2009/10/17(土)
287 :1:2009/10/05(月) 20:55:14.37 ID:IsnQjFo50
その2です。
その2です。
287 :1:2009/10/05(月) 20:55:14.37 ID:IsnQjFo50
翌朝も携帯を開くと案の定、差出人不明のメールが来ていた。
残り2日か…
朝比奈さん(大)のあのリアクションを見る限り。俺達はどうやら、このメールを楽観視しすぎていたらしい。今頃になって俺は若干焦りを覚え、背中に嫌な汗を感じる。
一体送り主は誰なんだ…
そうこう考えている内に俺達は、昨日の廃工場まで来ていた。
どうやらハルヒは本気で今作に出演する気なようで。ドラキュラの衣装に身を包んでいる。こんにちはあららぎくん
「さぁ!最終日なんだからバシバシいくわよ!」
日曜の朝ぐらい寝ていたかったぞハルヒ。
そう心の中でだけ悪態をつきながらも、撮影自体は順調に進んでいった。
291 :1:2009/10/05(月) 21:01:49.76 ID:IsnQjFo50
「はいカットぉぉ!」
工場にハルヒの絶叫が響きわたり。古泉と長門の出番の終わりを告げる。
ちょうど昼もすぐなので俺はハルヒに昼食の調達を申し出た。
「う~んまぁいいでしょ。有希と古泉くんよろしくね!」
次は初のハルヒ出演シーンだ。
どうやらハルヒは撮影が待ちきれないらしく、長門らにそれだけ言うと。
「さぁキョン!我らが団長の初演技よ!バッチリしっかり納めないと死刑だからね!」
指先でクルクルとオモチャの銃を回して俺にそう叫ぶ。
289 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 20:56:34.54 ID:5qhqrmfW0
アドレスないんぢゃなかたっけ?
292 :1:2009/10/05(月) 21:05:26.99 ID:IsnQjFo50
>>289
アドレス自体はあります。誰のか不明なだけで
皆から注文を受けた古泉は。それじゃあ行ってきますと長門を引き連れ工場をあとにした。去り際長門が一度振り返り、名残惜しそうな目でこちらを見つめて行ったが。そんなに撮影が楽しかったか、長門。
「それじゃあ、ちゃっちゃと撮影に入るわよ!みくるちゃん!」
「は…はい!えと、…えと。次のシーンは…」
昨日の夜、一瞬でアドレスを覚えた朝比奈さんとは違い。朝比奈さん(小)は人差し指を下唇に付け、昨日ハルヒから説明された事を必死で思いだそうとウンウン唸っている。でもそんな朝比奈さんの方が似合ってると俺は思いますよ。
293 :1:2009/10/05(月) 21:10:27.79 ID:IsnQjFo50
えーと、確か次のシーンは。
長門有希を操っていた黒幕ハルヒ涼宮が。長門との激闘を終えた朝比奈ミクルの背後から銃でいきなり不意打ち。という、なんともハルヒらしい登場だったな。
「じゃあ、みくるちゃん。あなたは、激闘直後の感じでハァハァしながら私に背を向けて、そこに立って。んでキョン、アンタは私達二人を真横から撮るのよ!ふふ、観客どものミクルーうしろー!って声が今にも聞こえてきそうだわ!!」
ハルヒー精神科!精神科!
そんな訳で、ファインダー越しに二人を覗きみる。
お…おぉ
295 :1:2009/10/05(月) 21:14:50.55 ID:IsnQjFo50
冬の乾いた空気を通過した太陽光が、崩れ落ちた天井の隙間からハルヒと朝比奈さんの背中を照らす。
埃がいい具合に舞ってることもあり、ファインダー越しに見るその光景はなかなか幻想的であった。
しかし…
しかし…なんだこの胸騒ぎは…
なぜか…なぜだかは分からないが、俺はその画に物凄い不気味かつ不安な感情を感じた
予定では、俺のスタートの合図とともハルヒが朝比奈さんに向けて引き金を引く。もちろん、ただの爆竹だが
297 :1:2009/10/05(月) 21:19:44.04 ID:IsnQjFo50
一抹の不安を覚えながらも。クライマックスにもってこいの瞬間を逃す訳にはいくまいと俺は、ハルヒに準備OKの合図をだす。後は「スタート」と叫ぶだけだ。
「よし!それじゃあ、ス!……うん?」
突然マナーモードにしていた携帯がポケットの中で暴れ回る
カウントダウンメールは深夜来るから違うな…日曜のこの時間に送ってくるってのは谷口か国木田だな
そう思いポケットから携帯を…
「ちょっとキョン!!なにチンタラしてんのよ!とっとといくわよ!」
怒られちまったじゃねーか、谷口および国木田よ
「わかったわかった」
298 :1:2009/10/05(月) 21:21:31.56 ID:IsnQjFo50
ポケットに入れかけた右手をカメラのボタンに再びかける
「よし!次こそいくぞ!よーーーい」
「スタート」
301 :1:2009/10/05(月) 21:24:52.65 ID:IsnQjFo50
パン!
やけにあっけない破裂音が鼓膜に響く
二秒ほどの静寂
「…え?」
呟いたのは俺じゃない。多分ハルヒだ
気がつくと俺は三脚を蹴り倒し走っていた
朝比奈さんの元へ
「朝比奈さん!!!!」
303 :1:2009/10/05(月) 21:28:14.86 ID:IsnQjFo50
倒れた
朝比奈さんが倒れたのだ。演技でもなんでもない。
天井からの後光に包まれたハルヒの右腕がゆっくりと上がり、引き金に指を掛ける
朝比奈さんの背に狙いを定め…………引き金を
《引いた》
ハルヒが引き金を引いた
その瞬間だった
何かが朝比奈さんの体を通り抜け。言葉にならない悲鳴をあげた朝比奈さんは、バネのように体がのけぞり。
そのまま前方に倒れてしまった。
304 :1:2009/10/05(月) 21:29:26.14 ID:IsnQjFo50
俺はフラッシュバックした映像を脳裏に感じながら朝比奈さんを抱き起こす
「朝比奈さん!朝比奈さん!!」
「な、な、なんで…だ、だって…オモチャでしょ…コ…レ」
「ハルヒ!いいからすぐ古泉に連絡しろ!!」
「だって…」
ハルヒは目の前に広がる血の海を茫然と眺めるだけだった
「クソ!一体どうなってんだ!朝比奈さん!返事をして下さい!朝比奈さん!」
「キ…キョ…ンくん」
「!」
良かった!意識がある!
305 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 21:31:00.79 ID:5qhqrmfW0
oh.....
308 :1:2009/10/05(月) 21:32:27.26 ID:KDO9ZdGiO
「大丈夫ですか!?朝比奈さん!しっかりして下さい!すぐに助けを呼びますから!」
「わ…わた…し…どうなっちゃっ…たんです…か…?」
「銃が!ハルヒの銃が…クソ!」
朝比奈さんから目を離し、急いでハルヒを視界に捉える
「いや…嘘…いゃ…いやぁぁぁぁぁ!」
ハルヒは銃を見つめながら床にへたり込み。ガタガタと震えて泣き叫んでいる
始めてみるハルヒのそんな姿に俺はビックリした気もするが、そんなこと今は関係ない!俺が!俺がなんとかしなければ朝比奈さんが!
309 :1:2009/10/05(月) 21:35:11.89 ID:KDO9ZdGiO
「馬鹿野郎!!ハルヒ!お前はSOS団団長だろ!しっかりしろ!!」
「あ…ぁ…でも……でも…みくるちゃんが…うっう…う」
クソ!今のハルヒに何を言っても駄目だ!頼む!誰か!誰か!!!
「涼宮さん!」
聞き慣れた声が背後から勢いよく飛びだした。
古泉だった。傍らに長門もいる
「古泉ぃ!直ぐに病院と救急車の手配をしろ!」
古泉はすぐに状況を判断したのか、わかりました!と持っていた袋をかなぐり捨て急いで携帯を開く
「長門!朝比奈さんの傷口を塞いでくれ!この際、火で炙ってふさぐなりでも構わない!」
310 :1:2009/10/05(月) 21:37:31.19 ID:KDO9ZdGiO
すみません朝比奈さん!でもあなたに、あなたに死なれる訳にはいかないんです!
長門はこくりと頷き、ジャンプ一つ一瞬で俺の隣に来ると、俺が必死で抑えている傷口にソッと手をかざす。
ハルヒの目の前だがもうそんなこと知らん!
見る見る内に朝比奈さんの傷口はレーザーの様な光線で塞がれていった。
朝比奈さんが苦痛にうぅっと歯を食いしばる
「な……なに…よ…どう…なってるのよ…」
しゃくりあげながらハルヒは真っ赤にした目を見開いている
314 :1:2009/10/05(月) 21:39:38.73 ID:KDO9ZdGiO
「完了した。しかし私に治癒能力は搭載されていない。搭載されているのは自己修復能力のみ。よって直ちに治療が必要」
「あぁ!古泉!どうだ!?」
「後三分ほどで到着します!一番近い病院には五分ほど!」
よし!それなら何とかなるかもしれない!
古泉にハルヒを任せ。朝比奈さんを抱え、長門を連れて工場の外まで走る。
クソ!
そうだった!
行く手にあるのは、昨日朝比奈さんがスカートを破いた場所。今の朝比奈さんを抱えながら通るのは無理だ!
朝比奈さんを抱え走りながら俺は叫ぶ
「ながとぉ!頼む!」
317 :1:2009/10/05(月) 21:42:42.90 ID:KDO9ZdGiO
俺が言い終わるか終わらないかのうちに、長門は門に飛びかかり。何やら腕を一瞬で何度も十字に振った。
刹那、門がガラガラと崩れ落ちる
でかした長門!
俺達が外に出るのと、法定速度を明らかに無視した救急車が到着するのはちょうど同時だった。
ドリフトをして止まった救急車なんて映画でも見たことないぞ
バン!と後ろのドアが開き、中から救急士と思われる人間が現れ、朝比奈さんを担架に乗せながら、付き添いの方は早く乗って下さい!と早口でまくしたてる
「長門は古泉と一緒にハルヒのそばに頼む!ありがとな!」
またこくりと頷き「問題ない」それだけ言った長門は、出発した救急車の遥か後ろで見えなくなるまでコッチを見ていた
318 :1:2009/10/05(月) 21:45:15.98 ID:KDO9ZdGiO
救急車は尋常じゃないスピードで雄叫びをあげながら、前方車両をかき分けかき分け進んでいく。
出血をホントに止めてよかったのだろうか?内部出血でさらに危なくなったんじゃないだろな?朝比奈さんの手を強く握りながら俺は自分の判断にミスが無いことを祈る。
不意に朝比奈さんがゆっくり口を開いた。ホントに開いただけで声にはなっていない。
「大丈夫です朝比奈さん。必ず助けます!」
「………す…」
「え?」
何か伝えようとしている?俺は朝比奈さんの口元に耳をよせた
319 :1:2009/10/05(月) 21:46:49.00 ID:KDO9ZdGiO
「す……涼……宮さ……んを…………せめない…で下さ…い」
朝比奈さんはそれだけ言ってニッコリ笑ったかと思うと、また気を失ってしまった
「朝比奈さん…」
握る手の力を強めながら俺は後悔する。なんであそこでスタートと言っちまったんだ!嫌な予感はしていた筈だった。それに…
俺はハッとしてポケットの中の機械を開いた。
一瞬。
死んで詫びようとさえ考えた
全部俺のせいだ…
今朝、後悔したばかりじゃねぇか。楽観視しすぎだってよ!この糞ボケ野郎!
メールの文面は以下の通りだった
ハルヒ
止めろ
撮影
銃撃
321 :1:2009/10/05(月) 21:49:11.46 ID:KDO9ZdGiO
あの時。
あの時コイツはまた俺達を助けようとしてメールを送ってくれた。なのに。なのに俺は…
高校生。いや、中学生以上からそんな事をした記憶はなかった。
何もかも解った気になって何事にも無感動。典型的な現代っ子。しかし。
しかし気づくと俺はボロボロ泣いていた。みっともないったらありゃしない
涙が止めどなく溢れる。朝比奈さんが死んでしまうかもしれないから?ハルヒにそれをさせてしまったから?
それも確かにある。だけど。だけど何より自分の情けなさ、馬鹿さ加減が何より悔しくて。
322 :1:2009/10/05(月) 21:51:52.87 ID:KDO9ZdGiO
俺は何にも分かってなかった
ヒントはいくつもあったじゃねぇか…
本物を使いたがっていたハルヒ
それに昨日、古泉が言った能力の余波の観測。
ハルヒはあの時、俺が買ってきた物にケチをつけていた。茹で玉子の方がよかったと。
もし、ハルヒがそれを本当に望んでいたなら、オプションも何もかもひっくるめて思い通りになっているはずだった。
ハルヒの力が働いたのはそこじゃあない。
確かに世界改変や時間の切り取りよりは小さな。ごく小さな作用だったかもしれない。
だが…
だが、それは俺達にとって大きすぎる変化だった
324 :1:2009/10/05(月) 21:54:22.37 ID:KDO9ZdGiO
運転席から到着しましたと声が聞こえ。先程とは違い、救急車はこれでもかと丁寧に停車する。俺がこの前泊まった病院だった。外には既に看護士達が待機しており、瞬く間に朝比奈さんを手術室に連れ去っていった。
俺は握っていた手を離し。閉まる手術室の扉を、向こうの景色が見えなくなっても見つめていた。
ポン
と扉の上のランプが点灯した瞬間、俺は膝から崩れ落ちた。自分が軟体生物なんじゃないかと疑いたいほど体に力がはいらん。
325 :1:2009/10/05(月) 21:56:19.75 ID:IsnQjFo50
同時にハルヒの方が気になり。まるで死にかけた何かのように這いつくばってソファまでたどり着いた俺は、電話帳にある古泉の名前を押す。
「ハァ……ハァ…もしもし!?すみません!涼宮さんは長門さんに…長門さんに預けました!おそらく長門さんの家へ!」
ツーコールで出た電話の向こうの相手は明らかに走っている最中で肩で息をしている。
「ど、どうしたんだ古泉!」
古泉のいつもと違う異常な口調に俺は脊椎動物へと戻される。
問いかけに古泉は息も絶え絶え答えた
「ハァ…ハァ…機関から……機関から非常事態宣言が!」
古泉の慌てぶりは尋常じゃない。皮肉にもその言葉からは、今までで一番俺に古泉の人間味がある感情を感じさせた
327 :1:2009/10/05(月) 21:58:06.70 ID:IsnQjFo50
非常事態宣言?それは国家が出すやつじゃあ…まさか…
「閉鎖空間か!?」
古泉は大声で話し続けた
「ハァ……ハァ…はい!…かつて…かつて例をみない莫大な規模で発生しています!それも複数同時に!」
それは日本の中にだけじゃなく。アメリカ、中国、ロシア。世界の至る所で。そういう意味でだった。
不意に受話器からは風の雑音が消え。古泉の声だけが耳に響いた
329 :1:2009/10/05(月) 21:59:26.94 ID:IsnQjFo50
「頼みます…」
「?」
「世界を…世界を頼みました」
それだけいってプツリと糸が切れた
「おい!古泉!古泉!!」
クソ!次から次ぎへと!
朝比奈さんはとりあえず、医者に任せるしかない。
俺は病院のロビーを飛び出し駅までの道を走り抜ける。いつの間にか小雨が降ってやがる。早朝散歩した時とはうって変わり、俺の目にこの前と同じ景色はない。縦横無尽に建ち並ぶビルや看板は掠れ、線となり俺の後ろへ飛んでゆく
「キミ!」
右から恐らく俺を呼び止める声がした。誰だこんな時によ!
「はぁ…はぁ………あ、あなたは…」
それはワゴンが突っ込んできた日のサラリーマンだった。今はスーツではなく何かの制服を着ていたので一瞬分からなかったが確かにそうだ
331 :1:2009/10/05(月) 22:01:42.17 ID:IsnQjFo50
サラリーマンに送ってもらいなんとか早く長門の家に着けた。
車の中、サラリーマンの話しによると日本だけで10個以上の閉鎖空間が発生しているらしい。それも莫大な大きさの。更にその中で次々と神人が現れ閉鎖空間を拡大していってるとの事。
あなたを無事送り届けたらすぐに私も一樹達の加勢にいきますとバックミラー越しに俺をみつめるサラリーマンの顔は、どこか死を覚悟しているような表情だった気がした。
「俺のせいで…すみません」
それしか言えない自分が嫌いになりそうだ。まぁ元々好きって訳でもないがな…
332 :1:2009/10/05(月) 22:02:49.79 ID:IsnQjFo50
「あなたが謝る必要はありません」
地震が起こって謝る人がいますか?
そうサラリーマンは励ましの言葉をかけてくれ続けて言う
「私達が閉鎖空間をせき止められるのはこのままのスピードなら、恐らく半日間程度でしょう。」
その間になんとかハルヒの気持ちを鎮める方法を…か。
神は一週間で地球を創ったらしい。でも壊す時は一瞬てか?ふざけんな
降り際にサラリーマンは一言
「世界と…世界と私の息子を救ってください」
いって俺に敬礼をした。挨拶程度にする敬礼ではなく。
背筋を伸ばし、まるで将軍相手でもあるかの様な本物の敬礼だった。
334 :1:2009/10/05(月) 22:03:33.78 ID:IsnQjFo50
もう俺には荷が重すぎるなんて言ってられんな。
ペコリと会釈で返し長門のマンションの前に立ち。見上げる。この中にハルヒが…
セキュリティードアは俺を待ち構えていたかのように開いた。
全く…やれやれ
「入って」
出迎えた制服姿の長門の後ろではハルヒが机に突っ伏して泣いていた。
335 :1:2009/10/05(月) 22:05:01.72 ID:IsnQjFo50
「う…うっ…ひっく…」
ハルヒからは完全にいつもの力強さは消え失せ俺が入って来たことにさえ気が付いていない様子だった。
なんて声をかけたらいいんだ…
俺には全く分からない。ただ名前を呼んでやることしか
「ハルヒ…」
「………キョ…ン?」
目を腫らしたハルヒが俺に視線を預け、すがりつく。
「うぅ…ど…ひっく…どうし…よう………!み…み…くるちゃ…んが」
うわぁーん
泣き声を文字にするならコレが一番相応しいだろう。
ハルヒを知ってる奴なら、想像の真反対。いつもの対角にあるであろうハルヒの表情。
とにかく。とにかくハルヒを安心させなければ古泉達が危ない。
さらには古泉達がいなくなれば世界は灰色に包まれ…その先は神のみぞ知るってか
336 :1:2009/10/05(月) 22:06:41.83 ID:IsnQjFo50
「ハルヒ。朝比奈さんなら俺が病院に送り届けた。だから…だからきっと大丈夫だ」
ここで、絶対と言ってやれないのがダメだな…俺は…
「そ…うっ…そんなの…ひっく…わ…分からないじゃ…ない…うっ…ア…アンタ…じ…自分…の体みて…うっ…見てみなさい…よ…ひっく…」
「え?」
かなり聞き取りづらい嗚咽混じりの言葉をようやく理解した俺は自分の体を見回す。
338 :1:2009/10/05(月) 22:07:33.80 ID:IsnQjFo50
「うっ!」
口を抑えた。抑えなければ吐いていたかもしれない。気持ち悪かったからじゃない。不安でたまらなくなったからだ。
心のどこかにあった、《朝比奈さんが死ぬわけない》その根拠の欠片もない希望を打ち砕かれたようで。
俺の胸から下はどす黒い赤に染まっていた。乾ききっていない箇所箇所はまだ真紅に。道理ですれ違う人すれ違う人に凝視される訳だ
「…これ…全部…血なのか?」
知ってた筈だった。気づいてない振りをしていた。でも解らされた。気づかされた。
340 :1:2009/10/05(月) 22:11:13.41 ID:IsnQjFo50
思いだした。
ついさっきまで必死に必死に状況を処理してた。
そのおかげで考えないで済んでいた。
でもハルヒを前にして俺の心が僅かに緩んだ。もう誤魔化せない。
俺はハルヒを見てなぜか安心したんだ。
朝比奈さんでも長門でもない。ハルヒにだけ向けられた感情が俺の中には確かにあった。
と、同時に緩んだ栓から闇色の思いが溢れ出す。
341 :1:2009/10/05(月) 22:11:34.42 ID:KDO9ZdGiO
気が付くと俺も泣いていた。今度は自分が情けないからなんて格好つけた理由でなんかじゃない。ただただ不安で不安で。そんな俺を見てハルヒの不安も更に加速して泣き声の大きさも比例した
「長門…長門ぉ…頼む…なんとか…なんとかしてくれぇ!」
我ながらみっともない。もし上から今の自分を見下ろせたならばどれだけ恥ずかしいだろう。でもそんなの関係ない
「長門…お前しかもう頼れないんだ…」
こんな状況でハルヒのストレスがなくなる訳がない。従って閉鎖空間の拡大は決して止まらない。もう何もかも詰んでるんだよ。
長門…お前はいつだって俺達のジョーカーだったよな?頼む…頼むから!これで最後でも構わない…だから…だから頼む!最後の頼みだ!
342 :1:2009/10/05(月) 22:14:07.20 ID:IsnQjFo50
俺の必死の訴えを真正面からぶつけられた、その小柄な少女は一度静かに目を閉じて考える素振りを見せたかと思うと。再びゆっくり目を開き
「私にはどうにもならない」
一言
それだけ。でも充分。俺を絶望に突き落とすのはそれで充分だった。
「う、嘘だろ長門…お前なら…お前なら…」
長門の両肩を揺さぶり懇願した。が、返ってきたのは
345 :1:2009/10/05(月) 22:15:01.35 ID:KDO9ZdGiO
「私の役目は涼宮ハルヒ及び、その鍵となりうるあなた二人の観察。よってあなた達二人に害がないと判断した場合。
例えこの惑星に置けるあなた達以外の知的生命体が全滅したとしても関与は不可能。尚、その場合私の消滅が含まれるものの場合も以下同文。やりたい、したくないの問題ではない。私には不可能」
そんな…そんな事あるかよ
俺達だけが世界から消える。
その方がまだマシだった。
このままじゃ…このままじゃ
世界だけが俺達を残して消える
348 :1:2009/10/05(月) 22:17:20.12 ID:IsnQjFo50
母が消える
父も消える
妹も消える
朝比奈さんも
長門も
古泉も
谷口も 国木田も
鶴屋さんも
学校のみんなが
街のみんなが
日本中、世界中全ての人が
消える
あの灰色の世界に押しのけられて全部消えてしまう
349 :1:2009/10/05(月) 22:18:06.00 ID:KDO9ZdGiO
ふざけんな…
ふざけんじゃねぇ…
ダメだ
ダメなんだよ
どんなに想像しようとしても。どんなに考えても。ダメなんだよ
誰か一人でも欠けた世界なんて想像できないんだよ!
俺は…俺は……俺はお前達が好きなんだ!!
「ハルヒィ!!」
「な…何…?」
俺の大声にハルヒはビクつき少しだけ自分を取り戻す
「お前に話がある」
もう言うしかない
全てを
包み隠さず今まであった全てを
そしてハルヒに願ってもらうしかない。元の世界に戻してくれと。
352 :1:2009/10/05(月) 22:18:51.37 ID:IsnQjFo50
「昔お前に喫茶店で長門達が宇宙人や超能力者だと話した事があったよな?あの時お前は怒って出てっちまったけどな…あれは」
一度息を呑む
「あれはな…全部本当のことなんだよ」
353 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 22:19:29.23 ID:3BKM+pE/0
なん・・・だと・・・!?
354 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 22:20:04.31 ID:5qhqrmfW0
切り札発動ですね
355 :1:2009/10/05(月) 22:21:01.51 ID:KDO9ZdGiO
赤い目が俺を見つめる
「あ…あんたこんな…こんな時に何いって…」
「お前もさっき長門がした事をみただろう。長門、俺が許す。ハルヒに証拠を見せてくれ」
「涼宮ハルヒに能力を自覚させた場合に起きる事態は予測不可能」
「やらなくても世界は終わっちまうんだ。もうそれしかない。頼む」
357 :1:2009/10/05(月) 22:21:29.78 ID:IsnQjFo50
三秒ほど考え頷いた長門
その瞬間長門の体と部屋全体が青白く光り輝き。光が俺たちに襲い掛かる。
眩しい…気がつくと俺とハルヒの二人は映像のトンネルの中に立っていた。
俺たちの前方から来た無数の映像は、頭の上を通り抜け矢のように遥か後方の消失点へと消えていく。
足元をみるとどうやら頭上だけではない様だった。映像は360度全てに映されているらしい。
トンネル状だと思った空間は、どうやら筒状で。その真ん中に俺達は立ってるみたいだ。
「これは…」
次々に現れては消え現れては消えする映像の光に顔を照らされながら、俺は気づいた。
これは全部俺達?
そう、その映像に映っていたのは俺達SOS団の面々。今までの全てが映っていた
「な…何…これ……凄い…綺麗」
ハルヒの瞳は星空を見上げたが如くキラキラ輝いていた
360 :1:2009/10/05(月) 22:24:36.74 ID:KDO9ZdGiO
「長門?」
長門の姿が見当たらないな…
「ねぇ…キョン…全部…全部本当なの?」
映像の流星群を見上げたままのハルヒがポツリと俺に呟く。
361 :1:2009/10/05(月) 22:24:53.55 ID:IsnQjFo50
「あぁ。全部事実だよ。それにな、お前には、そいつらとも比較にならない力が宿ってるんだよ」
え?
星空から俺に視点を移動させたハルヒの瞳からは、先程よりはいくらか赤みが引いていた
その後俺はハルヒに全てを話してやった。
全てを
まず、閉鎖空間の仕組みについて。それから草野球で起こったこと、コンピ研の部長が消えたこと、夏休みを一万回繰り返してたこと、クリスマスに起こったこと、俺達が校庭でキスしたのが夢ではないこと。
そして…あの七夕の日に起きたこと。俺がジョン・スミスであることを。
俺は飛んでくる映像に指を差し差し、思いつく限り全てをハルヒに話した。
最初はハルヒも混乱していたが、次第に俺の話を下を向いて黙って聞くだけになり。思考をどうにか追いつけようと必死な様子だった。
「…こんなとこか。今まで黙ってて本当に悪かったな。でもな…お前が悪いことなんか何一つない。悪いのは能力なんだ。だから自分責めるなよ」
362 :1:2009/10/05(月) 22:25:42.64 ID:IsnQjFo50
ハルヒはまだ下を向いて虚ろな目をしている、足元を流れる思い出に顔を照らされながら。
自分で言っといて無理だとは思う。ハルヒが自分自信を責めないことなんて。
ハルヒにしてみればやっぱり朝比奈さんを撃ってしまったのは自分の能力のせいで自分の責任で。そう考えている筈だ。
「でもな…でもなハルヒ聞いてくれ」
ピクリと、やっとハルヒは顔を上げてくれた
364 :1:2009/10/05(月) 22:27:10.49 ID:IsnQjFo50
「安心しろ。お前がどんなに皆から恐れられ嫌われても俺がずっと傍にいてやる。約束だ。俺は頼りないかも知れないがお前の味方でいてやる事しかできないが、お前が好きなんだ。そしてお前がいるこの世界もな。だから一緒に願おう。世界を戻すために」
「私に……………本当に私にできるの?」
ああ
お前にしか出来ないんだよハルヒ
俺が差し出した手をハルヒが握る
俺達の過去が一斉に輝きだす。
空間が振動を始める
最も強い光を放つ消失点を俺達二人は手を繋ぎ合わせ眺め、願う。
戻してくれと。たった数時間前まで平和だった世界を返してくれと。
この世で最も強い光に埋もれていきながら俺とハルヒはそう願った。
373 :1:2009/10/05(月) 22:33:33.22 ID:KDO9ZdGiO
………………まただ…また…
コレは夢なのか?
