとフォスが黒点に近づくと、月人の矢がフォスの首を貫く。
その弾き飛ばされた頭部は月人の手に落ちる。
今度はカンゴームがフォスの頭部を回収しようとするが、カンゴームもやられる。
そこへ宝石たちが救援にきたので、月人はフォスの頭部だけをさらって逃げる。
フォスの頭部の修復は目処(めど)がたたないというルチルの説明に、カンゴームはある決意をする。
それは、カンゴーム(ゴースト・クオーツ)のかっての相棒であり、頭部だけを残して月人にさらわれたラピス・ラズリの頭部という宝石をフォスの頭部として提供することだった。


☆所感

今回、漫画(コミック)版を見て思ったのは、その質です。
見やすさということでは、アニメ版の方が断然見やすいです。
漫画(コミック)版は、絵がかなり荒っぽく、動きも硬くリズム感があまり感じられません。
ようするに、アニメ版の方が滑らかで柔らかさがあるといえます。
そして、宝石たちの描写が造形的(マネキン(マネキン人形)的)であまり個性が感じられないので誰が誰なのか覚えにくいです。
そして絵は、白黒なので余計に加速されているという感じです。アニメでは色でともかく区別できるといえます(笑)

元々、無機質の宝石なので、有機物の生物のように柔らかくないから表情をつくることが難しいので、その表現が限定されるということもあるでしょう。
まだ、アニメだと声優の声の調子で表情(個性)を読み取ることが出来るが、絵ではそれなりの想像力を働かせないとその表情(すなわち個性)を読み取ることが出来ないでしょう。
表情は無機質の宝石ということで、絵だけではかなり難しくなるから、そこは言葉でなんとか表情を作るべきでしょうが、その言葉も今のところわたしにはあまり響いてこない感じです。

表情(個性)ということでは、マネキン的ともいえるでしょう。
マネキンは均整のとれた美しさ(均整のとれていないマネキンもあるかもしれませんが(笑))はあるが、表情(個性)は乏しいので、マネキンマニアでもない限り、どのマネキンがどれだとかこうだとかは分からないといえます。
マネキンがあまりにも個性的だと、意識がマネキンの方にいって服を見ないということになり、本来の目的を逸してしまうということもあるでしょう。
この物語もそういう意識があって、発想を重視なのであえてキャラを没個性的にしたのかもしれません(笑)
まぁ、そういうことはないでしょう。
マネキン的からモデル的くらいまで格上げするともっとキャラが光ると思うのですが、それはインクルージョンの働きいかんにかかっているのかもしれません(笑)

ちなみに、モデルさんもモデルさんが個性的だと服を見ないということになるかもですが、今はマネキン的モデルというより個性的モデルということで、そのモデルさんが着ている服を着たいという傾向が強いので、個性的モデルでいいのだと思います。
だから、有名人をモデルに使うほうがメリットがあるということでしょう。

もしかしたら、そのうちマネキンもあの何々というマネキンが着ている服を着たいというような時代がくるかもしれません(笑)
今のわたしの感覚だと、それってけっこう怖い(笑)
だってこれって思考停止パターンだよね。自分でコーディネイトをまったく考えてないってことだよね。
その上に偶像崇拝も付いてくるってことだね(笑)

あと、美人は何を着ても似合う、というような言葉があります。
ここでいう美人とは、好みの人という意味合いが強いです。
ある人を下から見ていって、ダサい服装だと思っていても顔を見たら、自分の好みの人(美人)だったら、もうそのことに夢中になり、服装のことなど忘れてしまうということでしょう。
つまり、好みの人>服装ということになり、何を着ていたかなど問題にならないし覚えてもいないといっていいでしょう。
それが好みの人(美人)でないと、逆に服装の印象の方が強く残ってしまうということでしょう。
そういうこともあると思います。
まぁ、実際のとこ美人にはセンスのいい人が多いのかもしれませんが。

閑話休題。
そんなことで、物語同様、この絵も慣れるまで時間がかかりそうです(笑)
そういうことでは、この宝石の国は、かなり好き嫌い(つまりマニアック)もあるかと思います。

