「鎖国」という言葉が使われたのは、我が国の蘭学者(らんがくしゃ=オランダ語を通じて学んだ学問を研究する人のこと)の一人であった志筑忠雄(しづきただお)が、1801年にドイツ人が書いた著書を和訳した際に、書名を「鎖国論」と題したことに始まります。つまり、19世紀に入ってから初めて「鎖国」という言葉が使われているのです。
この事実が意味しているのは何だと思いますか?
実は、江戸幕府が「鎖国令」という名の正式な命令を出したことは、ただの一度もないのです。私が今回の講座で「鎖国と呼ばれる状態」と繰り返し書いているのもそのためです。
そもそも、初期の幕府には「鎖国」をしているという概念は全くなかったと考えられます。なぜなら、幕府はすべての外国との貿易を禁止したわけではないからです。実際に、同じキリスト教でもプロテスタントで、我が国では布教をしないと約束したオランダや、キリスト教と関係のない中国(当時は清国=しんこく)などとは貿易を行っていました。
つまり、貿易の相手を限定したうえで、長崎の出島(でじま)など特定の場所でしか貿易を認めなかったという、いわゆる「制限貿易」をしていただけなのです。それなのに、この体制がいつの間にか「鎖国」と呼ばれてしまいました。
もし、江戸幕府に「鎖国」をするという明確な意思があったとすれば、必ず「なさねばならないこと」があります。それは 「鎖国」の状態を維持するため、すなわち「我が国の平和と安全を守るため」の様々な政策です。
いつも有難うございます。
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ヒロキ オォー!鎖国論は「志筑忠雄」デスネー!?
布教を禁止する以外には、貿易を制限することで
幕府が貿易を独占して、西国大名の富を増やすのを防いでいる!って聞いたことあります!
相模守高時 なるほど、幕府以外は貿易のうまみを認めないということですね。
それがいつのまにやら鎖国となり。。。
とすれば、尊皇攘夷で揺さぶられた徳川は悲劇です。
ぴーち こんばんは!
イエスズ会といえば、思い出すのは河童頭の
フランシスコ・ザビエルですかねw
鎖国のそもそもの発端は「島原の乱」と記憶しております。
映画の話で恐縮ですが、沢田研二が妖艶に演じた「魔界転生」をふと思い出しました。細川ガラシャとか、そこら辺も^^;
応援凸
ヒロキさんへ
黒田裕樹 > オォー!鎖国論は「志筑忠雄」デスネー!?
そのとおりです!同じ名前だけあって(?)優秀ですね(^_^)v
> 布教を禁止する以外には、貿易を制限することで
> 幕府が貿易を独占して、西国大名の富を増やすのを防いでいる!って聞いたことあります!
これもそのとおりです。当初の目的どおりだったらまだ良かったんですけどね…。
相模守高時さんへ
黒田裕樹 > なるほど、幕府以外は貿易のうまみを認めないということですね。
> それがいつのまにやら鎖国となり。。。
> とすれば、尊皇攘夷で揺さぶられた徳川は悲劇です。
仰るとおり、悲劇は悲劇なんですが、もし自らがその種をまいたとしたら…。
この講座の今後は、その視点で考えればより分かりやすいかもしれませんね。
ぴーちさんへ
黒田裕樹 > イエスズ会といえば、思い出すのは河童頭の
> フランシスコ・ザビエルですかねw
有名人ですね(^^ゞ
カタカナだけなので、試験に出すときはいわゆる「サービス問題」になりがちです(笑)。
> 鎖国のそもそもの発端は「島原の乱」と記憶しております。
鎖国と呼ばれるようになった、最後の引き金となった反乱でしたね。いつの日か紹介できればいいのですが…。
> 映画の話で恐縮ですが、沢田研二が妖艶に演じた「魔界転生」をふと思い出しました。細川ガラシャとか、そこら辺も^^;
さすが映画にお詳しいぴーちさんですね(^_^)v
応援有難うございます!
例えば、対ヨーロッパで唯一の外交窓口であるオランダからは、常に諸外国の動静に関する情報を入手し、結果として我が国が劣(おと)っている部分があれば直(ただ)ちに対応するなどの必要があるでしょう。
また、長崎のように貿易が認められている以外の港には、他の外国船が来航しないように普段から厳しく目を光らせ、そのためにも多数の武士などの兵力を港に常に置くなどの対策があってもよいはずです。
しかし、江戸幕府が実際にやったことは、諸外国からの情報を一切断ち切ってしまったことだけでした。幕府の歴代の当事者たちは「我が国は鎖国をしている。だから外国は攻めてこないし、安全だ」という根拠もない俗説を信じ切り、結果として何の対策もしなかったといっても過言ではないのです。
なぜこんなことになってしまったのでしょうか?