俺は荒野に立っていた。灰色ががった茶色の世界の真ん中。
前回、前々回と同じように地面から突き出ている金属片に目を向けた。
だが、そこにいたのは高校生の俺。決して幼くはない。制服を着て死んだ魚のみたいな目をしてやがる。
でも、この後の展開は知っている。不意に後ろから呼ばれて…
375 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 22:34:23.64 ID:IsnQjFo50
「--------」
そらきた
そして振り返る前にハルヒが俺を呼ぶんだ………………………って、あれ?
俺はハルヒに呼ばれることはなく、そのまま前回よりハッキリ聞こえた声の方へ振り返えることに成功してしまっていた。
「だ、誰ですか?」
そこに立っていたのは背の高い女性で、なぜか俺に微笑みかけていた。
とても優しい顔だ…
「------?」
「忘れてしまったのかって何を?」
急に女性の顔に困惑の感情が
「----」
「誰ですかそれは?それになんの事を…」
「------」
「? 違いますよ。だって俺の名前は…」
そこで俺の視界は電源が切れたようにプツンと途切れた。
376 :1:2009/10/05(月) 22:35:29.98 ID:IsnQjFo50
瞼を開けると、そこにはよく知る天井が広がっていた。
「………………部屋?……俺の部屋だ…」
ベットに仰向けで無様に寝てやがるのは、そう俺だ
え?
一瞬なにがなんだか分からなかったが、この現象に関して俺は過去に教訓を得ていたのですぐ起き上がり携帯で日付を確認した。
月曜…
正しくは月曜になったばかりだった。変な言い方をするなら日曜日の26時
今さっきまで俺は長門の部屋で…
10時間ほどの時が一瞬で過ぎた事になる。
そうだ
それよりはハルヒは!?
378 :1:2009/10/05(月) 22:36:59.43 ID:KDO9ZdGiO
部屋を見回す。しかしそこには見慣れた机や椅子があるのみでハルヒや長門の姿は見当たらない。
ピロリロリーン
握りしめていた携帯が突然鳴いた。
残り1日
間違いない。夢じゃなかった…じゃあ世界は?
それに外がいやに静かだ…
するとまた携帯がピロピロと青いイルミネーションを発光する。コレはメールじゃない…
「…もしもし?」
一体誰だこんな時間に。
急だったので画面を見ずに出てしまったのを後悔する。
が。しかし電話の相手は俺のよく知る人物だった
380 :1:2009/10/05(月) 22:39:11.89 ID:KDO9ZdGiO
「どうも…古泉です…」
今にも死にそうな声が受話器から染み出るように漏れてくる
「古泉!?お前大丈夫だったのか!?今どこにいるんだ!」
「あなたの家の前にいます…少し話したいので降りてきて貰えませんか?…」
こんな遅くに…だが古泉が無事でよかった。分かったとだけ返事をして急いで一階に降り玄関に向かう。
家のなかに全く人気が感じられなかったのは気のせいだろか?
381 :1:2009/10/05(月) 22:39:29.33 ID:IsnQjFo50
家族を起こさないよう静かに玄関を開け外に出ると、向かいの壁に古泉がうなだれているのを発見する。だらんと放り出されている右手にはまだ画面が明るい携帯電話が握られている
「こ、古泉!」
静かに叫びながら駆け寄って見ると、古泉の左側顔半分が血で赤く染まっていた。ダルそうに首を駆動しなんとか俺の方へ顔を向ける古泉。
「…どうも…元気そうでなによりです…」
お前は自分の心配はできんのか。
だが、その何気ない言葉で古泉という人間に俺が抱いていた多少の不信感は塵のごとく吹き飛んだ。
コイツは本当に根っからのいい奴なのだと。
382 :1:2009/10/05(月) 22:40:34.85 ID:IsnQjFo50
「人の心配より自分の心配をしろ馬鹿やろう」
「フフ…そうでした。ですがアナタにどうしても渡さなければならないものが出来ましてね」
ゆっくり上げられた左掌に何やらガラス片の様なものが握られている。
「何だ?それ…」
「神人の欠片です」
神人の欠片?コレがあの青白い怪物の欠片だって言うのか?そしてそれが一体なんなんだ
「つまり…つまりコレは涼宮さんの精神…もとい記憶の一部なんですよ」
「そ、そんなものどうやって…」
383 :1:2009/10/05(月) 22:41:38.54 ID:IsnQjFo50
「電話を切ったあの後から我々は拡大する閉鎖空間の進行を少しでも遅らせるため、次々と現れる神人を狩っていました。アナタが何とかしてくれると信じて…ね」
古泉は嫌みっぽく笑ってみせたが、恐らく本当に嫌みのだったんだろう。
「ですが…見てください」
言って古泉が指さした天を見上げる。
「な…嘘……だろ…」
そこにあったのはいつもの夜空ではなく。いつか古泉に連れて行かれて見た灰色の天井がどこまでも続いていた。
「なんで…だって俺とハルヒが…」
「失敗したんですよ…残念ながら…世界は先ほど閉鎖空間に飲み込まれました…残っているのは我々だけです…長門さん達はどうにかしてると思いますが」
387 :1:2009/10/05(月) 22:43:33.60 ID:KDO9ZdGiO
そんな…なんで…だってさっき俺達は…
そう言って古泉が上げた腕をパタリとまた地面に転がしたのと同時に
ピロリロリーン
俺はゾッとした。
またメールだ。
閉鎖空間内で着信できるメールなんて限られ過ぎてるじゃないか。
これ以上一体何が起きるんだ…
俺は内心ビビりながらメールを開く。差出人は先程と同じだ。
涼宮ハルヒ 残り0回
ジョン・スミス 残り1回
389 :1:2009/10/05(月) 22:44:34.63 ID:IsnQjFo50
メールはそう記されているだけ。文面は火曜の朝と似たような感じではあったが、ハルヒの横の数字は0だ
「フフ…そういう事ですか…」
メールの内容を聞いた古泉が突然おかしくなったように笑い出した
「僕の推理はいっつも外れますね。ククク…どうやら朝比奈さんの言っていた事が当たりだったみたいです」
「朝比奈さんが言った事?」
古泉は顎を突き出しながら上を向いて、もうどうにでもなれといった感じで言う
「その横の数字は涼宮さんの能力に関係していたんですよ。いえ、それどころの話じゃないですね。」
頭を壁にすりながら90度背骨を倒し、道路に足を突き出したままコロンと古泉は横に寝転んだ
390 :1:2009/10/05(月) 22:45:57.29 ID:IsnQjFo50
「あれは…あれは涼宮さんの能力の使用回数だったんですよ」
「なに?」
意味が分からんぞ
「……戦闘の出血で僕も少し貧血気味なのでね…あまり煩わせないで下さいね…」
寝転んで地面を見つめながら、そう生意気に言い放って古泉は説明を始める
馬鹿でわるかったな
「つまりですね。火曜日の時点で涼宮さんの願望実現能力の使用回数は残り3回にまで減っていたんですよ。メールの主はなぜかそれを知っていた。更に理由は分かりませんが、アナタにそれを知らせるため、アナタの携帯にメールを送った。以上です………はぁ」
あ!溜め息までつきやがった。世界が終わったからって開き直ってやがる。前言撤回だ。やっぱりこいつにはある程度不信感を持っておこう
そう思った直後だった。
突然地面が激しく振動を始めた
木々は踊ったように揺れ。電線なんかハチャメチャだ
「お、おい!古泉!どういうことだ!」
やれやれと、俺のものであるはずのセリフを吐いた古泉は、おもむろに立ち上がりスッと俺に手を差し出した。
391 :1:2009/10/05(月) 22:47:34.96 ID:KDO9ZdGiO
「コレを長門さんのところへ」
渡されたのは神人の欠片だった
「はぁ?いきなり何を言ってんだお前!それよりこの地震を説明しろ」
そう言った刹那、地響きと共にあの青白い巨人がヌッと地面からアチコチに姿を表した。
「うぉおぁ!?」
「来ましたか…仕方ないですね。あなたが進むルートは僕が死守します!ですからアナタは早く!」
今まで暗くて気づかなかったが。神人の光に照らされた古泉の左目からはドクドクと血が流れているのが分かった
393 :1:2009/10/05(月) 22:48:24.15 ID:IsnQjFo50
「お、お前…目が…」
「さっきの戦闘で父…いえ……仲間をかばおうとした時に。ですがそんな事も今は言ってられません。死んだ仲間も既に沢山います。そして恐らくコレがアナタに残された最後のチャンスです…ですから!ですからもう一度頼みます。世界を…救って下さい」
古泉の体が前に見たときより紅く光輝き宙に浮く。そして既に紅い球体となった古泉から声が響いた
「あ。最後に言っときます」
「あん?」
ゆらゆらと浮かぶ球体を見上げながら聞き返す。
「ワザと負けるというのも案外難しいものですよ」
それでは。とそれだけ言い残し古泉は一番近い神人の方角へと飛んでいった。
396 :1:2009/10/05(月) 22:50:02.51 ID:KDO9ZdGiO
「けっ俺だって、んな事分かってたさ!」
もう聞こえるハズないが俺は空に向かってそう叫んだ
しかし強がったのはいいが、長門の居場所なんか知らねえよ!
クソ。いっつも滅茶苦茶いいやがって
というかこの空間に長門はいるのだろうか?
ええい!考えても仕方ない!とりあえず長門の家だ!
397 :1:2009/10/05(月) 22:51:16.46 ID:IsnQjFo50
幸い長門の家の方角にあの巨人は見当たらない。
あぁぁぁぁあクソがぁぁぁ
なんで能力に使用回数なんてあるんだよ!
それなら俺のとなりの数字はなんだ!好き勝手推理しといて、分かんないとこはほったらかしか!
負け惜しみいいやがって!テメー帰ってきたらマジ勝負だマジ勝負!それでもって負けた方は罰ゲームで1日ハルヒ言いなりだ!いや!既に俺達は言いなりだった!まぁいいか!だからな!だからな古泉!最後なんていってんじゃねぇよ!
「絶対に絶対に死ぬんじゃねぇぞおぁあぁぁぁぁぁぁ!」
庭から自転車を引っ張り出した俺は今まで生きてきた中で確実にNO1であろう回転速度でペダルを踏みまくる。
口から心臓が飛び出る思いとはまさにこのことだ。持久走は大っキライなのによ!
404 :1:2009/10/05(月) 22:54:57.88 ID:KDO9ZdGiO
アッチコッチで建物の倒壊音が鳴り響いている。
コレじゃまるで世界の終わりだぜ、と思ったがあぁそうだright、その通り。よく気付いたね。
漕ぎながら、一番近い。といっても1キロ強ほど距離がある神人の方に目を凝らすと、三粒程の紅い光が巨人の行く手を阻んでいる。
頼んだぞ古泉…
405 :1:2009/10/05(月) 22:55:25.74 ID:IsnQjFo50
そのまま全速力で漕ぎながら考える。
火曜日の時点で残り3回だったって事は昨日までの間に3回能力を使っちまったって事だよな?
ハルヒが最近望んでた事…
一つ目は簡単。もっと迫力あるシーンを、とアイツは本物の銃を使いたがっていた。結果としてそれが今の状況に繋がっちまってるんだが…
じゃあ二つ目三つ目は?
ちくしょう。何かこの一週間で変わったこと…あ!
確かアイツ火曜あたりにもっと寝たいだのなんだの昼休みに言ってやがったな。
「―っ。一体なんて下らねえ事につかってんだあの馬鹿!」
思わず声に出ちまった。いや。やっぱり思ったんだが
406 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 22:56:16.74 ID:dW4XniES0
おい、熱いじゃないか
407 :1:2009/10/05(月) 22:56:57.69 ID:KDO9ZdGiO
さて、三つ目が何だったか思いだそうとした辺りで丁度長門のマンションにたどり着いた。
幸い巨人は古泉戦隊が誘導してくれていて、さっきより遠くにいるみたいだ
ついさっき来たんだがまた来るとはな…
再度見上げたマンションが俺にはまるラスボスの様に見える。
そんなふざけた事を考えながら大魔王バーンの中へと入っていった。
410 :1:2009/10/05(月) 22:57:51.89 ID:IsnQjFo50
部屋の前に着いた。さて。ここからが問題だ。長門はここにいるのか?
いやむしろこの世界にいるのだろうか。
チャイムを押そうとした瞬間、ドアが開いた。
「入って」
俺の感覚でついさっきと同じ事をついさっきと同じ格好で言った少女が玄関に立っていた。生きてたか。よかったよ長門。
部屋にはハルヒはいないのか?
だとしたら自分の家か?
「おい長門、ハルヒは?というかあの後あった事を教えてくれ」
机を挟んで対面に正座してる長門は二、三度まばたきを挟んで答える
412 :1:2009/10/05(月) 23:00:50.04 ID:IsnQjFo50
「16:24涼宮ハルヒは鍵であるアナタに触発され世界を戻そうと能力の行使を試みた。
がしかし、涼宮ハルヒの中には既に願望実現可能、さらには世界改変に及ぶ程のエネルギーは残っていなかった。
我々の中でも涼宮ハルヒの能力が有限だとする可能性はリストにあったが確率は著しく低いものだと思われていた。
がしかし涼宮ハルヒはそれに該当したものと思われる。後16:30能力の枯渇に関わらず強行的に行使を試みた事により次元断層が生まれ涼宮ハルヒに対して情報の逆流が発生。
同時に涼宮ハルヒはデータパンクに陥り傍にいたアナタと共に一時的昏睡状態に。後16:31アナタ達に危険はないと判断しアナタと涼宮ハルヒを自宅に転送。後21:00閉鎖空間による浸食がこの惑星の60%を超える。
尚52.3%を超えた時点で閉鎖空間は涼宮ハルヒの意志に左右される事はなくなり。独自的な増大に突入する。この時点で涼宮ハルヒによる閉鎖空間への操作は不可能な状態へと陥る。
翌00:12古泉一樹らによる最終措置が行われるがやむなく失敗。この時点で閉鎖空間の浸食率は97%であり、現状いかなる手段をもってしても浸食を妨ぐ事は不可能であった。
415 :1:2009/10/05(月) 23:03:15.51 ID:IsnQjFo50
後00:30閉鎖空間による惑星への浸食が100%に到達。と同時に現実世界と閉鎖空間の逆転の開始。
前00:29閉鎖空間による逆転の確定によりこの部屋に情報壁によるシールドを展開。
現在のシールド浸食率64%残り耐久時間約3024秒。後00:45閉鎖空間による空間逆行完了。と同時に時空延長線上にある朝比奈ミクルらの時間平面も同刻消滅。
後01:05涼宮ハルヒから自立進化への可能性が消滅したことにより情報思念体はこの惑星への観察と派遣したインターフェースの放棄を決定。
そして後02:58アナタが再度私の部屋を訪れてた。」
しばらく言葉が出なかった。
あれだけ息継ぎなしで長門は喋ったにも関わらず、息一つ乱さず静かに真っ直ぐ俺を見つめたままだ。
「長門…もう世界は完全に元には戻せないのか?」
頼む長門何か…何か可能性があると…
「そう。もう現状の手段では無理」
そう言った長門の瞳には、僅かだが切ない表情が浮かんでいた。
現状の手段で無理なら…それなら…
「長門…コレを見てくれ」
そう言ってポケットから先ほど古泉から受けとった欠片を見せる
416 :1:2009/10/05(月) 23:05:30.80 ID:KDO9ZdGiO
「コレを解析して欲しい。ハルヒの記憶と精神の一部だ。もしかしたら…もしかしたら何か打開策が生まれるかもしれない」
長門はジッと俺の掌の欠片を見つめ、再度こっちに顔を向けて言った
「可能性は。とても低い」
あぁ分かってるよそんな事。でもここまで来たんだ。一緒に足掻こうぜ?長門。俺達はいつだって足掻いてきたじゃねぇか。
コクンといつもより気持ち強めに頷いた長門は欠片にソッと手をかざし、顎を上げ目をつぶる。
それと同時に俺の頭をあるものが襲う。
激しい衝撃。
な、何だ…何だコレは!
417 :1:2009/10/05(月) 23:05:57.52 ID:IsnQjFo50
その衝撃の正体はハルヒの記憶だった。
胎盤の中にいた頃からのハルヒの記憶が俺の頭を雷の様に駆け巡っていく。
「がぁっ…ク…ソな…んだ」
莫大な情報量。それこそ本当に頭がおかしくなっても不思議じゃないほどの衝撃。
全てが鮮明に。しかし恐ろしいスピードで年月が過ぎてゆく。
胎児
幼児
…これは七五三?
…これは小学校の入学式だな
…これは誕生日かな?普通に喜んでやがら
…卒業式
…中学入学式
…そして…
そこで一瞬ピクリと長門の瞼が動いた。
そして急に景色は早送りを止め、通常再生へと移行した
419 :1:2009/10/05(月) 23:08:09.75 ID:KDO9ZdGiO
これは…あの七夕の日?
そう、それはハルヒが俺に初めて出会った三年前。いや、そろそろ四年前と言うべきかな。
長門。ここに、この記憶にお前は何かしら可能性を見出したんだな。
校庭ではジョンと名乗った男がハルヒに白線を引かされてら。ざまぁ
隅では朝比奈さんがグッタリ寝てる。まだ元気だった朝比奈さんが…
420 :1:2009/10/05(月) 23:09:01.43 ID:IsnQjFo50
宇宙人へのメッセージ。もとい落書きをジョンに書かせ終え、満足した様子のハルヒはジョンと別れ…と思ったら再度ジョンの登場だ。
「世界を大いに盛り上げるためのジョン・スミスをよろしく!」
と背後から大声を出してだ。
我ながらこの時のハルヒには意味不明だった事だろう。
ここまでは俺達も知ってる…この先に…この先に何かあるんだな長門
心臓がバクバク響く。まるで長門にも聞こえてるんじゃないだろうかと思うほどだ。
12才のハルヒは家に向けて順調に足取りを進めてる。ハルヒの精神から伝わってくる感情は、退屈、怒り、そして憂鬱。
もしかして俺達と出会うまでの三年間、こんな感情がコイツの内で絶えず渦巻いて暴れ狂っていたのだろうか?
だとしたらそれは煉獄にも等しく、多少はハルヒの滅茶苦茶ぶりにも共感できてしまう。
423 :1:2009/10/05(月) 23:10:35.75 ID:KDO9ZdGiO
それくらいハルヒの内に秘められていた世界への絶望感は凄まじかった。
このままじゃ、順調に家に着いちまう。
そう思った時に事は起こった。
数メートル程先にあるゴミ捨て場からドサッと何かが激しく落ちた音。
それに反応したハルヒは顔を上げる。
壁伝いの一カ所が凹んだよくあるゴミ捨て場だ。
「…だれかいるの?またさっきのジョンとか言う奴じゃないでしょうね」
おっかなびっくりともせず、12才のハルヒは至って平然と音源がある場所を覗いた。
429 :1:2009/10/05(月) 23:11:46.09 ID:IsnQjFo50
そこにあったのは…子供?暗くてよく見えん。
でも…そう人間だ。時間外に不法に出された、いくつもの黒いゴミ袋の上に仰向けで倒れている子供。そいつが音の主だった。
「痛ってー…これでやっと3つ…うぉ!だ、誰だお前!」
そう言って音の主は暗闇から驚声をあげた。
「あ、アンタこそ誰よ!こんな時間にガキンチョがゴミ捨て場で何してんのよ!」
お前も充分ガキンチョだぜハルヒ。
「んぁ?お前だってガキンチョじゃねーか」
おぉナイスシンクロ。
431 :1:2009/10/05(月) 23:15:35.75 ID:KDO9ZdGiO
「う、うるさいわね!アンタなんかより精神年齢はずっと大人よ!それよりそっから出てきなさいよ。暗くてよく見えないわ」
「………へいへい。よっと」
ハルヒの命令にしばし沈黙を置いてから。音の主はゆっくり腰を上げ、壁と壁に遮られた影の世界から月の光の下へヌッと鼻先から順に姿を表す。
「お前名前は?」
そうハルヒに問いかけながら、そいつはゆっくりと。ゆっくりと頭を上げ、その顔を月光の下へあら…わ…し…嘘……だろ…
俺は目を疑った
432 :1:2009/10/05(月) 23:16:20.51 ID:IsnQjFo50
ハルヒにとって今日、三度目。
一晩の内に三回同じ人物にあったことになる。
そう。
その子供は俺だった。
正確には十歳前後の俺。他人の空似なんてレベルじゃあない。確か家に昔のアルバムがあったな。そこに載っているのは間違いなく目の前のそいつで、そいつは確かに少年の俺だった。
でも。でもな…しかし…
「アンタが先に名乗りなさいよ!私は涼宮ハルヒ!全く。礼儀を知らないガキンチョね」
「お前が先に名乗ってんじゃねーか…そうだな…俺の名前は…田中…田中一郎」
嘘つけ!もうちょっとマシな嘘つけ!
435 :1:2009/10/05(月) 23:17:49.48 ID:KDO9ZdGiO
「そんなスタンダード過ぎる名前があるわけないでしょ!」
それみろ。
「まぁいいわ。ところでアンタここで何してたのよ」
ハルヒと目を合わせずに俺は答える
「い…いろいろ」
嘘が苦手なのも変わらんね。
その後どうやらハルヒは、そのいかにも怪しい少年に何かしら退屈しのぎの可能性でも見出したのか。その少年を夜遊び相手に任命し、近くの公園へと移動した。
436 :1:2009/10/05(月) 23:18:46.41 ID:IsnQjFo50
「一郎、アンタこの辺りに住んでるの?」
ブランコに乗り、立ち漕ぎでブラブラ振り子のごとく行ったり来たりしながらハルヒは聞く
「んー、まぁな。お前こんな時間に家族は心配しねぇの?」
少年は隣のブランコに腰を掛け、漕ぐことなく座ってる。
「まぁ家はそんなのは無いわね。それに、あんな普通な家いてもアタシつまんないもん」
ハルヒの中途半端に長い髪が前に行ったり後ろに行ったりせわしない。
そんなハルヒに合わせ少年も首を振りながら話を続ける
「ふーん。俺は…俺は普通が羨ましいけどな」
そう少年が言った瞬間ハルヒは勢いよくブランコを蹴りだし4メートルほど前方まで一気にジャンプした。
見事な着地だ。
437 :1:2009/10/05(月) 23:20:16.42 ID:IsnQjFo50
満場一致で10点を上げたくなる着地を決めたハルヒは、しばらく前を見つめたままかと思うといきなりガバッと振り返り少年に向かって無感動な表情でこう言い放った
「あんたさ、自分がこの地球でどれだけちっぽけな存在なのか自覚したことある?」
いつか。いつだったかの帰り道。高校生のハルヒが線路沿いで俺に言った言葉だった。
そのあと続けて、あの日俺に言ったような事と同じ事を少年の俺に語りつづける。
その間少年はふーんとかへーとか適当な相づちで返す
「…だから私は自分を変えることにしたの。絶対待っているだけの女にはならないわ」
そう高らかに宣言したハルヒを見上げ、嘲笑する感じに少年は口を開いた
「普通じゃない事が面白いって?退屈じゃないって?笑わせんな。じゃあお前は目が見えない人の気持ちを考えた事があんのか?耳が聞こえない人、五体不満足の人、親がいない人達の。その人達の気持ちを考えた事はあんのかよ」
「そ、そんな事いってんじゃないわよ!」
ハルヒがすかさず反論しようとする。が、それを遮って続ける
438 :1:2009/10/05(月) 23:21:59.41 ID:IsnQjFo50
「普通じゃなくなるって事はな、お前が今普通だと思ってしてる事が出来なくなるって事だぜ。
当たり前に親がいる、学校に行ける、遊んで帰れば飯がある、風呂入ってお笑い番組見て、明日なにしようかって考えてる内に寝ちまう。
それがどんだけ幸せな事なのかお前は知らねーだろ。それなのに特別になりたい普通は嫌だって、俺から言わせて貰えば嫌味以外には聞こえないね」
今の俺からは想像も出来ない程の速さでマシンガンの様にまくし立てた少年をハルヒは睨めつけ言い返す。
「アタシはそんな事を幸せだと思った事は一度だってないし、特別になれるならこんな普通…!」
一瞬考えたのか一拍溜めて
「いらない!!」
ハルヒの目は完全に血走っている。
一方、少年はいつの間にかハルヒの目の前に立っていて。そんなハルヒを見つめながら一言
「そうか。じゃあやるよ」
「え?」
俺はもう沢山だ。そう言ってハルヒの頭に手を置いた。と同時に一瞬だけ接触している間から光が溢れ出し、ハルヒの目を眩ます
「キャッ!ちょっと!なにすん…の……よ………アレ?」
少年は消えていた。
441 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 23:23:42.01 ID:Uc75fmJk0
キョンが元々能力を持ってたのか
442 :1:2009/10/05(月) 23:23:49.87 ID:KDO9ZdGiO
そこで視界が長門の部屋へと切り替わる。記憶が途切れたのだ。
頭の回転が全く追いつかねー。確かにあの少年は俺だった。でも俺にそんな記憶は…
「な、長門?今のは…」
長門はまだ目を瞑って上を向いている。問いかけには反応しない。窓の外では神人達が遠くで破壊活動に勤しんでいる
「おい、長門」
「待って。残り18秒」
「は?何がだ?」
質問ばかりの俺をシカトし長門は瞑想を続ける。眼球が物凄い速さでゴチャゴチャ動いているのが、瞑っていても分かる程瞼の表面が動いている。
443 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 23:23:54.46 ID:8ii+Wijf0
えええええ
キョン、おま・・・
444 :1:2009/10/05(月) 23:24:25.61 ID:IsnQjFo50
「…………完了した」
頭を元に戻し長門はやっと目を開いた
「だから何がだ!それより今のは…」
「メールの発信源」
あっ!……すっかり忘れていた。そういえば今日はラスト1日だったな。古泉は何か起きるとか言ってたが、その前に世界の方が先に終わっちまったよ。
447 :1:2009/10/05(月) 23:25:53.71 ID:KDO9ZdGiO
それに今さら分かったところで…
「状況は全て把握した、そして今。たった今この惑星を正常に戻す方法が確立された」
「え…本当か長門!?」
ゆっくり。いつも通り僅かに長門の首が動く。
でも一体なんで今?ハルヒのあの記憶がやっぱり鍵だったのか?
