姫のお楽しみ袋  『ラスト・サムライ』は『ブレイヴハート』を超えたか?!
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『ラスト・サムライ』は『ブレイヴハート』を超えたか?!
The Last Samurai


私は映画を観て良く泣くんですけど、こんなにたびたび泣かされた映画もあんまないです。

まずはあらすじを・・・・・

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DVD on amazon.com
CAST & CREDITS
Produced: 2003
Directed by: Edward Zwick
Writing credits: John Logan
Cast:
Katsumoto: Ken Watanabe
Nathan Algren: Tom Cruise
Omura: Masato Harada
Nobutada: Shin Koyamada
Ujio: Hiroyuki Sanada
Taka: Koyuki
Higen: Sosuke Ikematsu
Magojiro: Aoi Minato
オルグレン(トム・クルーズ)は、日本の軍隊に西洋式戦闘を仕込むためにアメリカからはるばるやってくる。日本は近代化へ邁進している真っ最中で、古臭いサムライ共を一掃してしまいたいのであった。反逆しているサムライたちは、国が近代化の一環として建設している鉄道などを襲い、この気に乗じて金儲けを企んでいる、おぼっちゃまくん顔の大村などの近代化推進派をやきもきさせる。オルグレンがまだ戦闘できる状態ではないと言っているにもかかわらず、欲の皮の突っ張った推進派は、軍隊をサムライ討伐に向かわせる。オルグレンの言葉どおり軍隊はへなちょこで、飛び道具を一切持たない勝元渡辺謙)の一団にあっさりやられ、隊長はハラキリ、オルグレンは捕虜にされる。オルグレンは、捕獲される際に戦って、勝元の義理の弟を殺してしまうが、その未亡人である、たかに世話されることになってしまう。最初はかなり疎外されるが、時間が経つにつれて、たかの子供たちとも仲良しになり、サムライたちにも受け入れられていくが・・・・・。

チュチュ泣きのシーン

①オルグレンとひげんの絡みのシーン

たかの息子・ひげんが、オルグレンと仲良くなり、とうとう勝元の軍が国に戦争し掛けると決めたとき、オルグレンに「行っちゃやだ」(「死なないで」、だったかも)と言って泣くんですよ。武士の子だから普段はそんな感情みせないから、もうかわいそうでかわいそうで。私ってば、映画館で、人知れず涙を流すってんじゃなくて、おいおい声を出して泣いてしまいました。好きな人に死んで欲しくないという、ひげんの切実な思いがチュチュの心の琴線に触れたのか、声を押し殺していると「ぐふっ、ぐふっ」ってなっちゃって、「わーんわーん」って泣かないと、苦しくってしょうがなかったもんで。周りにいる人が「誰が泣いてるんだ」ってキョロキョロ見回してましたからね。日本人のワタクシが泣いているのを見て、故郷を思い出しているとか思ったかもしれません。

②オルグレンがたかに、たかのだんなさんを殺してしまったことを謝るシーン

「ごめ、ごめん、なさい」ってちょっとオルグレンさんの日本語つたないんですけど、そこがまた真実味がある。それをきいてみるみる涙があふれてくるたか。(もう画面が霞んで見えませんっ)

「あの人は、サムライとして本懐を遂げました・・・。

あなたも・・・あなたのすべきことをしただけです。

・・・・お気持ちだけは・・・・



なんて、なんて、私には言えないだろうなあ!立派だ!立派である!私だったら、ここぞとばかりに罵詈雑言タレまくるだろう。

勝元が元老院に復活するシーン

その頃にはサムライいじめとも言える「廃刀令」が出されているにもかかわらず、腰に刀で出席する勝元(これがこの人の「正装」だからねえ)。小憎らしい太っちょの大村に刀を捨てていただきたいと言われ、直接明治天皇に向かって、

「恐れながら、御上のご意思であれば・・・・。」

 と迫るのであるが、勇気のない天皇は目を逸らして黙ってしまう。この刀で民を守り、天皇のために戦ってきたのに、本当に天皇のことを思っているのは勝元なのに!天皇も、それをわかっていながら立ち上がらないっ!無念、無念だ、かつもとぉ~!!とワタクシは涙が止まりませんでした。

