A History of Violence
小さな町でダイナーを経営しているトム・スタールは、平凡ではあるが幸せな生活を送っている。一男一女をもうけ、牧歌的な農場に家を持ち、奥さんとも上手く行っている。トムの経営するダイナーは小さいながら繁盛し、そこで働く人たちや町の人たちも穏やかないい人たちである。
もー前半の緊張感がたまんなかったです。『レザボア・ドッグス』以来です、あんなに緊迫したのは。やはり、ワタクシのような小市民にとっては、一目でヤクザとわかるような強面のおじさん達に誰かと勘違いされ、始終つけまわされて自分も家族も危険だとなると、こんな怖いことはありません。子供は大丈夫かなとか、奥さんが人質にされないかなとか、ダイナーの気のいいコックさんが殺されないかなとか、人情に厚い保安官がボコボコにされないかとか、もうハラハラしっぱなしです。 トムも、ヤクザのおっさん達の車が家に向かっている幻想を見たりするようになり、かなり精神的に参ってきます。そんなときに息子(アシュトン・ホームス)が学校で不良に執拗に恨まれて、いつボコボコにされるかわからないような状況。息子も父親に似て穏やかそうな子なので、もーどうしよどうしよと、お尻がイスから浮いてきそうです。 この物凄い緊迫感はどこから生まれてくるのかというと、小さな町の小さな平和、人々の素朴さや穏やかさと、血も涙もない暴力の両方が鮮やかに描かれていて、そのギャップに落っこちてしまうと異常にコワイ。 朝、トムが仕事へ行く前に郵便局へ寄って、ダイナーまで歩いて行くとき、道行く人が「おはよう、トム」なんて声をかけていく様、そのときの通りの平和な感じ、柔らかい朝の光、そして小さいけど気持ちのいい小ぎれいなダイナー・・・わー、この町に住んで、このダイナーに行ってみたい!と思うほどです(余談ですが、撮影されたのはカナダのトロントらしいです。カナダの方が撮影費が安く上がるので、最近のアメリカ映画はカナダで撮影されたものがものすごい多いんだって)。 対して、頭を撃たれた男の下あごが破裂しちゃっているところとか、鼻を下から何度も何度も突き上げられて完全に骨折しちゃってるところとか、見せるな~!ってくらいエグイです。特にこの鼻の方は、思い出すと顔がレモンを食べたときみたいになっちゃいます。この映画に出てくる暴力は、全て最初から殺す気でやっているので、観ている方は全く余裕を持つことが出来ない。
渋いんだな~! 『ロード・オブ・ザ・リングス』のDVDのインタビューで見たとき「え!こんなブ男がメイクであんな渋いアラゴンになっちゃうの?!」と驚いたものですが、こうして色々な映画で見ていくとどんどん魅力的に見えてしまう。ミック・ジャガーみたいに、年取っても太らないと思われるあのひょろっとした体型もなんか男臭いよな。 それから、ヤクザの大将を演じるウィリアム・ハートがいい!この人、すっとぼけた役がハマるんです。リバー・フェニックスが出ていた『殺したいほどアイ・ラブ・ユー』で、キアヌ・リーブスのいとこ、ハーランを演じたときと同じボケ加減!この人が出てきた途端にワタクシはもうニヤニヤしてしまいました。 ラストは人によっては非常に唐突に感じるかもしれませんが、私は「潔い」終り方だと思いました。モラル説教もせず、救いも与えず、結末もない。しかしそういうものがないから逆にインパクトが強く、エンターテイメント性が高い。最近、題材が良くてもそれにそぐわない人情話にしちゃってズッコケている映画がたくさんあるので、これは気に入った。やはり言い訳してない映画はそれだけでいい。 Related Article ■ヴィゴ・モーテンセンの映画偉人伝 ■奥さん役のマリア・ベロの映画偉人伝 ■いい映画です!『オーシャン・オブ・ファイア』 Key Word 映画 ヒストリー・オブ・バイオレンス ヴィゴ・モーテンセン ウィリアム・ハート クローネンバーグ |
いいですよねヴィゴ・モーテンセンは。
