オフアキシスガイドによるライトフレーム毎の星の流れの阻止。 - 菜園、PC、そして天文の日々
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オフアキシスガイドによるライトフレーム毎の星の流れの阻止。

 1.なぜオフアキシスガイドを始めたのか 

  長焦点の鏡筒を使っている時、フレーム毎に星が一定方向に流れてゆく現象に見舞われてた。オートガイドは正常に稼働しているにもかかわらず、星が流れてゆく現象。原因がガイド鏡と主鏡との光軸のズレではないかと推定。この現象は、オフアキシスガイドを実装すれば解決すると考え、セットアップと実際の撮影を実行してみました。

  オフアキシスガイドのセットアップと、ガイド鏡との比較撮影の様子は、下記のYouTubeに動画をアップしています。



     オフアキシスガイドのセットアップと撮影【写真クリックで動画へ】



 2.オフアキシスガイダーの検討  

   最初に、ZWO社のオフアキシスガイダー(ミニタイプ)を購入し、昼間に試験を行った。             ZWO OAG ミニタイプ 



   ZWO OAGミニタイプは、1.25インチ径のカメラは装着できないので、手持ちのM42 1.25インチヘリコイドマイクロフォーカサーを取り付けた。

   試験は以下の条件で行いました。 
   ・主鏡:Takahashi TSA-120 (f=900mm) 
 ・専用1.5Xエクステンダー  
 ・ガイド鏡:ASi120MM Mini  
 ・オフアキガイダー:ZWO OAG にM42 1.25" ヘリコイド マイクロフォーカサーを装着

  約250m先のマンションのレンガ壁を撮影した時のスクリーンショットが下の写真。



           ZWO OAG を使ったASi120MM Miniの画像 

   驚いたことに、ZWO OAGを使った画像は、まともな画像が得られなかった。撮像が少々霞んでおり、ケラレもあるようです。何とゴーストの発生が見受けられました。目を疑いましたが、プリズムの位置を変化させても鮮明な像は得られませんでした。これは、使い物にならないと感じ、即AstroStreet社のオフアキガイダーを発注しました。こちらの製品は、マイクロフォーカサーも付属しているタイプがあり、価格もZWO社の半値以下でした。
          AstroStreet社 OAG マイクロフォーカサータイプ


   AstroStreet社より購入のガイダーは、Omegon社製の製品と思われます。海外の多くの天文ショップでも販売されています。ZWO社のミニOAGは、プリズム反射ではなく、蒸着金属の反射板を使っているようで、それが原因でゴーストの発生などがみられるのではないかと思われます。AstroStreet社のOAGは正真正銘のプリズムが使われています。 

   同様にTSA-120を鏡筒にして、250m先のマンションの壁を撮影したのが下の写真です。


             AstroStreet社OAGを使った像 


   AstroStreet社のOAGでは鮮明な像が得られたので、このガイダーを使うことにしました。試験では、ガイド鏡としてASi120MM Miniを使いましたが、実装で広めの視野にするためにASi220MM Miniを使うことにしました。 



 3.ガイド鏡によるガイドとオフアキシスガイドとの比較  

   下のGIFアニメは、ガイド鏡を使ったオートガイドを実行して撮影されたライトフレームを順番に並べて、星の動きを見たものです。星が下に向かって流れているのが判ると思います。


    ガイド鏡によるオートガイドで撮影されたライトフレームの星の流れ



   次のGIFアニメは、オフアキシスガイダーを使ってオートガイドを行って撮影したライトフレームを並べたものです。フレーム毎の星の流れは皆無です。




     オフアキシスガイドによって撮影されたライトフレームの星の流れ



   以上のとおり、オフアキシスガイドによってライトフレーム毎の星の流れは無くなることがわかりました。 




 4.ガイド鏡によるガイドとオフアキシスガイドとのM101最終画像の比較 

  ガイド鏡によるオートガイドの最終画像は、下の写真のとおりです。当初は、真ん中にM101を導入しましたが、フレーム毎に星が下へと流れて銀河が下の方へ片寄った最終画像となりました。


        ガイド鏡によるオートガイド時のM101の最終画像 
  撮影日:2023/4/29。撮影地:南関東市街地、自宅庭。鏡筒:TSA-120 (f=900mm)+2インチ2.0xEDバローレンズ(最終焦点距離=1,930mm)。マウント:ZWO AM5。カメラ:ASi533MC Pro (-10℃、Gain: 250)。ガイド鏡:EvoGuide50ED+2xBarlow (f=425mm)。ガイドカメラ:ASi120MM Mini。オートガイド、ライブスタック共にASiair Plus。フィルター:2インチKenko ASTRO LPR Type2。240秒露光で、フラット、バイアス有りでASiairにて22回ライブスタック。画像処理:自動保存された22枚のライトFitsファイルをフラット、ダーク、バイアス補正後、ASiDeepStackにてスタック。FlatAideProにてレベル調整後、Topaz DeNoise AIにてデノイズ処理。



  星像も縦長になっているように見えます。オフアキシスガイダーを使ったライトフレームは、DSSによってもスタックが可能になりました。星像もより丸くなっているように見えます。




          オフアキシスガイド時のM101の最終画像 
  撮影日:2023/6/16。撮影地:南関東市街地、自宅庭。鏡筒:TSA-120 (f=900mm)+1.5xエクステンダー(最終焦点距離=1,590mm)。マウント:ZWO AM5。カメラ:ASi533MC Pro (-10℃、Gain: 250)。ガイド鏡:AstroStreet社のマイクロフォーカサー付きオフアキガイダー。ガイドカメラ:ASi220MM Mini。オートガイド、ライブスタック共にASiair Plus。フィルター:2インチKenko ASTRO LPR Type2。240秒露光で、フラット、バイアス有りでASiairにて15回ライブスタック。画像処理:自動保存された15枚のライトFitsファイルをフラット、ダーク、バイアス補正後、ASiDeepStackにてスタック。FlatAideProにてレベル調整後、Topaz DeNoise AIにてデノイズ処理。



    5.まとめ 

1.長焦点の鏡筒を使ってガイド鏡でのガイド撮影を行った際、ライトフレーム毎に星が流れる現象に見舞われた。オートガイドが正常に機能しているにもかかわらず星が流れる原因は、主鏡の向きとガイド鏡の向きが経時とともに乖離してゆくことに依るものと考えられる。

 2.この向きの乖離は、オフアキシスガイドでは無いはずなので、オフアキシスガイドを検討してみた。結果は、オフアキシスガイドを実行するとライトフレーム毎の星の流れは無くなった。

 3.ガイド鏡によるオートガイドで得られるライトフレームは、DeepSkyStackerではスタックが出来なかったが、オフアキシスガイダーを使うことによってDSSでもスタックが可能になった。

 4.オフアキシスガイダーとしては、AstroStreet社のマイクロフォーカサー付属のものが安価で解像度も良い結果が得られた。ZWO OAGミニタイプは、得られる画像は少々霞んでおり、ゴーストの発生も見られた。昼間の使用ではこのような現象は織り込み済みという輸入元の見解ですが、果たしてそのような判断で良いのでしょうか。




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