No.0167
人形のいる舞台
舞台用の人形制作を請け負った為もあってか、最近ちょこちょこ人形制作の依頼が入るようになりました。所属事務所の社長に話したところ、人形作家としてのマネジメントもやって頂けることになり、プロフィールページを作って頂きました。
制作のみでなくレンタルも可能ですので、ご用命がございましたら事務所までご連絡下さいませ。
私の人形作家としてのキャリアのスタートには、実は舞台用の人形制作が大きく寄与しています。
その当時、私は劇団榴華殿の耽美的世界観に魅了され、友人と共に制作のお手伝いをしていました。
榴華殿では「小林榴華」と名付けられた、私の人形の師匠である吉田良氏のお人形が看板女優?として毎回出演していました。
その榴華ちゃんが舞台で使用されるうち傷んできた為、そろそろ引退させたい。ついては、代わって舞台に出演する人形を制作して欲しい、と、主宰の川松理有氏が私に依頼してきたのです。
舞台で使用する人形の材料は、通常使用している石塑粘土という訳にはいきません。すぐに破損してしまいます。
やはりFRP樹脂を使用するしかないという結論に至り、教室では先生に相談し試行錯誤しつつ、夏休みの一ヶ月以上を実家の自室に籠もって作業しました。
工事現場で使用するような23kgもあるコンプレッサーを購入したのも、この時のことです。
塗装下地用のサーフェイサーの白が品切れだったのでグレーを購入したら皮膚が変な色になって調色に苦労したりしながら何とか納期に間に合わせた時の感動!
でももうFRPはやりたくない、と思いました。
強化用のガラス繊維は皮膚に刺さってチクチクするし空気中に舞い散るし、硬化前の樹脂はベタベタしてゴム手袋にくっつき、いくらアセトンで拭いても落ちないし、石塑粘土の粉なんて可愛いものです。
その子は私の洗礼名の聖人、マリア・テレジアのアナグラムで「手嶋玲梨」と名付け、何度か榴華殿の舞台に出演させて頂きました。
榴華殿とはその後もチラシ用に人形写真を提供したり、舞台用に他の子を貸し出したり、プロデュース公演に出演させて頂いたりといった関係が続いております。
それ以外にも、自分の主宰する演劇ユニットMONT★SUCHTの舞台で使用する人形を作ったり、お友達の永井幽蘭ちゃんのバンドVEXATIONのステージにお人形を飾らせて頂いたり。
人形を使用した舞台の可能性を追求して、人形遣い黒谷都氏や、人形作家にして自作の人形遣いである成田究星氏の舞台も観に行きました。
長野県飯田市に旅行した時は、川本喜八郎人形美術館や竹田扇之助記念国際糸操り人形館で素晴らしい操り用の人形たちや、それらが動いているところを映像で見られました。
人形を操るのは私より相方が得意なのですが、彼が操演用の人形でないと遣えないというので、糸操りや棒操りの人形を制作したこともあります。
また、私の球体関節人形を使用して、船本恵太氏や三浦モトム氏が人形アニメーションを作成して下さいました。
本来はモノである人形が動くことで、とても不思議な、独特な世界感を生み出します。
人形の魅力を、もっと多くの人に伝えることができれば、と夢見ています。
自作の操り人形セレナちゃんと。
撮影:吉成行夫
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