映画レビュー 「モンスターズ/地球外生命体」 No Movie, No Life (映画・DVDレビュー)
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映画レビュー 「モンスターズ/地球外生命体」

モンスターズ/地球外生命体  原題:Monsters

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【公式サイト】  【allcinema】  【IMDb】

低予算ながら数々の賞を受賞し、話題を呼んでいるSFパニックムービー。男女二人がモンスターのいる危険地帯を抜け、メキシコからアメリカまで帰還する様を描く。監督は本作で有名になったギャレス・エドワーズ。主演もそれほど名の売れていないスクート・マクネイリーとホイットニー・エイブル。

NASAが地球外生命体を持ち帰ろうとした際、探査機が大破しメキシコの半分がそのモンスターで占められている危険地帯となってしまった。メキシコで取材をしている新聞社カメラマンのコールダー(スクート・マクネイリー)は勤務先の社長令嬢であるサマンサ(ホイットニー・エイブル)を無事連れ戻す様命令を受ける。海路を閉ざされた二人には危険地帯を縦断する陸路しか残されていない・・・。

本作は鑑賞前にシネ通で事前情報を入手していた。そこでも話題だったのが120万円という低予算でやっているという事だった。実際に鑑賞し、どうやってこのレベルのものを120万で作れるのかと思っていたら、IMDBには6400万円(80万ドル)と推定だが記載されていた。まぁこれなら納得というか、依然低予算ではあるものの、逆にそんなに掛けたのかと思ってしまう。

さて、予算の事は置いておいて本題に戻ろう。本作は非常に設定とその描写が面白い。それは全て人間がもたらした事象で、人々が迷惑被ってるという点だ。モンスターを持ち込んだのも人間、そしてそれを始末するために毒ガスを撒いて人間にまで被害を負わせているのも人間、全て悪の根源は人間なのに、敢えて大衆にはそう思わせない様な描き方がされている。米兵が「ワルキューレの騎行」を口ずさむ辺りは「地獄の黙示録」をオマージュとし、アメリカの自身が招いたベトナム戦争を彷彿とさせる。これほどの皮肉があるだろうか。

一方でこの皮肉を繋げる話の流れが、いまいちインパクトが弱い。もう少し派手でスピード感のあるパニックが複数回あったり、もっとドラマチックな展開があれば良かったのだが、当初は予算の情報が入っていたので、致し方無しかと思っていたが、予算も120万円では無かった様なので少々ガッカリした。

皮肉の部分は面白かったものの、SFパニックとして見た場合は若干物足りなさを感じる。モンスターであるタコもいまいちパリッとしないし、意外とすんなり危険地帯を越えてしまうのも拍子抜けだ。

ただこのギャレス・エドワーズという監督には期待したい。潤沢な予算が付き、やれることが全てやれる環境になった時に、彼の真価が問われるだろう。

評価:★★★★★☆☆☆☆☆

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