ききわけのいい猫
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レオ 最後の3週間(7)

8月27日(金)

朝、病院へ電話し、先生に状態を話した。
小康状態で大きく改善はないけれど、排泄はしていること、水は飲んでいること、
ただ食事をまったく摂らないことが心配であること。
水分はたくさん摂る方がいいので、今日も輸液をしましょうということになった。

「さあ、先生のところに行こうね」と言ってキャリーバッグの中に入れ、
徒歩5分ほどの病院へ。

診察台の上にカバンを置き、そのまま輸液をしてもらった。
身体を右側に曲げる姿勢が多いことから、やはり左の脳に何か問題があるのだろう、
とのことだった。ただ、眼球の斜視は見られないし、家でもその様子は観察できない
ことから、少しは収まってきているかもしれない、とのことだった。

「この仔は、今、頭が痛いんでしょうか?」と訊くと、「うーん、どうなんでしょう、
人間の場合は眼がグルグル回っている状態なら気分が悪くて、そのせいで
食欲がないのかも」とのこと。まあ、痛みというのは本人にしかわからないものだ。

食べないことで栄養補給されないことが心配だと言うと、これはどうでしょう、と
ロイヤルカナンの試供品をくれた。老齢で体調を崩した猫向きのドライフードで、
そういう猫たちが割と好んで食べるドライフードとのことだった。

前回もらった電解質サポートの粉末を解いた水は長置きできないので、
シリンジで与えるといいかも、ということで10mlと2.5mlの2本をもらった。

家に帰ると、すぐに自分からトイレに向かおうとしたので、補助をしながら
中に入れてやると、すぐにおしっこをした。ちゃんとおしっこの臭いもした。

午後は比較的普通の様子で、玄関先のタイルの上で過ごした。
1時間ごとに様子を見に行き、身体を撫でてやる。

そう言えば、身体の毛づくろいをしなくなった(できなくなった)な、というのに
気が付いたので、ブラシで毎回全身を梳いてやった。
気持ちいいようで、ゴロゴロと言っている。

辛い状態にあるこの仔が少しでも楽に過ごせることができるように、
とにかくよく様子を見て、何ができるかをとにかく考えて過ごした。
私にできるのは、それしかなかった。



レオ 最後の3週間(6)

8月24~26日

初めて輸液をした日の夜9時頃、そろそろおしっこがしたいんじゃないかなと思い、
抱き上げてトイレに連れていくと、中ですぐにおしっこをした。
匂いも普通のおしっこの匂いだった。ちゃんと腎臓は機能しているようで、安心した。

翌日24日の朝、レオは相変わらず玄関口にいた。身体を壁にもたれ掛けさせて、
ドアの方に顔を向けていた。
「ちゃんと眠れたかい?」と撫でながら、朝のご挨拶。

玄関口から動かないので、その前の廊下に水とシーバを置いておいたが、
口を付けた様子がないので、水の器を口元に持っていってやると、ゴクゴクと飲んだ。
そうか、水は飲みたいんだな、ということがわかった。
でも、シーバは食べようとしない。

すると、部屋の方を見て、どこかへ行きたそうなそぶりを見せたので、
トイレかもと思いつれていくと、おしっこをした。

1時間おきに様子と見に行き、話しかけながらしばらく撫でてやる。
その都度、水はよく飲んでくれた。

日曜日の夜のひどい様子に比べると、随分落ち着いたように見える。
瞳孔は変わらず大きく開いたままだったけど、その大きさは少し小さくなっている。
顔つきも普通の感じで、意識もしっかりとしていて、後ろ脚を触るといつものように
嫌がる感じで手を蹴ってくる。輸液をしたことがそれなりによかったように思えた。

夜、また部屋の中を気にする様子を見せたので、トイレに連れていくと、
小さな欠片くらいの大きさながらウンチをした。それが嬉しかった。
排泄の方は問題なく出来ている。いいことだった。

