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論文:「台湾産ノムシタケ科=冬虫夏草科の種の系統的多様性と形態的特徴付け」2024

この論文が掲載された『Studies in Mycology 109巻』は、2024年8月11日現在、IN PROGRESSと書かれており、この論文を含む3論文のみ公表されています。

冬虫夏草にご興味ある方には重要文献だと思います。
Chuang WY,Lin YC, Shrestha B, Luangsa-ard JJ, Stadler M, Tzean SS, Wu S, Ko CC, Hsieh SY, Wu ML, Wang SC, Shen TL, Ariyawansa HA (2024)
「Phylogenetic diversity and morphological characterization of cordycipitaceous species in Taiwan」
(台湾産ノムシタケ科=冬虫夏草科の種の系統的多様性と形態的特徴付け)

Studies in Mycology 109: 1–56 (2024).
Westerdijk Fungal Biodiversity Institute

台湾産89標本を対象に複数の領域( ITS, nrLSU, tef1-α, rpb1, and rpb2s)を遺伝子分析し、GenBank登録データも加え、系統樹を作成、10新種を認め、それらの形態形質を詳細に記載する。Parahevanisia koratensisCordyceps属に入れ、Parahevanisia属の廃止を提案する。
13人の著者たちの所属は、台湾、ネパール、タイ、ドイツの4か国8機関。論文作成への貢献度は皆等しいと書かれている。

Open accessにつき、下記URLから無料で閲覧・ダウンロード可能:
https://www.studiesinmycology.org/index.php/issue/123-studies-in-mycology-no-109

紙版はありません。

ドナディーニが発表したチャワンタケ綱タイプ標本の改定

売れ切れました。
Cashiers_de_La_FMBDS7.jpg
Van Vooren, Nicolas & Marie-Josephe Mauruc (2020)
「Révision des types de Pézizomycètes publiés par J.-C. Donadini, (descriptions, illustrations・ phylogenie)」
(ドナディーニが発表したタイプ標本の改定、(記載・図と系統))

Cahiers de la FMBDS No. 7
参考10%税込3,170円、送料200円(クリックポスト)、売れ切れ、追加はありません。
フランス語、16.9x23.9㎝、102ページ、本文中に胞子の顕微鏡図、本書後半にまとめて原色図版13ページ、ペーパーバック
Jean-Claude Donadini (1939-1987)が発表したチャワンタケ綱チャワンタケ目タイプ標本(命名規約上のタイプ)を顕微鏡観察し、遺伝子分析した。その結果、50分類群を改定し、詳細な記載、子のう胞子の図、 Gen-Bankの参照番号、コメント、標本写真を提示する。
本書により、2新種、 Peziza subvesiculosaLegaliana subsaniosa が発表された。また無効な発表であった Peziza granularis が有効に発表された。
地下生菌に関心のある方へ:子のう菌の地下生菌2分類群、Tuber borchii var rioussetorum とTuber malaconii が再定義されました。

FMBDSのチャワンタケのモノグラフとその他の出版物
  http://sanoshoten.blog13.fc2.com/blog-entry-1319.html

Monograph of Orbiliomycetes (Ascomycota) (オルビリア菌モノグラフ)

販売終了しました。
日本産を含む世界に産するオルビリア菌全種を詳述する最新のモノグラフ(専門図鑑)!
Monograph_of_Orbiliomyces11.jpg Nonog_of_Obbiliomycetes11表紙  Nonog_of_Obbiliomycetes2表紙
             [第1部表紙]     [第2部表紙]
Baral, Hans-Otto, Evi Weber & Guy Marson (2020)
「Monograph of Orbiliomycetes (Ascomycota) based on Vital Taxonomy Part 1 & II」
(バイタル分類法に基づくオルビリア菌綱(子嚢菌門)モノグラフ、第1部・2部)