いや!そんな事はどうでもいい!世界が戻るんだ!朝比奈さんも古泉も、そしてハルヒ!お前もだ!推理小説よろしく後日談の真相は、みんなで再生を喜びあったその後でもいいじゃないか!
448 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 23:26:29.30 ID:IsnQjFo50
「長門。お前は今回もやってくれたな。思念体とやらを見返してやれ!」
一心に喜んでいる俺を見つめながら長門は一言
「それには説明ののち状況を理解したアナタの協力が必要不可欠」
正座し直し、こちらを見上げる。
その目は何故か少し切ないそうだった。のは気のせいか?
「あ…あぁ、一人で舞い上がっちまってスマン。つい嬉しくてな」
当たり前だ。朝比奈さん達やみんなが元に戻るんだ
「じゃあ今の状況を説明してくれ」
そしてサッサとやっちまおうぜ
450 :1:2009/10/05(月) 23:28:01.23 ID:IsnQjFo50
「了解した。先ず結論から説明する。世界を元に戻す事は可能」
あぁ。それは分かったよ、で俺は何をすればいいんだ?なんだってするぜ
「そして。そしてそれにはアナタが元の世界に帰る必要が生じる」
そんな事でいいのか。元の世界に…
「って、え?」
ごめんもう一回解るように言ってくれ意味が分からん
「つまりアナタはこの世界の人間ではなく、元々違う世界の人間」
「な、何を言ってるんだ長門?さっきのハルヒの記憶の俺の事か?あれはどうせハルヒの能力かなんかで…」
「違う」
違う?違うって何がだ
451 :1:2009/10/05(月) 23:29:08.20 ID:IsnQjFo50
「涼宮ハルヒにはあの時点まで願望実現能力は備わっていなかった。願望実現能力を有していたのは…」
「アナタ」
「え?」
それ以外の言葉が出るわけなかった。
だってちょっと待ってくれ。俺にはそんな大それた力があった記憶なんてないぞ。自分が書いた落書きが宇宙語になったことも、夏休みを終わらせたくないからって時間を切り取っちまったこともそんな事一つも俺の記憶にはないぞ
453 :1:2009/10/05(月) 23:30:31.06 ID:IsnQjFo50
「先ずメールについてから説明する」
頭が追い付ききっていない俺を無視して長門が続ける
「あのメールの発信源は過去から。そしてメールを送信したと思われるデバイスのデータを読み取るだけである程度の状況が把握できた」
あぁまた100m程離された。こんなんじゃ一生追い付けないぜ
「涼宮ハルヒの記憶とメールの発信源との情報からある結論が導き出された。アナタは朝比奈みくるらが存在する未来より更に遠い時空延長線上の世界からやって来た。人間の感覚で考えた場合1万2千年程の未来」
長門、お前は一体なんの話をしてるんだ?言ってる事が全然分からないぞ
「そしてその時間平面は朝比奈みくるらの時間平面上と科学力のみの視点で比較した場合、その差を分かりやすく比喩させると、およそこの惑星に置ける石器時代と現代文明程度の差が確認される。しかし」
俺を置いてけぼりにして走り続けていた長門が一旦休憩とばかりに止まった。
かと思いきやまた全力疾走を始める
457 :1:2009/10/05(月) 23:32:17.62 ID:IsnQjFo50
「しかしその時間平面上では惑星は荒廃し、崩壊が進んでいた。
そう。まるでアナタ達が異世界と呼称する場所と極めて近い存在。そして早急に打開策を導き出さなければならなかった。
そこで導き出された結果は過去の改変だった。それまでの人類が行ってきた様々な事柄がその崩壊を引き起こした原因だった事は明らかであった。代表例に。戦争、資源搾取、この惑星の衛星への居住計画の失敗、そしてそれに伴うケスラーシンドロームの発生。
尚現在、この文明で早急とされている地球温暖化問題は全くと言っていいほどこの問題との因果性は皆無」
全然頭は追いつかんが。じゃあ最後の事柄は現代人が騒ぎすぎてるだけって事か?
「そこは蛇足」
スマン
「そしてその平面上の人類は惑星の崩壊を事象ごと抹消するため。過去の人類が行ってたきた事との因果関係をねじ曲げる必要があった。そこで造られたのがアナタ」
俺!?
464 :1:2009/10/05(月) 23:35:34.30 ID:IsnQjFo50
「アナタはその時代の人類が創造したデバイスを受け入れられる数少ない器だった。とても希少。
そしてそれを身につけたアナタには過去へ行き指定された、ある場所ある時にその力を使うという任務が課せられた。
その数108。それら全てを遂行した場合に限りその時間平面に置ける惑星の崩壊は防がれる。
なぜなら惑星崩壊ほどの情報量を一気に書き換える事はその時代の人間にも不可能であった。しかし唯一の器であったがため無理矢理任務を命じられたアナタは3つ目の任務が終わったのち、この時間平面でいったおよそ四年前。涼宮ハルヒと出会い任務を放棄した」
最低だな…俺。
「この時アナタの中には願望実現105回分に相当するエネルギーの内103回分を涼宮ハルヒへと受け渡した。
ちなみにアナタから涼宮ハルヒへとエネルギーが受け渡された際、その莫大なエネルギーによりその公園一体だけが一瞬十日分ほど過去へと遡った。
コレが私や古泉一樹、朝比奈みくるらが口々にいった三年前の出来事。我々はこれを情報フレアと呼称した。よって、古泉らの能力が覚醒したのはその日より十日前。私が造られたのもそう。そして涼宮ハルヒの第一の願いはあの宇宙文字」
467 :1:2009/10/05(月) 23:37:31.64 ID:IsnQjFo50
「なんで、全部じゃなかったんだ?」
そこで初めて口を挟んだ俺にビックリしたのか長門は五回ほど瞬きして答えた
「アナタの中にあるデバイスにはエネルギーが空になった時点で強制的に未来へ送還するプログラムが組み込まれている。
これは任務終了後アナタがその時代に取り残されないための措置。しかしアナタはアナタ達人間が言う所の普通を手に入れたがっていた。
アナタは涼宮ハルヒよって感情になんらかの変化を起こし未来に帰る事を拒否する考えにいたった。よって自分の中に二回分のエネルギーを残し。アナタは願った」
「普通が欲しいと。なにもかも忘れて普通の家族、普通の友達、普通の生活。それが欲しいと。そして今のアナタがいる」
そこまで言った段階で長門は黙っちまった。なぜかは分からない。もしかしたら俺の顔に浮かんでる表情が余りにも混乱に満ちたものだからだったかも知れない。
470 :1:2009/10/05(月) 23:39:26.76 ID:KDO9ZdGiO
「長門…一回だけきく」
頷く
「全部本当なのか?」
「そう」
瞬間体から全ての力が失われ俺は両手を広げて仰向けに倒れた。
「うそだろ…そんなベッタベタの設定B級映画でも少ねーぞ」
天井を見ているんだか宙を見ているんだか自分でも分からない
474 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 23:40:16.73 ID:8l7CzEOwO
だからキョンは普通なのか!
476 :1:2009/10/05(月) 23:40:49.65 ID:IsnQjFo50
「じゃあメールはその過去の俺が送ってきたのか?」
「そう。過去のアナタに未来を知る事は容易。あの後涼宮ハルヒと別れたアナタは、一度自分が選んだ未来がどうなるかを確認しに来ている。
涼宮ハルヒと再開する事も現在この様な状況に陥る事もアナタは知っていた。それでもアナタは普通を選んだ。メールの文面にあった残り日数とは、古泉一樹らが仮定した何かしらの現象が起こる。
などといったものではなく。アナタと涼宮ハルヒが一緒に過ごせる残り日数。四年後の自分がこの状況に陥る事を知っていたアナタは、世界が終わる7日前の自分へそれを暗示させるためメールを送信した」
つくづく古泉の推理は外れるな
「なんでそんな事…」
「私には分からない。が。アナタ達の心理学で計った場合恐らくそれは」
「罪悪感」
…………くっそ。なんてこった…今まで俺がハルヒに巻き込まれていると思ってたし、実際そうだった…でも…でも……
478 :1:2009/10/05(月) 23:42:43.25 ID:IsnQjFo50
本当に巻き込んじまったのは俺じゃねぇか…
俺が自分勝手にハルヒを巻き込んだ。俺が世界を終わらせた。
それも二つも。
遠い遠い。果てしなく遠い未来で俺が任務を終わらせると。惑星の崩壊を止めると。そう期待してる奴らも裏切った。
「最低だな…俺は」
「でもこの世界のみはまだ戻せる」
あぁ、ここまで言われれば俺だってどうするのかは分かってるよ。
そう思って体を起こした、その時だった。
いつか朝倉に起こった現象そっくりに長門の体が半分粒子になって消し飛んだ。
481 :1:2009/10/05(月) 23:45:10.15 ID:KDO9ZdGiO
「!?な、長門!」
長門の瞳にはかつてないほど感情が露わに浮かんでいた。悲しい。その感情が
「シールドの浸食率が100%を超えた。私はここまで。アナタには世話になった。世界を終わらせたのはアナタ。でも救えるのもアナタ。涼宮ハルヒは学校にいる」
長門の体はすでに首から下はない
「長門ぉ!俺が…俺が絶対に元に戻す!だから…だから少しだけまっててくれ!!」
消える直前長門は確かに言った
「ありがとう。さようなら」
482 :1:2009/10/05(月) 23:46:10.15 ID:KDO9ZdGiO
質素ながらも多少、彩色あった長門の部屋も今はただの白黒写真のように変わってしまった
「待ってろよ長門」
それだけ呟いて俺は部屋を後にした
483 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 23:46:21.62 ID:KtiQub7g0
うおおおおおお長門があああああ
486 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 23:47:14.28 ID:4nHdiTB+0
な、ながと・・・?
・・・・・・ながとおおおおおおあうあああ
487 :1:2009/10/05(月) 23:47:32.43 ID:IsnQjFo50
「キョン!」
学校に着いて一目散に部室へ向かった。ハルヒが学校でいる場所つったらそこが一番可能性が高いのは俺でも分かる。
俺を見つけられてハルヒは心底安心した表情を浮かべる
「良かったわ…あの後急にめまいがして…気づいたら自分の部屋で、携帯もずっと圏外だし外は化物がウロウロしてるし…だから部室に来れば…そうすればキョンが来てくれるかなって思ったのよ…」
それだけ言うとハルヒはシュンとしおらしくなって俺へ問いかけた
「…私…私のせいなのよね全部…みくるちゃんを…古泉くんを…有希を…全部全部私の…
「それは違う」
自分を責めたてるハルヒを何とか制止して、俺はコレがハルヒとの最後の時間なんだと自分に言い聞かせ、頭の中でハルヒに伝えたい事を思い浮かべる
しかし。窓の外を見ると、やはりハルヒの精神にまだ多少影響を受けるのか。校庭から続々と神人達が生まれてきている。時間は少ない。なら…ならば俺がハルヒに言うべき事は…
489 :1:2009/10/05(月) 23:48:47.53 ID:IsnQjFo50
「ど、どうしたのよ…真剣な顔して…」
「ハルヒ…」
「…何?」
「俺。未来から来たって言ったら笑うか?」
「………もう何だって受け入れるわよ」
「そうか。ありがとう」
「あ、あんたが未来人だろうと異世界人だろうと…だろうと………私は……」
「ハルヒ」
「な、何…?」
「好きだ」
「……え?」
「お前は?」
「……す、好き…」
「ありがとう」
493 :1:2009/10/05(月) 23:50:13.10 ID:IsnQjFo50
引き寄せ思い切り抱き締める。どうやらハルヒは抵抗しないでくれるみたいだ。
外では神人が俺へと近づく。今なら分かる。
アイツらは俺が脅威だと知っている。意志が、自我が発生している。俺に消される前にハルヒごと俺を叩き潰すつもりだ。
でも…でもそうはさせない…!
「ありがとうついでにに今付けてるカチューシャもらうぞ」
「あ!ちょっと!」
マフラーの仕返しだ
「ハルヒ!」
「な、何よいきなり抱き締めたり人の物とったり大声出した…!?
俺は二度目のキスをした。今度も俺から強引に。でも、今回は閉鎖空間から抜け出すために仕方なくじゃなく。自分の意志で。
ハルヒが好きだから
499 :1:2009/10/05(月) 23:53:47.87 ID:IsnQjFo50
巨人がのそのそと近づいてきやがる
「ハルヒ。わりぃな。ここでお別れだ!」
「…え?」
「お前はいつか言ったな。あれは…コンピ研に勝負を挑まれた日だったかな…
誰であろうとも自分自身と等価交換できるモノなんか、この世のどこを探しても見つかりはしない!ってな…」
でも…でもな…ハルヒ。俺には…俺にはそれが見つかっちまったんだよ
「お前と過ごせた一年間はマジで死ぬほど面白かった!
今気づいたよ。俺はゴミ捨て場で初めて会った時からお前に惚れちまってたんだよ!
帰らなきゃいけなかったのに一年があっというまに過ぎた。お前たちといるのがあんまりにも楽しくてな。
本当に悪い!もう一度でいいからお前の浴衣姿…見たかった!」
神人はもう旧館の目と鼻の先まで来ている。部室のなか全体が神人の青白い光に埋め尽くされ、奴が腕を振りかぶったのが見えた。旧館ごと叩き潰す気だ
「え!?ちょ、ちょっとキョン!どういう事よ!?」
部室の天井…いや、天に向かって俺は自分の力の全てを注いで叫んだ
502 :1:2009/10/05(月) 23:54:34.05 ID:IsnQjFo50
「頼む!全てを戻してくれ!!コスプレが似合ってお茶が好きな朝比奈さんがいて!余裕のムカつく笑顔を浮かべられる古泉がいて!隅で楽しそうに長門が本を読んでる、そして…そして………」
眩しい…神人の腕が窓に近づくにつれて部室の色は青から白へと変わっていく
「ハルヒが心から笑っていられる!そんな…そんな世界に戻してくれぇ!!!!!!!!!!!!!!」
泣くなよ………ハルヒ…
光に包まれながら俺達はもう一度キスをした
516 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 23:58:13.23 ID:0r2XAQixO
あなたと過ごした季節が~
521 :1:2009/10/05(月) 23:59:37.53 ID:IsnQjFo50
気がつくと俺は夢で見た世界の真ん中に立っていた。
空は血のように赤く染まり、月は俺が知っている30倍程の大きさで。今にも地球に落ちてきそうだ。あぁ…この世界は本当に滅ぶんだ。自業自得だな…
自然と涙が込み上げる。ハルヒから奪った赤いカチューシャを見つめながら。もうハルヒには会えない。あの部室には行けない朝比奈さんのお茶も古泉とのオセロも、長門がたまに起こす奇行に目を細める事なく、この世界と滅んでいくんだ…
地面から突き出した金属片を見つめる。いつもの俺だ
「――――――――」
524 :1:2009/10/06(火) 00:01:43.06 ID:9c3ryagU0
後ろから声がした。あの声が
そうだ…あの女の人にも謝らないとな…
そしてこの世界のみんなにも…
そう心の中で反芻し。俺は意を決して振り返っ…………
「キョン!!!!!!!!」
俺は耳を疑った。いや容疑者なんてレベルじゃない。もう犯人だよコイツは
「ハ……ハル…ヒ?な、なんで?だって…」
「キョン!!絶対行っちゃダメ!お願い!私……私キョンが好きなのよ!だから…だからお願い!戻ってきて!!」
高校生のハルヒは泣いていた。なぜか体中傷だらけ痣だらけでいつかの夢にも勝る勢いで
「――――――――」
526 :1:2009/10/06(火) 00:03:12.40 ID:9c3ryagU0
突然後ろからまた声がした。夢とは違いハッキリ聞こえる。
振り返るとやはりそこには夢の女性
「―――――――」
「え…」
「――――――――」
「……はい」
「―――――――――――――――…」
「俺の本当の名前…」
「―――――――?」
「はい…好きです。命をかけて守りたい」
そう言った俺に女性はニッコリと笑いかけ最後に一言だけ
「いっておいで」
そういい腕をスッと横に振った…かと思うと次の瞬間俺はハルヒの隣に立っていて
529 :1:2009/10/06(火) 00:05:28.21 ID:9c3ryagU0
「うぉ!?…ってかお前なんで…」
「う、うるさい!団長の私に断りなく勝手に消えるんじゃないわよっ!あの後大変だったのよ!」
そう言ってハルヒは俺の足を踏んづける。
「いっ!?なにすん」
「うるさい!口答えしない!それより…」
顔がハルヒの指差す方へと誘導される
そこには先程よりいくほどか距離があるが、あの女性がこちらを見て微笑んでいる
「挨拶しないでいいの?……」
心配に。覗き込むようハルヒは俺に問う
「…………いや………いいんだ…うん」
俺の決心を感じとったのかハルヒは、そっか…それだけ言って姿勢を正す。
532 :1:2009/10/06(火) 00:06:44.71 ID:9c3ryagU0
「それじゃあキョン!しっかり捕まってなさいよ!さっき出来たけど二回も出来るかは分からないわ。けど…まぁ頑張るわ!」
おいおい、最後の最後で不安な事言うなよな…
そう思ったのもつかの間。俺とハルヒが金色の光に包まれる
「出来た!」
ニッコリハルヒはこちらを向き直す。さっきまでボロボロ泣いてた癖によ。
遠くで女性が手を振っているのが光の隙間から分かる。
光の動きがだんだんと早くなっていく
俺とハルヒは手を繋ぐ
「それじゃ!はっしーん!」
ハルヒの掛け声と共に視界が真っ白に染まっていく。
これで生まれ故郷ともお別れなのか…
何もかもが急すぎて思考が追いつかないが、あの女性が俺に言った事とハルヒが俺を連れ戻しに来た事を、俺は漠然とだが頭で理解していた。
そうだ…いつだってそうだったじゃないか。本当に欲しい物があったとき。ハルヒがそれを諦める訳はないじゃないか
意識が淡く散るその瞬間。心の中で一言
「ありがとう母さん」
そう呟いた
そして俺とハルヒは1万2千年後の未来とサヨナラを交わしたんだ
547 :1:2009/10/06(火) 00:09:10.53 ID:IsnQjFo50
真っ白な空間に赤い一本の線
そこを俺達は落ちている
音は何も聞こえない
遥か向こうにあるのはありゃなんだ?
巨大な歯車にも見えるが
次の瞬間ハルヒは赤い線の一点に狙いを定めたかと思うと。俺の手を強く、本当に痛いくらい強く握り直し。そこ目掛けて一気にダイブ開始した。
そして数秒後、ハルヒと俺は赤い線の中へと吸い込まれた。
「うぉあ!?」
556 :1:2009/10/06(火) 00:10:29.97 ID:9c3ryagU0
響いたのは自分の声だけだ
いきなり現れた地面に呆気にとられた、と同時。右半身に衝撃が走る。ほっぺが痛い…
何が何やら分かったもんじゃねぇ。
しばらく放心状態だったが、次第に空中に散らばった意識を集める事に成功し。
俺はここがどうやら見覚えがある場所だということを認識する。
ベットからずり落ちた布団、見慣れた机と椅子…
「俺は…そうか…」
どうやらここは自分の部屋らしい。と同時にある思いが
またこの落ちかよ…
何だ?俺の部屋には時空の裂け目やら、幽霊のスクランブル交差点でも通ってんのか?
562 :1:2009/10/06(火) 00:12:29.07 ID:9c3ryagU0
一応だが確認しよう…今までのは夢じゃあ…ないよな?
自分の体を見てみると服装は変わっていないようだ
なら…
ポケットに手をまさぐり入れ、ある筈の物を探す。
「あった…」
どうやら夢じゃなかったらしい。メイとサツキも大喜びだろうよ
カレンダーに目をやると、今日の曜日は月曜らしい。
そして俺は、翌朝妹が起こしに来るまでの数時間、さっきまであった俺の人生最大にして最悪の、長い一日を振り返ると共にさよならを告げた。
567 :1:2009/10/06(火) 00:16:39.52 ID:9c3ryagU0
翌朝は当然寝不足で這うように坂を上り学校へ行くと。やはり窓側一番後ろの席にハルヒはすでに座っていて、扉を開けた俺の方をパッと一見するとあわてて目を窓の方に戻し。なにも着けていないショートヘアを揺らした。可愛いヤツめ
「よう。元気か?」
机に鞄を置く
「元気じゃないわね。昨日、悪夢…のような一日を体験したから」
ハルヒは平坦な口調ではなく、少しばかり動揺した口調で答える。それは大変だったろうな。奇遇にも俺も大変だったんだぜ。
「おかげで全然寝れやしなかったのよ。今日ほど休もうと思ったのは過去に一回あるだけよ。全く」
「そうかい」
相変わらず硬い椅子にどっかと腰を下ろし、俺はハルヒの顔をうかがった。
カチューシャを付けていないので髪が邪魔でよく見えないが、ただ、まぁなかなか上機嫌なようだ。
そうアヒル口でニヤけるのを我慢しているハルヒの横顔を見つめながら。
「ハルヒ」
「なに」
窓の外から視線を外し、コッチに向き直ったハルヒに、俺はこう言ってやった
「未来で待ってた」
fin 以下後日談
569 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/06(火) 00:17:37.10 ID:l0kwDxCu0
ふぁあああああああああああああん
570 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/06(火) 00:17:55.09 ID:KOmpArTh0
はぁん
571 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/06(火) 00:18:34.02 ID:vXYWEGIW0
ときかけEND・・・だと・・・!?
576 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/06(火) 00:19:26.02 ID:iqTBc8730
まだ乙をいうにははやいぜ
795 :1 ◆I4lqIUhgOc :2009/10/06(火) 07:14:03.72 ID:vFDD2sbwO
その後のことを少しだけ語ろう。
その昼何事もなかったかのようにピンピンした古泉とトイレに行った帰りの購買部で出会った。
「あなたには感謝すべきなんでしょうね」
いつかと同じセリフを同じ爽やかな笑顔で言う
「あの後世界は一瞬にして元戻り、僕も朝比奈さんも長門さんも何とか無事に元通り再生する事ができました。本当にあなたはよくやってくれましたよ。皮肉じゃありませんよ?ただ、その後に少し。一悶着ありましてね」
それは長門さんに聞いて下さい。では、と言いつつ、古泉は俺に手を振った
昼休みに顔を出した文芸部部室では、長門がいつもの特等席で本をよんでいた。
「あの後、アナタは世界を元通りにし、デバイスに組み込まれたプログラム通り未来へと返還された。が、しかしアナタがいなくなった事を悟った涼宮ハルヒはその15分後、再生さるたばかりの私のところへ訪れ。アナタを連れ返す方法を私から聞き出し実行した」
第一声がそれである。あの別れ際、長門が見せた表情は俺の見間違いだったのか?
797 :1:2009/10/06(火) 07:16:49.55 ID:vFDD2sbwO
でもまぁ俺もそれが一番気になっていたんで、その後も長門と俺の一問一答がしばらく続いた。
要約するとこんな感じらしい
まず結論として。現在のハルヒは性格以外を見るならばそこらにいる普通の女の子とさして変わらなくなったらしい。
そして肝心なあの後。
神人が腕を振り下ろし旧校を叩き潰さんとしたまさにその時、俺が俺の中にある最後のエネルギーを使い世界を元通りにした。此処まではいい
が、その後ハルヒは俺が消えたと知るやいなや部室から満身創痍で長門の家まで走り、飛び込み、再生されたばかりの長門にぐちゃぐちゃな顔で、何とかするように頼み込んだらしい。
そしてここからが、毎度お馴染み長門のターンだ。
長門の中にはまだ願望実現を果たすだけのエネルギーがおよそ二回分残っていた。
長門の話によると、このエネルギーは全ての空間で絶対数が決まっており。
なので一回使ったエネルギーを、過去に戻ってやり直し。などは出来ないらしい。
よってあの時点でこの宇宙にそのエネルギーは長門の内にのみしか存在しなかった事になる。
798 :1:2009/10/06(火) 07:18:31.87 ID:vFDD2sbwO
だが、ここで問題発生。
長門自身は自分の内のそのエネルギーには関与できない。
クソったれな思念なんちゃらが、ハルヒに返しきれず長門の中に残留してしまったそのエネルギーと長門との接触をロックしちまったからだ。
そこで長門は懇願するハルヒを前にして、決意した。
ハルヒを自分のソースの中へとダイブさせハルヒに残留エネルギーを明け渡すと。
コレはなかなかの賭けだったみたいだ。
一歩ハルヒが間違えれば長門がバグっちまうし、そしたらハルヒもただじゃ済まない。
だが、ハルヒは見事エネルギーの抽出に成功。そのまま、一回分のエネルギーで俺にもう一度会いたいと。
そして、二回目の願いで俺と一緒に現代へと。そう願ってくれた。そのおかげで今俺はここでこうしていられる。
799 :1:2009/10/06(火) 07:20:22.01 ID:vFDD2sbwO
あぁちなみに後で分かったんだが。ハルヒの3つの願いが及ぼした効果は
一つ目はあの昼寝の10分延長。まぁなんとも間抜けで勿体無い…
そして先に三つ目を言うが、当然あの銃だ。
古泉の組織がその日、力の余波を検出した数は1つ。その日の撮影の時点では、まだピストルはただの玩具だった。
よって、あの日の夜。古泉は心配しなくていいですよと言ったが。
まさにその瞬間玩具のピストルは本物の銃へと変化していたって訳だ
重みの差で分かりそうなものだが、元々ある程度重いガスガンだったのが致命的だった…
という事は牛丼はホントにただの偶然。そういうことになる。まぁハルヒは茹で玉子がよかったって言ってしな。
本物に願ってたなら牛丼も茹で卵も一食単な筈だろう。
800 :1:2009/10/06(火) 07:21:40.21 ID:vFDD2sbwO
そして俺がどうしても思い付かなかった二つ目。
聞いてみて納得したし、そんな事かよ!と思ったが、仕方ない、だってコレはハルヒにしか分からん筈だ。
火曜の放課後、部室でメールについて話し長門と途中まで下校して…そこでその後、偶然、ハルヒに出くわした。
少なくとも俺はそう思っていた。が、どうやらコレは違うみたいで、ハルヒ曰わく。
「ちょ、丁度アイスが食べたくなって、あんたを見かけたら奢らせてやろうかしら。なんて思ってたら、あんたがアホ面さげて現れたのよ!」
らしい。
その後、別にあんたと会いたかった訳じゃないわよ!といつも通りの強情ぶりを見せてそっぽを向いた。
通りであの日、気分上々だった訳だ…
801 :1:2009/10/06(火) 07:22:33.48 ID:vFDD2sbwO
長門から大方の経過を聞いたその後、上級生の教室へ朝比奈さんの様子を見にいった。
元気な朝比奈さんを見た瞬間抱きしめたくなったのを、隣にいる鶴屋さんのおかげで抑えこむ事に成功し、その後の具合を聞いてみる。
が朝比奈さんに関しては撃たれた記憶さえあやふやみたいで、相変わらず鶴屋さんの隣でふゃんふにゃん言っていた。
802 :1:2009/10/06(火) 07:24:13.13 ID:vFDD2sbwO
そしてその後は俺達SOS団復活パーティーだ。
力が無くなろうがどうだろうがハルヒの性格は相変わらずで。パーティーと呼称されたそれはハルヒが俺達4人へ何で私に黙ってたのよ!と叱咤する所から始まり。
宥める古泉や怯える朝比奈さんにやれ超能力使えだやれ時をかけてみろだと、まるで猛獣使いのごとく強要しだすのを俺は横から見て微笑んで…
という訳にはいかなく。当然矛先は俺にも向いて。といか途中から俺にしか刺さっていなかったのだが、まぁその辺はよしとしよう。
なんたってアイツが笑ってるんだからな
さて。このままハッピーエンドでちゃんちゃんと閉幕したいところだが、そうも行かない。
俺にはまだ…そう、最後のひと仕事が残っていた。
なので、もう少し後の事を語ろう。
804 :1:2009/10/06(火) 07:26:37.40 ID:vFDD2sbwO
その後。
ハルヒに力が無くなった事と長門が言う情報フレアの真相が分かった事により、当然俺達の周りにもそれなりの変化が訪れた。
まず、古泉に関してはただのイケメンに成り下がった様子で。
「これからは普通の親友として仲良くしましょう」などと抜かしやがった
先ず普通の親友とはなんだ、それに俺がいつ親友になった!