続く25日、26日も似たような感じで過ごした。ウンチはしなかったが、水はよく飲んで、
おしっこも1日1回した。もちろん、この回数は少ないけれど、普段より身体が水分を多く
吸収しているだろうから、こんなものなのかもしれない。

レオは自分の身に起きた異変に戸惑っているだろう。だから、頻繁にレオの傍に行って、
ある時は座って、ある時は横になって、身体を撫でながらたくさん話かけた。
「大丈夫だよ。傍にいるよ。」
そう言いながら。


レオ 最後の3週間(5)

8月23日(月)

朝、かかりつけの病院へ電話して、新たに始まった症状をできるだけ具体的に話した。
話を一通り聞いた先生の所見も、やはり脳のどこかに何らかの問題が生じたのだろう、という
ものだった。昨日、水も食事も口にしなかったので、まずは輸液をしようということになり、
病院へ連れて行った。

先生がレオを顔をじっと見た後、レオの両目の眼球が右側に(向かって左側)へ揺れて、
その後、ゆっくりと真ん中に戻っていますね、と言った。
私もレオの両目を見ると、昨日は気が付かなかったけど、言われてみれば確かにそう見える。

おそらく、右側への斜視があるということは、脳の左側のどこか、若しくは運動機能を司るどこかに
何らかの問題が生じているのだろう、とのことだった。
小さな血栓ができたのか、若しくは炎症を起こして小さく出血しているのか、あるいは腫瘍があるのか。
確定診断するにはMRIで中を見るしかないけれど、ここではできないから、提携している
2次診断専門の高度医療センターに紹介状を持っていって診てもらうか、それとも、違う方向としては
このまま緩和ケアをしながら対処療法をするか。

でも、MRIで見るには全身麻酔のリスクがあるし、長時間の移動は強いストレスになるし、
犬と違って、猫の小さな身体では原因がはっきりとはわからない場合も多くて、
正直、あまり勧められない。

どうするかは、飼い主のリアノンさんが決めるしかないけど、とのことだった。

私は自分自身が万が一の状態になった場合、延命処置はしてもらわないことに決めている。
それが私の死生観だった。
だから、強硬治療ではなく、このまま緩和策をとりながら様子をみることにした。

この日は輸液をしてもらった。大きく太い注射器が3本、細い注射器が1本、少量の栄養素が
入った電解質サポート液が1本。

電話で話を聞いた時は血栓かなと思ったけど、猫の血栓の場合は大抵後ろ脚の付け根の
太い動脈のところに移動することが多くて、その場合はひどい激痛がおきて、猫が大泣きする。
でも、レオちゃんの場合は痛がらないから、血栓ではなさそうね、と先生は話した。

頭の中の運動野に炎症が起きた場合、最初は腫れて薄く出血したりするけど、輸液をして
水分が脳に届けば、固まった血液も水に溶けて流れて行く場合もあるから、そうなってくれると
いいんだけど、という話をあった。

昨日か一昨日か、その前か、痙攣の発作はなかった?と聞かれたけど、何かなかったです、
と答えた。私が夜眠っている間のことはわからないけど、少なくとも日中は何もなかった。
脳の場合は何か発作が見られるものなんだけど、見た目では気が付かないような形で
あったのかもしれませんね、とのことだった。

輸液が終わり、2種類のシリンジと電解質サポートの粉末(ポカリスェットの粉末、みたいなもの)
を渡されて、これを水に溶かしてシリンジで飲ませてあげるといいですよ、と言われた。
治療費は、5,359円。

この日の治療はこれで終わり、何とも言えない悲しい気持ちで帰宅した。
さあ、お家に着いたよ、大変だったねえ、と言いながらレオをキャリーから出してやり、
マットの上においてやると、這うようにして玄関口まで行き、壁際にもたれかかって、
じっとしている。ここは静かで、大理石貼りだから冷たくて気持ちいいんだろう。

1時間置きくらいにレオの様子を見に行き、身体をしばらく撫でて、という感じで過ごした。



レオ 最後の3週間(4)