④勝元の息子・信忠が、町で憲兵たちに絡まれるシーン

髷を切って、刀を捨てろと言われ、絡まれる信忠(ほとんど不良のいちゃもん)。オルグレンが助けにはいるが、憲兵の一人がオルグレンを殴る。思わず刀を抜こうとする信忠。オルグレンに「止めろ、止めろ・・・・」と言われて、刀を納める。憲兵にひざまずかされ、髷をきられ、「やめろぉ~!」と号泣する信忠。くやしかろう、くやしかろう。チュチュも一緒に泣いておるぞ。

⑤その信忠が、元老院側の手に落ちた勝元を助けに行くシーンで死んじゃうところ

鉄砲に撃たれて、なんとか助け出すのだが、もうダメそう。このときの渡辺謙の演技がタダゴトでないっ。息子はかわいいが、行かねばならぬ。なんかその、表現力といいますか、見ているものの胸が詰まります。信忠も、自分はもうダメだとわかっていて、みんなを逃がすために力を振り絞って戦い、蜂の巣にされて壮絶な最期を遂げる・・・・。信忠は、普段はひょうきんな、どこにでもいる十代の男の子って感じのシーンが織り込まれていたので、こんな風に死んじゃうのはショック・・・・。

⑥日本軍土下座シーン

オルグレンが日本国軍とサムライ討伐に行ってまんまと勝元の軍にやられてしまったとき、指揮を執っていた(と思われる)日本人が、オルグレンがサムライに囲まれてかなりヤバイのをわかっていながら、怖くて逃げてしまいます。この人が、最後の戦いのとき、マシンガンに勇敢に立ち向かってボコボコになりながらも戦う意思をみせたサムライたちの死に様を見て、泣き始めちゃうんです。そして、自分の上官に逆らってまで「撃つのを止めろー!」と命令します。そのあと、立ち上がることもできないのにオルグレンの力を借りて自決した勝元に、帽子を取って土下座するんです。そうすると、他の日本国軍の兵士たちも、みんな土下座しちゃうんです・・・・私はこの、生死を超越した何かにすごく素直に胸を打たれてしまいました。

⑦明治天皇の演説

勝元亡き後、オルグレンが勝元の刀を明治天皇の所に持ってきて、勝元が天皇に差し上げて欲しいと言ったと伝える。横でおぼっちゃまくん大村が、天皇がオルグレンの話を聞かないようにちゃちゃをいれるが、それには耳を貸さず、演説をしてしまいます。

"I have dreamed of unified Japan, of a country strong, independent and modern.  And now we have railroads, canon and western clothing.  But we cannot forget who we are or where we come from....."

「私はいつも、統一された日本を夢みていました。強い、独立した、近代的な国を・・・・・。そして今、日本は鉄道も、大砲も、洋服もあります。でも・・・・私たちは自分たちの本当の姿を、そして私たちのご先祖のことを、忘れてはいけないのです・・・。」


この言葉はぐっときました・・・・・。この言葉は、今の日本人も、思い出さなきゃいけないんじゃないんでしょうか・・・・これをハリウッドに言われてしまったとは、と思ったけど、これを言わせることができた製作側は、私たち以上に日本という国とその文化を、敬っているんじゃないかと思いました。サムライたちが超かっこよく見えるのも、映画を撮っている人たちが、かっこいいと信じて撮っているからかっこよくみえるんだと思うし、くさいセリフも、真剣に語られているから、笑い飛ばすことができないのです。


それになんといっても、


日本の俳優陣の


気合


が違うじゃあありませんか!

20050920080936.jpgやはり、外国の人に見られるから、きちんとした日本を見せよう!とがんばったのでしょうか。渡辺謙さんはみんな知っているとおり、ばっちり気合入ってますが、私的には、勝元の右腕、氏尾を演じる、

真田広之が印象的でしたよ。私はこの人の映画なんて、「リング」くらいしか観たことないんで、真田さんて、色男というかすけこまし というイメージしか持ってなかったけど、この映画では、無骨な、がっちんがっちんの武士~~~!!!って感じで、かっこいいではないですか。至近距離から銃で腹撃たれてんのに、周りの人が助け起こそうとすると、 「離っしゃぁ!」って自分で立ち上がり、「ぺっ!!」と血を吐き出したりしてさ。この人が出てくるたびに、