自分的には「インディアン・ランナー」をオススメします。 彼がまだ若く、他にもいい役者が揃っている上に、ショーン・ペンの監督としての才能が光っています。 記事読む限り面白そうですね。 「ヒストリー・オブ・バイオレンス」そろそろ日本でも公開のはずなんで見に行ってきます! リトル・ゼさん、
観たら是非、感想書いてくださいね! クローネンバーグは大好きな監督ですね。
偉人伝には絶対追加するべきだと思いますが、本文以上にメタバカさんのコメントがものすごくコアなものになること請け合いです。 GOさん、
メタバカさんに書かせた方が早いかもしれません! チュチュ姫さん、こんにちわ。
前にレントでTB&コメントしたものです。 この作品、劇場公開のときを見逃してレンタルで見ようと思っています。オンラインレンタルのNeftlixを使ってるんですけど、レンタル解禁してからずっとshort waitで今だに見れないんです。チュチュ姫さんのレビューを読んでますます見たくなってきました~! akkyさん、
私もNetflixですよ!これは、すぐ来ました。Short Wait になっているのは、私が止めていたせい?見る暇がなくて、一週間くらい持ってました。すいません。 またきてください。 チュチュ姫さん
これ、傑作ですね! ぜひクローネンバーグも偉人伝で取り上げてください。 TBもさせていただきました♪ 私、「クラッシュ」と同じ日に見たのですが、心は正直なもの。いま思い出すのは「ヒストリー…」の方ばかりです。もう1度見たいなあ。少しグロイところがあったけど。そこがクローネンバーグなんだなあ…。 はじめまして。
ちょくちょくブログ読ませていただいている者です。 今年もアメコミ映画多いですが中でも『ヒストリー・オブ・バイオレンス』はかなり楽しみにしている作品です。チュチュ姫さんの記事を読んでますます期待が高まりました! ice-waterさん、
いやはや、これはなかなか良かったですので、楽しんでください! チュチュ姫さん、今日は。コメントありがとうございます。TBさせて頂きますね(^^)
これは無駄の無い、重厚感のある映画でしたね。全体的にだらだらしてないし、終わり方も潔かったと思います。トムを演じたビゴ・モーテンセンが強い強い。これ配役をミスしたら、作品全体の雰囲気がここまで引き締まってなかったと思います。小さな平和な田舎町に突如として極悪人が現れて・・・ってところが現代風の西部劇みたいだと思いました。 |
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こちらでは5月20日からの公開でして、やっと見る事ができました。全体的に無駄のない、現代風西部劇でしょうか。主人公トムをビゴ・モーテンセンが熱演しています。クローネ Prime time CINEMA【2006/05/28 00 : 19】
A History of Violence チラシには「愛と暴力の対立」とサブタイトル(?)がついている。確かに愛は大事な要素だけど、妙に安っぽく感じられてならないなあ。そこの「対立」が問題だった 映画やってます?【2006/04/08 18 : 37】
美しい妻と子どもたちと暮らすトム・ストールの静かな日々は、彼の営むダイナーにふたりの強盗が飛びこんできたときに一変する。暴力を暴力で制したトムの周囲に、血のにおいを嗅ぎつけたように不穏な人物が集まってくる。?温和だったトムの瞳に急に凶暴な光が宿ると、もう 複数恋愛進行中【2006/04/05 13 : 39】
2005年10月8日鑑賞Tagline Everyone has something to hide.ストーリートム・ストールはインディアナ州の小さな町で、ダイナー(食堂)を経営する、とても家族思いの、物静かで平凡 アリゾナ映画ログ【2006/03/26 03 : 22】
ヒストリー・オブ・バイオレンス アーティスト:ハワード・ショア販売元:フレイヴ やっぱりゲイ術が好き?【2006/03/22 07 : 20】
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