姫のお楽しみ袋  『マリー・アントワネット』-当たらずとも遠からじ?
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『マリー・アントワネット』-当たらずとも遠からじ?
Marie Antoinette

仮面舞踏会のシーンでポップ・ミュージックがかかった時、どっかの映画祭でブーイングが出たって聞いたけど、なんで?? あれ、すごい良かったと思うけどな。ソフィア・コッポラは、自分がマリー・アントワネットの年齢だったときどんなだったかをベースにして、この歴史上の人物を解釈しようとしているのでしょ?マリー・アントワネットが仮面舞踏会に行ってダンスをしたり、フェルゼンと知り合ったりするくだりを本で読んで、きっとソフィアは自分がその年齢だった頃にクラブに行って、『ニュー・ロマンティック』にのって踊ったり、ナンパされたりしたこととシンクロさせたのだと思うと、楽しいじゃん!

マリー・アントワネット (初回生産限定版)
dvd on amazon.com
Produced: 2006
Directed by: Sofia Coppla
Writing Credits: Sofia Coppola
Cast:
Marie Antoinette: Kirsten Dunst
Louis XVI: Jason Schwartzman Count Fersen: Jamie Dornan
Comtesse du Barry: Asia Argento
こういう歴史上の人物を取り上げる場合、「大河ドラマ~!」「歴史大作~!」って感じじゃないと評価しないってわけ? ルイ16世役のジェイソン・シュワルツマンが、子供の頃『アマデウス』を観て、「モーツァルトが自分達みたいに笑うところを観て衝撃を受けた」とオフィシャル・サイトにあるインタヴューで語っていたけど、この映画も、マリー・アントワネットという歴史上の人物を、ヴェルサイユ宮殿の馬鹿馬鹿しいくらい豪奢な生活を、絵画の中や歴史書の中から引っ張り出して、私たちが肌で感じられるくらい近くに持って来てくれているじゃない。

だいたいさ、マリー・アントワネットって、ベルばらで30年前に身近なレベルで触れているから、この映画での描写は、私たち日本人にはそれほどショッキングでも型破りでもないのでは?アメリカというか西洋の人って、案外想像力に欠けるのかも。妄想の産物に違いないオスカル(ラスカルじゃないよ!)をあそこまで膨らまして、あんな魅力的なキャラにしちゃった池田理代子ってスゲーよな。ソフィア・コッポラって日本に憧憬あるみたいだし、「こいつベルばら読んだんじゃないの」と真剣に思ったよ。

ベルばらと言えばさ、私がベルばらから受けた印象では、フェルゼンは苦悩する二枚目って感じだったけど、このフィルムの中ではフェルゼンて、悪名高いスケこましとして描かれているのね! このフェルゼンくんはやらしくて良かったな。アントワネットとエッチするとき、上着を脱がしたら脇の下に汗染みがあったりして。DVDのメイキングを見ていたら、この映画のフェルゼンのモデルはアダム・アントなんだよ!フェルゼンの衣装を着たジェイミー・ドーナンを見てソフィア・コッポラが「あなたってマジ、アダム・アントしてる・・・」と萌えているシーンがあってわろた。

ナイーヴなマリー・アントワネットが、この色男フェルゼンにすっかり絡め取られて、小トリアノン宮でひと夏の経験をし、後年は自分の妄想が作り上げたフェルゼンを夢見て生きる、という感じになっているんだけど、これも結構、現代の結婚を象徴してない? 夫にはロマンスを求めない、情熱的に愛しているのは実際一緒になれない人・・・結婚している人が全てそうとは言わないけど、これって「ギクリ」と来る人、多いんではないかと思うよ。そして最後、革命の餌食になる直前には「私は夫の側にいます」ときっぱり言うマリー・アントワネット。愛がなくても、情熱がなくても、長年一緒に暮らしたりすると「情」は湧くんだな、結婚って、結局「情」なんじゃないの?とか思いながら観てしまいました。

それから、お世継ぎが出来ない責任を、女が一方的に背負わされるというのも興味深かった。日本も昔は、嫁ぎ先で「針のむしろに座らされる」とか言われたらしいもんね、子供が出来ないと。今はもちろんそんなことないけど、でも、この感覚って今でも綿々と残っていない? 要するに、男が性的に魅力を感じない女はダメだ→女は男に気に入られなければならない→ダイエット、化粧、カマトト、etc、etcって言うのは全てここから来ているわけじゃん? でもその一方で、国王の愛妾、デュ・バリー夫人だっけ?みたくあからさまに「性的」であるのは下品であるという、ややこしい価値観。私はアントワネットが、「男を誘惑する方法を、教えてください!」とデュ・バリー夫人に頼みに行くのを、今か今かと待っていたんだが。

ソフィア・コッポラのマリー・アントワネットの解釈・描写が気に入らない人たちは、歴史的背景を無視しているとか、なんかそんな風に感じたのかな、それとか、その時代そのものが観たかったのに肩透かし食らったか。でも、こんなもんだったんじゃないの、ヴェルサイユの生活って?

Key Words
映画 マリー・アントワネット キルスティン・ダンスト ソフィア・コッポラ
| コメント(5) | 【2007/04/02 07:08】
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コメント
チュチュ姫さま、こんにちは。
そうそう、フェルゼンが結構イヤな奴でしたね。
コンバースには気付きました?DVDだとわかり易かったかな。

http://thinkingdays.blog42.fc2.com/blog-entry-158.html
【2007/04/03 02:48】 URL | 真紅 #V5.g6cOI[ 編集] | page top↑
真紅さん、
うん、コンバース、気が付いたよ!
【2007/04/03 10:02】 URL | chuchu #-[ 編集] | page top↑
"「私は夫の側にいます」ときっぱり言うマリー・アントワネット"
これにはちゃんと「愛」がありまっせ!チョイトハス目な評論には苦笑いですが、大略満足です。
【2007/04/05 09:54】 URL | mysunshine #-[ 編集] | page top↑
chuchuさん、こんばんは☆TB&コメントありがとうございました~

実は私、キルスティン・ダンストが苦手な女優さんと言う事もあって、マイナススタートからの鑑賞ですので、あまり評価していませんでした~
それでも、ベルサイユ宮殿は美しかったですし、フランソワ・コッポラらしい絢爛豪華な衣装も素敵でした☆

http://rikocchin.blog50.fc2.com/blog-entry-75.html
【2007/06/06 22:38】 URL | rikocchin #mQop/nM.[ 編集] | page top↑
これも見たいんですよねー。
ところでフランソワ・コッポラってだれですか?
確かじいさんはFFコッポラだよねえ…?
【2007/09/25 04:34】 URL | たける #-[ 編集] | page top↑
コメント、サンクスです!












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