「さなだぁ~、かっこいいじゃねぇかぁ~~!」

と叫んでしまいましたよ。

それと、信忠役の小山田シン


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新鮮だったなー、この子。

「日本のオーランド・ブルーム」

と呼ばせていただきましょう。弓矢の名手というところが、LOTRのレゴラスを彷彿とさせるわん。

さらに、脇役の武士の皆様が、なんと言っても光ってるぅ。オルグレンに

「ボブ」と呼ばれる寡黙な老サムライ

20050920080840.jpg

↑この後ろにいる人ね

五分刈の強面のサムライ

を始めとして、みんないい味出してます。こういう人たちって、なんとなく見たことあるからさすがよね。公式ウエッブサイトに行って略歴を読むと、「へぇ~」と思ってしまいます。

たかの長男、ひげん役の子も、すごい演技派で驚いた。わたしを号泣させたシーンもさることながら、忍者軍団に襲われたとき、オルグレンを助けようと亡き父の刀で向かっていくのだけど、かなうはずもなく、寸でのところで助けられるんだけど、そのときの恐怖におののいた顔!良くあんな顔できるなー。それに引き換え、弟、孫次郎役の子は、「演技じゃねーだろお前」というくらい無邪気にそこにいて、とぉっても可愛くって、ひねりつぶしたくなります。

たか役の小雪さんは、楚々とした日本女性の感じがでていて、なかなか良かった。いつも眉間にしわがよっているところが、自分を抑えて生きていたサムライの家の女って感じで。セリフが少ないのにかなり助けられてるかな?しゃべるとイマイチなんですが。

信忠が憲兵に絡まれるシーンで、「そんな格好をしているから、異人に馬鹿にされるのだっ!」と吼える、

ちょっと太目の憲兵さん

も、いい味だしてたなあ。とにかく、こんな端役の人でも印象的なんですよ。

まー細かいこと言えば、勝元の英語が上手すぎてうそ臭い!あの時代だったら、しゃべれても発音悪いくらいの方が信憑性あるのでは。まあ発音はまだしも、身のこなしというかしゃべり方?こっちに何年もいる日本人駐在員だってあんなさらりとしゃべんないよ。あとさ、最後に「ha!?」ってつけるのがアメリカナイズされすぎてるよーな気がするが、ああいう人が当時絶対いなかったとは言い切れませんからね。明治天皇の英語の方がぎこちなくて真実味ありました。

バトル・シーンも緊張感あって良かったな。

一番最初の日本軍対サムライのバトルは、明け方の霧の中から鎧に身を固めたサムライがぼわっと現れるところが不気味でかっちょいかったですが、一番かっこいいのは、村のお祭りのときに、忍者軍団に奇襲されたときの殺陣。ボブも、真田も、五分刈も、みんな見せ場がある!(たかも一人殺したし)。敵を一人残らず倒したとわかって、みんなが「おお~~~!!」とかちどきをあげるところは、鳥肌立っちゃいます。


最期のバトルは、『ブレイヴハート』のパクり?とか思ったけど、同じようなバトル形式なんで、まあ、ああいう風にしか見せられないんでしょうね。でも最後に、マシンガンが「新兵器」として出てくるんですけど、マシンガンというと私たちは『ランボー』とかの、引き金を引くとダダダダダダダダって撃ちまくるマッチョ銃、というのを想像してしまいますが、さすがにこの頃はまだ前時代的っていうか、カメラみたいに三脚で固定されていて、兵隊がハンドルをくるくるまわすと「たたたたたたた」なんて情けない音を出すんですよ。でもこれが出てくると、今まで「うおー!」とか「ぐわー!」とか声を上げ、刀がキンっ!ピンっ!なんていって勢い良く戦ってたサムライたちが、蜂の巣にされてあっさり死んでしまう。そのバック・グラウンドには「たたたたたたた」というマヌケな音しかない。なんか、これが「滅び行くサムライ」に替わるものだというのが何を象徴しているのだろうと、ちと考えさせられてしまいました。


『ブレイヴハート』がなかったら、この最後のバトルシーンはなかったかも知れませんが、映画全体のテンションを考えると、『ラストサムライ』は、『ブレイヴハート』を超えたかも!