わたしとしてはどちらかというと、物語の発想に惹かれているので、そこらへんは我慢するというか無視します。
ともかく、この物語の発端か終わりを早く知りたい。
どちらかが分かれば、この物語をかなり妄想することが出来ると思う。

わたしが今思っているのは、これは西洋世界の神と神(悪魔)の戦いのようなものではないかということです。
つまり、仏と仏の争いではないかということでず。
なんせ、わたしは仏教世界を全く知らないのでなんともですが。
思うにここはある異世界でしょう。
金剛先生の弁(教科書)によると、「この星は6度流星が訪れ、6度欠けて6個の月を産み痩せ衰え、陸がひとつの浜辺しかなくなったとき、すべての生物は海へ逃げ、貧しい浜辺には不毛な環境に適した生物が現われた。月がまだひとつだった頃、繁栄した生物のうち逃げ遅れ海に沈んだ者が海岸に棲まう微小な生物に食われ無機物に生まれ変わり、長い時をかけ規則的に配列し結晶となり再び浜辺に打ち上げられた。それが我々である。」(第1巻18~21頁)ということであるが、これがどれだけ信憑性があるのが分からない。
金剛先生の一方的な弁である。

こういうことは、わたしはクレイモアで経験している。
クレイモアでは冒頭で「古(いにしえ)より人が「妖魔」に喰われる存在であったこの世界。」ということがいわれていたが、それは嘘で、妖魔は組織が作ったものであることをミリアが明らかにした。

だから、この話ではフォスがそれを解明するのかもしれないし、他の誰かが解明するのかもしれない。

このようなその星なり国なりの成り立ちに対する虚構は、神話でお馴染み(おなじみ)である。
その神話を発展させた宗教においてもまた然りである、
だから、とりたてて珍しいことではないともいえる。
信じるか信じないかはその人の勝手であるが、その勝手を許さないために教育があるともいえる。

そもそも、教育というのは良かれ悪しかれ、洗脳ということである。
教師の考え(教科書)が正しくその考えを憶えろということである。
その考えに反する者は、異端児となる。
教師がわたしの考えは正しいか正しくないか、それはあなたが考えることだなどとは言わない。
わたしの考えが正しいというだろう。
それは洗脳以外のなにものでもない。
その洗脳は、基本的には現体制を維持するためのものである。
まぁ、教師によっては現体制から逸脱する教師もいるかもしれないが、それでも現体制に基ずく洗脳であろう。

そして、困ったことに少なからずの教師といわれる人種が、単なる洗脳マシン(洗脳を担当する機械)だということである。
だからこそ、戦前は軍国主義を高らかに語っていた教師が戦後はあっさりと民主主義を正義などというのである。
こういうのは洗脳マシンだからできることである。
自分が信念を持って軍国主義を語っていたならば、民主主義を受け入れるのは苦悩以外にないだろう。
もし、戦前に民主主義が正しいと思っていたが、軍国主義を受け入れらざるを得なかったというのなら、そんな2面教師に教わった者は悲惨というしかない。というよりそれこそ洗脳マシンといえる。
自分の信念と違うことを正義だと教えているのだから。これが洗脳だと知っていながらの洗脳なのだから。

また、得てして洗脳というのは心地よいので(みんな同じ考えなので孤独でもひとりぼっちでもない)、多くの者は洗脳を簡単に受け入れてしまうということである。

そんなことで、宝石たちもその先生の洗脳にあえて意義を唱えない。
そういうことでは、フォスが存在の探求に、孤独でひとりぼっちのシンシャを選ぶのは自然の成り行きともいえる。
また、フォスの体に様々なものがくっつくのは、その存在の禁忌(タブー)に近づくためのその試練(厄除け)ともいえる。

わたしが思うに、宝石たちは月人と戦うために金剛先生が作っているのではないかということ。
あの瞑想というのが、その宝石たちを作るエネルギーを発しているのではないかと思う。
そうならば、いつも眠たがるのはよく分かる。
宝石たちを作るために膨大なエネルギーを使うので、いつも疲れているのである。

