34. 救いとは何か/イゾルデとカカニア(第一部) - 善悪の彼岸

34. 救いとは何か/イゾルデとカカニア(第一部)

イゾルデ誕生日おめでとう。
歌姫狂愛TKを名乗るからには
オレがこの日に黙っている訳もなく。
長き旅路へ個人的に精神力ごっそり向こう側に持って行かれるのを
承知の上で、歌姫とお医者様を中心に、
6章から1.9までを振り返った上で
2人の今後の展望について書いてみたい。
※予め書いておくと、今回は文量過去最高更新な上に
 画像も過去最高に多いので、めちゃくちゃ重い筈。
 読み込みにかなり時間がかかると思われるが
 どうかご容赦頂きたい。

正直、今回はいつものように書ける自信がない。
原則的に常に客観的且つ俯瞰的な視線を以て
書く事を心掛けているのだけど、
今回は普段と同レベルでその立ち位置を
維持し続けられる自信がない。

あの2人を、そして、救いというものが隠れたテーマに
なっていると思われる6章を、
完全に冷静に取り上げるのは
自分には恐らく無理だからだ。
太陽

まず、イゾルデは『リバース1999』という作品に
登場する神秘学家の中でも最も神秘学家らしい
自分は考えている。
或る意味で、非常に象徴的なキャラだと思う。
眠り姫が見る夢は何故なら、神秘学家というものは
理性的であるよりも感性的で情緒不安定な傾向が強い
劇中で幾度となく特徴付けられているからだ。

実際、比較的最近始められたTK諸氏が
6章と7章を読んで、イゾルデについて
どういう印象を抱くのかは
或る程度の確度を持って予想出来るし、
それは、仕方のない事だと思う。

イゾルデがどうしてああなったのかについては
イゾルデのキャラエピで極めて深く
その背景が掘り下げられて描かれている為、
それを抜きにしては到底語れない。
小さな部屋※贔屓目で観てる影響は否定出来ないが
    実際、イゾルデのキャラエピはかなりの
    ボリュームに及んでいると思われる。
    自分の体感では1.1以降で新しく実装された
    キャラ達の中で、比類を絶して長いと思う。

 しかも、内容がどれも重苦しいから余計に
 そう感じられるのかもしれないけれど、
 これだけ重要な情報が溢れているのに
 新実装のキャラエピ期間限定でしか読めない
 というのは勿体なさ過ぎる。
 順次復刻されるのが決まっているというのは
 本当に有り難い。
 
 これだけ特定のキャラのみ、幼少期から
 丁寧に(或る意味で、執拗に)その軌跡をなぞって
 描かれているのは、現時点では
 イゾルデが唯一だと思われる。
 特筆すべき扱いだ。

イゾルデのキャラエピは、彼女の幼少期から
6章序盤までを描いている。
先ず、イゾルデがどういう日々を過ごして来たのかを
丁寧に追って行こう。

イゾルデの姉トリスターは僅か3歳で死亡。
死因は明確に描写されていないが、
瞳から黄金を流してその短すぎる生涯を
終えたとの描写が本当ならば、
とても普通の死に方とは思えない。
トリスターの死1トリスターの死2恐らく、トリスターの死因は
母親のエヴァンジェリンによって
降霊会で霊媒にさせられ、
それに失敗した事だと自分は読んでいる。

当時のウィーンの上流階級に於いて
降霊会が一種の社交イベントだったとする史実の有無は
確証がないけれど、何れにしても
3歳の娘を霊媒に使うというその感覚は
現代社会の一般的な感覚とは
大きく掛け離れていると言えよう。

自分がトリスターの死因は
霊媒として使われて降霊が失敗した事だと考える理由は
その異様な死に様のみならず、
霊として描かれるトリスター自身が語る
以下の台詞に基づく。
トリスターの死因1トリスターの死因2トリスターの死因3トリスターの死因4これらの台詞から、恐らく
エヴァンジェリンは降霊失敗による
愛娘の死によって「教訓を得た」のだと
トリスターが語っているのだと思われる。

実際、イゾルデが降霊会に連れ出されるのは
姉と明らかに異なり、6歳になってからだった。
イゾルデと降霊会ところが、イゾルデは良くも悪くも
理想的な霊媒体質に他ならなかった。
彼女は初めての降霊会で、参加者の1人の死を予見し、
そしてそれは現実となった。

この事を未だ幼い姿のままの姉はこう語っている。
イゾルデが見た光景1イゾルデが見た光景2イゾルデが見た光景3※ここで、金色の兎を見た筈だとトリスターが
 さりげなく語っている事を見るにつけ、
 モノローも何かしらの象徴として
 位置付けられている可能性がある。

