2010年12月 No Movie, No Life (映画・DVDレビュー)
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映画レビュー 「10 Best Movies 2010」

10 Best Movies 2010

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本ブログ、No Movie, No Lifeが独断で決定する、2010年のBest10作品。

今年は、劇場、DVD、新作、旧作合わせて84本観ました。
若干少ないのは、10月に仕事が忙しかったのと、年末バタバタしてしまったのが理由ですね。

選定は、今年上映された作品を対象に選んでいます。
基本的には10★や9★が付いた作品の中から選定することになるのですが、8★とボーダーな作品もあるので、その辺の基準は多少曖昧になっているのでご勘弁を。

では、さっそく発表しましょう!

1位 : キック・アス

2位 : インセプション

3位 : マイレージ・マイライフ

4位 : 恋するベーカリー

5位 : 第9地区

6位 : 悪人

7位 : ビッグ・バグズ・パニック

8位 : 告白

9位 : ゾンビランド

10位 : フローズン

まず1位のキック・アス。これは12月に現れた話題作。海外での前評判が高い割に、日本では上映館数も少なくこじんまりしたスタートだったが、初日は立ち見が出るくらいの盛況で、今も上映館数が徐々に増えている。この作品の面白さは、ブラックジョークや、思い切ったアクションはもちろんだが、笑いと緊張感の境界線を行ったり来たりして笑ったり息を呑んだりするところだろう。ストーリー的には大したことないかもしれないのだが、何よりも批判を顧みず、思ったことをやり切ったことを評価したい。

そしてキック・アスに土壇場で逆転された2位のインセプション。この作品はとにかくその世界に見ている側が完全に引き込まれてしまう所が魅力だ。そして一時も目を離せないスピーディでスリリングな展開。ここまで脚本はなかなか無いだろう。そしてばっちりはまるBGMもポイントだ。とにかく頭をフル回転しないといけない作品は脳を刺激されるので大好きだ。

3位はマイレージ、マイライフ。つくづく人生を考えさせられる作品。以外に地味だし、リストラ屋が主人公だったりしてパッとはしないのだが、持ってるメッセージ性はかなりのもの。特に、30代以上にはグッとくる問いがそこには待っている。大人にぜひおススメしたい。

4位以下は大混戦だ。ジュリー&ジュリアよりもメリル・ストリープの良さが存分に出ていた恋するベーカリー、宇宙人が支配される側で、かつ人種問題とも絡めた異色の第9地区、邦画では悪人、告白。この2作品は好みが分かれるところだと思いますが、物語としては面白かったです。

そして、注目したいのが7位のビッグ・バグズ・パニック。ただのアホくさいB級かと思いきや、ストーリーは良く練られていて、思わず見入ってしまう作品。設定や特殊効果はB級そのものなのだが、その他は直球だ。こういう作品は是非増えてほしい。

それと9位のゾンビランド。これもB級テイスト全開なのだが、ホラーとコメディが融合された面白い作品だ。コメディ要素があるとホラー部分は手抜きされてそうだが、この作品ではその心配はないだろう。

最後に10位のフローズン。絶対に心が折れます。もう止めようよ、と本気でちょっと思った作品だ。リアリティのある怖さを求める方には是非。


如何でしたでしょうか?

少しでも共感頂ければ幸いです。

2011年も映画ライフは満喫していくつもりです。

では劇場でお会い致しましょう!w

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映画レビュー 「ラブリーボーン」

ラブリーボーン  原題:The Lovely Bones

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【公式サイト】  【allcinema】  【IMDb】

原作となる小説をピーター・ジャクソンが監督、スティーブン・スピルバーグが製作総指揮を務め映画化された作品。

スージー(シアーシャ・ローナン)は14歳の時に近所に住むハーヴィ(スタンリー・トゥッチ)にレイプ殺人されてしまう。現世と天国の狭間の世界から、自分の死により不和を起こしていく家族が悲しみを乗り越えていく様や、妹を始めとする兄弟が成長する様を見守りつつ、自分の行く末も決断するのだが・・・。