1組(2冊)参考税込32,090円、送料:ゆうパックスマホ割80サイズ、在庫なし

英語、A4サイズ、第1部・2部合計1768ページ(重さ約4㎏)、多数の生態/顕微鏡写真・顕微鏡図・分布図・各種表、ハードカバー
世界に産するチャワンタケ様の子実体を作るオルビリア菌474種をたくさんの画像をつけ詳細に解説する。
膨大な数の生標本の光学顕微鏡観察と遺伝子分析の結果をもとに、Orbiliomycetes(オルビリア菌綱)に1目、1科、10属(うち新属4)、474種(うち無効な新種記載の有効化記載331、新組合せ38,新種4)を認め、多くのエピタイプ、レクトタイプ、ネオタイプを指定した。415種が含まれるオルビリア属には3亜属、8節、30系を認めた。
Monog_of__Orbilipmycetes1DNA配列検索表2   Monog_of__Orbilipmycetes1形質比較表   Monog_of__Orbilipmycetes1DNA配列検索表
[塩基配列表と系統樹]   [形態形質表]   [塩基配列表と検索表]
Monog_of__Orbilipmycetes1 顕微鏡図と写真3  Monog_of__Orbilipmycetes1 顕微鏡図と写真2  Monog_of__Orbilipmycetes1 顕微鏡図と写真
 [種の解説頁1]   [種の解説頁2]    [種の解説頁3]

[下は一頁拡大画像]
Monograh_of__.jpg  Monog_of__Orbilipmycetes1検索表  Monograh_of__5.jpg
Monograh_of__4.jpg  Monograh_of__3.jpg  Monog_of__Orbilipmycetes1 顕微鏡写真1 
三人の博物館ボランティア研究者の長年の努力が本書に実を結んだ!
本書がアマチュア研究者の皆様へのエールになることを祈ります!
三人の著者たち:
(1)第一著者のH.O. Baral(バラル)さんは、35年の長きにわたりチャワンタケの仲間、なかでもHelotiales(ビョウタケ目)とOrbiliales(オルビリア目)を研究してきたそうだ。2万を越える標本を顕微鏡観察した結果、乾燥標本では得られない生標本にのみ観察できる分類形質があることを再発見した(昔、フランスのチャワンタケ研究の大家エミール・ブディエが気づいていた)。バラルさんはこれをVital Taxonomy (バイタル分類法)と名付け、精力的に生標本の光学顕微鏡観察と記録を続けてきた。
(2)大学で菌類学を学んだEvi Weberさんは、ずっと菌類に関係する仕事を続け、今は菌類学専門誌「Mycological Progress」の編集主任をしている。
(3)10代のころから菌類に興味を持ち続けているGuy Marsonさんは、鉄道会社を退職後、本格的に菌類研究に取り掛かり、2011年からは博物館の設備を使い遺伝子分析に取り組んでいる。

本書には、遺伝子分析の結果と形態形質との関連 (例えば、塩基配列の違いは少ないが、形態形質には大きな違いがあり、さらにその間を埋める連続した形態形質の変化がある。塩基配列に大きな違いがあるが、形態形質の違いは少ない) を種の区別と絡めてどう解釈するか、また解釈したか、塩基配列表も載せて分類群ごとに解説する部分がある。遺伝子分析の各種論文を読み込み、加えて自分たちでもタイプ標本を含む多くの標本の遺伝子分析を行い、さらに万を越す生標本を顕微鏡観察した著者ならではの解釈は興味深い。

なお、本書はpdfファイルで無料ダウンロードが可能です。ただ、A4換算1768ページと膨大な分量なので、目的の部分にたどり着くのも大変です。
備考:
(1)モノグラフ:生物学の場合、特定分類群の全種を網羅して分類学的に検討し、記載した総説論文。新種記載をも含むことが珍しくない。(Wikipedia)
(2)Vital Taxonomy (バイタル分類法):第一著者のH-O Baral さんが提唱する。 乾燥標本ではなく、生の新鮮な標本を顕微鏡観察し、得られた形質に主眼を置いて分類する方法。乾燥標本では得られない生標本にのみ観察できる特徴的な分類形質が把握できるという。もちろん、遺伝子分析も並行して行われる。