自分はたった3歳でその後の未来を絶たれ、
目の前で愛され育てられて行く妹の姿を
只々眺める事しか出来なくなった幽霊としての
トリスターがどんな複雑な想いを妹に抱いたか
とても想像が追いつかない。
トリスターとイゾルデ1トリスターとイゾルデ23歳まで生きられた事自体が
ディッタースドルフ家に於ける娘としては
偉業とみなされると語るトリスターは
いったいどんな眼差しでイゾルデを
見ていたのだろうか。
3歳で生きている事が偉業其処には単なる祝福以外の視線が
混ざっていても何らおかしくはないのではないか。
後述するが、事実、イゾルデは
その視線にも、苦しめられる事になる。

次に、まだ幼いイゾルデを追い詰めて行くのは
実の父とその友人、カールだ。
カールの本性父親については後述するが、父親に頼まれて
所謂、家庭教師役を担うカールは
貴族としての立ち振る舞い、
将来の歌姫として期待される声楽、
上流階級の教養として要求されるであろう文学等、
幅広くイゾルデを「教育」している様が描かれている。
カールによるレッスン1カールによるレッスン2カールによるレッスン3カールによるレッスン4カールによるレッスン5その一つとして、来るべき社交界でのお披露目に備え、
晩餐会を想定したテーブルマナーのレッスンが
取り上げられている。

カールは、「終わった」と言った筈のそのレッスンを、
スープを飲む時に手を震わせていたからという
たったそれだけの理由で、
「イゾルデにスプーンで100回、スープをすくわせた」。
12歳の子供に、この状況に於いて、だ。
偏執的教育1偏執的教育2偏執的教育3偏執的教育4偏執的教育5実は、これは、イゾルデ自身の為、ではない。
カールの理想の押し付けに過ぎない。

カールはイゾルデの母であるエヴァンジェリンにこそ
視線を向けている一方で、彼女を完璧だとは考えてない。

だから、代わりにイゾルデを
自分の理想のエヴェンジェリンとして仕立てあげる
という下卑た実に下らない理想を実現させる為に、
イゾルデを「教育」している様が見て取れる。
カールの本音1カールの本音2カールの本音3

この過酷で一方的な「教育」に加え、
成仏出来ないトリスターの霊もまたイゾルデを苦しめる。
「こんな時にだけ、彼女は泣くことができた」という
15歳の少女がいったい何処に居ると言うのか。
イゾルデにまとわりつくトリスター1イゾルデにまとわりつくトリスター2イゾルデにまとわりつくトリスター3イゾルデにまとわりつくトリスター4イゾルデにまとわりつくトリスター5イゾルデにまとわりつくトリスター6母親に呼ばれているからと姉に告げて解放された
イゾルデを迎えた母エヴァンジェリンだけが、
一見優しく娘を迎えているように見える。

この時には既にエヴァンジェリンは
舞台から退いており、ペットセラピーを軸とした
安穏とした療養の日々を過ごしているかに見える。
エヴァンジェリン1エヴァンジェリン2しかし、その血に色濃く滲む狂気は
既に彼女を浸食している。
エヴァンジェリンはもうこの時点では
幾度となく、セラピーの為に用意されたペット達を
何匹も殺していると察せられる描写が見られるからだ。
やがて、イゾルデも実の母の実態を知る事になる。
噂するメイド1噂するメイド2噂するメイド3噂するメイド4ちなみに、この時点ではイゾルデはまだ
気絶も発作もないが、嘔吐を繰り返したり
眩暈を起こしたりしている状態だとも書かれている。
15歳のイゾルデこの時点でなら、まだ、
イゾルデは助かったかもしれない。
適切な理解者に恵まれ、
適切な環境で過ごせるようになっていたのなら。

しかし、イゾルデに理解者は居なかった。

15歳の少女が身を置くその環境は
見た目の華やかさでは到底救えぬ地獄だった。

2才年上の兄テオフィルは、創作活動の為に
アトリエを借りており、家には殆ど戻らない生活に
なるだろうとイゾルデに告げている。
テオフィル1テオフィル2病的なまでに「貴族とは斯くあるべし」との持論に
拘る実の父から見たテオフィルが
どのようにその目に映ったのかは想像するに容易い。
父親の期待1父親の期待2父親の期待3父1神秘学家としての才能も受け継がなかった兄と
比べられる妹にのみ、期待という名のプレッシャーが
増して行く。
父2父3受け継がれた才能