この作品の大きな特徴は、主人公のスージーが殺害され幽霊になった時点で、普通は犯人への復讐、もしくは何とか家族に伝えて犯人逮捕にいきそうなところだが、本作ではそういうことは一切なく、スージーは基本的に現世と天国と狭間から見守るだけ。だがその見守ることで、家族の自分への愛を感じ、自分の行く末を自ら決めることができるようになるという、普通とは一風変わった視点が特徴的だ。

以下完全にネタバレになるのでご注意頂きたいのだが、もう少しその特徴的な部分をかみ砕いていくと、ストーリーテラーは、殺されてしまったスージー、それも金庫に入れられた死体(Bones)だ。彼女は最後までその金庫から出る事は無い。その彼女が家族の和の復活と成長を見守り、その家族は彼女が居なくとも彼女を愛し続ける。互いにそれが通じあえなくても。だからこそ、タイトルが"The Lovely Bones"なのだろう。

正直なところ、このタイトルに込められた本当の意味はネイティブまたは宗教的見識を持ってる人じゃないとなかなか分からないものなのだろうと思う。何度もWikipedia等を読み返し、意味を解説しているサイトなどあったが、ワタクシには前述の様な理解が一番素直だった。何故タイトルの意味から入ったかというと、恐らくここをちゃんと理解できないと、この作品そのものが殆ど理解できないのではないかと思ったからだ。最初からこの位の前知識がないと、正直、登場人物やストーリー、そして彼女が居る世界観など理解しきれないままってしまうだろう。

ここまで理解できて感じたことは、原作を読んだことは無いものの、恐らくこの作品自体が映像化するべきではなく、活字からイマジネーションするべき作品なんだろうということだ。いわゆる行間を読む的なところが多々あるのではないかと思う。それを幾ら幻想的な世界をヴィジュアルで見せたりしてもなかなか埋まらない部分だろう。だからストーリーもあまり入ってこないし、世界観の理解の難しさも伴って、個人的には消化不良の作品になってしまった。

ただ、最後まで観ると切ないストーリーであることは感じ取れるし、特に終わり方はいたたまれない気持ちになる。
リメイクの可能性は無いとは思うが、やりようによっては可能性を秘めているように思う。

ネガティブな部分ばかり書いてきたが、ポジティブな部分もある。最も光っていたのは、ハーヴィ役のスタンリー・トゥッチだ。とてもプラダを着た悪魔でみたスマートさなど皆無で、キモおやじ全開だ。それもすぐその辺にいそうな雰囲気がリアルで怖い。これがポジティブというかは微妙wだが、非常に重要な役だったのでポジティブと捉えて良いだろう。

今回はかなり乱文になってしまったが、その理由は一般的な日本人には完全に理解しようとするのは難しい作品だからだ。しかし、この作品の持つ独特の世界観や、前述のスタンリー・トゥッチをはじめとした各俳優の名演は楽しめ。時間があれば、一年位経った後にもう一度見直すと、また違った感想を持つかもしれない、そんな作品だ。

評価:★★★★☆☆☆☆☆☆

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映画レビュー 「グリーンマイル」

グリーンマイル  原題:The Green Mile

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【allcinema】  【IMDb】

トム・ハンクスが主演で刑務所を舞台とし、奇跡の力を持った囚人をまつわる感動ドラマ。監督と脚本は、「ショーシャンクの空に」のコンビのフランク・タラボンと、スティーブン・キング。今回、何故かどうしても観たくなり、折角なので感想を書くことに。

舞台は1935年の大恐慌時代のアメリカのコールド・マウンテン死刑囚刑務所になる。その刑務所の死刑場への廊下は緑に塗られ、グリーンマイルと呼ばれていた。そこで看守主任を務めるポール(トム・ハンクス)は、ジョン・コーフィー(マイケル・クラーク・ダンカン)という大柄な黒人の死刑囚を受け入れる。その死刑囚は図体こそ大きかったが、物腰は非常に優しく暗闇を嫌い、およそ死刑囚とは思えなかった。ある日、酷い尿道炎で倒れてしまったポールは、ジョンの不思議な力によって一瞬ののちに病気が完治してしまう。そんな神の様な力を持つジョンにも刻一刻と死刑の時が迫るのであった。