金剛先生と月人はこの星に元々住んでいて、金剛先生はなんらかのことで、誰か(何か)を月に追いやったのではないかと思う。

ところで、フォスの先生と月人の関係(先生の秘密)の探求はあまり進まない。
まぁ、そう簡単にことが運べは秘密の意味がないということになる。

そこで思うに、先生に月人との関係を直接聞けないのなら、イエローダイヤモンドは3597歳ということなのでおそらく最初の宝石であるかもしれないから、過去の資料を漁るのもいいけどイエローダイヤモンドに昔話を聞きたいとか戦闘の参考にしたいとか憧れているとかなんとか言ってそれとなく先生と出会った頃のことを聞けばいいのではないかと思う。
そうすれば、かなりそこらへんも解明できるのではないかと思う。
が、どうやらイエローダイヤモンドは長い年月生きてきたため記憶が混合しているようで、確証を得ないのかもしれないが。

まぁ、フォスは元々愚鈍だったので、いくら改造宝石になったといっても一気にずる賢くなることは出来ないということかもしれません。

このイエローダイヤモンドを見て思うには、3597年も生きているのに大して賢くもないということです。
ここらへんは人にも共通していて、長く生きていて多くを経験・体験したからといって必ずしもそれが身になって賢くなるというわけではないということです。
いわゆる、馬鹿は死ななきゃ治らない、ってことなのですね。
性格や性質の改善はほんと難しいってことです。
何の為に、それを経験・体験したのか分からないっていう手合いはけっこう多いといえます。
そういう人は、何をしてもやっても強くも賢くもならないってこと。

そこらへんは、ジルコンがフォスに言っている言葉に表れているだろう。
「君のこと歳は一番近いけど、ずっと幼い年下のこどもと思ってたのにあっという間に追い越されてしまいました。僕は何をしていたのでしょう。」

まぁ、イエローダイヤモンドは年とって老獪(ろうかい)になって、能ある鷹は爪を隠す、ってことなのかもしれませんけど。
絶体絶命の危機が訪れた時に、その3597年の知恵を生かすのかもしれませんが・・・

そんなことを思っていたのだが、よく考えると、イエローダイヤモンドと同じくらい年取っているであろうパパラチアには聞いているのである。
しかも、直截にである。
このパパラチアと組んでいたというルチルには聞かないのにである。
そしてまた、ゴースト・クオーツがフォスのためになら何でもすると申し出ているのに、ゴースト・クオーツには協力を要請しなくて、シンシャには協力を要請しているのである。
こういうところを見ると、フォスはけっこうしたたかでずる賢いともいえる。

つまり、パパラチアに先生と月人との関係を探ると話しても、おそらくパパラチアは長く起きていられることはないだろうから、自分の野心を話してもそれを密告されたり妨害されたりする危険はないということである。
また、シンシャは孤独でひとりぼっちだから、フォスを裏切ればまた孤独でひとりぼっちになるわけだから、よっぽどのことがない限り背信行為はしないという読みからの協力の要請なのだろう。

こう考えると、フォスは愚鈍を装っているが実は計算高く用心深い策略家の一面を持っているともいえる。

さて、何故にかフォスを好んでおり、フォスに協力することを申し出て、フォスと組むことになるゴースト・クオーツであるが、アニメの第12話では第5巻が一部流用されているのだが、第5巻でのアニメとの一番の違いは、このゴースト・クオーツという宝石が登場することです。
ゴースト・クオーツは体が多層で出来ているということで、一種の2重人格といえるでしょう。
普段は、表層にホワイト・ゴースト・クオーツが出ていて、内層のブラック・ゴースト・クオーツは見えないのだが、フォスの勇み足で表層のホワイト・ゴースト・クオーツが削られ月に持っていかれたためにブラック・ゴースト・クオーツが表層になったという曰くつきの宝石である。

このゴースト・クオーツがかって組んでいて月人にさらわれたラピス・ラズリのことをあまりにもいつまでも苦にしているので怪訝に感じていました。
確かに、すべての宝石たちは組んでいた相手が月人にさらわれたことでそれなりにトラウマを持ってはいるが、ゴースト・クオーツのは度が過ぎるという感じでした。