それでもイゾルデはその期待を裏切る事なく
忠実に実現し、初舞台での大成功を収める。
お陰で街路を歩きづらくなったと兄は得意げに語る。
16歳にして、音楽の都ウィーンに於ける星になるのだと。
初舞台の成功そして、此処で漸く、
余りにも遅すぎる残酷な出逢いが訪れる。
もう既に幕が上がってしまっているというのに。
余りにも遅すぎた出逢い1余りにも遅すぎた出逢い2

エヴァンジェリンにぶつけられない欲望を
彼女の娘に押し付ける腐った家庭教師。
貴族としての責務を負う事もなく奔放に生きる兄。
貴族としての在るべき姿しか頭にない父親。
既に発狂の途上に居る母親。

誰もイゾルデを見ていない。
誰一人として、イゾルデ自身を見ていない。
彼らにとって、イゾルデは器でしかなかった。

その血筋に反して「偉業」を収め続ける妹に
付き纏う姉だけが、イゾルデを見ていたかもしれないが
その視線は慈愛に満ちたものとは到底思えない。

イゾルデが、自由闊達なカカニアに惹かれたのは
当然に違いない。
自分の意思で、自分自身の夢の実現の為に生き、
階級や身分に囚われる事もなく接してくれる
カカニアのような存在は間違いなくイゾルデにとって
生まれて初めて、出会った存在だった筈だ。

2人の出逢いが患者と医者として、ではなかった事
極めて重要だと自分は考えている。

6章から入ると、どうしても2人を「患者と医者」として
見がちだが、イゾルデのキャラエピを読めば
少なくともイゾルデにとってカカニアは間違いなく
そんなペルソナ的な表現に回収されるような存在
ではない筈だ。

しかし、遅すぎた。
余りにも、遅すぎた。

イゾルデがカカニアと初めて逢ったのは
初舞台の上演後だ。

いったい、その前に何があったのかは、
エヴァンジェリンとイゾルデの美しさに発狂させられ
惨めな最期を遂げる事になる或る一組の親子の記録を
経て、明らかにされて行く。

初舞台前のリハーサルも終え、
皆からきっと成功すると言われた事を母に知らせようと
屋敷の中を探すイゾルデは、長らく封印されていた
子守歌を耳にする。
決定的破滅へ1決定的破滅へ2決定的破滅へ3決定的破滅へ4その子守歌とは、トリスターが不幸な死を遂げて以降、
葬られた歌だった。

その歌が響く両親の寝室で、イゾルデは見てしまう。
母が父を殺した現場を。
地獄1地獄2地獄3地獄4侍女2名の死体も転がるその血塗られた部屋で
エヴァンジェリンはイゾルデではなくトリスターの名を
呼びながら夫の生首を手にイゾルデを抱き締める。
エヴァンジェリンは此処でもトリスターの名前しか
呼んでいない。
地獄5地獄6地獄7地獄8トリスターに言わせれば
彼女はもう精神が崩壊してた。
 だから、死こそが真の救済だと思い込んだのね…
と評している。

実際に、エヴァンジェリンはこの後、夫に続いて
この世と別れを告げる。
彼女は屋敷の敷地内の鑑賞用の池で溺死した
トリスターは語っている。
母の死翌朝、エヴァンジェリンの遺体が発見された際には
イゾルデは気絶しており、目覚めた後、身体を痙攣
させていたという。
母の死とイゾルデ無理もない。
真っ当な精神状態ではとても受け止められまい。
その日から、エヴァンジェリンにまとわりついていた
病状が全てイゾルデに「移った」という。
イゾルデに移る呪い

━━━━が、
此処で、実に注意深くもいやらしく、トリスターが
語っている事を逃す事は決して出来ない。
自分は絶対に見逃さない。
イゾルデと母の死1イゾルデと母の死2イゾルデと母の死3
これが何を意味するのかは語られていない。
当時の警察機関のみならず、カカニアでさえ
この事は知らない筈だ。

そして、イゾルデは
エヴァンジェリンが亡くなってから
「その半月後に初舞台を迎えた」。
劇作家の告白1劇作家の告白2

つまり、イゾルデがカカニアと初めて逢ったのは
この一連の出来事の後だという事だ。

だから━━━━遅すぎる。
余りにも、遅すぎるのだ。

既にこの時点で、イゾルデを「救う」のは
極めて困難な状態にあると思われる。

特に悲惨なのは、イゾルデは自分の意思と関係なく
貴族としての立ち振る舞いを散々仕込まされている分、
表面的なコミュニケーションだけなら
問題なく出来ているように外部からは見えてしまう点だ。
その深層に余程立ち入らない限り、
真相は決して分からないだろう。