この作品は、正直好みが真っ二つになる作品だと思う。本作は疑いのない感動ドラマなストーリーなのだが、そこに奇跡が、それも神がかり的な力がキーとなると、一気に醒めてしまう場合だ。ここで抵抗がない場合は、テンポの良さもあり、180分という上映時間も気にならない位一気にラストまで行くだろう。ただし、もし醒めてしまった場合は単に長く退屈な作品に映ることになるだろう。全てはここに係っていると言っても過言ではないと思う。

その他のキャラクタや伏線も全てジョンやポール、そしてネズミのMr.ジングルスいわゆる「善玉」との対比で描かれるため、この善玉が肯定できないと、悪玉のむげな悪さだけが誇張され、非常に後味の悪い作品となってしまうだろう。

そして、もう一つのキーが、優しさ、愛、そして罰的な考え方だ。これらを宗教的と考えるか否かは意見が分かれるところだが、制作がやはりアメリカなので少なからず宗教的な考えがあると考えても良いと思う。そういった思想がある人には分かりやすいのかもしれないが、ワタクシの様な平凡な日本人にはちょっと釈然とせず、したがってラストもスカッとはしなかったのは事実だ。

「ショーシャンクの空に」は、本当に人の力を感じられたので素直に感動できたのだが、本作は同じスタッフとはいえ、少々ファンタジー、または宗教色が入ってしまったため、そこに感情移入(理解)ができないとそれほど気持ちを揺さぶられる事もないのではないだろうか。

作品としてはリアルだし、グロテスクな演出もリアルさを追求したものだろう。そしてトム・ハンクスや共演者は非常に良い味を出している。特に囚人のジョン役のマイケル・クラーク・ダンカンやデル役のマイケル・ジェッター、そして嫌われ役のパーシー役ダグ・ハッチンソン。みなそれぞれが置かれた立場の役を存分に演じている。特にマイケル・ジェッターのMr.ジングルスと戯れる様子は素晴らしい。

この脚本というか設定に違和感がなければ、その人にとって名作になるのは間違いないと思う。そうでない人には、良くできたファンタジーの域を出れなかったのが残念だ。

評価:★★★★★★☆☆☆☆

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映画レビュー 「ケース39」

ケース39  原題:Case39

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日本では劇場公開されず先行してDVDのみリリースされていたが、アメリカで2010年の秋に劇場公開された作品。

ソーシャルワーカーのエミリー(レニー・ゼルウィガー)が、虐待を受けていたリリー(ジョデル・フェルランド)を保護したことを通じて発生する、奇妙な事件を描いたホラー・サスペンス。
主演はブリジット・ジョーンズの日記のレニー・ゼルウィガー。

エミリーは、親から虐待を受けている可能性があると通報のあった案件の担当を命じられる。一見、それほど大きな問題を抱えてはいない家庭に見えたが、リリーからの通報を受け、両親がリリーを殺そうとする現場を抑える。リリーのたっての願いでもあり、彼女の身元引受人になるエミリーだが、彼女の周りの人間が死んでいく奇妙な事件に遭遇する。

ホラー・サスペンスにとって非常に重要な、ストーリーの展開はテンポも良く進み、それを裏付ける様に時間も109分とそれほど長くない。あまり無駄なシークェンスも無く、その点では良くできている。そして、見てて思わずウワッとなってしまうゾクゾクする演出、これは予告編でネタバレしてるので書いても問題ないと思うが、大量のススメバチが発生するシーンでは、思わずのけ反ってしまう。飛び抜けているシーンはこの位だが、全体的に雰囲気が薄気味悪く、キモ怖い演出は良くできていると思う。

