今邑彩 - 茶の間の自由 ~チャンスも経験もいらない~
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茶の間の自由 ~チャンスも経験もいらない~

ビートルズ プログレ ミステリ 近辺の話題と浅い話を繰り出します

今邑彩『暗黒祭』

今邑彩『暗黒祭』




少年少女の行方不明事件を特集したテレビ番組を見ていた編集者の喜屋武蛍子は思わず叫んだ。番組で取り上げられた幼女の面影に見覚えがあったからだ。消息を絶った元恋人の伊達を探しに訪れた信州・日の本村の神社で偶然見かけた巫女姿の女の子にそっくりだった。まだ二週間前のことだ。幼女は、あの村で来月行われる七年に一度の大祭の神事のために攫われたのか?錯綜する謎の糸が解きほどかれる時、驚愕の真実が浮かび上がる。「蛇神」シリーズ、堂々の完結。


第一章で、今までちょっとだけ話題に上った程度の人物がクローズアップされ、これで敵味方の分かれての壮大なバトルが繰り広げられ行くのかと思っていたら、流石今邑彩、そんな当たり前の話にはしなかった。

大雑把に言えば、何も起こらないまま、どちらが正しいのか決着をつけないまま物語を完結させたと言ったところ。
それぞれの登場人物がそれぞれの望む生き方をして物語は終わる。

でもそれでこの物語の薄気味悪さがより伝わったように思う。

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今邑彩『双頭の蛇』

今邑彩『双頭の蛇』




その事実を知る者は、この村の一握りの人間のみ。
信州の人里離れた山村・日の本村では、七年に一度の大祭で、12歳以下の少女をひとり生贄として神にささげられていた。その事実を知る者は、この村で神職を司る呪われた一族、神家の一握りの人間のみであった。


『蛇神』『翼ある蛇』の続編。

前半は消えた知人を探しに山村へ向かう主人公(なのか?)の行動を描くが全体的に不穏な雰囲気。中盤はその山村を支配する一族を中心に語られるが、前作で登場した青年を中心とした描写は完全に伝奇小説のヒーロー。一方的にだが”救世主”的な描かれ方で雰囲気も明るい部分が出てくる。しかし終盤でふたたび閉鎖的な村での暗い側面に話が戻る。

というところで本作は終了。
最終作『暗黒祭』への期待が膨らむ。

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今邑彩『翼ある蛇』

今邑彩『翼ある蛇』



英文学翻訳家、沢地逸子のホームページに「生理ガハジマリマシタ。ヨッテ、明日、母ナル神ニ生キ贄ヲ捧ゲル儀式ヲ行イマス。コンドハ人間デス」というメッセージが書き込まれた。翌日、都内で発見された大学生の猟奇他殺死体。沢地の担当編集者、喜屋武蛍子は、同居している姪の火呂が自分に黙ってこのホームページにアクセスしていたことを知り、疑念を抱く。火呂には胸に蛇の鱗に似た痣があり、かつてそれを見た神女が海蛇の生まれ変わりだと告げた記憶が蘇ってくる。長編ホラー。『蛇神』の続編。


『蛇神』の続編。
あとがきで、前作で広げた風呂敷をたためずにさらに広げてしまったといった事が書かれているが、確かに広がってきました。
(作品はシリアスだが、あとがきのとぼけた感じがまた面白い)

本作のメインである猟奇他殺事件は無事(?)本作内で解決するが、最後にほんの少しだけ出てくる日記文の数行から真犯人の狂気が滲み出てきてコワい。
そして前作、そして以降へ続くであろう閉鎖的な村に関わる部分は圧倒的に薄気味悪い。

今邑彩にハズレ無し。
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今邑彩『翼ある蛇』

今邑彩『翼ある蛇』



英文学翻訳家でフェミニスト、沢地逸子のホームページに「生理ガハジマリマシタ。ヨッテ、明日、母ナル神ニ生キ贄ヲ捧ゲル儀式ヲ行イマス。コンドハ人間デス」という不気味なメッセージが書き込まれ、その翌日、都内で大学生の猟奇他殺死体が発見された。沢地の担当編集者、喜屋武蛍子は、同居している姪の火呂が自分に黙ってこのホームページにアクセスしていたことを知り、疑念を抱く。火呂には胸に蛇の鱗に似た痣があり、かつてそれを見た神女が海蛇の生まれ変わりだと告げた記憶が蘇ってくる。書き下ろし長編ホラー。


『蛇神』の続編。
あとがきで、前作で広げた風呂敷をたためずにさらに広げてしまったといった事が書かれているが、確かに広がってきました。
ますます楽しみ。(作品はシリアスだが、あとがきのとぼけた感じがまた面白い)
本作のメインである猟奇他殺事件は本作内で無事(?)解決するが、最後にほんの少しだけ出てくる日記文の数行から真犯人の狂気が滲み出てきてコワい。
前作、そして以降へ続くであろう閉鎖的な村に関わる部分は圧倒的に薄気味悪い。