機関や閉鎖空間に縛られることが無くなって爽やか度は日々上昇の一途を辿っている。
ただ俺は忘れない。あの日お前が開き直った事を。
蛇足だが事件後のゲームの強さといったら…やはり接待プレーだったのかコイツ。コイツから不信感は一生拭えそうにない
805 :1:2009/10/06(火) 07:28:43.70 ID:vFDD2sbwO
そして長門。
意外にも俺達の中でコイツが一番変化が少ない。
ハルヒから自立進化の可能性が無くなったからうんちゃらで、その思念なんちゃらに放棄もとい解放された長門は、どうやら自由を手に入れた事が分かっていないらしく。
今も今まで通り部室を開ければ大体先着していて指定位置で本を読んでる。
でもまぁ前に比べれば僅かだが感情を出すようにはなったかな。
806 :1:2009/10/06(火) 07:29:34.90 ID:vFDD2sbwO
んでハルヒだ。
コイツのまぁ説明不要なまでの奇天烈っぷりは現在も遺憾なく日々発揮され。
俺達を相変わらずブン回しながら練り歩いてる。
ついでに言うと俺達の関係もSOS団団長および団員から進む事もなく、普~通に毎日雑用としてこき使われている。
818 :1:2009/10/06(火) 08:02:27.15 ID:vFDD2sbwO
そして最後に朝比奈さん。
結論から言ってしまうと、彼女元いた未来へと帰っていってしまった。
ハルヒも別れ際わんわん泣いて引き止めたのだが、こればっかりは能力を持たないハルヒにはどうしようもない。朝比奈さんにも向こうで家族や大事な人がいるのだから。
ハルヒも最後は泣く泣く帰る事を了承し、土産にカエルの着ぐるみを大事そうに渡していた。
当の朝比奈さんも、顔をぐちゃぐちゃにしてそれを受け取ると、最後に俺達一人一人に手紙を渡して未来に帰っていった。
そう。この手紙に記してあった事が俺の最後のひと仕事のそれだった。
850 :1:2009/10/06(火) 09:52:20.48 ID:vFDD2sbwO
「待ってました朝比奈さん」
夜の部室で俺は時間ピッタリに姿を表したその女性と挨拶を交わす
「今晩わキョンくん。久しぶり?かな。私はそうでも無いんだけどね」
舌をペロッと出してそうフフと笑っている女性は、そう朝比奈さん(大)だ
しかし急に頭を下げて
「ごめんなさい…ずっと連絡しなくって。私達の方もあの後、いろいろ…すっごく大変で…」
本当に申し訳なさそうに俯く朝比奈さん(大)に俺も、いやいや終わったことですしと定型句で返し、呼ばれた理由を訪ねる。
852 :1:2009/10/06(火) 09:53:56.26 ID:vFDD2sbwO
「あの後私達も未来で例のアドレスの発信源を突き止める事に成功したの。
時間平面上のある一点だけなんですけどね。
それに長門さんみたいに突き詰めたところまでは分からなかったけど。
それでも過去の一瞬だけ、どの時代にいたのかまで特定したんです…」
「それって凄いじゃないですか」
そのハズなのだが朝比奈さんの顔はどうにも優れない
「実は…その後、先に相手の方から我々にコンタクトをとってきたんです…先手を打たれてしまいました…」
ん?そいつってガキの俺の事だよな?
朝比奈さんを困らしてんじゃねーぞ
「それでまた一体どうして俺が?」
879 :1:2009/10/06(火) 11:57:04.32 ID:vFDD2sbwO
「その…その方があなたにどうしても会いたいと言っているんです…」
ほぅ…朝比奈さんをパシリにしたのか。あのガキ
まぁ朝比奈さん(小)に渡された手紙に長々と別れを惜しむ内容が書かれていた後。PSとして今から三日後の20時00に部室へ
なんて書いてあるのを見た時から、どうにかなることは予想してましたよ。
「そうですか…分かりました。俺も伝えたい事があるのでいいですよ」
そう言うと朝比奈さん(大)の顔はパァと明るくなり
880 :1:2009/10/06(火) 11:58:04.58 ID:vFDD2sbwO
「本当ですか?よかった…断られたらどうしようかと思ってました…別に既定事項ではなかったので…」
朝比奈さんの安心ぶりを見ると、アイツがワガママ言って困らしたのは明白だな。ここは一つ人生の先輩として説教してやらんとな
「それじゃあ…」
と朝比奈さんが俺に目を閉じるようジェスチャーで促す
「あんまり気持ち悪くならないようにお願いします…」
そう怯えて言った俺に
「ごめんねキョンくん」
とだけ呟くと。そいつはやっぱり突然やって来た。
例の立ち眩みの激しいバージョンだ
俺の脳みそをこねくり回して意識だけかっさらっていくと。じゃあな、あばよとさっさとどっかに行っちまいやがった。
881 :1:2009/10/06(火) 12:00:01.81 ID:vFDD2sbwO
意識が復活したとき、俺の体はやっぱり地平線と平行になっていて。
垂直に立ってあるはずの樹木が俺には横に見える。
「ここは…あれ?朝比奈さん?」
今までの経験上てっきりあの公園に出るもんだと思ってた俺は少々面を食らった。
そこは昼の学校。日付はよく分からん
俺は校庭の隅の雑木林に寝そべっていた。
朝比奈さんの姿が見えない…
まぁ用が済んだら迎えに来てくれるのかな
そんな事をまだ起ききらない頭でボーと考えていると不意に後から声をかけられた。
「おぉ本当に来たんだ」
まだギリギリ声変わりしてるかしてないかの子供の声だ
883 :1:2009/10/06(火) 12:03:00.97 ID:vFDD2sbwO
「うん?」
声の具合から微妙に生意気感が漂っている。
セリフから察するに恐らくは…
「よう」
言ったのは俺だ
振り向いたそこには、ハルヒの記憶…いや、家にある何枚もの写真に写ってる少年がいた。
「悪いね呼び出しちって」
あぁお前が来るのが筋だろう。
「あぁお前が来るのが筋だろう」
別に遠慮する相手でもないので思ったこと言ってやる。
884 :1:2009/10/06(火) 12:08:15.31 ID:vFDD2sbwO
「いや、それは無理なんだ」
言ったのは俺じゃない。
「どういう事だ?」
「うーんなんて言えばいいかな。あの事件はどっちに転ぶのか、実を言うと俺にも分かんないんだよ」
うん?お前は自由に時間を行き来できるんじゃねーのか?
「うん。まぁある程度はね、大体一万年程度は行き来できた。任務にも必要だったしね。
今はもっと短い感覚だけど。
だからお前とハルヒがワゴンに轢かれそうになるのも知ってたし。
でもあそこが俺が影響できる臨界点だったんだ。あれ以上はどうやっても関与できなかったんだよ。胸の大きなお姉さんも言ってなかった?」
うん?言ってる意味が分からん。お前にお前と呼ばれる筋合いはない。
それに朝比奈さんを胸の大きなお姉さんよばりとは!お前の未来の唯一のオアシスだぞ!
886 :1:2009/10/06(火) 12:11:10.46 ID:vFDD2sbwO
「まぁそんな難しい事はいい」
自分より4歳近くも年下にペラペラ自分が知らない事を喋られるのは予想以上にイラッとしたのでさっさと本題に入る事にした。
「で?なんでわざわざ朝比奈さんをパシリにしてまで俺を呼んだんだ?」
少年はちょっと照れる仕草を見せたかと思うと。
「いや…ち、ちゃんとアイツと上手くやってんのか気になってさ」
そう言ったっきり顔を赤くして下を向いちまった。
ふっ少し懲らしめてやろう
「アイツってのは誰か分からんなー」
照れるがいい。それも経験だ少年。まぁこの後、この事もなんもかんも全部忘れちまうんだろうがな。
すると少年は顔をパッとあげると平然に
「涼宮ハルヒだよ」
俺ってこんなに切り返え早かったか?
887 :1:2009/10/06(火) 12:13:18.39 ID:vFDD2sbwO
その後も地面に座って他愛のない話やちょっとばかし未来の話をしてやり。
そして、そろそろ学校も終わる頃になると
「…ふーんアイツってやっぱ変わってんだな…さて。それじゃあそろそろいくよ。この時代のアイツもちょっとからかってやりたいし」
そう言っておもむろに少年は腰をあげた。
んーと伸びをする少年はやっぱりまだまだ子供で。とてもそんな星を救う救世主だったとは思えない
そんな少年を見ながら俺はあの日長門に言われた事がどうしても気になって聞かずにはいられなかった。
889 :1:2009/10/06(火) 12:14:19.02 ID:vFDD2sbwO
「…………やっぱり後悔してんのか?」
一瞬表情が曇って
「…まぁちょっとはね。でも…もう戻せないから…」
そう言うと続けて
「あのさ…」
「ん?」
「…家族とはうまくやれてる?」
そう言ってとても、まるでこっちが申し訳なくなるような切ない顔をした
「あぁ。安心しろ。母さんも父さんも本当の俺の親だよ。それにな、なかなか可愛い妹もいるんだぜ。毎朝デッカい声でお越しにくるのは少々こたえるけどな」
890 :1:2009/10/06(火) 12:18:33.99 ID:vFDD2sbwO
それだけ聞くと少し安心したのか
「そっか」
それだけ言ってまた顔を上げ向き直る。
学校の時計はそろそろ終業のチャイムが鳴る時間だ
「それじゃあ…バイバイ」
そう言って少年は背中を向けて旧校舎の方へと歩いていった…
あ。
ここで伝えなければいけない事があったのを思い出す
891 :1:2009/10/06(火) 12:20:32.08 ID:vFDD2sbwO
「おーい」
15m程離れた少年が振り返る
「あのなー。か…………」
ここで終業のチャイムが鳴るちくしょうタイミングが悪い
「あー?聞こえないよー!」
「あー!のー!なー!」
少年が耳をすませる
「母さんが風邪ひくなってよー!」
893 :1:2009/10/06(火) 12:21:33.68 ID:vFDD2sbwO
その少年は一瞬目を見開いた後下唇をギュッと噛み今にも涙が溢れそうな顔で
「…う゛んわがった!」
それだけ言うと今度こそ旧校舎の方へ歩いて消えていった。
その背中を見ながら俺は心で一言。世界で一番ありふれた言葉を本当に一言だけ呟いた。
頑張れよ
898 :1:2009/10/06(火) 12:25:11.57 ID:vFDD2sbwO
その後、朝比奈さんを探して校門をウロウロする俺を最悪にもハルヒが発見するという、
もしかしたらパラドックス的なトラブルに発展するかもしれない危機に陥るが、しかしコレはいい機会かも知れないと思い。
返し忘れてずっと内ポッケに入っていた赤いカチューシャを返すついでに日頃思ってる事を言ってやった。
だって困るのはこの時代の俺であって俺じゃあないからな。
ハルヒは俺の言葉が嬉しかったのか恥ずかしかったのか
「ポ、ポニーテールぐらいできるわよ!」
と息巻いてどっかに行っちまった
ようやく朝比奈さんが迎えに来てくれて時空の狭間をさまよっている時に俺は思った。
遠い未来、惑星を崩壊させるのは人間で、ならば逆に考えればそれを防げるのも俺達人間だけなのではないだろうか?
それならば。
それならば自分が。
俺が僅かにでも出来る未来への償いは一体なんなのだろう?
なんて哲学的な事を考えながら目を覚ました俺の枕元には、いつもと変わらない朝がきているだけだった
fin
903 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/06(火) 12:27:21.42 ID:h5v9uRPo0
乙
感動した
お前はもう谷川だ
904 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/06(火) 12:28:09.01 ID:MHScen5i0
乙
楽しかった
909 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/06(火) 12:29:14.91 ID:KwRQH2ZZO
面白かった!
ありがとう!
917 :1 ◆I4lqIUhgOc :2009/10/06(火) 12:35:29.66 ID:vFDD2sbwO
述べ3日
僕の単なる趣味にお付き合い下さいまして本当にありがとうございました
とても小説を書く語彙力で見苦しい点多々あったと思いますが。
最後までよんでくれた方
支援してくれた方
荒らさないでくれた方
本当にありがとうございました
今はただの学生ですが僕もいつかハルヒみたいな小説をかけたらいいなぁと日々思っております
途中あまりに褒められたので、どっかに釣りスレでも立ってんじゃないかと疑いましたがw
ですが素直に喜ばしていただきます
僕がここにいた証を付ける事をどうかお許し下さい
それではさようなら
本当にありがとうございました!
読み物:ハルヒ
お絵かき掲示板
画像掲示板
翌朝も携帯を開くと案の定、差出人不明のメールが来ていた。
残り2日か…
朝比奈さん(大)のあのリアクションを見る限り。俺達はどうやら、このメールを楽観視しすぎていたらしい。今頃になって俺は若干焦りを覚え、背中に嫌な汗を感じる。
一体送り主は誰なんだ…
そうこう考えている内に俺達は、昨日の廃工場まで来ていた。
どうやらハルヒは本気で今作に出演する気なようで。ドラキュラの衣装に身を包んでいる。こんにちはあららぎくん
「さぁ!最終日なんだからバシバシいくわよ!」
日曜の朝ぐらい寝ていたかったぞハルヒ。
そう心の中でだけ悪態をつきながらも、撮影自体は順調に進んでいった。
291 :1:2009/10/05(月) 21:01:49.76 ID:IsnQjFo50
「はいカットぉぉ!」
工場にハルヒの絶叫が響きわたり。古泉と長門の出番の終わりを告げる。
ちょうど昼もすぐなので俺はハルヒに昼食の調達を申し出た。
「う~んまぁいいでしょ。有希と古泉くんよろしくね!」
次は初のハルヒ出演シーンだ。
どうやらハルヒは撮影が待ちきれないらしく、長門らにそれだけ言うと。
「さぁキョン!我らが団長の初演技よ!バッチリしっかり納めないと死刑だからね!」
指先でクルクルとオモチャの銃を回して俺にそう叫ぶ。
289 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 20:56:34.54 ID:5qhqrmfW0
アドレスないんぢゃなかたっけ?
292 :1:2009/10/05(月) 21:05:26.99 ID:IsnQjFo50
>>289
アドレス自体はあります。誰のか不明なだけで
皆から注文を受けた古泉は。それじゃあ行ってきますと長門を引き連れ工場をあとにした。去り際長門が一度振り返り、名残惜しそうな目でこちらを見つめて行ったが。そんなに撮影が楽しかったか、長門。
「それじゃあ、ちゃっちゃと撮影に入るわよ!みくるちゃん!」
「は…はい!えと、…えと。次のシーンは…」
昨日の夜、一瞬でアドレスを覚えた朝比奈さんとは違い。朝比奈さん(小)は人差し指を下唇に付け、昨日ハルヒから説明された事を必死で思いだそうとウンウン唸っている。でもそんな朝比奈さんの方が似合ってると俺は思いますよ。
293 :1:2009/10/05(月) 21:10:27.79 ID:IsnQjFo50
えーと、確か次のシーンは。
長門有希を操っていた黒幕ハルヒ涼宮が。長門との激闘を終えた朝比奈ミクルの背後から銃でいきなり不意打ち。という、なんともハルヒらしい登場だったな。
「じゃあ、みくるちゃん。あなたは、激闘直後の感じでハァハァしながら私に背を向けて、そこに立って。んでキョン、アンタは私達二人を真横から撮るのよ!ふふ、観客どものミクルーうしろー!って声が今にも聞こえてきそうだわ!!」
ハルヒー精神科!精神科!
そんな訳で、ファインダー越しに二人を覗きみる。
お…おぉ
295 :1:2009/10/05(月) 21:14:50.55 ID:IsnQjFo50
冬の乾いた空気を通過した太陽光が、崩れ落ちた天井の隙間からハルヒと朝比奈さんの背中を照らす。
埃がいい具合に舞ってることもあり、ファインダー越しに見るその光景はなかなか幻想的であった。
しかし…
しかし…なんだこの胸騒ぎは…
なぜか…なぜだかは分からないが、俺はその画に物凄い不気味かつ不安な感情を感じた
予定では、俺のスタートの合図とともハルヒが朝比奈さんに向けて引き金を引く。もちろん、ただの爆竹だが
297 :1:2009/10/05(月) 21:19:44.04 ID:IsnQjFo50
一抹の不安を覚えながらも。クライマックスにもってこいの瞬間を逃す訳にはいくまいと俺は、ハルヒに準備OKの合図をだす。後は「スタート」と叫ぶだけだ。
「よし!それじゃあ、ス!……うん?」
突然マナーモードにしていた携帯がポケットの中で暴れ回る
カウントダウンメールは深夜来るから違うな…日曜のこの時間に送ってくるってのは谷口か国木田だな
そう思いポケットから携帯を…
「ちょっとキョン!!なにチンタラしてんのよ!とっとといくわよ!」
怒られちまったじゃねーか、谷口および国木田よ
「わかったわかった」
298 :1:2009/10/05(月) 21:21:31.56 ID:IsnQjFo50
ポケットに入れかけた右手をカメラのボタンに再びかける
「よし!次こそいくぞ!よーーーい」
「スタート」
301 :1:2009/10/05(月) 21:24:52.65 ID:IsnQjFo50
パン!
やけにあっけない破裂音が鼓膜に響く
二秒ほどの静寂
「…え?」
呟いたのは俺じゃない。多分ハルヒだ
気がつくと俺は三脚を蹴り倒し走っていた
朝比奈さんの元へ
「朝比奈さん!!!!」
303 :1:2009/10/05(月) 21:28:14.86 ID:IsnQjFo50
倒れた
朝比奈さんが倒れたのだ。演技でもなんでもない。
天井からの後光に包まれたハルヒの右腕がゆっくりと上がり、引き金に指を掛ける
朝比奈さんの背に狙いを定め…………引き金を
《引いた》
ハルヒが引き金を引いた
その瞬間だった
何かが朝比奈さんの体を通り抜け。言葉にならない悲鳴をあげた朝比奈さんは、バネのように体がのけぞり。
そのまま前方に倒れてしまった。
304 :1:2009/10/05(月) 21:29:26.14 ID:IsnQjFo50
俺はフラッシュバックした映像を脳裏に感じながら朝比奈さんを抱き起こす
「朝比奈さん!朝比奈さん!!」
「な、な、なんで…だ、だって…オモチャでしょ…コ…レ」
「ハルヒ!いいからすぐ古泉に連絡しろ!!」
「だって…」
ハルヒは目の前に広がる血の海を茫然と眺めるだけだった
「クソ!一体どうなってんだ!朝比奈さん!返事をして下さい!朝比奈さん!」
「キ…キョ…ンくん」
「!」
良かった!意識がある!
305 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 21:31:00.79 ID:5qhqrmfW0
oh.....
308 :1:2009/10/05(月) 21:32:27.26 ID:KDO9ZdGiO
「大丈夫ですか!?朝比奈さん!しっかりして下さい!すぐに助けを呼びますから!」
「わ…わた…し…どうなっちゃっ…たんです…か…?」
「銃が!ハルヒの銃が…クソ!」
朝比奈さんから目を離し、急いでハルヒを視界に捉える
「いや…嘘…いゃ…いやぁぁぁぁぁ!」
ハルヒは銃を見つめながら床にへたり込み。ガタガタと震えて泣き叫んでいる
始めてみるハルヒのそんな姿に俺はビックリした気もするが、そんなこと今は関係ない!俺が!俺がなんとかしなければ朝比奈さんが!
309 :1:2009/10/05(月) 21:35:11.89 ID:KDO9ZdGiO
「馬鹿野郎!!ハルヒ!お前はSOS団団長だろ!しっかりしろ!!」
「あ…ぁ…でも……でも…みくるちゃんが…うっう…う」
クソ!今のハルヒに何を言っても駄目だ!頼む!誰か!誰か!!!
「涼宮さん!」
聞き慣れた声が背後から勢いよく飛びだした。
古泉だった。傍らに長門もいる
「古泉ぃ!直ぐに病院と救急車の手配をしろ!」
古泉はすぐに状況を判断したのか、わかりました!と持っていた袋をかなぐり捨て急いで携帯を開く
「長門!朝比奈さんの傷口を塞いでくれ!この際、火で炙ってふさぐなりでも構わない!」
310 :1:2009/10/05(月) 21:37:31.19 ID:KDO9ZdGiO
すみません朝比奈さん!でもあなたに、あなたに死なれる訳にはいかないんです!
長門はこくりと頷き、ジャンプ一つ一瞬で俺の隣に来ると、俺が必死で抑えている傷口にソッと手をかざす。
ハルヒの目の前だがもうそんなこと知らん!
見る見る内に朝比奈さんの傷口はレーザーの様な光線で塞がれていった。
朝比奈さんが苦痛にうぅっと歯を食いしばる
「な……なに…よ…どう…なってるのよ…」
しゃくりあげながらハルヒは真っ赤にした目を見開いている
314 :1:2009/10/05(月) 21:39:38.73 ID:KDO9ZdGiO
「完了した。しかし私に治癒能力は搭載されていない。搭載されているのは自己修復能力のみ。よって直ちに治療が必要」
「あぁ!古泉!どうだ!?」
「後三分ほどで到着します!一番近い病院には五分ほど!」
よし!それなら何とかなるかもしれない!
古泉にハルヒを任せ。朝比奈さんを抱え、長門を連れて工場の外まで走る。
クソ!
そうだった!
行く手にあるのは、昨日朝比奈さんがスカートを破いた場所。今の朝比奈さんを抱えながら通るのは無理だ!
朝比奈さんを抱え走りながら俺は叫ぶ
「ながとぉ!頼む!」
317 :1:2009/10/05(月) 21:42:42.90 ID:KDO9ZdGiO
俺が言い終わるか終わらないかのうちに、長門は門に飛びかかり。何やら腕を一瞬で何度も十字に振った。
刹那、門がガラガラと崩れ落ちる
でかした長門!
俺達が外に出るのと、法定速度を明らかに無視した救急車が到着するのはちょうど同時だった。
ドリフトをして止まった救急車なんて映画でも見たことないぞ
バン!と後ろのドアが開き、中から救急士と思われる人間が現れ、朝比奈さんを担架に乗せながら、付き添いの方は早く乗って下さい!と早口でまくしたてる
「長門は古泉と一緒にハルヒのそばに頼む!ありがとな!」
またこくりと頷き「問題ない」それだけ言った長門は、出発した救急車の遥か後ろで見えなくなるまでコッチを見ていた
318 :1:2009/10/05(月) 21:45:15.98 ID:KDO9ZdGiO
救急車は尋常じゃないスピードで雄叫びをあげながら、前方車両をかき分けかき分け進んでいく。
出血をホントに止めてよかったのだろうか?内部出血でさらに危なくなったんじゃないだろな?朝比奈さんの手を強く握りながら俺は自分の判断にミスが無いことを祈る。
不意に朝比奈さんがゆっくり口を開いた。ホントに開いただけで声にはなっていない。
「大丈夫です朝比奈さん。必ず助けます!」
「………す…」
「え?」
何か伝えようとしている?俺は朝比奈さんの口元に耳をよせた
319 :1:2009/10/05(月) 21:46:49.00 ID:KDO9ZdGiO
「す……涼……宮さ……んを…………せめない…で下さ…い」
朝比奈さんはそれだけ言ってニッコリ笑ったかと思うと、また気を失ってしまった
「朝比奈さん…」
握る手の力を強めながら俺は後悔する。なんであそこでスタートと言っちまったんだ!嫌な予感はしていた筈だった。それに…
俺はハッとしてポケットの中の機械を開いた。
一瞬。
死んで詫びようとさえ考えた
全部俺のせいだ…
今朝、後悔したばかりじゃねぇか。楽観視しすぎだってよ!この糞ボケ野郎!
メールの文面は以下の通りだった
ハルヒ
止めろ
撮影
銃撃
321 :1:2009/10/05(月) 21:49:11.46 ID:KDO9ZdGiO
あの時。
あの時コイツはまた俺達を助けようとしてメールを送ってくれた。なのに。なのに俺は…
高校生。いや、中学生以上からそんな事をした記憶はなかった。
何もかも解った気になって何事にも無感動。典型的な現代っ子。しかし。
しかし気づくと俺はボロボロ泣いていた。みっともないったらありゃしない
涙が止めどなく溢れる。朝比奈さんが死んでしまうかもしれないから?ハルヒにそれをさせてしまったから?