ただ、この作品は一つ大失敗を犯している。それは、リリーが余りにも怪しすぎるのだ。「虐待を受けている可哀そうな女の子」というよりは、「何か隠しているサイコな女の子」という印象が拭えない。もちろん、両親の言動やリリー自身の発言だけ見れば明らかに虐待を受けているとしか理解はできないのだが、もう見た感じの怪しさがあり得ない位プンプンする。ストーリーは自体は、なかなかこのジャンルで飛び抜けるのは難しいかとも思う。だからこそテンポが大事だとワタクシは毎回書くのだが、この点については及第点を付けられるし、演出なども前述した通り良い雰囲気をかもし出している。しかし、このバレバレ感のお陰で、展開が全て読めてしまうという、サスペンスにカテゴライズされる作品にとっては致命傷だ。

劇場公開されなかった理由は知らないが、個人的にはこの辺が影響してるのではないかと推定する。

一つ興味深かったのは、レニー・ゼルウィガーだ。いつもニコニコのイメージしかなかったのだが、精神的に追い込まれる様な役もできるんだなぁってちょっと違った一面を見れました。

ちょっと酷評気味ですが、この手の作品が好きな方は結構、そのホラー・サスペンスの雰囲気が好きでつい観ちゃうって方も多いと思うので、そういう方は楽しめるだろう。

評価:★★★★☆☆☆☆☆☆

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映画レビュー 「キック・アス」

キック・アス  原題:Kick-Ass

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ブラッド・ピッドがプロデュースし、原作となるアメコミと同時製作されたアクション・コメディ。
公開前から話題を呼び、パッと見はB級映画のテイストながらも、その内容は大予算を掛けて製作された大作をはるかに凌ぐと言っても良いだろう。キック・アス(kick-ass)とはクールなという意味。尻蹴りではないので(ある意味あってるのだが)ご注意を。

アメコミ好きなオタク高校生デイヴ(アーロン・ジョンソン)は、その風体から同級生からバカにされ、女子からもモテない冴えない高校生活を送っていた。だが彼にはスーパーヒーローへ強い憧れがあり、その信念を貫くべく、ネットで全身スーツを買い、悪者退治に繰り出す。その活躍がネットで流れ一躍有名になったキック・アス。時を同じくしてマフィアであるダミコ(マーク・ストロング)の島が荒らされる事件が起きていた。それをキック・アスの仕業と勘違いしたダミコは、彼を抹殺に掛かるが・・・。

この作品の見どころは非常に多いのだが、先ずは主人公から取り上げたい。スーパーヒーローと言っても彼に特殊能力なんて何もない。あるとしたらアクシデンタリーに得られた痛みを感じにくいという能力?くらいだ。いつも腰が引けてて煮え切らない様は、とても親近感を覚える。決して格好良いとは言えないスーツと合わせて、格好悪い醜態をさらしながらも、全く持って憎めない存在だ。

そしてこの作品の裏の主人公とも言うべき存在が、ヒット・ガール、ミンディ(クロエ・グレース・モレッツ)だ。彼女の登場シーンから度肝を抜かれる。そしてその後も躊躇なく思い切りの良いアクションシーンは、物議を醸し出すかもしれないが、ワタクシはとても興奮した。あまり書くとネタバレしてしまうので書かないが、最後の意を決して戦いに臨むシーンは、心を打たれるに違いない。

そのヒットガールの活躍の布石となるのが、ビッグ・ダディ、デーモン(ニコラス・ケイジ)だ。最近、パッとしなかった感があったが、本作は今までの不振を全部吹っ飛ばすような名演技だった。その表情の作り方や仕草などはオスカー俳優の面目躍如といったところだ。色々書きたいことがあるのだが、この辺にしておこう(笑)

BGMもなかなかだ。オリジナル曲も結構あったと思うのだが、引用が良かったと思う。オープニングのProdigyのStand Upや、28週後のオープニングであったり、ぴったりのセレクションがされていると感じた。

最後に脚本だ。一見B級に見え序盤はブラックユーモアに溢れ、それこそこのコメディチックなノリで行くのかと思いきや、シリアスさが増し、キル・ビル的な殺伐とした雰囲気の中、健気に戦うヒットガールには誰もが息をのむはずだ。同時に、自分の行動が切っ掛けで多くの人を巻き込んでしまった責任を感じながらも、最後は覚悟を決めるデイヴ。そしてラストの「家に帰ろう」もうたまりません。

