No Country for Old Man
と、とにかくですね、殺し屋のAnton Chigurh(「アントン・シュガー」と翻訳されているけど、劇中に「シュガーじゃない」というくだりが出てくるので、英語そのまま使います。はっきり言って、「シュガー」とどう違う発音だったか憶えてない)、が怖い~~~!!!この人が出てくるだけで、身体中の筋肉が緊張します。
この殺し屋に追いかけられてしまう、気の毒なルウェリン。 しかし教訓: 大金を拾うな! そんな大金持ち歩いているのは犯罪者しかいないから、拾ったが最後、返すまで追いかけられる。いや、返しても殺されるかも。 しかし意を決して拾ってしまったら・・・・・ のこのこ現場に戻るんじゃないっ ルウェリンは、仕事もせんとテキサスの砂漠で狩りをしていると、撃ち合いで何人もの男が死んでいる現場にたどり着く。この死体とか、車にマシンガンで開けられた穴とか、撃たれて死んだ犬とか、現場の雰囲気がありありと伝わってくるすごいシーン。車のドアをルウェリンが開けていくと、撃たれて瀕死の状態のメキシコ人が 「あぐあ(水)・・・・」 と懇願するだが、これは麻薬取引きがこじれた撃ち合いだと気付いたルウェリンは、気の毒なメキシコ人に水を持ってきてやるより、金を持って逃げたヤツがいるんじゃないかとあたりを探す。案の定、金を持って逃げたヤツは、少し離れたところで死んでいて、ルウェリンは$2ミリオンの入ったかばんを家に持ち帰る。 で、夜寝る前・・・・。瀕死のメキシコ人に水をあげなかった罪の意識のために眠れず、水を持って行ってあげることにするルウェリン・・・・。 アホか!お前はっ! 生きてるわけないだろう、すでに!しかも夜中にあんな現場に戻って、麻薬取引きの仲間に見つかる、ってわかりそうなもんじゃん!ルウェリンがのほほんと現場をウロウロしているのを見ながら、心臓がドックンドックン言ってたよ、あたしゃ。 で、このルウェリンを助けようとする、トミー・リー・ジョーンズ演ずるエド・トム・ベル保安官。ちょっとこのキャラは、コーエン・ブラザーズの名作『ファーゴ』の主人公、マージを彷彿とさせる。田舎の保安官で、ほのぼのとして、とぼけているのだけど、真理を持っているキャラ。でもこのベル保安官は特に、「悪」というものに対してものすごい恐怖を感じているように見える。なんというか、「悪」の前には何者も敵わない、ある意味真理、ある意味超悲観的な。ベル保安官が朝食の席で奥さんに、昨夜見た夢を語るとき、日常的な明るいキッチン、落ち着いたいい感じの奥さん、夢の内容も恐ろしいものではなく、誰でも見るような意味不明な夢なのだけど、それを語るベル保安官から、「いつか悪が自分を捕まえに来るに違いない」という恐怖感が感じられる。 今思うと、この映画、一切音楽を使ってなかったと思う。音楽があるシーンが思い出せない。特に、撃ち合いで何人もの男が死んでいる現場のシーンは、丁寧にゆっくりと現場を隅々まで見せていくのだが、全く音がなかったと思う。だから怖いんだな! アメリカのカリスマ映画評論家、ロジャー・イバートさんは、ご自分のサイトrogerebert.suntimes.comで、この映画は、時間、場所、キャラ、道徳、道徳が通用しない世界があること、人間性、運命などを改めて考えさせる秀作、しかも『ファーゴ』を超えた、と大絶賛しているが、私はとにかくAnton Chigurhの緊張感、ルウェリンの恐怖感、エド・トム・ベル保安官のいいようのない絶望感、Anton Chigurhと関わった人達が感じる不安感(賞金稼ぎ役のウディ・ハレルソンとか、ルウェリンの奥さん役のケリー・マクドナルドとか、ガソリン・スタンドのおっさんとか)といった様々なエモーションにいちいち反応してしまって、とにかく疲れた。 ロジャー・イバートさんはまた、この映画は、ロジャー・ディーキンスの映像、コーエン・ブラザーズの編集、カーター・バーウェルの音楽によって息を呑むほど美しく、不毛で、寂れた感じに仕上がっている、と言っている。音楽があったのか!もー全然憶えてないもん。よっぽど緊迫していたのだなあ。 Kay Words ジョエル・コーエン イーサン・コーエン トミー・リー・ジョーンズ ハビエル・バルデム ジョシュ・ブローリン ウディ・ハレルソン ケリー・マクドナルド |
怖そうで、全然好きなタイプの映画じゃないのですが、ハビエル・バルデムなので観にいくつもりにしております。
『電話でアモーレ』(だったっけ?)みたいなちょっとおバカそうな映画から『海を飛ぶ夢』みたいな感動物まで、ホント芸達者な人だと思います。 ハビエル・バルデムって、あの殺し屋よね?すごいよ、この人。怖いよ!芸達者なの、わかる気がする。マジ怖いもん!
クライヴ・オーエンにひかれて、こちらにたどり着ました。はじめまして!
映画評、すばらしいですね。 色々参考にさせてもらってます! ノーカントリーは、日本では公開まだなんですが、 見てみたいと思っています。 ・・・・でも、そんなに緊迫するんですか! またお邪魔いたしますね! Minitaさん、
コメ、サンクスです! わかりません、私は人一倍、怖がりなので、必要以上に緊迫したかも。是非観て感想をおきかせください。 チュチュさん、こんにちは。ご無沙汰です。
これ、15日から日本でも公開になりました。あの殺し屋さんは「シガー」となっていましたよ。 音楽も、ほぼ無かったですね。風の音が異様に聴こえました。 物凄~く、怖かった・・・。 三回くらい、椅子から飛び上がってしまいました。 アカデミー賞、作品賞でしたね。天晴れです。 ではでは~。 http://thinkingdays.blog42.fc2.com/blog-entry-425.html こんばんは。
この映画はシガーが主人公ですよね? 後の人はみんな引き立て役。 シガーが死神なのかなあ? とにかく緊張しました。 あのガソリンスタンドのじいちゃんの会話とかね・・・! ptdさん、
シガーって、主人公なんですかね(汗) 怖過ぎです。 昨日観ました~。
得体の知れない怖さっていうんですか? 狼男とか、幽霊とか、犯罪映画とか、ある程度「くるぞくるぞ」という予測の元にドキドキしたりするものですが、これはもうひたすら怖くてドキドキなんてしている暇がありませんでした。ちょっとターミネーターを彷彿とさせるしつこさです。 見終わった瞬間には「え?これってどういうこと?」あの人は殺されたの?という疑問が色々沸いたニブい私ですが、色々たどっていくと皆殺されていたり、最後に追うターゲットが変わっていたりする辺りに最後まで怖さが漂っていました。 見終わって色々な場面を検証して、初めて「すごい映画だった・・・」と思うすごく珍しい映画でした。 harumiさん、
確かにターミネーターのノリがありますね。 音楽も、ほぼ無かったですね。風の音が異様に聴こえました。
物凄~く、怖かった・・・。 |
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