先日、出入りの鮪仲買の番頭さんからマグロ解体ショーのお手伝いを依頼されまして、行って来ました!
54キロの本鮪。と言っても蓄養ですが。
説明しながらマグロを捌く、番頭の木村さん。
お手の物です。
このあと、ボクが約40人前のお刺身を切っていきました。
この蓄養マグロ。天然物ではありません。完全養殖ではなく小鮪を生簀の中で泳がせて餌をやり太らせて出荷します。
本来なら大海原を泳ぐマグロが小さな生簀で餌をもらって生活したらどうなるでしょう?
そうです。メタボのマグロになります(笑)要するに全身が脂ののったトロになります。
そりゃ、いいじゃないですか!と思うかもしれませんがね、美味く無いんですよ。
はっきり言って養殖独特の脂臭がするんです。ほとんど天然物しか扱わない楽山では普段手にしない脂の質なんです。
もう、ギトギト。この日もまな板、包丁、タオルなんてこの養殖独特の脂ですごいことになってしまいました。
それでも振舞ったお客様は美味しい、美味しいと食べてみえましたが。
おそらく、現在流通している鮪のトロのほとんどはこの養殖。天然物の本鮪は市場の1割から2割あるかないかでしょう。
番頭さんも言います。もっともっと天然物の美味しさを伝えたい。養殖臭のする蓄養マグロは扱いたくないと。でも、世の中のニーズは蓄養マグロ。実は安定した利益をもたらすのも蓄養マグロなんだそうです。
それでも天然物を売りたいと思うのは天然物の素晴らしさ、美味しさが別格だからです。
彼は勉強熱心であちこちの漁港を訪ねてマグロ漁師のみなさんと親交を持ち情報を常に把握しています。ボクも一緒に大間や富山に行ったりしたんですよ。
楽山も同じ想いです。
天然物の美味い魚を食べてもらいたい。たとえ利益が少なくても。
底引き網、蓄養のための乱獲で本鮪は危機に陥っています。
いつまでも美味い鮪をお出ししたいし食べたいものです。
脂にまみれてそんなことを考えてた夜の日でした。