今年のこれまでのNo.1はインセプションだったのだが、冷静に振り返って本当に甲乙付け難いのだが、僅差でキック・アスを現時点のNo.1としたい。インセプションはその脚本の深さが本当に素晴らしかったのだが、キック・アスの意外性のある展開と爽快感。そしてブラックユーモアは単純に映画を楽しむ事ができる、希有の作品だ。
続編もある様なラストだったので、是非期待したい。

評価:★★★★★★★★★★

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映画レビュー 「トロン:レガシー」

トロン:レガシー  原題:TRON: Legacy

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1982年公開のトロンの続編。前作で自分のゲームの権利を取り戻したフリン(ジェフ・ブリッジス)は、エンコム社のCEOとして活躍していた。全てが上手く行っていたように見えていたある日、息子のさむ( ギャレット・ヘドランド)を残し20年間失踪してしまう。そこに突然、盟友であるアラン(ブルース・ボックスライトナー)のもとに、ポケベルで連絡が入る。「サムに仕事場に来いと」 仕事場とはかつてのフリンのゲームセンター。サムは父親のコンピュータを見つけ操作していたが、突然デジタル世界に舞い込むことに。そこで彼が見たものは・・・。

世界観は前作のトロンと全く同じだが、当然ながらディテールは現代の技術でかなりブラッシュアップされている。世界観は殆ど変っていないことから、前作の発想の素晴らしさがうかがい知れる。

本作も前作同様、完全に映像を楽しむ作品だ。ストーリーの深さは前作とそう大して変わらない。最終目的は如何にデジタル世界から脱出するか、だ。これは意図的に狙ったのだと思いたい。一つは映像が主なので、深いストーリー性は不要な事。そしてディズニー作品のため、子供も観ることが多いだろう。よって敢えて前作のレベルを維持したのではないかと思った。

映像的に言えば、支配下に置かれている世界のためその背景は常に暗く、一般人は青い線のコスチューム、支配する側はオレンジの線のコスチュームと色で判別ができるため、子供が見ても非常にわかりやすい。その他のバイクや船など当然ながらリメイクされ、なかなかのリアリティを持っている。今回3Dでの鑑賞だったが、それほど強い3Dではなく、むしろ自然と遠近感が強められる程度のものだ。

登場人物はあまり多くないのだが、前作から引き続きジェフ・ブリッジスは登場しており、ちょうど前作から20年位経過したこともあって、なかなかいい味を出している。そしてちょっと驚いたのが、クオラ役のオリヴィア・ワイルドだ。ああいうイメージが全然なかったので個人的には凄くインパクトが大きかった。彼女が一番この世界観にハマっていた感があるのはワタクシだけではないと思う。

DAFT PUNKがBGMを担当すると聞いて非常に期待していたのだが、これは正直拍子抜けだ。DAFT PUNKらしさが出ていたのはほんの限られたシーンで、それ以外はダークナイトやインセプション、いわゆるハンス・ジマー的なBGMが流れてくる。それはそれで世界観に合っているので申し分ないのだが、もっとエレクトロが前面に出ている事を期待していた人には物足りないだろう。

ビジュアル的には申し分なく非常に楽しめたので、この作品の目標は達成できたと言って良いだろう。普段劇場に足を運ばない人でも、大スクリーンで3Dを楽しめば、劇場の素晴らしさを実感できると思う。

最後に、前作は必ず観ておくことをおススメしたい。世界観が予習できるだけでなく、前作を観てる人は「ニヤッ」としてしまう繋がりが幾つかあるので。

評価:★★★★★★☆☆☆☆

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映画レビュー 「トロン」

トロン  原題:TRON

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【allcinema】  【IMDb】

1982年に公開された、CGを本格的に多用した作品として有名。続編であるトロン:レガシーを前に見直したので、折角なので感想を書いておく。

ケヴィン・フリン(ジェフ・ブリッジス)はエンコム者で働く有能なプログラマで、ヒット間違いなしのゲームのリリースを目前にしていたが、同社のサーク(デヴィッド・ワーナー)の横領され、そのヒットを足掛かりにCEOまで上り詰める反面、フリンはゲームセンタを細々と経営する羽目に。横領の証拠を探ろうとハッキングを試みるが、エンコム社の自立型コンピュータであるMCPに妨害され、またそれがフリンだと突き止められてしまう。後がなくなったフリンと仲間のアラン(ブルース・ボックスライトナー)とローラ(シンディ・モーガン)は社に侵入し、中からハッキングする事で最後の反撃を試みるが・・・。

