本のはなし - 茶の間の自由 ~チャンスも経験もいらない~
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茶の間の自由 ~チャンスも経験もいらない~

ビートルズ プログレ ミステリ 近辺の話題と浅い話を繰り出します

島田荘司『夜は千の鈴を鳴らす』



島田荘司『夜は千の鈴を鳴らす』

またまた島田荘司作品の再読です。
時刻表トリック系の作品ですがそこはまあ何とかなってしまうのだろうという感じでほとんど読み飛ばしです。(私の悪いクセです)
しかし本作の読みどころは被害者女性の数奇な人生を吉敷刑事が追っていくところでありこの部分の面白さは無類です。
特に真犯人がこの女性の人生とある点でつながっていくあたりは特に面白い部分です。
叙述的な企みもあり本作もまた傑作でした。



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島田荘司『北の夕鶴2/3の殺人』



島田荘司『北の夕鶴2/3の殺人』

何度目の再読だろう。
本格ミステリの美しさに痺れたものですが今回数十年ぶりの再読では印象が異なりました。
魅力的な謎は早い時期で提示されますが以降は吉敷刑事の物語です。別れた妻のために行動する様はハードボイルドのようです。誰もが仰天する本格の謎ときは最後の数ページに集約されています。既読していますが本当に解決できるのかともう程最後の最後までわかりません。それだけにその解決編の濃度の濃さは強烈です。
ああ面白かった。
どこか読み飛ばしたのか読みが浅かったのか 「2/3」の意味は分からなかったのは残念です。

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福澤徹三『忌み地』



福澤徹三『忌み地』


怪談社の糸柳寿昭と上間月貴が全国各地の忌み地、いわくつき物件を中心に取材。ふたりが足で集めた情報をもとに作家・福澤徹三が取材のプロセスや現場の状況を書き起こした前例のない怪談実話集。糸柳と上間は事故物件が集中する地域で、恐るべき怪異の連鎖に遭遇する。歴史から忘れ去られた戦慄の真相とは?


実話怪談は好きでよく読みますが、その階段の後日談語られる、”この話を書くとPC壊れる”とか”カメラが壊れる”といったものに惹かれます。本作は怪異を蒐集する状況含め描くという事でより好みに合った怪談集でした。とはいっても何かが壊れるといった話はありませんだが。しかし怪談蒐集の際に起こる、話がつながっていくという連鎖や関係ないところから話が吹く連で行く様子は大変興味深かったです。

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山村正夫『湯殿山麓呪い村』



山村正夫『湯殿山麓呪い村』


ある密室殺人が、隠された過去を暴き出す。角川小説賞受賞の名作ミステリ。

「語らざるべし、聞かざるべし」。大手食品メーカーの社長、淡路剛造が自宅の浴室で何者かに殺害された。殺害前、彼の自宅前では怪しげな遍路の姿が目撃されており、剛造の娘の婚約者の元には、幽海上人の生まれ変わりを名乗る謎の男から剛造が過去に起こした罪を裁くという怪電話がかかってきていた。彼が犯した罪とは何なのか。事件を追ううち、彼の故郷の村で起きたある母娘の失踪事件、更には湯殿山麓の寺の奇妙な戒律が浮かび上がる――。角川小説賞受賞の本格推理小説。


何十年ぶりの再読です。
初読時はつまらないなあと感じていましたが今回は違いました。
導入部の湯殿山の縁起みたいものもすんなり読めましたし、その後のミステリとしてのワクワク感もしっかりとありました。
作者は本作執筆時ですでにベテランですが、横溝正史と社会派の融合を目指したようです。そのような背景か横溝っぽさは充分にありました。
探偵役はいまいち魅力的ではない(クイズに強い大食漢というキャラ付けはあるがピンとこないものがありました)のですが、全く事件を解決しないさせないところは本家の金田一耕助にならっています!
結果的にはトリックは物足りないものがあるのですがもしかしたらこの部分も初読時につまらないと感じた、あるいは許せなかった部分かもしれません。
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探偵の殺される夜

探偵の殺される夜




短編ミステリはこれを読めば、間違いなし! 本格ミステリ作家クラブが厳選に厳選した絶品のアンソロジーをお届けします。選ばれたのは、長岡弘樹、麻耶雄嵩、青井夏海、東川篤哉、貴志祐介、柳広司、滝田務雄、鳥飼否宇、辻真先、巽昌章。いずれ劣らぬ10人の競演をぜひお楽しみください! 解説・福井健太。