8月22日(日)。

レオはあまり動けなくなった。四肢が麻痺しているようで、立ち上がれなくなった。
家の中ではおそらく一番静かで風通しのいい廊下の、玄関マットの上に横たわっている。
身体自体は動くので、時々身体の向きを変えたりはしている。

そんな感じなので、廊下に水の入った器と大好きなシーバを置いてやった。

午後、傍を通ると、水をごくごくと凄い勢いで飲んでいた。
そんな勢いで飲んで大丈夫かな、と思ってちょっと目を離した隙に、ゴホッと音がして、
見に行くと、案の定吐いていて、辺りは水浸し。レオはその上に力なく横たわっていて
身体が水浸しだった。

大丈夫だよ、と声を掛けながら抱き上げて、タオルで吹いてやった。

その後はずっとマットの上に横たわって、上半身は起こしたまま、過ごした。
昼間なのに瞳孔の絞りが効かず、大きく開いたままになっている。

話し掛けながらずっと身体を撫でてやるが、わかっているのかわかっていないのか、
反応があまりない。起きてはいるけれど、魂がどこかへ抜けていってしまったかのようだ。

今日はかかりつけの病院が休診日。別の病院は院内クラスターが発生して、病院自体が閉鎖している。
明日までこのまま様子を見るしかなかった。

四肢の麻痺、瞳孔拡散という様子から、これはどう考えても脳に何か問題があるに違いない。
直感的に、慌てても仕方ないのだろうということが、認めたくはないけれど、わかった。


レオ 最後の3週間(3)

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8月20日(金)の夜、レオが好きなダンボール・ハウスの中で、ドスン、という音がした。
何だろう、と思って中を見ると、レオが尻もちをついたような恰好で、腰を下ろしていた。
「なんだ、滑ったの?大丈夫?」と訊くと、キョトンとした表情をしていた。

8月21日(土)の3:00AM頃、トイレで目が醒めて廊下に出ると、レオが腹ばいになって、
四肢を前後に伸ばして、地べたに伏せていた。
暑いからお腹を冷やしているのかな、と思いながら用を足して、再度眠った。

朝飽きて寝室を出ると、レオが同じ格好で廊下に腹ばいになっていた。
まだここにいるのか、珍しいな、と思いながらコーヒー・メーカーのスイッチを入れた。

しばらくして、レオの様子がおかしいことに気が付いた。
うまく歩けないのだ。後ろ脚がしっかりと立たず、少し歩いては倒れ、を繰り返している。

慌てて傍に行って、どこか怪我をしたのかと思ってあちこちを見てみたが、
そういう感じではないようだった。

その後、ゆっくりとだが普通に歩くようになったので、どうしたんだろう、と思いながら
この日は様子を見ることにした。





レオ 最後の3週間(2)

8月16日(月)のお昼頃、レオのおしっこに薄く血が混ざっているのに気が付いた。
何度か続けてトイレに入って、砂を搔いている音が聴こえて、気が付いた。
昨年の4月以来、ずっと在宅勤務になっているので、そのおかげで早く気付くことができたのだ。

2年前の冬、レオは初めて急性膀胱炎になった。かなり濃い血が混ざっていた。
その頃、私は物凄く忙しくて、毎日帰りが遅く、家でも仕事をして、朝も早く家を出る、という
生活だった。あまりレオをかまってやる時間がなく、おそらく、それがストレスだったのだと思う。
去勢手術以来の11年振りに病院へ連れて行き、抗生物質と消炎剤の注射をしてもらった。

診察の中で、食が細くなり、少し痩せて、水もよく飲むようになったことを話したら、
腎不全の兆候かもしれないので、色々検査しましょうということになり、総合検査をしてもらった。
結果はどこにも悪い数値はなく、逆に獣医から驚かれてしまった。
それを聞いて、私はとても嬉しく、そして鼻が高かった。

そういう経験があったので、すぐに膀胱炎だと思い、病院に連れて行った。
前回同様、抗生物質と消炎剤の注射をしてもらい、大変だったねえ、と話し掛けながら帰宅した。
そして、翌々日くらいには血が混じることはなくなった。