プログラムの世界に人間(ユーザー)が入り込む、そしてプログラムを人に見立てて作り出される世界観はなかなか面白い。フリンたちが乗る戦車や偵察機などのデザインも、どこかチープさがぬけなくも非常にユニークだ。そしてCGを多用し、コスチュームや乗り物、背景などできるだけのものは全部CG処理しましたと言わんばかりの映像は、今の時代の水準で観れば違和感も多く、またCGの質も大したことは無いのだが、当時で考えるとな映像革命的な作品だったに違いない。これらのビジュアル的な面は挑戦的で、その発想に感心した。

しかしそれ以外の部分、特にストーリーはベタベタとしか言いようがない。もともとの作品の狙いが今までと次元の違った映像体験であったとしても、もう少し何とかして欲しかったとは思う。ただ、繰り返しになるが、CGによる映像体験が主な目的であるため、当時のCG技術が足かせになってしまい、ストーリーも大したことがないものになってしまっているのかもしれないと感じた。

作品としてはそれほど大したことはないが、その世界観の発想とCGの本格採用という新し試みは評価して良いと思う。また、この続編であるトロン:レガシーを楽しむ上でも、本作をチェックしておくと面白さが変わると思う。

評価:★★★★☆☆☆☆☆☆

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映画レビュー 「SPACE BATTLESHIP ヤマト」

SPACE BATTLESHIP ヤマト

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【公式サイト】  【allcinema】

あの「宇宙戦艦ヤマト」を木村拓哉を主演に迎え、山崎貴が監督で実写化。
ストーリーのアウトラインは原作とほぼ同じで、ガミラスの攻撃にあい、瀕死のの地球を救うべく最後の宇宙戦艦ヤマトで、遥か彼方の惑星、イスカンダルまで放射能除去装置を手に入れるべく旅立つのであった。

先ず、最初に思った感想は、複雑な想いでいっぱいだった。何というか全体の歯車が噛み合っておらず、どこから何の感想を言ったら良いのか分からない。全てがイマイチとも言いたくなるのだが、その割には見入ってしまう、そんな感じだった。うまくまとめられる気がしないが、一つ一つバラしていきたいと思う。

最初は設定だ。ヤマト側の設定はほぼ難癖付けるようなところは無い。森雪については否定的な意見を目にするが、ワタクシはアリだと思った。問題はガミラスだ。意味が分からん。原作がどうのこうのとか言う問題では無い。良くあるエイリアンが侵攻してくる作品ならこれでも良いだろうが、冒頭からガミラスと特定しているのであれば、ちゃんと敵役はしっかりしておいた方が良いはずだ。ここがいい加減で、彼らから見たヤマト(地球)の視点が一切無く、訳も分からず戦っている構図だ。何か説明してた様な気もするが良く理解できなかった。それに付随して、やはり絶対的な悪役は必要だろう。あのデスラーは失格だ。別に顔色良くても良いから、人が演じるべきだったと思う。

次はストーリーだ。前述した通り大体のアウトラインは同じだが、見せ場の重きが違っている。完全に木村拓哉を見せるためのストーリーにしかなっていない。定石というか、人とメカが対になって戦うのがSFの面白いところだ。SWにしろガンダムにしろみんなそうだ。それがキムタクだけにフォーカスされているので、SF的な魅力が薄れてしまっている。原作のヤマトの良さは、圧倒的な攻撃力を誇るガミラス艦隊を、ボロボロで沈没しそうになりながらも、持ちこたえて撃破するヤマトと、デスラーの帝国主義とヤマト乗組員のチームワークのコントラストが効いていたから面白かった。山崎貴監督は、その辺をもう少し考え直して欲しいと思う。さらに最悪なのはラストシーンだ。ありえない。