久々に短編集を読む。
思った以上に面白かった。
しょっぱなの長岡弘樹さんの作品がベスト。
他はかつて読んだものや未読だが所有している作品が多かった。
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鮎川哲也『砂の城』

暑くて読書も進まずようやく夏季休暇最終日に読了。
ケレン味なしの地味な推理小説ですがこのような作品を読みたくなることもあります。
時刻表アリバイトリックはまあそんなものかと読み飛ばす感がありますがそこに至るまでの地味な推理の積み重ねが面白い。

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佐藤究『Ank:a mirroring ape』

佐藤究『Ank:a mirroring ape』




2026年、京都で大暴動が起きる。「京都暴動=キョート・ライオット」だ。人々は自分の目の前にいる人間を殺し合い、未曽有の大惨劇が繰り広げられた。事件の発端になったのは、「鏡=アンク」という名のたった1頭のチンパンジーだった。霊長類研究施設に勤める研究者・鈴木望は、世界に広がらんとする災厄にたった1人で立ち向かった……。


AIと類人猿研究がいかなる目的で結びつくのか。
主観人物と時系列があちこちに飛びながら壮大なテーマをぶち上げていく。
鏡に映った自分を自分と認識できるのか、できないのかというテーマが標題のmirroring ape
「京都暴動」の描写も淡々と描いており暴力シーンでありながらそれほど嫌な感じはしない。
冒険小説、サスペンス、SFの面白さを満喫できる傑作。

次男が行っている大学が出てきたり、長男が住んでいる千葉の超マイナーな地名が出てきたりとちょっとその辺の偶然性も面白かった。


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歌田年『紙鑑定士の事件ファイル』

歌田年
紙鑑定士の事件ファイル


どんな紙でも見分けられる男・渡部が営む紙鑑定事務所。ある日そこに「紙鑑定」を「神探偵」と勘違いした女性が、彼氏の浮気調査をしてほしいと訪ねてくる。
手がかりはプラモデルの写真一枚だけ。ダメ元で調査を始めた渡部は、伝説のプラモデル造形家・土生井と出会い、意外な真相にたどり着く。
さらに翌々日、行方不明の妹を捜す女性が、妹の部屋にあったジオラマを持って渡部を訪ねてくる。
土生井とともに調査を始めた渡部は、それが恐ろしい大量殺人計画を示唆していることを知り――。


紙鑑定士という事で紙に関する知識が楽しいミステリ。ただしストーリーはかなりご都合主義ではありましたが。


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山田正紀『囮捜査官 北見志穂1 山手線連続通り魔』

山田正紀
山手線連続通り魔


男たちの憎悪が女を殺す
ミステリ史上に残る屈指の名作シリーズ、奇跡の再始動!

私としてはこのシリーズはとりわけ愛着が深い
多少は自信もある作品であるだけに喜びもひとしおである。
読者の皆様に心の底から感謝を捧げたい。(山田正紀)

警視庁・科捜研「特別被害者部」は、違法ギリギリの囮捜査を請け負う新部署。
美貌と〝生まれつきの被害者体質〟を持つ捜査官・志穂の最初の任務は品川駅の女子トイレで起きた通り魔事件。
厳重な包囲網を躬して、犯人は闇に消えた。絞殺されミニスカートを奪われた二人と髪を切られた一人──
奇妙な憎悪の痕跡が指し示す驚愕の真相とは。


毎度おなじみトクマの特選!の山田正紀作品です。

超絶ミステリコレクションと銘打っていますが叙述や物理トリックでの"超絶"ではないのはご愛敬。
犯人と動機を探すまっとうな警察小説(とはいえ囮捜査をしますが)です。文庫裏の紹介文にある”終焉を迎えた昭和への哀切な鎮魂曲”というのは言い得て妙です。

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エラリー・クイーン『ローマ帽子の秘密』

エラリー・クイーン『ローマ帽子の秘密』


無敵の天才探偵エラリー・クイーン、華麗に登場!
観客でごったがえすブロードウェイのローマ劇場で非常事態が発生。劇の進行中に、NYきっての悪徳弁護士と噂される人物が毒殺されたのだ。名探偵エラリー・クイーンの新たな一面が見られる決定的新訳!


創元推理文庫ではく角川文庫なので、ローマ帽子の”謎”ではなく”秘密”。

なるほど決定的新訳というだけあってとても読みやすい。
本作品はのちの傑作群に比べると外連味がないと感じるがそれでも面白かった。
私は本作品はむしろつまらないと思っていたがそんなことはなかったな。
この新訳シリーズで全作品読みなおしたい。
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