それがフォスが頭部を失い、その代替としてカンゴームがラピス・ラズリの頭部を持ってきたので納得しました。

相棒を失えば誰でも悔しくて悲しくて自分を責めるだろう。
それでも、普通は残ったものには生きるという使命があるためその悲しみや苦しみも時と共に和らいでいくであろう。
だが、ゴースト・クオーツのように相棒の一部しかも頭部が残っているような場合は、その悔恨はいやされることはないだろう。
その頭部をみれば、いつも悔恨が蘇ってきて、自分が代わりであればというような自責の念にさいなまれるだろう。

しかしながら、フォスにラピス・ラズリの頭部を提供するということでその自責の念は間接的ながらも和らぐといってもいいだろう。
どんな形であっても、そこに生きたラピス・ラズリがいるということになるのだから。

もしかしたら、ゴースト・クオーツに何らかの予兆みたいなものがあったのかもしれない。
だから、変現したフォスに親近感を抱き、フォスにラピス・ラズリを見ていたのかもしれない。
だからこそ、ホワイト・ゴースト・クオーツはブラック・ゴースト・クオーツに「フォスを守ってね」と言ったのだろう。


補足:漫画(コミック)の購読法

今回初めて、アマゾン(Amazon)のキンドル版(Kindle版)を利用してみました。
読むデバイスはKindleなどのモバイルではなくパソコン(PC)です。
パソコンでキンドル版を購読する方法は2通りあります。
「Kindle Cloud Reder」と「Kindle for PC」です。
「Kindle for PC」の場合、わたしはパソコンがWindowsなので「Kindle for PC(Windows)」となります。
「Kindle Cloud Reder」の場合は、ブラウザを利用して購読します。
「Kindle for PC(Windows)」はソフト(アプリケーション)をダウンロードして購読します。
「Kindle for PC(Windows)」はソフトなので、無料でアマゾンから購入するという形になります。

各々の詳細は以下のURLを参照して下さい。
全体は、https://www.amazon.co.jp/gp/digital/fiona/kcp-landing-page/ref=kcp_pc_mkt_lnd です。
「Kindle Cloud Reder」は、https://www.amazon.co.jp/gp/press/pr/20140919 です。
「Kindle for PC(Windows)」は、https://www.amazon.co.jp/Kindle-for-PC-Windows-%E3%83%80%E3%82%A6%E3%83%B3%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%89/dp/B011UEHYWQ です。

もちろん、これらを利用するにはアマゾンアカウントが必要なことはいうまでもありません。
アマゾンを自分で利用したことがあるのなら、アマゾンアカウントを持っているので問題ないでしょう。

今回初めて利用したのですが、便利です。
購入場所(本屋)まで行かなくても購入でき、購入したら直ぐに読めるし(ダウンロードに少し時間がかかるけど)ということで、とても楽です。
また、紙の本だと場所を取るので、購入すればするほど部屋が狭くなるのですが、これだとそういう目に見える物理的場所には困りません。
購入した本をダウンロードするので、パソコンの容量を食うということはあるかもしれませんが、たぶん読んだ物が不用だと思えば、端末からは削除することができるようなので、容量は限定することができると思います(現時点ではまだ、試したことがないので推量です)。
もっと早く使うべきだった(笑)

また、見た目に劣化がないのもいいです。
紙だと年月が経つと黄ばんできたり脆(もろ)くなってきます。
とはいっても記録媒体は紙と同じように劣化するので、ある日突然大量の本が神隠しになってしまうこともあるのですが。
そういうことでは、紙の方が神隠しになる確率は小さいといえます。

もっぱら、「Kindle for PC(Windows)」で読んでいます。
なお、購入した本は、アマゾンの各自の「コンテンツと端末の管理 」で管理されています。

まぁ、欠点は手元に実物として残らないということでしょうか。
だから、いらなくなったものを古本屋に売るというようなことは出来ないですね。
いわゆる、完全な私的所有物にはならないということです。
そういうことでは、資本主義的というより社会主義的な行為(形態)といえるかもしれません。
アマゾンという私的帝国がその存在物をすべて握っているということです。
アマゾンという私的帝国がなくなればその存在物もなくなります。
ということは、みんなでこのアマゾンという私的帝国を守らないといけないということです。
そのうち、ハイル!アマゾンということにもなるかもしれません(笑)(*1)

(*1)
ハイルとは - はてなキーワード;http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%CF%A5%A4%A5%EB(はてな(http://www.hatena.ne.jp/)から)