VFXは、相当力を入れただけあって、大変さが伝わってくる。波動エンジンや波動砲発射などはリアリティに溢れとても興奮する(笑)やはりただ手放しで褒められるかというとそうでもない。VFXのせいか設定のせいかというところはあるのだが、ヤマトやガミラス艦船などの比較的大物は動きに乏しい。VFXが大変なので波動砲をぶっ放して小規模戦に持ち込んだのか良く分からないのが、艦隊戦の醍醐味が全く無い。戦闘機によるドッグファイトは、明らかにスターウォーズシリーズを意識したカット割りだ。新しさもあまり無いし、物理的に動きが不自然。頑張ってる感はあるが、満足はできない感じだ。

最後にキャスティング。個人的には木村拓哉は古代役としてアリだと思うが、もっと熱血バカが演じられる若い人俳優でも良かった気もしなくもない。。ただそれを前面に出し過ぎている事と、何よりも取り巻きの役者の個性が弱すぎる。特に島大介の緒方直人は頂けない。優しすぎ、存在感が無さすぎる。全体的にもっと濃い役者をそろえてもよかったのではないか。その中でも柳葉敏郎はハマリ役で素晴らしかった。

原作と違う作品だと言い聞かせても、やはり影響力の大きかった作品なので、完全に原作を忘れ去るのは無理だろう。ただその点を差し引いても、イマイチなところが大きい。が、140分弱の長丁場にも関わらず思わず見入ってしまうのは、それなりに色々なシークェンスが揃ってるので、とりあえず期待してしまう脚本に乗せられているのか、そもそものヤマトの魅力なのか分からないが・・・。
キムタクファンは必見、そうでない方は必見とは言わないが、ヤマトファンだったりSF好きな方は、一度日本のVFXの最先端を知るという意味でも観ておいてもいいかもしれない。

評価:★★★☆☆☆☆☆☆☆

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映画レビュー 「エクスペリメント」

エクスペリメント  原題:The Experiment

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es[エス]のハリウッドリメイク作品。監督はプリズン・ブレイクのポール・T・シュアリング。実際に行われた心理実験を元に、人間の置かれた場所による心理状態の変化を生々しく描いたサイコ・スリラー。

トラヴィス(エイドリアン・ブロディ)はリストラされて間もなく、一人の女性と出会う。インドに行く彼女と同行したいのだが、彼にそんな余裕は無かった。しかし、ある新聞広告でに日当1000ドルの被験アルバイトを目にする。それは看守と囚人に分かれ、2週間をそれぞれの役割に従って生活することだ。報酬欲しさに参加するのだが・・・。

人間の本質を問う作品である。至って普通の人間や、何かに依存している人間、普段は抑圧されている人間が、ある特異な環境で、普段と全く違うロールを与えられた時、人はどう変わるのか。それまでの人格を保つことができるのか。それを赤裸々に描いていく。

最初はそれぞれがぎこちなくも、慣れて自信を持つことによって看守側は自分が本当の看守に。囚人側は看守からの体罰により恐怖心を植え付けられ、支配下に置かれていく様が良く描かれている。特に看守側のバリス(フォレスト・ウィッテカー)の豹変っぷりは目を疑う。極限状態に置かれると、人はここまで正義感や倫理感が狂い、ここまで変わるものかと思うと本当に怖い。

ある意味、それはどんな環境でもそうだ。家庭を初め、職場や学校、サークルなど、全てにおいて人は豹変する可能性を秘めいていると受け取れる。職場や学校で席を並べて座っている隣の人も、実は本性は全く違う人間かもしれないってことだ。人を見る目が変わってしまいそうだ。