それも確かにある。だけど。だけど何より自分の情けなさ、馬鹿さ加減が何より悔しくて。
322 :1:2009/10/05(月) 21:51:52.87 ID:KDO9ZdGiO
俺は何にも分かってなかった
ヒントはいくつもあったじゃねぇか…
本物を使いたがっていたハルヒ
それに昨日、古泉が言った能力の余波の観測。
ハルヒはあの時、俺が買ってきた物にケチをつけていた。茹で玉子の方がよかったと。
もし、ハルヒがそれを本当に望んでいたなら、オプションも何もかもひっくるめて思い通りになっているはずだった。
ハルヒの力が働いたのはそこじゃあない。
確かに世界改変や時間の切り取りよりは小さな。ごく小さな作用だったかもしれない。
だが…
だが、それは俺達にとって大きすぎる変化だった
324 :1:2009/10/05(月) 21:54:22.37 ID:KDO9ZdGiO
運転席から到着しましたと声が聞こえ。先程とは違い、救急車はこれでもかと丁寧に停車する。俺がこの前泊まった病院だった。外には既に看護士達が待機しており、瞬く間に朝比奈さんを手術室に連れ去っていった。
俺は握っていた手を離し。閉まる手術室の扉を、向こうの景色が見えなくなっても見つめていた。
ポン
と扉の上のランプが点灯した瞬間、俺は膝から崩れ落ちた。自分が軟体生物なんじゃないかと疑いたいほど体に力がはいらん。
325 :1:2009/10/05(月) 21:56:19.75 ID:IsnQjFo50
同時にハルヒの方が気になり。まるで死にかけた何かのように這いつくばってソファまでたどり着いた俺は、電話帳にある古泉の名前を押す。
「ハァ……ハァ…もしもし!?すみません!涼宮さんは長門さんに…長門さんに預けました!おそらく長門さんの家へ!」
ツーコールで出た電話の向こうの相手は明らかに走っている最中で肩で息をしている。
「ど、どうしたんだ古泉!」
古泉のいつもと違う異常な口調に俺は脊椎動物へと戻される。
問いかけに古泉は息も絶え絶え答えた
「ハァ…ハァ…機関から……機関から非常事態宣言が!」
古泉の慌てぶりは尋常じゃない。皮肉にもその言葉からは、今までで一番俺に古泉の人間味がある感情を感じさせた
327 :1:2009/10/05(月) 21:58:06.70 ID:IsnQjFo50
非常事態宣言?それは国家が出すやつじゃあ…まさか…
「閉鎖空間か!?」
古泉は大声で話し続けた
「ハァ……ハァ…はい!…かつて…かつて例をみない莫大な規模で発生しています!それも複数同時に!」
それは日本の中にだけじゃなく。アメリカ、中国、ロシア。世界の至る所で。そういう意味でだった。
不意に受話器からは風の雑音が消え。古泉の声だけが耳に響いた
329 :1:2009/10/05(月) 21:59:26.94 ID:IsnQjFo50
「頼みます…」
「?」
「世界を…世界を頼みました」
それだけいってプツリと糸が切れた
「おい!古泉!古泉!!」
クソ!次から次ぎへと!
朝比奈さんはとりあえず、医者に任せるしかない。
俺は病院のロビーを飛び出し駅までの道を走り抜ける。いつの間にか小雨が降ってやがる。早朝散歩した時とはうって変わり、俺の目にこの前と同じ景色はない。縦横無尽に建ち並ぶビルや看板は掠れ、線となり俺の後ろへ飛んでゆく
「キミ!」
右から恐らく俺を呼び止める声がした。誰だこんな時によ!
「はぁ…はぁ………あ、あなたは…」
それはワゴンが突っ込んできた日のサラリーマンだった。今はスーツではなく何かの制服を着ていたので一瞬分からなかったが確かにそうだ
331 :1:2009/10/05(月) 22:01:42.17 ID:IsnQjFo50
サラリーマンに送ってもらいなんとか早く長門の家に着けた。
車の中、サラリーマンの話しによると日本だけで10個以上の閉鎖空間が発生しているらしい。それも莫大な大きさの。更にその中で次々と神人が現れ閉鎖空間を拡大していってるとの事。
あなたを無事送り届けたらすぐに私も一樹達の加勢にいきますとバックミラー越しに俺をみつめるサラリーマンの顔は、どこか死を覚悟しているような表情だった気がした。
「俺のせいで…すみません」
それしか言えない自分が嫌いになりそうだ。まぁ元々好きって訳でもないがな…
332 :1:2009/10/05(月) 22:02:49.79 ID:IsnQjFo50
「あなたが謝る必要はありません」
地震が起こって謝る人がいますか?
そうサラリーマンは励ましの言葉をかけてくれ続けて言う
「私達が閉鎖空間をせき止められるのはこのままのスピードなら、恐らく半日間程度でしょう。」
その間になんとかハルヒの気持ちを鎮める方法を…か。
神は一週間で地球を創ったらしい。でも壊す時は一瞬てか?ふざけんな
降り際にサラリーマンは一言
「世界と…世界と私の息子を救ってください」
いって俺に敬礼をした。挨拶程度にする敬礼ではなく。
背筋を伸ばし、まるで将軍相手でもあるかの様な本物の敬礼だった。
334 :1:2009/10/05(月) 22:03:33.78 ID:IsnQjFo50
もう俺には荷が重すぎるなんて言ってられんな。
ペコリと会釈で返し長門のマンションの前に立ち。見上げる。この中にハルヒが…
セキュリティードアは俺を待ち構えていたかのように開いた。
全く…やれやれ
「入って」
出迎えた制服姿の長門の後ろではハルヒが机に突っ伏して泣いていた。
335 :1:2009/10/05(月) 22:05:01.72 ID:IsnQjFo50
「う…うっ…ひっく…」
ハルヒからは完全にいつもの力強さは消え失せ俺が入って来たことにさえ気が付いていない様子だった。
なんて声をかけたらいいんだ…
俺には全く分からない。ただ名前を呼んでやることしか
「ハルヒ…」
「………キョ…ン?」
目を腫らしたハルヒが俺に視線を預け、すがりつく。
「うぅ…ど…ひっく…どうし…よう………!み…み…くるちゃ…んが」
うわぁーん
泣き声を文字にするならコレが一番相応しいだろう。
ハルヒを知ってる奴なら、想像の真反対。いつもの対角にあるであろうハルヒの表情。
とにかく。とにかくハルヒを安心させなければ古泉達が危ない。
さらには古泉達がいなくなれば世界は灰色に包まれ…その先は神のみぞ知るってか
336 :1:2009/10/05(月) 22:06:41.83 ID:IsnQjFo50
「ハルヒ。朝比奈さんなら俺が病院に送り届けた。だから…だからきっと大丈夫だ」
ここで、絶対と言ってやれないのがダメだな…俺は…
「そ…うっ…そんなの…ひっく…わ…分からないじゃ…ない…うっ…ア…アンタ…じ…自分…の体みて…うっ…見てみなさい…よ…ひっく…」
「え?」
かなり聞き取りづらい嗚咽混じりの言葉をようやく理解した俺は自分の体を見回す。
338 :1:2009/10/05(月) 22:07:33.80 ID:IsnQjFo50
「うっ!」
口を抑えた。抑えなければ吐いていたかもしれない。気持ち悪かったからじゃない。不安でたまらなくなったからだ。
心のどこかにあった、《朝比奈さんが死ぬわけない》その根拠の欠片もない希望を打ち砕かれたようで。
俺の胸から下はどす黒い赤に染まっていた。乾ききっていない箇所箇所はまだ真紅に。道理ですれ違う人すれ違う人に凝視される訳だ
「…これ…全部…血なのか?」
知ってた筈だった。気づいてない振りをしていた。でも解らされた。気づかされた。
340 :1:2009/10/05(月) 22:11:13.41 ID:IsnQjFo50
思いだした。
ついさっきまで必死に必死に状況を処理してた。
そのおかげで考えないで済んでいた。
でもハルヒを前にして俺の心が僅かに緩んだ。もう誤魔化せない。
俺はハルヒを見てなぜか安心したんだ。
朝比奈さんでも長門でもない。ハルヒにだけ向けられた感情が俺の中には確かにあった。
と、同時に緩んだ栓から闇色の思いが溢れ出す。
341 :1:2009/10/05(月) 22:11:34.42 ID:KDO9ZdGiO
気が付くと俺も泣いていた。今度は自分が情けないからなんて格好つけた理由でなんかじゃない。ただただ不安で不安で。そんな俺を見てハルヒの不安も更に加速して泣き声の大きさも比例した
「長門…長門ぉ…頼む…なんとか…なんとかしてくれぇ!」
我ながらみっともない。もし上から今の自分を見下ろせたならばどれだけ恥ずかしいだろう。でもそんなの関係ない
「長門…お前しかもう頼れないんだ…」
こんな状況でハルヒのストレスがなくなる訳がない。従って閉鎖空間の拡大は決して止まらない。もう何もかも詰んでるんだよ。
長門…お前はいつだって俺達のジョーカーだったよな?頼む…頼むから!これで最後でも構わない…だから…だから頼む!最後の頼みだ!
342 :1:2009/10/05(月) 22:14:07.20 ID:IsnQjFo50
俺の必死の訴えを真正面からぶつけられた、その小柄な少女は一度静かに目を閉じて考える素振りを見せたかと思うと。再びゆっくり目を開き
「私にはどうにもならない」
一言
それだけ。でも充分。俺を絶望に突き落とすのはそれで充分だった。
「う、嘘だろ長門…お前なら…お前なら…」
長門の両肩を揺さぶり懇願した。が、返ってきたのは
345 :1:2009/10/05(月) 22:15:01.35 ID:KDO9ZdGiO
「私の役目は涼宮ハルヒ及び、その鍵となりうるあなた二人の観察。よってあなた達二人に害がないと判断した場合。
例えこの惑星に置けるあなた達以外の知的生命体が全滅したとしても関与は不可能。尚、その場合私の消滅が含まれるものの場合も以下同文。やりたい、したくないの問題ではない。私には不可能」
そんな…そんな事あるかよ
俺達だけが世界から消える。
その方がまだマシだった。
このままじゃ…このままじゃ
世界だけが俺達を残して消える
348 :1:2009/10/05(月) 22:17:20.12 ID:IsnQjFo50
母が消える
父も消える
妹も消える
朝比奈さんも
長門も
古泉も
谷口も 国木田も
鶴屋さんも
学校のみんなが
街のみんなが
日本中、世界中全ての人が
消える
あの灰色の世界に押しのけられて全部消えてしまう
349 :1:2009/10/05(月) 22:18:06.00 ID:KDO9ZdGiO
ふざけんな…
ふざけんじゃねぇ…
ダメだ
ダメなんだよ
どんなに想像しようとしても。どんなに考えても。ダメなんだよ
誰か一人でも欠けた世界なんて想像できないんだよ!
俺は…俺は……俺はお前達が好きなんだ!!
「ハルヒィ!!」
「な…何…?」
俺の大声にハルヒはビクつき少しだけ自分を取り戻す
「お前に話がある」
もう言うしかない
全てを
包み隠さず今まであった全てを
そしてハルヒに願ってもらうしかない。元の世界に戻してくれと。
352 :1:2009/10/05(月) 22:18:51.37 ID:IsnQjFo50
「昔お前に喫茶店で長門達が宇宙人や超能力者だと話した事があったよな?あの時お前は怒って出てっちまったけどな…あれは」
一度息を呑む
「あれはな…全部本当のことなんだよ」
353 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 22:19:29.23 ID:3BKM+pE/0
なん・・・だと・・・!?
354 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 22:20:04.31 ID:5qhqrmfW0
切り札発動ですね
355 :1:2009/10/05(月) 22:21:01.51 ID:KDO9ZdGiO
赤い目が俺を見つめる
「あ…あんたこんな…こんな時に何いって…」
「お前もさっき長門がした事をみただろう。長門、俺が許す。ハルヒに証拠を見せてくれ」
「涼宮ハルヒに能力を自覚させた場合に起きる事態は予測不可能」
「やらなくても世界は終わっちまうんだ。もうそれしかない。頼む」
357 :1:2009/10/05(月) 22:21:29.78 ID:IsnQjFo50
三秒ほど考え頷いた長門
その瞬間長門の体と部屋全体が青白く光り輝き。光が俺たちに襲い掛かる。
眩しい…気がつくと俺とハルヒの二人は映像のトンネルの中に立っていた。
俺たちの前方から来た無数の映像は、頭の上を通り抜け矢のように遥か後方の消失点へと消えていく。
足元をみるとどうやら頭上だけではない様だった。映像は360度全てに映されているらしい。
トンネル状だと思った空間は、どうやら筒状で。その真ん中に俺達は立ってるみたいだ。
「これは…」
次々に現れては消え現れては消えする映像の光に顔を照らされながら、俺は気づいた。
これは全部俺達?
そう、その映像に映っていたのは俺達SOS団の面々。今までの全てが映っていた
「な…何…これ……凄い…綺麗」
ハルヒの瞳は星空を見上げたが如くキラキラ輝いていた
360 :1:2009/10/05(月) 22:24:36.74 ID:KDO9ZdGiO
「長門?」
長門の姿が見当たらないな…
「ねぇ…キョン…全部…全部本当なの?」
映像の流星群を見上げたままのハルヒがポツリと俺に呟く。
361 :1:2009/10/05(月) 22:24:53.55 ID:IsnQjFo50
「あぁ。全部事実だよ。それにな、お前には、そいつらとも比較にならない力が宿ってるんだよ」
え?
星空から俺に視点を移動させたハルヒの瞳からは、先程よりはいくらか赤みが引いていた
その後俺はハルヒに全てを話してやった。
全てを
まず、閉鎖空間の仕組みについて。それから草野球で起こったこと、コンピ研の部長が消えたこと、夏休みを一万回繰り返してたこと、クリスマスに起こったこと、俺達が校庭でキスしたのが夢ではないこと。
そして…あの七夕の日に起きたこと。俺がジョン・スミスであることを。
俺は飛んでくる映像に指を差し差し、思いつく限り全てをハルヒに話した。
最初はハルヒも混乱していたが、次第に俺の話を下を向いて黙って聞くだけになり。思考をどうにか追いつけようと必死な様子だった。
「…こんなとこか。今まで黙ってて本当に悪かったな。でもな…お前が悪いことなんか何一つない。悪いのは能力なんだ。だから自分責めるなよ」
362 :1:2009/10/05(月) 22:25:42.64 ID:IsnQjFo50
ハルヒはまだ下を向いて虚ろな目をしている、足元を流れる思い出に顔を照らされながら。
自分で言っといて無理だとは思う。ハルヒが自分自信を責めないことなんて。
ハルヒにしてみればやっぱり朝比奈さんを撃ってしまったのは自分の能力のせいで自分の責任で。そう考えている筈だ。
「でもな…でもなハルヒ聞いてくれ」
ピクリと、やっとハルヒは顔を上げてくれた
364 :1:2009/10/05(月) 22:27:10.49 ID:IsnQjFo50
「安心しろ。お前がどんなに皆から恐れられ嫌われても俺がずっと傍にいてやる。約束だ。俺は頼りないかも知れないがお前の味方でいてやる事しかできないが、お前が好きなんだ。そしてお前がいるこの世界もな。だから一緒に願おう。世界を戻すために」
「私に……………本当に私にできるの?」
ああ
お前にしか出来ないんだよハルヒ
俺が差し出した手をハルヒが握る
俺達の過去が一斉に輝きだす。
空間が振動を始める
最も強い光を放つ消失点を俺達二人は手を繋ぎ合わせ眺め、願う。
戻してくれと。たった数時間前まで平和だった世界を返してくれと。
この世で最も強い光に埋もれていきながら俺とハルヒはそう願った。
373 :1:2009/10/05(月) 22:33:33.22 ID:KDO9ZdGiO
………………まただ…また…
コレは夢なのか?
俺は荒野に立っていた。灰色ががった茶色の世界の真ん中。
前回、前々回と同じように地面から突き出ている金属片に目を向けた。
だが、そこにいたのは高校生の俺。決して幼くはない。制服を着て死んだ魚のみたいな目をしてやがる。
でも、この後の展開は知っている。不意に後ろから呼ばれて…
375 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 22:34:23.64 ID:IsnQjFo50
「--------」
そらきた
そして振り返る前にハルヒが俺を呼ぶんだ………………………って、あれ?
俺はハルヒに呼ばれることはなく、そのまま前回よりハッキリ聞こえた声の方へ振り返えることに成功してしまっていた。
「だ、誰ですか?」
そこに立っていたのは背の高い女性で、なぜか俺に微笑みかけていた。
とても優しい顔だ…
「------?」
「忘れてしまったのかって何を?」
急に女性の顔に困惑の感情が
「----」
「誰ですかそれは?それになんの事を…」
「------」
「? 違いますよ。だって俺の名前は…」
そこで俺の視界は電源が切れたようにプツンと途切れた。
376 :1:2009/10/05(月) 22:35:29.98 ID:IsnQjFo50
瞼を開けると、そこにはよく知る天井が広がっていた。
「………………部屋?……俺の部屋だ…」
ベットに仰向けで無様に寝てやがるのは、そう俺だ
え?
一瞬なにがなんだか分からなかったが、この現象に関して俺は過去に教訓を得ていたのですぐ起き上がり携帯で日付を確認した。
月曜…
正しくは月曜になったばかりだった。変な言い方をするなら日曜日の26時
今さっきまで俺は長門の部屋で…
10時間ほどの時が一瞬で過ぎた事になる。
そうだ
それよりはハルヒは!?
378 :1:2009/10/05(月) 22:36:59.43 ID:KDO9ZdGiO
部屋を見回す。しかしそこには見慣れた机や椅子があるのみでハルヒや長門の姿は見当たらない。
ピロリロリーン
握りしめていた携帯が突然鳴いた。
残り1日
間違いない。夢じゃなかった…じゃあ世界は?
それに外がいやに静かだ…
するとまた携帯がピロピロと青いイルミネーションを発光する。コレはメールじゃない…
「…もしもし?」
一体誰だこんな時間に。
急だったので画面を見ずに出てしまったのを後悔する。
が。しかし電話の相手は俺のよく知る人物だった
380 :1:2009/10/05(月) 22:39:11.89 ID:KDO9ZdGiO
「どうも…古泉です…」
今にも死にそうな声が受話器から染み出るように漏れてくる
「古泉!?お前大丈夫だったのか!?今どこにいるんだ!」
「あなたの家の前にいます…少し話したいので降りてきて貰えませんか?…」
こんな遅くに…だが古泉が無事でよかった。分かったとだけ返事をして急いで一階に降り玄関に向かう。
家のなかに全く人気が感じられなかったのは気のせいだろか?
381 :1:2009/10/05(月) 22:39:29.33 ID:IsnQjFo50
家族を起こさないよう静かに玄関を開け外に出ると、向かいの壁に古泉がうなだれているのを発見する。だらんと放り出されている右手にはまだ画面が明るい携帯電話が握られている
「こ、古泉!」
静かに叫びながら駆け寄って見ると、古泉の左側顔半分が血で赤く染まっていた。ダルそうに首を駆動しなんとか俺の方へ顔を向ける古泉。
「…どうも…元気そうでなによりです…」
お前は自分の心配はできんのか。
だが、その何気ない言葉で古泉という人間に俺が抱いていた多少の不信感は塵のごとく吹き飛んだ。
コイツは本当に根っからのいい奴なのだと。
382 :1:2009/10/05(月) 22:40:34.85 ID:IsnQjFo50
「人の心配より自分の心配をしろ馬鹿やろう」
「フフ…そうでした。ですがアナタにどうしても渡さなければならないものが出来ましてね」
ゆっくり上げられた左掌に何やらガラス片の様なものが握られている。
「何だ?それ…」
「神人の欠片です」
神人の欠片?コレがあの青白い怪物の欠片だって言うのか?そしてそれが一体なんなんだ
「つまり…つまりコレは涼宮さんの精神…もとい記憶の一部なんですよ」
「そ、そんなものどうやって…」
383 :1:2009/10/05(月) 22:41:38.54 ID:IsnQjFo50
「電話を切ったあの後から我々は拡大する閉鎖空間の進行を少しでも遅らせるため、次々と現れる神人を狩っていました。アナタが何とかしてくれると信じて…ね」
古泉は嫌みっぽく笑ってみせたが、恐らく本当に嫌みのだったんだろう。
「ですが…見てください」
言って古泉が指さした天を見上げる。
「な…嘘……だろ…」
そこにあったのはいつもの夜空ではなく。いつか古泉に連れて行かれて見た灰色の天井がどこまでも続いていた。
「なんで…だって俺とハルヒが…」
「失敗したんですよ…残念ながら…世界は先ほど閉鎖空間に飲み込まれました…残っているのは我々だけです…長門さん達はどうにかしてると思いますが」
387 :1:2009/10/05(月) 22:43:33.60 ID:KDO9ZdGiO
そんな…なんで…だってさっき俺達は…
そう言って古泉が上げた腕をパタリとまた地面に転がしたのと同時に
ピロリロリーン
俺はゾッとした。
またメールだ。
閉鎖空間内で着信できるメールなんて限られ過ぎてるじゃないか。
これ以上一体何が起きるんだ…
俺は内心ビビりながらメールを開く。差出人は先程と同じだ。
涼宮ハルヒ 残り0回
ジョン・スミス 残り1回
389 :1:2009/10/05(月) 22:44:34.63 ID:IsnQjFo50
メールはそう記されているだけ。文面は火曜の朝と似たような感じではあったが、ハルヒの横の数字は0だ
「フフ…そういう事ですか…」
メールの内容を聞いた古泉が突然おかしくなったように笑い出した
「僕の推理はいっつも外れますね。ククク…どうやら朝比奈さんの言っていた事が当たりだったみたいです」
「朝比奈さんが言った事?」
古泉は顎を突き出しながら上を向いて、もうどうにでもなれといった感じで言う
「その横の数字は涼宮さんの能力に関係していたんですよ。いえ、それどころの話じゃないですね。」
頭を壁にすりながら90度背骨を倒し、道路に足を突き出したままコロンと古泉は横に寝転んだ
390 :1:2009/10/05(月) 22:45:57.29 ID:IsnQjFo50
「あれは…あれは涼宮さんの能力の使用回数だったんですよ」
「なに?」
意味が分からんぞ
「……戦闘の出血で僕も少し貧血気味なのでね…あまり煩わせないで下さいね…」
寝転んで地面を見つめながら、そう生意気に言い放って古泉は説明を始める
馬鹿でわるかったな
「つまりですね。火曜日の時点で涼宮さんの願望実現能力の使用回数は残り3回にまで減っていたんですよ。メールの主はなぜかそれを知っていた。更に理由は分かりませんが、アナタにそれを知らせるため、アナタの携帯にメールを送った。以上です………はぁ」
あ!溜め息までつきやがった。世界が終わったからって開き直ってやがる。前言撤回だ。やっぱりこいつにはある程度不信感を持っておこう
そう思った直後だった。
突然地面が激しく振動を始めた
木々は踊ったように揺れ。電線なんかハチャメチャだ
「お、おい!古泉!どういうことだ!」
やれやれと、俺のものであるはずのセリフを吐いた古泉は、おもむろに立ち上がりスッと俺に手を差し出した。
391 :1:2009/10/05(月) 22:47:34.96 ID:KDO9ZdGiO
「コレを長門さんのところへ」
渡されたのは神人の欠片だった
「はぁ?いきなり何を言ってんだお前!それよりこの地震を説明しろ」
そう言った刹那、地響きと共にあの青白い巨人がヌッと地面からアチコチに姿を表した。
「うぉおぁ!?」
「来ましたか…仕方ないですね。あなたが進むルートは僕が死守します!ですからアナタは早く!」
今まで暗くて気づかなかったが。神人の光に照らされた古泉の左目からはドクドクと血が流れているのが分かった
393 :1:2009/10/05(月) 22:48:24.15 ID:IsnQjFo50
「お、お前…目が…」
「さっきの戦闘で父…いえ……仲間をかばおうとした時に。ですがそんな事も今は言ってられません。死んだ仲間も既に沢山います。そして恐らくコレがアナタに残された最後のチャンスです…ですから!ですからもう一度頼みます。世界を…救って下さい」
古泉の体が前に見たときより紅く光輝き宙に浮く。そして既に紅い球体となった古泉から声が響いた
「あ。最後に言っときます」
「あん?」
ゆらゆらと浮かぶ球体を見上げながら聞き返す。
「ワザと負けるというのも案外難しいものですよ」
それでは。とそれだけ言い残し古泉は一番近い神人の方角へと飛んでいった。
396 :1:2009/10/05(月) 22:50:02.51 ID:KDO9ZdGiO
「けっ俺だって、んな事分かってたさ!」
もう聞こえるハズないが俺は空に向かってそう叫んだ
しかし強がったのはいいが、長門の居場所なんか知らねえよ!
クソ。いっつも滅茶苦茶いいやがって
というかこの空間に長門はいるのだろうか?
ええい!考えても仕方ない!とりあえず長門の家だ!
397 :1:2009/10/05(月) 22:51:16.46 ID:IsnQjFo50
幸い長門の家の方角にあの巨人は見当たらない。
あぁぁぁぁあクソがぁぁぁ
なんで能力に使用回数なんてあるんだよ!
それなら俺のとなりの数字はなんだ!好き勝手推理しといて、分かんないとこはほったらかしか!
負け惜しみいいやがって!テメー帰ってきたらマジ勝負だマジ勝負!それでもって負けた方は罰ゲームで1日ハルヒ言いなりだ!いや!既に俺達は言いなりだった!まぁいいか!だからな!だからな古泉!最後なんていってんじゃねぇよ!
「絶対に絶対に死ぬんじゃねぇぞおぁあぁぁぁぁぁぁ!」
庭から自転車を引っ張り出した俺は今まで生きてきた中で確実にNO1であろう回転速度でペダルを踏みまくる。
口から心臓が飛び出る思いとはまさにこのことだ。持久走は大っキライなのによ!
404 :1:2009/10/05(月) 22:54:57.88 ID:KDO9ZdGiO
アッチコッチで建物の倒壊音が鳴り響いている。
コレじゃまるで世界の終わりだぜ、と思ったがあぁそうだright、その通り。よく気付いたね。
漕ぎながら、一番近い。といっても1キロ強ほど距離がある神人の方に目を凝らすと、三粒程の紅い光が巨人の行く手を阻んでいる。
頼んだぞ古泉…
405 :1:2009/10/05(月) 22:55:25.74 ID:IsnQjFo50
そのまま全速力で漕ぎながら考える。
火曜日の時点で残り3回だったって事は昨日までの間に3回能力を使っちまったって事だよな?
ハルヒが最近望んでた事…
一つ目は簡単。もっと迫力あるシーンを、とアイツは本物の銃を使いたがっていた。結果としてそれが今の状況に繋がっちまってるんだが…
じゃあ二つ目三つ目は?
ちくしょう。何かこの一週間で変わったこと…あ!
確かアイツ火曜あたりにもっと寝たいだのなんだの昼休みに言ってやがったな。
「―っ。一体なんて下らねえ事につかってんだあの馬鹿!」
思わず声に出ちまった。いや。やっぱり思ったんだが
406 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 22:56:16.74 ID:dW4XniES0
おい、熱いじゃないか
407 :1:2009/10/05(月) 22:56:57.69 ID:KDO9ZdGiO
さて、三つ目が何だったか思いだそうとした辺りで丁度長門のマンションにたどり着いた。
幸い巨人は古泉戦隊が誘導してくれていて、さっきより遠くにいるみたいだ
ついさっき来たんだがまた来るとはな…
再度見上げたマンションが俺にはまるラスボスの様に見える。
そんなふざけた事を考えながら大魔王バーンの中へと入っていった。
410 :1:2009/10/05(月) 22:57:51.89 ID:IsnQjFo50
部屋の前に着いた。さて。ここからが問題だ。長門はここにいるのか?