読むということでは、購入した者のアマゾンアカウントさえあればその購入した分を誰でも読める(回し読み)ということにもなるが、アマゾンアカウントを教える者などいないだろう。
購入者が読んでいるその時点での、デバイスでの回し読みは可能ではあるが。
それでもデバイスを長時間相手に貸し与えることはないだろう。デバイスにはいろんな情報が入っているので本のように相手に長時間預けるということはないといっていいでしょう。
そういうことでは電子書籍の方が売り上げのメリットはあるかも。

また、これはかなりわたくしごとですが、ブログを書く場合、同じ画面上で見れるのでそれもまた便利です。

アマゾンのキンドル版での宝石の国の購入は
 https://www.amazon.co.jp/s/ref=nb_sb_noss?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&url=node%3D2275256051&field-keywords=%E5%AE%9D%E7%9F%B3%E3%81%AE%E5%9B%BD
です。

ところで、電子書籍の貸し読みってのはないのかな。


宝石の国
HP「TVアニメ『宝石の国』公式サイト」は
 http://land-of-the-lustrous.com/
ウィキペデイアは
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%9D%E7%9F%B3%E3%81%AE%E5%9B%BD
(このウィキペデイアでの宝石たちの名前ですが、2月4日現在でゴースト・クォーツとラピスラズリは、原本の方ではゴースト・クオーツとラピス・ラズリとなっています。細かいことですがお気をつけを)
です。


ウィキペディア(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8)から
 マネキン;https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%8D%E3%82%AD%E3%83%B3
 マネキン人形;https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%8D%E3%82%AD%E3%83%B3%E4%BA%BA%E5%BD%A2
 トラウマ(心的外傷);http://search.auone.jp/?client=kddi-auone&sr=0101&q=%E3%83%88%E3%83%A9%E3%82%A6%E3%83%9E&ie=UTF-8
 首;https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A6%96
 神隠し;https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A5%9E%E9%9A%A0%E3%81%97


秘密
20171026木 秘密


Enterに戻る


プロフィール

リー

Author:リー
ろぷろす_ぶろぐへようこそ!

写真はアケボノソウです。






現在の閲覧者数:

カテゴリー
リスのブログ時計

by Animal Web Clock
カレンダー
01 | 2025/02 | 03
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 -
最近の記事
最近のコメント
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

