No.0208
常楽寺の思い出
先日、山梨県の上野原というところにお仕事で行ってきました。実はこの上野原、一時期度々通っていた土地なのです。
早朝から午後に掛けて撮影し、バスで駅まで戻って解散となったのですが、次の電車まで40分くらいあったので、駅前を少し散策してみました。
駅前は以前と変わっていなくて、とても懐かしく思いながら歩いてきました。
上野原駅前、食堂の廃墟?
お話は、私の創った「Laurus」という人形を、友人が妖精研究家の井村君江さんへのプレゼントとして購入して下さったことに始まります。
Laurusはダフネのお人形で、足は幹に、手は枝になりつつある少女を象ったものだったのですが、井村さんは「他にない表現だわ」と喜んで下さいました。
そのご縁で、一度ご自宅へお邪魔し、井村さんの師である日夏耿之介氏のお話や、執筆中のサロメの本について伺ったのですが、その時にやはり遊びに来られていたのが、常楽寺の吉田洋眞氏。
遊びにいらっしゃい、と言われ、奥様の真譽さんが住職をやっているという真言宗泉涌寺派 吉祥山 常楽寺を訪ねて行くことになりました。
常楽寺までは、上野原駅からバスで50分程。それも、バスが確か1日数本しかなかったと思います。
数人で訪ねて行った私たちを、夫妻はとても歓迎してくれ、きのこや山菜のお料理を炉辺で焼いてご馳走してくれました。
妖精研究家の井村さんだけでなく、妖怪研究家の水木しげる氏ともお付合いがあり、お寺までの畑道には妖怪を象った焼き物のランプが点々と置かれていました。
常楽寺は暖房も満足に無い山の中ですので、空気がぴりっとしていて、水も冷たく、気持ちが引きしまります。
朝は早くから起き、眞譽さんと一緒にお経を上げます。
洋眞氏は「虫出し」というのをしてくれました。身体や腕などを擦ると、指の先から空中に白い細い虫が出て行くのです。
そして近くにある「森の美術館」というところに案内してくれました。
洋眞氏は仏師で、以前は人形も創っていて、自作の人形が至る所に飾られていました。妖怪ランプも洋眞氏の作品です。
真譽さんは優しいタッチの仏画を描いていました。
一度お誘いを受け、東大寺二月堂参籠所での展示に参加させて頂いたこともあります。
二月堂の本尊が十一面観音ということで十一面マリア観音の立像と、聖観音の球体関節人形を展示させて頂きました。
人形は手持ちで、一人で電車を乗り継いで行き、現地で落ち合いました。東大寺の広大さには本当に圧倒されました。
お二人のお知り合いのところに泊めて頂き、地元のお店に連れていって頂いたりと、とてもお世話になりました。
東大寺二月堂
常楽寺も森の美術館も、元々民家だったのをお二人が手を入れて、色々な設備を作っていました。
仏舎利があるので裏の山に仏舎利塔を建て、八十八ヶ所巡りができるように道を作りたい、などと仰っていました。
忘れられない経験があります。
庭に、瞑想用の洞窟が作られていて、そこで瞑想させて頂いたことがあります。
地面に直接座るので、とてもひんやりするのですが、そこでしばらく座っていたところ、身体がぐるぐると自然に螺旋状に回り始めたのです。
瞑想をしていて、このような状態になったのは初めてでしたので、とても不思議でしたが、本当に地のエネルギーは螺旋状なんだ、と非常に納得できました。
真譽さんとヨガをしている私
常楽寺には皮職人やミュージシャンなど、色々な人が集まってきていて、一種のコミュニティが形成されていました。
「森の美術館」で、ライブをさせて頂いたこともあります。
「虚空粉砕」と名付けたライブには、友人である羅宇屋というバンドとミュージシャンのFUMIEさんをお誘いし、私はマリア・ガヴァメント嬢、Phaidiaの元メンバーでアメリカのゴシックバンドMephisto Walzにいたこともある、下岡也起氏(故人)とのユニットHAGIA+SOPHIAで参加しました。
ものすごく辺鄙な場所なのにも拘わらず、遠くから沢山のバンギャルを中心としたお客様にいらして頂き、感激しました。
「サァカス」というミニコミにライブレポートを書いて頂いたのですが、これがきっかけでアネモネさんが常楽寺でライブをされたりもし、嬉しいご縁を繋げました。
その後、大家さんとの契約の関係でお寺は八王子に移転することになり、そちらにも一度遊びに行ったのですが、何とはなしに足が遠のいてしまい、洋眞氏が逝去された時も知ったのが大分経ってからで、残念な思いをしました。
またいつか、真譽さんと再会する日が来ることを願わずにいられません。
駅からの夕陽
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