既にSNS等で話題になっておりますので、ご存じの方々も多いと思いますが、セブンスターの木近くの白樺並木が伐採されることになりました。

 伐採は地域からの要望であり、その理由としては以下の通りです。
 ・白樺並木の日陰になることによる農作物の減収
 ・落ち葉や訪問者が捨てるゴミを片付ける労力に苦慮
 ・並木周辺で写真撮影する観光客が密集し、道路通行に著しい弊害が出ている

 白樺並木はセブンスターの木と違い「美瑛の美しい景観を守り育てる条例(通称:景観条例)」で景観重要樹木に指定されているわけではありませんので、地域の意向に従い、令和6年度第3回美瑛町景観審議会で伐採が合意されました。

 地域としては、12月〜1月に伐採したい意向を示されておりますので、恐らく近日中に伐採されることになると思います。

 個人的には、このニュースをとても肯定的に捉えており、現在の美瑛町が抱える一極集中型オーバーツーリズムへの具体的対策が進む契機になればと願っています。

 参考までに、景観条例では以下が景観重要樹木・建造物と指定されています。
【景観重要樹木】
 ・親子の木(個人所有)
 ・セブンスターの木(個人所有)
 ・クリスマスツリーの木(個人所有)
 ・パフィーの木(町有地内)
【景観重要建造物】
 ・赤い屋根の家(個人所有)
 ・赤い屋根の小屋(個人所有)


 それではまず、この問題を考えるにあたって、現状を観光データから分析したいと思います。

 こちらの表は、令和5年度の北海道観光入込客数トップ20市町村です。
令和5年度・北海道観光客数
出典:北海道観光入込客数調査報告書(https://www.pref.hokkaido.lg.jp/kz/kkd/irikomi.html)
   住民基本台帳人口・世帯数(https://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/tuk/900brr/index2.html)
  
  美瑛町は北海道179市町村の中で12番目に観光受入客数が多い地域で、平成30年度から近隣の富良野市より多い状況が続いています。

 人口ひとりあたりの観光受入客数が100人を超えているのは、喜茂別町、美瑛町、洞爺湖町、長沼町、白老町の5町となりますが、喜茂別町は札幌周辺から道の駅「望洋中山」へ羊蹄山や揚げいも目当ての観光客が多数訪れるという理由が明確ですし、洞爺湖町は洞爺湖温泉街に大型ホテルが多数並んでいますし、長沼町は札幌周辺から新鮮で安価な野菜を求めて道の駅「マオイの丘公園」に来る客でいつも混み合っていますし、白老町はウポポイに来る多くの観光客が理由でしょう。

 そう考えると、美瑛町の253.1人という数字は突出して多く、この数字だけ見ても相当なオーバーツーリズムだと思えます。

 一方、宿泊率を見ると5.4%とかなり低く、以前から言われている通り、日帰り客で混雑する通過型観光の典型例と言えるでしょう。

 そして、美瑛町の観光データの数字を時系列で並べてみたのがこの表です。
美瑛町観光客数推移
出典:北海道観光入込客数調査報告書(https://www.pref.hokkaido.lg.jp/kz/kkd/irikomi.html)
   人口・世帯|美瑛町(https://town.biei.hokkaido.jp/administration/about/population/)

 コロナ前の平成30年度(2018年度)あたりから急に日帰り客数が増えてきており、コロナ禍が収束してきた令和5年度の日帰り客数は、過去最高を超えました。

 一方、宿泊数に目を移すと、平成29年度をピークに減少傾向にあり、令和5年度はピークの2/3まで宿泊数が減ってしまっています。
(コロナ前に全く戻っていません)

 今、美瑛町では観光まちづくり基金として宿泊税の導入を検討していますが、このような状況下で宿泊税を導入してしまっては、宿泊客の減少にさらに拍車がかかってしまうことが懸念されるのではないでしょうか?

 以上のデータから、美瑛町が行うべき観光政策は、日帰り観光客を抑制することでオーバーツーリズム解消に向けて舵を切り始め、宿泊客増につながる政策を実施することで、効率良く観光収入を得られるようにするべきではないかと思っています。


 コロナ禍が徐々に収束し、クリスマスツリーの木の一極集中型オーバーツーリズムが再度問題視されるようになった令和5年、「美瑛町持続可能な観光目的地実現条例」が設定されました。

 この条例では、以下の行為が認められるときは、町長は期間を定めて立入制限区域を指定することができるようになりました。
 ・良好な景観に損害を及ぼすおそれのある行為
 ・生活環境の保全に支障をきたすおそれのある行為
 ・他人の私有地に無断で立入る行為

 クリスマスツリーの木の現状は、冬になると大型観光バスがひっきりなしに訪れるようになり、クリスマスツリーの木の前を通る美馬牛旭東線では大勢の観光客で溢れかえり、生活道路として利用されている周辺住民の方々や、スクールバスが通行できないという大問題が生じています...😭

 その混雑ぶりは、良好な景観を害し、地域住民の生活環境に支障をきたし、ひいては無断で畑に踏み入る人たちが後を絶たない...

 まさに立入制限区域を指定すべき状況下にあると思います。

 この冬からは、クリスマスツリーの木の前の道路を駐停車禁止にするなどの対策が行われていますが、それでも多くの観光客がツリーの木の前の路上に屯せば、生活道路として通行困難になるのは明白です。

 周辺住民がもし急病に罹り、救急車を呼んだとしたら、果たしてそのお宅までスムーズに辿り着けることが現状の対策のみで可能なのでしょうか...?

 よって私は、そのような酷いオーバーツーリズムには加担したくないので、冬の間は早朝か日没後にしかクリスマスツリーの木に行かないと、心に誓っています。


 観光目的地実現条例制定から来年度で3度目の冬を迎えることになります。

 角和町長、来冬こそクリスマスツリーの木周辺道路への大型観光バス乗り入れ規制を行う決断をすべきではないでしょうか?

 私はその対策が功を奏しても、冬のクリスマスツリーの木の一極集中型オーバーツーリズムは根本的に解消しないと思っていますので、マイカー乗り入れ規制や、美瑛町観光地混雑状況可視化システムと連動した車両ナンバー認証システムによるゲート規制(混雑時は登録したナンバー以外はゲート通過不可)などの対策も併せて行う必要があると思っています。

 もし、マイカー乗り入れ規制を行うことになったら、クリスマスツリーの木への観光ルートとしてシャトルバスによるパークアンドライド方式が良いのではと考えていますが、そのシャトルバスは完全予約制とし、道外からの観光客は美瑛町内の宿泊施設に宿泊しないと予約不可にするなど、日帰り観光客を抑制し、宿泊客増につながる対策を併せて実施すべきと思っています。

 究極の一手は、美瑛駅前とその周辺道路で大型観光バスの乗り入れ規制を行うことだと思います。

 そうすれば、駅周辺で観光客を下ろして昼食に行かせることも困難となり、観光業者も観光バスでの美瑛日帰りツアーを諦めざるを得なくなるところが多くなるのではないでしょうか?

 そのくらいの大胆な対策を実施して、日帰り観光客を10年前(150万人)程度まで減らすことができれば、昔のように美瑛町民が駅前の飲食店で昼食を楽しむことができるようになるのではないないかと思います。

 美瑛は大好きだけど、オーバーツーリズムでマナーが悪い観光客が多いのを見たくないから美瑛には行かない、そういう昔ながらの美瑛ファンが安心して帰って来れるような環境を、1日も早く取り戻すことができればと願っています。

P2090954@



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