タイの無脊椎動物病原菌図譜、第3巻・第4巻

「Atlas of Invertebrate-Pathogenic Fungi of Thailand, Vol. 3 & 4」
出版元と連絡が取れましたが、タイ航空が破綻するなど、コロナ禍のため日本向け出荷が出来ないそうです。
航空便が再開しましたら、入手・販売の予定です。お楽しみに!
Atlas_of_Intertebrate-Pathogenic_Fungi_Vol_3.jpg Atlas_of_Intertebrate-Pathogenic_Fungi_Vol_4.jpg
第1巻と第2巻は、「2009年9月文献案内」でご紹介しました。第1巻と第2巻は出版元絶版で入手はできません。

熱帯アフリカの菌類フロラ第3巻:Monograph of Crinipellis and Chaetocalathus

ベルギー国立植物園は、かつて植民地であった旧ベルギー領コンゴ=現コンゴ共和国を中心とする熱帯アフリカ地域に産するきのこ専門図鑑シリーズ、「Fungus Flora of Tropical Africa」(熱帯アフリカの菌類フロラ)を2007年から出版している。
お取り寄せ
FungusFloraTropAfrica3Crinipellis.jpg
Antonin, Vladimir (2013)
「Monograph of Crinipellis and Chaetocalathus」
(熱帯アフリカの菌類フロラ第3巻、ニセホウライタケ属と カエトカラスス属のモノグラフ)
Fungus Flora of Tropical Africa Vol. 3

National Botanic Garden of Belgium(ベルギー国立植物園)
概算10%税込6,000円、送料200円、お取り寄せ
英語、A4、 42ページ、原色写真・顕微鏡図多数、ペーパーバック
アフリカ大陸赤道直下に広がる旧ベルギー領コンゴ=現コンゴ共和国を中心とした熱帯アフリカに産する、ニセホウライタケ属と カエトカラスス属の専門図鑑。ニセホウライタケ属16種+4変種を、 カエトカラスス属3種を検索表・顕微鏡図、原色生態写真・図をつけ詳細に解説する。うちニセホウライタケ属7種+1変種は出版前年の2012年に著者らによって新種記載された種。

本シリーズの既刊:
(3) Fungus Flora of Tropical Africa Vol. 3 (本書)
「Monograph of Crinipellis and Chaetocalathus」
(熱帯アフリカの菌類フロラ第3巻、ニセホウライタケ属とカエトカラスス属のモノグラフ)

(2) Fungus Flora of Tropical Africa Vol. 2,
「Monograph of Lactarius in Tropical Africa」
(熱帯アフリカの菌類フロラ第2巻、熱帯アフリカ産チチタケ属モノグラフ)

(1) Fungus Flora of Tropical Africa Vol. 1
「Monograph of Marasmius, Gloiocephala, Palaeocephala and Setulipes in Toropical Africa」
(熱帯アフリカの菌類フロラ第1巻、熱帯アフリカ産ホウライタケ属、グロイロケファーラ属、パラエオケファーラ属およびセテュリペス属) 

本シリーズ以前のシリーズ:
(2) 「Flore iconographique des Champignons du Congo」(コンゴのきのこフロラ図譜):お取寄せ
(1) 「Flore illustrée des Champignons d'Afrique centrale」(中央アフリカのきのこフロラ図譜):お取寄せ

カビ・キノコが語る地球の歴史



カビキノコが語る地球の歴史
小川真(2013年9月)
「 カビ・キノコが語る地球の歴史」 菌類・植物と生態系の進化

8%税込3024円、送料サービス、納期1週間(在庫1冊
四六判、328ページ、ハードカバー、カバー付
著者は、大胆な仮説で菌類の進化を、菌類と植物とのかかわり方から説明する。
菌類が生物の進化にどうかかわってきたか、生物進化に関心を持つ方に是非一読をお勧め。
目次:
第1章 地球の先住者
第2章 植物の上陸を助ける
第3章 石炭はなぜできたのか
第4章 植物を育てた腐植と灰
第5章 樹木とキノコのつながり
第6章 さ迷う菌類
第7章 被子植物とともに
第8章 新たな生き方を求めて
第9章 迫りくる大絶滅

A Revision of the Genus Rhodocybe

“Rhodocybe ムツノウラベニタケ属に関心のある方には必携の重要文献”
A_Revision_of_the_Genus_Rhodocybe.jpg
Baroni, Timothy J. (Original 1981) (Repr. 2011)
「A Revision of the Genus Rhodocybe Maire(Agaricales)」
(ムツノウラベニタケ属の改正)