ああ、よかったな、と心の底からそう思った。

レオが注射をした翌日、私はコロナ・ワクチンの第1回目の接種を受けた。
帰宅して、レオを撫でながら「2人とも注射だったねえ、やだねえ」なんて話をした。


レオ 最後の3週間(1)

ブログを休止していた6年間、レオはそれまでとなんら変わることなく、穏やかに暮らした。

10歳を過ぎた頃から幾分食が細くなり、水もよく飲むようになって、加齢を意識するようになった。

12歳になった頃から、キッチンのシンクや食卓へジャンプして乗れなくなった。
脚の筋力が低下しているのは明らかだった。
だから、時々、抱き上げてその上に乗せてやった。
そうすると、嬉しそうに匂いを嗅いだりして、パトロールをしていた。

猫だって、年を取る。それに合わせて、生活スタイルも当然変化していく。
そういうレオの若い頃との違いを注意深く見守りながら、
この仔が気持ち良く生活できるように気を付けた。

そして、そういう変化を自分なりに受け入れ、一緒に暮らせることに感謝しながら、
レオと共に暮らしていた。

私はそれで十分幸せだったし、それ以上、何も望まなかった。



ありがとう、レオ

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2021年9月11日(土) 19:50 自宅にて  レオは永眠しました。 13歳と1ヵ月でした。

ありがとう、レオ。 ずっと、愛してるよ。



皆さま、申し訳ありません・・・・

ご無沙汰しております。 リアノン&レオです。

たくさんのコメントを頂戴しているにもかかわらず、何の返信もできておらず、
本当に申し訳ありません。

11月ごろから仕事がかなり忙しく、休日出勤も多く、ブログを書く気持ちの余裕が持てない
日々が続いております。 たまの休みも、ぐったりとのびております。 (PCなんて見たくもない・・・)

私の勤務する会社は、とある大企業コングロマリットで(名前を出せば世間で知らない人はいない)、
たくさんのグループ会社を抱えているのですが、4月からその一部で事業再編があり、
その準備を半年かけてやっています。 私はその中で失敗できない、とあるプロジェクトの責任者に
なっており、適度なストレスとそこそこのプレッシャーにゴリゴリと押さえつけられながら、
真面目に仕事にいそしんでいるところです。

まあ、そんなわけで、ブログの更新をさぼっております。 
言い訳にならない言い訳ですね、これは・・・・

レオは何も変わらず、チョー元気です。 
食欲旺盛、甘え度MAX、ますますかわいい日々です。

私も、元気でやっております。
先月、生まれて初めてA型インフルエンザにかかって5日間寝込んだりした以外は、
日々の生活は特に何も問題なく流れております。

そんな訳で、4月になって落ち着くまではブログのほうはちょっとお休みします。
がんばってレオのご飯代を稼がねばなりません。 男一匹、ここは踏ん張りどころです。

しばらくの不義理をお許し下さい。 
ホントはレオの写真も載せたいところですが、写真とるのもサボってます・・・・

リアノンより


大きなギャップ

休日の昼下がり、我が家は静かで、暖かい。 昼寝するには絶好の場所。


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平日の夜、仕事が終わり、疲れてぼんやりとした頭でケータイを眺めると、
酷いニュースが毎日のように眼に飛び込んでくる。


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ペット用の犬が業者に何十匹、何百匹も殺され、
猫は名もない男に虐待されて殺される。

若い親は自分の子供に食事も与えず虐待して殺し、
老女は遺産目当てに結婚を繰り返しながら夫を殺し続ける。

世の中は狂っているように思えてくる。


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でも、この家の中は静かで平和だ。 
レオはここにいる限り、ちゃんと守られているし、これからも守られ続けていくだろう。


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プロフィール

リアノン

Author:リアノン
独身男の一人暮らし。

猫と暮らしたくて、一人で寂しい思いをしている子を、と思い里親募集に申し込んだら、一方的に断られた。

一人暮らしの男に猫と暮らす資格はあるのか? 

これが、このブログのテーマです。

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