そして、次の死者が明らかになる。
イゾルデの兄、テオフィルだ。
その死の経緯は此処では一々触れない。
当然に、この時点でのカカニアは真相を知らない。
テオフィル死亡後1テオフィル死亡後2テオフィル死亡後3テオフィル死亡後4兄の死を経て、シュワルツの電気ショック療法を
試す事にしたと話すイゾルデを前に、カカニアが
純粋に心配している姿が描かれる。
電気椅子へ1電気椅子へ2電気椅子へ3電気椅子へ4電気椅子へ5そんなカカニアの気遣いに微笑むイゾルデは
最後に彼女に乞う。
シュワルツの電気椅子が効かなかったら、
「貴女が私を治療して下さる?」と。
イゾルデの申し出

此処で当然の疑問が浮かぶ。

何故、イゾルデはこれまでカカニアの治療を
受けなかったのだろうか。

単純に考えるなら、シュワルツ等よりも
先にカカニアの治療を受ける方が自然な流れの筈だ。
そちらの方が安心するに違いないのに。

カカニアの職業を知らなかったから?
否。
あのカカニアが自分の仕事について
黙ったままで居るとは全く思えない。

カカニアの治療技術や効果を信じていないから?
否。
既に、2人の十分な親密さ・心理的距離間の近さを
象徴するような描写がある。
信じられるというのなら、シュワルツ等よりも
カカニアによる治療の方が余程信じられるに違いない。
カカニアとイゾルデの親密性それでも、このシーンに至るまで
イゾルデがカカニアの治療を
受けていた様子は見られない。
何故か。

それは、きっと、イゾルデにとっては
「患者と医者」という関係ではなく、
「イゾルデとカカニア」という固有名でこそ語られる
関係でありたかったからではないか。

だから、カカニアによる治療を受けなかったのでは
ないだろうか。

※徹底的に客観的に、俯瞰的な視線で観るのなら、
 イゾルデがテオフィルの死の真実を
 隠そうとしていたから、知られたくなかったからだ
 という可能性は捨てきれない。
 いつもの自分なら当然にその可能性も追求して
 考えるが、正直、そうは考えたくない。

イゾルデはカカニアに奇妙な質問をしている。
「先程、私の家に居た時、ドアを見たかしら?」と。
ドア当然、困惑して戸惑う彼女を見て、
イゾルデは「何でもない」とその話を断ち切るが、
舞台は暗転し、彼女の最後の長い独白が始まる。
読んでいるだけで気が狂いそうになる。

13歳を迎えたばかりで、
その身に全ての浮遊霊を招き入れ、
「これで休める」
「やっと、休めるわ」
と語った少女を助けてくれる者は
誰一人として居なかったのだから。
生まれたドア1生まれたドア2生まれたドア3生まれたドア4生まれたドア5生まれたドア6生まれたドア7生まれたドア8生まれたドア9

イゾルデの独白は、この一節から始まる。
ドアが象徴するもの1ドアが象徴するもの2ドアが象徴するもの3ドアが象徴するもの4此処で言われている数々のドアとは、明らかに
幼少期から延々と彼女自身を抑圧させて来たものの
象徴として捉えられる。

つまり、ドアと言っておきながら、
外側からは開けられるが、内側からは開けられない。
それは、単なる入口であって決して出口にはならない。
勝手に流れ込んで来てはその小さな部屋=イゾルデを
埋め尽くし、圧迫し、苛むものでしかない。

だから、イゾルデは「器」なのだ。

これは、彼女の特異体質として描かれている
霊媒能力としての意味もあるが、それだけではない。

直喩として、文字通り霊が受肉する為の器であるように
隠喩として、周囲の者の期待や理想、都合を
捻じ入れられる器でもあるのだ。

イゾルデを語る上で最重要なポイントなので繰り返す。
イゾルデは、「入口はあっても出口のない部屋」だった。

イゾルデ自身の価値は認められず
誰にも気にも留められず、
イゾルデに流し込まれるものによって初めて
彼女は価値あるものとされる「器」として生きる事を
強いられて来た。

では、イゾルデ自身は、どうなるのだろうか。
彼女の本当の「こころ」は何処に在るのだろうか。

「本当の自分を世に晒してしまったら死んでしまう」、
だから「本当の自分を隠す」ようにと、
ディッタースドルフの娘はそうしなければ
生きていけないと、そういう呪いなのだと
4歳の娘に教え込む母親。
母の狂気1母の狂気24歳に理解できる話ではない当然に理解が出来ずに、どういう意味なのか、
どうした良いのかと幼きイゾルデは問うた。