公式ウエッブサイトのプロダクション・ノートは、かなり読み応えあります。日本語訳がイマイチですが。

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コメント
はじめまして、こんにちは。
TBありがとうございました。
「ラストサムライ」はいい映画ですね。
こんなに日本は素晴らしくて、侍達はかっこよかったんだなーと、観るたびに嬉しくなります。
戦う事を肯定はしませんけれど・・・。

TBお返しさせてくださいね。
【2005/09/28 07:01】 URL | una noche #0uwWg0JQ[ 編集] | page top↑
いらはいませ!どうぞ、どうぞ、トラックバック大歓迎ですよ!

また遊びにいきます!
【2005/09/28 21:07】 URL | チュチュ姫 #-[ 編集] | page top↑
ものすごい分析されてますね。かなり圧倒されました。
【2006/01/22 23:23】 URL | moviemiru #-[ 編集] | page top↑
Moviemiruさん、
この映画は、はまっちゃってはまっちゃって、何十回も観てしまったもんで・・・多分私が書いた中で、一番長い評じゃないでしょうか・・・
【2006/01/23 02:00】 URL | チュチュ姫 #-[ 編集] | page top↑
はじめまして。
かなーりカメコメですが、この映画良いっすよね!
信忠のマゲを切られるシーンはうそ臭いですけどね。
マゲに武士たる新年を込めるのであれば、ボブのように手入れをするべきです。
でも、他のシーンはウンウン。そうだよ。
という感じで同感です!

ちなみに、たかの長男は「飛源(ひげん)」じゃないっすか?
【2006/02/02 12:21】 URL | 56 #tHX44QXM[ 編集] | page top↑
56さん、
コメントどうも。
あーそうなの、長男の名前は「ひげん」なんですか!字幕ないもんで、聞こえたまま書いちゃった。
「かめこめ」ってなんですか?
【2006/02/02 21:58】 URL | チュチュ姫 #-[ 編集] | page top↑
あ、仕事中に慌てて書いたのでグチャグチャな文ですね。
新年じゃなくて信念ですし。
カメコメも亀コメントと書こうと思ったわけで・・・(純)
【2006/02/03 01:04】 URL | 56 #tHX44QXM[ 編集] | page top↑
はじめまして。
私もこの映画は映画館に観にいって号泣し、感動のあまりDVDも購入し、観るたび観るたび泣いています。
霧の中から侍が現れるシーンは、ゾクゾクしますよね!!すごく詳しく分析されてて、読み応えのある記事でした。
そして、同じく、真田さんの勇姿に惚れました。
【2006/04/21 11:13】 URL | 鈴 #Na2Yg6cE[ 編集] | page top↑
鈴さん、どうもです。私もこの映画は何回も観ました。

また遊びに来てください。
【2006/04/23 13:15】 URL | チュチュ姫 #-[ 編集] | page top↑
もう、すっごく爆笑しながら読みました(あ....泣ける映画の評論を、笑って読んじゃイカンだったかな??)
チュチュ姫さんの見解って、すごく好き。書き方も好き。オチも好き。また読ませていただきます♪ 楽しみです♪
追伸:私もこの作品スキですよ。DVD買っちゃいました。
【2006/05/30 23:44】 URL | Emi #qVPsUf7E[ 編集] | page top↑
Emiさん、
笑っていただければ幸いです。文章自体は、これなんか良く書けて、気に入っている方なんですけど、オチもへったくれもないようなものを時々書いてしまいますので、ご了承ください・・・・。
【2006/05/31 00:32】 URL | チュチュ姫 #-[ 編集] | page top↑
テレビで久しぶりに本映画を見ました。
酒も手伝ってか、大泣きしました。
やはり、魂を揺さぶる映画というのは良いでうねぇ!
しかし、はたして武士道という物が現実にあった当時、実際にはどのような物か想像につきませんが、この映画は私たち日本人の根底にある物を揺さぶる物があると思います。
精神を高潔に保つ(世界共通に)・・・そういう物を思い起こさせる・・そういう作品ではないかと思います。

【2007/08/19 01:04】 URL | eicyan #-[ 編集] | page top↑
eicyanさん、

コメ、サンクスです!最近では『硫黄島からの手紙』がぐっと来ましたね。
【2007/08/19 11:57】 URL | ちゅちゅ #-[ 編集] | page top↑
コメント、サンクスです!












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