Nova Hedwigia, Beih. 67
8%税込10,280円、送料360円、納期1週間(在庫1冊
英語、16.6x23.4cm、194ページ、顕微鏡図・胞子や担子器のSEM 写真・白黒標本写真合計150図、ハードカバー
Rhodocybe ムツノウラベニタケ属は、1926年、R. Maireによって提案された属で、その後1975年のSinger (The Agaricales in modern taxonomy. 3rd ed.)まで、幾度も属の概念が修正され、新種が記載されてきた。著者Baroniは、本書で、属概念を明確にし、本属 Rhodocybe ムツノウラベニタケ属に7節49種を認め、属から節への検索表、さらに種への検索表を作成するとともに、個々の種を詳細に記載する。シスチジアの顕微鏡図、胞子の走査電顕写真、白黒の標本写真など合計150図をつける。
ムツノウラベニタケ属に関心のある方には、必携の重要文献。

きのこ盆栽

今年話題になったきのこ本!
日本経済新聞新聞でも大きく紹介されました。

きのこ盆栽
渋谷卓人(2014年6月)、「きのこ盆栽」
8%税込定価1,620円、送料サービス、納期1週間
A5、89ページ、原色写真多数、ペーパーバック、カバー付
きのこの盆栽?いったいなんだろう、と思って本書を入手した。
著者は、短期間に消えてなくなるきのこを長く鑑賞するために、粘土で形作って鉢に植え「きのこ盆栽」と名付け、永久保存しようとした。
本書は、この「きのこ盆栽」にしたきのこ60種を原色写真をつけ、きのこ自身の解説と、粘土でつくる際のポイントを解説した本だ。後半20ページは、きのこ盆栽をつくるための材料や作り方の解説にあてる。
凍結真空乾燥したきのこ、樹脂に封じ込めたきのこ、様々な方法で生きたままのきのこ形・色を保存する方法がある。「きのこ盆栽」は本物ではないが、本物以上に生き生きとしている。きのこ好きのみなさん!一度「きのこ盆栽」に挑戦されてはいかが?

盤菌類のカロチノイド:化学分類の論文

“在庫の1冊限り”
Les_Carotenoides_de_Discomycetes.jpg
Arpin, Noel (1969)
Les caroténoïdes des Discomycetes: Essais Chimio-Taxinomiques
(盤菌類のカロチノイド:化学分類論文)

Bulletin Mensuel de La Societe Linneenne de Lyon Supplement au numero de janivier 1969
本体5,834円+税、送料82円(メール便)、納期1週間 (在庫1冊)
フランス語、英語サマリー付き、169ページ、ペーパーバック
盤菌類100種をカロチノイド成分を元に系統分類を試みる。
目次:
第1部 Prologue
第2部 Biochimie des carotenoides
第3部 Distribution des carotenoides Chez Les Discales
第4部 Conclusions generales

古代世界の菌類

Fungi_in_The_Ancient_World.jpg
Dugan, Frank Matthews (2008)
「Fungi in The Ancient World How Mushrooms, Mildews, Molds, and Yeast Shaped the Early Civilizations of Europe, the Mediterranean, and the Near East」
(古代世界の菌類)   
、APS Press(米国植物病理学会出版部)
本体9,390円+税、送料82円(メール便)、納期1週間内(在庫1冊
英語。15.3x22.7cm。140ページ。白黒図18。ペーパーバック。
 菌類は、大昔から良い意味でも悪い意味でも人類にとり重要な役割を果たしてきた。本書は、パン作りや酒造り、菌食、毒きのこや菌類毒、薬や火口としての使用、植物の病原菌としての菌類、など14のテーマを設け、古代世界の人間と菌類とのかかわりを解説する。お堅い米国植物病理学会の出版物らしく、読み物であるにもかかわらず、参考文献リストは完璧。索引もある。文章が主で、図や写真が少ないので、読み通すには忍耐を要するが、菌類の民俗や菌類全般に広く興味を持っている方にお勧め。
2013年10月8日からの訪問者数
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