月別アーカイブ
ユーザータグ

土居美咲 クレイモア 川口マーン恵美 石田ニコル 岡村恭香 プリシラ 川村カリン ベリンダ・ベンチッチ クレア リフル 沢尻エリカ ミリア アンゲリク・ケルバー 宮廷の諍い女 エリナ・スビトリナ 華妃 クララ・クレフト ジャン・シン 原発 テレサ デネヴ 佐々木希 小泉沙耶香 放射能汚染 ラキ ガラテア 日比野菜緒 おおきく振りかぶって mizuano mizuano 阿部隆也 リュドミラ・サムソノワ ダリア・ガブリロワ ヘレン Thunderbolt ダーエ Fantasy 東離劍遊紀 アナスタシア・ポタポワ 山科優衣 イチロー Riho 奈良くるみ Riho 奥野彩加 エイザンスミレ 三橋廉 田畑智子 バイケイソウ ジーン トンイ ロクサーヌ ファースト・クラス ツルリンドウ ダリア・カサトキナ サラシナショウマ 銀河英雄伝説 ラインハルト クルム伊達公子 キルヒアイス 細越杏樹 アナスタシア ミアータ クララ・タウソン ローレン・デービス センブリ ジェン・チンウェン ファーストクラス キバナアキギリ キッコウハグマ マムシグサ 土屋太鳳 アンネローゼ 松崎静香 アグニエシュカ・ラドワンスカ イースレイ ハン・イェスル トウゴクサバノオ クロモジ イガ・シフィオンテク 安陵容 ギンリョウソウ ツリフネソウ ヤマネコノメソウ ラウラ・シグムンド 加藤未唯 安楽 アケボノスミレ コガネネコノメソウ シュンラン 済美 クラリス 廣瀬樹里 長谷真理香 フモトスミレ 田中美甫 風の子 麗華 クロノス 神山 リンドウ カシワバハグマ 清水綾乃 宝石の国 ホウチャクソウ ヤマトリカブト アケボノソウ ヒトツバテンナンショウ キャロライン・ウォズニアッキ キツリフネ オドリコソウ ヤマルリソウ イワタバコ ヤマブキソウ チゴユリ コキクザキイチゲ エンレイソウ タチツボスミレ 箱根駒ケ岳 尾崎里紗 吉冨愛子 笠山 フクジュソウ 板谷由夏 オーベルシュタイン ヤン カサンドラ イ・ジア 宇野綾花 亜祐美 ルシエラ レンゲショウマ 杏子 ザゼンソウ カタクリ ニリンソウ 北原佐和子 エウロパ ハシリドコロ ルイヨウボタン カナクギノキ メハジキ アオイスミレ 本玉真唯 ボタンヅル 川苔山 シハイスミレ マルバコンロンソウ ゴンズイ マイヅルソウ ショウジョウバカマ ジロボウエンゴサク イワボタン フジアザミ 稔山 ジガバチソウ イチヤクソウ タニギキョウ ヤマジノホトトギス 檜洞丸 マタタビ ギンバイソウ クモキリソウ ウバユリ タマガワホトトギス シャクジョウソウ ナルコユリ デニサ・アレルトバ アナ・コニュ ツルカノコソウ ヤマクワガタ ツクバネソウ オリガ・ゴボツォワ 神矢知恵子 ヘザー・ワトソン 槇寄山 ペトラ・クビトバ タバサ ニホンアナグマ 正丸 ビクトリア・アザレンカ オオバショウマ 御前山 クサボタン ミヤマママコナ レイジンソウ テンニンソウ トリューニヒト 獵魅 三ツ峠山 アカショウマ 笹尾根 トリアシショウマ 大岳山 セリーナ・ウィリアムズ ウリノキ 大羽根山 黒田エイミ 星谷サトミ 川村カオリ 佐倉みどり アリス イレーネ あんみ ef- 藤沢友里 ルネ オクモミジハグマ ラファエラ 森田有希 星みか オフィーリア ダフ 富士山 ミミガタテンナンショウ ナガバノスミレサイシン イワウチワ ヒトリシズカ クワガタソウ ザビーネ・リシキ ルヴル ムラサキケマン オクタビア チャン・ツィイー ナディア・ペトロワ セツブンソウ アズマイチゲ ジェシカ マルチナ・ヒンギス ビアンカ・アンドレースク ミヤコアオイ ノグルミ ダンコウバイ 天ヶ峠 アケボノシュスラン アオテンナンショウ ミズタビラコ アオキ ノアザミ アマンダ・アニシモワ ムベ オオチャルメルソウ ミツバアケビ ソフィア・ケニン ミゾホオズキ ヤブキリ コクワガタ アリーナ・サバレンカ エレーナ・リバキナ ドイ・ミサキ モミジガサ トチバニンジン 送電北松山線 