島田荘司 - 茶の間の自由 ~チャンスも経験もいらない~
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茶の間の自由 ~チャンスも経験もいらない~

ビートルズ プログレ ミステリ 近辺の話題と浅い話を繰り出します

島田荘司『夜は千の鈴を鳴らす』



島田荘司『夜は千の鈴を鳴らす』

またまた島田荘司作品の再読です。
時刻表トリック系の作品ですがそこはまあ何とかなってしまうのだろうという感じでほとんど読み飛ばしです。(私の悪いクセです)
しかし本作の読みどころは被害者女性の数奇な人生を吉敷刑事が追っていくところでありこの部分の面白さは無類です。
特に真犯人がこの女性の人生とある点でつながっていくあたりは特に面白い部分です。
叙述的な企みもあり本作もまた傑作でした。



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島田荘司『北の夕鶴2/3の殺人』



島田荘司『北の夕鶴2/3の殺人』

何度目の再読だろう。
本格ミステリの美しさに痺れたものですが今回数十年ぶりの再読では印象が異なりました。
魅力的な謎は早い時期で提示されますが以降は吉敷刑事の物語です。別れた妻のために行動する様はハードボイルドのようです。誰もが仰天する本格の謎ときは最後の数ページに集約されています。既読していますが本当に解決できるのかともう程最後の最後までわかりません。それだけにその解決編の濃度の濃さは強烈です。
ああ面白かった。
どこか読み飛ばしたのか読みが浅かったのか 「2/3」の意味は分からなかったのは残念です。

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島田荘司『盲剣楼奇譚』

島田荘司『盲剣楼奇譚』




吉敷竹史復活!
20年振りの新作長篇登場。
加賀百万石から終戦直後の混乱期、そして現在へと続く謎の連鎖。

吉敷刑事が東大構内の博物館で見た美剣士の幽霊画。
その背後には驚くべき謎が隠されていた。
江戸時代から続く金沢の芸者置屋・盲剣楼で、終戦直後の昭和二十年九月に血腥い大量斬殺事件が発生した。軍人くずれの無頼の徒が楼を襲撃、出入り口も窓も封鎖されて密室状態となった中で乱暴狼藉の限りを尽くす五人の男たちを、一瞬にして斬り殺した謎の美剣士。それは盲剣楼の庭先の祠に祀られた伝説の剣客“盲剣さま”だったのか?七十余年を経て起きた誘拐事件をきっかけに、驚くべき真相が明かされる!?


特に吉敷武史モノと思わずに読み始めました。
現代パートでの誘拐事件に終戦直後の嫌な時代の物語が関与し、さらには“盲剣さま”の由来となる剣士の話へと物語は展開します。
8割がたこの剣豪小説となるのですが気づけば一気に5時間読んでいました。

この剣豪小説部分がミステリ(誘拐や終戦直後の物語)にどう関わるのか関わらないのか。
なんといったらいいのかわかりませんが、まあ島田荘司だなあ、といったところです。

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島田荘司『夏、19歳の肖像』

島田荘司『夏、19歳の肖像』



バイク事故で入院中の青年が、病室の窓から目撃した「谷間の家」の恐るべき光景!ひそかに想いをよせる憧れの女性は、父親を刺殺し工事現場に埋めたのか?退院後、青年はある行動を開始する―。青春の苦い彷徨、その果てに待ち受ける衝撃の結末!


あとがき(2005年)によれば、あるサイトでのノンシリーズ島田作品では本作が突出した一位を続けているらしい。
そんな人気作でも私はその存在を知りませんでした。ミステリというより青春小説の度合いが高い作品です。

しかし本作の19歳の主人公は、のぞき見して好きになってしまった女性を尾行しアルバイト先に乗り込むといった行動を起こす人物。また、そういった過去を当事者に告白し怒られても、なぜ怒られたかわからないという人物。
ところがそういった行動について作中否定的に取り扱わないのは、あえてそのように描いた作品なのか島田氏の感性なのかそちらが気になりました。

物語に時代背景は”ビートルズが解散して間もなく”というから昭和46年あたりで本作の出版は昭和60年。
ストーカー的な気質についてなにかしらの言及もないほどこういったことに関心度の低い時代だったのでしょうか?
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島田荘司『島田荘司のミステリー教室』