それは、キリスト教禁止のためのやむを得ない対応であった制限貿易が、やがては「鎖国」として定着し、幕府の創設者である徳川家康が積極的に諸外国と貿易をしようと考えていたという事実も忘れ去られて、鎖国が幕府成立以来の 「祖法」 (そほう=先祖の代から守るべきしきたりのこと)と思い込み、ついには絶対化してしまったからなのです。
つまり「鎖国」とは、なしくずし的に「そうなってしまった」のでした。そして、一度「絶対化」してしまった「祖法」は、変更しようとすれば大きな抵抗をともなうようになるのです。
いつも有難うございます。
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MAHHYA 拙ブログに、コメントありがとうございました!
黒田さんのブログ、とても勉強になります。
リンクさせていただいてもよろしいでしょうか?
さすらい こんにちは。
うーん、政策とは時として頑固さをもたらし
あらぬ方向に向かうものですねえ。
今の自民党も変な「祖法」に
固めれているんですかね(笑)
応援♪
ちゃてれ カウンター4000突破しましたね~!
おめでとうございますー☆
あの参加賞とカウンターが4000を突破したお祝いとして、
応援ポチポチポチっとー。
MAHHYAさんへ
黒田裕樹 > 拙ブログに、コメントありがとうございました!
> 黒田さんのブログ、とても勉強になります。
> リンクさせていただいてもよろしいでしょうか?
こちらこそコメント有難うございます!
お言葉、とても感謝しております。リンクの件、喜んでお受けします。
当方からもさせていただきましたので、今後とも宜しくお願いしますね。
さすらいさんへ
黒田裕樹 > こんにちは。
> うーん、政策とは時として頑固さをもたらし
> あらぬ方向に向かうものですねえ。
長い間同じ政策が続くと、それが空気のように当たり前になるんですかね。
民間ではリニューアルが当たり前だというのに、頭が固いんでしょうか…。
> 今の自民党も変な「祖法」に
> 固めれているんですかね(笑)
いわれてみればそうですね(笑)。だからといって、もう一方の政党も党首にあんな疑惑があっては…。
どっちもどっちなのでしょうか?
応援有難うございます!
ちゃてれさんへ
黒田裕樹 > カウンター4000突破しましたね~!
> おめでとうございますー☆
有難うございます!(^o^)丿
3000越えから半月しか経っていないのに、このスピードには正直ビックリするとともに、責任の重さも感じております。
> あの参加賞とカウンターが4000を突破したお祝いとして、
> 応援ポチポチポチっとー。
励みになります。ちゃてれさんもFC2ランキングで1位を続けられますよう、また応援しますね!
ぴーち こんばんは!
「祖法」という言葉を受けて
ですが、宗教もその家毎に
ずっと代々同じ宗派を受け継いで
いらっしゃるご家庭が多いですが
一度、本来の意味合いや、本当に
それを信じていて良いのだろうか・という
疑問を投げかけて、
テコ入れを一度してみるというのも
意義があるものじゃないかと思うときがあります。
ただ何となく先祖からの引き継ぎで、漠然と・・
と仰る方が多いですが、本当の意味合いも知らずに
拝んでいたりするのは、私としては疑問に感じる所ですね。
はい。また、脱線ですか?(汗
所で、4000カウントおめでございます!
これも単に黒田さんの努力の賜物ですね^^
これからも歴史の面白さを伝えて行ってください。
それと、余談ですが、今、私のブログの管理画面に
エラーが出てしまい、お返事がしづらい状態ですので、
また、明日お返事させてくださいね^^
ではでは応援凸
ぴーちさんへ
黒田裕樹 > 「祖法」という言葉を受けてですが、宗教もその家毎に
> ずっと代々同じ宗派を受け継いでいらっしゃるご家庭が多いですが
> 一度、本来の意味合いや、本当にそれを信じていて良いのだろうか・という
> 疑問を投げかけて、テコ入れを一度してみるというのも
> 意義があるものじゃないかと思うときがあります。
> ただ何となく先祖からの引き継ぎで、漠然と・・と仰る方が多いですが、
> 本当の意味合いも知らずに拝んでいたりするのは、私としては疑問に感じる所ですね。
転宗も「信教の自由」の一つですからね。仰るとおり、人それぞれの考えがあっても宜しいかと思います。特に現代では俗にいう「葬式仏教」と化していることが多いですからね。
> はい。また、脱線ですか?(汗
…冗談ですよ(^^ゞ
また「ためになる話」を宜しくお願いします。
> 所で、4000カウントおめでございます!
> これも単に黒田さんの努力の賜物ですね^^
> これからも歴史の面白さを伝えて行ってください。
有難うございます。これからも頑張ります!
> それと、余談ですが、今、私のブログの管理画面に
> エラーが出てしまい、お返事がしづらい状態ですので、
> また、明日お返事させてくださいね^^
あらら、ぴーちさんもですか。
私もさっきは調子が悪かったので、PCを再起動させました。
今は大丈夫なようですが…。FC2さんもしっかりしてもらいたいところですね。
今日も応援、有難うございます!