The Invention of Lying
「ウソが全くない世界」っていうのの描写は、確かに面白かったです。特に主人公のマーク(リッキー・ジャーヴェイス)が、太りじしの四十男で、顔も良くなきゃキャリアもダメダメなので、友達から紹介されたデートの相手アナ(ジェニファー・ガーナー)にけちょんけちょんに言われるところとか面白い。 あと、マークのアパートの隣人・フランクをジョナ・ヒルが演じているんですけど、毎朝仕事行く時にエレベーターで会って How are you today? なんて聞くと、「うん、良くない。仕事も面白くないし、彼女もいないし、自殺することばっかり考えてる。明日の朝会わなかったら、死んだと思って」なんて言う。 これも、後々マークがウソをつくことを学んでからは、「人生そう悪いもんじゃないよ。今夜うちに来て一緒にビールでも飲もうよ」とお世辞にも言うようになり、するとフランクは少し元気になったりする。 とまあ、「ウソも方便」とか英語では「White Lie」なんて言いますけど、ウソがあった方がみんなハッピーになれるし、人間関係もスムースに行くなあという話なんですが。 で、マークがついた最大のウソって言うのが、「神様がいる」ってことなのよ。お母さんが死に際に「ああ~死ぬのが怖い。死んだら真っ暗の何もないところに行ってしまう・・・・」ってすごい怖がっているので、可哀想に思って、 「死んだら人は、パラダイスに行くんだよ。みんなステキなうちを持って、なんの心配もない世界に」みたいなこと言って慰めると、それを聞いていた医師や看護婦の口コミで「真実」として広まってしまう。なんたって誰もウソをつかない世界なんだから、口から出たことはみんな真実なのだ。 で、あれよあれよと話が大きくなってしまい、マークはモーゼみたいな「神としゃべった人」みたいになって、「十戒」のパロディと思われる、宅配ピザの箱に神様と天国のことを書いたものを持って聴衆に説明したりする。 こういう世界観を背景に、マークとアナが結ばれる話なのですが、設定がマークとアナの関係に余り絡んでないような気がして、それがあんまり面白くなかった。だって、二人の心が近づいていくのは、「ウソ」じゃなくて「真実」を言い合うからなんだもん。確かに、最初外見だけでマークを判断していたアナが、「ウソ」をつけるマークの「知性」に魅かれたって描写はあるんだけど、別にウソのない世界でも外見だけじゃなく、男の知性や優しさに魅かれる女性っているんじゃないの?とか思ったり。 でもこの映画を観ていると、「ウソのない世界」って言うより、「なんでも心に思ったことを正直に言っちゃう世界」って感じがした。まあ、「正直に言わない」ってことがイコール「ウソ」なのかも知らんけど。「ウソ」って言っても、何か存在しないことを作り上げるっていうんじゃなくて、「心にもないことを言う」って感じ?他人に何か言う時って、始終「相手の聞きたいこと」を言ってるんだなあ、と思った。つか多分、自分が思ったことをハッキリ言うのが大事な時もあるんだけど、ほとんどの場合は相手のことを思って言ってあげることの方が大事なんだろうなあと思った。 |
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