今邑彩にハズレ無し。
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今邑彩『つきまとわれて』

今邑彩『つきまとわれて』




別れたつもりでいても、細い糸が繋がっている。ハイミスの姉が結婚をためらう理由は別れた男からの「幸せな結婚ができると思うな」という嫌がらせの手紙だったというが…。表題作のほか、幼い頃に家出した母に纏わるあり得ない記憶を辿る「帰り花」、ある絵画に隠された秘密に迫る「吾子の肖像」など前の作品の人物が登場する異色の短編集。


それぞれの短編に別の短編に出てきた登場人物が少し関わってくるという趣向の連作短編集。、だがそこはあまり重要視していなかったのかも。
それ以前に各短編のクオリティが高くさすが今邑彩という作品集です。

さっき”さすが今邑彩”と書いてしまったとおり、ファンゆえに”さすが”で済ましてしまっているが、アンソロジーかなんかで他作家の毛色の違ったものの後に本作収録作が入っていたら”仰天”するのではないかと思う。
ミステリアンソロジーにはぜひ作品を入れていただきたい作家です。(そしてファンが増えれば嬉しい)
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今邑彩『蛇神』

今邑彩『蛇神』




新橋の老舗蕎麦屋の若女将、倉橋日登美が直面した信じられない現実―。父と夫と長男が、住み込みの少年に惨殺されたのだ。幼い娘の春菜とふたりとり残され、茫然自失の彼女のもとへ従兄と称する神社の禰宜が現れ、信州の日の本神社へ里帰りするように勧める。従兄によると、26年前、実母は生まれたばかりの日登美を連れて、ある日、忽然と村から姿を消したのだというが…。書き下ろし長編ホラー。


角川ホラー文庫からの発売だが心霊的なホラーではない。閉じられた村社会での狂気じみた集団の暴走が描かれている。日本の土着性を扱った作品は本当に怖い。
本作はミステリ、サスペンス、の要素を詰め込んでいるがラスト近辺ではこれが政治に絡んでくるなど現実的な話としてのコワさもあり、つまりは傑作です。
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今邑彩『卍の殺人』

今邑彩『卍の殺人』




荻原亮子は恋人の安東匠とともに彼の実家を訪れた。その旧家は二つの棟で卍形を構成する異形の館。住人も老婆を頂点とした二つの家族に分かれ、微妙な関係を保っていた。匠はこの家との訣別を宣言するために戻ってきたのだが、次々に怪死事件が起こり…。謎にみちた邸がおこす惨劇は、思いがけない展開をみせる。著者デビュー作。


再読。面白い。
卍の形をした屋敷でおこる連続殺人事件。いかにも怪しいこの館の卍という形が重要なものである事はわかっていたがそれが何か思い出せずに読みすすめた。

著者あとがきによると、発表当初は酷評されたとあるが本当なんだろうか。新本格ブームに乗じて出版されたようにも思われていたらしいが、それらの作品に対して劣るところが全く見当たらない本格ミステリ。
伏線回収は見事だし、どんでん返しの妙はあるし、デビューから今邑彩らしさがあったのだと再認識。
ただこれを最初に読んだ数十年前の私は、この真犯人像とこれを考え付いた今邑彩さんに近寄りがたいものを感じ避けていたことも思い出した。
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今邑彩『人影花』

今邑彩『人影花』




見知らぬ女性からの留守電、真実を告げる椿の花、不穏に響く野鳥の声…ささいなことから平和な日常が暗転し、足元に死の陥穽が開く。戦慄に満ちた文庫オリジナル短篇集。没後なお読者を惹きつけてやまない今邑ミステリの精華がここに。


個人短編集未収録作品を集めた短編集、だが寄せ集めでなく他の作品集と同等の傑作群ばかりなのが今邑彩。

「私に似た人」での今邑さんらしいオチに安心し(ブラックですが)「疵」「鳥の巣」のイヤさ加減におののき、「返して下さい」の展開には舌を巻く。「ペシミスト」は軽やかな作品で、こんなのもあるんだといった感じで面白い。

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今邑彩『金雀枝荘の殺人』

今邑彩『金雀枝荘の殺人』




完全に封印され「密室」状況となった館で起こった一族六人殺しの真犯人は、いったい誰だったのか。事件から一年後、真相を探るべく館にやってきた兄弟たちは推理合戦を繰り広げる。そして、また悲劇の幕が開いた…。恐怖と幻想に満ちた本格ミステリー。


再読

「序章という名の終章」という構成が面白い。

何年か前、講談社ノベルスの『綾辻・有栖川 復刊セレクション』で読んだ際は特に感じなかったのだろうと思うが、後に他の今邑彩作品を知るにつれ、そのマジカルな作風に酔っています。今回も酔わせていただきました。

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今邑彩 『鋏の記憶』

今邑彩 『鋏の記憶』




物に触れると所有者の記憶を読み取ることができる「サイコメトリー」
能力を持った、女子高生の桐生紫。その力を生かして、周囲で起こった
四つの怪事件の捜査を手助けすることに。殺人、失踪、家族の秘密…
「物」だけが真実を知っている!傑作ミステリー。


物の記憶を読み取る「サイコメトリー」の物語だがその特殊設定は物語の
起点や転換点としてあっさり使われるだけでミステリとしての面白さは
全く失われていない

表題作「鋏の記憶」の重苦しさが今邑作品の味かもしれない。
「弁当箱は知っている」
「三時十分の死」
「猫の恩返し」

良い作品が揃っています。

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