島田荘司『島田荘司のミステリー教室』




小説を読んで、自分も書いてみたくなったけど…、「プロットはどのように書けばよいか?」「トリックをどう考えればよいか?」といった疑問に数多くの名作を書き、また多くの若手作家のデビューを後押ししてきた本格ミステリー界の巨匠・島田荘司が答える。また、書くだけでなく、探偵小説・本格ミステリーの発生から変遷について語り、読者にとっても本格ミステリーをより楽しむための知識を与える。


主にミステリ作家志望者と島田荘司での質問会の内容。
最初に島田氏から”鉛筆で書いてもいいかといった質問でもどうぞ”、という案内から始まっているせいか、ミステリ以前の話も多いが結構面白い。(第一章・執筆の準備、第二章・構成と文章がそのような章)。

読み手はあまり気にしないで読んでいるがプロを目指すと当然その辺は気にするところなんだろう。

第三章・トリックの着想、第四章・創作の精神が島田ミステリ論にもつながっていそうでこちらも面白い。

そのミステリ論は講演録『日本ミステリー史と、「本格」発想の意義」』で存分に語られる。右に倣えの日本人論を稲作文化と絡めるところも面白い。
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島田荘司『名探偵傑作短編集 御手洗潔篇』

島田荘司『名探偵傑作短編集 御手洗潔篇』




本格ミステリの金字塔『占星術殺人事件』での登場以来、難事件をいく
つも解決し、相棒・石岡和己とともに、愛されてきた名探偵・御手洗潔。
その選りすぐりの短編集。御手洗の人間的魅力に溢れた「数字錠」、
「SIVAD SELIM」、シリーズ屈指の怪事件「山高帽のイカロス」他、
全5篇を収録。


『数字錠』
『ギリシャの犬』
『山高帽のイカロス』
『IgE』
『SIVAD SELIM』

トリッキーな『山高帽のイカロス』、御手洗に振り回されサスペンス風
に展開される『ギリシャの犬』が面白い。
『IgE』はその両方を兼ね備えたむちゃくちゃヘンで面白い一品。

最初と最後の2篇はミステリとしてでなく御手洗潔その人となりを描い
たような好篇です。
特に後者はギタリスト”御手洗潔”も描く、ほかにもギタリストとして
の才能を記した短編があったはず。

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島田荘司『暗闇坂の人喰いの木』

島田荘司『暗闇坂の人喰いの木』




さらし首の名所・暗闇坂にそそり立つ樹齢2000年の大楠。この巨木が次
々に人間を呑み込んだ? 近寄る人間たちを狂気に駆り立てる大楠の謎
とは何か? 信じられぬ怪事件の数々に名探偵・御手洗潔が挑戦する。
だが真相に迫る御手洗も恐怖にふるえるほど、事件は凄惨を極めた。本
格ミステリーの騎手が全力投球する傑作。


再読。
昔は怪奇的な部分におののき、その後の合理的な解決に驚いた。
今読むと怪奇的な部分はそれほどでもなかったように感じたが、
これは種々の作品を読んできたからという事?

また解決部分はむしろかなり強引である事に驚いた。
近年作でこれはないんじゃなかろかと思った作品もあったが
昔からそうだったんだ。

とはいっても一気読み。
やはり御手洗潔ものは面白い。

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星籠の海

『星籠の海』
島田荘司
星籠の海(上) (講談社文庫)


瀬戸内海、松山沖に浮かぶ興居島の湾に、連続して死体が流れ着く―
奇妙な事件の調査を依頼された御手洗潔は、石岡和己とともに瀬戸内へ。
解決への鍵を求めて訪れた場所は、古代より栄えた「潮待ちの港」、
鞆の町を擁する広島県の福山市だった。
しかし、御手洗たちの到着直後に発生した死体遺棄事件にはじまり、
鞆もまた不穏な気配を漂わせていた。
これは瀬戸内を揺るがす一大事の兆しなのか!?
古からの港町に拡がる不穏な団体の影―
怪事件の続く「時計仕掛けの海」に、御手洗潔が挑む!圧倒的な面白さ!
ミステリー界の最先端に立つ巨匠が放つ渾身の一撃!