ノギラン アキチョウジ ヒヨドリバナ 田島悠一郎 ハダカホオズキ 篠岡千代 シロモジ カブトムシ コシオガマ ミヤマウズラ ナギナタコウジュ 高岩山 シモナ・ハレプ クサギ マグダレナ・リバリコバ タカオヒゴタイ カメバヒキオコシ コウヤボウキ キブシ 三頭山 杓子山 セキヤノアキチョウジ ナツトウダイ ツルニンジン アンナ・カロリナ・シュミエドロバ アシュリー・バーティ サネカズラ シロダモ ミツマタ オオバヤシャブシ ワン・ヤーファン 林道臼坂黒谷線 ササバギンラン フデリンドウ レモンエゴマ ヤブウツギ クサアジサイ ジンジソウ ニッコウキスゲ ヤグルマソウ オノエラン キスゲ平 ネバリノギラン アオホオズキ ヤマウツボ ベニバナヒメイワカガミ 赤薙山 ユキノシタ ヒメイワカガミ ゴゼンタチバナ ウチョウラン 清八山 ナナフシ トモエシオガマ シロヤシオ ジャコウソウ シデシャジン オオウバユリ テガタチドリ アサギマダラ オオバギボウシ クガイソウ ダリア・カサキナ オオヤマサギソウ サニア・ミルザ 鳴神山 タオ・シンラン カッコソウ ウラシマソウ ユキザサ アナ・イバノビッチ 武人時代 ハナイカリ ルビンスキー ドミニク キングギドラ ソビボー 松枝 森田あゆみ 大坂なおみ イ・スンシン 澤柳璃子 コチャルメルソウ 日の出山 不滅の李舜臣 ミヤマハコベ ニッコウネコノメソウ アリャクサンドラ・サスノビッチ フタバアオイ ムサシアブミ アマドコロ 御岳山 大岳大滝 ツリガネニンジン キャサリン・ベリス キャロリン・ガルシア セキヤノアキヨウジ 大楢峠 ツネの泣坂 ツネ泣峠 テレーゼ 奥多摩都民の森 ハグロソウ ヤマシャクヤク 鋸山 ヤクシソウ マルバノホロシ コイワザクラ マダニ グンリョウソウ マメザクラ 荒川晴菜 ヤマザクラ 東三方ヶ森 ジュウガツザクラ ススキ オヤマボクチ 笠山峠 ユキワリイチゲ ヤマユリ キバナノショウキラン 本仁田山 モグラ ムラサキセンブリ ヤマラッキョウ 浅間峠 カラマツソウ マツムシソウ 富士山須走口 ミヤマハンショウヅル 殺無生 イワギボウシ ウメバチソウ 生藤山 武川岳 林道平溝線 雷電山 青梅丘陵ハイキングコース キャットシットワン 藤原里華 高水山 岩茸石山 センボンヤリ 旧正丸峠 カンアオイ 高水三山 惣岳山 ミヤマコゴメグサ 正丸峠 宝野アリカ PROJECT SCANDAL SCANDAL 一真由子 ALI PROJECT 木下あゆ美 桃太郎 中山エリサ 千里内麻唯 ALI 斉藤静 あゆみ バービーボーイズ 菅野結以 国生さゆり 鈴木彩子 ef- ディートリヒ リガルド 踏杉舞 優里 安藤美姫 後藤久美子 ユマ 美蘭 源氏物語 YUI 大場美沙 羞恥心 つるの剛 Perfume 太田めぐみ 木村カエラ 土屋アンナ 小堀桃子 mie レヴィ 成海璃子 渡辺直美 鈴木凛 yui mie perfume 山下明日香 細越アンジェリカ いきものがかり 野茂英雄 青木さやか 柳原可奈子 アリシア ベス 西遊記リローデッド 茉歩 ミヤマスミレ ミチノクネコノメソウ ツルキンバイ 柳沢峠 丸川峠 ヒメイチゲ バイカオウレン ハナネコノメ ハルトラノオ ケマルバスミレ ハコネシロガネソウ ヨゴレネコノメ オオチゴユリ ラショウモンカズラ アルカナ サマンサ・ストーサー ラブ・ミッション ケスラー フィーア ウラディミール・バレンティン 田中将大 シャク ツクバキンモンソウ オードリー 浦浜アリサ リミット 小林麻美 イカリソウ ヒステリア 上原美優 アンヌ・ヴィアゼムスキー 恋乃葉 秋野奏 須藤マリ 実森あずさ ナ・サンシル 百合 川口凛 馬渕史香 福間文音 チャン・イーモウ 阿部薫 ミヤマキケマン 芦ヶ久保山の花道 アリアケスミレ ヤマエンゴサク シロバナエンレイソウ ヤン・ウェンリー 上木彩矢 小山莉絵 橘浩奈 KABO KABO ヴァーリモント 林道千疋線 タムシバ ミヤマナルコユリ 送電北松山線84番送電鉄塔 