この作品はあまり文章で書いても伝わらないので、興味も持たれた方は是非作品を鑑賞して、この人間の変化を疑似体験してほしい。

エスとの比較だが、別の作品と言って良いかと思う。ストーリー的には同じでもも雰囲気が全く違う。特に監視側がカメラのみで一切出て来ない事が、牢獄の重苦しさやただ事ならない事が行われている感が伝わってくる。囚人や看守の微妙なパワーバランスの描写は、さすがポール・シュアリング監督と言ったところか。プリズン・ブレイクのヒットは伊達じゃない。それとラストシーンはこちらの方が全然好きですね。

好みが分かれるかもしれないが、人間の本質とは何かを考えながら観ると、なかなか面白い作品である。
まぁまずないと思うが、デート映画じゃないのでご注意を。

評価:★★★★★★☆☆☆☆

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映画レビュー 「キス&キル」

キス&キル  原題:Killers

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ドタバタラブコメという言葉がぴったりの作品。アシュトン・カッチャーとキャサリン・ハイグルの主演。

箱入り娘のジェン(キャサリン・ハイグル)は失恋の傷も癒えぬまもなく、両親とフランスのニースへ家族旅行に。そこでスペンサー(アシュトン・カッチャー)と運命的な出会いをし、二人とも恋に落ちる。スペンサーはCIAのエージェントなのだが、その事実を上手くジェンに伝えられぬまま、二人はやがて結婚をする。幸せな家庭を築けていると思っていたスペンサーに突然、CIAの元上司から連絡が入り、ジェンも巻き込んだ騒動に発展してしまう。

本国ではBOXランキングが伸び悩んだり、公開後はかなり批評家から叩かれたりしてたので、どんなにダメな作品なのかと思っていたが、そこまで酷い作品だとは個人的には思わなかった。
そもそもこの手のドタバタラブコメは、気を抜いて笑えればそれで良しがワタクシの持論なので、とりあえずそれにはぴったりはまっていた。かなり設定に無理はありつつも、典型的なリッチなスパイや、ロマンス、そしてラブコメにしてはやり過ぎな感もあるアクション。要素はそれなり揃っている。

アメリカの批評家たちの不評の理由は知らないが、なぜダメなのか考えてみよう。
個人的には理由は2つあると考える。1つはストーリーだ。前述した様に面白い要素は揃っているが、目新しさが何一つない。だからなのか、中途半端にアクションに力が入っていて、ストーリーの物足りなさをアクションで埋めようとしているのかと思ってしまう。

もう1つはキャサリン・ハイグルだ。言っちゃ悪いのだが、全てがダメだ。彼女が悪いのか、設定が悪いのか、もうどっちもの様な気もするのだが、劇中における彼女が全てを台無しにしている様にも見える。
まず序盤で目の下に深いクマをつくってるシーンがある。失恋が故の設定なのか分からないが、いきなりドン引きだ。そしてあのブロンドの巻き髪とメイクは頂けない。劇中で娼婦と間違われるシーンがあるのだが、そのものズバリだろう・・・。それにかなりダブダブの体型。もう崖っぷちだ。

また、かなり失礼ではあるのだが、全体的にちょっと老け込んだように見える。アシュトン・カッチャーが結構童顔なのと比較すると、どうしても年上に見えてしまう。二人とも同い年なのだが・・・。加えて箱入り娘ときてるから、何となくキモく見えてしまう。これが「幸せになるための27のドレス」の雰囲気だったら全然違っていたのではないかと思ってしまう。正直、こんなヒロインを見せられて、どう感情移入して良いか分からない。これは男性も女性も同じなのではないだろうか。

アシュトン・カッチャーについては、間違いなく彼の経歴の中でベストな作品になったのではないかと思う。男性目線で見ても、彼は格好良く見えたし、バタフライ・エフェクトなどから比べると、華が出てきた様に見える。今後の活躍に期待したい。

ストーリ展開や演出などは、目新しさはないもののなかなか良くできており、ヒロイン役さえもっとハマっていれば、もう少しヒットしたのではないかと考える。キャサリンファンには申し訳ないが、ラブコメにおけるヒロインの重要性を再認識した。しかしこう考えるとと、メグ・ライアンって希有の存在だったんだとつくづく思う。

評価:★★★☆☆☆☆☆☆☆

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