いやむしろこの世界にいるのだろうか。
チャイムを押そうとした瞬間、ドアが開いた。
「入って」
俺の感覚でついさっきと同じ事をついさっきと同じ格好で言った少女が玄関に立っていた。生きてたか。よかったよ長門。
部屋にはハルヒはいないのか?
だとしたら自分の家か?
「おい長門、ハルヒは?というかあの後あった事を教えてくれ」
机を挟んで対面に正座してる長門は二、三度まばたきを挟んで答える
412 :1:2009/10/05(月) 23:00:50.04 ID:IsnQjFo50
「16:24涼宮ハルヒは鍵であるアナタに触発され世界を戻そうと能力の行使を試みた。
がしかし、涼宮ハルヒの中には既に願望実現可能、さらには世界改変に及ぶ程のエネルギーは残っていなかった。
我々の中でも涼宮ハルヒの能力が有限だとする可能性はリストにあったが確率は著しく低いものだと思われていた。
がしかし涼宮ハルヒはそれに該当したものと思われる。後16:30能力の枯渇に関わらず強行的に行使を試みた事により次元断層が生まれ涼宮ハルヒに対して情報の逆流が発生。
同時に涼宮ハルヒはデータパンクに陥り傍にいたアナタと共に一時的昏睡状態に。後16:31アナタ達に危険はないと判断しアナタと涼宮ハルヒを自宅に転送。後21:00閉鎖空間による浸食がこの惑星の60%を超える。
尚52.3%を超えた時点で閉鎖空間は涼宮ハルヒの意志に左右される事はなくなり。独自的な増大に突入する。この時点で涼宮ハルヒによる閉鎖空間への操作は不可能な状態へと陥る。
翌00:12古泉一樹らによる最終措置が行われるがやむなく失敗。この時点で閉鎖空間の浸食率は97%であり、現状いかなる手段をもってしても浸食を妨ぐ事は不可能であった。
415 :1:2009/10/05(月) 23:03:15.51 ID:IsnQjFo50
後00:30閉鎖空間による惑星への浸食が100%に到達。と同時に現実世界と閉鎖空間の逆転の開始。
前00:29閉鎖空間による逆転の確定によりこの部屋に情報壁によるシールドを展開。
現在のシールド浸食率64%残り耐久時間約3024秒。後00:45閉鎖空間による空間逆行完了。と同時に時空延長線上にある朝比奈ミクルらの時間平面も同刻消滅。
後01:05涼宮ハルヒから自立進化への可能性が消滅したことにより情報思念体はこの惑星への観察と派遣したインターフェースの放棄を決定。
そして後02:58アナタが再度私の部屋を訪れてた。」
しばらく言葉が出なかった。
あれだけ息継ぎなしで長門は喋ったにも関わらず、息一つ乱さず静かに真っ直ぐ俺を見つめたままだ。
「長門…もう世界は完全に元には戻せないのか?」
頼む長門何か…何か可能性があると…
「そう。もう現状の手段では無理」
そう言った長門の瞳には、僅かだが切ない表情が浮かんでいた。
現状の手段で無理なら…それなら…
「長門…コレを見てくれ」
そう言ってポケットから先ほど古泉から受けとった欠片を見せる
416 :1:2009/10/05(月) 23:05:30.80 ID:KDO9ZdGiO
「コレを解析して欲しい。ハルヒの記憶と精神の一部だ。もしかしたら…もしかしたら何か打開策が生まれるかもしれない」
長門はジッと俺の掌の欠片を見つめ、再度こっちに顔を向けて言った
「可能性は。とても低い」
あぁ分かってるよそんな事。でもここまで来たんだ。一緒に足掻こうぜ?長門。俺達はいつだって足掻いてきたじゃねぇか。
コクンといつもより気持ち強めに頷いた長門は欠片にソッと手をかざし、顎を上げ目をつぶる。
それと同時に俺の頭をあるものが襲う。
激しい衝撃。
な、何だ…何だコレは!
417 :1:2009/10/05(月) 23:05:57.52 ID:IsnQjFo50
その衝撃の正体はハルヒの記憶だった。
胎盤の中にいた頃からのハルヒの記憶が俺の頭を雷の様に駆け巡っていく。
「がぁっ…ク…ソな…んだ」
莫大な情報量。それこそ本当に頭がおかしくなっても不思議じゃないほどの衝撃。
全てが鮮明に。しかし恐ろしいスピードで年月が過ぎてゆく。
胎児
幼児
…これは七五三?
…これは小学校の入学式だな
…これは誕生日かな?普通に喜んでやがら
…卒業式
…中学入学式
…そして…
そこで一瞬ピクリと長門の瞼が動いた。
そして急に景色は早送りを止め、通常再生へと移行した
419 :1:2009/10/05(月) 23:08:09.75 ID:KDO9ZdGiO
これは…あの七夕の日?
そう、それはハルヒが俺に初めて出会った三年前。いや、そろそろ四年前と言うべきかな。
長門。ここに、この記憶にお前は何かしら可能性を見出したんだな。
校庭ではジョンと名乗った男がハルヒに白線を引かされてら。ざまぁ
隅では朝比奈さんがグッタリ寝てる。まだ元気だった朝比奈さんが…
420 :1:2009/10/05(月) 23:09:01.43 ID:IsnQjFo50
宇宙人へのメッセージ。もとい落書きをジョンに書かせ終え、満足した様子のハルヒはジョンと別れ…と思ったら再度ジョンの登場だ。
「世界を大いに盛り上げるためのジョン・スミスをよろしく!」
と背後から大声を出してだ。
我ながらこの時のハルヒには意味不明だった事だろう。
ここまでは俺達も知ってる…この先に…この先に何かあるんだな長門
心臓がバクバク響く。まるで長門にも聞こえてるんじゃないだろうかと思うほどだ。
12才のハルヒは家に向けて順調に足取りを進めてる。ハルヒの精神から伝わってくる感情は、退屈、怒り、そして憂鬱。
もしかして俺達と出会うまでの三年間、こんな感情がコイツの内で絶えず渦巻いて暴れ狂っていたのだろうか?
だとしたらそれは煉獄にも等しく、多少はハルヒの滅茶苦茶ぶりにも共感できてしまう。
423 :1:2009/10/05(月) 23:10:35.75 ID:KDO9ZdGiO
それくらいハルヒの内に秘められていた世界への絶望感は凄まじかった。
このままじゃ、順調に家に着いちまう。
そう思った時に事は起こった。
数メートル程先にあるゴミ捨て場からドサッと何かが激しく落ちた音。
それに反応したハルヒは顔を上げる。
壁伝いの一カ所が凹んだよくあるゴミ捨て場だ。
「…だれかいるの?またさっきのジョンとか言う奴じゃないでしょうね」
おっかなびっくりともせず、12才のハルヒは至って平然と音源がある場所を覗いた。
429 :1:2009/10/05(月) 23:11:46.09 ID:IsnQjFo50
そこにあったのは…子供?暗くてよく見えん。
でも…そう人間だ。時間外に不法に出された、いくつもの黒いゴミ袋の上に仰向けで倒れている子供。そいつが音の主だった。
「痛ってー…これでやっと3つ…うぉ!だ、誰だお前!」
そう言って音の主は暗闇から驚声をあげた。
「あ、アンタこそ誰よ!こんな時間にガキンチョがゴミ捨て場で何してんのよ!」
お前も充分ガキンチョだぜハルヒ。
「んぁ?お前だってガキンチョじゃねーか」
おぉナイスシンクロ。
431 :1:2009/10/05(月) 23:15:35.75 ID:KDO9ZdGiO
「う、うるさいわね!アンタなんかより精神年齢はずっと大人よ!それよりそっから出てきなさいよ。暗くてよく見えないわ」
「………へいへい。よっと」
ハルヒの命令にしばし沈黙を置いてから。音の主はゆっくり腰を上げ、壁と壁に遮られた影の世界から月の光の下へヌッと鼻先から順に姿を表す。
「お前名前は?」
そうハルヒに問いかけながら、そいつはゆっくりと。ゆっくりと頭を上げ、その顔を月光の下へあら…わ…し…嘘……だろ…
俺は目を疑った
432 :1:2009/10/05(月) 23:16:20.51 ID:IsnQjFo50
ハルヒにとって今日、三度目。
一晩の内に三回同じ人物にあったことになる。
そう。
その子供は俺だった。
正確には十歳前後の俺。他人の空似なんてレベルじゃあない。確か家に昔のアルバムがあったな。そこに載っているのは間違いなく目の前のそいつで、そいつは確かに少年の俺だった。
でも。でもな…しかし…
「アンタが先に名乗りなさいよ!私は涼宮ハルヒ!全く。礼儀を知らないガキンチョね」
「お前が先に名乗ってんじゃねーか…そうだな…俺の名前は…田中…田中一郎」
嘘つけ!もうちょっとマシな嘘つけ!
435 :1:2009/10/05(月) 23:17:49.48 ID:KDO9ZdGiO
「そんなスタンダード過ぎる名前があるわけないでしょ!」
それみろ。
「まぁいいわ。ところでアンタここで何してたのよ」
ハルヒと目を合わせずに俺は答える
「い…いろいろ」
嘘が苦手なのも変わらんね。
その後どうやらハルヒは、そのいかにも怪しい少年に何かしら退屈しのぎの可能性でも見出したのか。その少年を夜遊び相手に任命し、近くの公園へと移動した。
436 :1:2009/10/05(月) 23:18:46.41 ID:IsnQjFo50
「一郎、アンタこの辺りに住んでるの?」
ブランコに乗り、立ち漕ぎでブラブラ振り子のごとく行ったり来たりしながらハルヒは聞く
「んー、まぁな。お前こんな時間に家族は心配しねぇの?」
少年は隣のブランコに腰を掛け、漕ぐことなく座ってる。
「まぁ家はそんなのは無いわね。それに、あんな普通な家いてもアタシつまんないもん」
ハルヒの中途半端に長い髪が前に行ったり後ろに行ったりせわしない。
そんなハルヒに合わせ少年も首を振りながら話を続ける
「ふーん。俺は…俺は普通が羨ましいけどな」
そう少年が言った瞬間ハルヒは勢いよくブランコを蹴りだし4メートルほど前方まで一気にジャンプした。
見事な着地だ。
437 :1:2009/10/05(月) 23:20:16.42 ID:IsnQjFo50
満場一致で10点を上げたくなる着地を決めたハルヒは、しばらく前を見つめたままかと思うといきなりガバッと振り返り少年に向かって無感動な表情でこう言い放った
「あんたさ、自分がこの地球でどれだけちっぽけな存在なのか自覚したことある?」
いつか。いつだったかの帰り道。高校生のハルヒが線路沿いで俺に言った言葉だった。
そのあと続けて、あの日俺に言ったような事と同じ事を少年の俺に語りつづける。
その間少年はふーんとかへーとか適当な相づちで返す
「…だから私は自分を変えることにしたの。絶対待っているだけの女にはならないわ」
そう高らかに宣言したハルヒを見上げ、嘲笑する感じに少年は口を開いた
「普通じゃない事が面白いって?退屈じゃないって?笑わせんな。じゃあお前は目が見えない人の気持ちを考えた事があんのか?耳が聞こえない人、五体不満足の人、親がいない人達の。その人達の気持ちを考えた事はあんのかよ」
「そ、そんな事いってんじゃないわよ!」
ハルヒがすかさず反論しようとする。が、それを遮って続ける
438 :1:2009/10/05(月) 23:21:59.41 ID:IsnQjFo50
「普通じゃなくなるって事はな、お前が今普通だと思ってしてる事が出来なくなるって事だぜ。
当たり前に親がいる、学校に行ける、遊んで帰れば飯がある、風呂入ってお笑い番組見て、明日なにしようかって考えてる内に寝ちまう。
それがどんだけ幸せな事なのかお前は知らねーだろ。それなのに特別になりたい普通は嫌だって、俺から言わせて貰えば嫌味以外には聞こえないね」
今の俺からは想像も出来ない程の速さでマシンガンの様にまくし立てた少年をハルヒは睨めつけ言い返す。
「アタシはそんな事を幸せだと思った事は一度だってないし、特別になれるならこんな普通…!」
一瞬考えたのか一拍溜めて
「いらない!!」
ハルヒの目は完全に血走っている。
一方、少年はいつの間にかハルヒの目の前に立っていて。そんなハルヒを見つめながら一言
「そうか。じゃあやるよ」
「え?」
俺はもう沢山だ。そう言ってハルヒの頭に手を置いた。と同時に一瞬だけ接触している間から光が溢れ出し、ハルヒの目を眩ます
「キャッ!ちょっと!なにすん…の……よ………アレ?」
少年は消えていた。
441 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 23:23:42.01 ID:Uc75fmJk0
キョンが元々能力を持ってたのか
442 :1:2009/10/05(月) 23:23:49.87 ID:KDO9ZdGiO
そこで視界が長門の部屋へと切り替わる。記憶が途切れたのだ。
頭の回転が全く追いつかねー。確かにあの少年は俺だった。でも俺にそんな記憶は…
「な、長門?今のは…」
長門はまだ目を瞑って上を向いている。問いかけには反応しない。窓の外では神人達が遠くで破壊活動に勤しんでいる
「おい、長門」
「待って。残り18秒」
「は?何がだ?」
質問ばかりの俺をシカトし長門は瞑想を続ける。眼球が物凄い速さでゴチャゴチャ動いているのが、瞑っていても分かる程瞼の表面が動いている。
443 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 23:23:54.46 ID:8ii+Wijf0
えええええ
キョン、おま・・・
444 :1:2009/10/05(月) 23:24:25.61 ID:IsnQjFo50
「…………完了した」
頭を元に戻し長門はやっと目を開いた
「だから何がだ!それより今のは…」
「メールの発信源」
あっ!……すっかり忘れていた。そういえば今日はラスト1日だったな。古泉は何か起きるとか言ってたが、その前に世界の方が先に終わっちまったよ。
447 :1:2009/10/05(月) 23:25:53.71 ID:KDO9ZdGiO
それに今さら分かったところで…
「状況は全て把握した、そして今。たった今この惑星を正常に戻す方法が確立された」
「え…本当か長門!?」
ゆっくり。いつも通り僅かに長門の首が動く。
でも一体なんで今?ハルヒのあの記憶がやっぱり鍵だったのか?
いや!そんな事はどうでもいい!世界が戻るんだ!朝比奈さんも古泉も、そしてハルヒ!お前もだ!推理小説よろしく後日談の真相は、みんなで再生を喜びあったその後でもいいじゃないか!
448 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 23:26:29.30 ID:IsnQjFo50
「長門。お前は今回もやってくれたな。思念体とやらを見返してやれ!」
一心に喜んでいる俺を見つめながら長門は一言
「それには説明ののち状況を理解したアナタの協力が必要不可欠」
正座し直し、こちらを見上げる。
その目は何故か少し切ないそうだった。のは気のせいか?
「あ…あぁ、一人で舞い上がっちまってスマン。つい嬉しくてな」
当たり前だ。朝比奈さん達やみんなが元に戻るんだ
「じゃあ今の状況を説明してくれ」
そしてサッサとやっちまおうぜ
450 :1:2009/10/05(月) 23:28:01.23 ID:IsnQjFo50
「了解した。先ず結論から説明する。世界を元に戻す事は可能」
あぁ。それは分かったよ、で俺は何をすればいいんだ?なんだってするぜ
「そして。そしてそれにはアナタが元の世界に帰る必要が生じる」
そんな事でいいのか。元の世界に…
「って、え?」
ごめんもう一回解るように言ってくれ意味が分からん
「つまりアナタはこの世界の人間ではなく、元々違う世界の人間」
「な、何を言ってるんだ長門?さっきのハルヒの記憶の俺の事か?あれはどうせハルヒの能力かなんかで…」
「違う」
違う?違うって何がだ
451 :1:2009/10/05(月) 23:29:08.20 ID:IsnQjFo50
「涼宮ハルヒにはあの時点まで願望実現能力は備わっていなかった。願望実現能力を有していたのは…」
「アナタ」
「え?」
それ以外の言葉が出るわけなかった。
だってちょっと待ってくれ。俺にはそんな大それた力があった記憶なんてないぞ。自分が書いた落書きが宇宙語になったことも、夏休みを終わらせたくないからって時間を切り取っちまったこともそんな事一つも俺の記憶にはないぞ
453 :1:2009/10/05(月) 23:30:31.06 ID:IsnQjFo50
「先ずメールについてから説明する」
頭が追い付ききっていない俺を無視して長門が続ける
「あのメールの発信源は過去から。そしてメールを送信したと思われるデバイスのデータを読み取るだけである程度の状況が把握できた」
あぁまた100m程離された。こんなんじゃ一生追い付けないぜ
「涼宮ハルヒの記憶とメールの発信源との情報からある結論が導き出された。アナタは朝比奈みくるらが存在する未来より更に遠い時空延長線上の世界からやって来た。人間の感覚で考えた場合1万2千年程の未来」
長門、お前は一体なんの話をしてるんだ?言ってる事が全然分からないぞ
「そしてその時間平面は朝比奈みくるらの時間平面上と科学力のみの視点で比較した場合、その差を分かりやすく比喩させると、およそこの惑星に置ける石器時代と現代文明程度の差が確認される。しかし」
俺を置いてけぼりにして走り続けていた長門が一旦休憩とばかりに止まった。
かと思いきやまた全力疾走を始める
457 :1:2009/10/05(月) 23:32:17.62 ID:IsnQjFo50
「しかしその時間平面上では惑星は荒廃し、崩壊が進んでいた。
そう。まるでアナタ達が異世界と呼称する場所と極めて近い存在。そして早急に打開策を導き出さなければならなかった。
そこで導き出された結果は過去の改変だった。それまでの人類が行ってきた様々な事柄がその崩壊を引き起こした原因だった事は明らかであった。代表例に。戦争、資源搾取、この惑星の衛星への居住計画の失敗、そしてそれに伴うケスラーシンドロームの発生。
尚現在、この文明で早急とされている地球温暖化問題は全くと言っていいほどこの問題との因果性は皆無」
全然頭は追いつかんが。じゃあ最後の事柄は現代人が騒ぎすぎてるだけって事か?
「そこは蛇足」
スマン
「そしてその平面上の人類は惑星の崩壊を事象ごと抹消するため。過去の人類が行ってたきた事との因果関係をねじ曲げる必要があった。そこで造られたのがアナタ」
俺!?
464 :1:2009/10/05(月) 23:35:34.30 ID:IsnQjFo50
「アナタはその時代の人類が創造したデバイスを受け入れられる数少ない器だった。とても希少。
そしてそれを身につけたアナタには過去へ行き指定された、ある場所ある時にその力を使うという任務が課せられた。
その数108。それら全てを遂行した場合に限りその時間平面に置ける惑星の崩壊は防がれる。
なぜなら惑星崩壊ほどの情報量を一気に書き換える事はその時代の人間にも不可能であった。しかし唯一の器であったがため無理矢理任務を命じられたアナタは3つ目の任務が終わったのち、この時間平面でいったおよそ四年前。涼宮ハルヒと出会い任務を放棄した」
最低だな…俺。
「この時アナタの中には願望実現105回分に相当するエネルギーの内103回分を涼宮ハルヒへと受け渡した。
ちなみにアナタから涼宮ハルヒへとエネルギーが受け渡された際、その莫大なエネルギーによりその公園一体だけが一瞬十日分ほど過去へと遡った。
コレが私や古泉一樹、朝比奈みくるらが口々にいった三年前の出来事。我々はこれを情報フレアと呼称した。よって、古泉らの能力が覚醒したのはその日より十日前。私が造られたのもそう。そして涼宮ハルヒの第一の願いはあの宇宙文字」
467 :1:2009/10/05(月) 23:37:31.64 ID:IsnQjFo50
「なんで、全部じゃなかったんだ?」
そこで初めて口を挟んだ俺にビックリしたのか長門は五回ほど瞬きして答えた
「アナタの中にあるデバイスにはエネルギーが空になった時点で強制的に未来へ送還するプログラムが組み込まれている。
これは任務終了後アナタがその時代に取り残されないための措置。しかしアナタはアナタ達人間が言う所の普通を手に入れたがっていた。
アナタは涼宮ハルヒよって感情になんらかの変化を起こし未来に帰る事を拒否する考えにいたった。よって自分の中に二回分のエネルギーを残し。アナタは願った」
「普通が欲しいと。なにもかも忘れて普通の家族、普通の友達、普通の生活。それが欲しいと。そして今のアナタがいる」
そこまで言った段階で長門は黙っちまった。なぜかは分からない。もしかしたら俺の顔に浮かんでる表情が余りにも混乱に満ちたものだからだったかも知れない。
470 :1:2009/10/05(月) 23:39:26.76 ID:KDO9ZdGiO
「長門…一回だけきく」
頷く
「全部本当なのか?」
「そう」
瞬間体から全ての力が失われ俺は両手を広げて仰向けに倒れた。
「うそだろ…そんなベッタベタの設定B級映画でも少ねーぞ」
天井を見ているんだか宙を見ているんだか自分でも分からない
474 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 23:40:16.73 ID:8l7CzEOwO
だからキョンは普通なのか!
476 :1:2009/10/05(月) 23:40:49.65 ID:IsnQjFo50
「じゃあメールはその過去の俺が送ってきたのか?」
「そう。過去のアナタに未来を知る事は容易。あの後涼宮ハルヒと別れたアナタは、一度自分が選んだ未来がどうなるかを確認しに来ている。
涼宮ハルヒと再開する事も現在この様な状況に陥る事もアナタは知っていた。それでもアナタは普通を選んだ。メールの文面にあった残り日数とは、古泉一樹らが仮定した何かしらの現象が起こる。
などといったものではなく。アナタと涼宮ハルヒが一緒に過ごせる残り日数。四年後の自分がこの状況に陥る事を知っていたアナタは、世界が終わる7日前の自分へそれを暗示させるためメールを送信した」
つくづく古泉の推理は外れるな
「なんでそんな事…」
「私には分からない。が。アナタ達の心理学で計った場合恐らくそれは」
「罪悪感」
…………くっそ。なんてこった…今まで俺がハルヒに巻き込まれていると思ってたし、実際そうだった…でも…でも……
478 :1:2009/10/05(月) 23:42:43.25 ID:IsnQjFo50
本当に巻き込んじまったのは俺じゃねぇか…
俺が自分勝手にハルヒを巻き込んだ。俺が世界を終わらせた。
それも二つも。
遠い遠い。果てしなく遠い未来で俺が任務を終わらせると。惑星の崩壊を止めると。そう期待してる奴らも裏切った。
「最低だな…俺は」
「でもこの世界のみはまだ戻せる」
あぁ、ここまで言われれば俺だってどうするのかは分かってるよ。
そう思って体を起こした、その時だった。
いつか朝倉に起こった現象そっくりに長門の体が半分粒子になって消し飛んだ。
481 :1:2009/10/05(月) 23:45:10.15 ID:KDO9ZdGiO
「!?な、長門!」
長門の瞳にはかつてないほど感情が露わに浮かんでいた。悲しい。その感情が
「シールドの浸食率が100%を超えた。私はここまで。アナタには世話になった。世界を終わらせたのはアナタ。でも救えるのもアナタ。涼宮ハルヒは学校にいる」
長門の体はすでに首から下はない
「長門ぉ!俺が…俺が絶対に元に戻す!だから…だから少しだけまっててくれ!!」
消える直前長門は確かに言った
「ありがとう。さようなら」
482 :1:2009/10/05(月) 23:46:10.15 ID:KDO9ZdGiO
質素ながらも多少、彩色あった長門の部屋も今はただの白黒写真のように変わってしまった
「待ってろよ長門」
それだけ呟いて俺は部屋を後にした
483 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 23:46:21.62 ID:KtiQub7g0
うおおおおおお長門があああああ
486 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 23:47:14.28 ID:4nHdiTB+0
な、ながと・・・?
・・・・・・ながとおおおおおおあうあああ
487 :1:2009/10/05(月) 23:47:32.43 ID:IsnQjFo50
「キョン!」
学校に着いて一目散に部室へ向かった。ハルヒが学校でいる場所つったらそこが一番可能性が高いのは俺でも分かる。
俺を見つけられてハルヒは心底安心した表情を浮かべる
「良かったわ…あの後急にめまいがして…気づいたら自分の部屋で、携帯もずっと圏外だし外は化物がウロウロしてるし…だから部室に来れば…そうすればキョンが来てくれるかなって思ったのよ…」
それだけ言うとハルヒはシュンとしおらしくなって俺へ問いかけた
「…私…私のせいなのよね全部…みくるちゃんを…古泉くんを…有希を…全部全部私の…
「それは違う」
自分を責めたてるハルヒを何とか制止して、俺はコレがハルヒとの最後の時間なんだと自分に言い聞かせ、頭の中でハルヒに伝えたい事を思い浮かべる
しかし。窓の外を見ると、やはりハルヒの精神にまだ多少影響を受けるのか。校庭から続々と神人達が生まれてきている。時間は少ない。なら…ならば俺がハルヒに言うべき事は…
489 :1:2009/10/05(月) 23:48:47.53 ID:IsnQjFo50
「ど、どうしたのよ…真剣な顔して…」
「ハルヒ…」
「…何?」
「俺。未来から来たって言ったら笑うか?」
「………もう何だって受け入れるわよ」
「そうか。ありがとう」
「あ、あんたが未来人だろうと異世界人だろうと…だろうと………私は……」
「ハルヒ」
「な、何…?」
「好きだ」
「……え?」
「お前は?」
「……す、好き…」
「ありがとう」
493 :1:2009/10/05(月) 23:50:13.10 ID:IsnQjFo50
引き寄せ思い切り抱き締める。どうやらハルヒは抵抗しないでくれるみたいだ。
外では神人が俺へと近づく。今なら分かる。
アイツらは俺が脅威だと知っている。意志が、自我が発生している。俺に消される前にハルヒごと俺を叩き潰すつもりだ。
でも…でもそうはさせない…!
「ありがとうついでにに今付けてるカチューシャもらうぞ」
「あ!ちょっと!」
マフラーの仕返しだ
「ハルヒ!」
「な、何よいきなり抱き締めたり人の物とったり大声出した…!?