上下それぞれ550頁を超す長編です。
しかし中身はどうもちょっと、という感じです。

なんだか違和感がありすぎます。
先日重厚な『異邦の騎士』を読んだばっかりだったので
なおさらそう思うのかもしれません。

・登場人物の造形が浅い。(石岡はともかく御手洗までも軽い!)
・逆にある人物については短編小説葬相応の分量を使い丹念に描くものの
ミステリ的には繋がっていない。
・果たして謎解き小説だったのかその部分の印象がない。
・シャーロック・ホームズばりに御手洗は初対面の人物像を次々と
あてるがそこに面白みがない。
・ストーリーに結びつかないところで殺人が起こるが、その処理が雑。
(構成上あんなに雑に扱われる犯人はいないし誰にも気にされない)
・どうも国際的な犯罪者と御手洗には因縁があるようだが説明なし。
などなど。

解説を読むと、本作は映像企画ありきで執筆されたようで
本格ミステリよりも(お手軽な)御手洗冒険譚になってしまったのも納得。
(映画化されているそうです。)

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昔、島田荘司氏は「御手洗を演じられる俳優は日本にはいない」
とまでいっていたのではなかったか。

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異邦の騎士

『異邦の騎士』
島田荘司

改訂完全版 異邦の騎士 御手洗潔 (講談社文庫)


失われた過去の記憶が浮かび上がり、男は戦慄する。
自分は本当に愛する妻子を殺したのか。
やっと手にした幸せな生活に忍び寄る新たな魔手。
名探偵・御手洗潔の最初の事件を描いた傑作ミステリー『異邦の騎士』に
著者が精魂こめて全面加筆した改訂完全版。幾多の歳月を越え、
いま異邦の扉が再び開かれる。


『占星術殺人事件』を読んで衝撃を受け、
しばらく御手洗ものや吉敷ものを読み漁ったが、
本作はそれらとはまた異なる作品だった。

長い長い悲しい物語。これはそんな作品。

初読時は混乱もしたんだと思います。
「完全改訂版」。この表記があり普通ならあっさりと買う処なのに
なぜか買い控えしていたのもそんな気持ちからでしょう。

30年ぶりに読んだ本作は、ミステリ的な部分は知りつつ読んでいるので
より悲しみに部分に感化された気がします。

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30年前は知らなかったけど今は聴いています。
↓本作でその音楽の凄さに言及しているチック・コリア『浪漫の騎士』
浪漫の騎士(期間生産限定盤)


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斜め屋敷の犯罪

『斜め屋敷の犯罪』
島田荘司
改訂完全版 斜め屋敷の犯罪 (講談社文庫)


空前絶後の密室トリック!御手洗潔、第二の事件!!
これを読まずして「本格ミステリ」を語るなかれ!

オホーツク海を見下ろす宗谷岬に傾斜して建つ奇妙な館
――通称「斜め屋敷」。雪降る聖夜にその館でパーティが開かれる。
翌日、密室で招待客の死体が発見された!
行き詰まる捜査陣の前に現れたのは、名探偵・御手洗潔だった!!
本格ミステリの金字塔、御手洗シリーズを世に知らしめた作品が、
大幅加筆の完全版として登場!!


完全改訂版という事で改めて読みました。
初版刊行当時にも読んでおり、強烈な印象を受けました。
何しろアレですから。
「ただそれだけのために、この家は傾けてあるのさ」です。

今回はメイントリックは当然覚えており、
結果的に真犯人もわかりつつ読みましたがまったくもって面白かった。
冬の雪の降る洋館という設定ながら陰鬱な雰囲気もだしていないのが
要因の一つかもしれません。

しかし怪奇性を高める小道具は揃っており、
この部分についてもかなり強引ながらもきれいに解決しています。
(この強引さ加減は、後の作品でも思っていたことですが
すでに本作品で出ていたようです。)
このぶっ飛んだトリックのありようは
後に北山さんや霞さんに受け継がれた気がします。

御手洗潔は終盤まで出てこないのがちょっと残念ですが
今回は意味もあってか登場時より饒舌でいかがわしくそこも面白い。


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