人々が欲するものを、演じればよいのだと応じる母親。
喩えイゾルデが歩む道が廃墟であろうとも。
母の答え1母の答え2

偏執的に己の理想を押し付けて来る家庭教師。
それは、イゾルデにとって嫌悪と悪夢でしかなかった。
悪夢1悪夢2悪夢3

呪われた家から飛び出し自由奔放に生きる兄。
それは、イゾルデにとって助けとなるものではなかった。
助けにならない兄1助けにならない兄2

やかましい交友関係の一角。
それは、イゾルデにとってカカニアとの出逢いを
生んだものでしかなかった。
そもそも友情などなかったのでは1そもそも友情などなかったのでは2

エヴァンジェリンとイゾルデの美しさに
発狂させられた親子。
それは、イゾルデにとって直接的な関わり合いを
持たない、単なる路傍の石に過ぎなかった。
路傍の石1路傍の石2

遂に限界を迎えた母が父も侍女も殺めた現場を目撃し、
その母も死に、兄とも別れを告げた16歳の少女は
いったいどうして、どうやって、正気を保っていたのか。
途絶え逝く血筋1途絶え逝く血筋2途絶え逝く血筋3
途絶え逝く血筋4

テオフィルの葬儀後、文字通り、
最後のディッタースドルフとなったイゾルデは、
母の慰めとされて来た二匹の兎に餌を与える。
━━━━ヒ素が混ぜられた餌を。
兎の死1兎の死2兎の死3兎の死4そして、カカニアとの「治療」の約束を思い出して
彼女の診療室へと向かう。
カカニアという存在1カカニアという存在2イゾルデはその診療室のドアをカカニアが開くを
見ながら、漸く自覚する。
イゾルデにとって、
カカニアだけはドアではなかったと。
カカニアは、鍵なのだ、と。
初めて見つけた鍵1初めて見つけた鍵2初めて見つけた鍵3初めて見つけた鍵4

キャラエピ自体は此処で閉幕する訳だが、
このラストシーンは、6章に於ける診察室のシーンへと
繋がって行く。
勿論、その後は言わずもがな、だ。

此処まで書くだけでも、
物凄く精神力を向こう側へ持って行かれる。
文量も、過去最長だったパウリナとJについての記事と
もうこの時点で既にほぼ同等だ。

つまり、この後、6章~1.9に於ける2人について
丁寧に追って、更に、この2人の今後の展望まで書くと
過去最長の軽く3倍以上になると見込まれる。
もう、愛が重くて。
重くて。

自分はイゾルデとカカニアに全く希望がないとは
考えていない。勿論、最愛が故に、希望的観測が
多分に含まれている事を否定するつもりもない。
最後は殆ど願望のような文章になるかもしれないけれど
カカニアがウィーンで最後まで諦めなかったように
自分も諦める気は毛頭ない。

6章で隠れて問われていたであろう
「救い」というテーマと共に、
イゾルデとカカニアについてまた改めて取り上げる。

これだけの背景を背負った所から始まり、
6章を経て1.9でああなったイゾルデは
救われるのだろうか。

イゾルデが殺した者は当然に生き返らない。
しかも、それは3人だけではないのかもしれない。

今回は意図的に取り上げなかったが、
イゾルデやカカニアと救いについて考える際には
この点にも真正面から向き合わなければならない。

イゾルデが正気を取り戻せばハッピーハッピーだと
思ったら大間違いだと自分は考えているからだ。
「器」ではなく、
イゾルデ自身と向かい合うとは、
そういう事だと思う。

イゾルデとカカニアと救いについては
「神がいなければ、全てが許される」と云う
有名な台詞で知られる小説『カラマーゾフの兄弟』を
絡めつつ、取り上げたい。
幼児虐待、尊属殺人、赦しについて描くその作品は
彼女達の未来を考えるにあたって
恰好の参考書となる。
いつになるのかは明記出来ないが、必ず書く。

いつか、どうか、
何よりも先ずは彼女達が生きて、
本当の意味での平穏と幸福を手にせん事を。
太陽

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Verax

Author:Verax
イゾルデ狂愛TK
電気ショック椅子になりたい人生だった

リバースはリセマラの都合上、
リリース翌日からプレイ開始
たてがみは最高867万、
3戦合計2,105万超(24年12月時点)

もしもリバースの世界に住んでたなら?
⇒多分、ローレンツ所属

もしも神秘術を使えるなら?
⇒言霊(言語の有象化)系術者希望