俺は二度目のキスをした。今度も俺から強引に。でも、今回は閉鎖空間から抜け出すために仕方なくじゃなく。自分の意志で。
ハルヒが好きだから
499 :1:2009/10/05(月) 23:53:47.87 ID:IsnQjFo50
巨人がのそのそと近づいてきやがる
「ハルヒ。わりぃな。ここでお別れだ!」
「…え?」
「お前はいつか言ったな。あれは…コンピ研に勝負を挑まれた日だったかな…
誰であろうとも自分自身と等価交換できるモノなんか、この世のどこを探しても見つかりはしない!ってな…」
でも…でもな…ハルヒ。俺には…俺にはそれが見つかっちまったんだよ
「お前と過ごせた一年間はマジで死ぬほど面白かった!
今気づいたよ。俺はゴミ捨て場で初めて会った時からお前に惚れちまってたんだよ!
帰らなきゃいけなかったのに一年があっというまに過ぎた。お前たちといるのがあんまりにも楽しくてな。
本当に悪い!もう一度でいいからお前の浴衣姿…見たかった!」
神人はもう旧館の目と鼻の先まで来ている。部室のなか全体が神人の青白い光に埋め尽くされ、奴が腕を振りかぶったのが見えた。旧館ごと叩き潰す気だ
「え!?ちょ、ちょっとキョン!どういう事よ!?」
部室の天井…いや、天に向かって俺は自分の力の全てを注いで叫んだ
502 :1:2009/10/05(月) 23:54:34.05 ID:IsnQjFo50
「頼む!全てを戻してくれ!!コスプレが似合ってお茶が好きな朝比奈さんがいて!余裕のムカつく笑顔を浮かべられる古泉がいて!隅で楽しそうに長門が本を読んでる、そして…そして………」
眩しい…神人の腕が窓に近づくにつれて部室の色は青から白へと変わっていく
「ハルヒが心から笑っていられる!そんな…そんな世界に戻してくれぇ!!!!!!!!!!!!!!」
泣くなよ………ハルヒ…
光に包まれながら俺達はもう一度キスをした
516 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/05(月) 23:58:13.23 ID:0r2XAQixO
あなたと過ごした季節が~
521 :1:2009/10/05(月) 23:59:37.53 ID:IsnQjFo50
気がつくと俺は夢で見た世界の真ん中に立っていた。
空は血のように赤く染まり、月は俺が知っている30倍程の大きさで。今にも地球に落ちてきそうだ。あぁ…この世界は本当に滅ぶんだ。自業自得だな…
自然と涙が込み上げる。ハルヒから奪った赤いカチューシャを見つめながら。もうハルヒには会えない。あの部室には行けない朝比奈さんのお茶も古泉とのオセロも、長門がたまに起こす奇行に目を細める事なく、この世界と滅んでいくんだ…
地面から突き出した金属片を見つめる。いつもの俺だ
「――――――――」
524 :1:2009/10/06(火) 00:01:43.06 ID:9c3ryagU0
後ろから声がした。あの声が
そうだ…あの女の人にも謝らないとな…
そしてこの世界のみんなにも…
そう心の中で反芻し。俺は意を決して振り返っ…………
「キョン!!!!!!!!」
俺は耳を疑った。いや容疑者なんてレベルじゃない。もう犯人だよコイツは
「ハ……ハル…ヒ?な、なんで?だって…」
「キョン!!絶対行っちゃダメ!お願い!私……私キョンが好きなのよ!だから…だからお願い!戻ってきて!!」
高校生のハルヒは泣いていた。なぜか体中傷だらけ痣だらけでいつかの夢にも勝る勢いで
「――――――――」
526 :1:2009/10/06(火) 00:03:12.40 ID:9c3ryagU0
突然後ろからまた声がした。夢とは違いハッキリ聞こえる。
振り返るとやはりそこには夢の女性
「―――――――」
「え…」
「――――――――」
「……はい」
「―――――――――――――――…」
「俺の本当の名前…」
「―――――――?」
「はい…好きです。命をかけて守りたい」
そう言った俺に女性はニッコリと笑いかけ最後に一言だけ
「いっておいで」
そういい腕をスッと横に振った…かと思うと次の瞬間俺はハルヒの隣に立っていて
529 :1:2009/10/06(火) 00:05:28.21 ID:9c3ryagU0
「うぉ!?…ってかお前なんで…」
「う、うるさい!団長の私に断りなく勝手に消えるんじゃないわよっ!あの後大変だったのよ!」
そう言ってハルヒは俺の足を踏んづける。
「いっ!?なにすん」
「うるさい!口答えしない!それより…」
顔がハルヒの指差す方へと誘導される
そこには先程よりいくほどか距離があるが、あの女性がこちらを見て微笑んでいる
「挨拶しないでいいの?……」
心配に。覗き込むようハルヒは俺に問う
「…………いや………いいんだ…うん」
俺の決心を感じとったのかハルヒは、そっか…それだけ言って姿勢を正す。
532 :1:2009/10/06(火) 00:06:44.71 ID:9c3ryagU0
「それじゃあキョン!しっかり捕まってなさいよ!さっき出来たけど二回も出来るかは分からないわ。けど…まぁ頑張るわ!」
おいおい、最後の最後で不安な事言うなよな…
そう思ったのもつかの間。俺とハルヒが金色の光に包まれる
「出来た!」
ニッコリハルヒはこちらを向き直す。さっきまでボロボロ泣いてた癖によ。
遠くで女性が手を振っているのが光の隙間から分かる。
光の動きがだんだんと早くなっていく
俺とハルヒは手を繋ぐ
「それじゃ!はっしーん!」
ハルヒの掛け声と共に視界が真っ白に染まっていく。
これで生まれ故郷ともお別れなのか…
何もかもが急すぎて思考が追いつかないが、あの女性が俺に言った事とハルヒが俺を連れ戻しに来た事を、俺は漠然とだが頭で理解していた。
そうだ…いつだってそうだったじゃないか。本当に欲しい物があったとき。ハルヒがそれを諦める訳はないじゃないか
意識が淡く散るその瞬間。心の中で一言
「ありがとう母さん」
そう呟いた
そして俺とハルヒは1万2千年後の未来とサヨナラを交わしたんだ
547 :1:2009/10/06(火) 00:09:10.53 ID:IsnQjFo50
真っ白な空間に赤い一本の線
そこを俺達は落ちている
音は何も聞こえない
遥か向こうにあるのはありゃなんだ?
巨大な歯車にも見えるが
次の瞬間ハルヒは赤い線の一点に狙いを定めたかと思うと。俺の手を強く、本当に痛いくらい強く握り直し。そこ目掛けて一気にダイブ開始した。
そして数秒後、ハルヒと俺は赤い線の中へと吸い込まれた。
「うぉあ!?」
556 :1:2009/10/06(火) 00:10:29.97 ID:9c3ryagU0
響いたのは自分の声だけだ
いきなり現れた地面に呆気にとられた、と同時。右半身に衝撃が走る。ほっぺが痛い…
何が何やら分かったもんじゃねぇ。
しばらく放心状態だったが、次第に空中に散らばった意識を集める事に成功し。
俺はここがどうやら見覚えがある場所だということを認識する。
ベットからずり落ちた布団、見慣れた机と椅子…
「俺は…そうか…」
どうやらここは自分の部屋らしい。と同時にある思いが
またこの落ちかよ…
何だ?俺の部屋には時空の裂け目やら、幽霊のスクランブル交差点でも通ってんのか?
562 :1:2009/10/06(火) 00:12:29.07 ID:9c3ryagU0
一応だが確認しよう…今までのは夢じゃあ…ないよな?
自分の体を見てみると服装は変わっていないようだ
なら…
ポケットに手をまさぐり入れ、ある筈の物を探す。
「あった…」
どうやら夢じゃなかったらしい。メイとサツキも大喜びだろうよ
カレンダーに目をやると、今日の曜日は月曜らしい。
そして俺は、翌朝妹が起こしに来るまでの数時間、さっきまであった俺の人生最大にして最悪の、長い一日を振り返ると共にさよならを告げた。
567 :1:2009/10/06(火) 00:16:39.52 ID:9c3ryagU0
翌朝は当然寝不足で這うように坂を上り学校へ行くと。やはり窓側一番後ろの席にハルヒはすでに座っていて、扉を開けた俺の方をパッと一見するとあわてて目を窓の方に戻し。なにも着けていないショートヘアを揺らした。可愛いヤツめ
「よう。元気か?」
机に鞄を置く
「元気じゃないわね。昨日、悪夢…のような一日を体験したから」
ハルヒは平坦な口調ではなく、少しばかり動揺した口調で答える。それは大変だったろうな。奇遇にも俺も大変だったんだぜ。
「おかげで全然寝れやしなかったのよ。今日ほど休もうと思ったのは過去に一回あるだけよ。全く」
「そうかい」
相変わらず硬い椅子にどっかと腰を下ろし、俺はハルヒの顔をうかがった。
カチューシャを付けていないので髪が邪魔でよく見えないが、ただ、まぁなかなか上機嫌なようだ。
そうアヒル口でニヤけるのを我慢しているハルヒの横顔を見つめながら。
「ハルヒ」
「なに」
窓の外から視線を外し、コッチに向き直ったハルヒに、俺はこう言ってやった
「未来で待ってた」
fin 以下後日談
569 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/06(火) 00:17:37.10 ID:l0kwDxCu0
ふぁあああああああああああああん
570 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/06(火) 00:17:55.09 ID:KOmpArTh0
はぁん
571 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/06(火) 00:18:34.02 ID:vXYWEGIW0
ときかけEND・・・だと・・・!?
576 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/06(火) 00:19:26.02 ID:iqTBc8730
まだ乙をいうにははやいぜ
795 :1 ◆I4lqIUhgOc :2009/10/06(火) 07:14:03.72 ID:vFDD2sbwO
その後のことを少しだけ語ろう。
その昼何事もなかったかのようにピンピンした古泉とトイレに行った帰りの購買部で出会った。
「あなたには感謝すべきなんでしょうね」
いつかと同じセリフを同じ爽やかな笑顔で言う
「あの後世界は一瞬にして元戻り、僕も朝比奈さんも長門さんも何とか無事に元通り再生する事ができました。本当にあなたはよくやってくれましたよ。皮肉じゃありませんよ?ただ、その後に少し。一悶着ありましてね」
それは長門さんに聞いて下さい。では、と言いつつ、古泉は俺に手を振った
昼休みに顔を出した文芸部部室では、長門がいつもの特等席で本をよんでいた。
「あの後、アナタは世界を元通りにし、デバイスに組み込まれたプログラム通り未来へと返還された。が、しかしアナタがいなくなった事を悟った涼宮ハルヒはその15分後、再生さるたばかりの私のところへ訪れ。アナタを連れ返す方法を私から聞き出し実行した」
第一声がそれである。あの別れ際、長門が見せた表情は俺の見間違いだったのか?
797 :1:2009/10/06(火) 07:16:49.55 ID:vFDD2sbwO
でもまぁ俺もそれが一番気になっていたんで、その後も長門と俺の一問一答がしばらく続いた。
要約するとこんな感じらしい
まず結論として。現在のハルヒは性格以外を見るならばそこらにいる普通の女の子とさして変わらなくなったらしい。
そして肝心なあの後。
神人が腕を振り下ろし旧校を叩き潰さんとしたまさにその時、俺が俺の中にある最後のエネルギーを使い世界を元通りにした。此処まではいい
が、その後ハルヒは俺が消えたと知るやいなや部室から満身創痍で長門の家まで走り、飛び込み、再生されたばかりの長門にぐちゃぐちゃな顔で、何とかするように頼み込んだらしい。
そしてここからが、毎度お馴染み長門のターンだ。
長門の中にはまだ願望実現を果たすだけのエネルギーがおよそ二回分残っていた。
長門の話によると、このエネルギーは全ての空間で絶対数が決まっており。
なので一回使ったエネルギーを、過去に戻ってやり直し。などは出来ないらしい。
よってあの時点でこの宇宙にそのエネルギーは長門の内にのみしか存在しなかった事になる。
798 :1:2009/10/06(火) 07:18:31.87 ID:vFDD2sbwO
だが、ここで問題発生。
長門自身は自分の内のそのエネルギーには関与できない。
クソったれな思念なんちゃらが、ハルヒに返しきれず長門の中に残留してしまったそのエネルギーと長門との接触をロックしちまったからだ。
そこで長門は懇願するハルヒを前にして、決意した。
ハルヒを自分のソースの中へとダイブさせハルヒに残留エネルギーを明け渡すと。
コレはなかなかの賭けだったみたいだ。
一歩ハルヒが間違えれば長門がバグっちまうし、そしたらハルヒもただじゃ済まない。
だが、ハルヒは見事エネルギーの抽出に成功。そのまま、一回分のエネルギーで俺にもう一度会いたいと。
そして、二回目の願いで俺と一緒に現代へと。そう願ってくれた。そのおかげで今俺はここでこうしていられる。
799 :1:2009/10/06(火) 07:20:22.01 ID:vFDD2sbwO
あぁちなみに後で分かったんだが。ハルヒの3つの願いが及ぼした効果は
一つ目はあの昼寝の10分延長。まぁなんとも間抜けで勿体無い…
そして先に三つ目を言うが、当然あの銃だ。
古泉の組織がその日、力の余波を検出した数は1つ。その日の撮影の時点では、まだピストルはただの玩具だった。
よって、あの日の夜。古泉は心配しなくていいですよと言ったが。
まさにその瞬間玩具のピストルは本物の銃へと変化していたって訳だ
重みの差で分かりそうなものだが、元々ある程度重いガスガンだったのが致命的だった…
という事は牛丼はホントにただの偶然。そういうことになる。まぁハルヒは茹で玉子がよかったって言ってしな。
本物に願ってたなら牛丼も茹で卵も一食単な筈だろう。
800 :1:2009/10/06(火) 07:21:40.21 ID:vFDD2sbwO
そして俺がどうしても思い付かなかった二つ目。
聞いてみて納得したし、そんな事かよ!と思ったが、仕方ない、だってコレはハルヒにしか分からん筈だ。
火曜の放課後、部室でメールについて話し長門と途中まで下校して…そこでその後、偶然、ハルヒに出くわした。
少なくとも俺はそう思っていた。が、どうやらコレは違うみたいで、ハルヒ曰わく。
「ちょ、丁度アイスが食べたくなって、あんたを見かけたら奢らせてやろうかしら。なんて思ってたら、あんたがアホ面さげて現れたのよ!」
らしい。
その後、別にあんたと会いたかった訳じゃないわよ!といつも通りの強情ぶりを見せてそっぽを向いた。
通りであの日、気分上々だった訳だ…
801 :1:2009/10/06(火) 07:22:33.48 ID:vFDD2sbwO
長門から大方の経過を聞いたその後、上級生の教室へ朝比奈さんの様子を見にいった。
元気な朝比奈さんを見た瞬間抱きしめたくなったのを、隣にいる鶴屋さんのおかげで抑えこむ事に成功し、その後の具合を聞いてみる。
が朝比奈さんに関しては撃たれた記憶さえあやふやみたいで、相変わらず鶴屋さんの隣でふゃんふにゃん言っていた。
802 :1:2009/10/06(火) 07:24:13.13 ID:vFDD2sbwO
そしてその後は俺達SOS団復活パーティーだ。
力が無くなろうがどうだろうがハルヒの性格は相変わらずで。パーティーと呼称されたそれはハルヒが俺達4人へ何で私に黙ってたのよ!と叱咤する所から始まり。
宥める古泉や怯える朝比奈さんにやれ超能力使えだやれ時をかけてみろだと、まるで猛獣使いのごとく強要しだすのを俺は横から見て微笑んで…
という訳にはいかなく。当然矛先は俺にも向いて。といか途中から俺にしか刺さっていなかったのだが、まぁその辺はよしとしよう。
なんたってアイツが笑ってるんだからな
さて。このままハッピーエンドでちゃんちゃんと閉幕したいところだが、そうも行かない。
俺にはまだ…そう、最後のひと仕事が残っていた。
なので、もう少し後の事を語ろう。
804 :1:2009/10/06(火) 07:26:37.40 ID:vFDD2sbwO
その後。
ハルヒに力が無くなった事と長門が言う情報フレアの真相が分かった事により、当然俺達の周りにもそれなりの変化が訪れた。
まず、古泉に関してはただのイケメンに成り下がった様子で。
「これからは普通の親友として仲良くしましょう」などと抜かしやがった
先ず普通の親友とはなんだ、それに俺がいつ親友になった!
機関や閉鎖空間に縛られることが無くなって爽やか度は日々上昇の一途を辿っている。
ただ俺は忘れない。あの日お前が開き直った事を。
蛇足だが事件後のゲームの強さといったら…やはり接待プレーだったのかコイツ。コイツから不信感は一生拭えそうにない
805 :1:2009/10/06(火) 07:28:43.70 ID:vFDD2sbwO
そして長門。
意外にも俺達の中でコイツが一番変化が少ない。
ハルヒから自立進化の可能性が無くなったからうんちゃらで、その思念なんちゃらに放棄もとい解放された長門は、どうやら自由を手に入れた事が分かっていないらしく。
今も今まで通り部室を開ければ大体先着していて指定位置で本を読んでる。
でもまぁ前に比べれば僅かだが感情を出すようにはなったかな。
806 :1:2009/10/06(火) 07:29:34.90 ID:vFDD2sbwO
んでハルヒだ。
コイツのまぁ説明不要なまでの奇天烈っぷりは現在も遺憾なく日々発揮され。
俺達を相変わらずブン回しながら練り歩いてる。
ついでに言うと俺達の関係もSOS団団長および団員から進む事もなく、普~通に毎日雑用としてこき使われている。
818 :1:2009/10/06(火) 08:02:27.15 ID:vFDD2sbwO
そして最後に朝比奈さん。
結論から言ってしまうと、彼女元いた未来へと帰っていってしまった。
ハルヒも別れ際わんわん泣いて引き止めたのだが、こればっかりは能力を持たないハルヒにはどうしようもない。朝比奈さんにも向こうで家族や大事な人がいるのだから。
ハルヒも最後は泣く泣く帰る事を了承し、土産にカエルの着ぐるみを大事そうに渡していた。
当の朝比奈さんも、顔をぐちゃぐちゃにしてそれを受け取ると、最後に俺達一人一人に手紙を渡して未来に帰っていった。
そう。この手紙に記してあった事が俺の最後のひと仕事のそれだった。
850 :1:2009/10/06(火) 09:52:20.48 ID:vFDD2sbwO
「待ってました朝比奈さん」
夜の部室で俺は時間ピッタリに姿を表したその女性と挨拶を交わす
「今晩わキョンくん。久しぶり?かな。私はそうでも無いんだけどね」
舌をペロッと出してそうフフと笑っている女性は、そう朝比奈さん(大)だ
しかし急に頭を下げて
「ごめんなさい…ずっと連絡しなくって。私達の方もあの後、いろいろ…すっごく大変で…」
本当に申し訳なさそうに俯く朝比奈さん(大)に俺も、いやいや終わったことですしと定型句で返し、呼ばれた理由を訪ねる。
852 :1:2009/10/06(火) 09:53:56.26 ID:vFDD2sbwO
「あの後私達も未来で例のアドレスの発信源を突き止める事に成功したの。
時間平面上のある一点だけなんですけどね。
それに長門さんみたいに突き詰めたところまでは分からなかったけど。
それでも過去の一瞬だけ、どの時代にいたのかまで特定したんです…」
「それって凄いじゃないですか」
そのハズなのだが朝比奈さんの顔はどうにも優れない
「実は…その後、先に相手の方から我々にコンタクトをとってきたんです…先手を打たれてしまいました…」
ん?そいつってガキの俺の事だよな?
朝比奈さんを困らしてんじゃねーぞ
「それでまた一体どうして俺が?」
879 :1:2009/10/06(火) 11:57:04.32 ID:vFDD2sbwO
「その…その方があなたにどうしても会いたいと言っているんです…」
ほぅ…朝比奈さんをパシリにしたのか。あのガキ
まぁ朝比奈さん(小)に渡された手紙に長々と別れを惜しむ内容が書かれていた後。PSとして今から三日後の20時00に部室へ
なんて書いてあるのを見た時から、どうにかなることは予想してましたよ。
「そうですか…分かりました。俺も伝えたい事があるのでいいですよ」
そう言うと朝比奈さん(大)の顔はパァと明るくなり
880 :1:2009/10/06(火) 11:58:04.58 ID:vFDD2sbwO
「本当ですか?よかった…断られたらどうしようかと思ってました…別に既定事項ではなかったので…」
朝比奈さんの安心ぶりを見ると、アイツがワガママ言って困らしたのは明白だな。ここは一つ人生の先輩として説教してやらんとな
「それじゃあ…」
と朝比奈さんが俺に目を閉じるようジェスチャーで促す
「あんまり気持ち悪くならないようにお願いします…」
そう怯えて言った俺に
「ごめんねキョンくん」
とだけ呟くと。そいつはやっぱり突然やって来た。
例の立ち眩みの激しいバージョンだ
俺の脳みそをこねくり回して意識だけかっさらっていくと。じゃあな、あばよとさっさとどっかに行っちまいやがった。
881 :1:2009/10/06(火) 12:00:01.81 ID:vFDD2sbwO
意識が復活したとき、俺の体はやっぱり地平線と平行になっていて。
垂直に立ってあるはずの樹木が俺には横に見える。
「ここは…あれ?朝比奈さん?」
今までの経験上てっきりあの公園に出るもんだと思ってた俺は少々面を食らった。
そこは昼の学校。日付はよく分からん
俺は校庭の隅の雑木林に寝そべっていた。
朝比奈さんの姿が見えない…
まぁ用が済んだら迎えに来てくれるのかな
そんな事をまだ起ききらない頭でボーと考えていると不意に後から声をかけられた。
「おぉ本当に来たんだ」
まだギリギリ声変わりしてるかしてないかの子供の声だ
883 :1:2009/10/06(火) 12:03:00.97 ID:vFDD2sbwO
「うん?」
声の具合から微妙に生意気感が漂っている。
セリフから察するに恐らくは…
「よう」
言ったのは俺だ
振り向いたそこには、ハルヒの記憶…いや、家にある何枚もの写真に写ってる少年がいた。
「悪いね呼び出しちって」
あぁお前が来るのが筋だろう。
「あぁお前が来るのが筋だろう」
別に遠慮する相手でもないので思ったこと言ってやる。
884 :1:2009/10/06(火) 12:08:15.31 ID:vFDD2sbwO
「いや、それは無理なんだ」
言ったのは俺じゃない。
「どういう事だ?」
「うーんなんて言えばいいかな。あの事件はどっちに転ぶのか、実を言うと俺にも分かんないんだよ」
うん?お前は自由に時間を行き来できるんじゃねーのか?
「うん。まぁある程度はね、大体一万年程度は行き来できた。任務にも必要だったしね。
今はもっと短い感覚だけど。
だからお前とハルヒがワゴンに轢かれそうになるのも知ってたし。
でもあそこが俺が影響できる臨界点だったんだ。あれ以上はどうやっても関与できなかったんだよ。胸の大きなお姉さんも言ってなかった?」
うん?言ってる意味が分からん。お前にお前と呼ばれる筋合いはない。
それに朝比奈さんを胸の大きなお姉さんよばりとは!お前の未来の唯一のオアシスだぞ!
886 :1:2009/10/06(火) 12:11:10.46 ID:vFDD2sbwO
「まぁそんな難しい事はいい」
自分より4歳近くも年下にペラペラ自分が知らない事を喋られるのは予想以上にイラッとしたのでさっさと本題に入る事にした。
「で?なんでわざわざ朝比奈さんをパシリにしてまで俺を呼んだんだ?」
少年はちょっと照れる仕草を見せたかと思うと。
「いや…ち、ちゃんとアイツと上手くやってんのか気になってさ」
そう言ったっきり顔を赤くして下を向いちまった。
ふっ少し懲らしめてやろう
「アイツってのは誰か分からんなー」
照れるがいい。それも経験だ少年。まぁこの後、この事もなんもかんも全部忘れちまうんだろうがな。
すると少年は顔をパッとあげると平然に
「涼宮ハルヒだよ」
俺ってこんなに切り返え早かったか?
887 :1:2009/10/06(火) 12:13:18.39 ID:vFDD2sbwO
その後も地面に座って他愛のない話やちょっとばかし未来の話をしてやり。
そして、そろそろ学校も終わる頃になると
「…ふーんアイツってやっぱ変わってんだな…さて。それじゃあそろそろいくよ。この時代のアイツもちょっとからかってやりたいし」
そう言っておもむろに少年は腰をあげた。
んーと伸びをする少年はやっぱりまだまだ子供で。とてもそんな星を救う救世主だったとは思えない
そんな少年を見ながら俺はあの日長門に言われた事がどうしても気になって聞かずにはいられなかった。
889 :1:2009/10/06(火) 12:14:19.02 ID:vFDD2sbwO
「…………やっぱり後悔してんのか?」
一瞬表情が曇って
「…まぁちょっとはね。でも…もう戻せないから…」
そう言うと続けて
「あのさ…」
「ん?」
「…家族とはうまくやれてる?」
そう言ってとても、まるでこっちが申し訳なくなるような切ない顔をした
「あぁ。安心しろ。母さんも父さんも本当の俺の親だよ。それにな、なかなか可愛い妹もいるんだぜ。毎朝デッカい声でお越しにくるのは少々こたえるけどな」
890 :1:2009/10/06(火) 12:18:33.99 ID:vFDD2sbwO
それだけ聞くと少し安心したのか
「そっか」
それだけ言ってまた顔を上げ向き直る。
学校の時計はそろそろ終業のチャイムが鳴る時間だ
「それじゃあ…バイバイ」
そう言って少年は背中を向けて旧校舎の方へと歩いていった…
あ。
ここで伝えなければいけない事があったのを思い出す
891 :1:2009/10/06(火) 12:20:32.08 ID:vFDD2sbwO
「おーい」
15m程離れた少年が振り返る
「あのなー。か…………」
ここで終業のチャイムが鳴るちくしょうタイミングが悪い
「あー?聞こえないよー!」
「あー!のー!なー!」
少年が耳をすませる
「母さんが風邪ひくなってよー!」
893 :1:2009/10/06(火) 12:21:33.68 ID:vFDD2sbwO
その少年は一瞬目を見開いた後下唇をギュッと噛み今にも涙が溢れそうな顔で
「…う゛んわがった!」
それだけ言うと今度こそ旧校舎の方へ歩いて消えていった。
その背中を見ながら俺は心で一言。世界で一番ありふれた言葉を本当に一言だけ呟いた。
頑張れよ
898 :1:2009/10/06(火) 12:25:11.57 ID:vFDD2sbwO
その後、朝比奈さんを探して校門をウロウロする俺を最悪にもハルヒが発見するという、
もしかしたらパラドックス的なトラブルに発展するかもしれない危機に陥るが、しかしコレはいい機会かも知れないと思い。
返し忘れてずっと内ポッケに入っていた赤いカチューシャを返すついでに日頃思ってる事を言ってやった。
だって困るのはこの時代の俺であって俺じゃあないからな。
ハルヒは俺の言葉が嬉しかったのか恥ずかしかったのか
「ポ、ポニーテールぐらいできるわよ!」
と息巻いてどっかに行っちまった
ようやく朝比奈さんが迎えに来てくれて時空の狭間をさまよっている時に俺は思った。
遠い未来、惑星を崩壊させるのは人間で、ならば逆に考えればそれを防げるのも俺達人間だけなのではないだろうか?
