第3期DEEP PURPLEの幻のライブ盤の発掘「GRAZ 1975」
- 2014/09/28
- 11:51
さて、もう一枚は、第三期ディープ・パープルの発掘盤ですかね。「GRAZ 1975」です。
こちらの方が、イングヴェイと違って、へヴィー・ローテーションでしたね。第三期の海賊盤でのライブなどを聴いたことがありますが、音が悪いは、バランスが悪いは…。でもこれはいい。音もバランスもグッドです。パフォーマンスというか演奏も、「カリフォルニア・ジャム」なんかよりも、ずっと上手い。これも、「Stormbringer}リリース直後、リッチー脱退直前のライブということもあって、バンドとしての完成度が高いです。
リッチーもこの時期は、バンドにヤル気を無くしていたにも関わらず、いい加減なプレイをしていません。特に前半は、リッチー好みの曲を連発させているせいか、ギターの弾きっぷりが凄いものがあります。リッチーはいわずとしれたソロは全てアドリブの人ですが、このライブ盤では、手抜きのようなプレイがありません。第三期の正規ライブ盤「Live In Europe」と比べても遜色がありません。
前半の、「Burn」「Stormbringer」そして、何と言っても「Gypsy」があるのがいい。リッチー自身、「Stormbringer」の中で、最も気に入っているナンバーだということもあり、後のレインボーにも通じる中世風のメロディ、そして、特筆はデヴィッド=カヴァーディルとグレン=ヒューズのツイン・ボーカルが冴えまくっています。グレンはピッチが怪しい場合もありますが、とにかくテヴィッドを食いかねない、強烈なハイトーンをぶつけています。
同様のツイン・ボーカルの凄さが発揮されているのが、「Lady Double Deeler」、ファンキーなハードロックです。リッチーは、どうもファンキーなグレンが加入した影響から、バンドがファンキー路線になっていくのが、我慢ならなかったようですが、しかし、不可解なのですが、リッチーのファンキーなプレイもまた冴えているのです。これは「Stormbringer」を聴いてても思うことですが、「何で、こんなプレイをする人が、このアルバム嫌いなの」と思ってしまいます。実は脱退のきっかけとなった「Stormbringer」は、私の中ではけっこうな傑作だと思いますが…。リッチーのプレイの別な一面が分かります。
後半は、「Mistreated」で、これでもかとデヴィッドのディープ・ボイスが堪能できるブルーズが聴けます。当然、リッチーのブルースも上手い。第三期でも「Smoke On The Water」は演奏されていますね。これはこれでギランとは違った味があります。
そして、ハイライトは怒涛のようなインタープレイとアドリブの応酬となる長尺ナンバー「You Fool No One」「Space Trackin」。第二期でも「Space~」はハイライトで、激しいインプレをぶちかましていましたが、この二曲だけで、ゆうに普通のバンドのワンステージ分ありそうなくらい濃い内容です。ここではリッチーのみならず、今は亡きジョン=ロードのプレイが光りますね。特に第三期は、従来のハモンドのみならずシンセサイザーも導入していますので、そのあたりも第二期とは違ったプレイが聴けます。
ボーカルばかりに焦点がいきすぎて、あまり言われませんが、グレン=ヒューズのファンキーのベース・プレイも聴きものですよ。すごいグルーブを感じます。第二期ばかりではなく、第三期DEEP PURPLEも、すごく好きですね。