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April 12, 2010
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シャッターアイランド.jpg
 「アビエイター」「ディパーテッド」マーティン・スコセッシ×レオナルド・ディカプリオが、久々にタッグを組んでリリースするのは、精神を患った犯罪者のみが収容される絶壁の孤島「シャッターアイランド」で起きた女性囚人失踪事件に端を発する、本格ミステリーサスペンス。戦争体験と愛妻の死というトラウマを抱えた連邦捜査官が、事件を追ううちに島に隠されたある重大な秘密に辿り着く。

 
 公開前からミュラー・リヤー錯覚を用いたCMがバンバン流され、本編前にもツェルナー錯覚が登場するなど(詳しくはコチラを参照)、観客の脳を欺き、刺激するという触れ込みの本作。
 正直、この手の映画は、大当たりか大ハズレかのどちらかしか無いのだが、いやはや、まさかこれほどの作品とは。


 まあ、勿体つけず、単刀直入に言ってしまおう。

 普通。めっちゃ普通。

 「空前絶後の」「驚愕の」「誰も予想だにしなかった」「あなたは絶対に騙される」なんて派手なコピーが躍るサスペンス映画に限って、期待値も完成度も反比例してしまう事がほとんどの昨今、本作はいつにも増して、ある意味「空前絶後」にして「誰も予想だにしなかった」普通さ加減。
 ストーリー、脚本、演出、役者の芝居、等々。とにかく、なにもかもがメッサ普通。ど真ん中。平均的。100点満点中50点。

 また、マナーとしてネタバレは避けるが、この手の映画のキモであるはずのオチについても、冒頭5分ぐらいで「ああ、多分こうなるんだろうね」と分かる、使い古されたパターン。
 そこから、さらに一捻り二捻り覆してくれれば、それこそ歴史に残る傑作になり得たかもしれないが、まったくそのまんま。トップロープに登って、そのまま降りるぐらい、ドラゴンリングイン並の何にもしないっぷり。着地した瞬間に越中詩郎ジャンピングヒップアタックが跳んできても文句言えない、ノープラン甚だしい出来。
 だいたい、多くの広報関係者は気づいていないようだが、上記のような煽り文句は観客の興味を誘うより先に、予想される選択肢を限定し、結果、図らずしてオチを安易に予測させてしまう格好となっている。まして、本編前から「出演者の表情や、ちょっとした動きにも注意してご覧ください」なんてヒントをわざわざ出す事自体、もはやナンセンス。そんなもん、サスペンス映画観に来とんねんから、言われんでも注意して観るちゅうねん。観客をナメくさっとるとしか思えない。

 実際の絶壁孤島による体当たりロケは評価するとしても、出来がこれなら「だから、何?」で一蹴。「彼はおそらく正気に戻っていたが、自らに対する罰、あるいは戒めのために、あえて狂気を演じた」的な、妙に哲学じみたラストも、分かりにくくて何ともすっきりせず。
 結局この映画が世に問いたかったのは、何だったのか。人間愛?罪と罰?それとも、ロボトミー手術の是非?21世紀のこのご時世に今さら?
 結末もボンヤリやら、メッセージ性もボンヤリ。繰り返すが、とにもかくにも普通。THE普通。キングオブ普通。今まで散々煽った挙句、このオチとは。これはもはや、サスペンスでもミステリーでもない。

 正直、若い頃のディカプリオは、アイドル臭がきつすぎて嫌いだったが、最近は徐々に渋さが増してきてよい役者だと思えるようになってきた(彼自身、それがイヤでしょうがないそうだが)。本作でよかったと言えるのは、せいぜいそのぐらい。
 ものすごい大傑作を期待して行くと、間違いなくイヤ~な空気を引きずって会場を後にする事ウケアイ。今から鑑賞される諸兄姉は、上映前に用を足す時にでも、そういったモノも一緒に流してしまってから臨まれる事をオススメする。


 そんなわけで、小生の、この映画に対する評価は…、

 ☆☆★★★

 星2つ!!


 追記:トラックバックを貼らせていただくついでに、他の方々の感想を読むと「これは謎解き映画ではなく、実はディカ演じる捜査官の深層心理を探る人間ドラマであるという点が、一番のトリックである」という見解がチラホラ。
 ああ、そういう見方もアリか、と思う反面「そんなもん、言い方一つやんけ。既に作品としての完成を、拒否してるやんけ!」とも思ってしまう。このDVDが出た時、ツタヤはどこの欄に置けばよいのか。まったく持ってさっぱり。


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最終更新日  April 12, 2010 09:11:35 PM
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