エマ・ラドゥカヌ レイラ・フェルナンデス アカマツ 林道黒谷支線 ノゲシ 市道楠窪線 ナズナ ヒサカキ サンシュユ チャオ・リーイン 明蘭 ヒメハギ ジャニンジン ヒメキキョウソウ アカバナユウゲショウ レンゲツツジ オウギカズラ クロバイ 盛明蘭 ~才媛の春~ サイコクサバノオ ヤマアイ ミツバコンロンソウ オシドリ カルガモ 市道関屋山之内線 キヅタ ミズカクシ シナアブラギリ ヤブムラサキ ヒヨドリジョウゴ クサヤツデ パク・ウネ Ryzen 孝懿王妃 ヨシノアザミ オタカラコウ イヌザンショウ ハゼノキ 送電松山東線 チチタケ ヤブツバキ ニホンザル イノシシ センダン イヌガヤ 送電松山東線45番送電鉄塔 オオツヅラフジ 林道臼坂黒谷線(臼坂工区) 送電北松山線56番送電鉄塔 ナツハゼ 西条変電所 カラスノゴマ ハガクレツリフネ ヤブマメ 林道戸石天ヶ峠線 ミラ・アンドレーワ カロリナ・ムホバ エリナ・アバネシャン オトコエシ ヤマクルマバナ キツネノカミソリ リュウキュウマメガキ 林道楠窪余野線 ヒビノ・ナオ ジェシカ・ペグラ オンス・ジャバー エレナ・オスタペンコ マリア・サッカリ びまん性大細胞型B細胞リンパ腫 東京慈恵会医科大学附属第三病院 ジグモ ホシホウジャク オオクロコガネ ミヤマカミキリ ナガヒョウタンゴミムシ ニシキリギリス キシタバ ミズタマソウ オトギリソウ アブラゼミ シャオシャオ ノコギリクワガタ シロスジカミキリ クワカミキリ ガマガエル モクズガニ 明成皇后 伊予開閉所 閔妃 イ・ミヨン チェ・ミョンギル ノウサギ キリギリス ハクビシン タマムシ イナモリソウ エビネ ヤブデマリ ギンヤンマ オオカマキリ オケラ オオトモエ ムクゲコノハ ヤモリ LKK5V3 自作パソコン D70 D7500 D70s オオイヌノフグリ タネツケバナ ニコン フユイチゴ 踊平 トネアザミ タイワンホトtギス 林道梅沢寸庭線 奥多摩大橋 コハコベ ホトケノザ アセビ フキ 梅ヶ峠 シロバナネコノメソウ イタドリ 天子川 ツルウメモドキ セイヨウアブラナ ヒメオドリコソウ 林道相之谷高月線 市道相之谷線 ハンノキ ヤマホロシ 村松千裕 オルガ・ダニロビッチ 林道日向沢線 マルバダケブキ ヤマブキショウマ シモツケソウ 林道川乗線 川乗山 ヤブレガサ クサタチバナ サラサドウダン ウツギ エビガライチゴ ナガバノコウヤボウキ ヤマボウシ ママコナ ヤマホトトギス ハクサンフウロ カイフウロ オミナエシ カセンソウ ヒキヨモギ タマゴタケ ヒグラシ ハンゴンソウ キオン ヒメヤシャブシ アケビ 楢原山 コミネカエデ ウスキキヌガサソウ カエデドコロ サワオトギリ リョウブ アオツヅラフジ ムラサキニガナ ウツボグサ エゴノキ クマノミズキ ネズミモチ イヌトウバナ ヒガンバナ ミヤマガマズミ クロガネモチ 林道戸石天ヶ峠線終点 ヤマボクチ アキノキリンソウ アクシバ ヌスビトハギ カラスザンショウ ヌルデ ヤマウルシ 林道木地川線 林道木地奥線 ホタルブクロ マルミノヤマゴボウ 林道臼坂黒谷線(関屋工区) コンロンソウ マルケタ・ボンドロウソバ ヤマフジ ヒメコウゾ 林道河之内本線 ヤマブキ 林道河之内支線 林道黒谷本線 フウロケマン オオバタネツケバナ アブラチャン ヤマグワ シコクカッコソウ アカメガシワ サンショウソウ ハナイカダ 横峰寺 ハンカイソウ 林道臼坂黒谷線(河之内工区) カスミザクラ コガクウツギ ミツバウツギ ツリバナ ウリハカエデ サカネラン 

リンク
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

フルカウンター
現在の閲覧者数:
ブログ内検索
QRコード
QR
RSSフィード
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

javascript電卓
電 卓
最近のトラックバック