市川憂人 - 茶の間の自由 ~チャンスも経験もいらない~
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茶の間の自由 ~チャンスも経験もいらない~

ビートルズ プログレ ミステリ 近辺の話題と浅い話を繰り出します

市川憂人『神とさざなみの密室』

市川憂人『神とさざなみの密室』




目覚めると、手首を縛られ、目の前には顔を焼かれた死体――。
一体誰が? 何のために? “謎の探偵"の正体は?
究極の密室監禁ミステリ!!
ここはどこ!? 女子大生の凛は必死に記憶を辿るが、何も思い出せない。暗い部屋で、両手首を頭上で縛られている。一体誰が何のためにこんなことを……。恐怖に駆られる凛の前に、突然見 知らぬ男が現れる。両者の間に横たわるのは、顔を焼かれた死体――。破局のタイムリミットが近づく中、対立する政治団体の男女を、疑惑と憎悪、密室と死体の謎が翻弄する。本格ミステリ新世代の旗手による、究極の密室監禁サスペンス。
「時代の象徴として読み継がれる傑作」(ミステリ評論家・千街晶之)
「全く新しい形の本格ミステリ! 」(辻真先)


工学本格ミステリ(?)の優れた書き手と感じていたが社会的な問題をも散りばめた内容が多かったので、いずれ社会派ミステリ的な作品も書くのではと思っていたら、本作はまさに直球かつ本格という作品だった。

本書を読む直前に、2015年安全保障関連法に反対する抗議デモのSEALDsの活動記録の本を読んでいた。全くの偶然だが本書はまさしくこの抗議デモに戸惑いながらも初参加する女性のモノローグで始まる。

物語での”和田政権”がいやでも現実の政権を思い起こさせ、数々の政権の問題行動が散りばめられる。それとは別にヘイト団体に身を置く青年の視点からも物語は進められる。本格ミステリに政治を持ち込むのが嫌いな人はたぶん初めの段階でドロップすると思う。
しかしこの二人が事件に巻き込まれていくという過程で、サスペンス風味としっかりとした本格ミステリのプロットの妙が味わえた。
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市川憂人『グラスバードは還らない』

市川憂人『グラスバードは還らない』




マリアと漣は大規模な希少動植物密売ルートの捜査中、得意取引先に不動産王ヒューがいることを摑む。彼には所有高層ビル最上階の邸宅で、秘蔵の硝子鳥や希少動物を飼っているという噂があった。ビルを訪れた二人だったが、そこで爆破テロに巻き込まれてしまう! 同じ頃、ヒューの所有するガラス製造会社の関係者四人は、知らぬ間に拘束され、窓のない迷宮に軟禁されたことに気づく。「答えはお前たちが知っているはずだ」というヒューの伝言に怯えて過ごしていると、突然壁が透明に変わり、血溜まりに横たわる男の姿が!? 好評シリーズ第3弾!


一息付けたく久々にミステリを読みました。

本格ミステリとしてメインとなる筈の場面においてあのトリックは禁じ手でしょう?
しかし、同時にそこが本作のミステリとしての主たる部分でもない、という意味でやはりミステリとして面白い。
本著者の作品はこのシリーズでしか読んでいないが単なるパズラーではない重みのある作品が期待できる方かもしれません。

しばらくブログを放置していました。
暑くて気乗りしなかったのとなにしろ参院選の行方が気がかりでしょうがない。
結果によっては憲法改正で緊急事態条項創設というとんでもない方向へ流れる危険性が高まるんでね。

そんな結果だとしてもシレっと再開しますけど。
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市川憂人『ボーンヤードは語らない』

市川憂人『ボーンヤードは語らない』




今度こそ傷ついた誰かを救えるように、わたしたちは警察官になった。
空軍基地での変死事件や雪密室、雨の夜の墜落事件の謎、
そして不可能犯罪に挑むマリアと漣の“始まりの事件"とは
『ジェリーフィッシュは凍らない』に連なるシリーズ第四弾は、短編集!


タイトルはすべて「〇〇は△△ない」で統一された4編からなる短編集。
事件の背景にあるのは人種差別や家庭内暴力でかなり悲しみのある内容だったのは意外。

「赤鉛筆は要らない」(これだけちょっと異質のタイトル)が一番本格ミステリっぽい。
本作で使用された足跡トリックはなかなか特筆すべきものではないでしょうか?

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市川憂人『ブルーローズは眠らない』

市川憂人『ブルーローズは眠らない』




両親の虐待に耐えかね逃亡した少年エリックは、遺伝子研究を行うテニエル博士の一家に保護される。彼は助手として暮らし始めるが、屋敷内に潜む「実験体七十二号」の不気味な影に怯えていた。一方、〈ジェリーフィッシュ〉事件後、閑職に回されたマリアと漣は、不可能と言われた青いバラを同時期に作出した、テニエル博士とクリーヴランド牧師を捜査することになる。ところが両者への面談後、バラの蔓が壁と窓を覆い、施錠された密室状態の温室から、切断された首が見つかり……。


真っ当な本格ミステリ。
前作と比べるとトリッキーな仕掛けはないが地味なトリックを積み上げた事によりガチガチの本格ミステリになっています。

今回は"青いバラ"が関わってきますが前作同様科学的なペダントリーが楽しいです。(理解はできているわけではませんが)

とある人物の名前がある人物を連想させるのですがそこから騙されていたりします。


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市川憂人『ジェリーフィッシュは凍らない』

市川憂人『ジェリーフィッシュは凍らない』




特殊技術で開発された、小型飛行船〈ジェリーフィッシュ〉。その発明者であるファイファー教授を中心とした技術開発メンバー6人は、次世代型ジェリーフィッシュの長期航空試験に臨んでいた。ところがフライト中に、密室状態の艇内でメンバーの一人が死体となって発見される。さらに、自動航行プログラムが暴走し、彼らは試験機ごと雪山に閉じ込められてしまう。脱出する術もない中、次々と犠牲者が……。精緻な筆致で描く本格ミステリ、新時代の『そして誰もいなくなった』登場!


ここ最近、本格ミステリを読み続けていますがこれまた素晴らしい作品でした。

なんとなくタイトルから軽めの青春ミステリを想起してしまい手にすることさえしなかったのが悔やまれます。
なるほどこれが鮎川哲也賞受賞作の実力といったところでしょうか。

メイントリックが二つ。
これが惹句の”新時代の『そして誰もいなくなった』”を成立させていますがシンプルだが上手いと思いました。
解ける人にはちゃんと解けるような手堅い作風も良い。
探偵役(?)の二人の刑事も良かった。
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