それならば。
それならば自分が。
俺が僅かにでも出来る未来への償いは一体なんなのだろう?
なんて哲学的な事を考えながら目を覚ました俺の枕元には、いつもと変わらない朝がきているだけだった
fin
903 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/06(火) 12:27:21.42 ID:h5v9uRPo0
乙
感動した
お前はもう谷川だ
904 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/06(火) 12:28:09.01 ID:MHScen5i0
乙
楽しかった
909 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/06(火) 12:29:14.91 ID:KwRQH2ZZO
面白かった!
ありがとう!
917 :1 ◆I4lqIUhgOc :2009/10/06(火) 12:35:29.66 ID:vFDD2sbwO
述べ3日
僕の単なる趣味にお付き合い下さいまして本当にありがとうございました
とても小説を書く語彙力で見苦しい点多々あったと思いますが。
最後までよんでくれた方
支援してくれた方
荒らさないでくれた方
本当にありがとうございました
今はただの学生ですが僕もいつかハルヒみたいな小説をかけたらいいなぁと日々思っております
途中あまりに褒められたので、どっかに釣りスレでも立ってんじゃないかと疑いましたがw
ですが素直に喜ばしていただきます
僕がここにいた証を付ける事をどうかお許し下さい
それではさようなら
本当にありがとうございました!
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読み物:ハルヒ
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この記事へのコメント
-
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 02:13: :editいちげとおおおおおおお
-
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 02:15: :editまたとられたああああああああああああ
2ゲト -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 02:28: :edit実は俺も未来から来たって言ったら笑う?
-
一桁
-
無理。谷川にはこのクオリティは無理。
作者&ぷん太乙 -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 03:11: :editキョンが凄いことに…w
乙! -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 03:17: :edit尾も知れえ
-
名前: #-: 2009/10/17(土) 03:28: :editぷん太…遅すぎやせんか
-
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 03:29: :editハルヒ系はぷん太へって
某ブログが媚びて相互してアクセス増えてるのに裏切って載せた奴か
某ブログの相互外した方がいいんじゃね?
向こうは現行だったしさ -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 03:31: :editひとけた!
-
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 03:33: :editいやー、おもしろかったw
作者もぷん太も乙! -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 03:39: :edit相変わらずハルヒうざい。氏ね
-
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 04:00: :edit>>3
わらう -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 04:03: :edit頑張れよ、文芸部!語彙能力を上げたいなら国語辞書を引くべし。使えるな、と思った語句はチェックしておいて例文を作り、徹底的に体に覚え込ませるのだ。
-
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 04:05: :edit乙! これすげえなぁ。このまま驚愕でいいよ。
-
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 04:21: :edit作者乙。
感動した
お前はもう谷川だ
まとめたぷん太乙でございます。 -
名前: ドミノ #-: 2009/10/17(土) 04:31: :edit
( ゚д゚) ・・・
_(__つ/ ̄ ̄ ̄/_
\/ /
 ̄ ̄ ̄
( ゚д゚ )
_(__つ/ ̄ ̄ ̄/_
\/ /
( ゚д゚ ) ガタッ
.r ヾ
__|_| / ̄ ̄ ̄/_
\/ /
⊂( ゚д゚ )
ヽ ⊂ )
(⌒)| ダッ
三 `J
-
名前: YouTube大好き名無しさん #-: 2009/10/17(土) 04:44: :editすげぇ面白かった。
最初はきになっていた句点の打ち方も、途中から気にならなくなった。
展開もテンポも非常に良い作品だった。
ぷんた&作者乙!ていうか、ありがとう。 -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 05:14: :edit面白かったー
いつの間にか朝になっちまったよ・・・
はやく驚愕でないかなあと思った -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 05:17: :edit深夜にこんなスレ見つけるんじゃなかった。
最高だよ。GJ -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 05:46: :editこりゃ谷川もやる気なくなるわな
-
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 05:57: :editこれ驚愕だろ
-
名前: #-: 2009/10/17(土) 06:34: :edit谷川頑張ってくれ。
-
名前: VIPPERな名無しさん #-: 2009/10/17(土) 06:39: :editファンフィクションが作家から先の展開を奪う時代でつね
どうすんだ、もう谷川この手のネタ使えねぇぞ -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 06:53: :edit途中長門が読んでたのが「時かけ」だったのね。細やかなお仕事じゃのう。
-
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 07:08: :edit天才だろこの作者……
-
名前: VIPPERな名無しさん #-: 2009/10/17(土) 07:15: :editやるじゃん
普通に面白かったぜ -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 07:38: :edit素晴らしかった。ひとつだけ判らない点が。未来の人類は情報改変能力をもっているのか?それともキョンのみが特異点なの?
-
名前: VIPPERな名無しさん #-: 2009/10/17(土) 08:04: :edit序盤で予想したオチが当たってしまってあんまり楽しめなかった。
-
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 08:40: :editこれもリアルタイムで読んだわ
序盤の長門の「あと二回残ってる」発言からの伏線といい
異世界人だけ何故いないのかという謎も解消したし
本当にこの作者は天才的。 -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 08:43: :editなんだ驚愕か……
-
名前: 通常のナナシ #tn3CT2R6: 2009/10/17(土) 08:55: :edit泣いた
作者&ぷん太乙☆ -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 08:57: :editどんどん作者が追い詰められていくw
-
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 09:07: :edit※28
長門がちゃんと説明してくれてるじゃないか -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 10:09: :editもしかしてこういったSSのせいで作者が悩みまくってんじゃね?w
プロが素人のSS以下のもの書く訳には行かないしSSで使われた手法展開を使ったらパクリと思われるしでw
それで見かけてかぶった奴があったら展開を書き換えて……で新作が遅れる。
……まあ流石にそんなわけ無いだろうが。 -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 10:19: :edit米25
なるほど
ありがとう -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 10:23: :editなんという谷川キラー。
作者とぷん太マジ乙。 -
名前: #-: 2009/10/17(土) 10:45: :edit古泉とキョンがかっこよすぎた
おもしろかったぜ乙 -
名前: 名無しの仲良しさん #-: 2009/10/17(土) 11:10: :edit実写化頼む
-
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 11:55: :editハルヒが売れ散々持て囃され
「あれ、俺って天才じゃね?」
とか調子に乗ってた谷川が
どこかでこんなSS見ちゃって
「あれ、俺って才能なくね?」
と書けなくなったんだろうなw -
名前: #-: 2009/10/17(土) 12:09: :edit最後、子キョンと一緒に泣きかけたわww
谷川キラー納得w -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 12:27: :editこいつぁ力作だったな
映画化するならこれだろw
ハルヒとキョンのタイムリープシーンで
時をかける少女のあの空間とテーマ曲流れてきたわw -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 12:47: :editこれは今まで読んだハルヒのSSの中で
一番の出来だと思う。
本物のハルヒに匹敵すると思う
それくらい俺てきに面白かった。
この人にはまた書いてもらいたいな
ぷん太GJ -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 13:09: :edit良いねぇ
-
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 13:12: :editこれが最終回でいいよもうwww
面白すぎるwwww
あんたがシリーズの続きかけwwww -
名前: #xEh2.WV6: 2009/10/17(土) 13:28: :edit谷川氏厳しいなーこりゃ。
文章力とか比にならなくても、ネタとして完成され過ぎている。
素直に面白かった…… -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 13:33: :edit原作のフラグ回収も完璧だな スッキリした
-
名前: ∞ハローハッピー笹の葉∞ #-: 2009/10/17(土) 13:33: :edit今まで色んなSS見て来たけど、これは最ッ高でした!!!
感動でラストは泣きかけました。
もうハルヒ3期これでいいじゃん;いやマジで。
ちなみにラストのシーン読むときには是非、
『消えないで・・・』
↓
『さよならの向こう側で』
↓
『まぶしくてみえない』
の順番に、ようつべとかで流しながら見てみて下さい☆感動が4~5乗になりますから!!試して損はないですよー。
死後に、ぷん太&作者…乙&最高のSSありがとう!!! -
名前: #-: 2009/10/17(土) 13:54: :editあれ?もう驚愕発売してたの?
-
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 14:06: :edit感動した
-
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 14:09: :editあ~ なんか、さっちんルートを思い出してしまうSSですね
とりあえず面白かった
でも、ハルヒの能力の原因はキョンにあるってネタは、普通にあり得るから困る・・・ -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 14:11: :editコメ欄が痛すぎて自演にしか見えない
-
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 14:23: :edit微笑み以来の衝撃だった
すげーな -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 14:48: :editうーん…なんか展開に無理があるかなぁ…
シナリオは練ってあるとは思ったけど蛇足な部分もあってイマイチ状況が掴みにくい部分はあったかな
そこを除けばなかなか良かったと思うよ
あと谷川は素人SSと違って新キャラをいくらでも出せるし、涼宮ハルヒの世界観を作りあげたくらいだからネタ切れではないかと
何書いても絶対に売れる作家がなかなか出版しないってことは書く気がないってことだね
もう続きがでる望みは限りなく低いし、もし出版したとしても完結するまでに途方もない時間がかかるだろうね
たったライトノベル数巻書いただけで休載するってことは長期連載には向いてないんだろう -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 15:00: :edit素晴らしかった
ハルヒ最終回を描いて見せたSSは数多くあるが、その中でも三本の指には入る出来でした
句読点の使い方にもう少し気を使ってもらえたら、より読み易くなると思う。 -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 15:26: :edit句読点は気にならなかったけど、どこか文章に違和感を感じるんだよなぁ
面白かったけどね
ただ、その2になってから厨二っぽさが強くなってるから、アレルギーある人はダメそうだな
俺?大好物ですが何か? -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 15:36: :editなんかキョンが異世界人って設定のやつ、久しぶりに見たな。
てか、すごく引き込まれた。一万二千年ってところで、わくわくしてしまったww -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 16:27: :edit>54
いや、分裂で佐々木という新キャラを出したからには次巻からいきなりまた
新キャラだしてネタをどうこうするってのも難しいと思うぞ
まあこれだけ長期連載だと向いてる向いてないの問題じゃなく
休載するのも仕方がないことかと
変に中弛みしたまま連載続けるよりはまだいいんじゃね?流石に休みすぎとは思うけど -
名前: Harry #-: 2009/10/17(土) 16:40: :editその①とその②に分けただけの価値はあるw
伏線回収が天才的だなあ
素晴らしい作品を読んだ -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 17:02: :edit細かい所に笑いがあっていいね
アマゾンのを見て考えたのか? -
名前: J.J #-: 2009/10/17(土) 17:11: :editくThis is very good.>
-
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 17:35: :editレベルが高すぎる。
絶対プロだろこの>>1はww
しかしまあよく作れるなあ、自分ならまず無理だって。 -
名前: 通常のナナシ #1uYz/quc: 2009/10/17(土) 17:49: :editおもしろかった!
ときかけ好きだから余計入りこめたよ
楽しい時間をどうも。 -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 18:30: :editこういうifの最終回はみんな納得できてしまうほどうまいなw
佐々木団?誰それ? -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 18:48: :edit途中のパロネタは必要ない気がした
-
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 18:49: :edit※58
新キャラという意味では分裂で出てた名前もないキャラがいる
これについて書いてるSSもあまり無いから展開的にはいくらでも広げることは可能だろ
長期連載に向いてるというかモチベーションを維持できない人間なんじゃないかと思う
で一旦中途に終わってしまったから始めづらいってのもありそう -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 19:20: :editこんなにSSにハラハラドキドキしたのは久しぶりだったな
作者とぷん太激乙! -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 19:23: :editデビサバかと思ったらアクエリだった
乙 -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 20:12: :editこれ映像化しろよ
-
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 20:20: :edit面白かったけど納得できないところがいくつか
子キョンはハルヒとキョンがトラックにひかれるところまでしかとべないって言ってたけど、だとしたら何故その先の事である銃の実物化や世界崩壊のことを知っているのか -
名前: 通常のナナシ #v6O6VgHs: 2009/10/17(土) 20:25: :editただただ面白かった
逆に感想に困るくらいだ
おつー -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 20:34: :edit数々のSSで谷川のネタが尽きてしまったら
スターウォーズみたいに出来のいいSSを角川公認で出版すれば問題ないな -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 21:12: :editメールが単語の羅列な意味とか
防げるタイミングでメールしろよとか
色々突っ込みたい
もし防がないのが既定事項ならメールする意味なくなるし、事故防いじゃってるし
古泉の父親も蛇足だよなぁ
あと序盤の「やけに早いわね」は回収忘れじゃないだろうか -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 23:07: :edit面白かったです作者ぷん太乙
-
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 23:36: :edit緊張感が全体にあって、気づいたら最後まで読んでた感じで、
全員に要所で出番があってよかった…けど、
スポットあてただけで掘り下げたわけではないのな。
それから最後の方ちょっと巻きすぎかな、とは思った。
長門の変化が一番少ないってのも変だし。
あと長門や朝比奈さんに対しては無いハルヒへだけの感情うんぬん、
ってのは要らなかったな。そういう関係じゃないし、
キョンがハルヒへ、ってのがまたあり得ないし。
それが長門に対してだったらまだわかるけど、
そういう部分を無理やり捩じ入れたのはマイナスだった。
よくできてるとは思うけど、読んでてこれは無いな~と
感じる部分は多かったかね。 -
名前: 通常のナナシ #x7j9YsWM: 2009/10/17(土) 23:49: :editマジ天才
谷川にこのネタを売れば映像化も可能 -
名前: 通常のナナシ #fWpYnis2: 2009/10/17(土) 23:50: :editこれが驚愕かと思うぐらいの完成度でした。
作者&ぷん太お疲れ様です。 -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 23:56: :edit完成度は高いと思うが粗はあるし
谷川以上だ!とか
これは映像化すべきだ、とかいうコメント見ると
なんか萎えるんだよな…
大体ハルキョンみたいな雰囲気出してる時点で
公式化が不可能ってわかるだろ… -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/17(土) 23:59: :edit微笑の次くらいに面白い。でももう少し分かりやすく、読みやすい文章で書く事も必要だと思う。
-
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/18(日) 00:17: :editこれはひどい
はまり込みすぎて ほかの事に
一切移れんかった
これが学生?ふざけんな
期待しちゃう -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/18(日) 00:52: :edit米75
>それが長門に対してだったらまだわかるけど
意味がわからない
ハルヒとキョンが公式にくっつくかどうかという話なら原作が完結してない以上どうにも言えんが(相棒的ENDも普通にありそうだし)
ハルヒが有り得なかったら長門はますます有り得ないだろ、タイトル的にも…… -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/18(日) 01:41: :editハルヒがあり得なかったら
長門がますますあり得ないって発想がますま(ry
タイトル的にも、と言ったが、あくまでハルヒは物語の中心であって
別にキョンとくっついたりすることがあの小説の
最終目的なわけじゃなるまいし(『憂鬱』だけならまだしも)
「ハルヒがあり得ないなら長門はもっとあり得ない」ってのは
関連性の無い考え方じゃね。 -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/18(日) 02:04: :edit>>78
谷川自体素人レベルだから -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/18(日) 03:25: :edit面白かった。
もしかしてハルヒ好きのプロの作家の仕業かと思ったけど、
誤字が結構多いし違うかな?
この作者他に書いてないのかな?
ぷん太&作者おつです♪ -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/18(日) 04:28: :edit>>84
誤字とかわざとでプロ隠してるだけだろ?プロってか本業でやってる人とか、パクリ、ssじゃ本業(仕事として)じゃ書けないからな
と最近思う人が多くなったなー
なんはともわれレベル高いよな -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/18(日) 04:57: :editハルヒはSSとアニメだけで十分だわ。SSを読む限りじゃ、原作読むほど価値を見出せないわ。
-
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/18(日) 09:36: :editストーリーはしっかりしているけどもう少し感情表現をしっかりしても良かったと思う
後は少しハルヒがハルヒっぽくなかったかな
小泉や長門の再現率はかなりのもんだったけどメインヒロインに違和感あったんでそこを直せばもっと良かった
でも本ネタであるハルヒがあってこその作品だし設定が有るのとないのでは小説を書くのはかなり違うのでやっぱり谷川ほどの才能は今は感じられない
でもこの人が書いたオリジナルの小説が見てみたいな -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/18(日) 09:53: :editマジですげ―――――
感動した!!! -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/18(日) 10:55: :edit米82
ハルヒはまだしも長門とくっつくことはまずねーよ。 -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/18(日) 12:02: :edit「七夕にまた会おう」ぐらい面白かった
それ以上かもしれん
-
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/18(日) 13:31: :edit>>87
>>87
>>87
・・・ -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/18(日) 14:14: :edit原作よりいいんじゃねーかこのSOS団(除ハルヒ)は
古泉はこういうふうに自由にしてやって欲しいよな -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/18(日) 14:29: :editどうも作者です
まさかぷん汰に載せてもらえるとは…感激です
僕が居ると荒れそうなので二言三言だけ
いろいろなコメント本当にありがとうございます。読んでもらえるだけでも嬉しいのにコメントまでもらえるだなんて、それがどんなものでもとても嬉しく思います。批判的な意見も今後の糧としてとてもためになります
心残りとしては※73の方が仰ってくれていますが
《「やけに早いわね」は回収忘れじゃないだろうか》
という意見が出てしまったことです。
僕自身の中では赤いカチューシャとハルヒのガキンチョ発言で一番ラストと序盤のハルヒの「あれ?やけに早いじゃない」が繋がっている様に描写していたつもりだったのですが、やっぱりそこは僕の力不足で大多数の皆さんに伝えられなかったのがとても口惜しいです(話の肝の一部なので…)
長くなりましたが、こんな駄文を読んでくれた方さらにはコメントまでしてくれた方、まとめてくれたぷん汰様本当にありがとうございました。
ではまたいつの日かVIPで
さようなら -
名前: 米 #-: 2009/10/18(日) 14:43: :editこれは久々の快作
-
名前: 通常のナナシ #wT/uLJHo: 2009/10/18(日) 15:12: :editなんでこんなlvの高い話書ける人が2ちゃんねるやってるんだ…
作者&ぷんた乙 -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/18(日) 15:26: :edit完全に本編の最終回にしか思えない
クオリティ高すぎ -
名前: ああ #-: 2009/10/18(日) 16:07: :edit願望実現能力は遠未来のデバイスの力なのか。
おもしろいが、時間系のSFの常で
整合性が滅茶苦茶になってるな。
深く考えなきゃいいんだけど。 -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/18(日) 16:58: :editこのssに出会えただけで今日1日生きてる価値があった
-
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/18(日) 17:26: :edit99
これは良作 -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/18(日) 18:36: :edit100げっと?
-
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/18(日) 19:54: :editVIPで誰かが立ててた「俺、未来からきたっていったら、笑う?」ってスレ見て思いついた話なのかな
めちゃくちゃ面白かった
作者とぷん太まじで乙
あと新刊、谷川は驚愕でハルヒに能力気づかせて最終巻のつもりだったけど角川が「まだ稼げるから!」って言ってやめないように説得しようとしてるせいで出てないって聞いたんだけどこれホント? -
名前: 有希見だいふく #-: 2009/10/18(日) 19:58: :edit完成度高いなwww
谷川が新作書かないからフラグ回収っぽい事されちまってるしwwww -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/18(日) 22:16: :edit米89
逆、逆。 -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/18(日) 22:29: :edit面白かたー!
作者&ぷん太サンクス -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/18(日) 22:57: :edit作者とぷん太まじ乙。とてものめりこんで読ませてもらった…!時かけエンドもいいなあ!!最高でしたありがとう!
-
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/18(日) 23:01: :edit面白かったけど、さすがにプロレベルはねーよwww
作者はそのレベルに達せるまで頑張ってくださいな -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/19(月) 00:31: :editどきどきして読めた。面白かった。
文章があまり上手くなかったのは残念だ
これからぜひ精進してくれ -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/19(月) 02:48: :edit作者覗いてたんだ。
次回も作期待している。
てか、なんでぷん'汰'なん? -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/19(月) 13:53: :editいや面白かった
長門に二回残したのがひっかかったがラストの伏線だったとは -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/19(月) 18:50: :edit新しいキャラや展開が作れないのが2次創作の悩みだけど、これはそんなのを物ともせずに、上手く盛り上げてまとめ上げていて、すごいと思う
またハルヒが完結しました。おめでとう。
さようならながるん -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/19(月) 19:08: :edit※93
ちょwwww作者降臨してるwww
大丈夫だよ俺はちゃんとわかったから
つまり最初のメールが来た日と後日談で言った日は同じ日ってことだよな?
てか気づかない人のほうが少ないんじゃないかな?※73以外に気づかなかった人いるのか?? -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/19(月) 19:09: :edit↑
タイプミス
言った→行った -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/20(火) 23:32: :edit神が来たな
-
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/21(水) 03:21: :editコメのつっこみどころが他になく具体的だな
っつうことは、それだけ見所がある、面白かった、惜しいって思われてるってことだな
実際問題ここに載った中では最高で一番の出来だったと思う
すげえわ、天晴れ -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/21(水) 18:01: :edit不覚にも泣いた
-
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/21(水) 19:12: :edit乙
-
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/21(水) 21:33: :edit面白すぎていうことがない
乙 -
名前: VIPPERな名無しさん #-: 2009/10/21(水) 21:52: :editおもしろかった!
完成度が高い故に細かいとこが気になるけどそれを補う上手さがあるな -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/23(金) 16:48: :editスゲーなキョン。
て、いうかこれ最終回に
していいんじゃね?
というぐらい面白かったー!! -
名前: さにぃれたす #-: 2009/10/26(月) 16:21: :edit久しぶりにぶっ続けで読んだ~。
すごい。
最初タイトルからしてキョンが冗談を言ってるだけの話だと思ったけど -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/27(火) 22:45: :editおもしろかった
ただ個人的にはキョンが元の世界に戻ったまんまのバッド(?)エンドでよかった -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/10/30(金) 07:59: :editもう>>1は谷川本人だろwww
-
名前: #-: 2009/11/02(月) 18:30: :editもうこのオチは使えないだと?
逆だろ。 谷川さん このストーリーで描いてぇぇぇぇぇぇ
絶対買うからぁぁぁぁぁ -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/11/15(日) 20:31: :editおい、これの作者がプロデビューするってスレ立ててるんだけど
トリも合ってるから本人で間違いないみたいだ -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/11/15(日) 21:48: :edit電撃からのデビュー御目!
-
名前: 通常のナナシ #-: 2009/11/15(日) 22:29: :editvipから
デビューおめwww -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/11/16(月) 09:10: :editデビューコメ早ぇ
そして特定されたらやばい書き込み多すぎw -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/11/19(木) 23:58: :editまぢで?
-
名前: 通常のナナシ #-: 2009/11/23(月) 21:09: :editクオリティ高すぎてワロタ
-
名前: 通常のナナシ #-: 2009/11/26(木) 03:07: :edit>>1オメ
-
名前: 通常のナナシ #-: 2009/11/26(木) 19:05: :editすごくよかった。
なんか本当にありがとうww -
名前: VIPPERな名無しさん #-: 2009/12/06(日) 22:14: :editいつまでも新刊でねえし、オレもうこれで完結でいい!
脳内でガーネット流れたぜ -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/12/18(金) 21:27: :editプロデビューする奴がSS書いてたなんてwwww
-
名前: 通常のナナシ #-: 2009/12/18(金) 22:01: :edit作者がプロデビューするってんで、見に来ました。
作品楽しみに待ってます。 -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/12/26(土) 00:57: :editデビューおめでとおおおおおおおおおおおお
-
名前: 通常のナナシ #-: 2010/01/25(月) 03:04: :editデビュー記念真紀子
面白かったよ -
名前: 通常のナナシ #-: 2010/02/06(土) 04:16: :edit批判が対プロレベルw
きれいだろ。これSSなんだぜ……。
と思ったらプロになったのか。
いや、面白かった。 -
名前: 通常のナナシ #-: 2010/03/27(土) 00:17: :editキョンが異世界人で改編能力の元々の持ち主ってのは誰でも考えるけど
こんな風呂敷広げるとはな…似た設定で書いてた身としては悔しかった -
名前: 通常のナナシ #-: 2010/04/05(月) 06:41: :edit面白い。凄い面白い。
けどさ、あくまで二次創作なんだから「谷川越えた」とかは違うと思うな。
キャラクターやら世界観やらを考えるのも大変なんだぜ?
作者じゃなくて米欄のやつらへの文句。 -
名前: 通常のナナシ #-: 2010/04/13(火) 01:46: :editなんというか・・・
話はうまいんだけど文章力が伴ってない気がする -
名前: 通常のナナシ #-: 2010/06/08(火) 05:28: :edit自分が読解力ないだけかもしれないですけど、なんで赤いカチューシャなのかわからなかったです。黄色じゃないのは何で?
誰かわかる方教えてください。 -
名前: 通常のナナシ #-: 2010/06/13(日) 23:11: :editんで連載してるのかこのスレ書いた人?
それなら見てみたいなー -
名前: 通常のナナシ #-: 2010/06/16(水) 06:11: :edit基本この筋で、細かいとこ詰めなおして最終回、アリじゃね?(笑)
話のスケール的にこのくらいじゃないとラストっぽくない -
名前: nagato1228 #dQro3QI6: 2010/10/06(水) 23:40: :edit真面目に小説にハマったように読めました!
おみごとです! -
名前: 通常のナナシ #-: 2011/01/01(土) 17:02: :editすっげぇ面白かったんだが・・・
佐々木に関しての矛盾が・・・ -
名前: 名無しさん #-: 2011/01/24(月) 04:11: :edit作品の大枠が凄く良い。
古泉、長門の活躍もカッコいい。
ラストがハルヒの頑張りで大団円を迎えるSSなんて意外にも今まで無かった気がする。映画のようで素晴らしい。
ちょっと何が起こったのかわかり難いところがあるけど、それを差し引いても良い作品だと思う。
こういう壮大な話なら「微笑」に並ぶ出来。
しかしこういう風に成長していく人がいる一方で、もう5年も立ち止まったままの俺のような人間もいる
年はそう変わらないだろうに
胸が締め付けられるよ
なんて名前でデビューしたんだろう? -
名前: 通常のナナシ #-: 2012/05/04(金) 03:12: :edit凄く面白かった。
谷川には悪いけど分裂・驚愕より断然楽しめたww
ハルヒも性格いいし、キョンの憂鬱からの伏線?も解消されたしな。
お気に入りにしとくぜ!

俺の妹がこんなに可愛いわけがない 黒猫 白猫Ver.