両親の反対を押し切ってこの都会に出てきて数年が経った。
僕は未だに自分がどの道を歩けばいいのか模索している。
仕事を終え、コンビニで缶ビールを買い、物思いに耽る。
ふと、01年のNHKマイルC、クロフネのことを思い出した。
デビューから2戦目で勝ち上がり
3戦目のエリカ賞をレコード勝ちする。
その後、毎日杯で5馬身離して勝利。
このレースでは断然の1番人気。
単勝1.2倍の支持を集めていた。
それでも僕はこの馬を好きになれなかった。
この年からダービーへの外国産馬の出走が認められたからだ。
クロフネは外国産馬だ。
その圧倒的なポテンシャルが
日本競馬の歴史を変えるのを見たくなかったのかも知れない。
やや、ばらついたスタートが切られた。
クロフネは中団から後ろを追走していた。
逃げるのはグラスエイコウオー。
最終コーナーから直線に入る。
まだクロフネは来ない。
「クロフネは沈んだ」と思った。
次の瞬間、芦毛の馬体が馬群の中から抜け出してくる。
ゴール前直前、グラスエイコウオーを1/2馬身退けていた。
その後、クロフネはダービーを5着と敗れるが
秋にダートへと矛先を変え武蔵野Sを9馬身差で圧勝。
続く、ジャパンカップダートも世界レコードで快勝する。
僕はクロフネを敬愛の目で見るようになった。
芝からダートへ。
人間の指示に従いただひたすらに走ったクロフネ。
「適正」
の意味を覆す、彼の走りだったのだと思う。
果たして人間の適正とはいったい何で判断するのだろう。
缶ビールを飲み干し、僕は夜空を見上げた。
G1 NHKマイルカップ
5月8日(日) 東京競馬場 芝1600m
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